Hyouka Episode 19
( 折 木 奉 太郎 ( おれ き ほう たろう ) ) ある 日 俺 が マイク を 持ち
本日 は 晴天 なり と 言った と する
それ を 聞い た 者 は こう 思う だ ろ う
折 木 君 は マイク の テスト が し たい の だ な と
( 男性 教師 ) あと 10 秒
( 奉 太郎 ) しか し 別 の 者 は こう 思う かも しれ ない
今日 は 晴れて いる と 主張 し たい の だ な と
( 男性 教師 ) はい 終了 じゃあ プリント 回収 し て
( 奉 太郎 ) どちら の 推論 も 理 に かなって いる
どちら が 正解 か を 言い当てる の は ―
運 と しか 言い よう が ない
( 奉 太郎 ) 最近 物騒 だ なあ
♪~
~♪
( 奉 太郎 ) そう いえ ば 関谷 純 ( せき た に じゅん )
伯父さん の 葬式 は どう なった ?
( 千 反 田 ( ち た ん だ ) える ) 滞り なく 済み まし た
( 奉 太郎 ) そう か
うん ?
何 だ ?
( える ) いえ あの …
折 木 さん
もし よかったら
伯父 に お 線香 を 上げ て いただけ ませ ん か ?
俺 が か ?
はい ちかぢか
伯父 の お 墓参り に 行 こ う と 思って いる ん です
その …
よかったら ご 一緒 に
( 奉 太郎 ) うん
分かった
行 こ う
じゃあ 日 は 改めて 連絡 し ます ね
( 奉 太郎 ) ああ
伯父 の 件 も そう で し た が
折 木 さん は いつも 見事 に 謎 を 解き ます よ ね
本当 に すごい と 思い ます
俺 の こと を 運 の いい やつ だ と 言う の は かまわ ない が
大した やつ だ と 言う の は やめ て もらい たい
控えめ な ん です ね
折 木 さん
( 奉 太郎 ) いや もう 全く 分かって ない
( 奉 太郎 ) 千 反 田 昔 の 人 は なかなか いい こと を 言って いる
何で すか ?
理屈 と 湿布 は どこ に でも くっつく
ウフフフ
折 木 さん それ を 言う なら
“ 理屈 と 膏薬 ( こう やく ) は ” です よ
( 奉 太郎 ) あっ そう だった かな
とにかく 理屈 は 何 に でも くっつけ られる って こと だ
分かり まし た
折 木 さん が これ まで 事件 を 解決 し て こ られ た の は ―
有能 だ から で は なく 運 が よかった から だ と し ま しょ う
ですが 手がかり を 元 に 推理 し て
推論 を 導き だせ る と いう の は ―
それ だけ で 1 つ の 才能 だ と 思い ませ ん か ?
俺 が 推論 の 達人 だ と ?
( える ) 違い ます か ?
違う
なんで 推論 を 導き だせ た の か
俺 自身 分かって ない
( える ) それ は 折 木 さん が ―
自分 を 見つめ 直し た こと が ない から でしょ う ?
う う っ
( 奉 太郎 ) まあ その とおり だ が
うん ? うん
それ なら 千 反 田 何 か 1 つ 状況 を 出し て みろ
どんな こと に でも ―
理屈 を くっつけ られる と 証明 して やる
面白 そう です ね
( 奉 太郎 ) フン ちょうど いい 機会 だ
俺 が 頼り に なら ない と 分から せ て やる
それでは 何 に し ま しょ う か
( 放送 開始 の チャイム ) ( える ) うん ?
( 柴崎 ( しば ざ き ) ) 10 月 31 日
駅前 の 巧 文 ( こう ぶん ) 堂 で 買い物 を し た 心 あたり の ある 者 は ―
至急 職員 室 柴崎 の 所 まで 来 なさい
( 放送 終了 の 音 )
( える ) 何 だった ん でしょ う ?
( 奉 太郎 ) さあ
今 の 放送 に し ま しょ う
今 の 放送 が どういう 意味 で 行わ れ た の か
推論 を 立て て ください
いい だ ろ う
受けて立つ
はい どうぞ
( 奉 太郎 ) 相変わらず すさまじい 記憶 力 だ な
( える ) ウフフフ ( 奉 太郎 ) 褒め て ない
さて
“ 10 月 31 日 ”
“ 駅前 の 巧 文 堂 で 買い物 を し た 心 あたり の ある 者 は ― ”
“ 至急 職員 室 柴崎 の 所 まで 来 なさい ”
まずは 単語 の 確認 だ な
巧 文 堂 って お前 は 知って いる の か ?
はい 駅前 に ある 小さな 文房具 屋 さん です
お 年寄り の 夫婦 で 経営 し てる お 店 です ね
1 度 だけ 行った こと が あり ます
( 奉 太郎 ) どんな 店 な ん だ ?
( える ) 普通 の お 店 です よ
近く に 北 ( き た ) 小学校 が あり ます から
小学生 が 使う もの を そろえ て い た と 思い ます
( 奉 太郎 ) わざわざ 高校 生 が 行く よう な 店 で は ない って こと か
そう と も 言え ます ね
( 奉 太郎 ) ふん …
柴崎 は 教員 か ?
柴崎 先生 は 教頭 先生 です よ
( 奉 太郎 ) ああ
折 木 さん
人 の 名前 を 覚える の は 苦手 で し た っけ ?
ほっとけ
( 奉 太郎 ) やら なく て も いい こと なら やら ない
やら なけ れ ば いけない こと なら 手短 かに を ―
不動 の 信条 と する 俺 だ が
こいつ は 大事 な 勝負 だ
少し は 気合い を 入れ て か から ね ば なる まい
( 奉 太郎 ) まず ( える ) はい
柴崎 は 生徒 を 呼び出 そ う と して いる こと が 分かる
ええ それ は 私 に も 分かり ます
その 呼び出さ れる 生徒 を 仮に X ( エックス ) と し て おこ う
( える ) なんだか 本格 的 です ね
( える ) は っ ? ( 奉 太郎 ) うん ?
( 奉 太郎 ) あっ ( える ) はっ
( 奉 太郎 ) 座ったら どう だ ( える ) はい
( 奉 太郎 ) その 生徒 X は 複数 な の か 単数 な の か は ―
今 の 時点 で は 分から ない
柴崎 は X に 対 し ―
教育 的 指導 を 施 そ う と して いる かも しれ ない
平たく 言え ば 叱りつけよ う と し て いる かも しれ ない
どうして そう 思う ん です か ?
生徒 が 職員 室 に 呼び出さ れる のに ―
ろくな 事 が なかった と いう ―
帰 納 的 推理 に よって だ
( える ) うーん
折 木 さん 真面目 に やって ます ?
こんなに 真面目 に なった の は 入学 以来 初めて だ ぞ
ひょっとしたら 人生 で 一 番 真面目 かも しれ ない
( える ) うん …
それ に 褒める よう な 事 なら
“ 巧 文 堂 で 買い物 を し た 心 あたり の ある 者 ” なんて
よしあし の 分から ない 言い 方 を せ ず に
はっきり 言え ば いい ん だ
あんな 呼び出し じゃ
心 あたり の ある やつ は 不安がって 名乗り出 ない ぞ
( える ) それ は そう かも しれ ませ ん
しかも この 呼び出し は 急 を 要 する
至急 と ある から です ね
( 奉 太郎 ) いや 呼び出し は 大抵 至急 だ そう じゃ ない
この 放送 は ―
スタンダード な やり 方 から 外れ て いる から
慌て て いる こと が 分かる
( える ) スタンダード な やり 方
( 奉 太郎 ) 例えば お前 が 俺 に 向かって ―
1 年 A 組 に 来る よう に 放送 する と し たら どう 言う ?
そう です ね 多分 こう です
1 年 B 組 折 木 奉 太郎 さん
1 年 A 組 教室 千 反 田 える の 所 まで 来 て ください
それ だけ か ? 何 か 別 の 放送 を 思い出し て みろ
( える ) ああ … うん ?
俺 なら こう する
1 年 A 組 千 反 田 える
1 年 B 組 教室 折 木 奉 太郎 の 所 まで 来 なさい
繰り返す 1 年 A 組 千 反 田 える
1 年 B 組 教室 折 木 奉 太郎 の 所 まで 来 なさい
あっ
( 奉 太郎 ) 校 内 放送 に かぎら ず
普通 こういう お 知らせ は 2 回 繰り返す
だが この 放送 で は 1 回 しか 言わ なかった
それ だけ 慌て て いる から と 考え られる
あっ
それ も 並大抵 の 慌て 方 じゃ ない
それ は ?
なぜなら この 放送 が ―
放課後 に 行わ れ た から だ
折 木 さん 途中 の 説明 を 省か ない で ください
( 奉 太郎 ) 省く … 甘美 な 響き だ
折 木 さん
う うん だって そう だ ろ う ?
翌朝 に 呼び出し を かけ た ほう が 断然 効率 的 だ
神山 ( かみ やま ) 高校 は 確かに 部活 動 が 活発 だ が
さっさと 家 に 帰る やつ だって いる から な
それ でも 放課後 に 放送 を かけ た の は ―
呼び出す 理由 が 放課後 に なって でき た から だ
そして それ が 明日 の 朝 を 待て ない ほど ―
急 を 要 する 理由 だった
柴崎 は X が 下校 し て い ない 可能 性 に かけ て ―
放送 し た って こと だ
折 木 さん なんだか きな臭い 感じ が し ませ ん か ?
そう だ な
ところで きな臭い の “ き な ” って 何 でしょう ね ?
知ら ん
( える ) うーん
( 奉 太郎 ) 次 の 推理
柴崎 が 生徒 X に 対 し て しよ う と して いる 話 は ―
公 に は でき ない
それ が 現 時点 で な の か 永久 に な の か は 分から ない
( える ) X さん に どんな 用件 で 呼び出す の か ―
言わ なかった から です か ?
( 奉 太郎 ) それ も ある が もっと はっきり と 表れ て いる
分かり ませ ん
柴崎 は 教頭 な ん だ ろ ?
生徒 を 叱る の は 生徒 指導 部 の 役割 だ
( える ) そうです ね
森下 ( も りした ) 先生 が よく 呼び出し を かけ て い ます
生徒 指導 室 は どこ に ある ?
一般 棟 の 2 階 に あり ます ね
( 奉 太郎 ) な のに X は
教頭 の 柴崎 から 職員 室 に 呼び出さ れ た
これ は 事態 が 重大 で ある こと を 示し
また 管理 職 レベル で ―
情報 が 伏せ られ て いる こと を 示し て いる
( 奉 太郎 ) … と 言え なく も ない
( える ) ああ …
あの 折 木 さん
( 奉 太郎 ) 何 だ ?
折 木 さん の ここ まで の 推論 を 整理 する と
X さん が よから ぬ 事 に 関わって いる よう に 思える ん です が
まあ そういう こと に なる な
では
( 奉 太郎 ) うん
X は ―
犯罪 に 関わって いる
ああ …
( 奉 太郎 ) これ は 千 反 田 と の ゲーム だ
事実 で ある 必要 は ない
そもそも 俺 は 自分 の 推論 が ―
そう 簡単 に 事実 と 一致 し ない と 証明 する はず だった ろ
それ で その 犯罪 と いう の は
( 奉 太郎 ) その 前 に
もし これ まで の 推論 が 当たって いる と すれ ば
今 この 学校 に は 警察 ない し ―
それ に 準じる 機関 の 人間 が 来 て いる 可能 性 が 高い
犯罪 が 起き た と すれ ば ―
ここ に ある 10 月 31 日 だ ろ う
なのに 放送 は 今日 つい さっき ―
突発 的 に 慌て て 行わ れ た
これ は その 直前 に 捜査 当局 から ―
依頼 が あった から だ と 考え られる
( える ) でも それ は 電話 で 依頼 さ れ た の かも しれ ませ ん
( 奉 太郎 ) それ は そう かもし れ ない が
必要 と あら ば 捜査 当局 は ―
X の 身柄 を 確保 する だ ろ う
その ため に は 直接 ここ まで 来 て い た ほう が いい
確保 …
X さん は 犯人 側 の 人間 と して 呼び出さ れ た の でしょう か ?
そう だ ろ う な
おい これ は ゲーム だ ぞ
は … はい そう で し た ね
犯人 で なけ れ ば 柴崎 は 慌て ず ―
余裕 を 持って 放送 でき た はず だ ろ う
( える ) なるほど
( 奉 太郎 ) さて
ならば X は いったい どんな 犯罪 を 犯し た の か
千 反 田 何 か 思いつか ない か ?
そう です ね まずは 万引き です ね
( 奉 太郎 ) うん ( える ) それ から
全く 別 の 場所 で 罪 を 犯し た 方 の 特徴 を 追って ゆく うち に ―
“ その方 なら 巧 文 堂 で 買い物 を し て まし た ”
… と いう 証言 に たどり 着 い た と も 考え られ ます
その 場合 犯罪 の 内容 は どんな もの で も あり 得 ます ね
( 奉 太郎 ) 即答 の 割り に は 面白い … が
( 奉 太郎 ) 万引き は ともかく 証言 の ほう は ない だ ろ う
( える ) どうして です か ?
( 奉 太郎 ) もし 捜査 当局 が X の 外見 や 特徴 を 知って い た なら
柴崎 に も それ は 伝わって いる はず だ から
“ 巧 文 堂 で 買い物 を し た 心 あたり の ある 者 ” なんて ―
遠回し な 言い 方 は し ない だ ろ う
( える ) なるほど
( 奉 太郎 ) 事件 は 巧 文 堂 で 発生 し
X の とった 表向き の 行動 は ―
買い物 だった と 考える べき だ
( 奉 太郎 ) あの 放送 は 自首 しろ と いう 勧告 だった の か ?
それ に し て は どうも おかしい
( 奉 太郎 ) 推論 ( える ) あっ
( 奉 太郎 ) 捜査 当局 は NX が どんな 人間 か を 知ら ない
しかし 放送 を かけ れ ば やって くる と 考え て いる
( える ) なぜ な ん でしょ う
( 奉 太郎 ) 俺 が 罪 を 犯し た と して あんな 放送 が かかれ ば
( 放送 開始 の 音 )
( 男性 教員 ) うん ?
( 柴崎 ) 10 月 31 日
駅前 の 巧 文 堂 で 買い物 を し た 心 あたり の ある 者 は ―
至急 職員 室 柴崎 の 所 まで 来 なさい
( 男性 教員 ) あと 10 秒
( 奉 太郎 ) しめ しめ
捜査 当局 は まだ ―
俺 が しでかし た ん だ と は 気付 い て ない
これ は ひ ょっ と する と ウマ く 逃げ 切れる かも しれ ない
フッフッフッ
( 奉 太郎 ) うーん あの 放送 を 聞い て ―
素直 に 出頭 する と すれ ば どんな 状況 だ ?
罪 を 悔い て い れ ば と か ?
いや それ なら 自首 し て 終わり だ
今日 の 放送 が かかる こと も ない
うん ?
うん
どう し た ん です か ?
X の 犯し た 罪 の 種類 は ひとまず 置 い て おこ う
だが X は その 事 を 悔い て いる
そして 巧 文 堂 に 対 し て 謝罪 を し た
( 奉 太郎 ) 書面 で だ ( える ) ハッ
書面 で ?
千 反 田 今日 は 何 月 何 日 だ
11 月 1 日 です
( 奉 太郎 ) 10 月 31 日 と いう の は ―
昨日 じゃ ない か
なぜ 柴崎 は ―
“ 昨日 駅前 の 巧 文 堂 で ” と 言わ なかった ん だ ろ う
言わ れ て み れ ば 確かに 不自然 です
どういう とき に 昨日 で は なく
10 月 31 日 と 言う か
目の前 に “ 10 月 31 日 うんぬん ” と 書か れ た 原稿 や メモ が あって
それ を そのまま 読み上げ た とき だ
( える ) 原稿 や メモ です か ? ( 奉 太郎 ) ああ
( 奉 太郎 ) なぜ 捜査 当局 は
X が 犯罪 に 関わって いる と 知り ながら ―
その 外見 を 知ら ない の か
どうして 呼び出せ ば NX が 出 て くる と 考え た の か
言い換え れ ば ―
どうして X が 罪 を 悔い て いる と 考え た の か
X が 巧 文 堂 に 謝罪 文 を 書 い た から だ
おおよそ こんな 感じ だ ろ う
いや まったく すま なかった
10 月 31 日 に 買い物 を し た 者 だ が
私 は 不法 行為 を 働 い た
損害 を 賠償 する ので これ これ の もの を 受け取って くれ
巧 文 堂 は その 謝罪 文 を 警察 に 持っていく
警察 あるいは 該当 する 捜査 当局 は ―
その 謝罪 文 を 頼り に 神山 高校 に 来る
これ が つい さっき
それ を 読 ん だ 柴崎 は 面食らい
文章 に 目 を とおし ながら 大 慌て で 校 内 放送 を かけ た
( える ) 待って ください 折 木 さん の 考え で は
X さん は 巧 文 堂 に 謝る 気 は あって も
でき れ ば 警察 の ご 厄介 に ―
なり たく ない と 考え て いる と いう こと です よ ね
( 奉 太郎 ) まあ そう だ な
( える ) だ と すれば X さん は 謝罪 文 に
自分 が 神山 高校 の 生徒 だ と 書 い て い ない と 思い ます
警察 は なぜ ここ を 特定 でき た の でしょ う か
巧 文 堂 主人 が ―
警察 に 心 あたり の ある 相手 は い ない か と 聞か れ た とき
恐らく 神山 高校 の 生徒 だ と 答え た ん だ ろ う
X が 制服 を 着 て い れ ば 分かる
( える ) 確かに
( 奉 太郎 ) しか も X が 何 か 目立つ 行動 を し て い れ ば
記憶 に 残って も おかしく ない
目立つ 行動 です か ?
それ こそ が NX の 犯し た 罪 が 何 か を ―
推論 する 鍵 に なる
X は 目立つ 行動 を し た
しかも それ 自体 は 犯罪 で は ない
X は 罪 を 犯し た
しかも その 犯罪 は 謝罪 文 が なけ れ ば ―
即座 に は 見つから ない もの だった
X は 罪 を 悔い た
X の 犯罪 は ―
捜査 当局 が すぐに 絡 ん で くる ほど の もの だ
X が し た 事 は ―
少なくとも 万引き 程度 で は ない
では
( 奉 太郎 ) 目立つ 買い物
法 を 犯す 買い物
巧 文 堂 は 小学生 向け の 文房具 屋 らしい から
値 の 張る もの が ある と は 思え ない
買い物 買い物
買い物
ハア … まったく
まったく ?
( 奉 太郎 ) X は ―
偽造 1 万 円 札 を 使って 買い物 し た ん だ
で …
でも でも でも です よ
それ は あまり に あり え ませ ん 現実 的 で は あり ませ ん
論理 的 で は あり ませ ん
破綻 し て い ます
カタストロフ です
( 奉 太郎 ) ま … まあ
落ち着け
これ は …
ゲーム だった ろ
( える ) ハッ
ハア …
すみません
まあ あれ だ なにも 本気 に し なく て も
いえ でも
あり え ませ ん 折 木 さん
あり え ない と いう の は なんで だ ?
( える ) 最近 ちまた で 使わ れ て いる の は ―
偽造 の 1 万 円 札 です
折 木 さん も それ を 知って い た から ―
X さん が 偽造 1 万 円 札 を 使った と 言った ん です よ ね ?
ああ
ですが X さん は それ を 手 に 入れる こと が でき ませ ん
いえ 手 に 入って しまって も 交換 の 機会 は あった はず です
どういう こと だ ?
( える ) 折 木 さん は ―
X さん が どう やって 偽造 1 万 円 札 を 手 に 入れた と 思い ます か ?
( 奉 太郎 ) ATM じゃ ない か ?
ATM や 銀行 を ―
だませ る ほど の 偽札 は ―
そう 簡単 に 出回り ませ ん
もし そこ まで よく でき て いる なら ―
X さん が 気付く の が おかしい です
じゃあ 釣り銭 あっ
そう です
1 万 円 札 は お釣り に は なり ませ ん
記念 硬貨 を 除け ば ―
日本 で 一 番 価値 の ある お 金 です から
お前 の 言い たい こと は 分かった つまり ―
X が 偽札 を 手 に する ルート は あと は 人づて ぐらい しか ない
しかし 例えば X の 父親 が ―
自営 業 で 偽札 を つかま さ れ た と して
それ を NX が 小遣い で もらって も ―
父親 に “ これ は 偽札 だ ” と 言え た と いう こと だ な
その とおり です
もし アルバイト を し て 手 に 入れた と して も ―
同じく 交換 の 機会 は ある はず です
拾った と か ?
それ も おかしい です
まあ 拾った 偽札 を 使って 小遣い 稼ぎ する よう な やつ が ―
そんなに 早く 謝罪 文 を 出し たり し ない か
X は 最初 から 罪悪 感 を 感じ つつ 使った ん だ ろ う な
偽札 の 入手 先 が 分 から なけ れ ば ―
折 木 さん の 推論 も 実現 は 不可能 です
( 奉 太郎 ) うん …
( 奉 太郎 ) 1 万 円 ねえ ( える ) えっ ?
千 反 田 お前 は お 金 は 好き か ?
そう です ね
嫌い と 言う より は ―
好き と 言った ほう が 本当 だ と 思い ます
1 万 円 を どぶ に 捨て たら 惜しい か ?
惜しい と 思い ます
ただ その 1 万 円 が 不当 な お 金 で なけ れ ば です
自分 の 金 で あれ ば 1 万 円 は 間違い なく 惜しい
X が 罪悪 感 を 感じ ながら も 使って しまった 理由 は ―
それ が 自分 の 金 だった から だ ろ う
X は やはり
偽札 を 誰 か から 正当 な 金 と して もらった
給料 でも 小遣い で も ない と すれ ば 残る は 一 つ
貸し た 金 を 返し て もらった 場合 だ
貸し た 1 万 円 が 返って き た のに ―
それ が 偽物 で は X も ガッカリ だ
悪い と 思い つつ も ―
ジイ さん バア さん が やって いる 店 で 使う 気 に なって も
そんなに 責め られ ない ん じゃ ない か ?
それ でも X さん は ―
“ 偽札 だ から 交換 し て くれ ” と 言え た はず です
( 奉 太郎 ) そう か ?
偽札 は ババ 抜き の ジョーカー だ
誰 だって 手 に は し たく ない
そう だ な こんな こと なら ―
十分 あり そう な 話 じゃ ない か ?
おう X この 前 借り た 金 返す ぞ
あっ Y 先輩 ありがとう っす
1 万 円 だった な ほら よ
はい はい まいど
… で もらって ビックリ 偽札 だ
うん …
X が 金 を 貸し た Y は ―
X より 立場 が 上 の 人間 な ん だ
だから NY が 偽札 で 返し て き て も ―
反論 でき なかった
ここ まで くれ ば X は 単数 だ ろ う
巧 文 堂 が 安い 物 を 売る 文房具 屋 なら
1 万 円 札 を 使う 高校 生 が 2 人 3 人 と やって 来 たら ―
不自然 だ から な
( 奉 太郎 ) 仕上げ だ な
( 奉 太郎 ) で は Y は ?
Y も 偽札 を 手 に 入れ て い た
ひょっとしたら 目上 の Z から ―
返さ れ た 金 かも しれ ない
Y 以降 の 人間 を ひとまとめ に し て Y と 考え れ ば
Y は 誰 か ?
良心 的 で ない 店 の 店長 か 偽造 元 そのもの
警察 が 関係 し て き て いる の は ―
X から 出所 を 探れ る と 予想 し て いる から かも しれ ない
推論 は 以上 だ
( える ) は あ …
( 奉 太郎 ) うん
せっかく 長い 話 を し た のに ―
何も 言わ ない の も ―
ち と ひどい
( 奉 太郎 ) 巧 文 堂 は あ っち の ほう か
( える ) “ 10 月 31 日 ”
“ 駅前 の 巧 文 堂 で 買い物 を し た 心 あたり の ある 者 は ― ”
“ 至急 職員 室 柴崎 の 所 まで 来 なさい ”
思え ば 遠く へ 来 た もの です
そう だ な ゲーム 終了 だ
折 木 さん
( 奉 太郎 ) うん ? 何 だ
折 木 さん は ―
何 か を 証明 する ため に ―
この ゲーム を 始め た 気 が する ん です が
ああ そう いえ ば 何 だった かな ?
何 で し た っけ ?
折 木 さん
それ が 何 だった か 推理 し て み ませ ん か ?
うん っ
フッ
勘弁 し て くれ
は あ …
ほう
昨日 の ゲーム の きっかけ は たしか …
ひょうたん から 駒 ?
( える ) 次回 「 あき まし て おめでとう 」