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こころ - 夏目漱石 - Soseki Project, Section 026 - Kokoro - Soseki Project

Section 026 - Kokoro - Soseki Project

「 私 が 先生 から 離れて 行く ように お 思い に なれば 仕方 が ありません が 、 私 に そんな 気 の 起った 事 は まだ ありません 」 先生 は 私 の 言葉 に 耳 を 貸さ なかった 。

「 しかし 気 を 付け ない と いけない 。 恋 は 罪悪 なんだ から 。 私 の 所 で は 満足 が 得られ ない 代り に 危険 も ない が 、―― 君 、 黒い 長い 髪 で 縛ら れた 時 の 心 持 を 知っています か 」 私 は 想像 で 知っていた 。 しかし 事実 と して は 知ら なかった 。 いずれ に して も 先生 の いう 罪悪 と いう 意味 は 朦朧と して よく 解ら なかった 。 その 上 私 は 少し 不愉快に なった 。

「 先生 、 罪悪 と いう 意味 を もっと 判然 いって 聞か して 下さい 。 それ で なければ この 問題 を ここ で 切り上げて 下さい 。 私 自身 に 罪悪 と いう 意味 が 判然 解る まで 」

「 悪い 事 を した 。 私 は あなた に 真実 を 話して いる 気 で いた 。 ところが 実際 は 、 あなた を 焦 慮 して いた のだ 。 私 は 悪い 事 を した 」

先生 と 私 と は 博物 館 の 裏 から 鶯 渓 の 方角 に 静かな 歩調 で 歩いて 行った 。 垣 の 隙間 から 広い 庭 の 一部 に 茂る 熊 笹 が 幽邃 に 見えた 。

「 君 は 私 が なぜ 毎月 雑 司 ヶ 谷 の 墓地 に 埋って いる 友人 の 墓 へ 参る の か 知っています か 」 先生 の この 問い は 全く 突然であった 。 しかも 先生 は 私 が この 問い に 対して 答えられ ない と いう 事 も よく 承知 して いた 。 私 は しばらく 返事 を し なかった 。 すると 先生 は 始めて 気 が 付いた ように こういった 。

「 また 悪い 事 を いった 。 焦 慮 せる の が 悪い と 思って 、 説明 しよう と する と 、 その 説明 が また あなた を 焦 慮 せる ような 結果 に なる 。 どうも 仕方 が ない 。 この 問題 は これ で 止めましょう 。 とにかく 恋 は 罪悪 です よ 、 よ ご ざん す か 。 そうして 神聖な もの です よ 」

私 に は 先生 の 話 が ますます 解ら なく なった 。 しかし 先生 は それ ぎり 恋 を 口 に し なかった 。

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