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江戸小話, めじるしの犬

めじるし の 犬

長い 間 、 山里 から 出た こと が ない お じいさん が い ました 。 ある 日 、 お じいさん が 家族 に 言い ました 。 「 生きて いる うち に 、 一 度 、 京 の 見物 を し たい もん じゃ 」 する と 、 家族 は お 金 を 工面 して 、 お じいさん を 京都 見物 に 出して やる 事 に した のです 。 「 いい かい 、 お じいさん 。 京 の 町 は 、 どれ も 家 の つくり が 似て い ます から ね 。 迷子 に なら ない よう 、 宿 を 出る 時 に は 、 ちゃんと めじるし を つけて いき なされ や 」 「 わかった 、 わかった 。 心配 いら ん わ い 」

さて 、 京 の 町 の 宿 に ついた お じいさん は 、 さっそく 宿 の おかみ さん に 尋ね ました 。 「 この 近く で 、 見物 する ような ところ は ない かのう ? 」 「 そう ど す ねえ 。 近く に 新しい きれいな 橋 が かかり まして 、 たいそうな 評判 で ございます え 。 お 客 さん も 、 ごらん に なら れ ませ 」 そこ で お じいさん 、 橋 の 見物 に 出かける 事 に し ました 。 「 そうそう 、 めじるし を 忘れて は いかんな 。 えー と 、 何 か めじるし に なる 物 は 」 外 に 出て ながめる と 、 宿屋 の 庭先 に 、 大きな 一 匹 の 犬 が 寝て い ます 。 「 よし 、 あの 犬 を めじるし に すれば よい 。 『 庭先 に 、 大きな 犬 が 寝そべって いる 宿屋 』。 これ を 覚えて おけば 、 間違い なく 帰れる だろう 」 お じいさん は 、 橋 を 見物 し ました 。 さすが は 京 の 町 。 赤い らんかん の 見事な 橋 でした 。 ついつい 感心 して いる うち に 、 日 が 暮れて き ました 。 「 さて 、 宿屋 に 戻って 、 晩 ご飯 を いただこう 」 お じいさん は 、 庭先 で 犬 が 寝そべって いる 宿屋 を 探し ました が 、 どこ を 探して も 見つかり ませ ん 。 犬 は 、 どこ か へ 遊び に 行って しまった のでしょう 。 「 お ー い 、 どこ じゃ ? 犬 が 寝そべって いる 宿屋 は どこ じゃ ? 」 お じいさん は 夜通し 探し 続け ました が 、 ついに 宿屋 を 見つける 事 が 出来 ず に 山里 へ 帰って しまい ました 。

♪ ちゃん ちゃん ( おしまい )


めじるし の 犬

長い 間 、 山里 から 出た こと が ない お じいさん が い ました 。 ある 日 、 お じいさん が 家族 に 言い ました 。 「 生きて いる うち に 、 一 度 、 京 の 見物 を し たい もん じゃ 」   する と 、 家族 は お 金 を 工面 して 、 お じいさん を 京都 見物 に 出して やる 事 に した のです 。 「 いい かい 、 お じいさん 。 京 の 町 は 、 どれ も 家 の つくり が 似て い ます から ね 。 迷子 に なら ない よう 、 宿 を 出る 時 に は 、 ちゃんと めじるし を つけて いき なされ や 」 「 わかった 、 わかった 。 心配 いら ん わ い 」

さて 、 京 の 町 の 宿 に ついた お じいさん は 、 さっそく 宿 の おかみ さん に 尋ね ました 。 「 この 近く で 、 見物 する ような ところ は ない かのう ? 」 「 そう ど す ねえ 。 近く に 新しい きれいな 橋 が かかり まして 、 たいそうな 評判 で ございます え 。 お 客 さん も 、 ごらん に なら れ ませ 」   そこ で お じいさん 、 橋 の 見物 に 出かける 事 に し ました 。 「 そうそう 、 めじるし を 忘れて は いかんな 。 えー と 、 何 か めじるし に なる 物 は 」   外 に 出て ながめる と 、 宿屋 の 庭先 に 、 大きな 一 匹 の 犬 が 寝て い ます 。 「 よし 、 あの 犬 を めじるし に すれば よい 。 『 庭先 に 、 大きな 犬 が 寝そべって いる 宿屋 』。 これ を 覚えて おけば 、 間違い なく 帰れる だろう 」   お じいさん は 、 橋 を 見物 し ました 。 さすが は 京 の 町 。 赤い らんかん の 見事な 橋 でした 。 ついつい 感心 して いる うち に 、 日 が 暮れて き ました 。 「 さて 、 宿屋 に 戻って 、 晩 ご飯 を いただこう 」   お じいさん は 、 庭先 で 犬 が 寝そべって いる 宿屋 を 探し ました が 、 どこ を 探して も 見つかり ませ ん 。 犬 は 、 どこ か へ 遊び に 行って しまった のでしょう 。 「 お ー い 、 どこ じゃ ? 犬 が 寝そべって いる 宿屋 は どこ じゃ ? 」   お じいさん は 夜通し 探し 続け ました が 、 ついに 宿屋 を 見つける 事 が 出来 ず に 山里 へ 帰って しまい ました 。

♪ ちゃん ちゃん ( おしまい )