Kinono Tabi : The Beautiful World ( Kino's Journey ) Episode 10
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(モト ラド の 走行 音 )
(エルメス )ねえ まだ ?
(キノ )そろそろ だ と 思う ん だけど なあ
(エルメス )次 の 国 に は 修理屋さん は ある んだろう ね ?
スピード メーター が 壊れ た まま な の は 気持ち 悪い よ
(キノ )とりあえず 走る のに 支障 は ない よ
(エルメス )そう いう 問題 じゃ なくて さ
(キノ )大丈夫
次に 行く 国 は とても 科学 技術 が 進んだ 国 だ そうだ から
スピード メーター ぐらい 簡単 に 直せる よ
(エルメス )他 に も サスペンション の 調子 が おかしい し ―
ステアリング システム や ホイール の ベアリング も ガタ が きてる
運転手 が 乱暴 だ と モト ラド も 大変 だ よ
やっぱり この 辺り だ もう 少し 進んで みよう
(おばあさん )あら こんにちは 旅人 さん
こんにちは
ごめんなさい
こんな 所 で 人 に 出くわす と は 思って なかった んで …
(おばあさん )本当 に …
この 森 で よそ の 人間 の 方 と お会い する なんて
(モト ラド )人間 だけ じゃない よ
え ?
ああ 僕 は キノ こっち は 相棒 の エルメス です
(エルメス )わ あっ !
(おばあさん )まあ !なんて すてき !
他 の 機械 の 方 と お 話し できる なんて
キノ さん たち は どこ へ 行く の です か ?
え …ああ この 辺 に 国 は あり ませ ん か ?
僕 たち は そこ を 目指し て きまし た けれど
見つかり ませ ん
(おばあさん )いいえ この 辺り に 国 は ありませ ん
ねえ キノ さん エルメス さん
私 の 仕え ている 一軒家 に いらっしゃい ませ ん ?
仕え て いる ?
はい 私 は その うち の メイド な の です
(おばあさん )さあ どうぞ
(キノ )ここ …です か ?
(おばあさん )どう です すてき でしょ う ?
幸せ な 家族 が 住む の に ふさわしい
さあ 中 へ
もう すぐ 旦那 様 たち も お 戻り に なり ます ので
キノ さん たち の こと も その とき に お 願い し て みます
間違い なく 大丈夫 です けど ね
では 洗濯物 を 取り入れ て きます から
キノ さん たち は そちら の お 部屋 で 待って い て ください な
(キノ )そちら の お 部屋 …
(キノ )右 かな ?(エルメス )左 だ よ
(エルメス )ほら ハズレ
(キノ )まだ ハズレ と 決まった わけ じゃ ない よ
この 下 で 待って い て くれ って こと かも しれない じゃない か
(エルメス )負けず嫌い
(キノ )ちょっと 見 て くる
あ …
( おばあ さん ) キノ さん こちら に い らし た の ね
あ …勝手に 入って ごめんなさい
ここ は …
私 を 作った 方 の 研究室 です
(キノ )私 を ?作った ?
はい 私 は 機械 人形 な の です
機械 人形 …です か ?
そう です
こちら の 旦那様 と 奥様 それに 坊ちゃま の
お 世話 を する ため に 作られた 機械人形 です
(おばあさん )この ポンコツ の 作った 料理 が ―
お 口 に 合え ば 幸い です
あ …旦那 様
こちら が 旅人 の キノ さん と モト ラド の エルメス さん
キノ さん エルメス さん 旦那 様 と 奥様 坊ちゃん です
(キノ )こんばんは (エルメス )どうも
(父親 )いらっしゃい 旅人 さん 話 は ば あや から 聞きました よ
では ご ゆっくり
私 は 奥 で エネルギー を 補給 し ます ので
(母親 )旅人 さん さあ どうぞ 遠慮 なく
(キノ )あ …
はい いただき ます
あの お 聞き し て いい です か ?
(父親 )何 でしょ う ?
あの おばあさん の こと です けれど
機械 人形 と ご 本人 は おっしゃってます が 本当 でしょ う か
(父親 )お 聞き に なった ん です ね ええ そう です よ
(母親 )よく 働い て くれ て うち で は 大助かり です
あれ の おかげ で 夫婦 そろって 働けます し ね
(キノ )働いて いらっしゃる んですか ?
(父親 )はい
私 は 食品 会社 で 妻 は 国 の 役場 で
息子 は 幼年 学校 に 通って い ます
(キノ )もう 1 つ 聞い て も いい です か ?
(父親 )何 でしょ う ?
この 辺り に 国 は あり ませ ん か ?
いいえ この 近く に 国 は 1 つ も ありませ ん
旅人 さん は 道 を 間違わ れ た と 思い ます
この 辺り は 深い 森 です から ね 無理 も ない と 思います
すると 皆さん は どこ に 働き に ?
いいえ この 近く に 国 は 1 つ も ありませ ん
旅人 さん は 道 を 間違わ れた と 思い ます
(息子 )この 辺り は 深い 森 です から ね
無理 も ない と 思い ます
そう ね 坊や
(キノ )フゥ …
あ あっ !
いかが で し た か ?今晩 の お 食事 は
うん おいしかった よ
おいしかった ー !
鶏 は 最高 だった わ いつも ありがとう
いいえ これ が 私 の 仕事 です から
キノ さん お 口 に 合い まし た ?
え ?ええ とても おいしかった です
夢中 で 食べ まし た
まあ うれしい
(エルメス )それにしても 驚いた ね
(キノ )ああ 危うく 食べ ない なら 下さい って ―
しがみつ い ちゃう とこ だった よ
(エルメス )そう じゃ なく て さ
(キノ )ん ?
(エルメス )あんな に 人間 そっくり な 機械 人形 なんて ―
いる と 思う ?
(キノ )ああ …
地下 室 に あった 設備 を 見る と 本当 と も 思え て くる よ
でも ねえ …
(エルメス )あの 家族 も 何だか 変 だった し ね
(キノ )うん まるで 不条理 演劇 でも 見 てる みたい だった
(エルメス )どう する ?
あした また 考えよ う とりあえず 今日 は もう 寝る !
ああ 久しぶり の ベッド だ
ごちそうさま で し た
さあ さ 皆さん お 時間 です よ
(父親 )じゃ 行って くる よ
(息子 )いって き まーす
(母親 )あと は よろしく ね
( おばあ さん ) は い いって らっしゃい まし
(エルメス )いったい どこ に 出かける ん だ か
(おばあさん )お 口 に 合い まし て ?キノ さん
ここ 最近 食べた 朝食 の 中 で 文句なし に 一番 おいしかった です
まあ ありがとう
(キノ )ところ で 1 つ お 聞き し たい ん です が
はい ?
あなた を 作った の は 誰 なん です か ?
その 情報 は 与え られ て い ない ん です
私 が 知って いる の は 家 の 掃除 の 仕方 料理 の 作り方
坊ちゃん の お ねむ の ため の お話
(キノ )なるほど (おばあさん )そうだ キノさん
お 昼 に すてき な 所 に ご 案内 し ます わ
とても 珍しい もの を お 見せ します
(おばあさん )もう すぐ です よ
(エルメス )いったい 何 見せて くれる ん だろ ?
(キノ )さあ ?
( キノ ・ エルメス ) あ !
うわ ー !
(キノ )大昔 に 氷河 が 造った 谷 です ね
(おばあさん )そろそろ です
(キノ )え ?
谷 の 底 を よーく ご覧 に なって て ください
( エルメス ) キノ あれ ! ( キノ ) うん
(キノ )国 だ
(おばあさん )太古 の 国 です
悲しい こと に 何らか の 理由 で 滅び て しまった の でしょ う
この 季節 の この 時間 だけ ―
光 の 加減 で 水 が 澄んで こうして 青く 見える のです
いかが です か ?
ええ とても 驚き まし た ありがとう ございます
きっと 多く の 人 が 住んで いたんでしょ うね
お互い を 支え合って …
(エルメス )キノ 気 付い た と は 思う けど …
(キノ )ああ あの 国 は …というか あの 国 の 跡 は 新しい ね
どう 見て も 太古 の もの じゃない
僕 たち が 探し て た 国 って ひょっとして …
いや ひょっと しなくて も …
(エルメス )だ ね !教え て くれた の が ―
よ ぼ よ ぼ の おじいさん だった から ね
滅 ん だ の を 知ら なかった ん だ よ
それ でも あの おばあさん が 知らない の は 変 だ な
ウソ を つい てる よう に は 見えない し
(エルメス )とりあえず 目的地 は 発見 し た し ―
もう 行か ない ?
それ も 考え た けれど もう 少し いる こと に しよ う
(エルメス )何で ?
(キノ )非常に 個人 的 な 理由 で 悪い けど …
(エルメス )何 ?
(キノ )夕食 が …
(エルメス )キノ …
(キノ )よし 完璧 だ !
(エルメス )“よし 完璧 だ !”じゃない よ
第 一 メーター が 壊れ た まま じゃん !
(キノ )それ は 僕 に は 無理 だ よ 時計屋さん に 行かない と
(エルメス )ハァ …しばらく お預け か
(おばあさん )その 故障 私 が 診て みましょうか ?
( キノ ・ エルメス ) え ?
( キノ ) は ー … ( エルメス ) ほ え ~
でき ました
多分 これ で …
( エルメス ) すごい ! すごい すごい ! まさに 完璧 !
おばあさん ホント に あり が と ね !
機械 人形 だ から こんな こと も …
誰 か の お 役 に 立てる の は うれしい こと です
うっうっ…
(キノ )大丈夫 です か ?
う っ …ちょっと 油 が 足り ない の かしら
古く て あちこち ガタ が き てる から
(キノ )少し お 休み に なった ほうが …
いえ 大丈夫 です
さあ 旦那 様 たち が お 戻り に なる 前 に ―
夕食 の 支度 を し て おか ない と …
(エルメス )どう だった ?
(キノ )おいしかった よ
(エルメス )そい で ?
家族 は 相変わらず だった
おばあさん は まだ 具合 が 悪そう だった けど
よく 働いてた
(エルメス )あれ だけ 休ま ずに 働ける なんて ―
本当 に 機械 な の かも ね
(キノ )おばあさん の あの 家族 を 見てる とき の 目 が ね
(エルメス )目 が 何 ?
とても 幸せ そう だった
(キノ )ん ?
お ばあさん !(エルメス )う わっ !
う っ ああ …キノ さん
機械 の 寿命 が …
壊れる とき が 来 た よう です
みんな に お 別れ の あいさつ を し なくて は
みんな の 所 へ 連れ て いって
(キノ )とても 上 の 階 まで 動かせる 状態 じゃ あり ません
みんな を 呼んで きます から
( 足音 )
私 皆さん の お 役 に 立て まし た ?
ええ
はい
うん
(おばあさん )よかった …
(父親 )彼女 の 夫 と 息子 です
やっぱり 人間 な ん です ね
(父親 )ええ
(キノ )で は 僕 たち は 失礼 し ます
泊め て い た だい て 感謝 します
(父親 )キノ さん は 知り たく あり ませ ん か ?
何 を です ?
(父親 )たった 今 埋葬 し た 彼女 が 誰 か
私 たち 3 人 が 何者 か
湖 の 底 の 国 は どこ か
ぜひ
(父親 )で は まず これ を ご覧 ください
機械 人形 …
( エルメス ) うわ ー 驚 い た
(父親 )この 谷底 の 国 は ―
建国 以来 2 つ の 民族 の 国 が 常に いがみ合う ―
いさかい の 絶えない 国 で し た
(母親 )彼女 は 50 数 年 前 その 国 の 機械工学 博士 だった の です
当時 30 歳 すぎ
その 世界 で 数 百 人 に 1人 の 天才 と 呼ばれていました
(エルメス )それ で スピード メーター を 直せた の か
彼女 は 国 の 施設 で は 飽き足らなく なり
自分 の 家 の 地下 を 改築 し て 研究所 を 造り まし た
彼女 が 目指し て い た の は 機械 人形 の 製作 で した
彼女 は こう 思って いまし た
機械 人形 は すべて の 人間 を 労働 から 解放 する
その 結果 人々 に ゆとり が 生まれ
いがみ合い など なくなって しまう だろう と
(父親 )彼女 は 研究 に 没頭 し まし た
毎日 毎日 研究 室 で 何 時間 も 過ごし ―
彼女 が 愛する 夫 と かわいい 息子 と 過ごす 時間 は ―
本当 に 少なかった の です
(息子 )私 たち は その 様子 を ずっと 見 て いまし た
(母親 )そして とうとう 3 体 の 機械 人形 に ―
完璧 な 性能 を 持たせる こと に 成功 し ました
(キノ )なるほど それ が …
(エルメス )みんな ね
(父親 )そう です
(母親 )私 たち が 完成 する と 彼女 は 愛する 2 人 に ―
研究 の 成功 を 誰 より も 早く 知らせよう と 待って いまし た
ささやか な パーティー の 準備 を し て
(母親 )民族 紛争 から 生まれ た 爆弾 テロ で した
がれき の 中 に 夫 と 息子 の 死体 を 見つけた 彼女 は ―
振り返って こう 言い まし た
(おばあさん )さあ みんな お祝い し ましょう
(父親 )その あと …
すぐ に 彼女 自身 も がれき の 下 敷き に なり まし た
私 たち は 彼女 を 助けだし て 地下 の 研究室 で 治療 を し た の です
数 日 後 彼女 は 意識 を 取り戻し ました
しかし …
(キノ )しか し ?
(母親 )それ は 私たち を 作り出し て くれた 彼女 で は ―
あり ません でした
(息子 )目 を 覚まし た 彼女 は 私 たち に こう 言い まし た
“ あなた たち が 私 が 働く うち の 家族 の 皆様 です か ?”って
(キノ )自分 を 機械 人形 だ と 思って い た
(父親 )そう です
(エルメス )それ から どう なった の ?
(父親 )彼女 の 肉体的 な 回復 を 待つ 間 ―
国 の 中 で は いがみ合い が エスカレート し て いき まし た
そして 最後 に は 強力 な 兵器 が 使用 さ れ …
(母親 )私 たち は 彼女 が つらい こと を 思い出さない ように と ―
ダム を 造って 国 を 湖 に 沈め ―
彼女 が 幸せ に 暮らし て い た ころ の アパート を そっくり 森 に 再現 し ました
それ から 54 年 と 341 日
彼女 の 望む 幸せ な 家族 を 演じて きた の です
(キノ )彼女 の 体 が 弱って い た こと も 知って い たん です か ?
ええ でも 老衰 だけ は どう する こと も できません でした
( キノ ) 興味深い 話 を ありがとう ござい まし た
(父親 )行って しまう の です か ?
(キノ )はい このまま 出発 し ます
キノ さん が 行って しまったら
その あと 私 たち は 何 を すれ ば いい ん でしょ う ?
それ は 僕 に も 分かり ませ ん あなたたち 自身 で 決める こと です
私 たち は 人間 の ため に 何 か を する ため に 作られました
人間 の ため に 何 か を し て い ない と 存在 する 理由 が ない の です
私 たち は キノ さん に 何 か できる こと は あり ません か ?
私 たち は あなた の 必要 な 人間 に なれ ます
友 に なれます 親 に なれます
子 に なれます 恋人 に なれます
しも べ に なれます 敵 に なれます
興味 あり ませ ん
人間 は 誰 か と 一緒に い て
誰 か の ため に 生き て いか ない と とても つらい もの で は ない の です か
(キノ )より けり です
私 たち は お 役 に 立て ない
そう です か
(キノ )行こうか (エルメス )うん
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