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百物語 - Yōkai​ Stories, 蛇婿(へびむこ)

蛇 婿 (へび むこ)

蛇 婿 ( へび むこ )

むかし むかし 、 ある ところ に 、 とても 美しい 娘 が い ました 。

ある 晩 の 事 、 母親 が 娘 の 部屋 の 前 を 通る と 、 何やら 話し声 が する ので 母親 は 耳 を すませ ました 。 どうやら 娘 は 、 誰 か 男 と 楽し そうに 話して いる 様子 です 。 ( あら 、 あの 子 ったら 、 いつの間に 良い 人 を 見つけた のだろう 。 ・・・ まあ 、 その うち に 紹介 して くれる でしょう ) 母親 は そう 思う と 、 何も 言わ ず に 寝て しまい ました 。 そして それ から 毎夜 、 たとえ 大雨 の 日 でも 大 風 の 日 でも 、 男 は 必ず 娘 の 部屋 に やって 来る のです 。 ( もしかすると 、 娘 は 何 か 怪しい 物 に 見込ま れて いる の かも ) そう 思った 母親 は 、 娘 に 尋ね ました 。 「 ねえ 、 お前 の 所 に 毎夜 毎夜 、 男 が 来て いる 様 だ けど 、 一体 どこ の 誰 な の ? 」 「・・・・・・」 「 隠す 事 は ない よ 。 母さん は 、 お前 が その 男 を 本当に 好き なら 、 お前 の 婿 ( むこ ) に 迎えて も いい と 思って いる んだ よ 」 「 本当 ? 」 「 ああ 、 本当だ と も 。 ・・・ ただ その 前 に 、 相手 の 身元 を はっきり さ せ ない と ね 」 する と 娘 は 、 少し 困った 様 に 言い ました 。 「 うん 、 でも 、 あたし も 、 あの 人 が どこ の 誰 か 知ら ない の 」 「 毎夜 通って 来る のに 、 どこ の 誰 かも 明かして くれ ない の かい ? 」 「 うん 」 「・・・ そう 。 しかし 嵐 の 晩 でも やって 来る ほど 熱心な のに 、 身元 も 明かさ ない なんて 変だ ね 。 これ は もしかすると 、 魔 性 ( ましょう ) の 物 かも 知れ ない よ 。 よし 、 今夜 来たら 、 その 男 の 着物 の 裾 ( すそ ) に 、 糸 を つけた 縫い 針 を 刺して 帰し なさい 」 そこ で 娘 は 母親 に 言わ れた 通り 、 男 が 帰る 時 に 隠し持って いた 縫い 針 を 男 の 着物 の 裾 に 刺し ました 。 する と 男 は 、 「 ウーッ ! 」 と 、 うめき声 を あげて 、 家 を 飛び出て 行った のです 。 娘 と 母親 が その後 を 追う と 、 男 の 体 は 次第に ヘビ の 体 へ と 変わって いき 、 暗闇 の 中 に 消えて しまい ました 。 それ を 見て びっくり した 娘 と 母親 は 、 一晩 中 、 震えて い ました 。

翌朝 、 母親 が 男 に 刺した 縫い 針 の 糸 を たどって 山道 を 進む と 、 大きな 淵 ( ふち ) に 洞穴 が あって 、 糸 は その 中 へ と 続いて い ました 。 中 を のぞいた 母親 が 、 そっと 様子 を うかがって いる と 、 洞穴 の 奥 から こんな 話し声 が 聞こえて 来 ました 。 「 だから わたし は 、 人間 なんか に 構う な と 言って おいた のに 。 針 と は いえ 、 身体 に 鉄 を 立て られた からに は 、 もう お前 の 命 は 長く ない よ 。 可愛 そうだ けど 、 これ は どう しよう も ない 。 死ぬ 前 に 、 何 か 言い残す 事 は あるか い ? 」 「 おれ は 死ぬ が 、 おれ は あの 娘 に 子ども を 授けて 来た 。 その 子 が きっと 、 おれ の 仇 ( かたき ) を とって くれる だろう 」 「 子ども が 仇 を ? まったく 、 娘 の 腹 に 子 を 授けて 来た って 、 そんな もの は 三 月 の 節句 の 桃 酒 と 五 月 の 節句 の 菖蒲 ( しょうぶ ) 酒 と 、 九 月 の 節句 の 菊 酒 を 飲ま れたら 消えて 無くなる んだ よ 」 これ を 聞いた 母親 は 急いで 家 に 帰る と 、 さっそく 桃 酒 と 菖蒲 酒 と 菊 酒 を 娘 に 飲ま せて お腹 の 中 に いる ヘビ の 子 を 消した のです 。

そして それ が 言い伝え られて 、 女の子 は 三 月 と 五 月 と 九 月 の 節句 に 、 お 酒 を 飲む 様 に なった のです 。

おしまい

蛇 婿 (へび むこ) へび|むこ|| Schlangenbeschwörer snake groom novio serpiente marié au serpent sposo serpente 蛇婿(헤비무코) noivo cobra змеиный жених 蛇向子 蛇新郎

蛇 婿 ( へび むこ ) へび|むこ|| Son-in-law (Snake Muko)

むかし むかし 、 ある ところ に 、 とても 美しい 娘 が い ました 。 ||||||うつくしい|むすめ||| Once upon a time, there was a very beautiful girl.

ある 晩 の 事 、 母親 が 娘 の 部屋 の 前 を 通る と 、 何やら 話し声 が する ので 母親 は 耳 を すませ ました 。 |ばん||こと|ははおや||むすめ||へや||ぜん||とおる||なにやら|はなしごえ||||ははおや||みみ||すま せ| One night, when the mother passed in front of her daughter's room, she heard something, and she listened. どうやら 娘 は 、 誰 か 男 と 楽し そうに 話して いる 様子 です 。 |むすめ||だれ||おとこ||たのし|そう に|はなして||ようす| Apparently, the daughter is having a good time talking to a man. ( あら 、 あの 子 ったら 、 いつの間に 良い 人 を 見つけた のだろう 。 ||こ||いつのまに|よい|じん||みつけた| (Oh, that child, I wonder if he found a good person before he knew it. ・・・ まあ 、 その うち に 紹介 して くれる でしょう )   母親 は そう 思う と 、 何も 言わ ず に 寝て しまい ました 。 ||||しょうかい||||ははおや|||おもう||なにも|いわ|||ねて|| ・ ・ ・ Well, I'll introduce you to you soon.) When my mother thought so, she fell asleep without saying anything. そして それ から 毎夜 、 たとえ 大雨 の 日 でも 大 風 の 日 でも 、 男 は 必ず 娘 の 部屋 に やって 来る のです 。 |||まいよ||おおあめ||ひ||だい|かぜ||ひ||おとこ||かならず|むすめ||へや|||くる| And from then on, every night, no matter if it was raining or windy, he would always come to my daughter's room. ( もしかすると 、 娘 は 何 か 怪しい 物 に 見込ま れて いる の かも )   そう 思った 母親 は 、 娘 に 尋ね ました 。 |むすめ||なん||あやしい|ぶつ||みこま||||||おもった|ははおや||むすめ||たずね| (Maybe my daughter is expected to be something suspicious.) Thinking so, the mother asked her. 「 ねえ 、 お前 の 所 に 毎夜 毎夜 、 男 が 来て いる 様 だ けど 、 一体 どこ の 誰 な の ? |おまえ||しょ||まいよ|まいよ|おとこ||きて||さま|||いったい|||だれ|| "Hey, it seems like a man is coming to your place every night, but who the heck is he? 」 「・・・・・・」 「 隠す 事 は ない よ 。 かくす|こと||| "..." "There is nothing to hide." 母さん は 、 お前 が その 男 を 本当に 好き なら 、 お前 の 婿 ( むこ ) に 迎えて も いい と 思って いる んだ よ 」 「 本当 ? かあさん||おまえ|||おとこ||ほんとうに|すき||おまえ||むこ|||むかえて||||おもって||||ほんとう Mom, if you really like the man, you're willing to welcome your son-in-law (Muko). "" Really? 」 「 ああ 、 本当だ と も 。 |ほんとうだ|| ah, it's true too. ・・・ ただ その 前 に 、 相手 の 身元 を はっきり さ せ ない と ね 」   する と 娘 は 、 少し 困った 様 に 言い ました 。 ||ぜん||あいて||みもと||||||||||むすめ||すこし|こまった|さま||いい| ... But before that, we have to clarify the identity of the other party." 「 うん 、 でも 、 あたし も 、 あの 人 が どこ の 誰 か 知ら ない の 」 「 毎夜 通って 来る のに 、 どこ の 誰 かも 明かして くれ ない の かい ? |||||じん||||だれ||しら|||まいよ|かよって|くる||||だれ||あかして|||| "Yeah, but I don't even know who that person is." "I'm coming every night, but can you tell me who's where?" 」 「 うん 」 「・・・ そう 。 しかし 嵐 の 晩 でも やって 来る ほど 熱心な のに 、 身元 も 明かさ ない なんて 変だ ね 。 |あらし||ばん|||くる||ねっしんな||みもと||あかさ|||へんだ| But it's weird that he's so enthusiastic that he'll come even on a stormy night, but he doesn't reveal his identity. これ は もしかすると 、 魔 性 ( ましょう ) の 物 かも 知れ ない よ 。 |||ま|せい|||ぶつ||しれ|| This might be something magical. よし 、 今夜 来たら 、 その 男 の 着物 の 裾 ( すそ ) に 、 糸 を つけた 縫い 針 を 刺して 帰し なさい 」   そこ で 娘 は 母親 に 言わ れた 通り 、 男 が 帰る 時 に 隠し持って いた 縫い 針 を 男 の 着物 の 裾 に 刺し ました 。 |こんや|きたら||おとこ||きもの||すそ|||いと|||ぬい|はり||さして|かえし||||むすめ||ははおや||いわ||とおり|おとこ||かえる|じ||かくしもって||ぬい|はり||おとこ||きもの||すそ||さし| Okay, when you come tonight, stick a sewing needle with thread in the hem of the man's kimono and take him home." So, as her mother had told her, the daughter had hidden the sewing needle when the man left. was sewn into the hem of the man's kimono. する と 男 は 、 「 ウーッ ! ||おとこ|| Then the man said, "Uh-oh! 」 と 、 うめき声 を あげて 、 家 を 飛び出て 行った のです 。 |うめきごえ|||いえ||とびでて|おこなった| ' he groaned and ran out of the house. 娘 と 母親 が その後 を 追う と 、 男 の 体 は 次第に ヘビ の 体 へ と 変わって いき 、 暗闇 の 中 に 消えて しまい ました 。 むすめ||ははおや||そのご||おう||おとこ||からだ||しだいに|へび||からだ|||かわって||くらやみ||なか||きえて|| As the daughter and mother followed after him, the man's body gradually transformed into that of a snake and disappeared into the darkness. それ を 見て びっくり した 娘 と 母親 は 、 一晩 中 、 震えて い ました 。 ||みて|||むすめ||ははおや||ひとばん|なか|ふるえて|| The daughter and mother were so surprised to see this that they trembled all night long.

翌朝 、 母親 が 男 に 刺した 縫い 針 の 糸 を たどって 山道 を 進む と 、 大きな 淵 ( ふち ) に 洞穴 が あって 、 糸 は その 中 へ と 続いて い ました 。 よくあさ|ははおや||おとこ||さした|ぬい|はり||いと|||やまみち||すすむ||おおきな|ふち|||ほらあな|||いと|||なか|||つづいて|| The next morning, when the mother followed the thread of the sewing needle that stabbed the man along the mountain path, there was a cave in the large edge, and the thread continued into it. 中 を のぞいた 母親 が 、 そっと 様子 を うかがって いる と 、 洞穴 の 奥 から こんな 話し声 が 聞こえて 来 ました 。 なか|||ははおや|||ようす|||||ほらあな||おく|||はなしごえ||きこえて|らい| The mother, who had peered inside, was quietly watching what was going on when she heard these voices coming from the depths of the cave. 「 だから わたし は 、 人間 なんか に 構う な と 言って おいた のに 。 |||にんげん|||かまう|||いって|| "That's why I said I don't care about humans. 針 と は いえ 、 身体 に 鉄 を 立て られた からに は 、 もう お前 の 命 は 長く ない よ 。 はり||||からだ||くろがね||たて|||||おまえ||いのち||ながく|| Even if it's just a needle, your life won't be long now that you've had iron built into your body. 可愛 そうだ けど 、 これ は どう しよう も ない 。 かわい|そう だ||||||| It looks cute, but this can't be helped. 死ぬ 前 に 、 何 か 言い残す 事 は あるか い ? しぬ|ぜん||なん||いいのこす|こと||| Before you die, do you have anything left to say? 」 「 おれ は 死ぬ が 、 おれ は あの 娘 に 子ども を 授けて 来た 。 ||しぬ|||||むすめ||こども||さずけて|きた "I will die, but I have given that daughter a child. その 子 が きっと 、 おれ の 仇 ( かたき ) を とって くれる だろう 」 「 子ども が 仇 を ? |こ|||||あだ||||||こども||あだ| I'm sure that child will take my soul. "" The child will take my soul? " まったく 、 娘 の 腹 に 子 を 授けて 来た って 、 そんな もの は 三 月 の 節句 の 桃 酒 と 五 月 の 節句 の 菖蒲 ( しょうぶ ) 酒 と 、 九 月 の 節句 の 菊 酒 を 飲ま れたら 消えて 無くなる んだ よ 」   これ を 聞いた 母親 は 急いで 家 に 帰る と 、 さっそく 桃 酒 と 菖蒲 酒 と 菊 酒 を 娘 に 飲ま せて お腹 の 中 に いる ヘビ の 子 を 消した のです 。 |むすめ||はら||こ||さずけて|きた|||||みっ|つき||せっく||もも|さけ||いつ|つき||せっく||あやめ||さけ||ここの|つき||せっく||きく|さけ||のま||きえて|なくなる|||||きいた|ははおや||いそいで|いえ||かえる|||もも|さけ||あやめ|さけ||きく|さけ||むすめ||のま||おなか||なか|||へび||こ||けした| At all, I gave a child to my daughter's belly, and those things disappeared when I drank the peach liquor of the March festival, the iris sake of the May festival, and the chrysanthemum liquor of the September festival. When the mother heard this and went home in a hurry, she immediately gave her daughter peach liquor, iris liquor, and chrysanthemum liquor to erase the snake cub in her stomach.

そして それ が 言い伝え られて 、 女の子 は 三 月 と 五 月 と 九 月 の 節句 に 、 お 酒 を 飲む 様 に なった のです 。 |||いいつたえ||おんなのこ||みっ|つき||いつ|つき||ここの|つき||せっく|||さけ||のむ|さま||| And that was alleged that the girl began to drink alcohol during the March, May, and September festivals.

おしまい