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盾の勇者の成り上がり (The Rising of the Shield Hero ), 盾の勇者の成り上がり 01 Chapter 26

盾の勇者の成り上がり 01 Chapter 26

番外 編 お 子 様 ランチ の 旗

「 行って き ま ー す !

「 お 昼 まで に は 戻って くる の よ ー 」

「 は ー い 」

今日 は 凄く 良い 天気 !

わたし は お 母さん に 出発 の あいさつ を して から 村 の 広場 で 待って いる キール 君 達 の 所 へ 向かう 。

「 おお 、 ちゃんと 来た な 」

「 うん 」

キール 君 が 犬 に 似た 耳 を ピコピコ と 動かし ながら わたし を 待って いた 。

もう 他の 子 達 も 集まって いる 。

「 今日 は サディナ 姉ちゃん が い ない から 海 に 行っちゃ ダメ だって さ …… 別に 大丈夫 だって 言った のに さ 」

「 でも キール 君 、 この 前 溺れ かけて た じゃ ない 」

「 う 、 うる せ え な 。

だから 今日 は 草原 の 方 へ 遊び に 行こう ぜ 」

「 うん !

みんな して 頷く 。

「 じゃあ 出発 な !

お前 も ちゃんと 付いて こい よ 」

「 わたし を 誰 だ と 思って いる の ?

走る の は 得意な んだ から ! みんな で 競う ように 草原 に 向かって 走り 出す 。

これ でも わたし は 走る の が 大 得意 。

駆けっこ じゃ この 中 で 一 番 早い キール 君 と おんなじ くらい 早く 走れる んだ から 。

ダッ と 走って 行く と みんな 私 の 後ろ を ついて くる 。

「 やっぱり 早い な ぁ ── ちゃん 」

「 腕 を 前 に 出して 少し でも 前 に 出よう って 意識 する と 早く 走れる ように なる んだ よ 」

と 、 足 の 遅い 子 に 早く 走る コツ を 話して いる と 近く の 草原 に 着いた 。

お 父さん 達 は 魔物 が 出る から 気 を つけ なさい と 言って いた けど 、 今 まで 危険な 魔物 に なんて 会った 事 無い もん 。

「 今日 は 何 する ?

「 く っ そ ー 。

負けた 。 ぜ って ー 追いついて やる 」

キール 君 が わたし に 向かって ムキ に なって 睨んで くる 。

ふ ふん 。

今日 の わたし は とても 調子 が 良い んだ もん 。

「 じゃあ 今日 の 遊び は 鬼ごっこ で 良い ?

「 お うよ !

「 うん !

みんな 、 わたし の 提案 に 頷いた 。

「 鬼 は 俺 だ !

絶対 に 追いついて やる から な 」

「 負け ない よ ー !

負けず嫌いだ な ぁ キール 君 は 、 でも そこ が 魅力 的だ よ ね 。

「 あ は は は は ー 」

「 く っ そ ー 。

待て ー ! なんか キール 君 が 凄く ムキ に なって 私 ばかり 追い かけて くる 。

やがて 二 人 揃って 疲れちゃ った 頃 に みんな で 休憩 を する 事 に なった 。

「 次 は 何 を しよう か な ?

「 みんな は まだ 遊べる よ ね 」

「 お 手伝い は し なくて も 大丈夫だ よ 」

なんだか んだ で みんな 家 の 手伝い で 忙しく なる 時 が ある 。

わたし だって お 母さん と 一緒に ご飯 を 作る お 手伝い を して いる もん 。

「 もう 一 回 鬼ごっこ だ 」

「 もう 疲れちゃ った ー 少し 休ま せて よ 」

キール 君 が 元気 過ぎて 困っちゃ う 。

さすが は 男の子 だ よ ね 。

「 ち っ …… じゃあ まだ 元 気 の ある 奴 等 で かくれんぼ な 」

「 おう !

男の子 達 が 揃って 立ち 上がり 、 遊び を 再開 する 。

「 元気 ね ー 」

「 そう ね ー 」

近所 の リファナ ちゃん が わたし と 一緒に 微笑 ま しく 男の子 達 を 見つめ ながら 同意 した 。

「 ねえ ねえ 。

村 の 中 で 好きな 子 いる ? 「 ん ー ……」

なんだか んだ で わたし 達 は 恋愛 と いう もの が 気 に なる 年頃 に 差し掛かって いた 。

村 で は 年上 の お 姉さん 達 が 、 誰 と 付き合って いる か と か 、 誰 と 結婚 する んだ と か 囁き 合って いて 、 自然 と 私 達 も 興味 が 湧いて 来て いる 。

「 お 父さん みたいな 人 かな ー 」

「 そう じゃ なくて おんなじ くらい の 年齢 だったら 」

「 うーん 」

鬼ごっこ に 夢中に なって いる キール 君 達 に 目 を 向ける 。

なんだか んだ で カッコいい の は キール 君 だ よ ね 。

顔 も 整って いる し 。 だけど 、 自分 で 言う の も な んだ けど わたし は あんまり 鏡 で 見る 自分 の 容姿 に 自信 が 無い 。

近く の 町 へ 行く と 同い年 位 でも かわいい 子 が 沢山 いて 、 それ は 成長 する に つれて 如実に 表れて くる 。

私 の 種族 って あんまり 顔 は 良く ない らしい し ー ……。

でも お 父さん は カッコいい し 、 顔 も 良い 。

私 も お 父さん 似 に なり たい な ぁ 。

お 母さん は みんな に かわいい って 言わ れて る 。

優しい し 、 料理 も 上手だ し ー ……。

大人 に なったら 綺麗に なる か な ?

と お 母さん に 聞いた 事 も ある 。

そ したら お 母さん は 優しく 頷いて くれた 。

だ から 大きく なったら 美人 に なる はずだ もん 。

その後 、 お 母さん に 男 の 人 を 好きに なる って どんな 気持ち な の ?

わたし の 好き と は 違う の ? って 聞いたら 困って た 。

どうも わたし の 好き って 気持ち は 、 そう 言う の と は 違う らしい 。

「 好き って 種類 が ある みたいで 、 よく わかん ない 。

私 の 好き って 違う んだ って お 母さん が 言って た 」

「 そ っ か ー 私 は ね 。

伝説 に 存在 する 盾 の 勇者 様 みたいな 人 と 結婚 し たい ! リファナ ちゃん は 村 一 番 の 仲良し で 、 わたし より も 女の子 らしくて 、 恋愛 や 恋人 の 話 が 好き 。

特に 昔話 に も ある 、 四 人 の 伝説 の 勇者 様 …… 中でも 亜人 を 大切に して くれた 盾 の 勇者 様 に 憧れて いる 。

「 わたし は ──」

なんて 話して いた その 時 の 事 。

この 時 まで 、 私 は 、 こんな 平和な 日々 が ずっと 続く と 何の 疑い も 無く 信じて いた 。

ピシッ !

と 、 大きな 音 が 辺り に 響き 渡った 。

なんだろう と 思って いる と 空気 が 震えて 、 風 で 吹き飛ばさ れ そうに なる 。

「 わ !

「 キャ !

「 う お !

みんな して 身 を 伏せて 風 が 止む の を 待った 。

しばらく する と 風 が 止んで 静かに なる 。

「 な 、 なん だった んだ ?

「 おい 、 あれ 」

キール 君 が 空 を 指差した 。

わたし は 目 で その先 を 追って 、 言葉 を 失って しまった 。

まるで お 空 を ナイフ で 抉った ように 赤い 、 不気味な 亀裂 が 草原 の 先 の 方 へ 延びて いた 。

「 どう しよう 」

「 何 か あったら 村 に 戻れ って お 父さん 達 が 言って た よ 」

「 ここ で 調べ に 行か なくて 何 時 行く んだ よ 」

「 ダメだ よ キール 君 !

私 を 含め みんな で キール 君 を 押さえ つけて 急いで 帰る 事 に する 。

「 お 父さん !

お 父さん が 隣町 から 帰って きて いた 。

私 は 急いで お 父さん の 方 へ 駆け寄る 。

「 大丈夫だった かい ?

心配 した んだ よ ? 「 うん 。

何 か あったら 村 に 戻って って お 父さん が 言って た 通り に 急いで 戻って きた の 」

「 良い 子 だ ね 」

お 父さん が 私 の 頭 を 撫でて くれる 。

え へ へ ……。

そして お 父さん は 村 の 大人 達 と 話 を 始めた 。

「 みんな 、 領主 様 と 話 を して きた 。

なんでも あの 空 の 亀裂 の 根元 から 大量の 魔物 が 溢れ だして いる そうだ 」

「 じゃあ 、 村 の 者 で 戦え そうな 者 は 出る 事 に なる の か ?

「 一応 、 そう なる 」

空 の 亀裂 の 方 から 不気味な 遠吠え が 聞こえて きた 。

私 の 尻尾 が ぞ わ ぞ わ と その 声 に 逆 立つ 。

凄く 怖い 声 だった 。

「 大丈夫 かね ?

「 う ー む ……」

「 お 、 おい !

大変だ ! 町 の 方 に 魔物 が 溢れ 返って いる ぞ ! 既に 地獄 だ ! と 、 村 に 駆けつけた 近所 の おじさん が 血相 を 変えて 言った 。

「 な 、 何 !? 幾ら なんでも 早 過ぎる !

「 領主 様 も 事態 の 早 さ に 一刻 も 早く 逃げろ と 御 言い なさった !

既に 城 に 増 援 を 要請 した そうだ 」

「 領主 様 は どう なって いる ?

「 わから ない …… ただ 、 一 人 でも 多く 逃がそう と 避難 誘導 を 為さって おい で だった 」

「 く ……」

お 父さん 達 は とても 怖い 顔 で 何 か 話し あって いた 。

「 こんな 時 に サディナ や 村 の 猛者 は 遠出 の 漁 に 出て いる し ……」

「 海 の 方 も 大 シケ だ 。

こりゃ あ 帰って くる か わから ない ぞ 」

空 の 様子 が どんどん 悪く なって いる 。

そして …… ガラ っと 変な 音 が 聞こえ 、 村 の 人 達 は 音 の 方向 に 目 を 向ける 。

「 なに …… あれ ?

なんか …… 人 の 骨 みたいな …… 何 か が ノソノソ と いっぱい こっち に 向かって 歩いて 来て いた 。

その 人 の 骨 みたいな 何 か は 手 の 部分 に 武器 を 持って いて 鈍く 光って いる 。

怖い …… 本能 的に そう 思った 。

── 化け物 。

そう 、 その 言葉 が 酷 く よく 噛み合った 。

「 う 、 うわ ああ ああ あ ああ !

おじさん が 凄い 声 を あげて 逃げ 出した 。

それ に つら れて 村 の 人 達 は 声 を あげる 。

そこ に 、 お 父さん が 立ちはだかる 。

『 力 の 根源 足る 。

私 が 命ずる 。 光 よ 我が 前 の 敵 を 屠 れ ! 「 ファスト ・ ホーリー !

ピカッ と お 父さん が 放った 魔法 が 骸骨 に 当たって 砕け 散る 。

「 みんな 、 焦ら ないで 聞いて ほしい 。

一刻 も 早く ここ から 逃げよう 。 身体 能力 の 秀でた 種族 である 私 達 でも あの 数 の 魔物 を 相手 に 戦って なんて い られ ない 」

「 そう ね 」

お 母さん が ナタ を 片手 に 骸骨 を 倒して 言った 。

でも 、 ぞろぞろ と いっぱい 骸骨 が 村 に 向かって 押し寄せて くる 。

「 ここ は 私 達 が 引き受ける 。

さあ 、 みんな 」

「 う 、 うん 」

「 そう だ な 。

アンタ が そう 言う の なら 」

みんな 落ちついて 避難 を 始めた 。

とりあえず 、 まだ 大丈夫だろう と 少し 離れた 港町 を 目指す 事 に なった 。

あそこ なら もしかしたら シケ でも 海 へ 逃げ られる かも しれ ない の と 、 亀裂 から 距離 が ある から 大丈夫だろう と 言う 話 だった 。

「 ガアアアアアアアアアアア !

だけど 私 達 の 願い は 届か なかった 。

「 く …… なんて 化け物 だ 」

三 つ の 頭 を 持った 、 とても 大きな 犬 の 化け物 が 村 に 走って きた 。

お 父さん と お 母さん が 善戦 する のだ けど 、 それ も 敵 わ ない 。

動き が とても 早く 、 お 父さん の 魔法 も 、 お 母さん の ナタ も 全く 当たら ない 。

「 ガアアアア !

ぶん と 乱暴に 振るう その 巨大な 爪 で お 父さん と 一緒に 戦って いた 村 の 人 が 吹き飛ばさ れた 。

変な 方向 に 関節 が 曲がって 地面 に 倒れて いる 。

え ?

あれ ?

うそ …… だ よ ね 。

「 わ 、 わ ああ ああ ああ ああ ああ ああ ああ あ ああ !

「 き ゃ ああ ああ ああ ああ ああ ああ ああ ああ !

村 の 人々 も パニック に なって 避難 で は 無く 、 滅 茶 苦 茶 に 逃げ 始める 。

だけど 村 の みんな は お 父さん 達 の 制止 を 聞か ず に 、 海 の 方 へ 逃げて 行って しまった 。

私 は パニック に なった みんな に 押さ れて 転んで しまう 。

「 待つ んだ みんな !

「 大丈夫 ?

お 母さん が 私 を 抱き 起こして くれた 。

だけど 、 その 顔色 は 悪い 。

あの 大きな 頭 が 三 つ も ある 犬 は 逃げ おくれた 村人 に 爪 や 牙 で とどめ を 刺して いく 。

「 こ 、 怖い ……」

私 が 怯えて いる と お 母さん が 頭 を 撫でて くれた 。

「 大丈夫 、 絶対 に 逃げ きれる から あなた は 安心 して いて 」

「 う 、 うん 」

お 母さん が 言う んだ から 大丈夫 …… だ よ ね 。

「 行く ぞ 」

お 父さん が 逃げる みんな を 追い かける 。

私 も お 母さん に 連れ られて 後 を 追った 。

村 の 人 達 は 我先に と 崖 の 方 へ 逃げて 海 へ と 飛び 込んで いく 。

それ に 追撃 を しかける か の ように 大きな 犬 は 追い 掛けて くる 。

そして 信じ られ ない 事 に 、 海 へ 逃げて 安全だ と 思って いた 村人 に 向かって 海 に 飛び 込んで 食らいついた 。

一瞬 で 海 が 赤く 染まる 。

「 わ 、 わ ああ ああ ああ ああ ああ ああ ああ 」

「 お 、 遅かった !

お 父さん が 普段 より も 怖い 口調 だった 。

私 は 怯え ながら みんな を 守る ため 大きな 犬 に 攻撃 を する お 父さん と お 母さん の 後ろ に 隠れる 。

「 ガアアアアア !

大きな 三 つ の 頭 を 持つ 犬 が 吠えて 海 から 飛び出して 私 達 の 前 に 立ちはだかった 。

逃げ られ ない ように 崖 を 背 に さ せて 。

「 く ……」

大きな 三 つ の 頭 を 持つ 犬 が 爪 で 襲い かかる 。

お 父さん が 放った 魔法 で 爪 を はじいた けれど 、 お 父さん の 肩 から 血 が 吹き 出た 。

え ?

「 あなた 、 大丈夫です か ?

「 ああ 、 大丈夫だ 。

だが ……」

後ろ は もう 崖 、 村 の 人 達 が 既に 崖 の 下 の 海 に 居る 。

先ほど の 攻撃 で 半数 以上 が ……。

「 ひ ぃ ……」

私 は 怯えて お 母さん の 背 に 掴ま って いた 。

みんな 必死に 泳いで いる 。

だけど 流れ が 速くて 留まって い られ ない 。 このまま じゃ 溺れちゃ う 。

「 ここ で 、 コイツ を ほって おいたら 、 追って くる だろう な 。

まだ 生きて いる 者 達 も 全滅 だ 」

「 はい ……」

「 迷惑 を 、 かける な 」

「 何 を 言って いる のです か 、 覚悟 の 上 です よ 」

お 父さん と お 母さん は それぞれ 話し あって 、 私 を 見つめる 。

「 ラフタリア 」

「 な 、 なあ に ?

お 母さん が 私 を 宥める ように 背中 を なでる 。

「 いつも 笑顔 で 、 村 の みんな と 仲良く ね 」

「 そう だ ぞ 、 お前 が 笑顔 に なる 事 で 、 みんな を 笑顔 に さ せる んだ 」

お 父さん が わたし の 頭 を 撫でる 。

「 ラフタリア …… これ から 、 お前 は きっと 大変な 状況 に なる と 思う 。

もしかしたら 死んで しまう かも しれ ない 」

「 でも ね 。

ラフタリア 、 それ でも 私 達 は 、 アナタ に 生きて いて 貰い たい の …… だ から 、 私 達 の ワガママ を 許して 」

ここ で わたし は 、 お 父さん と お 母さん に もう 会え なく なって しまう ような イヤな 胸騒ぎ が した 。

「 いや ぁ !

お 父さん !

お 母さん ! 離れ たく ない 。

だって 、 お 父さん も お 母さん も 、 見た 事 も 無い 悲しい 顔 を して いる 。

必死に 手 を 伸ばす 。

けれど ……

ドンと 、 お 母さん が 私 を 強く 突き飛ばし 、 崖 から 海 へ 落とした 。

ボコボコ と 泡 が 私 の 視界 を 埋め 尽くし 、 急いで 海 から 顔 を 出す 。

そして …… お 父さん と お 母さん に 向かって あの 三 つ の 頭 を 持つ 巨大な 犬 が 襲い 掛かる 瞬間 を 見て しまった 。

「 いや ああ ああ ああ ああ ああ ああ ああ ああ ああ ああ ああ ああ !

海流 に 流さ れ 、 私 は 必死に もがき 続けた 。

やがて 、 やっと の こと で 岸 に 辿り着いた の は 、 空 が 暗く なって 来た 頃 だった 。

「 は ぁ …… は ぁ ……」

岸 に は 私 と 同じく 生き延びた 村人 達 が いる 。

ただ …… 死んで しまった 者 も 流れ ついて いた ようだった 。

空 は 既に 普段 通り の 色合い に 戻って いた 。

何 が あった の か 、 この 時 の わたし に は わから なかった 。

少し でも 早く お 父さん と お 母さん に 会い たい 一 心 で 別れた 崖 へ と 急いだ 。

辺り に は バラバラに なった 骨 が 散らばって いる 。

既に 城 の 方 から の 援軍 や 、 冒険 者 さん が 魔物 を 退治 して 行った ようだった 。

そして …… 私 は …… あの 崖 に 戻って きた 。

その 場所 に は ……。

肉 片 と …… あの 化け物 の 死骸 が 、 転がって いた 。 それ を 騎士 と 冒険 者 が 運んで いる 。

何 が 起こった の か 、 なんとなく わかった 。

「 いや ぁ 、 弱って いて 助かった な 」

「 手負い だった ようだ し 、 どうにか なった な 」

冒険 者 と 兵士 が 呆然と する わたし に 気付く 。

「 なんだ この ガキ ?

捕まえる か ? 「 待て 、 ここ は 亜人 の 領地 だ ぜ ?

「 何 言って んだ 。

その 領主 は 死んで る よ 。 さっき 報告 が 来 ただ ろ 」

「 そう か 」

「 でも 手 を 出す な よ 。

どう なる か わかった もん じゃ ない 」

わたし が 前 に 出る と 兵士 と 冒険 者 は 道 を 開ける 。

そして わたし は 崖 の 先 に 行き …… 両親 だった 物 を 見 ながら 、 わなわな と 震えて 泣いた 。

「 いや ああ ああ ああ ああ ああ ああ ああ ああ ああ ああ ああ ああ !

どれ だけ の 時間 が 経った だろう 。

気 が ついた 時 、 私 は お 父さん と お 母さん の お 墓 を 作って いた 。

『 いつも 笑顔 で 、 村 の みんな と 仲良く ね 』

『 そう だ ぞ 、 お前 が 笑顔 に なる 事 で 、 みんな を 笑顔 に さ せる んだ 』

「 うん ……」

お 父さん と お 母さん が 命 を 掛けて 助け たかった 人 達 の 事 を 、 私 は 頼ま れた んだ 。

だ から …… 絶対 に 、 お 父さん 達 の 言いつけ は 守って 見せる から !

ここ で 泣き 続けちゃ ったら 、 お 父さん や お 母さん に 怒ら れちゃ う 。

「 もう 泣か ない よ …… 行く ね 」

わたし は 、 村 の 方 へ 歩き 出した 。

大人 は 少なく 、 子供 の 方 が 多い 。

「 ラフタリア ちゃん かい ?

「 うん ……」

「 お 父さん と お 母さん は 無事 かい ?

近所 に 住む お じいさん が 心配 そうに 声 を 掛けて くる 。

私 は 涙 が 出る の を 必死で 堪えて 首 を 横 に 振る 。

「 そうかい …… それ は ……」

お じいさん が 言葉 を 濁して いる 。

それ 以上 言う と 私 が 泣いて しまう と 思って いる のだろう 。

「 大丈夫 。

お 父さん 達 に 任さ れた の 、 こんな 時 こそ 私 は みんな を 励まして 行き なさい って 」

「 そうかい …… 強い 子 だ ね 」

「 え へ へ 」

わたし は 笑えて いる かな ?

大丈夫 、 私 が 泣いて ちゃ お 父さん 達 に 怒ら れちゃ う 。

「 みんな !

わたし は 大きく 声 を あげて 泣いて いる 子 達 の 注目 を 集める 。

「 悲しい の は わかる 。

わたし も …… そう だ けど 、 ここ で 泣いて いろ って お 父さん や お 母さん 、 兄弟 、 友達 は 言う の ? わたし の 言葉 に 村 の 子 や 大人 達 は 辛 そうに 顔 を 歪ま せる 。

わたし は 胸 に 手 を 当てて 前 に 出る 。

「 まだ 死んだ わけじゃ ない と 信じて いる 人 に も 言う わ 。

その 人 達 が 戻って きた 時 、 こんな 状態 の 村 の まん まだ ったら どう 思う ? うん 。

だって ここ は みんな の 村 な んだ もの 。 このまま で 良い はず が 無い 。

村 は 、 みんな で 作った 家族 だって お 父さん や 領主 さま が 言って た 。

「 とても 悲しい の は わかる 。

だからこそ 、 生き残った みんな で ここ を 再興 さ せ なきゃ いけない と 思う の 、 だって 、 みんな 家族 な んだ もん 」

そう 、 お 父さん は 何時も 言って た 。

村 の 人 達 を 家族 だ と 思える くらい 大切に し なさい って 。

だ から わたし は お 父さん の 言葉 を 継いで 村 の 人 達 を 大切に し たい と 思う 。

「 ね ?

お 願い 」

精一杯 の 笑み を 浮かべて わたし は みんな に 言い聞かせた 。

「 ラフタリア ちゃん ……」

「 ラフタリア ちゃん は 悲しく ない の !?」

「 親 が 死んだ のに 、 なんで 笑って んだ !

その 言葉 に わたし は 、 笑う の を 少し だけ やめる 。

泣か ない よ 。

だって 泣いたら 止まら なく なる もの 。

「 うん …… 悲しく なんか …… ない よ 」

泣いちゃ いけない 。

だって 、 わたし が 泣いたら 、 もう 誰 も 止め られ ない 。

「 そ 、 そう か 」

「 こんな 小さな 子 が 頑張って いる んだ 。

みんな !

頑張って 乗り越えて 行こう じゃ ない か ! 「 うん !

「 はい !

「 そう だ な !

ラフタリア ちゃん ! 俺 達 も 頑張る よ ! さっき まで 泣いて いた キール 君 が 元気に なって 言い放った 。

「 うん !

ヒラヒラ と 領主 さま が プレゼント した 村 の シンボル である 旗 が わたし の 前 に 降って くる 。

まるで 、 わたし の 言った 事 が 正しい と 言う か の ように 。

うん 、 これ は 何 か の …… 見守って くれて いる お 父さん や お 母さん 達 から の 贈り物 。

わたし が 旗 を 掴む と 、 村 の 大人 達 が 大きな 棒 を 持って きて わたし から 旗 を 受け取って くくりつける 。

「 これ は 天から の 思し召し !

さあ 、 皆 の 者 ! 村 を 再興 さ せ ようで は ない か ! 「「「 お ー !

」」」

こうして 、 みんな で 頑張って 村 を 再興 さ せよう と 心 を 一 つ に した の 。

バッ と わたし は 飛び起きる 。

ここ は …… 村 の 仮設 で 立てた テント の 中 だった 。

わたし の 家 は 燃えて 跡 かた も 残って い ない から 、 みんな と 一緒に 寝て いた んだった 。

夢 を 見て いた 気 が する 。

「 い 、 今 、 凄い 声 が 聞こえ なかった ?

お じいさん が わたし の 方 に 駆け寄って 聞いて きた 。

「 そう ?

「 ラフタリア ちゃん が 凄い 声 を 出して た よ ?

「 そう 、 なんだ ?

笑顔 を 作ら ない と 、 じゃ ない と みんな の 元気 が なくなっちゃ う 。

「 大丈夫 !

ちょっと 夢見 が 悪かった だけ 」

「 そ 、 それ なら 良い のだ けど 。

無理 し ないで ね 」

「 無理 なんて して ない から 心配 し ないで !

お 父さん 。

お 母さん 。

わたし 、 頑張る から ね 。

絶対 に ……。

壊れたり 焼け落ちた 家 は 後回し に して 、 修理 すれば まだ 住め そうな 家 を 重点 的に 補修 する 事 に した 。

他 に …… 浜辺 で 打ち上げ られた 村 の 人 達 の お 墓 作り に 人員 を 分けた 。

大人 達 が 頑張って 復興 に 力 を 注いで くれて いる 。

子供 も 一緒に なって 仕事 を 手伝う 。

ただ 、 食料 の 残り が 若干 不安に なって きて いる 。

一応 、 漁 を して 食料 調達 を しよう と 言う 話 を して いる のだ けど 、 海 が 荒れて いて 後回し に なった 。

「 後 は ……」

生き残り の 人数 を みんな で 数え あった 。

村 に 居た 人 の 四 分 の 一 しか い ない 。

それ でも 生き残れた 方 だ と 、 お じいさん は 言って いた 。

「 でも 、 わたし 達 は 生きて いる 。

ラフタリア ちゃん の 言う とおり だ よ 」

「 うん !

そんな …… わたし 達 の 頑張り は 、 無慈悲に 投げ 捨て られる の を この 時 の わたし は 知る 由 も なかった 。

「 わ !

何 を する んだ ! 村 に ぞろぞろ と 人相 の 悪い 人間 が やってきて 、 手始め に 大人 の 人 に 剣 で 切り 掛った 。

「 ひ ぃ !?」

「 な 、 なんだ お前 等 !

「 は は は 、 亜人 共 が 生き残って いる って 聞いた が 本当だった な 」

「 ああ 、 ここ は もう 保護 区 じゃ ねえ し 、 良い 金 稼ぎ に なる だ ろ ?

「 そう だ な !

オラァ !

お じいさん が 一 歩 前 に 出て 怒声 を 上げる 。

「 こんな 事 を して 領主 様 が 許す はず が 無い !

城 から の 兵士 が まだ この 近隣 に いる はずじゃ ! その 言葉 を 人相 の 悪い 人間 が 一斉に 笑い 始める 。

「 もう 死んで る 領主 の 事 なんて 恐れて どう す んだ よ 。

それ に ──」

ドスゥ っと …… 一瞬 の 出来事 だった 。

わたし は 腰 が 引けて 何 が 起こった の か 理解 が 追い付か なかった 。

お じいさん の お腹 に 、 人相 の 悪い 人 が 剣 を 突き たてて いた 。

「 え ……?

「 カハ ──」

「 その 兵士 が 俺 達 だって わかって る の か ?

「 わかって ねえ よ 、 こいつ 等 」

「 ち げ え ねえ 」

「「「 ハハハハハハ !

」」」

お じいさん が 血 を 吐いて 倒れ …… ピクリ と も 動か なく なった 。

わたし の 足元 に は 血 だ まり が 出来て いて ……。

「 わ 、 わ ぁ ああ ああ ああ ああ ああ ああ !

一瞬 で パニック に なった 。

わたし も 訳 が わから ず 、 その 場 から 走り 出す 。

「 逃す な !

年寄り や 男 は 殺せ ! 女 や ガキ は 売れる から 生け捕り に しろ ! そこ から 先 の 出来事 は 、 あんまり 覚えて い ない 。

「 いや ああ あ !

「 大人 しく しろ !

おりゃ ああ ! 「 あ 、 くう ……」

ただ 、 わたし は 髪 を 誰 か に 掴まれて 、 思い切り ぶた れた ような 気 が した だけ だった 。

お 父さん と お 母さん の 最期 を 悪夢 と して 見 続けて いる 。

あの 日 わたし は 奴隷 と して 捕まり 、 売ら れた 。

最初 は 、 ちょっと 優し そうな 人 だった 。

わたし を 小 間 使い に し たかった みたい 。 だけど …… 何 が 原因 か 分から ない けど 売ら れて しまった 。

その 次 が ……。

「 オラァ !

「 くう ──」

なんで ?

なんで こんな 酷 い 事 を する の ?

太った 人相 の 悪い 男 だった 。

わたし は 知ら ない 町 の 大きな 屋敷 の 下 に ある 牢屋 に 入れ られた 。

わたし と 同じ ように …… う うん 。

わたし より も 前 に リファナ ちゃん が この 男 に 買わ れて いた みたい 。

そして 毎日 、 男 の 気 が 向いた 時 に 鎖 で 宙吊り に さ れて 鞭 で 打た れた 。

何度 も 打た れ 、 皮膚 から 血 が 出て 、 それ でも ビシバシ と 打た れる 。

少し でも 言い 返したり 、 痛 がら ない と 、 奴隷 紋 と いう 胸 に 痛み の 走る 変な 文様 が わたし を 苦しめ 、 更に 鞭 で 打た れた 痛 み で 気 が 狂い そうに なる 。

でも 、 負け ない 。

お 父さん も お 母さん も 、 それ に ここ に い ない 皆 だって 耐えて る 。

だ から 、 何 が あって も 負け ない 。

「 ラフタリア ちゃん …… コホ 」

「 大丈夫 、 きっと 、 きっと 村 に 戻れる よ !

リファナ ちゃん は わたし と 再会 した 時 に は 既に 風邪 を 引いて いた 。

それ でも 男 は 、 リファナ ちゃん を 鞭 で 打つ 。

「 そう 、 だ よ 、 ね 。

うん 」

この 男 は わたし 達 に 何 を 望んで いる のだろう ?

こんなに 鞭 で わたし 達 を 打って …… 何 が 楽しい の ?

「 はっ !

まだ そんな 夢 みたいな 事 を 言って や がる の か ! バシン と わたし の 背中 に 赤い 血 しぶき が 生じた 。

痛み で 、 涙 が ボロボロ と 溢れて くる 。

「 もっと 泣き 喚 け !

「 う ぐう !

その 日 は より 一層 酷 く 、 拷問 さ れた 。

やっと 解放 さ れ 、 ボロボロ に なった わたし は 、 泥 の ように 地面 を 這い ず って 、 リファナ ちゃん の 看病 を する 。

ものすごく 臭くて 不 味 い 泥水 みたいな スープ が 今日 、 唯一 の ご飯 。

「 は ぁ …… は ぁ ……」

それ を リファナ ちゃん に 飲ま せて 今日 も 命 を 繋ぐ 。

大丈夫 、 そう 絶対 に 村 に 戻れる 。

だって …… みんな が 待って いる のだ から 。

「 待って て 、 わたし が 、 絶対 に 助ける んだ から 」

石 壁 の 石 で 五 月 蠅 すぎ ない 程度 に 格子 の 下 の 石 を 叩いて 少しずつ 壊す 準備 は 進んで いる 。

壊し きれば 潜 れる 筈 。 そう したら 逃げ 切れる !

「 あ 、 り が 、 とう ……」

「 うん !

みんな が 待って る もん ね ! わたし は お 父さん と お 母さん に 村 の みんな を 任さ れた んだ もん 。

それ に 、 きっと 村 の 人 達 が 助けて くれる 。

サディナ お 姉ちゃん は きっと みんな を 助ける ため に 来て くれる だろう し 、 それ まで 生き残れば 良い はずだ もん 。

「 ああ …… あの 日 が 、 懐かしい 、 ね 。

ラフ 、 タリ 、 ア ちゃん 」

横 に なった リファナ ちゃん が 震える 手 を 天井 に 伸ばす 。

「 ね ぇ ……?

領主 様 の …… 旗 …… 覚えて …… る ? 「 うん …… うん 」

リファナ ちゃん の 伸ばした 手 を 両手 で 強く 握る 。

覚えて る 。

皆 を 元気付けて くれた 旗 。

あの 、 何も なく 平和だった 日 が 懐かしい 。

だけど 、 あの 日 に なんて 戻れ ない 。

だ から 、 あの 日 の 安らぎ を わたし の 手 で 取り戻さ ない と ──。

「 コホ !

コホ ──」

三 日 目 ……。

カツ カツ と また あの 男 の 足音 が 聞こえて きた 。

「 リファナ ちゃん !

コホ !

また 、 あの 地獄 の 時間 が 始まる 。

わたし も リファナ ちゃん の 風邪 が 移って しまった 。 だけど 、 大丈夫 。

わたし は 壊して いる 最中 の 格子 を 濡れた 藁 で 隠す 。

「……」

リファナ ちゃん は まったく 返答 が 無い 。

「 リファナ ちゃん ?

カツ カツ と 男 が やってきて また 牢屋 の 戸 を 開け 、 リファナ ちゃん に 触れる 。

「…… 死んだ か 。

面倒だ な 」

男 が 乱暴に リファナ ちゃん の 片腕 を 持ち あげて 確認 し 、 言い放った 。

だ ら ー ん と した リファナ ちゃん は 、 虚 ろ な 目 で さ れる が まま に なって いる 。

「 そろそろ 返却 期日 だった が 、 死んで しまった か 、 違約 金 が 掛り おって !

と 、 まるで おもちゃ の ように 男 は リファナ ちゃん を 蹴り つけた 。

後 で 知る 事 な んだ けど 、 亜人 の 奴隷 を 拷問 して 苦しむ 姿 を 見る と いう 娯楽 が ある らしい 。

わたし 達 は 、 その 個人 使用 目的 の 貸し 与え の 悲鳴 奴隷 だった 。

「 ひ ぃ !?」

え ?

え ?

リファナ ちゃん ?

ねえ …… 嘘 だ よ ね 。

震える 手 で リファナ ちゃん に 触れる 。

恐ろしい ほど に 冷たい その 体 に わたし の 心 が 震え あがる 。

そんな 、 リファナ ちゃん !

悲しみ や 恐怖 、 理不尽に 対する 怒り 、 絶望 。

沢山の 負 の 感情 が 濁流 の 様 に 混ざって わたし の 心 を ぐちゃぐちゃに する 。

なんで ?

リファナ ちゃん は 何も 悪い 事 を して い ない のに !

「 お前 も 毎晩 毎晩 、 悲鳴 を 上げて 五 月 蠅 い んだ よ !

こ ち と ら 睡眠 不足 だ ! 「 い 、 ぐ …… リ 、 ファナ ちゃ 、 ん !

男 は わたし を 吊り上げ て 鞭打ち を 始めた 。

その 日 は 特に 長かった 。

だけど 、 わたし の 目 は ずっと リファナ ちゃん に 釘付け で 痛み なんて 飛んで しまって いた 。

「 ああ 、 そう そう 。

お前 は ずっと 帰る 村 が ある と 言って いた な 」

「……」

答える 必要 なんて ない 。

だって 、 みんな が 待って いる はずだ もん 。

「 とっくに 廃 村 に なって いる そうだ 。

これ が 証拠 だ 」

そう 言って 、 男 は 水晶 玉 を 掲げる 。

する と 水晶 玉 から 光 が 出て 、 壁 に 村 の 姿 を 映す 。

そこ に は …… わたし が 知る 村 より も さらに 酷 く なった …… 誰 も い ない 村 が 映し 出さ れて いた 。

旗 が 無残に も 焼き払わ れた 残骸 が 目立つ 証拠 と して ある 。

「 ああ 、 確か お前 が その 村 の 連中 を 励まして いた 子 だって 聞いた ぞ 。

みんな 村 を 棄 て て 、 逃げ 出した そうだ 」

「 あ ……」

男 が 残忍に 笑う 。

今 まで 全く 屈し なかった わたし が 、 初めて 見せた その 顔 に 満足 した ようだった 。

「 う …… うわ ああ ああ ああ ああ ……」

その 時 ── 何 か が ポキリ と 折れた 気 が した 。

もう 、 ダメな んだ 。

お 父さん と お 母さん に あれ だけ 任さ れた 事 だった のに 、 もう 、 村 に は 誰 も 残って い ない 。

じゃあ 、 わたし は …… どう したら 、 良い の ?

もう 、 何も わたし に は 、 残さ れて い ない んだ 。

「 もっと 泣け !

痛み で 頭 が おかしく なり そうだった 。

ぼんやり と 、 毎晩 見る 、 あの 悪夢 が わたし の 心 を 蝕んで いく 。

お 父さん と お 母さん の 最期 の 姿 が …… 更 なる 悪夢 に 変わって 行く 。

村 を 救え なかった お前 は 悪い 子 だ 。

笑う 資格 なんか ない 。 生きる 資格 なんか ない 。

死ね と 囁き 続ける 。

きっと …… そう …… もう 笑顔 に なれ ない から 。

笑顔 に なり たく ない から 。

だ から 、 約束 を 破って しまった わたし は ……。

いや 、 もしかしたら わたし を 拷問 する 期間 が 切れた の かも しれ ない 。

「 これ は 酷 い …… 買い取り 金額 は 相当 低い です よ 。

ハイ 」

「 どうせ 死に かけ だ 。

借用 だった が 、 損 耗 が 酷 く て 買い取り に なった 。 その 処分 で 引き取って 貰える だけ マシ だ 」

「 分かり ました です 。

ハイ 」

太った 紳士 服 の 人 が わたし を あの 男 から 買い取った 。

わたし を 売買 した 最初の 人 と は 違う 。

次の 飼い主 は この 人 ?

「 もう 少し 扱い 方 が ある でしょう に ……」

新しい 飼い主 は わたし に 薬 と 食べ物 を 分け 与えて くれた 。

「 コホ 、 コホ !

「…… あんまり 長持ち し そうに ないで す 。

ハイ 」

と 、 呟き ながら 飼い主 は わたし を 檻 に 入れる 。

もう …… わたし に 存在 価値 なんて 無い 。

だって 、 守る べき 村 は 無くて 、 お 父さん も お 母さん も 死んじゃ って 、 わたし に 死ね と 言う んだ もん 。

苦しい 。

早く 、 死に たい 。

どれ だけ の 時間 が 経った だろう 。

ぼんやり と した 意識 の 中 で 、 わたし の 前 を 色々な 人 が 通り 過ぎて 行く 。

そして ……。

「 ここ が ── 様 に 提供 できる 最低 ライン の 奴隷 です な 」

若い 男性 を 連れた 飼い主 が 檻 の 前 で 何 か 話して いる 。

「 左 から 遺伝 病 の ラビット 種 、 パニック と 病 を 患った ラクーン 種 、 雑種 の リザードマン です 」

「 どれ も 問題 を 抱えて いる 奴 ばかり だ な 」

男 の 人 が 飼い主 と 交渉 を して いる 。

その 最中 、 ふと 目 が 合う 。

睨ま れた だけ で 殺さ れ そうな 程 、 鋭い 眼光 だった 。

咄嗟に わたし の 喉元 から 空気 が 漏れ 出る 。

直 に その 瞳 は 他の 二 人 の 方 に 注が れた けど 、 凄く 怖かった 。

わたし を 鞭 で 打った 人 と は 比 で は ない 程 、 憎しみ に 溢れて いた 。

まるで 世界 の 全て を 憎んで いる みたい 。

この 人 に 買わ れたら わたし は 直 に 死んじゃ う んだろう な ……。

「── 夜間 に パニック を 起し ます 故 、 手 を 拱いて いる のです 」

わたし の 事 を 言って いる の か な ?

わから ない 。

だけど 、 結局 わたし は 買わ れた 。

奴隷 紋 の 登録 は いつも 痛くて イヤ 。

だけど 、 きっと この 人 が わたし の 最後 の 飼い主 な んだ と 思う 。

どうせ …… わたし は もう 長く ない 。

凄く 怖かった 。

だけど 、 刺さ なきゃ もっと 痛い 。

武器 を 扱って いる お 店 から 出る と 、 お腹 が 鳴った 。

また 怒ら れる !

違う と 横 に 顔 を 振る 。

違う の 、 違う から 怒ら ないで 、 鞭 で 打た ないで !

「 は ぁ ……」

溜息 で 返さ れた 。

なんで ?

怒って 無い の ?

そのまま 、 飼い主 は 別の 店 に わたし を 連れて 行く 。

そこ は ご飯 を 売って いる お 店 だった 。

町 で 見た 覚え が ある 。

定食 屋 さん だ 。

「 えっ と 、 俺 は この 店 で 一 番 安い ランチ ね 。

こいつ に は 、 あそこ の 席 に いる 子供 が 食べて る メニュー で 」

「 え !?」

ふと 、 羨ま し い な ぁ と 見て いた 物 を 飼い主 は 注文 して くれた 。

わたし は 耳 を 疑う 。

だって 、 村 の 外 の 人 は 酷 い 人 ばかり 。

なのに 、 なんで ?

「 なん 、 で ?

「 ん ?

「 お前 が 食い たい って 顔 して た から だ ろ 。

別の を 食い たかった か ? わたし は 首 を 振った 。

「 なん 、 で 、 食べ させて くれる の ?

だって 、 そんな 事 、 奴隷 に なって から 誰 も して くれた 事 無い 。

「 だ から 言って る だ ろ 、 お前 が 食べ たい って 顔 して いる から だ 」

「 でも ……」

「 とにかく 飯 を 食って 栄養 を つけろ 。

そんな ガリガリ じゃ この先 、 死ぬ ぞ 」

死 …… そうだ 。

わたし は 、 きっと 死ぬ 。 リファナ ちゃん を 死な せた 病 で 、 きっと 。

「 お 待た せ し ました 」

わたし の 目の前 に 、 旗 の 付いた 豪華な ご飯 が 運ば れて きた 。

羨ま し い と 見て いた 物 が 目の前 に ある 。

だけど 、 きっと 、 食べよう と した 瞬間 に 床 に ぶちまけ られて 、 この 人 は 笑う んだろう な ぁ 。

「 食べ ない の か ?

手 を 伸ばさ ない わたし に この 人 は 、 首 を 傾げて 聞いて くる 。

「…… 良い の ?

「 は ぁ …… 良い から 食べろ 」

うん 。

たぶん 、 やる はず 。 恐る恐る 手 を 伸ばす 。

チラリ と 飼い主 を 見る 。

何も する 気配 が 無い 。

ご飯 に 手 が 触れた 。

わたし は 旗 を 抜いて 、 達成 感 に 満ち 溢れた 。

この 旗 が あれば 、 他 に は 何も いら ない か の よう に 満足だった 。 村 に 戻れた 様 な 気 が した 。 失わ れた 旗 が 戻って きた ような 、 気 が した 。

その 旗 を 握りしめて 久しぶりの 豪華な ご飯 を 貪り 続けた 。

その 美味し さ に 涙 が 溢れて くる 。

泣いて いたら 怒ら れる 。

必死に 隠して 平静 を 装わ ない と 。

「 美味 いか ?

「 はい !

しまった !

元気に 答えちゃ った 。 きっと 喜ぶ わたし に 酷 い 事 を する つもりな んだ !

「 そう か 、 良かった な 」

と 、 飼い主 の 言葉 に わたし は 首 を 傾げた 。

手 に 持った 旗 から 暖かい 何 か が 滲み出て くる 気 が する 。

領主 さま が くれた 、 あの 時 の 旗 と 比べれば 遥かに 小さくて 安っぽい 物 だ けど 、 わたし が 失って しまった 物 が ぎゅっと 凝縮 して いる 様 な …… 大切な 物 を 思い出さ せて くれる 。

男 の 人 を 見る 。

相変わらず 怖い 顔 を して いる けれど 、 今 まで と は 何 か が 違う と 思った 。

この 人 は …… 何 か 違う の ?

声 や 目 は とても 怖い の に 優しい 人 な の ?

わたし の 中 で は 疑問 が 溢れて いた 。

薬 を 飲ま さ れた し 、 色々 歩き まわら さ れた 。

だけど 、 もっとも 大きな 違い が 一 つ ある 。

今 まで わたし を 苛 んで いた 悪夢 が …… 違って いた 。

「 ラフタリア 」

お 父さん と お 母さん が あの 崖 の 上 に 立って いる 。

「 お 父さん !

お 母さん ! わたし は 無我夢中 で 駆け寄る 。

会い たかった 。

ずっと 一緒に いたかった 。

ダメな のに 、 お 父さん お 母さん の 前 で は ダメな のに 、 瞳 から 勝手に 涙 が 溢れて くる 。

「 大丈夫 …… 大丈夫 よ 」

「 泣いちゃ ダメだ よ 。

強く なる んだ 」

「 う う …… でも 」

泣き 続ける わたし を お 父さん と お 母さん は 優しく 、 宥めて くれる 。

「 私 達 は いつでも お前 を 見守って いる よ 」

「 ええ 、 どう か 、 幸せに ね 」

「 でも ──」

「 きっと 、 大丈夫 、 その 人 は ……」

わたし は そこ で 夢 から 覚める 。

驚いた 事 に 飼い主 が わたし を 抱きかかえて 慰めて くれて いた 。

…… 悪い 人 じゃ ない みたい 。

それ に 、 わたし を いたずらに 傷つけたり し ない 。

凄く 不器用で 口 も 悪い けど 、 優しい の が わかる 。

わたし の お腹 が 空いたら あまり お 金 が 無い のに ご飯 を くれる し 、 薬 を 飲ま せ 、 自分 より も 優先 的に 装備 品 を 持た せて くれる 。

この 時 の わたし の 心 に 芽生えた 不思議な 気持ち …… まだ 新芽 の 様 な 何 か が 、 何 である か は いずれ 、 わかる 事 に なる 。

そして 、 この 人 が 誰 な の か を わたし は 直 に 知る 事 と なった 。

憎しみ に 染まった …… 悲しい 色 を した 黒い 瞳 を した 人 。

乱暴で 、 口 が 悪くて 、 直 に 怒る 、 とっても 怖い 人 。

だけど 、 誰 か の 痛 み を 知って いる …… とても 、 とっても 優しい 心 を 持った 人 。

そう 、 わたし の ご 主人 様 は リファナ ちゃん が 憧れて いた …… 盾 の 勇者 様 だった のだ 。

全て を 失った わたし の 宝物 が 増えて 行って いった 。

「 え へ へ 」

勇者 様 が くれた 袋 に 宝物 を 詰めて 私 は 笑う 。

ボール でしょ 。

壊れた ナイフ でしょ 。 他 に も 色々 と くれる 。 だけど 一 番 の 宝物 は あの 旗 。

他 に も 袋 に は 入って い ない けど 暖かい 物 を 沢山 もらった 。

体 も 元気に なって 、 少しずつ 強く なって いる 自覚 が 出て きた 。

「 ほら 、 飯 だ ぞ 」

「 は ー い 」

リファナ ちゃん 。

聞こえて いる かな ?

私 、 盾 の 勇者 様 と 一緒に 戦って いる んだ よ ?

きっと 、 驚く よ ね 。

その 日 も わたし は 夢 を 見る …… とても 良い 夢 。

死んだ はずの リファナ ちゃん が わたし の 前 に 居て 、 笑って いる 。

そして これ まで の 話 や 他 愛 ない 話 を した 。

「 ラフタリア ちゃん 。

頑張って 」

「 頑張る よ 」

「 良い な ー …… 盾 の 勇者 様 と 一緒 なんて ー 」

「 う ふ ふ 、 羨ま し い でしょう 」

「 あ 、 ひ っ ど ー い !

夢 の 中 の リファナ ちゃん は まったく 辛 そうに なんて して い ない 感じ で 、 わたし に 微笑み かける 。

「 見守って る から ね 」

「 うん 」

「 あの 旗 の ある 村 へ 、 帰ろう ね 」

「 うん 。

絶対 に 、 取り戻す から ! どう か お 父さん と お 母さん が いる 場所 から 見守って いて 。

絶対 に 生き残って あの 村 を 再建 さ せる んだ から 。

わたし 達 を 攫 ったり する 悪人 を 懲らしめる 強 さ が 欲しい 。

残酷で 苦しい 、 悪意 に 満ちた 世界 だ けど 、 わたし は 諦め ない 。

もう 誰 も 失い たく ない 。

お 父さん と お 母さん 、 リファナ ちゃん を 、 そして ナオフミ 様 を 守れる 様 に なる 。

その 為 に わたし は 、 私 は …… 歩き 続ける 。

ま 、 後 数 日 は リユート 村 に 滞在 する 予定 で は ある 。

俺 は 村 に 来た 行商 に 薬 を 売って 、 部屋 に ちょうど 帰って きた 。

ラフタリア が 色々な 手 荷物 を 整理 して いる 。

前 に 買った ボール 、 ラフタリア が 最初に 着用 して いた 服 を 綺麗に 畳んで 荷物 袋 に 収めて いる ようだ 。

その 中 に 汚れた お 子 様 ランチ の 旗 が ある 。

ラフタリア は まだ 俺 が 部屋 の 扉 を 開けた 事 に 気付いて い ない みたいだ 。

気 が 付か ない ラフタリア は 汚れた 旗 を 、 ゴミ と して 捨てる どころ か 大切 そうに 手 に 持って 。

「 え へ へ 」

と 、 なんか 楽し そうに 声 を 出して いる 。

そう か …… ラフタリア は お 子 様 ランチ の 旗 が そんなに 好きな の か 。

なら 戦力 と なる ラフタリア に はやる 気 を 出して 貰わ ねば なら ない 。

でないと 波 を 上手く 乗り越え られる か わから ん から な 。

「 あ 、 ナオフミ 様 」

俺 が 帰って きた 事 に 気付いた ラフタリア は 旗 を 荷物 袋 に 閉 しまって 平静 を 装う 。

「 今 帰った 」

「 どう でした ?

「 売上 は 上々だ な 」

いつも の ように 会話 を して いる と 、 俺 は とある アイデア を 閃 いた 。

これ さえ あれば ラフタリア も 喜んで 食事 を 楽しみ 、 戦って くれる だろう 。

今日 は 豪快に 鉄 串 を 刺して 串 焼き だ 。

「 大分 焼けて き ました ね 」

「 そう だ な 」

俺 は 美味 い か どう か 、 味覚 が 無い から よく わから ない けれど 、 見た目 と 匂い で なんとなく 判断 する 。

薬草 の 中 に ある 香 草 っぽい もの で 肉 の 下ごしらえ を して いる から 、 スパイシー な 良い 匂い が 辺り に 漂って きた 。

さて 、 そろそろ だろう 。

俺 は 焼き 上がった 鉄 串 を 持ち 、 荷物 袋 から 、 昨晩 作った 自作 の 旗 を 串 焼き の 肉 に 刺した 。

「 え !?」

「 ほら 、 ラフタリア 。

お前 の 分 だ 」

俺 の 世界 の 国旗 だ 。

覚えて いる 国旗 は 複数 ある から 種類 は 増やせる だろう 。

「 あの …… な んです か これ ?

「 何 って 旗 だ が ?

まあ 、 確かに 旗 を 付け られたら おかしい と は 思う かも しれ ない 。

だけど ラフタリア は どうやら 旗 が 好きな ようだ から 与える 。

ん ?

更に 名案 が 閃 いた ぞ 。

「 俺 自作 の 旗 で は 不満 か 。

では この 旗 を 七 つ 集めたら 城下町 の あの 店 で 旗 の 付いた ランチ を 注文 して やろう 」

「 いえ 、 不満で は 無い で す けど ……」

「 なら 存分に 食う と 良い 」

「 はい ……」

やはり 俺 の 自作 じゃ 不満 か 。

と は いい つつ 、 旗 を 取った ラフタリア は 機嫌 良く 串 焼き を 頬張り 始める 。

そして 旗 を 空 に 掲げて とても うれし そうだった 。

うん 。

やはり ラフタリア は 旗 が 好きな んだ な 。

「 さて 、 腹 ご なし も 済んだ し 、 そろそろ Lv 上 げ を 再開 する か 」

「 はい !

と 、 その 日 の 夕方 まで 俺 たち は 近隣 の 魔物 を 狩り 、 同時に 薬草 の 採取 を 続けた 。

なんだか んだ 言って 疲れて きた 。

味 は わから ない が 良い 物 を 食わ ない と 体 が 持た ない こと を 俺 は 知って いる 。

ラフタリア に も 精 の 付く 物 を 食って 貰わ ない と 。

筋肉 が 付か ない だろう し 。

タダ で さえ やせ 気味な んだ 。

万 年 腹 ペコ の ようだ し 、 下手に ケチ って も 良い 事 は 無い 。

「 お 待た せ し ました 」

酒場 で 出て くる ランチ を ラフタリア は 目 で 追って いる 。

コト っと 俺 達 の 前 に ランチ が 置か れ 、 店員 は 次の 客 の 応対 を 始める 。

「 では いただき ます 」

「 あ 、 ちょっと 待て 」

「 な んです か ?

最近 は ラフタリア も テーブル マナー を 覚えて きて 上品に なって きて いる ような 気 が する 。

手掴み で 食べて いた の が ウソ の ようだ 。

俺 は 懐 から 旗 を 取り出して ランチ に 刺した 。

どうせ 近々 城下町 に 行く んだ 。

それ まで の 間 に 旗 を 増やして やった 方 が 良い 。

「 えっ と ……」

楽し そうに 食べよう と して いた ラフタリア の 表情 が 曇る 。

「 どうした ?

ああ 、 衛生 観念 的に イヤ と いう 奴 か ?

ワガママ な 奴 だ な 。

そして 夜食 の 時間 。

最近 は あまり 空腹で 目覚める 事 は 無かった けれど 、 調合 中 に ラフタリア は 目 を 覚ました 。

「 なんだ ?

腹 が 減った の か ? 「 ああ …… はい 」

昼間 に 焼いて おいた 串 焼き を 取り出して 旗 を 刺そう と した 所 で ラフタリア は 俺 の 手 を 握る 。

「 なんだ ?

「 あの …… もう 結構です 」

「 どうした ん だ ?

旗 が 好きな の か と 思った のだ が 」

「 好き か 嫌い か と 言わ れれば 好きです けど 、 こう ボンボン 渡 さ れて も ……」

ああ 、 なるほど ね 。

時々 貰える から 嬉しい 物 であって 、 毎度 貰える と ありがた み も 薄れる と いう 訳 か 。

俺 も うっかり して いた 。

本人 に しか 分から ない 希少 価値 と いう 奴 だ 。

「 それ は すま なかった 」

「 はい 」

ならば 、 希少 価値 さえ 見いだせれば 嬉しい と いう 事 だ 。

どう する ?

奴隷 の 精神 状態 の ケア くらい して おか ない と 戦い に 支障 を 来す ぞ 。

なるほど 。

旗 は 好きだ が 、 食べ物 に ついて いる 旗 が 好きな わけで は ない の か 。

「 では これ から 、 ラフタリア が 十分 、 役 に 立った と 思ったら 旗 を 進呈 しよう 」

「 は ?

「 金 の 変わり だ 。

旗 が 七 つ 集まったら 、 一 日 休み を やる 。 存分に 遊んで 来い 」

「 そういう 意味 で 断った 訳 じゃ ないで す 」

む う …… ラフタリア も 頑固だ な 。

「 じゃあ どう すれば いい んだ ?

「 ナオフミ 様 。

私 は その …… 別に 旗 が 好きだ と いう 意味 で 大切に して いる 訳 じゃ ない のです よ 」

「 そう な の か ?

「 なんと 言い ます か …… その …… です ね 」

あれ は お 子 様 ランチ 。

子供 である ラフタリア は きっと 両親 と 一緒に 同じ ように 外食 で 食べ させて もらえて いた の かも しれ ない 。

だ から 過去 を 振り返って 、 思い出 の 旗 と 比べて いる の か 。

「 皆 まで 言う な 、 わかった 。

親 と の 思い出 な んだ な ? 「 えっ と 」

ラフタリア は 目 を 泳が せて から 、 諦めた か の よう に 頷く 。

「 はい 。

そういう 事 に して おいて ください 。 似た ような もの です から 」

違う の か ?

どうも 気難しい 奴 だ な 。

ああ 、 そう 言えば 、 頭 に 旗 を 付けた 古い アニメキャラ が 居た な 。

俺 は 旗 を 改造 して 頭 に 付け られる よう 細工 し 、 ラフタリア の 頭 に 乗せる こと に した 。

「 後 は 語尾 に ダジョー って 付ける と 良い 」

「 あの …… 何の 冗談 です か ?

「 旗 好きな キャラクター …… 物語 の 登場 人物 の 真似 だ 」

「 怒り ます よ ?

ダジョー …… です か ? …… ふむ 、 冷静に 考えたら 俺 も やり すぎ だ と 思う 。

正直 くどい な 。 しかも 古い 。

「 本当に 悪かった 」

「 はい 」

「 じゃあ 旗 は 処分 だ な 」

「 いえ …… 今回 まで で 良い です から 下さい 」

「 む 、 わかった 」

ラフタリア は 俺 から 旗 を 受け取る と そのまま 荷物 袋 に 仕舞う 。

「 この 旗 は 色々な 種類 が ある ようです が 、 何 処 の 旗 な のです か ?

「 俺 の 世界 の 国旗 だ 」

「 いっぱい あり ます ね 」

「 色々な 国 が ある から な ぁ ……」

「 ナオフミ 様 の 世界 って 、 どんな 所 な んです か ?

ラフタリア に 尋ね られて 、 俺 は 元 の 世界 に 戻る 夢 を 描く 。

ああ …… 懐かしい 。

つまらない 日常 だ と 思って いた あの 日々 が こんなに も 恋しい と は 思わ なかった 。

「 そう だ な …… まず 魔物 と か は い ない な 。

Lv と か の 概念 も 無い 」

「 そう な のです か !?」

「 あと 亜人 は い ない 。

奴隷 制度 は あった けど 、 今 じゃ 廃れて いる ――」

と 、 俺 は 深夜 、 ラフタリア に 故郷 である 日本 の 話 を 聞か せる 。

「 そのような 世界 が ある のです か 」

「 ああ 、 俺 の 世界 は そんな 世界 だ 」

「 一 度 で いい から 行って みたいです 。

そんな 平和で 、 平凡な 世界 を 」

「 ラフタリア は 住み 辛い と 思う ぞ 」

見世物 に さ れて しまう だろう 。

安易に 哀れな 未来 が 想像 できる 。

「 それ でも …… 私 は 行って み たい と 思い ます 」

「 じゃあ もしも 行けたら 、 俺 の 世界 の お 子 様 ランチ を 奢 って やる よ 」

「 約束 です よ ?

「 ああ 」

叶う か どう か わから ない 約束 を 、 俺 は ラフタリア と した のだった 。

ゲーム と 読書 好き が 高じて 、 小説 を 書き 始める 。

『 盾 の 勇者 の 成り 上がり 』 を 執筆 し 、 ネット 上 に 作品 を 公開 。

作品 発表 後 、 連日 欠かす こと なく 更新 する こと で 病み付き と なる 読者 が 続出 し 話題 と なる 。

2013 年 8 月 「 MF ブックス 」 から 商業 デビュー 。

「 どん底 から どこまでも 出世 して 行き ます 」 と 語る 。

©2013 Aneko Yusagi

本書 は 投稿 小説 サイト 「 小説 家 に なろう 」( http :// syosetu . com /) に 発表 さ れた もの を 加筆 の 上 書籍 化 した もの です 。


盾の勇者の成り上がり 01 Chapter 26 たて の ゆうしゃ の なり あがり|chapter Der Aufstieg des Schildhelden 01 Kapitel 26. The Rise of the Shield Hero 01 Chapter 26 Rise of the shield hero 01 Capítulo 26. Powstanie bohatera tarczy 01 Rozdział 26. Rise of the shield hero 01 Глава 26. 盾之勇者成名录 01 第 26 章 盾之勇者成名錄 01 第 26 章

番外 編   お 子 様 ランチ の 旗 ばんがい|へん||こ|さま|らんち||き Extra edition Children's lunch flag

「 行って き ま ー す ! おこなって|||-| " I'm off, see you lateeer !

「 お 昼 まで に は 戻って くる の よ ー 」 |ひる||||もどって||||- "I'll be back by noon."

「 は ー い 」 |-| " Yes "

今日 は 凄く 良い 天気 ! きょう||すごく|よい|てんき Very good weather today!

わたし は お 母さん に 出発 の あいさつ を して から 村 の 広場 で 待って いる キール 君 達 の 所 へ 向かう 。 |||かあさん||しゅっぱつ||||||むら||ひろば||まって|||きみ|さとる||しょ||むかう I say hello to my mother, and then head to Kiel, who is waiting at the village square.

「 おお 、 ちゃんと 来た な 」 ||きた| "Oh, you came right"

「 うん 」

キール 君 が 犬 に 似た 耳 を ピコピコ と 動かし ながら わたし を 待って いた 。 |きみ||いぬ||にた|みみ||||うごかし||||まって| Kiel was waiting for me with his ears resembling a dog.

もう 他の 子 達 も 集まって いる 。 |たの|こ|さとる||あつまって| Other children have already gathered.

「 今日 は サディナ 姉ちゃん が い ない から 海 に 行っちゃ ダメ だって さ …… 別に 大丈夫 だって 言った のに さ 」 きょう|||ねえちゃん|||||うみ||おこなっちゃ|だめ|||べつに|だいじょうぶ||いった|| "I don't have to go to the sea today because I don't have Sadina unnie, but ... I told him I was all right."

「 でも キール 君 、 この 前 溺れ かけて た じゃ ない 」 ||きみ||ぜん|おぼれ|||| "But Kiel wasn't drowning just before."

「 う 、 うる せ え な 。 "Well, no way.

だから 今日 は 草原 の 方 へ 遊び に 行こう ぜ 」 |きょう||そうげん||かた||あそび||いこう| So let's go to the grassland today! "

「 うん !

みんな して 頷く 。 ||うなずく Everyone nodded.

「 じゃあ 出発 な ! |しゅっぱつ| Then let's go!

お前 も ちゃんと 付いて こい よ 」 おまえ|||ついて|| You should follow me as well."

「 わたし を 誰 だ と 思って いる の ? ||だれ|||おもって|| "Who do you think I am?

走る の は 得意な んだ から ! はしる|||とくいな|| I'm good at running! みんな で 競う ように 草原 に 向かって 走り 出す 。 ||きそう||そうげん||むかって|はしり|だす They all race to the meadow and start running.

これ でも わたし は 走る の が 大 得意 。 ||||はしる|||だい|とくい But I'm still a great runner.

駆けっこ じゃ この 中 で 一 番 早い キール 君 と おんなじ くらい 早く 走れる んだ から 。 かけっこ|||なか||ひと|ばん|はやい||きみ||||はやく|はしれる|| I can run as fast as Kiel, who is the fastest in this race.

ダッ と 走って 行く と みんな 私 の 後ろ を ついて くる 。 ||はしって|いく|||わたくし||うしろ||| I dash and run, and everyone follows me.

「 やっぱり 早い な ぁ ── ちゃん 」 |はやい||| "It's really early, ──chan."

「 腕 を 前 に 出して 少し でも 前 に 出よう って 意識 する と 早く 走れる ように なる んだ よ 」 うで||ぜん||だして|すこし||ぜん||でよう||いしき|||はやく|はしれる|||| "If you put your arms out in front of you and try to move forward even a little, you'll be able to run faster."

と 、 足 の 遅い 子 に 早く 走る コツ を 話して いる と 近く の 草原 に 着いた 。 |あし||おそい|こ||はやく|はしる|こつ||はなして|||ちかく||そうげん||ついた While I was talking to a slow-footed child about how to run fast, I arrived at a nearby grassland.

お 父さん 達 は 魔物 が 出る から 気 を つけ なさい と 言って いた けど 、 今 まで 危険な 魔物 に なんて 会った 事 無い もん 。 |とうさん|さとる||まもの||でる||き|||||いって|||いま||きけんな|まもの|||あった|こと|ない| My father told me to be careful because there are monsters out there, but I've never met a dangerous monster before.

「 今日 は 何 する ? きょう||なん|

「 く っ そ ー 。 |||- Damn.

負けた 。 まけた Lost. ぜ って ー 追いついて やる 」 ||-|おいついて| I'll definitely catch up with you."

キール 君 が わたし に 向かって ムキ に なって 睨んで くる 。 |きみ||||むかって||||にらんで| Keir glares at me, getting very angry.

ふ ふん 。

今日 の わたし は とても 調子 が 良い んだ もん 。 きょう|||||ちょうし||よい|| I'm feeling really good today.

「 じゃあ 今日 の 遊び は 鬼ごっこ で 良い ? |きょう||あそび||おにごっこ||よい "Then is it okay if we play tag today?

「 お うよ !

「 うん !

みんな 、 わたし の 提案 に 頷いた 。 |||ていあん||うなずいた Everyone nodded at my suggestion.

「 鬼 は 俺 だ ! おに||おれ| I'm the devil!

絶対 に 追いついて やる から な 」 ぜったい||おいついて||| I'll definitely catch up with you."

「 負け ない よ ー ! まけ|||- I won't lose!

負けず嫌いだ な ぁ キール 君 は 、 でも そこ が 魅力 的だ よ ね 。 まけずぎらいだ||||きみ|||||みりょく|てきだ|| You're so competitive, Kiel-kun, but that's what makes him attractive.

「 あ は は は は ー 」 |||||-

「 く っ そ ー 。 |||-

待て ー ! まて|- Wait! なんか キール 君 が 凄く ムキ に なって 私 ばかり 追い かけて くる 。 ||きみ||すごく||||わたくし||おい|| For some reason, Kiel-kun got really angry and chased after me.

やがて 二 人 揃って 疲れちゃ った 頃 に みんな で 休憩 を する 事 に なった 。 |ふた|じん|そろって|つかれちゃ||ころ||||きゅうけい|||こと|| Eventually, when the two of us got tired together, we decided to take a break together.

「 次 は 何 を しよう か な ? つぎ||なん|||| "What should we do next?

「 みんな は まだ 遊べる よ ね 」 |||あそべる|| "Everyone can still play, can't they?"

「 お 手伝い は し なくて も 大丈夫だ よ 」 |てつだい|||||だいじょうぶだ| "It's okay if you don't need help."

なんだか んだ で みんな 家 の 手伝い で 忙しく なる 時 が ある 。 ||||いえ||てつだい||いそがしく||じ|| For some reason, there are times when everyone is busy helping out at home.

わたし だって お 母さん と 一緒に ご飯 を 作る お 手伝い を して いる もん 。 |||かあさん||いっしょに|ごはん||つくる||てつだい|||| Even I help my mother cook rice.

「 もう 一 回 鬼ごっこ だ 」 |ひと|かい|おにごっこ|

「 もう 疲れちゃ った ー 少し 休ま せて よ 」 |つかれちゃ||-|すこし|やすま|| "I'm already tired - let me rest a little."

キール 君 が 元気 過ぎて 困っちゃ う 。 |きみ||げんき|すぎて|こまっちゃ| I'm in trouble because Kiel-kun is too energetic.

さすが は 男の子 だ よ ね 。 ||おとこのこ||| It's just like a boy, isn't it?

「 ち っ …… じゃあ まだ 元 気 の ある 奴 等 で かくれんぼ な 」 ||||もと|き|||やつ|とう|||

「 おう !

男の子 達 が 揃って 立ち 上がり 、 遊び を 再開 する 。 おとこのこ|さとる||そろって|たち|あがり|あそび||さいかい| All the boys stood up and resumed playing.

「 元気 ね ー 」 げんき||-

「 そう ね ー 」 ||-

近所 の リファナ ちゃん が わたし と 一緒に 微笑 ま しく 男の子 達 を 見つめ ながら 同意 した 。 きんじょ|||||||いっしょに|びしょう|||おとこのこ|さとる||みつめ||どうい| Rifana-chan, who lives next door, agreed with me, looking at the boys with a smile.

「 ねえ ねえ 。 "Hey, hey, hey.

村 の 中 で 好きな 子 いる ? むら||なか||すきな|こ| Do you have a favorite child in the village? 「 ん ー ……」 |-

なんだか んだ で わたし 達 は 恋愛 と いう もの が 気 に なる 年頃 に 差し掛かって いた 。 ||||さとる||れんあい|||||き|||としごろ||さしかかって| For some reason, we were approaching the age where we started to worry about romance.

村 で は 年上 の お 姉さん 達 が 、 誰 と 付き合って いる か と か 、 誰 と 結婚 する んだ と か 囁き 合って いて 、 自然 と 私 達 も 興味 が 湧いて 来て いる 。 むら|||としうえ|||ねえさん|さとる||だれ||つきあって|||||だれ||けっこん|||||ささやき|あって||しぜん||わたくし|さとる||きょうみ||わいて|きて| In the village, older sisters whispered to each other about who they were dating and who they were going to marry, and naturally we became interested as well.

「 お 父さん みたいな 人 かな ー 」 |とうさん||じん||- "Is he like my father?"

「 そう じゃ なくて おんなじ くらい の 年齢 だったら 」 ||||||ねんれい| "No, if only we were the same age."

「 うーん 」

鬼ごっこ に 夢中に なって いる キール 君 達 に 目 を 向ける 。 おにごっこ||むちゅうに||||きみ|さとる||め||むける I turn my attention to Kiel-kun and the others who are absorbed in playing tag.

なんだか んだ で カッコいい の は キール 君 だ よ ね 。 |||かっこいい||||きみ||| Somehow, Kiel is the coolest one.

顔 も 整って いる し 。 かお||ととのって|| I also have a nice face. だけど 、 自分 で 言う の も な んだ けど わたし は あんまり 鏡 で 見る 自分 の 容姿 に 自信 が 無い 。 |じぶん||いう|||||||||きよう||みる|じぶん||ようし||じしん||ない However, I don't know if I should say this myself, but I don't have much confidence in my appearance in the mirror.

近く の 町 へ 行く と 同い年 位 でも かわいい 子 が 沢山 いて 、 それ は 成長 する に つれて 如実に 表れて くる 。 ちかく||まち||いく||おないどし|くらい|||こ||たくさん||||せいちょう||||にょじつに|あらわれて| If you go to a nearby town, you will see many cute kids your age, and it really shows as they grow up.

私 の 種族 って あんまり 顔 は 良く ない らしい し ー ……。 わたくし||しゅぞく|||かお||よく||||- My race doesn't seem to have a very good face...

でも お 父さん は カッコいい し 、 顔 も 良い 。 ||とうさん||かっこいい||かお||よい But my dad is cool and has a nice face.

私 も お 父さん 似 に なり たい な ぁ 。 わたくし|||とうさん|に||||| I want to be like my father too.

お 母さん は みんな に かわいい って 言わ れて る 。 |かあさん||||||いわ|| Everyone says my mom is cute.

優しい し 、 料理 も 上手だ し ー ……。 やさしい||りょうり||じょうずだ||- She is kind and a good cook - .......

大人 に なったら 綺麗に なる か な ? おとな|||きれいに||| Will I be beautiful when I grow up?

と お 母さん に 聞いた 事 も ある 。 ||かあさん||きいた|こと|| I once asked my mother.

そ したら お 母さん は 優しく 頷いて くれた 。 |||かあさん||やさしく|うなずいて| Then my mother nodded gently.

だ から 大きく なったら 美人 に なる はずだ もん 。 ||おおきく||びじん|||| That's why when she grows up, she should be beautiful.

その後 、 お 母さん に 男 の 人 を 好きに なる って どんな 気持ち な の ? そのご||かあさん||おとこ||じん||すきに||||きもち|| After that, how does it feel to have your mother fall in love with a man?

わたし の 好き と は 違う の ? ||すき|||ちがう| Is it different from what I like? って 聞いたら 困って た 。 |きいたら|こまって| When I asked him about it, he was at a loss.

どうも わたし の 好き って 気持ち は 、 そう 言う の と は 違う らしい 。 |||すき||きもち|||いう||||ちがう| It seems that my feeling of liking is different from saying that.

「 好き って 種類 が ある みたいで 、 よく わかん ない 。 すき||しゅるい|||||| "It seems there are different types of love, so I don't really understand.

私 の 好き って 違う んだ って お 母さん が 言って た 」 わたくし||すき||ちがう||||かあさん||いって| My mother said that my likes are different."

「 そ っ か ー 私 は ね 。 |||-|わたくし|| I see.

伝説 に 存在 する 盾 の 勇者 様 みたいな 人 と 結婚 し たい ! でんせつ||そんざい||たて||ゆうしゃ|さま||じん||けっこん|| I want to marry someone like the legendary Hero of the Shield! リファナ ちゃん は 村 一 番 の 仲良し で 、 わたし より も 女の子 らしくて 、 恋愛 や 恋人 の 話 が 好き 。 |||むら|ひと|ばん||なかよし|||||おんなのこ||れんあい||こいびと||はなし||すき Rifana-chan is the best friend in the village, she's more like a girl than I am, and she likes stories about romance and lovers.

特に 昔話 に も ある 、 四 人 の 伝説 の 勇者 様 …… 中でも 亜人 を 大切に して くれた 盾 の 勇者 様 に 憧れて いる 。 とくに|むかしばなし||||よっ|じん||でんせつ||ゆうしゃ|さま|なかでも|あにん||たいせつに|||たて||ゆうしゃ|さま||あこがれて| In particular, I admire the four legendary heroes in old tales....among them, the Shield Hero who took good care of the demi-humans.

「 わたし は ──」

なんて 話して いた その 時 の 事 。 |はなして|||じ||こと What were you talking about at that time?

この 時 まで 、 私 は 、 こんな 平和な 日々 が ずっと 続く と 何の 疑い も 無く 信じて いた 。 |じ||わたくし|||へいわな|ひび|||つづく||なんの|うたがい||なく|しんじて| Until this moment, I believed without a doubt that such peaceful days would continue forever.

ピシッ ! Pishi!

と 、 大きな 音 が 辺り に 響き 渡った 。 |おおきな|おと||あたり||ひびき|わたった And a loud sound resounded around.

なんだろう と 思って いる と 空気 が 震えて 、 風 で 吹き飛ばさ れ そうに なる 。 ||おもって|||くうき||ふるえて|かぜ||ふきとばさ||そう に| As I wondered what it was, the air trembled and I felt like I was being blown away by the wind.

「 わ !

「 キャ !

「 う お !

みんな して 身 を 伏せて 風 が 止む の を 待った 。 ||み||ふせて|かぜ||やむ|||まった We all knelt down and waited for the wind to die down.

しばらく する と 風 が 止んで 静かに なる 。 |||かぜ||やんで|しずかに| After a while the wind stopped and it became quiet.

「 な 、 なん だった んだ ? What was that?

「 おい 、 あれ 」

キール 君 が 空 を 指差した 。 |きみ||から||ゆびさした Keel-kun pointed at the sky.

わたし は 目 で その先 を 追って 、 言葉 を 失って しまった 。 ||め||そのさき||おって|ことば||うしなって| My eyes followed him and I was at a loss for words.

まるで お 空 を ナイフ で 抉った ように 赤い 、 不気味な 亀裂 が 草原 の 先 の 方 へ 延びて いた 。 ||から||ないふ||えぐった||あかい|ぶきみな|きれつ||そうげん||さき||かた||のびて| A red, ominous fissure stretched beyond the grassland, as if the sky had been gouged out with a knife.

「 どう しよう 」

「 何 か あったら 村 に 戻れ って お 父さん 達 が 言って た よ 」 なん|||むら||もどれ|||とうさん|さとる||いって|| "My father told me that if something happened, I could go back to the village."

「 ここ で 調べ に 行か なくて 何 時 行く んだ よ 」 ||しらべ||いか||なん|じ|いく|| "If you don't go here to investigate, what time are you going?"

「 ダメだ よ キール 君 ! だめだ|||きみ No, Keir!

私 を 含め みんな で キール 君 を 押さえ つけて 急いで 帰る 事 に する 。 わたくし||ふくめ||||きみ||おさえ||いそいで|かえる|こと|| Everyone, including myself, will hold Kiel down and hurry home.

「 お 父さん ! |とうさん

お 父さん が 隣町 から 帰って きて いた 。 |とうさん||となりまち||かえって|| My father had returned from the next town.

私 は 急いで お 父さん の 方 へ 駆け寄る 。 わたくし||いそいで||とうさん||かた||かけよる I rush over to my father.

「 大丈夫だった かい ? だいじょうぶだった| "Are you okay?

心配 した んだ よ ? しんぱい||| Are you worried? 「 うん 。

何 か あったら 村 に 戻って って お 父さん が 言って た 通り に 急いで 戻って きた の 」 なん|||むら||もどって|||とうさん||いって||とおり||いそいで|もどって|| I hurried back just like my father told me to go back to the village if something happened."

「 良い 子 だ ね 」 よい|こ|| "You're a good boy."

お 父さん が 私 の 頭 を 撫でて くれる 。 |とうさん||わたくし||あたま||なでて| Dad strokes my head.

え へ へ ……。

そして お 父さん は 村 の 大人 達 と 話 を 始めた 。 ||とうさん||むら||おとな|さとる||はなし||はじめた Then Dad started talking to the adults in the village.

「 みんな 、 領主 様 と 話 を して きた 。 |りょうしゅ|さま||はなし||| "Everyone, I've been talking to the lord.

なんでも あの 空 の 亀裂 の 根元 から 大量の 魔物 が 溢れ だして いる そうだ 」 ||から||きれつ||ねもと||たいりょうの|まもの||あふれ|||そう だ It seems that a large amount of monsters are overflowing from the root of that crack in the sky."

「 じゃあ 、 村 の 者 で 戦え そうな 者 は 出る 事 に なる の か ? |むら||もの||たたかえ|そう な|もの||でる|こと|||| "Then, will there be people from the village who can fight?

「 一応 、 そう なる 」 いちおう|| "Just in case, it will happen."

空 の 亀裂 の 方 から 不気味な 遠吠え が 聞こえて きた 。 から||きれつ||かた||ぶきみな|とおぼえ||きこえて| An eerie howl was heard from the crack in the sky.

私 の 尻尾 が ぞ わ ぞ わ と その 声 に 逆 立つ 。 わたくし||しっぽ||||||||こえ||ぎゃく|たつ My tail trembles at that voice.

凄く 怖い 声 だった 。 すごく|こわい|こえ| It was a very scary voice.

「 大丈夫 かね ? だいじょうぶ| "Are you okay?

「 う ー む ……」 |-|

「 お 、 おい !

大変だ ! たいへんだ 町 の 方 に 魔物 が 溢れ 返って いる ぞ ! まち||かた||まもの||あふれ|かえって|| The town is overflowing with monsters! 既に 地獄 だ ! すでに|じごく| It's already hell! と 、 村 に 駆けつけた 近所 の おじさん が 血相 を 変えて 言った 。 |むら||かけつけた|きんじょ||||けっそう||かえて|いった Said an uncle from the neighborhood who rushed to the village, his expression changed.

「 な 、 何 !?  幾ら なんでも 早 過ぎる ! |なん|いくら||はや|すぎる "W-what!? It's too early!

「 領主 様 も 事態 の 早 さ に 一刻 も 早く 逃げろ と 御 言い なさった ! りょうしゅ|さま||じたい||はや|||いっこく||はやく|にげろ||ご|いい| "The lord also told us to escape as soon as possible because of the speed of the situation!

既に 城 に 増 援 を 要請 した そうだ 」 すでに|しろ||ぞう|えん||ようせい||そう だ It seems that they have already requested reinforcements from the castle.”

「 領主 様 は どう なって いる ? りょうしゅ|さま|||| "What's going on with the lord?

「 わから ない …… ただ 、 一 人 でも 多く 逃がそう と 避難 誘導 を 為さって おい で だった 」 |||ひと|じん||おおく|にがそう||ひなん|ゆうどう||なさって||| "I don't know...but I was just trying to guide as many people as possible to escape."

「 く ……」

お 父さん 達 は とても 怖い 顔 で 何 か 話し あって いた 。 |とうさん|さとる|||こわい|かお||なん||はなし|| The fathers were talking to each other with very scary faces.

「 こんな 時 に サディナ や 村 の 猛者 は 遠出 の 漁 に 出て いる し ……」 |じ||||むら||もさ||とおで||りょう||でて|| “At a time like this, Sadina and the fierce men in the village are out fishing long distances…”

「 海 の 方 も 大 シケ だ 。 うみ||かた||だい|しけ| "The sea is also rough.

こりゃ あ 帰って くる か わから ない ぞ 」 ||かえって||||| I don't know if he'll come back."

空 の 様子 が どんどん 悪く なって いる 。 から||ようす|||わるく|| The sky is getting worse and worse.

そして …… ガラ っと 変な 音 が 聞こえ 、 村 の 人 達 は 音 の 方向 に 目 を 向ける 。 |がら||へんな|おと||きこえ|むら||じん|さとる||おと||ほうこう||め||むける And then...they hear a strange noise, and the villagers turn their eyes in the direction of the sound.

「 なに …… あれ ? What's that ......?

なんか …… 人 の 骨 みたいな …… 何 か が ノソノソ と いっぱい こっち に 向かって 歩いて 来て いた 。 |じん||こつ||なん||||||||むかって|あるいて|きて| Something like... a human bone... something was walking toward me with a whisper.

その 人 の 骨 みたいな 何 か は 手 の 部分 に 武器 を 持って いて 鈍く 光って いる 。 |じん||こつ||なん|||て||ぶぶん||ぶき||もって||にぶく|ひかって| Something like the bones of that person holds a weapon in his hand and glows dull.

怖い …… 本能 的に そう 思った 。 こわい|ほんのう|てきに||おもった Scary... I instinctively thought so.

── 化け物 。 ばけもの

そう 、 その 言葉 が 酷 く よく 噛み合った 。 ||ことば||こく|||かみあった That's right, those words meshed very well together.

「 う 、 うわ ああ ああ あ ああ !

おじさん が 凄い 声 を あげて 逃げ 出した 。 ||すごい|こえ|||にげ|だした The old man screamed and ran away.

それ に つら れて 村 の 人 達 は 声 を あげる 。 ||||むら||じん|さとる||こえ|| Led by this, the villagers raise their voices.

そこ に 、 お 父さん が 立ちはだかる 。 |||とうさん||たちはだかる There, your father stands in your way.

『 力 の 根源 足る 。 ちから||こんげん|たる 『The source of power is enough.

私 が 命ずる 。 わたくし||めいずる I command it. 光 よ 我が 前 の 敵 を 屠 れ ! ひかり||わが|ぜん||てき||と| Light, slay the enemy before me! 「 ファスト ・ ホーリー ! "Fast Holy!

ピカッ と お 父さん が 放った 魔法 が 骸骨 に 当たって 砕け 散る 。 |||とうさん||はなった|まほう||がいこつ||あたって|くだけ|ちる The magic that Pika and father shot hit the skeleton and shattered.

「 みんな 、 焦ら ないで 聞いて ほしい 。 |あせら||きいて| "Everyone, don't be impatient and listen.

一刻 も 早く ここ から 逃げよう 。 いっこく||はやく|||にげよう Let's escape from here as soon as possible. 身体 能力 の 秀でた 種族 である 私 達 でも あの 数 の 魔物 を 相手 に 戦って なんて い られ ない 」 からだ|のうりょく||ひいでた|しゅぞく||わたくし|さとる|||すう||まもの||あいて||たたかって|||| Even we, a race with excellent physical abilities, can't help fighting that many monsters."

「 そう ね 」

お 母さん が ナタ を 片手 に 骸骨 を 倒して 言った 。 |かあさん||なた||かたて||がいこつ||たおして|いった The mother knocked down the skeleton with a machete in one hand and said,

でも 、 ぞろぞろ と いっぱい 骸骨 が 村 に 向かって 押し寄せて くる 。 ||||がいこつ||むら||むかって|おしよせて| However, the skeletons are rushing towards the village.

「 ここ は 私 達 が 引き受ける 。 ||わたくし|さとる||ひきうける

さあ 、 みんな 」 Come on guys

「 う 、 うん 」

「 そう だ な 。

アンタ が そう 言う の なら 」 |||いう|| If you say so

みんな 落ちついて 避難 を 始めた 。 |おちついて|ひなん||はじめた Everyone calmed down and began to evacuate.

とりあえず 、 まだ 大丈夫だろう と 少し 離れた 港町 を 目指す 事 に なった 。 ||だいじょうぶだろう||すこし|はなれた|みなとまち||めざす|こと|| For the time being, we decided to aim for a port town a little further away, thinking that it would still be fine.

あそこ なら もしかしたら シケ でも 海 へ 逃げ られる かも しれ ない の と 、 亀裂 から 距離 が ある から 大丈夫だろう と 言う 話 だった 。 |||しけ||うみ||にげ|||||||きれつ||きょり||||だいじょうぶだろう||いう|はなし| It was said that if it was over there, even a squid might be able to escape to the sea, and it would be fine because there was a distance from the rift.

「 ガアアアアアアアアアアア ! "Gaaaaaaaaaaaaaa!

だけど 私 達 の 願い は 届か なかった 。 |わたくし|さとる||ねがい||とどか| But our wishes were not answered.

「 く …… なんて 化け物 だ 」 ||ばけもの| "Oh, ......, what a monster!"

三 つ の 頭 を 持った 、 とても 大きな 犬 の 化け物 が 村 に 走って きた 。 みっ|||あたま||もった||おおきな|いぬ||ばけもの||むら||はしって| A very large dog monster with three heads ran into the village.

お 父さん と お 母さん が 善戦 する のだ けど 、 それ も 敵 わ ない 。 |とうさん|||かあさん||ぜんせん||||||てき|| Father and mother put up a good fight, but that's no match either.

動き が とても 早く 、 お 父さん の 魔法 も 、 お 母さん の ナタ も 全く 当たら ない 。 うごき|||はやく||とうさん||まほう|||かあさん||なた||まったく|あたら| It moves very quickly, and neither my father's magic nor my mother's machetes hit me at all.

「 ガアアアア !

ぶん と 乱暴に 振るう その 巨大な 爪 で お 父さん と 一緒に 戦って いた 村 の 人 が 吹き飛ばさ れた 。 ||らんぼうに|ふるう||きょだいな|つめ|||とうさん||いっしょに|たたかって||むら||じん||ふきとばさ| The people of the village who were fighting alongside my father were blown away with their huge claws, which they wielded violently.

変な 方向 に 関節 が 曲がって 地面 に 倒れて いる 。 へんな|ほうこう||かんせつ||まがって|じめん||たおれて| It's fallen to the ground with its joints bent in a strange direction.

え ?

あれ ?

うそ …… だ よ ね 。 No way... that's right.

「 わ 、 わ ああ ああ ああ ああ ああ ああ ああ あ ああ !

「 き ゃ ああ ああ ああ ああ ああ ああ ああ ああ !

村 の 人々 も パニック に なって 避難 で は 無く 、 滅 茶 苦 茶 に 逃げ 始める 。 むら||ひとびと||ぱにっく|||ひなん|||なく|めつ|ちゃ|く|ちゃ||にげ|はじめる The people of the village also panicked and started running away instead of evacuating.

だけど 村 の みんな は お 父さん 達 の 制止 を 聞か ず に 、 海 の 方 へ 逃げて 行って しまった 。 |むら|||||とうさん|さとる||せいし||きか|||うみ||かた||にげて|おこなって| However, everyone in the village did not listen to the fathers' restraint and fled to the sea.

私 は パニック に なった みんな に 押さ れて 転んで しまう 。 わたくし||ぱにっく|||||おさ||ころんで| Everyone panicked and pushed me down.

「 待つ んだ みんな ! まつ|| "Wait everyone!

「 大丈夫 ? だいじょうぶ

お 母さん が 私 を 抱き 起こして くれた 。 |かあさん||わたくし||いだき|おこして| Mom picked me up.

だけど 、 その 顔色 は 悪い 。 ||かおいろ||わるい But that complexion is bad.

あの 大きな 頭 が 三 つ も ある 犬 は 逃げ おくれた 村人 に 爪 や 牙 で とどめ を 刺して いく 。 |おおきな|あたま||みっ||||いぬ||にげ||むらびと||つめ||きば||||さして| The dog with three big heads was using its claws and fangs to finish off the villagers who had failed to flee.

「 こ 、 怖い ……」 |こわい

私 が 怯えて いる と お 母さん が 頭 を 撫でて くれた 。 わたくし||おびえて||||かあさん||あたま||なでて| When I was frightened, my mother stroked my head.

「 大丈夫 、 絶対 に 逃げ きれる から あなた は 安心 して いて 」 だいじょうぶ|ぜったい||にげ|||||あんしん|| "It's okay, you can definitely escape, so don't worry."

「 う 、 うん 」

お 母さん が 言う んだ から 大丈夫 …… だ よ ね 。 |かあさん||いう|||だいじょうぶ||| It's okay if your mother says so. ......

「 行く ぞ 」 いく|

お 父さん が 逃げる みんな を 追い かける 。 |とうさん||にげる|||おい| Dad chases everyone who runs away.

私 も お 母さん に 連れ られて 後 を 追った 。 わたくし|||かあさん||つれ||あと||おった My mother also took me and followed her.

村 の 人 達 は 我先に と 崖 の 方 へ 逃げて 海 へ と 飛び 込んで いく 。 むら||じん|さとる||われさきに||がけ||かた||にげて|うみ|||とび|こんで| The villagers frantically run away to the cliff and jump into the sea.

それ に 追撃 を しかける か の ように 大きな 犬 は 追い 掛けて くる 。 ||ついげき||||||おおきな|いぬ||おい|かけて| A big dog chases after it as if to pursue it.

そして 信じ られ ない 事 に 、 海 へ 逃げて 安全だ と 思って いた 村人 に 向かって 海 に 飛び 込んで 食らいついた 。 |しんじ|||こと||うみ||にげて|あんぜんだ||おもって||むらびと||むかって|うみ||とび|こんで|くらいついた Unbelievably, it jumped into the sea and ate the villagers who thought they had escaped to the sea and were safe.

一瞬 で 海 が 赤く 染まる 。 いっしゅん||うみ||あかく|そまる The sea turns red in an instant.

「 わ 、 わ ああ ああ ああ ああ ああ ああ ああ 」

「 お 、 遅かった ! |おそかった

お 父さん が 普段 より も 怖い 口調 だった 。 |とうさん||ふだん|||こわい|くちょう| Dad's tone was more scary than usual.

私 は 怯え ながら みんな を 守る ため 大きな 犬 に 攻撃 を する お 父さん と お 母さん の 後ろ に 隠れる 。 わたくし||おびえ||||まもる||おおきな|いぬ||こうげき||||とうさん|||かあさん||うしろ||かくれる I'm frightened and hide behind my mom and dad who attack a big dog to protect everyone.

「 ガアアアアア !

大きな 三 つ の 頭 を 持つ 犬 が 吠えて 海 から 飛び出して 私 達 の 前 に 立ちはだかった 。 おおきな|みっ|||あたま||もつ|いぬ||ほえて|うみ||とびだして|わたくし|さとる||ぜん||たちはだかった A big three-headed dog barked and jumped out of the sea and stood in front of us.

逃げ られ ない ように 崖 を 背 に さ せて 。 にげ||||がけ||せ||| Put your back on the cliff so you can't escape.

「 く ……」 "......"

大きな 三 つ の 頭 を 持つ 犬 が 爪 で 襲い かかる 。 おおきな|みっ|||あたま||もつ|いぬ||つめ||おそい| A big three-headed dog attacks with its claws.

お 父さん が 放った 魔法 で 爪 を はじいた けれど 、 お 父さん の 肩 から 血 が 吹き 出た 。 |とうさん||はなった|まほう||つめ|||||とうさん||かた||ち||ふき|でた I plucked my nails with the magic that my father shot, but blood gushed out from my father's shoulder.

え ?

「 あなた 、 大丈夫です か ? |だいじょうぶです| "Are you okay?

「 ああ 、 大丈夫だ 。 |だいじょうぶだ

だが ……」 But ......"

後ろ は もう 崖 、 村 の 人 達 が 既に 崖 の 下 の 海 に 居る 。 うしろ|||がけ|むら||じん|さとる||すでに|がけ||した||うみ||いる Behind us was a cliff, and the villagers were already at the bottom of the cliff in the sea.

先ほど の 攻撃 で 半数 以上 が ……。 さきほど||こうげき||はんすう|いじょう| More than half of the previous attack...

「 ひ ぃ ……」 Hi. ......"

私 は 怯えて お 母さん の 背 に 掴ま って いた 。 わたくし||おびえて||かあさん||せ||つかま|| I was frightened and clung to my mother's back.

みんな 必死に 泳いで いる 。 |ひっしに|およいで| Everyone is swimming desperately.

だけど 流れ が 速くて 留まって い られ ない 。 |ながれ||はやくて|とどまって||| But the flow is so fast that I can't stay still. このまま じゃ 溺れちゃ う 。 ||おぼれちゃ| At this rate, I'm going to drown.

「 ここ で 、 コイツ を ほって おいたら 、 追って くる だろう な 。 ||||||おって||| "If you leave him alone here, he'll come after you.

まだ 生きて いる 者 達 も 全滅 だ 」 |いきて||もの|さとる||ぜんめつ| Those who are still alive will be annihilated."

「 はい ……」

「 迷惑 を 、 かける な 」 めいわく||| "Don't cause trouble"

「 何 を 言って いる のです か 、 覚悟 の 上 です よ 」 なん||いって||||かくご||うえ|| "What are you talking about, you're prepared."

お 父さん と お 母さん は それぞれ 話し あって 、 私 を 見つめる 。 |とうさん|||かあさん|||はなし||わたくし||みつめる

「 ラフタリア 」

「 な 、 なあ に ? "Hey, what is it?

お 母さん が 私 を 宥める ように 背中 を なでる 。 |かあさん||わたくし||なだめる||せなか||

「 いつも 笑顔 で 、 村 の みんな と 仲良く ね 」 |えがお||むら||||なかよく| "Always smile and get along with everyone in the village."

「 そう だ ぞ 、 お前 が 笑顔 に なる 事 で 、 みんな を 笑顔 に さ せる んだ 」 |||おまえ||えがお|||こと||||えがお|||| "That's right, by making you smile, you make everyone smile."

お 父さん が わたし の 頭 を 撫でる 。 |とうさん||||あたま||なでる

「 ラフタリア …… これ から 、 お前 は きっと 大変な 状況 に なる と 思う 。 |||おまえ|||たいへんな|じょうきょう||||おもう Raftalia: ...... I think you're in for a rough ride from here on out.

もしかしたら 死んで しまう かも しれ ない 」 |しんで|||| I might die.”

「 でも ね 。 But you know what?

ラフタリア 、 それ でも 私 達 は 、 アナタ に 生きて いて 貰い たい の …… だ から 、 私 達 の ワガママ を 許して 」 |||わたくし|さとる||||いきて||もらい|||||わたくし|さとる||||ゆるして Raftalia, but we still want you to live, ......, so forgive our selfishness."

ここ で わたし は 、 お 父さん と お 母さん に もう 会え なく なって しまう ような イヤな 胸騒ぎ が した 。 |||||とうさん|||かあさん|||あえ|||||いやな|むなさわぎ|| I had a bad feeling that I would never see my father and mother again.

「 いや ぁ !

お 父さん ! |とうさん

お 母さん ! |かあさん 離れ たく ない 。 はなれ|| I don't want to leave.

だって 、 お 父さん も お 母さん も 、 見た 事 も 無い 悲しい 顔 を して いる 。 ||とうさん|||かあさん||みた|こと||ない|かなしい|かお||| Because you have a sad face that I've never seen on your father or mother.

必死に 手 を 伸ばす 。 ひっしに|て||のばす I desperately reach out my hand.

けれど ……

ドンと 、 お 母さん が 私 を 強く 突き飛ばし 、 崖 から 海 へ 落とした 。 どんと||かあさん||わたくし||つよく|つきとばし|がけ||うみ||おとした With a thud, my mother pushed me hard and threw me off the cliff into the sea.

ボコボコ と 泡 が 私 の 視界 を 埋め 尽くし 、 急いで 海 から 顔 を 出す 。 ||あわ||わたくし||しかい||うずめ|つくし|いそいで|うみ||かお||だす Bubbles and bubbles filled my vision, and I hurriedly emerged from the sea.

そして …… お 父さん と お 母さん に 向かって あの 三 つ の 頭 を 持つ 巨大な 犬 が 襲い 掛かる 瞬間 を 見て しまった 。 ||とうさん|||かあさん||むかって||みっ|||あたま||もつ|きょだいな|いぬ||おそい|かかる|しゅんかん||みて| And then... I saw the moment when that giant dog with three heads attacked my father and mother.

「 いや ああ ああ ああ ああ ああ ああ ああ ああ ああ ああ ああ ああ !

海流 に 流さ れ 、 私 は 必死に もがき 続けた 。 かいりゅう||ながさ||わたくし||ひっしに||つづけた Swept away by the ocean current, I continued to struggle desperately.

やがて 、 やっと の こと で 岸 に 辿り着いた の は 、 空 が 暗く なって 来た 頃 だった 。 |||||きし||たどりついた|||から||くらく||きた|ころ| Eventually, when I finally arrived at the shore, the sky was getting dark.

「 は ぁ …… は ぁ ……」

岸 に は 私 と 同じく 生き延びた 村人 達 が いる 。 きし|||わたくし||おなじく|いきのびた|むらびと|さとる|| There are other villagers on the shore who have survived like me.

ただ …… 死んで しまった 者 も 流れ ついて いた ようだった 。 |しんで||もの||ながれ||| It's just... it seemed that the dead were also drifting along.

空 は 既に 普段 通り の 色合い に 戻って いた 。 から||すでに|ふだん|とおり||いろあい||もどって| The sky had already returned to its usual shades.

何 が あった の か 、 この 時 の わたし に は わから なかった 。 なん||||||じ|||||| At the time, I didn't know what had happened.

少し でも 早く お 父さん と お 母さん に 会い たい 一 心 で 別れた 崖 へ と 急いだ 。 すこし||はやく||とうさん|||かあさん||あい||ひと|こころ||わかれた|がけ|||いそいだ I rushed to the cliff where we had parted, eager to see my father and mother as soon as possible.

辺り に は バラバラに なった 骨 が 散らばって いる 。 あたり|||ばらばら に||こつ||ちらばって| Scattered bones are scattered around.

既に 城 の 方 から の 援軍 や 、 冒険 者 さん が 魔物 を 退治 して 行った ようだった 。 すでに|しろ||かた|||えんぐん||ぼうけん|もの|||まもの||たいじ||おこなった| It seemed that reinforcements from the castle and adventurers had already defeated the demons.

そして …… 私 は …… あの 崖 に 戻って きた 。 |わたくし|||がけ||もどって| And ...... I ...... came back to that cliff.

その 場所 に は ……。 |ばしょ||

肉 片 と …… あの 化け物 の 死骸 が 、 転がって いた 。 にく|かた|||ばけもの||しがい||ころがって| Pieces of meat and the carcass of ...... that monster were lying around. それ を 騎士 と 冒険 者 が 運んで いる 。 ||きし||ぼうけん|もの||はこんで| It is carried by knights and adventurers.

何 が 起こった の か 、 なんとなく わかった 。 なん||おこった|||| I had an inkling of what was going on.

「 いや ぁ 、 弱って いて 助かった な 」 ||よわって||たすかった| "No, I'm so weak, you saved me."

「 手負い だった ようだ し 、 どうにか なった な 」 ておい|||||| "It looks like you were injured, but it seems to have gone somehow."

冒険 者 と 兵士 が 呆然と する わたし に 気付く 。 ぼうけん|もの||へいし||ぼうぜんと||||きづく Adventurers and soldiers noticed me stunned.

「 なんだ この ガキ ? ||がき "What's with this kid?

捕まえる か ? つかまえる| 「 待て 、 ここ は 亜人 の 領地 だ ぜ ? まて|||あにん||りょうち|| "Wait, this is demi-human territory?

「 何 言って んだ 。 なん|いって| "What did you say?

その 領主 は 死んで る よ 。 |りょうしゅ||しんで|| That lord is dead. さっき 報告 が 来 ただ ろ 」 |ほうこく||らい|| A report just came."

「 そう か 」

「 でも 手 を 出す な よ 。 |て||だす|| "But don't put your hand out.

どう なる か わかった もん じゃ ない 」 I didn't know what was going to happen."

わたし が 前 に 出る と 兵士 と 冒険 者 は 道 を 開ける 。 ||ぜん||でる||へいし||ぼうけん|もの||どう||あける When I step forward, the soldiers and adventurers clear the way.

そして わたし は 崖 の 先 に 行き …… 両親 だった 物 を 見 ながら 、 わなわな と 震えて 泣いた 。 |||がけ||さき||いき|りょうしん||ぶつ||み||||ふるえて|ないた And then I went over the edge of the cliff and cried and trembled as I looked at what had been my parents.

「 いや ああ ああ ああ ああ ああ ああ ああ ああ ああ ああ ああ ああ !

どれ だけ の 時間 が 経った だろう 。 |||じかん||たった| I wonder how much time has passed.

気 が ついた 時 、 私 は お 父さん と お 母さん の お 墓 を 作って いた 。 き|||じ|わたくし|||とうさん|||かあさん|||はか||つくって| When I came to my senses, I was making graves for my father and mother.

『 いつも 笑顔 で 、 村 の みんな と 仲良く ね 』 |えがお||むら||||なかよく| Always smile and get along with everyone in the village.

『 そう だ ぞ 、 お前 が 笑顔 に なる 事 で 、 みんな を 笑顔 に さ せる んだ 』 |||おまえ||えがお|||こと||||えがお|||| "That's right, by making you smile, you make everyone smile."

「 うん ……」

お 父さん と お 母さん が 命 を 掛けて 助け たかった 人 達 の 事 を 、 私 は 頼ま れた んだ 。 |とうさん|||かあさん||いのち||かけて|たすけ||じん|さとる||こと||わたくし||たのま|| I was asked to do something about the people my father and mother wanted to save with their lives.

だ から …… 絶対 に 、 お 父さん 達 の 言いつけ は 守って 見せる から ! ||ぜったい|||とうさん|さとる||いいつけ||まもって|みせる| That's why... I'll definitely obey your father's orders!

ここ で 泣き 続けちゃ ったら 、 お 父さん や お 母さん に 怒ら れちゃ う 。 ||なき|つづけちゃ|||とうさん|||かあさん||いから|| If I keep crying here, my father and mother will get angry with me.

「 もう 泣か ない よ …… 行く ね 」 |なか|||いく| "I won't cry anymore. ...... I'm going."

わたし は 、 村 の 方 へ 歩き 出した 。 ||むら||かた||あるき|だした I started walking toward the village.

大人 は 少なく 、 子供 の 方 が 多い 。 おとな||すくなく|こども||かた||おおい There are few adults and more children.

「 ラフタリア ちゃん かい ? Raftalia, is that you?

「 うん ……」

「 お 父さん と お 母さん は 無事 かい ? |とうさん|||かあさん||ぶじ| "Are your father and mother safe?

近所 に 住む お じいさん が 心配 そうに 声 を 掛けて くる 。 きんじょ||すむ||||しんぱい|そう に|こえ||かけて| An old man who lives in the neighborhood calls out to me worriedly.

私 は 涙 が 出る の を 必死で 堪えて 首 を 横 に 振る 。 わたくし||なみだ||でる|||ひっしで|こらえて|くび||よこ||ふる I desperately hold back the tears and shake my head.

「 そうかい …… それ は ……」 "I see... that's..."

お じいさん が 言葉 を 濁して いる 。 |||ことば||にごして| The old man is muddying his words.

それ 以上 言う と 私 が 泣いて しまう と 思って いる のだろう 。 |いじょう|いう||わたくし||ないて|||おもって|| I guess she thinks I'll cry if I say any more.

「 大丈夫 。 だいじょうぶ

お 父さん 達 に 任さ れた の 、 こんな 時 こそ 私 は みんな を 励まして 行き なさい って 」 |とうさん|さとる||まかさ||||じ||わたくし||||はげまして|いき|| I was entrusted to the fathers, and at a time like this, I will encourage everyone to go."

「 そうかい …… 強い 子 だ ね 」 |つよい|こ|| "Oh, well, ......, you're a strong kid."

「 え へ へ 」

わたし は 笑えて いる かな ? ||わらえて||

大丈夫 、 私 が 泣いて ちゃ お 父さん 達 に 怒ら れちゃ う 。 だいじょうぶ|わたくし||ないて|||とうさん|さとる||いから|| It's okay, if I cry, my father and friends will get mad at me.

「 みんな !

わたし は 大きく 声 を あげて 泣いて いる 子 達 の 注目 を 集める 。 ||おおきく|こえ|||ないて||こ|さとる||ちゅうもく||あつめる I attract the attention of the crying children.

「 悲しい の は わかる 。 かなしい||| I understand your sadness.

わたし も …… そう だ けど 、 ここ で 泣いて いろ って お 父さん や お 母さん 、 兄弟 、 友達 は 言う の ? |||||||ないて||||とうさん|||かあさん|きょうだい|ともだち||いう| Me too... But will my father, mother, brothers, and friends say I should cry here? わたし の 言葉 に 村 の 子 や 大人 達 は 辛 そうに 顔 を 歪ま せる 。 ||ことば||むら||こ||おとな|さとる||しん|そう に|かお||ゆがま| At my words, the village children and adults grimaced.

わたし は 胸 に 手 を 当てて 前 に 出る 。 ||むね||て||あてて|ぜん||でる I put my hand on my chest and step forward.

「 まだ 死んだ わけじゃ ない と 信じて いる 人 に も 言う わ 。 |しんだ||||しんじて||じん|||いう| "I also say this to those who believe they are not dead yet.

その 人 達 が 戻って きた 時 、 こんな 状態 の 村 の まん まだ ったら どう 思う ? |じん|さとる||もどって||じ||じょうたい||むら||||||おもう When those people came back, how would you feel if you were in the middle of the village like this? うん 。

だって ここ は みんな の 村 な んだ もの 。 |||||むら||| Because this is everyone's village. このまま で 良い はず が 無い 。 ||よい|||ない It can't be good as it is.

村 は 、 みんな で 作った 家族 だって お 父さん や 領主 さま が 言って た 。 むら||||つくった|かぞく|||とうさん||りょうしゅ|||いって| My father and the lord said that the village is a family made by everyone.

「 とても 悲しい の は わかる 。 |かなしい|||

だからこそ 、 生き残った みんな で ここ を 再興 さ せ なきゃ いけない と 思う の 、 だって 、 みんな 家族 な んだ もん 」 |いきのこった|||||さいこう||||||おもう||||かぞく||| That's why I think we have to rebuild this place with all the survivors, because we're all family."

そう 、 お 父さん は 何時も 言って た 。 ||とうさん||いつも|いって| Yes, my father always said.

村 の 人 達 を 家族 だ と 思える くらい 大切に し なさい って 。 むら||じん|さとる||かぞく|||おもえる||たいせつに||| He told me to cherish the villagers as if they were my family.

だ から わたし は お 父さん の 言葉 を 継いで 村 の 人 達 を 大切に し たい と 思う 。 |||||とうさん||ことば||ついで|むら||じん|さとる||たいせつに||||おもう That's why I want to carry on my father's words and cherish the people of the village.

「 ね ?

お 願い 」 |ねがい please "

精一杯 の 笑み を 浮かべて わたし は みんな に 言い聞かせた 。 せいいっぱい||えみ||うかべて|||||いいきかせた I told everyone with a smile on my face.

「 ラフタリア ちゃん ……」

「 ラフタリア ちゃん は 悲しく ない の !?」 |||かなしく|| "Isn't Raphtalia sad!?"

「 親 が 死んだ のに 、 なんで 笑って んだ ! おや||しんだ|||わらって| Why are you laughing when your parents are dead?

その 言葉 に わたし は 、 笑う の を 少し だけ やめる 。 |ことば||||わらう|||すこし|| At those words, I stopped laughing for a little while.

泣か ない よ 。 なか|| I won't cry.

だって 泣いたら 止まら なく なる もの 。 |ないたら|とまら||| Because if you cry, you won't be able to stop.

「 うん …… 悲しく なんか …… ない よ 」 |かなしく||| "Yeah... it's not sad..."

泣いちゃ いけない 。 ないちゃ| don't cry

だって 、 わたし が 泣いたら 、 もう 誰 も 止め られ ない 。 |||ないたら||だれ||とどめ|| Because if I cry, no one can stop me.

「 そ 、 そう か 」

「 こんな 小さな 子 が 頑張って いる んだ 。 |ちいさな|こ||がんばって|| I was like, "This little girl is working so hard.

みんな !

頑張って 乗り越えて 行こう じゃ ない か ! がんばって|のりこえて|いこう||| Let's do our best and get over it! 「 うん !

「 はい !

「 そう だ な !

ラフタリア ちゃん ! 俺 達 も 頑張る よ ! おれ|さとる||がんばる| さっき まで 泣いて いた キール 君 が 元気に なって 言い放った 。 ||ないて|||きみ||げんきに||いいはなった

「 うん !

ヒラヒラ と 領主 さま が プレゼント した 村 の シンボル である 旗 が わたし の 前 に 降って くる 。 ひらひら||りょうしゅ|||ぷれぜんと||むら||しんぼる||き||||ぜん||ふって| The flag, which is the symbol of the village given by the lord as a present, falls in front of me.

まるで 、 わたし の 言った 事 が 正しい と 言う か の ように 。 |||いった|こと||ただしい||いう||| As if what I said was true.

うん 、 これ は 何 か の …… 見守って くれて いる お 父さん や お 母さん 達 から の 贈り物 。 |||なん|||みまもって||||とうさん|||かあさん|さとる|||おくりもの Yeah, this is something... a gift from my father and mother who are watching over me.

わたし が 旗 を 掴む と 、 村 の 大人 達 が 大きな 棒 を 持って きて わたし から 旗 を 受け取って くくりつける 。 ||き||つかむ||むら||おとな|さとる||おおきな|ぼう||もって||||き||うけとって| When I grabbed the flag, the adults in the village brought a big stick and took it from me and tied it to the flag.

「 これ は 天から の 思し召し ! ||てんから||おぼしめし This is a divine will!

さあ 、 皆 の 者 ! |みな||もの Come on, everyone! 村 を 再興 さ せ ようで は ない か ! むら||さいこう|||||| Let's rebuild the village! 「「「 お ー ! |-

」」」

こうして 、 みんな で 頑張って 村 を 再興 さ せよう と 心 を 一 つ に した の 。 |||がんばって|むら||さいこう||||こころ||ひと|||| In this way, everyone united in their hearts to work together to revive the village.

バッ と わたし は 飛び起きる 。 ||||とびおきる Bah and I jump up.

ここ は …… 村 の 仮設 で 立てた テント の 中 だった 。 ||むら||かせつ||たてた|てんと||なか|

わたし の 家 は 燃えて 跡 かた も 残って い ない から 、 みんな と 一緒に 寝て いた んだった 。 ||いえ||もえて|あと|||のこって||||||いっしょに|ねて|| My house was on fire and there was no trace left, so I slept with everyone.

夢 を 見て いた 気 が する 。 ゆめ||みて||き|| I feel like I was dreaming.

「 い 、 今 、 凄い 声 が 聞こえ なかった ? |いま|すごい|こえ||きこえ| "Didn't you hear that loud voice just now?

お じいさん が わたし の 方 に 駆け寄って 聞いて きた 。 |||||かた||かけよって|きいて| My grandfather ran up to me and asked.

「 そう ?

「 ラフタリア ちゃん が 凄い 声 を 出して た よ ? |||すごい|こえ||だして|| "Raphtalia-chan was letting out an amazing voice, wasn't she?

「 そう 、 なんだ ?

笑顔 を 作ら ない と 、 じゃ ない と みんな の 元気 が なくなっちゃ う 。 えがお||つくら||||||||げんき||| If you don't put on a smile, everyone will lose their spirits.

「 大丈夫 ! だいじょうぶ

ちょっと 夢見 が 悪かった だけ 」 |ゆめみ||わるかった| I just had a bad dream."

「 そ 、 それ なら 良い のだ けど 。 |||よい||

無理 し ないで ね 」 むり||| Please do not overdo "

「 無理 なんて して ない から 心配 し ないで ! むり|||||しんぱい|| "I'm not pushing myself, so don't worry!

お 父さん 。 |とうさん

お 母さん 。 |かあさん

わたし 、 頑張る から ね 。 |がんばる||

絶対 に ……。 ぜったい|

壊れたり 焼け落ちた 家 は 後回し に して 、 修理 すれば まだ 住め そうな 家 を 重点 的に 補修 する 事 に した 。 こぼれたり|やけおちた|いえ||あとまわし|||しゅうり|||すめ|そう な|いえ||じゅうてん|てきに|ほしゅう||こと|| We decided to focus on repairing the houses that could still be lived in if repaired, leaving the damaged and burnt houses for later.

他 に …… 浜辺 で 打ち上げ られた 村 の 人 達 の お 墓 作り に 人員 を 分けた 。 た||はまべ||うちあげ||むら||じん|さとる|||はか|つくり||じんいん||わけた Other people were sent to ...... to help build graves for villagers who had been washed up on the beach.

大人 達 が 頑張って 復興 に 力 を 注いで くれて いる 。 おとな|さとる||がんばって|ふっこう||ちから||そそいで|| Adults are working hard to help with the recovery efforts.

子供 も 一緒に なって 仕事 を 手伝う 。 こども||いっしょに||しごと||てつだう The children also join in and help with the work.

ただ 、 食料 の 残り が 若干 不安に なって きて いる 。 |しょくりょう||のこり||じゃっかん|ふあんに||| However, I'm a little worried about the rest of the food.

一応 、 漁 を して 食料 調達 を しよう と 言う 話 を して いる のだ けど 、 海 が 荒れて いて 後回し に なった 。 いちおう|りょう|||しょくりょう|ちょうたつ||||いう|はなし||||||うみ||あれて||あとまわし|| For the time being, we were talking about fishing and procuring food, but the sea was rough and it was postponed.

「 後 は ……」 あと|

生き残り の 人数 を みんな で 数え あった 。 いきのこり||にんずう||||かぞえ|

村 に 居た 人 の 四 分 の 一 しか い ない 。 むら||いた|じん||よっ|ぶん||ひと||| Only a quarter of the people who were in the village.

それ でも 生き残れた 方 だ と 、 お じいさん は 言って いた 。 ||いきのこれた|かた||||||いって| Even so, the old man said that he was the one who survived.

「 でも 、 わたし 達 は 生きて いる 。 ||さとる||いきて| But we are alive.

ラフタリア ちゃん の 言う とおり だ よ 」 |||いう||| It's just as Raphtalia-chan says."

「 うん !

そんな …… わたし 達 の 頑張り は 、 無慈悲に 投げ 捨て られる の を この 時 の わたし は 知る 由 も なかった 。 ||さとる||がんばり||むじひに|なげ|すて|||||じ||||しる|よし|| At that time, I had no idea that our hard work would be mercilessly thrown away.

「 わ !

何 を する んだ ! なん||| 村 に ぞろぞろ と 人相 の 悪い 人間 が やってきて 、 手始め に 大人 の 人 に 剣 で 切り 掛った 。 むら||||にんそう||わるい|にんげん|||てはじめ||おとな||じん||けん||きり|かかった People with ugly faces came to the village in droves, and started by slashing at adults with swords.

「 ひ ぃ !?」

「 な 、 なんだ お前 等 ! ||おまえ|とう "Hey, what's up with you guys?

「 は は は 、 亜人 共 が 生き残って いる って 聞いた が 本当だった な 」 |||あにん|とも||いきのこって|||きいた||ほんとうだった| "Hahaha, I heard that the demi-humans are still alive, but it's true."

「 ああ 、 ここ は もう 保護 区 じゃ ねえ し 、 良い 金 稼ぎ に なる だ ろ ? ||||ほご|く||||よい|きむ|かせぎ|||| "Ah, this isn't a reserve anymore, so it's going to be good money making, right?

「 そう だ な !

オラァ !

お じいさん が 一 歩 前 に 出て 怒声 を 上げる 。 |||ひと|ふ|ぜん||でて|どせい||あげる A grandfather steps forward and shouts angrily.

「 こんな 事 を して 領主 様 が 許す はず が 無い ! |こと|||りょうしゅ|さま||ゆるす|||ない "There's no way the lord will forgive you for doing this!

城 から の 兵士 が まだ この 近隣 に いる はずじゃ ! しろ|||へいし||||きんりん||| The soldiers from the castle should still be in the neighborhood! その 言葉 を 人相 の 悪い 人間 が 一斉に 笑い 始める 。 |ことば||にんそう||わるい|にんげん||いっせいに|わらい|はじめる At those words, the ugly people started laughing all at once.

「 もう 死んで る 領主 の 事 なんて 恐れて どう す んだ よ 。 |しんで||りょうしゅ||こと||おそれて|||| "What are you doing out of fear of a dead lord?

それ に ──」

ドスゥ っと …… 一瞬 の 出来事 だった 。 ||いっしゅん||できごと| Dooooo! ...... It was an instantaneous event.

わたし は 腰 が 引けて 何 が 起こった の か 理解 が 追い付か なかった 。 ||こし||ひけて|なん||おこった|||りかい||おいつか| I was too cowed to comprehend what was happening.

お じいさん の お腹 に 、 人相 の 悪い 人 が 剣 を 突き たてて いた 。 |||おなか||にんそう||わるい|じん||けん||つき|| A man with a bad face was thrusting a sword into the grandfather's stomach.

「 え ……?

「 カハ ──」

「 その 兵士 が 俺 達 だって わかって る の か ? |へいし||おれ|さとる||||| "Do you know that those soldiers are us?

「 わかって ねえ よ 、 こいつ 等 」 ||||とう "They don't get it, do they?"

「 ち げ え ねえ 」 "Come on."

「「「 ハハハハハハ !

」」」

お じいさん が 血 を 吐いて 倒れ …… ピクリ と も 動か なく なった 。 |||ち||はいて|たおれ|ぴくり|||うごか|| The old man vomited blood and collapsed... he couldn't even move.

わたし の 足元 に は 血 だ まり が 出来て いて ……。 ||あしもと|||ち||||できて| There's a pool of blood on my feet...

「 わ 、 わ ぁ ああ ああ ああ ああ ああ ああ !

一瞬 で パニック に なった 。 いっしゅん||ぱにっく||

わたし も 訳 が わから ず 、 その 場 から 走り 出す 。 ||やく|||||じょう||はしり|だす I didn't know what was going on either, so I ran out of the place.

「 逃す な ! のがす| "Don't miss it!

年寄り や 男 は 殺せ ! としより||おとこ||ころせ Kill old people and men! 女 や ガキ は 売れる から 生け捕り に しろ ! おんな||がき||うれる||いけどり|| Women and kids sell well, so catch them alive! そこ から 先 の 出来事 は 、 あんまり 覚えて い ない 。 ||さき||できごと|||おぼえて|| I don't remember much about what happened after that.

「 いや ああ あ !

「 大人 しく しろ ! おとな|| I need you to grow up!

おりゃ ああ ! Orya ah! 「 あ 、 くう ……」 "A , Kuu ......"

ただ 、 わたし は 髪 を 誰 か に 掴まれて 、 思い切り ぶた れた ような 気 が した だけ だった 。 |||かみ||だれ|||つかま れて|おもいきり||||き|||| All I could feel was that someone grabbed me by the hair and hit me hard.

お 父さん と お 母さん の 最期 を 悪夢 と して 見 続けて いる 。 |とうさん|||かあさん||さいご||あくむ|||み|つづけて| I continue to see the end of my father and mother as a nightmare.

あの 日 わたし は 奴隷 と して 捕まり 、 売ら れた 。 |ひ|||どれい|||つかまり|うら| That day I was taken as a slave and sold.

最初 は 、 ちょっと 優し そうな 人 だった 。 さいしょ|||やさし|そう な|じん| At first, he seemed a little kind.

わたし を 小 間 使い に し たかった みたい 。 ||しょう|あいだ|つかい|||| It seems like she wanted to use me as a maid. だけど …… 何 が 原因 か 分から ない けど 売ら れて しまった 。 |なん||げんいん||わから|||うら|| But ...... I don't know what caused it, but it was sold.

その 次 が ……。 |つぎ| The next is .......

「 オラァ ! Hey!

「 くう ──」

なんで ?

なんで こんな 酷 い 事 を する の ? ||こく||こと||| Why are you doing such a terrible thing?

太った 人相 の 悪い 男 だった 。 ふとった|にんそう||わるい|おとこ| He was a fat, bad-looking man.

わたし は 知ら ない 町 の 大きな 屋敷 の 下 に ある 牢屋 に 入れ られた 。 ||しら||まち||おおきな|やしき||した|||ろうや||いれ| I was put in a prison under a large mansion in an unknown town.

わたし と 同じ ように …… う うん 。 ||おなじ||| Like me, ......

わたし より も 前 に リファナ ちゃん が この 男 に 買わ れて いた みたい 。 |||ぜん||||||おとこ||かわ||| Looks like Rifana was bought by this man before me.

そして 毎日 、 男 の 気 が 向いた 時 に 鎖 で 宙吊り に さ れて 鞭 で 打た れた 。 |まいにち|おとこ||き||むいた|じ||くさり||ちゅうづり||||むち||うた| And every day, when the man felt like it, he was chained and whipped.

何度 も 打た れ 、 皮膚 から 血 が 出て 、 それ でも ビシバシ と 打た れる 。 なんど||うた||ひふ||ち||でて|||||うた| He was hit repeatedly, his skin would bleed, and he would still get beat up.

少し でも 言い 返したり 、 痛 がら ない と 、 奴隷 紋 と いう 胸 に 痛み の 走る 変な 文様 が わたし を 苦しめ 、 更に 鞭 で 打た れた 痛 み で 気 が 狂い そうに なる 。 すこし||いい|かえしたり|つう||||どれい|もん|||むね||いたみ||はしる|へんな|もんよう||||くるしめ|さらに|むち||うた||つう|||き||くるい|そう に| If I don't retaliate even a little or it doesn't hurt, I'm tortured by the strange pattern of slave crest, and the pain of being hit with a whip drives me crazy.

でも 、 負け ない 。 |まけ| But I won't lose.

お 父さん も お 母さん も 、 それ に ここ に い ない 皆 だって 耐えて る 。 |とうさん|||かあさん||||||||みな||たえて| My father, my mother, and everyone who isn't here is holding up.

だ から 、 何 が あって も 負け ない 。 ||なん||||まけ| So, no matter what happens, we will not lose.

「 ラフタリア ちゃん …… コホ 」

「 大丈夫 、 きっと 、 きっと 村 に 戻れる よ ! だいじょうぶ|||むら||もどれる| "Don't worry, I'm sure you will be able to return to the village!

リファナ ちゃん は わたし と 再会 した 時 に は 既に 風邪 を 引いて いた 。 |||||さいかい||じ|||すでに|かぜ||ひいて| When Rifana and I met again, she had already caught a cold.

それ でも 男 は 、 リファナ ちゃん を 鞭 で 打つ 。 ||おとこ|||||むち||うつ But the man still whips Rihanna.

「 そう 、 だ よ 、 ね 。 " That's true .

うん 」

この 男 は わたし 達 に 何 を 望んで いる のだろう ? |おとこ|||さとる||なん||のぞんで|| What does this man want from us?

こんなに 鞭 で わたし 達 を 打って …… 何 が 楽しい の ? |むち|||さとる||うって|なん||たのしい| Beating us with such a whip... what's the fun in that?

「 はっ !

まだ そんな 夢 みたいな 事 を 言って や がる の か ! ||ゆめ||こと||いって|||| Are you still saying such dreamlike things!? バシン と わたし の 背中 に 赤い 血 しぶき が 生じた 。 ||||せなか||あかい|ち|||しょうじた There was red splattering of blood on Bhasin's and my back.

痛み で 、 涙 が ボロボロ と 溢れて くる 。 いたみ||なみだ||ぼろぼろ||あふれて| Tears are overflowing with pain.

「 もっと 泣き 喚 け ! |なき|かん| "Cry more!

「 う ぐう ! "Ugh, bum!

その 日 は より 一層 酷 く 、 拷問 さ れた 。 |ひ|||いっそう|こく||ごうもん|| That day was even more horrific and torturous.

やっと 解放 さ れ 、 ボロボロ に なった わたし は 、 泥 の ように 地面 を 這い ず って 、 リファナ ちゃん の 看病 を する 。 |かいほう|||ぼろぼろ|||||どろ|||じめん||はい||||||かんびょう|| Finally released, I crawled on the ground like a muddy mess to nurse Rifana.

ものすごく 臭くて 不 味 い 泥水 みたいな スープ が 今日 、 唯一 の ご飯 。 |くさくて|ふ|あじ||でいすい||すーぷ||きょう|ゆいいつ||ごはん The only meal I had today was a soup that smelled really bad and tasted like muddy water.

「 は ぁ …… は ぁ ……」

それ を リファナ ちゃん に 飲ま せて 今日 も 命 を 繋ぐ 。 |||||のま||きょう||いのち||つなぐ Let Rifana-chan drink it and connect her life today as well.

大丈夫 、 そう 絶対 に 村 に 戻れる 。 だいじょうぶ||ぜったい||むら||もどれる Don't worry, yes, you will definitely be able to return to the village.

だって …… みんな が 待って いる のだ から 。 |||まって||| Because... everyone is waiting.

「 待って て 、 わたし が 、 絶対 に 助ける んだ から 」 まって||||ぜったい||たすける|| "Wait for me, I will definitely help you."

石 壁 の 石 で 五 月 蠅 すぎ ない 程度 に 格子 の 下 の 石 を 叩いて 少しずつ 壊す 準備 は 進んで いる 。 いし|かべ||いし||いつ|つき|はえ|||ていど||こうし||した||いし||たたいて|すこしずつ|こわす|じゅんび||すすんで| Preparations are underway to beat the stones under the lattice to break them little by little, to the extent that the stones on the stone wall are not too much of a fly.

壊し きれば 潜 れる 筈 。 こわし||ひそ||はず If you can destroy it, you should be able to dive. そう したら 逃げ 切れる ! ||にげ|きれる Then you can escape!

「 あ 、 り が 、 とう ……」 " Thank you ……"

「 うん !

みんな が 待って る もん ね ! ||まって||| Everyone is waiting for you! わたし は お 父さん と お 母さん に 村 の みんな を 任さ れた んだ もん 。 |||とうさん|||かあさん||むら||||まかさ||| I was put in charge of everyone in the village by my father and mother.

それ に 、 きっと 村 の 人 達 が 助けて くれる 。 |||むら||じん|さとる||たすけて| Besides, I'm sure the villagers will help me.

サディナ お 姉ちゃん は きっと みんな を 助ける ため に 来て くれる だろう し 、 それ まで 生き残れば 良い はずだ もん 。 ||ねえちゃん|||||たすける|||きて||||||いきのこれば|よい|| Sadina-oneechan will surely come to help everyone, so I should be able to survive until then.

「 ああ …… あの 日 が 、 懐かしい 、 ね 。 ||ひ||なつかしい| "Oh ......, I miss those days, don't you?

ラフ 、 タリ 、 ア ちゃん 」 らふ|||

横 に なった リファナ ちゃん が 震える 手 を 天井 に 伸ばす 。 よこ||||||ふるえる|て||てんじょう||のばす Rifana-chan lay down and stretched her trembling hand to the ceiling.

「 ね ぇ ……?

領主 様 の …… 旗 …… 覚えて …… る ? りょうしゅ|さま||き|おぼえて| Master's...flag...do you remember...? 「 うん …… うん 」

リファナ ちゃん の 伸ばした 手 を 両手 で 強く 握る 。 |||のばした|て||りょうて||つよく|にぎる She grips Rifana's outstretched hand tightly with both of her hands.

覚えて る 。 おぼえて| remember .

皆 を 元気付けて くれた 旗 。 みな||げんきづけて||き

あの 、 何も なく 平和だった 日 が 懐かしい 。 |なにも||へいわだった|ひ||なつかしい I miss those days when everything was peaceful.

だけど 、 あの 日 に なんて 戻れ ない 。 ||ひ|||もどれ|

だ から 、 あの 日 の 安らぎ を わたし の 手 で 取り戻さ ない と ──。 |||ひ||やすらぎ||||て||とりもどさ|| That's why I have to take back the peace of that day with my own hands.

「 コホ ! Coho !

コホ ──」

三 日 目 ……。 みっ|ひ|め

カツ カツ と また あの 男 の 足音 が 聞こえて きた 。 かつ|かつ||||おとこ||あしおと||きこえて| I heard that man's footsteps again.

「 リファナ ちゃん !

コホ !

また 、 あの 地獄 の 時間 が 始まる 。 ||じごく||じかん||はじまる Again, that hellish time begins.

わたし も リファナ ちゃん の 風邪 が 移って しまった 。 |||||かぜ||うつって| I also caught Rifana's cold. だけど 、 大丈夫 。 |だいじょうぶ

わたし は 壊して いる 最中 の 格子 を 濡れた 藁 で 隠す 。 ||こわして||さい なか||こうし||ぬれた|わら||かくす I cover the grid I'm breaking down with wet straw.

「……」

リファナ ちゃん は まったく 返答 が 無い 。 ||||へんとう||ない Rifana-chan didn't reply at all.

「 リファナ ちゃん ?

カツ カツ と 男 が やってきて また 牢屋 の 戸 を 開け 、 リファナ ちゃん に 触れる 。 かつ|かつ||おとこ||||ろうや||と||あけ||||ふれる A man comes and opens the prison door again and touches Rifana-chan.

「…… 死んだ か 。 しんだ| ...... dead.

面倒だ な 」 めんどうだ|

男 が 乱暴に リファナ ちゃん の 片腕 を 持ち あげて 確認 し 、 言い放った 。 おとこ||らんぼうに||||かたうで||もち||かくにん||いいはなった The man violently lifted Rifana-chan's arm, confirmed it, and declared.

だ ら ー ん と した リファナ ちゃん は 、 虚 ろ な 目 で さ れる が まま に なって いる 。 ||-|||||||きょ|||め|||||||| The drowsy Rifana-chan is left to be treated with blank eyes.

「 そろそろ 返却 期日 だった が 、 死んで しまった か 、 違約 金 が 掛り おって ! |へんきゃく|きじつ|||しんで|||いやく|きむ||かかり| "It was almost time to return it, but either he died or a penalty was charged!

と 、 まるで おもちゃ の ように 男 は リファナ ちゃん を 蹴り つけた 。 |||||おとこ|||||けり| And the man kicked Rifana-chan like a toy.

後 で 知る 事 な んだ けど 、 亜人 の 奴隷 を 拷問 して 苦しむ 姿 を 見る と いう 娯楽 が ある らしい 。 あと||しる|こと||||あにん||どれい||ごうもん||くるしむ|すがた||みる|||ごらく||| I learned about it later, but it seems that there is a pastime of torturing demi-human slaves and watching them suffer.

わたし 達 は 、 その 個人 使用 目的 の 貸し 与え の 悲鳴 奴隷 だった 。 |さとる|||こじん|しよう|もくてき||かし|あたえ||ひめい|どれい| We were the scream slaves of that personal use loan.

「 ひ ぃ !?」

え ?

え ?

リファナ ちゃん ?

ねえ …… 嘘 だ よ ね 。 |うそ|||

震える 手 で リファナ ちゃん に 触れる 。 ふるえる|て|||||ふれる Touch Rifana-chan with a trembling hand.

恐ろしい ほど に 冷たい その 体 に わたし の 心 が 震え あがる 。 おそろしい|||つめたい||からだ||||こころ||ふるえ| That terrifyingly cold body makes my heart tremble.

そんな 、 リファナ ちゃん !

悲しみ や 恐怖 、 理不尽に 対する 怒り 、 絶望 。 かなしみ||きょうふ|りふじんに|たいする|いかり|ぜつぼう Sadness, fear, anger at unreason, despair.

沢山の 負 の 感情 が 濁流 の 様 に 混ざって わたし の 心 を ぐちゃぐちゃに する 。 たくさんの|ふ||かんじょう||だくりゅう||さま||まざって|||こころ||| A lot of negative emotions mix like a muddy stream and mess up my heart.

なんで ?

リファナ ちゃん は 何も 悪い 事 を して い ない のに ! |||なにも|わるい|こと||||| Rifana-chan didn't do anything wrong!

「 お前 も 毎晩 毎晩 、 悲鳴 を 上げて 五 月 蠅 い んだ よ ! おまえ||まいばん|まいばん|ひめい||あげて|いつ|つき|はえ||| "You, too, screamed every night and flew in May!

こ ち と ら 睡眠 不足 だ ! ||||すいみん|ふそく| I'm not getting enough sleep here! 「 い 、 ぐ …… リ 、 ファナ ちゃ 、 ん ! "I-gu... Re-Fana-chan!

男 は わたし を 吊り上げ て 鞭打ち を 始めた 。 おとこ||||つりあげ||むちうち||はじめた

その 日 は 特に 長かった 。 |ひ||とくに|ながかった The day was particularly long.

だけど 、 わたし の 目 は ずっと リファナ ちゃん に 釘付け で 痛み なんて 飛んで しまって いた 。 |||め||||||くぎづけ||いたみ||とんで|| But my eyes were always glued to Rifana-chan and the pain flew away.

「 ああ 、 そう そう 。 "Oh, yes.

お前 は ずっと 帰る 村 が ある と 言って いた な 」 おまえ|||かえる|むら||||いって|| You always said there was a village to return to."

「……」

答える 必要 なんて ない 。 こたえる|ひつよう|| No need to answer.

だって 、 みんな が 待って いる はずだ もん 。 |||まって||| After all, everyone should be waiting.

「 とっくに 廃 村 に なって いる そうだ 。 |はい|むら||||そう だ "It seems that the village has long since been abandoned.

これ が 証拠 だ 」 ||しょうこ| This is the proof."

そう 言って 、 男 は 水晶 玉 を 掲げる 。 |いって|おとこ||すいしょう|たま||かかげる Saying so, the man held up the crystal ball.

する と 水晶 玉 から 光 が 出て 、 壁 に 村 の 姿 を 映す 。 ||すいしょう|たま||ひかり||でて|かべ||むら||すがた||うつす

そこ に は …… わたし が 知る 村 より も さらに 酷 く なった …… 誰 も い ない 村 が 映し 出さ れて いた 。 |||||しる|むら||||こく|||だれ||||むら||うつし|ださ|| There... it was even worse than the village I knew... an empty village was projected.

旗 が 無残に も 焼き払わ れた 残骸 が 目立つ 証拠 と して ある 。 き||むざんに||やきはらわ||ざんがい||めだつ|しょうこ||| The wreckage of the ruthlessly burnt-out flag is conspicuous evidence.

「 ああ 、 確か お前 が その 村 の 連中 を 励まして いた 子 だって 聞いた ぞ 。 |たしか|おまえ|||むら||れんちゅう||はげまして||こ||きいた| "Ah, I heard that you were the one who encouraged the people in that village.

みんな 村 を 棄 て て 、 逃げ 出した そうだ 」 |むら||き|||にげ|だした|そう だ Everyone seems to have abandoned the village and run away."

「 あ ……」

男 が 残忍に 笑う 。 おとこ||ざんにんに|わらう A man laughs brutally.

今 まで 全く 屈し なかった わたし が 、 初めて 見せた その 顔 に 満足 した ようだった 。 いま||まったく|くっし||||はじめて|みせた||かお||まんぞく|| I, who had never given up until now, seemed satisfied with the face I showed for the first time.

「 う …… うわ ああ ああ ああ ああ ……」

その 時 ── 何 か が ポキリ と 折れた 気 が した 。 |じ|なん|||||おれた|き|| At that moment, I felt like something had snapped.

もう 、 ダメな んだ 。 |だめな| I can't do it anymore.

お 父さん と お 母さん に あれ だけ 任さ れた 事 だった のに 、 もう 、 村 に は 誰 も 残って い ない 。 |とうさん|||かあさん||||まかさ||こと||||むら|||だれ||のこって|| Father and mother had entrusted that much to me, but there was no one left in the village.

じゃあ 、 わたし は …… どう したら 、 良い の ? |||||よい| So what should I do about ......?

もう 、 何も わたし に は 、 残さ れて い ない んだ 。 |なにも||||のこさ|||| There's nothing left for me anymore.

「 もっと 泣け ! |なけ Cry more!

痛み で 頭 が おかしく なり そうだった 。 いたみ||あたま||||そう だった The pain was driving me crazy.

ぼんやり と 、 毎晩 見る 、 あの 悪夢 が わたし の 心 を 蝕んで いく 。 ||まいばん|みる||あくむ||||こころ||むしばんで| That vague nightmare that I see every night eats into my heart.

お 父さん と お 母さん の 最期 の 姿 が …… 更 なる 悪夢 に 変わって 行く 。 |とうさん|||かあさん||さいご||すがた||こう||あくむ||かわって|いく Father and mother's last appearance... turns into another nightmare.

村 を 救え なかった お前 は 悪い 子 だ 。 むら||すくえ||おまえ||わるい|こ| You're a bad boy for not being able to save the village.

笑う 資格 なんか ない 。 わらう|しかく|| I have no right to laugh. 生きる 資格 なんか ない 。 いきる|しかく|| I have no right to live.

死ね と 囁き 続ける 。 しね||ささやき|つづける Keep whispering to me to die.

きっと …… そう …… もう 笑顔 に なれ ない から 。 |||えがお|||| I'm sure... that's right... because I can't smile anymore.

笑顔 に なり たく ない から 。 えがお||||| Because I don't want to make you smile.

だ から 、 約束 を 破って しまった わたし は ……。 ||やくそく||やぶって||| That's why I broke my promise...

いや 、 もしかしたら わたし を 拷問 する 期間 が 切れた の かも しれ ない 。 ||||ごうもん||きかん||きれた|||| No, maybe the time to torture me has expired.

「 これ は 酷 い …… 買い取り 金額 は 相当 低い です よ 。 ||こく||かいとり|きんがく||そうとう|ひくい|| "This is terrible... the purchase price is quite low.

ハイ 」 はい

「 どうせ 死に かけ だ 。 |しに|| "I'm dying anyway.

借用 だった が 、 損 耗 が 酷 く て 買い取り に なった 。 しゃくよう|||そん|もう||こく|||かいとり|| It was a loan, but the wear and tear was so bad that it was purchased. その 処分 で 引き取って 貰える だけ マシ だ 」 |しょぶん||ひきとって|もらえる||| It's better if you can take it back with that disposal."

「 分かり ました です 。 わかり|| "Understood.

ハイ 」 はい

太った 紳士 服 の 人 が わたし を あの 男 から 買い取った 。 ふとった|しんし|ふく||じん|||||おとこ||かいとった A fat man in men's clothes bought me from that man.

わたし を 売買 した 最初の 人 と は 違う 。 ||ばいばい||さいしょの|じん|||ちがう Not like the first person who bought or sold me.

次の 飼い主 は この 人 ? つぎの|かいぬし|||じん Is this person the next owner?

「 もう 少し 扱い 方 が ある でしょう に ……」 |すこし|あつかい|かた|||| "There should be a little more way to handle it..."

新しい 飼い主 は わたし に 薬 と 食べ物 を 分け 与えて くれた 。 あたらしい|かいぬし||||くすり||たべもの||わけ|あたえて| The new owner gave me medicine and food.

「 コホ 、 コホ !

「…… あんまり 長持ち し そうに ないで す 。 |ながもち||そう に|| "... it doesn't look like it will last very long.

ハイ 」 はい

と 、 呟き ながら 飼い主 は わたし を 檻 に 入れる 。 |つぶやき||かいぬし||||おり||いれる Muttering, the owner puts me in a cage.

もう …… わたし に 存在 価値 なんて 無い 。 |||そんざい|かち||ない I no longer have the worth of existence.

だって 、 守る べき 村 は 無くて 、 お 父さん も お 母さん も 死んじゃ って 、 わたし に 死ね と 言う んだ もん 。 |まもる||むら||なくて||とうさん|||かあさん||しんじゃ||||しね||いう|| After all, there is no village to protect, and my father and mother are dying, and they tell me to die.

苦しい 。 くるしい baffling .

早く 、 死に たい 。 はやく|しに| I want to die quickly.

どれ だけ の 時間 が 経った だろう 。 |||じかん||たった| I wonder how much time has passed.

ぼんやり と した 意識 の 中 で 、 わたし の 前 を 色々な 人 が 通り 過ぎて 行く 。 |||いしき||なか||||ぜん||いろいろな|じん||とおり|すぎて|いく In my vague consciousness, various people pass by in front of me.

そして ……。

「 ここ が ── 様 に 提供 できる 最低 ライン の 奴隷 です な 」 ||さま||ていきょう||さいてい|らいん||どれい|| "This is the lowest line of slaves that you can provide."

若い 男性 を 連れた 飼い主 が 檻 の 前 で 何 か 話して いる 。 わかい|だんせい||つれた|かいぬし||おり||ぜん||なん||はなして| The owner with the young man is talking in front of the cage.

「 左 から 遺伝 病 の ラビット 種 、 パニック と 病 を 患った ラクーン 種 、 雑種 の リザードマン です 」 ひだり||いでん|びょう|||しゅ|ぱにっく||びょう||わずらった||しゅ|ざっしゅ||| "From the left, a rabbit with a genetic disease, a raccoon with panic and disease, and a hybrid lizardman."

「 どれ も 問題 を 抱えて いる 奴 ばかり だ な 」 ||もんだい||かかえて||やつ||| "They're all just people with problems."

男 の 人 が 飼い主 と 交渉 を して いる 。 おとこ||じん||かいぬし||こうしょう||| A man is negotiating with the owner.

その 最中 、 ふと 目 が 合う 。 |さい なか||め||あう In the middle of that, their eyes meet.

睨ま れた だけ で 殺さ れ そうな 程 、 鋭い 眼光 だった 。 にらま||||ころさ||そう な|ほど|するどい|がんこう| It was a sharp glint in his eyes that could have killed him just by staring at him.

咄嗟に わたし の 喉元 から 空気 が 漏れ 出る 。 とっさに|||のどもと||くうき||もれ|でる Air suddenly leaks from my throat.

直 に その 瞳 は 他の 二 人 の 方 に 注が れた けど 、 凄く 怖かった 。 なお|||ひとみ||たの|ふた|じん||かた||そそが|||すごく|こわかった Her eyes immediately turned to the other two, but they were terrifying.

わたし を 鞭 で 打った 人 と は 比 で は ない 程 、 憎しみ に 溢れて いた 。 ||むち||うった|じん|||ひ||||ほど|にくしみ||あふれて| He was so full of hatred that it was no match for the man who whipped me.

まるで 世界 の 全て を 憎んで いる みたい 。 |せかい||すべて||にくんで|| It's like you hate everything in the world.

この 人 に 買わ れたら わたし は 直 に 死んじゃ う んだろう な ……。 |じん||かわ||||なお||しんじゃ||| If this person buys me, I'm sure I'll die right away...

「── 夜間 に パニック を 起し ます 故 、 手 を 拱いて いる のです 」 やかん||ぱにっく||おこし||こ|て||こまぬいて|| “──It causes me to panic at night, so I keep my hands free.”

わたし の 事 を 言って いる の か な ? ||こと||いって|||| Are you talking about me?

わから ない 。 do not know .

だけど 、 結局 わたし は 買わ れた 。 |けっきょく|||かわ| But in the end I was bought.

奴隷 紋 の 登録 は いつも 痛くて イヤ 。 どれい|もん||とうろく|||いたくて|いや Registering slave crests is always a pain and I don't like it.

だけど 、 きっと この 人 が わたし の 最後 の 飼い主 な んだ と 思う 。 |||じん||||さいご||かいぬし||||おもう But I'm sure this person is my last owner.

どうせ …… わたし は もう 長く ない 。 ||||ながく| Anyway... I won't be long anymore.

凄く 怖かった 。 すごく|こわかった I was terribly scared.

だけど 、 刺さ なきゃ もっと 痛い 。 |ささ|||いたい But it hurts more if you don't get stabbed.

武器 を 扱って いる お 店 から 出る と 、 お腹 が 鳴った 。 ぶき||あつかって|||てん||でる||おなか||なった My stomach rumbled when I left the shop that sells weapons.

また 怒ら れる ! |いから| Get angry again!

違う と 横 に 顔 を 振る 。 ちがう||よこ||かお||ふる If you disagree, he shakes his head to the side.

違う の 、 違う から 怒ら ないで 、 鞭 で 打た ないで ! ちがう||ちがう||いから||むち||うた| No, no, don't get angry, don't whip me!

「 は ぁ ……」

溜息 で 返さ れた 。 ためいき||かえさ| It was returned with a sigh.

なんで ? why ?

怒って 無い の ? いかって|ない|

そのまま 、 飼い主 は 別の 店 に わたし を 連れて 行く 。 |かいぬし||べつの|てん||||つれて|いく As it is, the owner takes me to another store.

そこ は ご飯 を 売って いる お 店 だった 。 ||ごはん||うって|||てん| It was a shop that sold rice.

町 で 見た 覚え が ある 。 まち||みた|おぼえ|| I remember seeing one in town.

定食 屋 さん だ 。 ていしょく|や|| It's a set meal restaurant.

「 えっ と 、 俺 は この 店 で 一 番 安い ランチ ね 。 ||おれ|||てん||ひと|ばん|やすい|らんち|

こいつ に は 、 あそこ の 席 に いる 子供 が 食べて る メニュー で 」 |||||せき|||こども||たべて||めにゅー|

「 え !?」

ふと 、 羨ま し い な ぁ と 見て いた 物 を 飼い主 は 注文 して くれた 。 |うらやま||||||みて||ぶつ||かいぬし||ちゅうもん|| Suddenly, the owner ordered what I was looking at with envy.

わたし は 耳 を 疑う 。 ||みみ||うたがう

だって 、 村 の 外 の 人 は 酷 い 人 ばかり 。 |むら||がい||じん||こく||じん| Because people outside the village are terrible people.

なのに 、 なんで ?

「 なん 、 で ?

「 ん ?

「 お前 が 食い たい って 顔 して た から だ ろ 。 おまえ||くい|||かお||||| "Because you looked like you wanted to eat it.

別の を 食い たかった か ? べつの||くい|| Wanted to eat another? わたし は 首 を 振った 。 ||くび||ふった I shook my head.

「 なん 、 で 、 食べ させて くれる の ? ||たべ|さ せて|| "What, are you going to let me eat?

だって 、 そんな 事 、 奴隷 に なって から 誰 も して くれた 事 無い 。 ||こと|どれい||||だれ||||こと|ない After all, since I became a slave, no one has ever done that to me.

「 だ から 言って る だ ろ 、 お前 が 食べ たい って 顔 して いる から だ 」 ||いって||||おまえ||たべ|||かお|||| "That's why I'm telling you, because you look like you want to eat it."

「 でも ……」

「 とにかく 飯 を 食って 栄養 を つけろ 。 |めし||くって|えいよう|| "Anyway, eat rice and get nourished.

そんな ガリガリ じゃ この先 、 死ぬ ぞ 」 |||このさき|しぬ| If you're so skinny, you'll die in the future."

死 …… そうだ 。 し|そう だ Death... yes.

わたし は 、 きっと 死ぬ 。 |||しぬ I am sure I will die. リファナ ちゃん を 死な せた 病 で 、 きっと 。 |||しな||びょう|| I'm sure it's the disease that killed Rifana.

「 お 待た せ し ました 」 |また||| " Sorry I made you wait "

わたし の 目の前 に 、 旗 の 付いた 豪華な ご飯 が 運ば れて きた 。 ||めのまえ||き||ついた|ごうかな|ごはん||はこば|| A sumptuous bowl of rice with a flag on it was brought to me.

羨ま し い と 見て いた 物 が 目の前 に ある 。 うらやま||||みて||ぶつ||めのまえ|| The thing I was looking at with envy is right in front of me.

だけど 、 きっと 、 食べよう と した 瞬間 に 床 に ぶちまけ られて 、 この 人 は 笑う んだろう な ぁ 。 ||たべよう|||しゅんかん||とこ|||||じん||わらう||| But I'm sure this person will laugh at being thrown on the floor at the moment he's about to eat.

「 食べ ない の か ? たべ||| "Don't you eat?

手 を 伸ばさ ない わたし に この 人 は 、 首 を 傾げて 聞いて くる 。 て||のばさ|||||じん||くび||かしげて|きいて| This person tilts his head and asks me when I don't reach out his hand.

「…… 良い の ? よい| "…… good ?

「 は ぁ …… 良い から 食べろ 」 ||よい||たべろ "Ha, ...... eat it because it's good."

うん 。

たぶん 、 やる はず 。 Maybe I should. 恐る恐る 手 を 伸ばす 。 おそるおそる|て||のばす I timidly stretch out my hand.

チラリ と 飼い主 を 見る 。 ちらり||かいぬし||みる Glance at the owner.

何も する 気配 が 無い 。 なにも||けはい||ない There is no sign of doing anything.

ご飯 に 手 が 触れた 。 ごはん||て||ふれた I touched the rice with my hand.

わたし は 旗 を 抜いて 、 達成 感 に 満ち 溢れた 。 ||き||ぬいて|たっせい|かん||みち|あふれた I pulled out the flag and was filled with a sense of accomplishment.

この 旗 が あれば 、 他 に は 何も いら ない か の よう に 満足だった 。 |き|||た|||なにも|||||||まんぞくだった With this flag, I was satisfied as if nothing else needed. 村 に 戻れた 様 な 気 が した 。 むら||もどれた|さま||き|| I felt like I was back in the village. 失わ れた 旗 が 戻って きた ような 、 気 が した 。 うしなわ||き||もどって|||き|| It felt like the lost flag had returned.

その 旗 を 握りしめて 久しぶりの 豪華な ご飯 を 貪り 続けた 。 |き||にぎりしめて|ひさしぶりの|ごうかな|ごはん||むさぼり|つづけた Holding that flag in my hands, I continued to devour the luxurious meal I hadn't seen in a long time.

その 美味し さ に 涙 が 溢れて くる 。 |おいし|||なみだ||あふれて| The deliciousness brings tears to my eyes.

泣いて いたら 怒ら れる 。 ないて||いから| If you cry, you will get angry.

必死に 隠して 平静 を 装わ ない と 。 ひっしに|かくして|へいせい||よそおわ|| I have to desperately hide it and pretend to be calm.

「 美味 いか ? びみ| "Delicious?

「 はい !

しまった !

元気に 答えちゃ った 。 げんきに|こたえちゃ| I answered cheerfully. きっと 喜ぶ わたし に 酷 い 事 を する つもりな んだ ! |よろこぶ|||こく||こと|||| I'm sure you're going to do something terrible to me!

「 そう か 、 良かった な 」 ||よかった|

と 、 飼い主 の 言葉 に わたし は 首 を 傾げた 。 |かいぬし||ことば||||くび||かしげた I tilted my head at the owner's words.

手 に 持った 旗 から 暖かい 何 か が 滲み出て くる 気 が する 。 て||もった|き||あたたかい|なん|||にじみでて||き|| I feel that something warm will come out from the flag I held in my hand.

領主 さま が くれた 、 あの 時 の 旗 と 比べれば 遥かに 小さくて 安っぽい 物 だ けど 、 わたし が 失って しまった 物 が ぎゅっと 凝縮 して いる 様 な …… 大切な 物 を 思い出さ せて くれる 。 りょうしゅ|||||じ||き||くらべれば|はるかに|ちいさくて|やすっぽい|ぶつ|||||うしなって||ぶつ|||ぎょうしゅく|||さま||たいせつな|ぶつ||おもいださ|| Compared to the flag the lord gave me back then, it's a lot smaller and cheaper, but it's like the stuff I've lost has been tightly condensed... It reminds me of something important.

男 の 人 を 見る 。 おとこ||じん||みる look at the man

相変わらず 怖い 顔 を して いる けれど 、 今 まで と は 何 か が 違う と 思った 。 あいかわらず|こわい|かお|||||いま||||なん|||ちがう||おもった He still looks scared, but I thought something was different from before.

この 人 は …… 何 か 違う の ? |じん||なん||ちがう| Is there something wrong with this person?

声 や 目 は とても 怖い の に 優しい 人 な の ? こえ||め|||こわい|||やさしい|じん|| Your voice and eyes are so scary, but are you a kind person?

わたし の 中 で は 疑問 が 溢れて いた 。 ||なか|||ぎもん||あふれて|

薬 を 飲ま さ れた し 、 色々 歩き まわら さ れた 。 くすり||のま||||いろいろ|あるき||| I was given medicine and made to walk around.

だけど 、 もっとも 大きな 違い が 一 つ ある 。 ||おおきな|ちがい||ひと|| But there is one biggest difference.

今 まで わたし を 苛 んで いた 悪夢 が …… 違って いた 。 いま||||か|||あくむ||ちがって| The nightmare that had tormented me until now... was different.

「 ラフタリア 」

お 父さん と お 母さん が あの 崖 の 上 に 立って いる 。 |とうさん|||かあさん|||がけ||うえ||たって| My father and mother are standing on that cliff.

「 お 父さん ! |とうさん

お 母さん ! |かあさん わたし は 無我夢中 で 駆け寄る 。 ||むがむちゅう||かけよる I rush over frantically.

会い たかった 。 あい| I missed you.

ずっと 一緒に いたかった 。 |いっしょに| I wanted to be with you forever.

ダメな のに 、 お 父さん お 母さん の 前 で は ダメな のに 、 瞳 から 勝手に 涙 が 溢れて くる 。 だめな|||とうさん||かあさん||ぜん|||だめな||ひとみ||かってに|なみだ||あふれて| Even though I can't, even though I can't stand in front of my father and mother, my eyes are filled with tears.

「 大丈夫 …… 大丈夫 よ 」 だいじょうぶ|だいじょうぶ|

「 泣いちゃ ダメだ よ 。 ないちゃ|だめだ| "Don't cry.

強く なる んだ 」 つよく|| I'm getting stronger."

「 う う …… でも 」

泣き 続ける わたし を お 父さん と お 母さん は 優しく 、 宥めて くれる 。 なき|つづける||||とうさん|||かあさん||やさしく|なだめて| My father and mother gently soothe me as I continue to cry.

「 私 達 は いつでも お前 を 見守って いる よ 」 わたくし|さとる|||おまえ||みまもって|| "We are always watching over you."

「 ええ 、 どう か 、 幸せに ね 」 |||しあわせに| "Yes, please, be happy."

「 でも ──」

「 きっと 、 大丈夫 、 その 人 は ……」 |だいじょうぶ||じん| "I'm sure he'll be fine, that person is..."

わたし は そこ で 夢 から 覚める 。 ||||ゆめ||さめる There I wake up from my dream.

驚いた 事 に 飼い主 が わたし を 抱きかかえて 慰めて くれて いた 。 おどろいた|こと||かいぬし||||だきかかえて|なぐさめて|| To my surprise, the owner hugged me and comforted me.

…… 悪い 人 じゃ ない みたい 。 わるい|じん||| ……It doesn't seem like he's a bad person.

それ に 、 わたし を いたずらに 傷つけたり し ない 。 |||||きずつけたり|| And don't hurt me unnecessarily.

凄く 不器用で 口 も 悪い けど 、 優しい の が わかる 。 すごく|ぶきようで|くち||わるい||やさしい||| She is very clumsy and has a bad mouth, but I can tell that she is kind.

わたし の お腹 が 空いたら あまり お 金 が 無い のに ご飯 を くれる し 、 薬 を 飲ま せ 、 自分 より も 優先 的に 装備 品 を 持た せて くれる 。 ||おなか||あいたら|||きむ||ない||ごはん||||くすり||のま||じぶん|||ゆうせん|てきに|そうび|しな||もた|| When I'm hungry, even though I don't have a lot of money, she gives me food, gives me medicine, and gives me equipment before myself.

この 時 の わたし の 心 に 芽生えた 不思議な 気持ち …… まだ 新芽 の 様 な 何 か が 、 何 である か は いずれ 、 わかる 事 に なる 。 |じ||||こころ||めばえた|ふしぎな|きもち||しんめ||さま||なん|||なん||||||こと|| At that moment, a strange feeling sprang up in my heart... something like a budding sprout, but eventually I would find out what it was.

そして 、 この 人 が 誰 な の か を わたし は 直 に 知る 事 と なった 。 ||じん||だれ|||||||なお||しる|こと|| And I got to know who this person is.

憎しみ に 染まった …… 悲しい 色 を した 黒い 瞳 を した 人 。 にくしみ||そまった|かなしい|いろ|||くろい|ひとみ|||じん Stained with hatred... a person with sad dark eyes.

乱暴で 、 口 が 悪くて 、 直 に 怒る 、 とっても 怖い 人 。 らんぼうで|くち||わるくて|なお||いかる||こわい|じん He is violent, foul-mouthed, directly angry, and very scary.

だけど 、 誰 か の 痛 み を 知って いる …… とても 、 とっても 優しい 心 を 持った 人 。 |だれ|||つう|||しって||||やさしい|こころ||もった|じん But someone who knows someone's pain... someone with a very, very kind heart.

そう 、 わたし の ご 主人 様 は リファナ ちゃん が 憧れて いた …… 盾 の 勇者 様 だった のだ 。 ||||あるじ|さま|||||あこがれて||たて||ゆうしゃ|さま|| Yes, my master was the hero of the shield that Rifana-chan admired.

全て を 失った わたし の 宝物 が 増えて 行って いった 。 すべて||うしなった|||たからもの||ふえて|おこなって| My treasure, which had lost everything, increased and went away.

「 え へ へ 」

勇者 様 が くれた 袋 に 宝物 を 詰めて 私 は 笑う 。 ゆうしゃ|さま|||ふくろ||たからもの||つめて|わたくし||わらう I smile as I stuff the treasures in the bag that Hero-sama gave me.

ボール でしょ 。 ぼーる| It's the ball, isn't it?

壊れた ナイフ でしょ 。 こぼれた|ないふ| It's a broken knife, isn't it? 他 に も 色々 と くれる 。 た|||いろいろ|| I can give you many other things. だけど 一 番 の 宝物 は あの 旗 。 |ひと|ばん||たからもの|||き

他 に も 袋 に は 入って い ない けど 暖かい 物 を 沢山 もらった 。 た|||ふくろ|||はいって||||あたたかい|ぶつ||たくさん| I also got a lot of warm things that weren't in the bag.

体 も 元気に なって 、 少しずつ 強く なって いる 自覚 が 出て きた 。 からだ||げんきに||すこしずつ|つよく|||じかく||でて| My body was getting better, and I started to realize that I was getting stronger little by little.

「 ほら 、 飯 だ ぞ 」 |めし|| "Look, it's rice."

「 は ー い 」 |-|

リファナ ちゃん 。

聞こえて いる かな ? きこえて|| Can you hear me?

私 、 盾 の 勇者 様 と 一緒に 戦って いる んだ よ ? わたくし|たて||ゆうしゃ|さま||いっしょに|たたかって||| I am fighting with the hero of the shield, you know?

きっと 、 驚く よ ね 。 |おどろく|| I'm sure you'll be surprised.

その 日 も わたし は 夢 を 見る …… とても 良い 夢 。 |ひ||||ゆめ||みる||よい|ゆめ On that day I also dream...a very good dream.

死んだ はずの リファナ ちゃん が わたし の 前 に 居て 、 笑って いる 。 しんだ|||||||ぜん||いて|わらって| Rifana-chan, who should have died, is in front of me, smiling.

そして これ まで の 話 や 他 愛 ない 話 を した 。 ||||はなし||た|あい||はなし|| And we talked about the past and trivial stories.

「 ラフタリア ちゃん 。

頑張って 」 がんばって

「 頑張る よ 」 がんばる|

「 良い な ー …… 盾 の 勇者 様 と 一緒 なんて ー 」 よい||-|たて||ゆうしゃ|さま||いっしょ||-

「 う ふ ふ 、 羨ま し い でしょう 」 |||うらやま|||

「 あ 、 ひ っ ど ー い ! ||||-| Oh, that's terrible!

夢 の 中 の リファナ ちゃん は まったく 辛 そうに なんて して い ない 感じ で 、 わたし に 微笑み かける 。 ゆめ||なか||||||しん|そう に|||||かんじ||||ほおえみ| In my dream, Rifana-chan smiled at me as if she didn't seem to be suffering at all.

「 見守って る から ね 」 みまもって||| "I'll be watching over you."

「 うん 」

「 あの 旗 の ある 村 へ 、 帰ろう ね 」 |き|||むら||かえろう| "Let's go back to the village with the flag."

「 うん 。

絶対 に 、 取り戻す から ! ぜったい||とりもどす| どう か お 父さん と お 母さん が いる 場所 から 見守って いて 。 |||とうさん|||かあさん|||ばしょ||みまもって| Please watch over me from where my father and mother are.

絶対 に 生き残って あの 村 を 再建 さ せる んだ から 。 ぜったい||いきのこって||むら||さいけん|||| I will survive and rebuild that village.

わたし 達 を 攫 ったり する 悪人 を 懲らしめる 強 さ が 欲しい 。 |さとる||つか|||あくにん||こらしめる|つよ|||ほしい I want the strength to punish the bad guys who kidnap us.

残酷で 苦しい 、 悪意 に 満ちた 世界 だ けど 、 わたし は 諦め ない 。 ざんこくで|くるしい|あくい||みちた|せかい|||||あきらめ| It is a cruel and painful, malicious world, but I will not give it up.

もう 誰 も 失い たく ない 。 |だれ||うしない|| I don't want to lose anyone anymore.

お 父さん と お 母さん 、 リファナ ちゃん を 、 そして ナオフミ 様 を 守れる 様 に なる 。 |とうさん|||かあさん||||||さま||まもれる|さま|| I will be able to protect my father and mother, Rihanna, and Naofumi-sama.

その 為 に わたし は 、 私 は …… 歩き 続ける 。 |ため||||わたくし||あるき|つづける That's why I'm going to keep walking at .......

ま 、 後 数 日 は リユート 村 に 滞在 する 予定 で は ある 。 |あと|すう|ひ|||むら||たいざい||よてい||| We plan to stay in Riyut Village for a few more days.

俺 は 村 に 来た 行商 に 薬 を 売って 、 部屋 に ちょうど 帰って きた 。 おれ||むら||きた|ぎょうしょう||くすり||うって|へや|||かえって| I just returned to my room after selling medicine to a peddler who came to the village.

ラフタリア が 色々な 手 荷物 を 整理 して いる 。 ||いろいろな|て|にもつ||せいり|| Raphtalia is sorting out various baggage.

前 に 買った ボール 、 ラフタリア が 最初に 着用 して いた 服 を 綺麗に 畳んで 荷物 袋 に 収めて いる ようだ 。 ぜん||かった|ぼーる|||さいしょに|ちゃくよう|||ふく||きれいに|たたんで|にもつ|ふくろ||おさめて|| It seems that the ball that I bought before, the clothes that Raftalia originally wore was nicely folded and put in the baggage bag.

その 中 に 汚れた お 子 様 ランチ の 旗 が ある 。 |なか||けがれた||こ|さま|らんち||き||

ラフタリア は まだ 俺 が 部屋 の 扉 を 開けた 事 に 気付いて い ない みたいだ 。 |||おれ||へや||とびら||あけた|こと||きづいて||| Raphtalia still doesn't seem to have noticed that I opened the door to the room.

気 が 付か ない ラフタリア は 汚れた 旗 を 、 ゴミ と して 捨てる どころ か 大切 そうに 手 に 持って 。 き||つか||||けがれた|き||ごみ|||すてる|||たいせつ|そう に|て||もって I do not notice Raftalia has a dirty flag, as if it is discarded as garbage, take it carefully.

「 え へ へ 」 "Heh heh heh."

と 、 なんか 楽し そうに 声 を 出して いる 。 ||たのし|そう に|こえ||だして|

そう か …… ラフタリア は お 子 様 ランチ の 旗 が そんなに 好きな の か 。 |||||こ|さま|らんち||き|||すきな|| I see... Does Raphtalia like the children's lunch flag that much?

なら 戦力 と なる ラフタリア に はやる 気 を 出して 貰わ ねば なら ない 。 |せんりょく||||||き||だして|もらわ||| In that case, Raphtalia, who will become a fighting force, must be motivated.

でないと 波 を 上手く 乗り越え られる か わから ん から な 。 |なみ||うまく|のりこえ|||||| Otherwise, I don't know if I'll be able to ride out the waves.

「 あ 、 ナオフミ 様 」 ||さま

俺 が 帰って きた 事 に 気付いた ラフタリア は 旗 を 荷物 袋 に 閉 しまって 平静 を 装う 。 おれ||かえって||こと||きづいた|||き||にもつ|ふくろ||しま||へいせい||よそおう When Raftalia realizes I'm back, she puts the flag in her bag and tries to look nonchalant.

「 今 帰った 」 いま|かえった I just got home.

「 どう でした ? How was it?

「 売上 は 上々だ な 」 うりあげ||じょうじょうだ| "Sales are going well."

いつも の ように 会話 を して いる と 、 俺 は とある アイデア を 閃 いた 。 |||かいわ|||||おれ|||あいであ||せん| As we were having our usual conversation, an idea struck me.

これ さえ あれば ラフタリア も 喜んで 食事 を 楽しみ 、 戦って くれる だろう 。 |||||よろこんで|しょくじ||たのしみ|たたかって|| If this is so, Raftariya will be delighted to enjoy eating and will fight.

今日 は 豪快に 鉄 串 を 刺して 串 焼き だ 。 きょう||ごうかいに|くろがね|くし||さして|くし|やき| Today, we will be cooking on a spit with a steel skewer.

「 大分 焼けて き ました ね 」 だいぶ|やけて||| "It's getting pretty burnt out."

「 そう だ な 」

俺 は 美味 い か どう か 、 味覚 が 無い から よく わから ない けれど 、 見た目 と 匂い で なんとなく 判断 する 。 おれ||びみ|||||みかく||ない||||||みため||におい|||はんだん| I do not know whether it is delicious, because there is no taste, but I do not care what it looks like and it smells somewhat.

薬草 の 中 に ある 香 草 っぽい もの で 肉 の 下ごしらえ を して いる から 、 スパイシー な 良い 匂い が 辺り に 漂って きた 。 やくそう||なか|||かおり|くさ||||にく||したごしらえ|||||||よい|におい||あたり||ただよって|

さて 、 そろそろ だろう 。 Well, it's about time.

俺 は 焼き 上がった 鉄 串 を 持ち 、 荷物 袋 から 、 昨晩 作った 自作 の 旗 を 串 焼き の 肉 に 刺した 。 おれ||やき|あがった|くろがね|くし||もち|にもつ|ふくろ||さくばん|つくった|じさく||き||くし|やき||にく||さした I took a grilled iron skewer and stuck the self-made flag I made last night out of my luggage bag onto the meat on the skewer.

「 え !?」

「 ほら 、 ラフタリア 。

お前 の 分 だ 」 おまえ||ぶん| It's your part. "

俺 の 世界 の 国旗 だ 。 おれ||せかい||こっき|

覚えて いる 国旗 は 複数 ある から 種類 は 増やせる だろう 。 おぼえて||こっき||ふくすう|||しゅるい||ふやせる|

「 あの …… な んです か これ ?

「 何 って 旗 だ が ? なん||き|| "What's that flag?

まあ 、 確かに 旗 を 付け られたら おかしい と は 思う かも しれ ない 。 |たしかに|き||つけ|||||おもう||| Well, it's true that you might think it would be strange to have a flag attached.

だけど ラフタリア は どうやら 旗 が 好きな ようだ から 与える 。 ||||き||すきな|||あたえる But Raphtalia seems to like the flag, so I'll give it to her.

ん ?

更に 名案 が 閃 いた ぞ 。 さらに|めいあん||せん|| I've come up with an even better idea.

「 俺 自作 の 旗 で は 不満 か 。 おれ|じさく||き|||ふまん| "Are you unsatisfied with a self-made flag?

では この 旗 を 七 つ 集めたら 城下町 の あの 店 で 旗 の 付いた ランチ を 注文 して やろう 」 ||き||なな||あつめたら|じょうかまち|||てん||き||ついた|らんち||ちゅうもん|| Then, when I collect seven of these flags, I'll order lunch with the flags from that restaurant in the castle town."

「 いえ 、 不満で は 無い で す けど ……」 |ふまんで||ない||| "No, I'm not dissatisfied, but..."

「 なら 存分に 食う と 良い 」 |ぞんぶんに|くう||よい "Then you should eat to your heart's content."

「 はい ……」

やはり 俺 の 自作 じゃ 不満 か 。 |おれ||じさく||ふまん| Are you still dissatisfied with my own work?

と は いい つつ 、 旗 を 取った ラフタリア は 機嫌 良く 串 焼き を 頬張り 始める 。 ||||き||とった|||きげん|よく|くし|やき||ほおばり|はじめる Having said that, Raphtalia, who had taken the flag, began to stuff her cheeks with grilled skewers in a good mood.

そして 旗 を 空 に 掲げて とても うれし そうだった 。 |き||から||かかげて|||そう だった And he was so happy to raise the flag in the sky.

うん 。

やはり ラフタリア は 旗 が 好きな んだ な 。 |||き||すきな||

「 さて 、 腹 ご なし も 済んだ し 、 そろそろ Lv 上 げ を 再開 する か 」 |はら||||すんだ|||lv|うえ|||さいかい|| "Now then, I'm done with my hunger, so it's time to start raising my level again."

「 はい !

と 、 その 日 の 夕方 まで 俺 たち は 近隣 の 魔物 を 狩り 、 同時に 薬草 の 採取 を 続けた 。 ||ひ||ゆうがた||おれ|||きんりん||まもの||かり|どうじに|やくそう||さいしゅ||つづけた And so, until the evening of that day, we continued hunting nearby monsters and collecting medicinal herbs at the same time.

なんだか んだ 言って 疲れて きた 。 ||いって|つかれて| I'm tired of saying something.

味 は わから ない が 良い 物 を 食わ ない と 体 が 持た ない こと を 俺 は 知って いる 。 あじ|||||よい|ぶつ||くわ|||からだ||もた||||おれ||しって| I don't know what it tastes like, but I know that my body won't last if I don't eat good food.

ラフタリア に も 精 の 付く 物 を 食って 貰わ ない と 。 |||せい||つく|ぶつ||くって|もらわ|| Raftalia needs to eat something energizing as well.

筋肉 が 付か ない だろう し 。 きんにく||つか||| You won't be able to put on muscle.

タダ で さえ やせ 気味な んだ 。 ただ||||ぎみな|

万 年 腹 ペコ の ようだ し 、 下手に ケチ って も 良い 事 は 無い 。 よろず|とし|はら|||||へたに||||よい|こと||ない It seems like I've been hungry for a million years, and there's no good in being stingy.

「 お 待た せ し ました 」 |また||| " Sorry I made you wait "

酒場 で 出て くる ランチ を ラフタリア は 目 で 追って いる 。 さかば||でて||らんち||||め||おって| Raphtalia was following the lunch served at the bar with her eyes.

コト っと 俺 達 の 前 に ランチ が 置か れ 、 店員 は 次の 客 の 応対 を 始める 。 ||おれ|さとる||ぜん||らんち||おか||てんいん||つぎの|きゃく||おうたい||はじめる Lunch was placed in front of us, and the staff started serving the next customer.

「 では いただき ます 」

「 あ 、 ちょっと 待て 」 ||まて

「 な んです か ? " what is it ?

最近 は ラフタリア も テーブル マナー を 覚えて きて 上品に なって きて いる ような 気 が する 。 さいきん||||てーぶる|まなー||おぼえて||じょうひんに|||||き|| Recently, I feel like Raphtalia has also learned table manners and is becoming more elegant.

手掴み で 食べて いた の が ウソ の ようだ 。 てづかみ||たべて||||うそ|| It seems like a lie that I was eating with my hands.

俺 は 懐 から 旗 を 取り出して ランチ に 刺した 。 おれ||ふところ||き||とりだして|らんち||さした I took the flag out of my pocket and stuck it in my lunch.

どうせ 近々 城下町 に 行く んだ 。 |ちかぢか|じょうかまち||いく| Anyway, I'm going to the castle town soon.

それ まで の 間 に 旗 を 増やして やった 方 が 良い 。 |||あいだ||き||ふやして||かた||よい It would be better to increase the number of flags until then.

「 えっ と ……」

楽し そうに 食べよう と して いた ラフタリア の 表情 が 曇る 。 たのし|そう に|たべよう||||||ひょうじょう||くもる The expression of Raphtalia, who was happily trying to eat, clouded over.

「 どうした ?

ああ 、 衛生 観念 的に イヤ と いう 奴 か ? |えいせい|かんねん|てきに|いや|||やつ| Ah, the one who doesn't like hygiene?

ワガママ な 奴 だ な 。 ||やつ|| He's a selfish guy.

そして 夜食 の 時間 。 |やしょく||じかん

最近 は あまり 空腹で 目覚める 事 は 無かった けれど 、 調合 中 に ラフタリア は 目 を 覚ました 。 さいきん|||くうふくで|めざめる|こと||なかった||ちょうごう|なか||||め||さました Raphtalia hadn't woken up hungry recently, but she woke up during the synthesis.

「 なんだ ?

腹 が 減った の か ? はら||へった|| Are you hungry? 「 ああ …… はい 」

昼間 に 焼いて おいた 串 焼き を 取り出して 旗 を 刺そう と した 所 で ラフタリア は 俺 の 手 を 握る 。 ひるま||やいて||くし|やき||とりだして|き||さそう|||しょ||||おれ||て||にぎる Raphtalia grabbed my hand when I was about to take out the skewers that had been grilled during the day and pierce the flag.

「 なんだ ?

「 あの …… もう 結構です 」 ||けっこうです "Um, ......, that's enough."

「 どうした ん だ ? "What's going on?

旗 が 好きな の か と 思った のだ が 」 き||すきな||||おもった|| I thought you liked flags."

「 好き か 嫌い か と 言わ れれば 好きです けど 、 こう ボンボン 渡 さ れて も ……」 すき||きらい|||いわ||すきです|||ぼんぼん|と||| "If you ask me whether I like it or not, I would like it, but even if I give you a bonbon like this..."

ああ 、 なるほど ね 。 Oh, I see.

時々 貰える から 嬉しい 物 であって 、 毎度 貰える と ありがた み も 薄れる と いう 訳 か 。 ときどき|もらえる||うれしい|ぶつ||まいど|もらえる|||||うすれる|||やく| It's something that makes you happy because you can get it from time to time, but if you get it every time, it's less appreciated.

俺 も うっかり して いた 。 おれ||||

本人 に しか 分から ない 希少 価値 と いう 奴 だ 。 ほんにん|||わから||きしょう|かち|||やつ| He's a rarity value that only he himself can understand.

「 それ は すま なかった 」 "I'm sorry about that."

「 はい 」

ならば 、 希少 価値 さえ 見いだせれば 嬉しい と いう 事 だ 。 |きしょう|かち||みいだせれば|うれしい|||こと| In that case, I would be happy if I could even find a scarcity value.

どう する ?

奴隷 の 精神 状態 の ケア くらい して おか ない と 戦い に 支障 を 来す ぞ 。 どれい||せいしん|じょうたい||けあ||||||たたかい||ししょう||きたす| If you don't take care of the slave's mental state, it will hinder the battle.

なるほど 。

旗 は 好きだ が 、 食べ物 に ついて いる 旗 が 好きな わけで は ない の か 。 き||すきだ||たべもの||||き||すきな||||| I like flags, but don't you like flags on food?

「 では これ から 、 ラフタリア が 十分 、 役 に 立った と 思ったら 旗 を 進呈 しよう 」 |||||じゅうぶん|やく||たった||おもったら|き||しんてい| "Then, from now on, if I think Raphtalia has been sufficiently useful, I will give her the flag."

「 は ?

「 金 の 変わり だ 。 きむ||かわり| "It's a change of money.

旗 が 七 つ 集まったら 、 一 日 休み を やる 。 き||なな||あつまったら|ひと|ひ|やすみ|| After collecting seven flags, we will take a day off. 存分に 遊んで 来い 」 ぞんぶんに|あそんで|こい Come and play to your heart's content."

「 そういう 意味 で 断った 訳 じゃ ないで す 」 |いみ||たった|やく||| "That's not why I declined."

む う …… ラフタリア も 頑固だ な 。 ||||がんこだ| Hmm... Raphtalia is also stubborn.

「 じゃあ どう すれば いい んだ ? "Then what should I do?

「 ナオフミ 様 。 |さま

私 は その …… 別に 旗 が 好きだ と いう 意味 で 大切に して いる 訳 じゃ ない のです よ 」 わたくし|||べつに|き||すきだ|||いみ||たいせつに|||やく|||| It's not like I really like the flag..."

「 そう な の か ? "Is that so?

「 なんと 言い ます か …… その …… です ね 」 |いい||||| "How do you say ......, that ......?"

あれ は お 子 様 ランチ 。 |||こ|さま|らんち That's your son's lunch.

子供 である ラフタリア は きっと 両親 と 一緒に 同じ ように 外食 で 食べ させて もらえて いた の かも しれ ない 。 こども|||||りょうしん||いっしょに|おなじ||がいしょく||たべ|さ せて|||||| As a child, Raphtalia must have been allowed to eat out with her parents in the same way.

だ から 過去 を 振り返って 、 思い出 の 旗 と 比べて いる の か 。 ||かこ||ふりかえって|おもいで||き||くらべて||| So you look back and compare the past with the flags of your memories.

「 皆 まで 言う な 、 わかった 。 みな||いう|| "Don't tell everyone, I get it.

親 と の 思い出 な んだ な ? おや|||おもいで||| What memories do you have with your parents? 「 えっ と 」

ラフタリア は 目 を 泳が せて から 、 諦めた か の よう に 頷く 。 ||め||えい が|||あきらめた|||||うなずく Raftalia's eyes darted around, then she nodded as if she had given up.

「 はい 。

そういう 事 に して おいて ください 。 |こと|||| Please leave it like that. 似た ような もの です から 」 にた|||| It's something similar."

違う の か ? ちがう|| Is it wrong?

どうも 気難しい 奴 だ な 。 |きむずかしい|やつ|| He's a tough guy.

ああ 、 そう 言えば 、 頭 に 旗 を 付けた 古い アニメキャラ が 居た な 。 ||いえば|あたま||き||つけた|ふるい|||いた| Oh, come to think of it, there was an old anime character with a flag on his head.

俺 は 旗 を 改造 して 頭 に 付け られる よう 細工 し 、 ラフタリア の 頭 に 乗せる こと に した 。 おれ||き||かいぞう||あたま||つけ|||さいく||||あたま||のせる||| I modified the flag so that it could be worn on Raphtalia's head.

「 後 は 語尾 に ダジョー って 付ける と 良い 」 あと||ごび||||つける||よい "After that, it's good to add dajo at the end of the sentence."

「 あの …… 何の 冗談 です か ? |なんの|じょうだん|| I said, "Um, ......, what's the joke?

「 旗 好きな キャラクター …… 物語 の 登場 人物 の 真似 だ 」 き|すきな|きゃらくたー|ものがたり||とうじょう|じんぶつ||まね| "Flags are my favorite characters... they're imitations of the characters in the story."

「 怒り ます よ ? いかり|| "Are you angry?

ダジョー …… です か ? Dajo...is it? …… ふむ 、 冷静に 考えたら 俺 も やり すぎ だ と 思う 。 |れいせいに|かんがえたら|おれ||||||おもう ……Fumu, thinking about it calmly, I think I'm overdoing it too.

正直 くどい な 。 しょうじき|| To be honest, it's boring. しかも 古い 。 |ふるい And it is old.

「 本当に 悪かった 」 ほんとうに|わるかった "It was really bad."

「 はい 」

「 じゃあ 旗 は 処分 だ な 」 |き||しょぶん|| "Then the flag must be destroyed."

「 いえ …… 今回 まで で 良い です から 下さい 」 |こんかい|||よい|||ください "No... I'm fine with it until this time, so please."

「 む 、 わかった 」

ラフタリア は 俺 から 旗 を 受け取る と そのまま 荷物 袋 に 仕舞う 。 ||おれ||き||うけとる|||にもつ|ふくろ||しまう Raftalia takes the flag from me and puts it in her bag.

「 この 旗 は 色々な 種類 が ある ようです が 、 何 処 の 旗 な のです か ? |き||いろいろな|しゅるい|||||なん|しょ||き||| "There seem to be various types of this flag, but what kind of flag is it from?

「 俺 の 世界 の 国旗 だ 」 おれ||せかい||こっき| "It's the flag of my world."

「 いっぱい あり ます ね 」 There are a lot of them.

「 色々な 国 が ある から な ぁ ……」 いろいろな|くに||||| There are so many different countries. ......

「 ナオフミ 様 の 世界 って 、 どんな 所 な んです か ? |さま||せかい|||しょ||| "What kind of place is Naofumi-sama's world?

ラフタリア に 尋ね られて 、 俺 は 元 の 世界 に 戻る 夢 を 描く 。 ||たずね||おれ||もと||せかい||もどる|ゆめ||えがく When Raftalia asks me about it, I dream of returning to my world.

ああ …… 懐かしい 。 |なつかしい Oh how I miss ...... .

つまらない 日常 だ と 思って いた あの 日々 が こんなに も 恋しい と は 思わ なかった 。 |にちじょう|||おもって|||ひび||||こいしい|||おもわ| I never thought I'd miss those days so much, which I thought were boring days.

「 そう だ な …… まず 魔物 と か は い ない な 。 ||||まもの|||||| "That's right... First of all, there are no monsters.

Lv と か の 概念 も 無い 」 lv||||がいねん||ない

「 そう な のです か !?」 " Is that so !?"

「 あと 亜人 は い ない 。 |あにん||| There are no more subhumans.

奴隷 制度 は あった けど 、 今 じゃ 廃れて いる ――」 どれい|せいど||||いま||すたれて| There used to be slavery, but now it's obsolete--"

と 、 俺 は 深夜 、 ラフタリア に 故郷 である 日本 の 話 を 聞か せる 。 |おれ||しんや|||こきょう||にっぽん||はなし||きか| Then, late at night, I tell Raphtalia about Japan, her hometown.

「 そのような 世界 が ある のです か 」 |せかい|||| "Is there such a world?"

「 ああ 、 俺 の 世界 は そんな 世界 だ 」 |おれ||せかい|||せかい|

「 一 度 で いい から 行って みたいです 。 ひと|たび||||おこなって| I want to go there just once.

そんな 平和で 、 平凡な 世界 を 」 |へいわで|へいぼんな|せかい| Such a peaceful and ordinary world

「 ラフタリア は 住み 辛い と 思う ぞ 」 ||すみ|からい||おもう| "I think Raftaria would be a hard place to live."

見世物 に さ れて しまう だろう 。 みせもの||||| It would be a spectacle.

安易に 哀れな 未来 が 想像 できる 。 あんいに|あわれな|みらい||そうぞう| You can easily imagine a pitiful future.

「 それ でも …… 私 は 行って み たい と 思い ます 」 ||わたくし||おこなって||||おもい| "But ...... I'd like to try it."

「 じゃあ もしも 行けたら 、 俺 の 世界 の お 子 様 ランチ を 奢 って やる よ 」 ||いけたら|おれ||せかい|||こ|さま|らんち||しゃ||| "Then, if you can go, I'll treat you to lunch for the children of my world."

「 約束 です よ ? やくそく|| "That's a promise, isn't it?

「 ああ 」

叶う か どう か わから ない 約束 を 、 俺 は ラフタリア と した のだった 。 かなう||||||やくそく||おれ||||| I made a promise to Raphtalia that I didn't know if it would come true.

ゲーム と 読書 好き が 高じて 、 小説 を 書き 始める 。 げーむ||どくしょ|すき||こうじて|しょうせつ||かき|はじめる He started writing novels because of his love of games and reading.

『 盾 の 勇者 の 成り 上がり 』 を 執筆 し 、 ネット 上 に 作品 を 公開 。 たて||ゆうしゃ||なり|あがり||しっぴつ||ねっと|うえ||さくひん||こうかい Wrote "The Rising of the Shield Hero" and published the work on the Internet.

作品 発表 後 、 連日 欠かす こと なく 更新 する こと で 病み付き と なる 読者 が 続出 し 話題 と なる 。 さくひん|はっぴょう|あと|れんじつ|かかす|||こうしん||||やみつき|||どくしゃ||ぞくしゅつ||わだい|| After the publication of his work, he became the talk of the town, with readers becoming addicted to his daily updates. Sau khi tác phẩm được công bố, độc giả phát nghiện bởi cập nhật liên tục mỗi ngày vẫn không ngừng trở thành đề tài bàn tán sôi nổi.

2013 年 8 月 「 MF ブックス 」 から 商業 デビュー 。 とし|つき|mf|||しょうぎょう|でびゅー In August 2013, he made his commercial debut with MF Books.

「 どん底 から どこまでも 出世 して 行き ます 」 と 語る 。 どんぞこ|||しゅっせ||いき|||かたる "I will rise from the bottom to the top," he says.

©2013 Aneko Yusagi aneko|yusagi

本書 は 投稿 小説 サイト 「 小説 家 に なろう 」( http :// syosetu . com /) に 発表 さ れた もの を 加筆 の 上 書籍 化 した もの です 。 ほんしょ||とうこう|しょうせつ|さいと|しょうせつ|いえ|||||||はっぴょう|||||かひつ||うえ|しょせき|か||| This book is a book that has been revised and published on the novel submission site "Let's become a novelist" (http://syosetu.com/).