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Fairy Tales, ひろったさいふ

ひろったさいふ

ひろった さいふ

むかし 江戸 の 町 に 、 左官 屋 ( さかんや → 壁 を ぬる 職人 ) の で ん すけ と いう 人 が すんで い ました 。 ある 年 の 十二 月 、 仕事 の 帰り に 道 で さいふ を ひろい ました 。 中 を 調べる と 、 一 両 小判 が 三 枚 入って い ました 。 「 おや おや 、 もう じき 正月 が くる と いう のに 三 両 (→ 約 二十一万 円 ) も の お 金 を 落とす なんて 、 気の毒に 。 落とした 人 は さぞ 、 困って いる だろう な 」 で ん す けが さいふ を よく 調べて みる と 、 名前 と 住所 を 書いた 紙 が 入って い ました 。 「 なに な に 、 神田 ( かんだ ) の 大工 の 吉 五郎 ( きち ごろ う ) か 。 よし 、 ひ とっぱ しり 、 届けて やろう 。 いまごろ きっと 、 青く なって 、 探して いる だろう よ 」 親切な で ん すけ は 、 わざわざ 神田 まで いって 、 ようやく 吉 五郎 の 家 を 探し 出し ました 。 「 こんにち は 。 吉 五郎 さん 、 い ます か ? 」 「 ああ 、 おれ が 吉 五郎 だ が 、 何か用 か ね ? 」 「 わたし は 左官 の で ん すけ と いう んだ が ね 、 お前 さん 、 さいふ を 落とさ なかった か ね ? 」 「 ああ 、 落とした よ 」 「 中 に 、 いくら 入って いた んだ ね ? 」 「 そんな こと 、 なんで お前 さん が 聞く ん だい ? 」 「 なんでも いい から 、 答えて くれ よ 」 「 三 両 だ よ 。 お 正月 が くるんで 、 やっと かき集めた 大事な 金 だった んだ 」 それ を 聞いて 、 で ん すけ は 、 「 そうかい 。 それ じゃ これ は たしかに お前 さん の 落とした さいふ だ 。 ほら 、 受け取って くれ 」 と 、 さいふ を 差し出し ました 。 ところが 吉 五郎 は 、 さいふ を チラッ と 見た だけ で 、 プイ と 横 を 向いて い い ました 。 「 それ は 、 おれ のじゃ ない よ 」 「 えっ ? だって お前 さん 、 いま 、 大事な 三 両 が 入った さいふ を 落とした って 、 いった じゃ ない か 。 それ に お前 さん の 名前 と 住所 を 書いた 紙 も 、 入って いた んだ 。 この さいふ は 確かに お前 さん の 物 だ よ 」 「 そり ゃあ 、 たしかに おれ は さいふ を 落とした よ 。 だけど 、 落とした 物 は 、 もう 、 おれ の 物 じゃ ない 。 ひろった お前 さん の 物 だ 。 持って 帰って くれ 」 「 なん だって ! 」 で ん すけ は 、 ムッと し ました 。 「 なんて 事 を いう んだ 。 ひろった 物 を だまって 自分 の 物 に する くらい なら 、 わざわざ 探し ながら こんな ところ まで 届け に 来たり する もん か 。 素直に 『 ありがとう ございます 』 と 、 いって 受け取れば いい じゃ ない か 」 「 ちえっ 、 お前 さん も ごうじょう っ ぱり だ なあ 。 おれ は その さいふ は お前 さん に くれて やる って いって る んだ ぜ 。 そっち こそ 素直に 『 ありがとう ございます 』 と 、 いって 、 さっさと 持って 帰り ゃあ いい じゃ ない か 。 第 一 、 この 十二 月 に なって 、 三 両 も の 金 が 手 に 入れば 、 お前 さん だって 、 助かる だろう に 」 「 ばかやろう ! 」 とうとう で ん すけ は 、 吉五郎 を どなり つけ ました 。 「 おれ は こじき じゃ ねえ 。 人 の 物 を ひろって ふところ へ 入れる ほど 、 おちぶれちゃ い ない んだ 。 ふざける の も いいかげんに しろ 。 とにかく 、 これ は 置いて いく ぜ 」 で ん す けが さいふ を 置いて 帰ろう と する と 、 「 おい 待て ! 」 吉 五郎 は その 手 を つかんで 、 さいふ を 押しつけ ました 。 「 こんな 物 、 ここ に 置いて 帰ら れちゃ 、 迷惑 くだ よ 。 持って 帰って くれ 」 「 この 野郎 、 まだ 、 そんな 事 を いって る の か 」 二 人 の がんこ 者 は 、 とうとう 、 とっく みあい の けんか を 始め ました 。 その 騒ぎ を 聞いて やってきた 近く の 人 たち が 、 いくら なだめて も 、 二 人 と も 聞き ませ ん 。 近所 の 人 たち は 困り 果てて 、 とうとう お 奉行 ( ぶぎょう ) さま に 訴え ました 。 その 時 の お 奉行 さま は 、 名高い 、 大岡 越前 守 ( おお お かえ ち ぜん の かみ ) と いう 人 でした 。 越前 守 ( え ち ぜん の かみ ) は 、 二 人 の 話 を 聞く と 、 「 大工 、 吉 五郎 。 せっかく で ん すけ が 届けて くれた のだ 。 素直に 礼 を いって 、 受け取ったら どう じゃ 」 「 とんで も あり ませ ん 、 お 奉行 さま 。 落とした 物 は 、 なくした の と 同じで ございます 。 ですから 、 もう 、 わたくし の 物 で は あり ませ ん 」 「 では 、 左官 で ん すけ 。 吉 五郎 が いら ない と いう のだ 。 この 三 両 は ひろった お前 の 物 だ 。 受け取る が よい ぞ 」 「 じょうだん じゃ あり ませ ん 、 お 奉行 さま 。 ひろった 物 を もらう くらい なら 、 何も この 忙しい 年の暮れ に 、 わざわざ 神田 まで 届け に 行ったり など しや し ませ ん 。 落とした 物 は 落とした 人 に 返す の が あたりまえです 」 二 人 と も 、 がんこに いいはって きき ませ ん 。 する と 越前 守 は 、 「 そう か 。 お前 たち が どちら も いら ない と いう なら 、 持ち主 が ない もの と して 、 この 越前 ( え ち ぜん ) が もらって おこう 」 「 へっ ? 」 「 へっ ? 」 お 奉行 さま に 金 を よこどり さ れて 、 二 人 は ビックリ し ました が 、 でも 、 いら ない と いった のです から 、 しかた が あり ませ ん 。 「 はい 。 それ で けっこうです 」 「 わたし も 、 それ で けっこうです 」 と 、 答えて 、 帰ろう と し ました 。 その とき 、 越前 守 は 、 「 吉 五郎 、 で ん すけ 、 しばらく 待て 」 と 、 二 人 を 呼び止め ました 。 「 お前 たち の 正直な の に は 、 わし も すっかり 感心 した 。 その 正直に たいして 、 越前 から 、 ほうび を つかわそう 」 越前 守 は ふところ から 一 両 の 小判 を 取り出す と 、 さっき の 三 両 の 小判 と あわせて 四 両 に し 、 吉 五郎 とでん すけ に 二 両 ずつ やり ました 。 ところが 二 人 と も 、 なぜ 二 両 ずつ ほうび を もらった の か 、 わけ の わから ない ような 、 みょうな 顔 を して い ます 。 そこ で 越前 守 は 、 笑い ながら いい ました 。 「 大工 の 吉 五郎 は 、 三 両 を 落として 二 両 の ほうび を もらった から 、 差し引き 一 両 の 損 。 左官 の で ん すけ は 、 三 両 を ひろった のに 、 落とし主 に 届けて 、 二 両 の ほうび を もらった から 、 これ も やはり 、 一 両 の 損 。 この 越前 も 一 両 を 足した から 、 一 両 の 損 。 これ で 三 方 、 一 両 損 と いう の は どう じゃ ? 」 「 なるほど !」 吉 五郎 とでん すけ は 顔 を 見合わせて 、 ニッコリ し ました 。 「 さすが 名 奉行 ( めい ぶぎょう ) の 大岡 さま 。 みごと なお さばき 、 おそれいり ました 」 「 この お 金 は 、 ありがたく いただいて まいり ます 」 「 うむ 。 二 人 と も 珍しい ほど の 正直 者 たち じゃ 、 これ から のち は 友だち と なって 、 仲よく つきあって いく が よい ぞ 」 「 はい 。 ありがとう ございます 」 吉 五郎 とでん すけ は 、 ここ に 来た とき と は まるで 反対 に 、 うまれた とき から の 仲良し の ように 、 肩 を ならべて 帰って いき ました 。 「 うむ 、 これ にて 、 一 件 落着 !


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ひろった さいふ

むかし 江戸 の 町 に 、 左官 屋 ( さかんや → 壁 を ぬる 職人 ) の で ん すけ と いう 人 が すんで い ました 。 |えど||まち||さかん|や|さかん や|かべ|||しょくにん|||||||じん|||| Once upon a time in Edo, there lived a plasterer named De-nsuke. ある 年 の 十二 月 、 仕事 の 帰り に 道 で さいふ を ひろい ました 。 |とし||じゅうに|つき|しごと||かえり||どう||||| In December of a certain year, I picked up a sword on my way home from work. 中 を 調べる と 、 一 両 小判 が 三 枚 入って い ました 。 なか||しらべる||ひと|りょう|こばん||みっ|まい|はいって|| When I looked inside, I found that there were three oval coins. 「 おや おや 、 もう じき 正月 が くる と いう のに 三 両 (→ 約 二十一万 円 ) も の お 金 を 落とす なんて 、 気の毒に 。 ||||しょうがつ||||||みっ|りょう|やく|にじゅういちまん|えん||||きむ||おとす||きのどくに I'm sorry to hear that you dropped three ryo (about 210,000 yen) of your money when New Year's is almost here. 落とした 人 は さぞ 、 困って いる だろう な 」   で ん す けが さいふ を よく 調べて みる と 、 名前 と 住所 を 書いた 紙 が 入って い ました 。 おとした|じん|||こまって|||||||||||しらべて|||なまえ||じゅうしょ||かいた|かみ||はいって|| The person who dropped it would be in trouble. ”When I looked closely at the injury, I found a piece of paper with my name and address on it. 「 なに な に 、 神田 ( かんだ ) の 大工 の 吉 五郎 ( きち ごろ う ) か 。 |||しんでん|||だいく||きち|ごろう|||| "What is it, Kikugoro Kikugoro, a carpenter in Kanda? よし 、 ひ とっぱ しり 、 届けて やろう 。 ||||とどけて| Okay, I'll just deliver it to him. いまごろ きっと 、 青く なって 、 探して いる だろう よ 」   親切な で ん すけ は 、 わざわざ 神田 まで いって 、 ようやく 吉 五郎 の 家 を 探し 出し ました 。 ||あおく||さがして||||しんせつな||||||しんでん||||きち|ごろう||いえ||さがし|だし| Kind Saki went all the way to Kanda and finally found Kichigoro's house. 「 こんにち は 。 Hello. 吉 五郎 さん 、 い ます か ? きち|ごろう|||| Mr. Kichigoro, are you there? 」 「 ああ 、 おれ が 吉 五郎 だ が 、 何か用 か ね ? |||きち|ごろう|||なん か よう|| " "Oh, I'm Kichigoro. What can I do for you? 」 「 わたし は 左官 の で ん すけ と いう んだ が ね 、 お前 さん 、 さいふ を 落とさ なかった か ね ? ||さかん||||||||||おまえ||||おとさ||| "I'm Densuke, a plasterer. Didn't you drop your wallet?" 」 「 ああ 、 落とした よ 」 「 中 に 、 いくら 入って いた んだ ね ? |おとした||なか|||はいって||| "Oh, I dropped it." "How much was inside? 」 「 そんな こと 、 なんで お前 さん が 聞く ん だい ? |||おまえ|||きく|| "Why are you asking me that?" 」 「 なんでも いい から 、 答えて くれ よ 」 「 三 両 だ よ 。 |||こたえて|||みっ|りょう|| "Anything is fine, just answer me." "Three cars. お 正月 が くるんで 、 やっと かき集めた 大事な 金 だった んだ 」   それ を 聞いて 、 で ん すけ は 、 「 そうかい 。 |しょうがつ||||かきあつめた|だいじな|きむ|||||きいて||||| It's the new year's day, and it's a precious amount of money that I finally collected." Hearing this, Densuke said, "I see. それ じゃ これ は たしかに お前 さん の 落とした さいふ だ 。 |||||おまえ|||おとした|| Then this is indeed the wallet you dropped. ほら 、 受け取って くれ 」 と 、 さいふ を 差し出し ました 。 |うけとって|||||さしだし| Here, take it." He held out his wallet. ところが 吉 五郎 は 、 さいふ を チラッ と 見た だけ で 、 プイ と 横 を 向いて い い ました 。 |きち|ごろう||||||みた|||||よこ||むいて||| However, Kichigoro just glanced at the wallet and turned away. 「 それ は 、 おれ のじゃ ない よ 」 「 えっ ? "That's not mine." "Eh? だって お前 さん 、 いま 、 大事な 三 両 が 入った さいふ を 落とした って 、 いった じゃ ない か 。 |おまえ|||だいじな|みっ|りょう||はいった|||おとした||||| After all, you just said that you dropped the wallet containing the important sanryo. それ に お前 さん の 名前 と 住所 を 書いた 紙 も 、 入って いた んだ 。 ||おまえ|||なまえ||じゅうしょ||かいた|かみ||はいって|| It also contained a piece of paper with your name and address written on it. この さいふ は 確かに お前 さん の 物 だ よ 」 「 そり ゃあ 、 たしかに おれ は さいふ を 落とした よ 。 |||たしかに|おまえ|||ぶつ||||||||||おとした| This wallet is definitely yours. I'm sure I dropped my wallet. だけど 、 落とした 物 は 、 もう 、 おれ の 物 じゃ ない 。 |おとした|ぶつ|||||ぶつ|| But the thing I dropped isn't mine anymore. ひろった お前 さん の 物 だ 。 |おまえ|||ぶつ| It's yours that you picked up. 持って 帰って くれ 」 「 なん だって ! もって|かえって||| Take it home." "What the hell! 」   で ん すけ は 、 ムッと し ました 。 ||||むっと|| Densuke was annoyed. 「 なんて 事 を いう んだ 。 |こと||| "What are you talking about? ひろった 物 を だまって 自分 の 物 に する くらい なら 、 わざわざ 探し ながら こんな ところ まで 届け に 来たり する もん か 。 |ぶつ|||じぶん||ぶつ||||||さがし|||||とどけ||きたり||| If you're going to take the things you've found and keep them as your own, why bother looking for them and coming all the way to a place like this to deliver them to you? 素直に 『 ありがとう ございます 』 と 、 いって 受け取れば いい じゃ ない か 」 「 ちえっ 、 お前 さん も ごうじょう っ ぱり だ なあ 。 すなおに|||||うけとれば||||||おまえ||||||| Shouldn't you simply say 'Thank you' and accept it?" おれ は その さいふ は お前 さん に くれて やる って いって る んだ ぜ 。 |||||おまえ||||||||| I'm telling you to give me that wallet. そっち こそ 素直に 『 ありがとう ございます 』 と 、 いって 、 さっさと 持って 帰り ゃあ いい じゃ ない か 。 ||すなおに||||||もって|かえり||||| Why don't you say 'thank you' honestly and take it home quickly? 第 一 、 この 十二 月 に なって 、 三 両 も の 金 が 手 に 入れば 、 お前 さん だって 、 助かる だろう に 」 「 ばかやろう ! だい|ひと||じゅうに|つき|||みっ|りょう|||きむ||て||はいれば|おまえ|||たすかる|||ばか やろう First of all, if you can get 3 ryo of gold this December, you will be saved." "Idiot! 」   とうとう で ん すけ は 、 吉五郎 を どなり つけ ました 。 |||||きちごろう|||| 「 おれ は こじき じゃ ねえ 。 "I'm not a beggar. 人 の 物 を ひろって ふところ へ 入れる ほど 、 おちぶれちゃ い ない んだ 。 じん||ぶつ|||||いれる||||| I haven't fallen so low as to pick up other people's belongings and put them in my pocket. ふざける の も いいかげんに しろ 。 Enough of your nonsense. とにかく 、 これ は 置いて いく ぜ 」   で ん す けが さいふ を 置いて 帰ろう と する と 、 「 おい 待て ! |||おいて|||||||||おいて|かえろう|||||まて Anyway, I'll leave this behind." When Densuke was about to leave the wallet behind, he said, "Hey wait! 」   吉 五郎 は その 手 を つかんで 、 さいふ を 押しつけ ました 。 きち|ごろう|||て|||||おしつけ| Kichigoro grabbed his hand and pushed his wallet into it. 「 こんな 物 、 ここ に 置いて 帰ら れちゃ 、 迷惑 くだ よ 。 |ぶつ|||おいて|かえら||めいわく|| "If you leave this thing here, it will be a nuisance. 持って 帰って くれ 」 「 この 野郎 、 まだ 、 そんな 事 を いって る の か 」   二 人 の がんこ 者 は 、 とうとう 、 とっく みあい の けんか を 始め ました 。 もって|かえって|||やろう|||こと||||||ふた|じん|||もの|||と っく|||||はじめ| The two cancer patients finally started fighting each other. その 騒ぎ を 聞いて やってきた 近く の 人 たち が 、 いくら なだめて も 、 二 人 と も 聞き ませ ん 。 |さわぎ||きいて||ちかく||じん||||||ふた|じん|||きき|| The neighbors heard the commotion and came over, but no matter how much we tried to calm them down, they would not listen to us. 近所 の 人 たち は 困り 果てて 、 とうとう お 奉行 ( ぶぎょう ) さま に 訴え ました 。 きんじょ||じん|||こまり|はてて|||ぶぎょう||||うったえ| The neighbors were at a loss and finally complained to the magistrate. その 時 の お 奉行 さま は 、 名高い 、 大岡 越前 守 ( おお お かえ ち ぜん の かみ ) と いう 人 でした 。 |じ|||ぶぎょう|||なだかい|おおおか|えちぜん|しゅ||||||||||じん| The magistrate at that time was the renowned Ooka Echizen-no-Mamoru. 越前 守 ( え ち ぜん の かみ ) は 、 二 人 の 話 を 聞く と 、 「 大工 、 吉 五郎 。 えちぜん|しゅ|||||||ふた|じん||はなし||きく||だいく|きち|ごろう When Echizen no Kami heard what they had to say, he said, "Kichigoro, the carpenter. せっかく で ん すけ が 届けて くれた のだ 。 |||||とどけて|| Densuke took the trouble to deliver it. 素直に 礼 を いって 、 受け取ったら どう じゃ 」 「 とんで も あり ませ ん 、 お 奉行 さま 。 すなおに|れい|||うけとったら|||||||||ぶぎょう| Why don't you just say thank you and accept it?" "No way, magistrate. 落とした 物 は 、 なくした の と 同じで ございます 。 おとした|ぶつ|||||おなじで| Dropped items are the same as lost items. ですから 、 もう 、 わたくし の 物 で は あり ませ ん 」 「 では 、 左官 で ん すけ 。 ||||ぶつ|||||||さかん||| So, it's no longer mine." "Well then, Densuke plasterer. 吉 五郎 が いら ない と いう のだ 。 きち|ごろう|||||| He said he didn't want Kichigoro. この 三 両 は ひろった お前 の 物 だ 。 |みっ|りょう|||おまえ||ぶつ| These three cars belong to you. 受け取る が よい ぞ 」 「 じょうだん じゃ あり ませ ん 、 お 奉行 さま 。 うけとる||||||||||ぶぎょう| Take it. No kidding, Your Highness. ひろった 物 を もらう くらい なら 、 何も この 忙しい 年の暮れ に 、 わざわざ 神田 まで 届け に 行ったり など しや し ませ ん 。 |ぶつ|||||なにも||いそがしい|としのくれ|||しんでん||とどけ||おこなったり||||| I wouldn't go out of my way to deliver anything to Kanda at the end of this busy year, if it's just to receive the things I found. 落とした 物 は 落とした 人 に 返す の が あたりまえです 」   二 人 と も 、 がんこに いいはって きき ませ ん 。 おとした|ぶつ||おとした|じん||かえす||||ふた|じん||||||| It's only natural to return the things you dropped to the person who dropped them." Both of them stubbornly refuse to listen. する と 越前 守 は 、 「 そう か 。 ||えちぜん|しゅ||| Echizen-mamoru replied, "Is that so? お前 たち が どちら も いら ない と いう なら 、 持ち主 が ない もの と して 、 この 越前 ( え ち ぜん ) が もらって おこう 」 「 へっ ? おまえ||||||||||もちぬし|||||||えちぜん|||||||へ っ If you say you don't want either of them, let's assume that it has no owner and let Echizen take it." "Huh? 」 「 へっ ? へ っ 」   お 奉行 さま に 金 を よこどり さ れて 、 二 人 は ビックリ し ました が 、 でも 、 いら ない と いった のです から 、 しかた が あり ませ ん 。 |ぶぎょう|||きむ|||||ふた|じん||びっくり||||||||||||||| The two of them were surprised when the magistrate asked for money, but they said they didn't want it, so it can't be helped. 「 はい 。 それ で けっこうです 」 「 わたし も 、 それ で けっこうです 」 と 、 答えて 、 帰ろう と し ました 。 |||||||||こたえて|かえろう||| That's fine." "I'm fine with that, too," I replied, and was about to go home. その とき 、 越前 守 は 、 「 吉 五郎 、 で ん すけ 、 しばらく 待て 」 と 、 二 人 を 呼び止め ました 。 ||えちぜん|しゅ||きち|ごろう|||||まて||ふた|じん||よびとめ| At that moment, Echizen no kami stopped them, saying, ``Kichigoro, Densuke, wait for a while.'' 「 お前 たち の 正直な の に は 、 わし も すっかり 感心 した 。 おまえ|||しょうじきな|||||||かんしん| I am completely impressed by your honesty. その 正直に たいして 、 越前 から 、 ほうび を つかわそう 」   越前 守 は ふところ から 一 両 の 小判 を 取り出す と 、 さっき の 三 両 の 小判 と あわせて 四 両 に し 、 吉 五郎 とでん すけ に 二 両 ずつ やり ました 。 |しょうじきに||えちぜん|||||えちぜん|しゅ||||ひと|りょう||こばん||とりだす||||みっ|りょう||こばん|||よっ|りょう|||きち|ごろう||||ふた|りょう||| For that honesty, I'll send you a reward from Echizen." Echizen no kami took out one koban from his pocket, and combined with the three koban from earlier, it became four ryo, and two ryo each for Kichigoro and Densuke. Did it . ところが 二 人 と も 、 なぜ 二 両 ずつ ほうび を もらった の か 、 わけ の わから ない ような 、 みょうな 顔 を して い ます 。 |ふた|じん||||ふた|りょう|||||||||||||かお|||| However, both of them looked confused as to why they were given two ryo each as a reward. そこ で 越前 守 は 、 笑い ながら いい ました 。 ||えちぜん|しゅ||わらい||| Then Mamoru Echizen said with a laugh. 「 大工 の 吉 五郎 は 、 三 両 を 落として 二 両 の ほうび を もらった から 、 差し引き 一 両 の 損 。 だいく||きち|ごろう||みっ|りょう||おとして|ふた|りょう||||||さしひき|ひと|りょう||そん "Kichigoro the carpenter dropped three ryo and received a reward of two ryo, so he lost one ryo. 左官 の で ん すけ は 、 三 両 を ひろった のに 、 落とし主 に 届けて 、 二 両 の ほうび を もらった から 、 これ も やはり 、 一 両 の 損 。 さかん||||||みっ|りょう||||おとしぬし||とどけて|ふた|りょう|||||||||ひと|りょう||そん The plasterer, Densuke, picked up three ryo, but delivered it to the owner and received a reward of two ryo. この 越前 も 一 両 を 足した から 、 一 両 の 損 。 |えちぜん||ひと|りょう||たした||ひと|りょう||そん This Echizen also added one ryo, so it was a loss of one ryo. これ で 三 方 、 一 両 損 と いう の は どう じゃ ? ||みっ|かた|ひと|りょう|そん|||||| How about a three-way, one-ryo loss? 」 「 なるほど !」   吉 五郎 とでん すけ は 顔 を 見合わせて 、 ニッコリ し ました 。 |きち|ごろう||||かお||みあわせて|にっこり|| "I see!" Kichigoro and Densuke looked at each other and smiled. 「 さすが 名 奉行 ( めい ぶぎょう ) の 大岡 さま 。 |な|ぶぎょう||||おおおか| みごと なお さばき 、 おそれいり ました 」 「 この お 金 は 、 ありがたく いただいて まいり ます 」 「 うむ 。 |||||||きむ|||||| It was an excellent judgment." "I will be grateful for this money." 二 人 と も 珍しい ほど の 正直 者 たち じゃ 、 これ から のち は 友だち と なって 、 仲よく つきあって いく が よい ぞ 」 「 はい 。 ふた|じん|||めずらしい|||しょうじき|もの|||||||ともだち|||なかよく|||||| Both of you are rare honest people, so from now on, let's be friends and get along well." "Yes. ありがとう ございます 」   吉 五郎 とでん すけ は 、 ここ に 来た とき と は まるで 反対 に 、 うまれた とき から の 仲良し の ように 、 肩 を ならべて 帰って いき ました 。 ||きち|ごろう||||||きた|||||はんたい||||||なかよし|||かた|||かえって|| Kichigoro and Den-saido returned home, shoulder to shoulder, as if they had been good friends since they were born. 「 うむ 、 これ にて 、 一 件 落着 ! |||ひと|けん|らくちゃく Well, that settles the matter!