6.2 9と3/4番線からの旅(2)
男の子 が 三 人 入ってきた 。 ハリー は 真ん中 の 一人 が 誰 である か 一目 で わかった 。 あの マダム・マルキン 洋装店 に いた 、青白い 子 だ 。 ダイアゴン 横丁 の 時 より ずっと 強い 関心 を 示して ハリー を 見ている 。
「ほんと かい ? この コンパートメント に ハリー ・ポッター が いる って 、汽車 の 中 じゃ その 話 で もちきり なんだ けど 。 それ じゃ 、君 な の か ? 」「そうだ よ 」と ハリー が 答えた 。 ハリー は あと の 二人 に 目 を やった 。 二人 とも ガッチリ と して 、この 上 なく 意地悪 そうだった 。
青白い 男の子 の 両脇 に 立っている と 、ボディガード の ようだ 。
「ああ 、こいつ は クラッブ で 、こっち が ゴイル さ 」
ハリー の 視線 に 気づいた 青白い 子 が 、無造作に 言った 。
「そして 、僕 が マルフォイ だ 。 ドラコ ・マルフォイ 」
ロン は 、クスクス 笑い を ごまかす か の ように 軽く 咳払いをした 。 ドラコ ・マルフォイ が 目ざとく それ を 見とがめた 。
「僕 の 名前 が 変だ と でも 言う の かい ? 君 が 誰 だ か 聞く 必要 も ない ね 。 パパ が 言ってた よ 。 ウィーズリー 家 は みんな 赤毛 で 、そばかす で 、育てきれない ほど たくさん 子ども が いる って ね 」それから ハリー に 向かって 言った 。 「ポッター 君 。 その うち 家柄 の いい 魔法 族 と そう で ない の と が わかって くる よ 。 間違った の と は つき合わない こと だ ね 。 そのへん は 僕 が 教えてあげよう 」
男の子 は ハリー に 手 を 差し出して 握手 を 求めた が 、ハリー は 応じ なかった 。
「間違った の か どう か を 見分ける の は 自分 でも できる と 思う よ 。 どうも ご親切 さま 」ハリー は 冷たく 言った 。
ドラコ ・マルフォイ は 真っ赤 に は ならなかった が 、青白い 頬 に ピンク色 が さした 。
「ポッター 君 。 僕 なら もう 少し 気 を つける が ね 」からみつく ような 言い方 だ 。 「もう 少し 礼儀 を 心得 ない と 、君 の 両親 と 同じ 道 を たどる ことに なる ぞ 。 君 の 両親 も 、何が 自分 の 身 の ため に なる か を 知らなかった ようだ 。 ウィーズリー 家 や ハグリッド みたい な 下等な 連中 と 一緒に いる と 、君 も 同類 に なる だろう よ 」
ハリー も ロン も 立ち上がった 。 ロン の 顔 は 髪 の 毛 と 同じ ぐらい 赤く なった 。
「もう 一ぺん 言って みろ 」ロン が 叫んだ 。
「へえ 、僕たち と やる つもり かい ? 」マルフォイ は せせら 笑った 。
「いま すぐ 出て いかない なら ね 」ハリー は きっぱり 言った 。
クラップ も ゴイル も 、ハリー や ロン より ずっと 大きかった ので 、内心 は 言葉 ほど 勇敢 で は なかった 。
「出ていく 気分 じゃない な 。 君たち も そう だろう ? 僕たち 、自分 の 食べ物 は 全部 食べちゃった し 、ここ に は まだ ある ようだ し 」ゴイル は ロン の そば に ある 蛙 チョコ に 手 を 伸ばした ……ロン は 跳びかかった 、が 、ゴイル に さわる か さわらない うちに 、ゴイル が 恐ろしい 悲鳴 を 上げた 。 ねずみ の スキャバーズ が 指 に 食らいついている 。 鋭い 小さい 歯 が ゴイル の 指 に ガップリと 食い込んでいる ……ゴイル は スキャバーズ を グルグル 振り回し 、喚き 、クラップ と マルフォイ は 後ずさり した 。 やっと 振りきって 、スキャバーズ は 窓 に 叩きつけられ 、三人 とも 足早に 消え去った 。 もしかしたら 、菓子 に もっと ねずみ が 隠れて いる と 思った のかも しれない し 、誰か の 足音 が 聞こえた のかも しれない 。
ハーマイオニー ・グレンジャー が 間もなく 顔 を 出した 。
「いったい 何 やってた の ? 」床 いっぱい に 菓子 は 散らばっている し 、ロン は スキャバーズ の しっぽ を つかんで ぶら下げていた 。 「こいつ 、ノックアウト されちゃった みたい 」ロン は ハリー に そう 言い ながら 、もう 一度 よく スキャバーズ を 見た 。 「ちがう ……驚いた なあ ……また 眠っちゃってる よ 」本当に 眠っていた 。 「マルフォイ に 会った こと ある の ? 」ハリー は ダイアゴン 横丁 で の 出会い を 話した 。 「僕 、あの 家族 の こと を 聞いたことがある 」
ロン が 暗い 顔 を した 。
「『例の あの 人 』が 消えた 時 、真っ先 に こっち 側 に 戻ってきた 家族 の 一つ なんだ 。 魔法 を かけられてた って 言った んだって 。 パパ は 信じない って 言ってた 。 マルフォイ の 父親 なら 、闇 の 陣営 に 味方する のに 特別な 口実 は いらなかったろう って 」ロン は ハーマイオニー の 方 を 振り向いて 今さらながら 尋ねた 。 「何か ご用 ? 」「二人 とも 急いだ 方がいい わ 。 ローブ を 着て 。 私 、前 の 方 に いって 運転手 に 開いて きた んだ けど 、もう まもなく 着く って 。 二人 とも 、けんかしてた んじゃないでしょうね ? まだ 着いて も いない うち から 問題 に なる わ よ ! 」「スキャバーズ が けんかしてた んだ 。 僕たち じゃない よ 」
ロン は しかめっ面 で ハーマイオニー を にらみながら 言った 。 「よろしければ 、着替える から 出てってくれないかな ? 」「いいわよ ──みんな が 通路 で かけっこしたりして 、あんまり 子供っぽい 振る舞い を する もんだから 、様子 を 見に来てみただけよ 」ハーマイオニー は ツンと 小バカにしたような 声 を 出した 。 「ついで だけど 、あなた の 鼻 、泥 が ついてる わ よ 。 気がついてた ? 」ロン は ハーマイオニー が 出ていく の を にらみつけていた 。 ハリー が 窓 から のぞく と 、外 は 暗くなっていた 。 深い 紫色 の 空 の 下 に 山 や 森 が 見えた 。 汽車 は 確かに 徐々に 速度 を 落としている ようだ 。
二人は 上着 を 脱ぎ 、黒い 長い ローブ を 着た 。 ロン の は ちょっと 短すぎて 、下から スニーカー が のぞいている 。
車内 に 響き渡る 声 が 聞こえた 。
「あと 五分 で ホグワーツ に 到着します 。 荷物 は 別に 学校 に 届けます ので 、車内 に 置いていって ください 」ハリー は 緊張 で 胃 が ひっくり返りそうだった し 、ロン は そばかす だらけ の 顔 が 青白く 見えた 。 二人は 残った 菓子 を 急いで ポケットに 詰め込み 、通路に あふれる 人の 群れに 加わった 。
汽車は ますます 速度を 落とし 、完全に 停車した 。 押し合い へし合い しながら 列車の 戸を 開けて 外に 出ると 、小さな 、暗い プラットホームだった 。 夜の 冷たい 空気に ハリーは 身震いした 。
やがて 生徒 たち の 頭上 に ユラユラ と ランプ が 近づいて きて 、ハリー の 耳 に 懐かしい 声 が 聞こえた 。
「イッチ (一 )年生 ! イッチ 年生 は こっち ! ハリー 、元気 か ? 」ハグリッド の 大きな ひげ 面 が 、ずらり と 揃った 生徒 の 頭 の むこう から 笑いかけた 。 「さあ 、ついてこい よ ──あと イッチ 年生 は いない か な ? 足元 に 気 を つけろ 。 いい か ! イッチ 年生 、ついてこい ! 」滑ったり 、つまずいたり しながら 、険しくて 狭い 小道 を 、みんなは ハグリッドに 続いて 降りていった 。 右 も 左 も 真っ暗だった ので 、木 が うっそうと 生い茂っている のだろう と ハリー は 思った 。 みんな 黙々と 歩いた 。 ヒキガエル に 逃げられて ばかり いた 少年 、ネビル が 、一 、二 回 鼻 を すすった 。 「みんな 、ホグワーツ が まもなく 見える ぞ 」
ハグリッド が 振り返り ながら 言った 。
「この 角 を 曲がったら だ 」
「う お 一っ ! 」一斉に 声が 湧き起こった 。 狭い 道が 急に 開け 、大きな 黒い 湖の ほとりに 出た 。 むこう 岸に 高い 山が そびえ 、その てっぺんに 壮大な 城が 見えた 。 大小 さまざまな 塔 が 立ち並び 、キラキラと 輝く 窓 が 星空 に 浮かび上がっていた 。
「四 人 ずつ ボートに 乗って ! 」ハグリッド は 岸辺に つながれた 小船を 指さした 。 ハリー と ロン が 乗り 、ネビル と ハーマイオニー が 続いて 乗った 。
「みんな 乗った か ? 」ハグリッド が 大声 を 出した 。 一人 で ボート に 乗って いる 。
「よーし 、では 、進め え ! 」ボート 船団 は 一斉に 動き出し 、鏡 の ような 湖面 を 滑る ように 進んだ 。 みんな 黙って 、そびえ立つ 巨大な 城 を 見上げて いた 。 むこう 岸 の 崖 に 近づく につれて 、城 が 頭上 に のしかかってきた 。
「頭 、下げぇー ! 」先頭 の 何 艘 か が 崖 下 に 到着した 時 、ハグリッド が 掛け声 を かけた 。 一斉に 頭 を 下げる と 、ボート 船団 は 蔦 の カーテン を くぐり 、その 陰 に 隠れて ポッカリ と 空いている 崖 の 入口 へ と 進んだ 。 城 の 真下 と 思われる 暗い トンネル を くぐると 、地下 の 船着き場 に 到着した 。 全員 が 岩 と 小石 の 上 に 降り立った 。
「ホイ 、おまえ さん ! これ 、おまえ の ヒキガエル かい ? 」みんな が 下船した 後 、ボート を 調べていた ハグリッド が 声 を 上げた 。 「トレバー ! 」 ネビル は 大喜び で 手 を 差し出した 。 生徒 たち は ハグリッド の ランプ の 後 に 従って ゴツゴツ した 岩 の 路 を 登り 、湿った 滑らかな 草むら の 城影 の 中 に たどり着いた 。
みんな は 石段 を 登り 、巨大な 樫 の 木 の 扉 の 前 に 集まった 。
「みんな 、いる か ? おまえ さん 、ちゃんと ヒキガエル 持っとる な ? 」ハグリッド は 大きな 握りこぶし を 振り上げ 、城 の 扉 を 三 回 叩いた 。