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宇崎ちゃんは遊びたい!, 宇崎ちゃんは遊びたい!03

宇崎 ちゃん は 遊びたい!03

《 亜実 : 去年 から うち で

バイト して いる 桜井 真一 くん 。

目つき は ちょっと 怖い けど

真面目な 性格 と 勤務 態度 で

常連 客 から の 評判 も なかなか 。

そして なにより …。

いい 体して る わ …》

おっと っと …。

《 いい わ ぁ 桜井 くん

よく 見たら 結構 イケメン だし 。

細く 見えて

実は しっかり 筋肉 ついて る し 》

桜井 くん お 会計 お 願い 。

( 桜井 ) はい 。

《 本人 は

気付いて ない でしょう けど

結構 ファン も ついて る の よ 》

桜井 くん 背 高い ね 身長 いく つ ?

180 です 。

わ ぁ ~ 大きい !

なに か スポ ー ツ やって た の ?

高校 は 水泳 部 でした 。

(2 人 ) へ ぇ ~ そう な んだ !

《 水泳 部 ! おっしゃ ~!

ナイス 質問 マダム !

水泳 部 と か …。

もう 全部

見 られる じゃ ない そんな の 》

《 バイト し ながら

次々 情報 仕入れ られる の

ホント はかどる わ ぁ ~ ハァ ~》

( 亜紀 彦 ) 今日 は イマイチ

身 が 入って ない ね 亜実 。

えっ 。

考え 事 も 結構だ けど

今 は 仕事 の 最中 だ から ね 。

この 仕事 は 気 を つけて い ない と

いろんな もの を

見落として しまう よ 。

はい ごめんなさい 。

君 の 趣味 も わかる けど ね 。

ほら 今 空いた テ ー ブル 片づけて 。

はい 父さん 。

《 父さん

物腰 は 穏やかで 渋い けど

身内 に は 厳しい の よ ね ~

いけない いけない 。

せっかく 桜井 くん と

同じ シフト な のに 》

あっ 。

( ドア が 開く 音 )

( 宇崎 ) こんち わ ~ っす !

( 桜井 ) なんだ また 来た の か よ 。

暇だ な お前 。

そういう 先輩 こそ

日曜 まで バイト お 疲れ っす ね !

《 誰 ? 誰 ? 誰 ?》

いらっしゃい 花 ちゃん 。

《 父さん も 知って る 子 !?》

マスタ ー イェ ー イ !

イェ ー イ !

《 父さん … 渋 さ の カケラ も ない !》

( 亜紀 彦 ) ちょうど ピ ー ク 過ぎ で

お 客 さん い ない から

お 好きな 席 どうぞ 。

( 宇崎 ) は ~ い !

え ~ っと 誰 ちゃん ?

宇崎 です か ?

俺 ら と 同じ 大学 の 2 年生 です よ 。

えっ 大学生 な んだ ?

あっ そうだ 先輩

借りて た ゲ ー ム 返す っす !

( 桜井 ) お ぅ どう だった ?

《 貸し借り と かする んだ

仲 いい の ね 》

いや ぁ 終盤 激 アツ だった っす ね !

まったく の 異色 作 か と 思い きや

ある 意味 過去 作 の 続編 だった と

わかった とき は

鳥肌 ヤバ かった っす よ !

うん うん や っぱ そこ な !

俺 も 工作 ゲ ー だけ

遊べれば よかった んだ けど

まさか の 掘り出し物 だった から

これ は 布教 せ ねば と 思って 。

なに ? さっき から ずいぶん

仲 よ さ げ だ けど 。

《 これ は … まさか …》

《 あぁ … あの 2 人 は … フフッ 》

《 な に その 含み 笑い 》

( 亜紀 彦 ) いやいや 別に 。

ま ぁ とりあえず お 冷や 出して よ 。

いらっしゃい 。

あっ どうも っす 。

同じ 大学 なん だって ?

私 亜細 亜実 4 年生 よ 。

えっ そうなん す か ?

じゃ 先輩 の 先輩 っす ね !

マスタ ー これ ちょっと

カバン に 入れて き ます 。

うん 。

宇崎 花 っす 。

2 年生 っす !

《 あぁ … 近く で 見たら

この 子 すごく かわいい !

それ に この 人 懐っこい 笑顔 も

背 も 低い し どこ か 小 動物 的な …。

で っ ! 全然 小 動物 じゃ ない わ

うわ これ ! す っご これ !

猛獣 だ わ これ ! ハッ …

いかん いかん 気 を 取り 直して 》

桜井 くん と は

ずいぶん 仲 よ さ そう ね ?

えっ あぁ そう っす ね 。

どの くらい の つきあい な の ?

高校 の 部活 で 一緒だった っす 。

《 そう いえば 宇崎 の テ ー ブル の 水

だいぶ 減って たな 》

会った とき から

目つき が 悪くて ネクラ で 。

近寄り がたい 人だった ん す けど ね 。

大学 でも その 性格

直って なかった みたいな んで

すぐ ぼ っち に なろう と する から

私 が 構って あげて る ん すよ 。

へ ぇ なるほど なるほど 。

へ っ ?

じゃあ 注文 決まったら

呼んで ね 花 ちゃん 。

う っす 。

どう だった ?

良 さ み が すごい 。

2 人 に ちょっか い

かけ たく なる ような 。

周囲 が 手 を 出して は

いけない ような …。

とにかく 2 人 を

見守って い たく なる だろう ?

わかる !

接客 業 って いい だろう ?

あの 2 人 を はじめ

いろんな 人 の 人生 を

眺めて い られる 。

この 仕事 の 醍醐味 だ よ 。

あっ …。

宇崎 水 …。

わ っ !

(2 人 ) 冷た ~ い !

う っ なんで 急に 出て くる ん す か !

こ こっち の セリフ だ !

客 は おとなしく

座って りゃ いい んだ よ !

持って って やった のに ~。

なん す か 先輩 ! この 間 は

客 扱い し なかった くせ に ~!

うる せ ぇ !

《 ほら 見て る だけ で

おもしろい だろう ?》

《 ホント 今度 から もっと シフト 入ろう 》

( 亜紀 彦 ) あぁ

タオル 持って って あげて 。

( 桜井 ) ハ … ハ … ハクション !

えっ ! 先輩

風邪 ひいて 休んで る んです か !?

桜井 くん から 今朝 電話 で 聞いて ね

休ま せた んだ よ 。

昨日 は 氷 水 も かぶった し

夜 は 急に 気温 も 下がった しね 。

な ~ んだ 。

ふだん 自分 は 鍛えて ます から って

顔 して る くせ に 。

先輩 も 案外 ヤワ です ねぇ 。

《2 人 : むしろ なんで この 子 は

風邪 ひいて ない んだろう 》

そういう こと なら マスタ ー !

( 桜井 ) う ぅ …。

完全に やられた …。

風邪 って こんなに

きつかった っけ ?

病院 ? まず 薬 か …。

あ … 先 に 食い物 入れ なきゃ 。

って か 動け ん … どう しよう 。

( 玄関 チャイム )

( 玄関 チャイム )

うる せ ぇな ! 誰 だ クソ …。

( 玄関 チャイム )

こっち は

起き上がる の も つらい のに 。

こんち は !

先輩 風邪 って マジ っす か !?

お 見舞い に 来て あげ ました よ !

う 宇崎 。

お前 … なんで 俺 の 家 …。

う ぅ …。

あっ 。

う ぅ …。

えっ ! 先輩 大丈夫 っす か !?

ちょ っ … 先輩 !

ハァ … ハァ …。

風邪 きつ そう っす ね 。

あぁ …。

《 とうとう コイツ を

部屋 に 上げて しまった 。

誰 だ ? 俺 の 部屋 教えた の 》

えっ ? だめだった ?

《 う ~ ん …

先輩 の 家 わかった ついで に

ゲ ー ム と かして

遊ぼう と 思って た のに

完全に テンション 間違えた 。

結構 ガチ に しんど そうだ し

体力 自慢 の 先輩 が

寝込む なんて 相当 か …》

う ぅ … ハァ …。

よし 。

先輩 病院 は 行き ました ?

いや 動け なくて 。

薬 は ?

まだ … そもそも 買って ないし 。

じゃあ ごはん も ま だっす ね 。

しかたない 私 に 任せる っす !

あぁ …。

うわ ぁ …。

《 先輩 の 症状 だ と こっち か な 》

《 風邪 なら や っぱ ネギ っ しょ 》

う ぅ … う ぅ …。

先輩 起き られ ます ?

う … あぁ …。

だったら 食べて ください

ちょっと で も いい っす から 。

お っ …。

ホント 大 仕事 でした よ 。

冷蔵 庫 空っぽだ し

台所 は 使い にくい し 。

はい 先輩 ア ー ン して 。

いや … 自分 で 食う から 。

フ ー ッ フ ー ッ 。

やめろ って !

うまい …。

でしょ ~!

いや … 正直 今

味 は よく わかん ねえ けど

たぶん うまい 。

「 たぶん 」 か …。

ま ぁ いい や 。

すま ん 。

ねっ 食える もん 作れる でしょう 。

すま ん …。

食ったら あった まった な ~。

ちゃんと 汗 も かいた っす ね 。

じゃあ 先輩 …。

あっ 。

脱ぐ っす !

断る 。

だめ っす !

体 拭いて 着替える っす !

って か 汗 くせ ぇん すよ !

い いって !

もう 薬 飲んで 寝る から !

え ぇい !

病人 が 逆らう んじゃ ね えっ すよ !

あっ やめ … ああ っ !

いい 肌 してん じゃ ねえ っす か

兄ちゃん よ ぉ 。

優しく して やっ から よ ~。

変な 小 芝居 やめろ 。

照れ ない 照れ ない 。

う お っ !

半 裸 なんて 部活 で

見せ 慣れて る じゃ ない っす か 。

前 は 自分 で やる から ~! ~ なんで 俺 は

看病 さ れて 疲れて んだ ?

先輩 薬 っす 。 これ 飲んだら

明日 の 朝 に は バッチリ っす よ 。

あぁ …。

でも 明日 も しんどかったら

ちゃんと 病院 行って ください ね 。

わかった …。

あぁ … もう こんな 時間 か …。

もう 帰って いい ぞ

俺 は 大丈夫だ から 。

先輩 が 眠ったら 帰る っす 。

カギ は ドアポスト に 入れ とき ます から

安心 して 寝て ください よ 。

なにも そこ まで …。

いい っす から 。

その 間 私 は ゲ ー ム して ます から 。

まったく …。

弱った ついで に 言 っと く 。

今日 は ホント に 助かった よ

あり が と な 。

な に 言って ん すか

私 と 先輩 の 仲 じゃ ない っす か 。

先輩 ! 先輩 !

この ハサミハゲ

どう やったら 倒 せる ん す か !?

刀 当たったら

盾 が 爆発 する ん すよ !

ゲ ー ム 本体 ごと 貸して やる から

帰って くれ …。

う お ぉ ! 負けた まま 帰れ ねえ !

いい から 寝か せろ ~!

桜井 く ~ ん !

あっ 。

亜実 さん 。

風邪 は もう いい の ?

おかげ さま で 。

すみません

シフト 代わって もらっちゃ って 。

いい の よ

昨日 は ちょうど あいて たし 。

じゃあ 昨日 の お返し に

俺 ど っか の シフト に 入り ましょう か 。

何 か お 礼 し ない と 。

だったら …。

花 ちゃん 呼べる かな ?

ん っ ? 宇崎 っす か ?

( 亜実 ) それでは

桜井 くん の 快復 を お 祝い して 。

かんぱ ~ い !

( 宇崎 / 亜紀 彦 ) かんぱ ~ い !

どうも …。

《 快復 祝い が 焼き肉 … 重い …》

さ ぁ 食べ 放題 だ し 私 が 焼く から

先輩 は どんどん 食う っす よ !

タン 塩 ロ ー ス ミノ ハラミ !

ちょ ちょ ちょっと の せ 過ぎ 。

カルビ ! マルシン ! リブロ ー ス !

ゆっくり 食わせろ !

アハハハ !

《 テンション 高い わ ね 》

《 よっぽど うれしい みたいだ ね

桜井 くん が 元気に なった の が 》

いい 飲み っぷり っす ね ~。

ビ ー ル と か お 酒 って

そんなに おいし い ん す か ?

え ぇ いい 肴 が ある と 特に ね 。

花 ちゃん も 二十 歳 に なったら

飲み に いこう か 。

やった ~! そう と 決まったら

どんどん 食う っす よ 先輩 !

だから ~!

アハハハ !

じゃあ ちょっと お 手洗 いっす 。

元気に なって よかった ね

桜井 くん 。

あっ 昨日 は すみ ませ ん でした

休ま せて もらって 。

いやいや 。

それ より 花 ちゃん に

看病 して もらって よかった ねぇ 。

やっぱり … マスタ ー が

俺 の 家 教えた んです ね 。

で … どう だった ?

どう って …。

って … 希少 部位 の 肉 の せ ながら

圧力 かける の やめて ください 。

言 っと き ます けど 俺 と 宇崎 は

そういう ん じゃ なくて

俺 は 静かな 一 人 暮らし を

楽しみ たい から

なるべく 人 を

家 に 呼び たく ない だけ で

それ こそ 宇崎 は

静けさ と は 真 逆の 存在 だし …。

ネクラ か !

ネクラ ね !

そういう とこ だ ぞ 桜井 くん 。

いい じゃ ないで す か !

《2 人 と も だいぶ 飲んで る な 》

それ に …。

アイツ は 気 を 許した 後輩 でも

や っぱ 女 です から 。

俺 の 家 に よく 行って る なんて

学校 で うわさ さ れたら

アイツ に 無用な 迷惑 かける し 。

家 から 学校 も 近い し

誰 に 見 られる と も 限ら ない し 。

《2 人 : こ こじら せて る 》

《 うすうす 感づいて いた が

これほど と は … めん どく さ 》

《 めちゃくちゃ 意識 して る くせ に

意識 して る くせ に ~》

《 父さん 》

《 あぁ …。

これ は ほうっておいた ほう が

おいしく なる やつ だ 。

コ ー ヒ ー と 同じだ よ 亜実

じっくり 焙 煎 じっくり 抽出 。

今 は まだ 辛抱強く

2 人 を 見守ろう 》

《 え ぇ 旨味 と 深み が 出る まで 》

《2 人 : フッフッフ …》

みんな で なん の 話して たんす か ?

( 桜井 ) えっ えっ と …。

( 亜紀 彦 ) あぁ

明日 の 仕事 の こと で ね 。

( 亜実 ) そうそう !

そ っす か 。

( 亜実 ) 明日 豆 と か

重たい 荷物 が 届く から

桜井 くん 少し 早 めに 来て くれる ?

あぁ オ ー ケ ー で すよ 亜実 さん 。

ハッ 。

ありがとう !

男 手 が 増える と ホント 助かる わ ~。

でも 今 まで どうして たん です か ?

マスタ ー と 亜実 さん だけ の とき って 。

( 亜実 ) う ~ ん 気合い かな 。

気合い って …。

ん っ どうした 宇崎 ?

先輩 。

亜実 さん は 下 の 名前 で 呼ぶ ん すね 。

(2 人 ) ハッ 。

は ぁ ?

そりゃ 苗 字 だ と

マスタ ー と ご っちゃ に なる から だ ろ 。

フ ー ン … ま ぁい いっす けど ね 。

フ ー ン …。

あっ それ 俺 が 大事に 焼いて た 肉 。

ちょ … おい …。

えっ ちょっと … 宇崎 さん !?

《2 人 : あ ~ 銀 シャリ が 進む ~》

( チャイム )

《 こんな とこ に 呼び出して

なんの 用 だ ? 宇崎 の ヤツ 。

そう いえば 焼き肉 の 途中 から

様子 が 変だった けど

なんか 俺 機嫌 を

悪く する ような こと した っけ ?》

あっ 。

先輩 。

えっ ?

えっ ?

この 5 円 玉 を じっと 見て ください 。

あなた は だんだん

意識 が 遠く な ~ る 遠く な ~ る 。

《 催眠 術 ? なん の つもりだ コイツ

ふざけ や が って 》

先輩 は 私 の 言いなり に な ~ る

言いなり に な ~ る 。

《 何 が 狙い か わから ん が

コイツ に は この 前

看病 して もらった し …。

し ゃあ ない つきあって やる か 》

あ ~ なんか 眠く なって きた ぞ ~。

やった ! や っぱ 催眠 術 って

単純な 人 の ほう が

かかり やすい ん すね !

《 誰 が 単純だ コノヤロウ 》

よし ! じゃあ 先輩 !

《 やれやれ 。

ムチャ な こと じゃ なきゃ いい けど 》

下 の 名前 で 呼んで ください !

《 はっ ? そん だけ ?

そんな こと で わざわざ 催眠 術 を ?

なんか 期待 さ れて る し …

しかた ねえ な 》

は … は … は …。

「 は 」?

《 ん っ … なんか こ っ 恥ずかしい 》

は … は に 。

はっ ? 違う っす よ 。

は ぬ 。

違う 。

はね 。

じゃ なくて 。

は の 。

わざと っす か !?

《 く ~ っ … もう !》

はな …。

わ ぁ !

もう 1 回 !

はな 。

もう 1 回 。

はな 。

よっ しゃ ~ もう 1 回 !

はな …。

もう 1 回 !

《 バカップル ね 》

《 バカップル だ 》

《 バカップル よ 》

は ぁ … こんな もん す かね

ま ぁ おおむね 満足 っす 。

しかし こんなに うまく いく と は

私 催眠 術 の 才能 あった ん す かね ?

《 ねえ よ 。 でも なんか 知ら ん が

こんな こと で 喜ぶ ん なら …》

よし ! 次 は 。

《 次 ?》

ジュ ー ス でも

おごって もらい ましょう か ね 。

はい …。

コンビニ で アイス 買って ください 。

おい コラ …。

学 食 の ランチ も

おごって もらおう かな ~。

調子 に …。

あっ ついでに 新型 の VR 機器 を …。

調子 に 乗 んな !

イタッ !

催眠 かかった フリ と は 卑怯 な 。

催眠 かけて 物 ねだる ヤツ が 言う な !

何 が し たい んだ お前 は !

だって … 亜実 さん だって

下 の 名前 で

呼んで た じゃ ない っす か 。

えっ …。

私 だって いいかげん

つきあい が 長い のに

「 おい 」 と か 「 コラ 」 と か

扱い が ぞんざいじゃ ない っす か 。

そ っか … 俺 気付か ない うち に

お前 を 不愉快に さ せて た んだ な 。

謝る よ … ごめん 。

あっ 。

でも … 女子 を

下 の 名前 で 呼ぶ の は その …。

抵抗 が ある んだ 。

亜実 さん に は 仕事 だ から

そう 呼べ って 言わ れて

頑張って る けど …

そこ だけ は 勘弁 して くれ 。

じゃあ いい っす 。

ネクラ の 先輩 に 無理 さ せる の も

かわいそうだ し 。

クッ … あり が とよ 。

しかし 今どき

5 円 玉 の 催眠 術 なんて な 。

こんな の 効く わけ ねえ だ ろ なぁ ?

ポワ ー ン …。

効いて る !? ウソ だ ろ お前 !

耐性 ゼロ かよ おい ! おい コラ !

ポヨ ー ン …。

戻し 方 !

戻し 方 どこ に 載って んだ よ !

宇崎 ~ っ !

《 宇崎 空 に 浮き ます 》

( 亜実 ) 効か ない わ ね 。

だから 言った じゃ ない っす か

催眠 術 なんか かかって ない って 。

覚えて ない の が マジ で 怖い 。

かかって ない っす よ 全然 。

私 に 催眠 かけ られたら

大した もん すよ 。

なんで ちょっと キレ 気味な んだ よ 。

( 宇崎 ) だ から キレ て ない っす よ 。

《 父さん これ って …》

《 あぁ 。

催眠 術 は 相手 を 信用 して い ない と

かから ない もの だ そうだ 。

つまり この 2 人 は …》

《 そういう こと

なん でしょう けど 》

《2 人 : おもしろい から 言わ ない 》

( 宇崎 ) 私 キレ さ せたら

大した もん っす よ 。

( 桜井 ) 思って たより ヘタ !


宇崎 ちゃん は 遊びたい!03 うざき|||あそびたい Uzaki wants to play! 03

《 亜実 : 去年 から うち で あみ|きょねん|||

バイト して いる 桜井 真一 くん 。 |||さくらい|しんいち|

目つき は ちょっと 怖い けど めつき|||こわい|

真面目な 性格 と 勤務 態度 で まじめな|せいかく||きんむ|たいど|

常連 客 から の 評判 も なかなか 。 じょうれん|きゃく|||ひょうばん||

そして なにより …。

いい 体して る わ …》 |たいして||

おっと っと …。

《 いい わ ぁ 桜井 くん |||さくらい|

よく 見たら 結構 イケメン だし 。 |みたら|けっこう||

細く 見えて ほそく|みえて

実は しっかり 筋肉 ついて る し 》 じつは||きんにく|||

桜井 くん お 会計 お 願い 。 さくらい|||かいけい||ねがい

( 桜井 ) はい 。 さくらい|

《 本人 は ほんにん|

気付いて ない でしょう けど きづいて|||

結構 ファン も ついて る の よ 》 けっこう||||||

桜井 くん 背 高い ね 身長 いく つ ? さくらい||せ|たかい||しんちょう||

180 です 。

わ ぁ ~ 大きい ! ||おおきい

なに か スポ ー ツ やって た の ?

高校 は 水泳 部 でした 。 こうこう||すいえい|ぶ|

(2 人 ) へ ぇ ~ そう な んだ ! じん|||||

《 水泳 部 ! おっしゃ ~! すいえい|ぶ|

ナイス 質問 マダム ! |しつもん|

水泳 部 と か …。 すいえい|ぶ||

もう 全部 |ぜんぶ

見 られる じゃ ない そんな の 》 み|||||

《 バイト し ながら

次々 情報 仕入れ られる の つぎつぎ|じょうほう|しいれ||

ホント はかどる わ ぁ ~ ハァ ~》

( 亜紀 彦 ) 今日 は イマイチ あき|ひこ|きょう||

身 が 入って ない ね 亜実 。 み||はいって|||あみ

えっ 。

考え 事 も 結構だ けど かんがえ|こと||けっこうだ|

今 は 仕事 の 最中 だ から ね 。 いま||しごと||さい なか|||

この 仕事 は 気 を つけて い ない と |しごと||き|||||

いろんな もの を

見落として しまう よ 。 みおとして||

はい ごめんなさい 。

君 の 趣味 も わかる けど ね 。 きみ||しゅみ||||

ほら 今 空いた テ ー ブル 片づけて 。 |いま|あいた||||かたづけて

はい 父さん 。 |とうさん

《 父さん とうさん

物腰 は 穏やかで 渋い けど ものごし||おだやかで|しぶい|

身内 に は 厳しい の よ ね ~ みうち|||きびしい|||

いけない いけない 。

せっかく 桜井 くん と |さくらい||

同じ シフト な のに 》 おなじ|||

あっ 。

( ドア が 開く 音 ) ||あく|おと

( 宇崎 ) こんち わ ~ っす ! うざき|||

( 桜井 ) なんだ また 来た の か よ 。 さくらい|||きた|||

暇だ な お前 。 ひまだ||おまえ

そういう 先輩 こそ |せんぱい|

日曜 まで バイト お 疲れ っす ね ! にちよう||||つかれ||

《 誰 ? 誰 ? 誰 ?》 だれ|だれ|だれ

いらっしゃい 花 ちゃん 。 |か|

《 父さん も 知って る 子 !?》 とうさん||しって||こ

マスタ ー イェ ー イ !

イェ ー イ !

《 父さん … 渋 さ の カケラ も ない !》 とうさん|しぶ|||||

( 亜紀 彦 ) ちょうど ピ ー ク 過ぎ で あき|ひこ|||||すぎ|

お 客 さん い ない から |きゃく||||

お 好きな 席 どうぞ 。 |すきな|せき|

( 宇崎 ) は ~ い ! うざき||

え ~ っと 誰 ちゃん ? ||だれ|

宇崎 です か ? うざき||

俺 ら と 同じ 大学 の 2 年生 です よ 。 おれ|||おなじ|だいがく||ねんせい||

えっ 大学生 な んだ ? |だいがくせい||

あっ そうだ 先輩 |そう だ|せんぱい

借りて た ゲ ー ム 返す っす ! かりて|||||かえす|

( 桜井 ) お ぅ どう だった ? さくらい||||

《 貸し借り と かする んだ かしかり|||

仲 いい の ね 》 なか|||

いや ぁ 終盤 激 アツ だった っす ね ! ||しゅうばん|げき||||

まったく の 異色 作 か と 思い きや ||いしょく|さく|||おもい|

ある 意味 過去 作 の 続編 だった と |いみ|かこ|さく||ぞくへん||

わかった とき は

鳥肌 ヤバ かった っす よ ! とりはだ||||

うん うん や っぱ そこ な !

俺 も 工作 ゲ ー だけ おれ||こうさく|||

遊べれば よかった んだ けど あそべれば|||

まさか の 掘り出し物 だった から ||ほりだしもの||

これ は 布教 せ ねば と 思って 。 ||ふきょう||||おもって

なに ? さっき から ずいぶん

仲 よ さ げ だ けど 。 なか|||||

《 これ は … まさか …》

《 あぁ … あの 2 人 は … フフッ 》 ||じん||

《 な に その 含み 笑い 》 |||ふくみ|わらい

( 亜紀 彦 ) いやいや 別に 。 あき|ひこ||べつに

ま ぁ とりあえず お 冷や 出して よ 。 ||||ひや|だして|

いらっしゃい 。

あっ どうも っす 。

同じ 大学 なん だって ? おなじ|だいがく||

私 亜細 亜実 4 年生 よ 。 わたくし|あさい|あみ|ねんせい|

えっ そうなん す か ? |そう な ん||

じゃ 先輩 の 先輩 っす ね ! |せんぱい||せんぱい||

マスタ ー これ ちょっと

カバン に 入れて き ます 。 ||いれて||

うん 。

宇崎 花 っす 。 うざき|か|

2 年生 っす ! ねんせい|

《 あぁ … 近く で 見たら |ちかく||みたら

この 子 すごく かわいい ! |こ||

それ に この 人 懐っこい 笑顔 も |||じん|なつっこい|えがお|

背 も 低い し どこ か 小 動物 的な …。 せ||ひくい||||しょう|どうぶつ|てきな

で っ ! 全然 小 動物 じゃ ない わ ||ぜんぜん|しょう|どうぶつ|||

うわ これ ! す っご これ !

猛獣 だ わ これ ! ハッ … もうじゅう||||

いかん いかん 気 を 取り 直して 》 ||き||とり|なおして

桜井 くん と は さくらい|||

ずいぶん 仲 よ さ そう ね ? |なか||||

えっ あぁ そう っす ね 。

どの くらい の つきあい な の ?

高校 の 部活 で 一緒だった っす 。 こうこう||ぶかつ||いっしょだった|

《 そう いえば 宇崎 の テ ー ブル の 水 ||うざき||||||すい

だいぶ 減って たな 》 |へって|

会った とき から あった||

目つき が 悪くて ネクラ で 。 めつき||わるくて||

近寄り がたい 人だった ん す けど ね 。 ちかより||ひとだった||||

大学 でも その 性格 だいがく|||せいかく

直って なかった みたいな んで なおって|||

すぐ ぼ っち に なろう と する から

私 が 構って あげて る ん すよ 。 わたくし||かまって||||

へ ぇ なるほど なるほど 。

へ っ ?

じゃあ 注文 決まったら |ちゅうもん|きまったら

呼んで ね 花 ちゃん 。 よんで||か|

う っす 。

どう だった ?

良 さ み が すごい 。 よ||||

2 人 に ちょっか い じん|||

かけ たく なる ような 。

周囲 が 手 を 出して は しゅうい||て||だして|

いけない ような …。

とにかく 2 人 を |じん|

見守って い たく なる だろう ? みまもって||||

わかる !

接客 業 って いい だろう ? せっきゃく|ぎょう|||

あの 2 人 を はじめ |じん||

いろんな 人 の 人生 を |じん||じんせい|

眺めて い られる 。 ながめて||

この 仕事 の 醍醐味 だ よ 。 |しごと||だいごみ||

あっ …。

宇崎 水 …。 うざき|すい

わ っ !

(2 人 ) 冷た ~ い ! じん|つめた|

う っ なんで 急に 出て くる ん す か ! |||きゅうに|でて||||

こ こっち の セリフ だ !

客 は おとなしく きゃく||

座って りゃ いい んだ よ ! すわって||||

持って って やった のに ~。 もって|||

なん す か 先輩 ! この 間 は |||せんぱい||あいだ|

客 扱い し なかった くせ に ~! きゃく|あつかい||||

うる せ ぇ !

《 ほら 見て る だけ で |みて|||

おもしろい だろう ?》

《 ホント 今度 から もっと シフト 入ろう 》 |こんど||||はいろう

( 亜紀 彦 ) あぁ あき|ひこ|

タオル 持って って あげて 。 |もって||

( 桜井 ) ハ … ハ … ハクション ! さくらい|||

えっ ! 先輩 |せんぱい

風邪 ひいて 休んで る んです か !? かぜ||やすんで||ん です|

桜井 くん から 今朝 電話 で 聞いて ね さくらい|||けさ|でんわ||きいて|

休ま せた んだ よ 。 やすま|||

昨日 は 氷 水 も かぶった し きのう||こおり|すい|||

夜 は 急に 気温 も 下がった しね 。 よ||きゅうに|きおん||さがった|

な ~ んだ 。

ふだん 自分 は 鍛えて ます から って |じぶん||きたえて|||

顔 して る くせ に 。 かお||||

先輩 も 案外 ヤワ です ねぇ 。 せんぱい||あんがい|||

《2 人 : むしろ なんで この 子 は じん||||こ|

風邪 ひいて ない んだろう 》 かぜ|||

そういう こと なら マスタ ー !

( 桜井 ) う ぅ …。 さくらい||

完全に やられた …。 かんぜんに|

風邪 って こんなに かぜ||

きつかった っけ ?

病院 ? まず 薬 か …。 びょういん||くすり|

あ … 先 に 食い物 入れ なきゃ 。 |さき||くいもの|いれ|

って か 動け ん … どう しよう 。 ||うごけ|||

( 玄関 チャイム ) げんかん|

( 玄関 チャイム ) げんかん|

うる せ ぇな ! 誰 だ クソ …。 |||だれ||

( 玄関 チャイム ) げんかん|

こっち は

起き上がる の も つらい のに 。 おきあがる||||

こんち は !

先輩 風邪 って マジ っす か !? せんぱい|かぜ||||

お 見舞い に 来て あげ ました よ ! |みまい||きて|||

う 宇崎 。 |うざき

お前 … なんで 俺 の 家 …。 おまえ||おれ||いえ

う ぅ …。

あっ 。

う ぅ …。

えっ ! 先輩 大丈夫 っす か !? |せんぱい|だいじょうぶ||

ちょ っ … 先輩 ! ||せんぱい

ハァ … ハァ …。

風邪 きつ そう っす ね 。 かぜ||||

あぁ …。

《 とうとう コイツ を

部屋 に 上げて しまった 。 へや||あげて|

誰 だ ? 俺 の 部屋 教えた の 》 だれ||おれ||へや|おしえた|

えっ ? だめだった ?

《 う ~ ん …

先輩 の 家 わかった ついで に せんぱい||いえ|||

ゲ ー ム と かして

遊ぼう と 思って た のに あそぼう||おもって||

完全に テンション 間違えた 。 かんぜんに||まちがえた

結構 ガチ に しんど そうだ し けっこう||||そう だ|

体力 自慢 の 先輩 が たいりょく|じまん||せんぱい|

寝込む なんて 相当 か …》 ねこむ||そうとう|

う ぅ … ハァ …。

よし 。

先輩 病院 は 行き ました ? せんぱい|びょういん||いき|

いや 動け なくて 。 |うごけ|

薬 は ? くすり|

まだ … そもそも 買って ないし 。 ||かって|

じゃあ ごはん も ま だっす ね 。

しかたない 私 に 任せる っす ! |わたくし||まかせる|

あぁ …。

うわ ぁ …。

《 先輩 の 症状 だ と こっち か な 》 せんぱい||しょうじょう|||||

《 風邪 なら や っぱ ネギ っ しょ 》 かぜ||||||

う ぅ … う ぅ …。

先輩 起き られ ます ? せんぱい|おき||

う … あぁ …。

だったら 食べて ください |たべて|

ちょっと で も いい っす から 。

お っ …。

ホント 大 仕事 でした よ 。 |だい|しごと||

冷蔵 庫 空っぽだ し れいぞう|こ|からっぽだ|

台所 は 使い にくい し 。 だいどころ||つかい||

はい 先輩 ア ー ン して 。 |せんぱい||||

いや … 自分 で 食う から 。 |じぶん||くう|

フ ー ッ フ ー ッ 。

やめろ って !

うまい …。

でしょ ~!

いや … 正直 今 |しょうじき|いま

味 は よく わかん ねえ けど あじ|||||

たぶん うまい 。

「 たぶん 」 か …。

ま ぁ いい や 。

すま ん 。

ねっ 食える もん 作れる でしょう 。 |くえる||つくれる|

すま ん …。

食ったら あった まった な ~。 くったら|||

ちゃんと 汗 も かいた っす ね 。 |あせ||||

じゃあ 先輩 …。 |せんぱい

あっ 。

脱ぐ っす ! ぬぐ|

断る 。 ことわる

だめ っす !

体 拭いて 着替える っす ! からだ|ふいて|きがえる|

って か 汗 くせ ぇん すよ ! ||あせ|||

い いって !

もう 薬 飲んで 寝る から ! |くすり|のんで|ねる|

え ぇい !

病人 が 逆らう んじゃ ね えっ すよ ! びょうにん||さからう||||

あっ やめ … ああ っ !

いい 肌 してん じゃ ねえ っす か |はだ|||||

兄ちゃん よ ぉ 。 にいちゃん||

優しく して やっ から よ ~。 やさしく||||

変な 小 芝居 やめろ 。 へんな|しょう|しばい|

照れ ない 照れ ない 。 てれ||てれ|

う お っ !

半 裸 なんて 部活 で はん|はだか||ぶかつ|

見せ 慣れて る じゃ ない っす か 。 みせ|なれて|||||

前 は 自分 で やる から ~! ~ ぜん||じぶん||| なんで 俺 は |おれ|

看病 さ れて 疲れて んだ ? かんびょう|||つかれて|

先輩 薬 っす 。 これ 飲んだら せんぱい|くすり|||のんだら

明日 の 朝 に は バッチリ っす よ 。 あした||あさ|||||

あぁ …。

でも 明日 も しんどかったら |あした||

ちゃんと 病院 行って ください ね 。 |びょういん|おこなって||

わかった …。

あぁ … もう こんな 時間 か …。 |||じかん|

もう 帰って いい ぞ |かえって||

俺 は 大丈夫だ から 。 おれ||だいじょうぶだ|

先輩 が 眠ったら 帰る っす 。 せんぱい||ねむったら|かえる|

カギ は ドアポスト に 入れ とき ます から ||||いれ|||

安心 して 寝て ください よ 。 あんしん||ねて||

なにも そこ まで …。

いい っす から 。

その 間 私 は ゲ ー ム して ます から 。 |あいだ|わたくし|||||||

まったく …。

弱った ついで に 言 っと く 。 よわった|||げん||

今日 は ホント に 助かった よ きょう||||たすかった|

あり が と な 。

な に 言って ん すか ||いって||

私 と 先輩 の 仲 じゃ ない っす か 。 わたくし||せんぱい||なか||||

先輩 ! 先輩 ! せんぱい|せんぱい

この ハサミハゲ

どう やったら 倒 せる ん す か !? ||たお||||

刀 当たったら かたな|あたったら

盾 が 爆発 する ん すよ ! たて||ばくはつ|||

ゲ ー ム 本体 ごと 貸して やる から |||ほんたい||かして||

帰って くれ …。 かえって|

う お ぉ ! 負けた まま 帰れ ねえ ! |||まけた||かえれ|

いい から 寝か せろ ~! ||ねか|

桜井 く ~ ん ! さくらい||

あっ 。

亜実 さん 。 あみ|

風邪 は もう いい の ? かぜ||||

おかげ さま で 。

すみません

シフト 代わって もらっちゃ って 。 |かわって||

いい の よ

昨日 は ちょうど あいて たし 。 きのう||||

じゃあ 昨日 の お返し に |きのう||おかえし|

俺 ど っか の シフト に 入り ましょう か 。 おれ||||||はいり||

何 か お 礼 し ない と 。 なん|||れい|||

だったら …。

花 ちゃん 呼べる かな ? か||よべる|

ん っ ? 宇崎 っす か ? ||うざき||

( 亜実 ) それでは あみ|

桜井 くん の 快復 を お 祝い して 。 さくらい|||かいふく|||いわい|

かんぱ ~ い !

( 宇崎 / 亜紀 彦 ) かんぱ ~ い ! うざき|あき|ひこ||

どうも …。

《 快復 祝い が 焼き肉 … 重い …》 かいふく|いわい||やきにく|おもい

さ ぁ 食べ 放題 だ し 私 が 焼く から ||たべ|ほうだい|||わたくし||やく|

先輩 は どんどん 食う っす よ ! せんぱい|||くう||

タン 塩 ロ ー ス ミノ ハラミ ! |しお|||||

ちょ ちょ ちょっと の せ 過ぎ 。 |||||すぎ

カルビ ! マルシン ! リブロ ー ス !

ゆっくり 食わせろ ! |くわせろ

アハハハ !

《 テンション 高い わ ね 》 |たかい||

《 よっぽど うれしい みたいだ ね

桜井 くん が 元気に なった の が 》 さくらい|||げんきに|||

いい 飲み っぷり っす ね ~。 |のみ|||

ビ ー ル と か お 酒 って ||||||さけ|

そんなに おいし い ん す か ?

え ぇ いい 肴 が ある と 特に ね 。 |||さかな||||とくに|

花 ちゃん も 二十 歳 に なったら か|||にじゅう|さい||

飲み に いこう か 。 のみ|||

やった ~! そう と 決まったら |||きまったら

どんどん 食う っす よ 先輩 ! |くう|||せんぱい

だから ~!

アハハハ !

じゃあ ちょっと お 手洗 いっす 。 |||てあらい|

元気に なって よかった ね げんきに|||

桜井 くん 。 さくらい|

あっ 昨日 は すみ ませ ん でした |きのう|||||

休ま せて もらって 。 やすま||

いやいや 。

それ より 花 ちゃん に ||か||

看病 して もらって よかった ねぇ 。 かんびょう||||

やっぱり … マスタ ー が

俺 の 家 教えた んです ね 。 おれ||いえ|おしえた|ん です|

で … どう だった ?

どう って …。

って … 希少 部位 の 肉 の せ ながら |きしょう|ぶい||にく|||

圧力 かける の やめて ください 。 あつりょく||||

言 っと き ます けど 俺 と 宇崎 は げん|||||おれ||うざき|

そういう ん じゃ なくて

俺 は 静かな 一 人 暮らし を おれ||しずかな|ひと|じん|くらし|

楽しみ たい から たのしみ||

なるべく 人 を |じん|

家 に 呼び たく ない だけ で いえ||よび||||

それ こそ 宇崎 は ||うざき|

静けさ と は 真 逆の 存在 だし …。 しずけさ|||まこと|ぎゃくの|そんざい|

ネクラ か !

ネクラ ね !

そういう とこ だ ぞ 桜井 くん 。 ||||さくらい|

いい じゃ ないで す か !

《2 人 と も だいぶ 飲んで る な 》 じん||||のんで||

それ に …。

アイツ は 気 を 許した 後輩 でも ||き||ゆるした|こうはい|

や っぱ 女 です から 。 ||おんな||

俺 の 家 に よく 行って る なんて おれ||いえ|||おこなって||

学校 で うわさ さ れたら がっこう||||

アイツ に 無用な 迷惑 かける し 。 ||むような|めいわく||

家 から 学校 も 近い し いえ||がっこう||ちかい|

誰 に 見 られる と も 限ら ない し 。 だれ||み||||かぎら||

《2 人 : こ こじら せて る 》 じん||||

《 うすうす 感づいて いた が |かんづいて||

これほど と は … めん どく さ 》

《 めちゃくちゃ 意識 して る くせ に |いしき||||

意識 して る くせ に ~》 いしき||||

《 父さん 》 とうさん

《 あぁ …。

これ は ほうっておいた ほう が

おいしく なる やつ だ 。

コ ー ヒ ー と 同じだ よ 亜実 |||||おなじだ||あみ

じっくり 焙 煎 じっくり 抽出 。 |あぶ|い||ちゅうしゅつ

今 は まだ 辛抱強く いま|||しんぼうづよく

2 人 を 見守ろう 》 じん||みまもろう

《 え ぇ 旨味 と 深み が 出る まで 》 ||うまみ||ふかみ||でる|

《2 人 : フッフッフ …》 じん|

みんな で なん の 話して たんす か ? ||||はなして||

( 桜井 ) えっ えっ と …。 さくらい|||

( 亜紀 彦 ) あぁ あき|ひこ|

明日 の 仕事 の こと で ね 。 あした||しごと||||

( 亜実 ) そうそう ! あみ|そう そう

そ っす か 。

( 亜実 ) 明日 豆 と か あみ|あした|まめ||

重たい 荷物 が 届く から おもたい|にもつ||とどく|

桜井 くん 少し 早 めに 来て くれる ? さくらい||すこし|はや||きて|

あぁ オ ー ケ ー で すよ 亜実 さん 。 |||||||あみ|

ハッ 。

ありがとう !

男 手 が 増える と ホント 助かる わ ~。 おとこ|て||ふえる|||たすかる|

でも 今 まで どうして たん です か ? |いま|||||

マスタ ー と 亜実 さん だけ の とき って 。 |||あみ|||||

( 亜実 ) う ~ ん 気合い かな 。 あみ|||きあい|

気合い って …。 きあい|

ん っ どうした 宇崎 ? |||うざき

先輩 。 せんぱい

亜実 さん は 下 の 名前 で 呼ぶ ん すね 。 あみ|||した||なまえ||よぶ||

(2 人 ) ハッ 。 じん|

は ぁ ?

そりゃ 苗 字 だ と |なえ|あざ||

マスタ ー と ご っちゃ に なる から だ ろ 。

フ ー ン … ま ぁい いっす けど ね 。

フ ー ン …。

あっ それ 俺 が 大事に 焼いて た 肉 。 ||おれ||だいじに|やいて||にく

ちょ … おい …。

えっ ちょっと … 宇崎 さん !? ||うざき|

《2 人 : あ ~ 銀 シャリ が 進む ~》 じん||ぎん|||すすむ

( チャイム )

《 こんな とこ に 呼び出して |||よびだして

なんの 用 だ ? 宇崎 の ヤツ 。 |よう||うざき||

そう いえば 焼き肉 の 途中 から ||やきにく||とちゅう|

様子 が 変だった けど ようす||へんだった|

なんか 俺 機嫌 を |おれ|きげん|

悪く する ような こと した っけ ?》 わるく|||||

あっ 。

先輩 。 せんぱい

えっ ?

えっ ?

この 5 円 玉 を じっと 見て ください 。 |えん|たま|||みて|

あなた は だんだん

意識 が 遠く な ~ る 遠く な ~ る 。 いしき||とおく|||とおく||

《 催眠 術 ? なん の つもりだ コイツ さいみん|じゅつ||||

ふざけ や が って 》

先輩 は 私 の 言いなり に な ~ る せんぱい||わたくし||いいなり|||

言いなり に な ~ る 。 いいなり|||

《 何 が 狙い か わから ん が なん||ねらい||||

コイツ に は この 前 ||||ぜん

看病 して もらった し …。 かんびょう|||

し ゃあ ない つきあって やる か 》

あ ~ なんか 眠く なって きた ぞ ~。 ||ねむく|||

やった ! や っぱ 催眠 術 って |||さいみん|じゅつ|

単純な 人 の ほう が たんじゅんな|じん|||

かかり やすい ん すね !

《 誰 が 単純だ コノヤロウ 》 だれ||たんじゅんだ|

よし ! じゃあ 先輩 ! ||せんぱい

《 やれやれ 。

ムチャ な こと じゃ なきゃ いい けど 》

下 の 名前 で 呼んで ください ! した||なまえ||よんで|

《 はっ ? そん だけ ?

そんな こと で わざわざ 催眠 術 を ? ||||さいみん|じゅつ|

なんか 期待 さ れて る し … |きたい||||

しかた ねえ な 》

は … は … は …。

「 は 」?

《 ん っ … なんか こ っ 恥ずかしい 》 |||||はずかしい

は … は に 。

はっ ? 違う っす よ 。 |ちがう||

は ぬ 。

違う 。 ちがう

はね 。

じゃ なくて 。

は の 。

わざと っす か !?

《 く ~ っ … もう !》

はな …。

わ ぁ !

もう 1 回 ! |かい

はな 。

もう 1 回 。 |かい

はな 。

よっ しゃ ~ もう 1 回 ! |||かい

はな …。

もう 1 回 ! |かい

《 バカップル ね 》

《 バカップル だ 》

《 バカップル よ 》

は ぁ … こんな もん す かね

ま ぁ おおむね 満足 っす 。 |||まんぞく|

しかし こんなに うまく いく と は

私 催眠 術 の 才能 あった ん す かね ? わたくし|さいみん|じゅつ||さいのう||||

《 ねえ よ 。 でも なんか 知ら ん が ||||しら||

こんな こと で 喜ぶ ん なら …》 |||よろこぶ||

よし ! 次 は 。 |つぎ|

《 次 ?》 つぎ

ジュ ー ス でも

おごって もらい ましょう か ね 。

はい …。

コンビニ で アイス 買って ください 。 |||かって|

おい コラ …。

学 食 の ランチ も まな|しょく|||

おごって もらおう かな ~。

調子 に …。 ちょうし|

あっ ついでに 新型 の VR 機器 を …。 ||しんがた||vr|きき|

調子 に 乗 んな ! ちょうし||じょう|

イタッ !

催眠 かかった フリ と は 卑怯 な 。 さいみん|||||ひきょう|

催眠 かけて 物 ねだる ヤツ が 言う な ! さいみん||ぶつ||||いう|

何 が し たい んだ お前 は ! なん|||||おまえ|

だって … 亜実 さん だって |あみ||

下 の 名前 で した||なまえ|

呼んで た じゃ ない っす か 。 よんで|||||

えっ …。

私 だって いいかげん わたくし||

つきあい が 長い のに ||ながい|

「 おい 」 と か 「 コラ 」 と か

扱い が ぞんざいじゃ ない っす か 。 あつかい|||||

そ っか … 俺 気付か ない うち に ||おれ|きづか|||

お前 を 不愉快に さ せて た んだ な 。 おまえ||ふゆかいに|||||

謝る よ … ごめん 。 あやまる||

あっ 。

でも … 女子 を |じょし|

下 の 名前 で 呼ぶ の は その …。 した||なまえ||よぶ|||

抵抗 が ある んだ 。 ていこう|||

亜実 さん に は 仕事 だ から あみ||||しごと||

そう 呼べ って 言わ れて |よべ||いわ|

頑張って る けど … がんばって||

そこ だけ は 勘弁 して くれ 。 |||かんべん||

じゃあ いい っす 。

ネクラ の 先輩 に 無理 さ せる の も ||せんぱい||むり||||

かわいそうだ し 。

クッ … あり が とよ 。

しかし 今どき |いまどき

5 円 玉 の 催眠 術 なんて な 。 えん|たま||さいみん|じゅつ||

こんな の 効く わけ ねえ だ ろ なぁ ? ||きく|||||

ポワ ー ン …。

効いて る !? ウソ だ ろ お前 ! きいて|||||おまえ

耐性 ゼロ かよ おい ! おい コラ ! たいせい|||||

ポヨ ー ン …。

戻し 方 ! もどし|かた

戻し 方 どこ に 載って んだ よ ! もどし|かた|||のって||

宇崎 ~ っ ! うざき|

《 宇崎 空 に 浮き ます 》 うざき|から||うき|

( 亜実 ) 効か ない わ ね 。 あみ|きか|||

だから 言った じゃ ない っす か |いった||||

催眠 術 なんか かかって ない って 。 さいみん|じゅつ||||

覚えて ない の が マジ で 怖い 。 おぼえて||||||こわい

かかって ない っす よ 全然 。 ||||ぜんぜん

私 に 催眠 かけ られたら わたくし||さいみん||

大した もん すよ 。 たいした||

なんで ちょっと キレ 気味な んだ よ 。 |||ぎみな||

( 宇崎 ) だ から キレ て ない っす よ 。 うざき|||||||

《 父さん これ って …》 とうさん||

《 あぁ 。

催眠 術 は 相手 を 信用 して い ない と さいみん|じゅつ||あいて||しんよう||||

かから ない もの だ そうだ 。 ||||そう だ

つまり この 2 人 は …》 ||じん|

《 そういう こと

なん でしょう けど 》

《2 人 : おもしろい から 言わ ない 》 じん|||いわ|

( 宇崎 ) 私 キレ さ せたら うざき|わたくし|||

大した もん っす よ 。 たいした|||

( 桜井 ) 思って たより ヘタ ! さくらい|おもって||