えー この度 は 急な 入院 で みんな に は ほんとに ―
心配 と 迷惑 を かけて 申し訳なかった
でも ね ―
みんな の おかげ で こうして また ―
無事に 退院 する こと が でき ました ―
う うっ ほんとに ありがとう
( 泣き声 )
乾杯 !
( 琴子 たち ) 乾杯 !
あ ~
( 重雄 ) さあ 食べて 食べて
( 重樹 ) よーし アイ ちゃん の 料理 食う ぞ
( 紀子 ) いただきます
( 紀子 ) いただきます
( 琴子 ) いただきまーす
( 琴子 ) いただきまーす
( 琴子 ) いただきまーす
( 裕樹 ) おいし そう 肉 肉 肉 肉
( 裕樹 ) おいし そう 肉 肉 肉 肉
( 重樹 ) じゃあ 魚
( 重雄 ) はい よ
( 紀子 ) きれい
( 琴子 ) あれ 取れ ない ? アハハ
( 琴子 ) あれ 取れ ない ? アハハ
( 裕樹 ) 取れ な~い ―
( 琴子 ) あれ 取れ ない ? アハハ
( 重樹 ) うーん
( 重樹 ) うーん
おいし そう
おいし そう
あ ~ やっぱり 我が家 が 一番 だ ねえ
( 紀子 ) ほんとに いい わ よ ね
こう やって 家族 が 一緒に 食卓 を 囲む の って フフフ
身内 だけ って くつろぐ わ ~ フフフ
( 玄関 の チャイム )
( 玄関 の チャイム )
( 紀子 ) おいしい
( 紀子 ) おいしい
あれ ? 誰か 来た な
変 ねえ
今日 は 内輪 だけ の 会って こと で 誰 も お呼び して ない のに
いや 俺 が 呼んだ んだ
直樹 の やつ 誰 を 呼んだ んだ ?
何か 嫌 な 予感 が する わ
( 重樹 ) 大泉 会長
やあ やあ 入江 君 退院 おめでとう ―
今日 は 直樹 君 から お 招き いただいて ね
お 祝い に 来た よ
うわあ こんな 遠く まで 足 を お 運び いただいて すいません
ほんとに ありがとう ございます
( 大泉 ) いやあ よかった よかった うん
お 兄ちゃん
今日 は 内輪 だけ の 会って 言った でしょ ?
だから お呼び した んだ よ
父さん
父さん
( 重樹 ) はい
( 重樹 ) はい
( 重樹 ) はい
こちら が 大泉 沙穂子 さん です
こちら が 大泉 沙穂子 さん です
( 重樹 ) ああ どうも はじめまして
( 重雄 ) ああ どうぞ こちら へ ほら 琴子 空けて ほら
( 琴子 ) どうぞ どうぞ
( 重樹 ) あっ どうぞ お 座り ください
( 重樹 ) あっ どうぞ お 座り ください
( 大泉 ) ああ ありがとう
( 大泉 ) ああ ありがとう
( 紀子 ) どうぞ …
( 紀子 ) どうぞ …
( 重雄 ) あっ すいません
( 重雄 ) あっ すいません
( 重樹 ) ママ ママ
あっ こちら が 妻 の …―
ああ 妻 は ご存じ です か ね
えー 直樹 の 弟 の 裕樹 です
えー 直樹 の 弟 の 裕樹 です
( 大泉 ) おお おお
( 大泉 ) おお おお
はじめ まして
フフ はじめ まして
( 沙穂子 ) おじ 様 本日 は 退院 おめでとう ございます
これ つまらない もの です が
( 重樹 ) えっ あ … これ は …
( 重樹 たち ) お~っ !
おおっ これ は これ は
( 琴子 ) はい
( 重樹 ) うーん うまい
これ 全て 沙穂子 さん が ?
お 口 に 合い ます か ?
( 重樹 ) いやあ 合う も 合わ ない も ―
この あっさり した 中 に うまみ が 凝縮 されて て ―
キレ も ある のに コク も あって ―
これ は おいしい に も ほど が あり ます
まあ パパ ったら オーバー ねえ
今日 は 本職 の 相原 さん の お 料理 が ある のに
まあ …
( 重雄 ) これ は もしかして ―
動物性 の 油分 と 砂糖 抜き で 作って ます か ?
そう な んです おじ 様 は
心臓 を 患って いらっしゃった と 聞いた ので
( 重樹 ) ほ ~ そんな こと ―
全く 感じ させ ない ぐらい おいしい です
( 重雄 ) いやあ 見事 な もん です よ うん
( 重樹 ) 会長 こちら の アイ ちゃん は です ね ―
( 重樹 ) 会長 こちら の アイ ちゃん は です ね ―
( 大泉 ) ん ?
( 重樹 ) 会長 こちら の アイ ちゃん は です ね ―
日本 料理店 を やって おり まして 非常に 評判 の いい お 店 な んです
ほお そう な んです か
( 沙穂子 ) お 恥ずかしい わ
本職 の 方 に 召し上がって いただく なんて
( 重雄 ) いえいえ こちら こそ ―
うち の 店 手伝って もらい たい ぐらい です よ ハッハッハ ―
ん ?―
これ は 砂糖 の 代わり に 甘酒 を 使わ れて ます ね ?
ご 賢察 の とおり です
( 重雄 ) うーん どこ で 本格的 な 料理 を 学ばれた んです か ?
母 から 教わった だけ です わ
( 重雄 ) ほう お母様 は 相当 プロ 並み な 腕前 な んです なあ ―
いや 勉強 に なり ます ハハ
( 裕樹 ) わあ すごい や
おいしい ~
( 直樹 ) だ ろ ?
( 裕樹 ) うん
( 大泉 ) それ で あなた が 入江 君 の 親友 の ?
( 重雄 ) ああ これ は 申し 遅れ ました 相原 です ―
すいません 身内 の 集まり に ずうずうしく …
( 大泉 ) いやいや … そして ―
こちら が 同居 されて いる お嬢さん ?
( 琴子 ) フフ …
はじめ まして 相原 琴子 です
おお …―
( 琴子 ) ウフフ
( 琴子 ) ウフフ
ほほう …―
ほほう …―
ああ …
ああ いや いや いや
入江 君 の 奥様 が
相当 気 に 入って いらっしゃる と いう から
ついつい こちら も 気 に なって しまい まして
( 沙穂子 ) お じい 様 …―
そんなに ご覧 に なって は 琴子 さん に 失礼 よ
そんなに ご覧 に なって は 琴子 さん に 失礼 よ
( 大泉 ) あっ ああ これ は これ は
( 大泉 ) あっ ああ これ は これ は
いや …
あまり の かわいらし さ に つい 見とれて しまって ね
( 重樹 たち の 笑い声 )
恐れ入り ます
ねえ 琴子 さん
お 外 で 少し お 話し しません か ?
( 琴子 ) ん ?
私 琴子 さん と お 話し して み たかった の
( 琴子 ) ん ~? フフ
( 琴子 ) どうぞ どうぞ
( 沙穂子 ) ごめんなさい ね
お じい 様 ったら あんな 失礼 な 態度 を
ああ いいえ いいえ とんでもない
実は ね 私 も お じい 様 も
琴子 さん に やきもち 焼いて る の よ
( 琴子 ) へっ ? 何で 私 が ?
だって 琴子 さん って
もう 2 年 以上 直樹 さん と 一緒に 暮らして らっしゃる でしょ
アハ ええ …
それ に 直樹 さん の お母様 に も 気 に 入ら れて らっしゃる から
だから 羨ましい の よ 琴子 さん の こと
あの …
沙穂子 さん
入江 君 の どういう ところ が 好き な んです か ?
あの 日 …
お じい 様 に
大事 な 話 が ある から って 会社 に 呼び出されて
実は それ が
直樹 さん と の お 見合い の お 話 だった んです けど ね
( 沙穂子 ) あっ
大丈夫 です か ?
( 沙穂子 ) 紳士的 で 優しくて ―
私 一目ぼれ して しまった の
まさか その方 が 直樹 さん だ なんて
夢にも 思わ なかった から
お 見合い 会場 で 再会 した とき は ―
ほんとに 驚いて しまって
運命 を 感じて しまった の
( 琴子 ) 私 だって ―
入江 君 に 一目ぼれ だった のに な ―
それ から 2 年 も 片思い して ―
ひょんな こと から 一緒に 暮らす こと に なって ―
でも …―
運命 なんて 感じる こと も でき ない まま ―
何の 進展 も ない まま 月日 だけ が 過ぎて いって
私 も …
そんな 出会い を して み たかった です
して み たかった ?
あっ いや … して みたい です これ から
本当 は ね
私 お 見合い の お 話 お 断り する つもり だった の よ
まだ 大学生 だ し 早 すぎる って 思って
でも とりあえず 会う だけ 会い なさい って
お じい 様 に 強引 に 連れ られて
それなのに こんな こと に なる なんて ―
人 の 縁 って 不思議 な もの よ ね
そう です ね
でも …
私 … 怖い の
どうして ?
直樹 さん が 優しく して くだされば くださる ほど
何か 本当の 直樹 さん が 遠く に 行って しまう 気 が して
本心 が 分から なく なる ような 気 が して
自分 に 自信 が なくなって しまう の
変 でしょ ?
それ は …
沙穂子 さん が
本当に 入江 君 の こと が 好き だ から だ と 思う な
えっ ?
ちっとも 変 じゃない です よ
誰か を 好き に なる と
そういう 気持ち に なる ん じゃない か な ―
絶対 諦め ない って 思って て も ―
ちょっと した こと で 自信 なくなったり
沙穂子 さん みたい に きれい で おしとやか で ―
完璧 な 人 だって そう な んだ もん
普通 の 女の子 は もっと そう だ よ
そのくせ ―
ちょっと 優しく して くれたら ―
舞い上がって うれしく なって ―
もしかして って 思って ―
世界 で いちばん 幸せ に なって
でも …
また 冷たく され たら
嫌わ れた か なって 怖く なって
そんな こと の 繰り返し
“ 頑張る ” って 思って て も
すぐに 気持ち が アップ ダウン し ちゃう
琴子 さん も
誰か を 本当に 好き に なった こと が ある の ね
アッハ いやいや そんな こと は … ねえ
ハハハ
ハハ …
でも …
入江 君 は …
沙穂子 さん の こと 本当に 好き だ よ
いわゆる “ ゾッコン ” って いう やつ ?
どうして 断言 できる の ?
何で だろう ?
そう いわ れたら 困り ます けど …
でも そう 思い ます
だから 安心 して ください
エヘヘ ヘヘ
うん ハハ
( 大泉 ) 今日 は お邪魔 した ね
( 重樹 ) いいえ
( 大泉 ) 入江 君
くれぐれも 無理 を し ない ように な
はい 会社 に 復帰 し ましたら 一番 に ご挨拶 に 伺い ます ので
おいおい その 前 に 結納 だ ろ ?
なっ 直樹 君 沙穂子
はい よろしく お 願い いたし ます
じゃあ 入江 君
日程 に ついて は 改めて 相談 と いう こと で
はい 今日 は 遠路 はるばる 本当に ありがとう ございました
じゃあ 沙穂子 行こう か
私 直樹 さん と 少し 歩いて 帰り たい わ
直樹 君 かまわ ない か ね ?
もちろん です 責任 を もって お 送り し ます
よろしく 頼んだ
それでは
( 重樹 ) 失礼 いたし ます
行き ましょう か
はい
あ ~ 疲れた 塩 まいて やろう かしら
( 重樹 ) ハハッ ママ
めった な こと は 言う もん じゃない よ
でも 本当に これ で いい の ? パパ
( 重樹 ) うーん
直樹 の 決めた こと だ
しかたない よ
( 紀子 ) 琴子 ちゃん あした に し ない ?
今日 は もう 疲れた でしょ ?
何か 目 が さえて る んで お 皿 だけ 洗っ ちゃい ます
おば 様 も 今日 は 慌ただしかった から
お疲れ に なった でしょ ?
先 に 休んで ください
( 紀子 ) でも 悪い わ
大丈夫 です よ あと もう 少し な ので
( 紀子 ) 琴子 ちゃん
ごめんなさい
本当に ごめんなさい !
私 ずっと
琴子 ちゃん を うち で お 嫁 に もらう って 言って きた のに
こんな こと に なって しまって …
2 人 の こと 応援 して る つもり が
かえって 琴子 ちゃん の こと を 傷つけて しまった わ よ ね
本当に 申し訳なくて
そんな の おば 様 の せい じゃ …
でも 私
今 でも 琴子 ちゃん を 諦め られ ない
ありがとう ございます
そんなに 思って いただける なんて
すっごく うれしい です
私 …
おば 様 の こと 本当 の お 母さん みたいに 思って ます
これ まで も これ から も
たとえ 入江 君 が 誰 と 結婚 して も
琴子 ちゃん …
本当に …
( 泣き声 )
♪~
( ドア が 開く 音 )
ただいま
遅かった ね
おやじ たち は ? もう 休んで る ?
( 琴子 ) うん
そっか ―
じゃあ
ねえ
沙穂子 さん って 本当に すてき な 人 だ ね
美人 だ ろ ? 料理 も うまい し
それ だけ じゃない
一緒に 話して みて
彼女 本当に 入江 君 の こと 好き な んだ なって 思った
あんな 人 に 思わ れたら
入江 君 が 夢中 に なる の しかたない よ ね
お前 も 早く いい 男 見つけろ よ
( 泣き声 )
おはよう ございまーす
( 重雄 ) おう おはよう
( 琴子 ) ん ?―
お 父さん だけ な の ? 金 ちゃん と 小田原 さん は ?
( 重雄 ) ああ 今 ちょっと 買い出し に 出て もらって る
そっかあ
じゃあ 私 掃除 でも しよう か な
なあ 琴子 ちょっと いい か ?
仕事 の 前 に 話し たい こと が ある
( 琴子 ) なあに ? お 父さん
俺 たち イリ ちゃん ち 出 ない と な
お前 も 昨日 分かった ろう ?
直樹 君 …
ありゃ 結婚 本気 だ よ
そう と なったら 俺 たち が あの 家 に いる の は 不自然 だ
大泉 さん の 方 だって いい気 は し ない だろう し
今 の まま じゃ まとまる もん も まとまら ねえ よ
だから 新しい 家 探して 出よう
もう 古く たって 狭く たって 何 だって いい よ
やっぱり そう だ よ ね …
( 金之助 ) え ?
♪~
お前 の つらい 気持ち は よく 分かる
( 琴子 ) ううん
私 かっこ悪い ね
どんなに 傷ついて も
入江 君 へ の 気持ち は 貫いて みせる って
自分 で 決めた のに
それなのに …
引き際 って の は 大事 な もん さ
直樹 君 に
“ あいつ も いい 女 だった な ” って 思わ せる チャンス じゃない か ―
ん ?
( 琴子 の 鼻 を すする 音 )
直樹 君 の こと は 早く 忘れ なきゃ な
( 琴子 の 鼻 を すする 音 )
( 琴子 ) 今 まで いくつ の 流れ星 に 願い を 託して きた こと だろう ―
でも それ も もう …―
終わり に し なくちゃ いけない んだ
はぁ …
( 重樹 ) ママ そんな 顔 し ないで
無理
お 兄ちゃん が 結納 だ なんて 私 の 人生 最悪 の 日 よ
ママ …
落ち込ま せる つもり じゃない んだ けど ね
まだ 結婚 式 も 披露宴 も ある んだ よ
ああっ やめて よ パパ ! 泣けて くる わ
( 重樹 ) ああ ごめん ごめん