High Score Girl II Episode 9
( 矢口 春雄 ( や ぐち はる お ) ) 指先 から 全 神経 を ―
筐体 ( きょう たい ) と レバー
ボタン モニター に
大野 ( おお の ) 初めて ゲーセン で 戦った あの 日 の こと 覚え てる か ?
お前 が 豪 指 ( ごうし ) の 春雄 と やり合った ―
あの 日 の こと !
( ギャラリー の 歓声 )
( 春雄 ) 待ち ガイル は もう ―
卑怯 ( ひきょう ) でも 何でも ねえ ガイル の 正攻法 だ
ジャンプ を すれ ば サマー が 待って いる
リフト アッパー も 待って いる
昔 から 男らしく ない 戦い と 言わ れ た
しかし この 「 スパ 2 X ( えっ くす ) 」 に 関し て は ―
これ こそ が ガイル の 戦い 方
待って 待って 待ち まくる
この 鉄壁 は 絶対 に 崩さ ない !
( ギャラリー 1 ) う お おお おお
( ギャラリー 2 ) エグ い
( 春雄 ) ジャンプ モーション を 見逃す な
1 フレーム も 見落とす な
近づけ させ ない この 鉄壁
越え られる もの なら 越え て みろ
崩し て みろ 大野 !
( 司会 ) 大野 選手 リフト アッパー の 壁 を 越え られ ず
( 春雄 ) これ は もう ただ の リフト アッパー じゃ ねえ
勝利 へ の ガッツ ポーズ だ !
( 司会 ) 矢口 選手 一 本 返す
( 春雄 ) き た ぜ 大野
お前 と 俺 …
どっち が 強 ( つえ ) え か 白黒 つける 時 が !
( ガイル ) 春雄 今 まで ため に ため た 分 だけ ―
すべて を 解放 しろ
サマー ソルト を 心 に ファネッフー に 力 を !
( 春雄 ) いく ぜ ! ( ゲーム ) ファイト !
( 司会 ) さあ すべて が 決まる 第 3 ラウンド だ
( 春雄 ) 大野 お前 に は 死ぬ ほど 感謝 し てる ん だ
俺 は ゲーム が あれ ば ―
それ で 十 分 だった
人 から バカ に さ れ て も ゲーム が 支え だった
今 で は 大野 自身 も 俺 の 支え だ
好き な ゲーム も さらに 好き に な れ た
お前 の おかげ で 本当 に 楽しかった ん だ
ホレ た ヤツ と 共に 夢中 に 真剣 に な れ た こと が
だから 今 こそ 全力 で ぶつける
ソニック で 距離 を 開け たい ガイル
そう は さ せ じ と 詰め寄る ザンギ
両者 一 歩 も 譲ら ない 息詰まる 攻防 だ !
ここ で 矢口 ガイル の リフト アッパー が 入った
体力 ゲージ 両者 ほぼ 互角
( ギャラリー 1 ) 下段 中 キック から 吸った !
( ギャラリー 2 ) 起き上がり サマー ( 司会 ) 両者 一 発 圏 内 !
( 春雄 ) 跳 ん で みろ 跳べ ! 跳べ !
あ あっ !
( ガイル の 叫び声 )
( 司会 ) 勝者 …
大野 晶 ( あき ら ) 選手 !
( ギャラリー の 歓声 )
( 宮尾 光太郎 ( みや お こうたろう ) ) 春雄 今日 も いい の か ?
( 光太郎 ) ゲーセン に 寄ら なく て
カプコン さん の 新作 「 スター グラディエイター 」 の 稼働 日 だ ろ ?
カプコン の 3 D 格 ゲー だ ぜ
いや 今日 は いい かな …
( 光太郎 ) “ 今日 も ” だ ろ ( 土井 玄 太 ( ど い げ ん た ) ) 春雄 らしく ない な
大阪 から 帰って から もう ずっと あんな ん だ ろ
( 光太郎 ) まあ 無理 も ない よ な
あいつ の 思い は かなわなかった ん だ
勝って 気持ち を 伝える の が あいつ の 信念 だった から
やっと 自分 の 気持ち に 気づ い た のに
あいつ は ありのまま で あって ほしい な
ゲーム バカ で い た ほう が キラキラ し て ん のに
お前 は 最近 キラキラ し て ねえ な 変 な 整髪 料 は やめ た の か ?
( 土井 ) えっ ?
俺 は 今 の お前 の ほう が 好き だ けど な
は ー ?
( 鬼塚 ( おに づか ) ちひろ ) あー 宮尾 君 たち じゃ な ー い
殿 方 二 人 で 何 して ん の ?
ナンパ なら 私 に し なさい
いやいや … 春雄 の こと で
( 鬼塚 ) 春雄 ?
( ギャラリー の 歓声 )
( ガイル の 叫び声 )
( 春雄 ) ダイエット スクリュー
ジャンプ 強 キック を 空振り さ せ
あの モーション を 利用 し て リフト アッパー を 避ける ―
超 高 等 テクニック
2 ラウンド 目 で リフト アッパー を バカ みたい に 食らって い た の も ―
すべて は ダイエット スクリュー へ の 布石
エサ だった ん だ …
( 司会 ) 勝者 大野 晶 選手 !
( 春雄 ) 何 も 知ら ない で 大野 と の 決着 を つけ て ―
想い を 打ち明ける と のたまって い た 自分 が バカ み て え だ
あの 後 の 決勝 で あいつ が 負け た の も ―
優勝 が 目的 じゃ なかった から だ
あの 準 決勝 の 戦い が ―
俺 ら に とって 最後 の 対戦 だった から だ
そして 俺 は ―
あいつ の 気持ち も 全く 知ら なかった
あいつ が 海外 に 移住 し て しまう こと も
( 矢口 な みえ ) 春雄 お 姉ちゃん 来 た わ よ ~
( 大野 真 ( まこと ) ) 姉 で ガッカリ し た か ? ( 春雄 ) 何 だ よ
( 真 ) 妹 じゃ なく て 姉 の ほう が 来 て
肩 を 落とし て いる でしょ
何 言って る ん だ よ さっさと 入って き な せ え って ば よ
( 真 ) フン 声 だけ は 元気 ね 気 を 使って 損し た
あら あら 珍しく マンガ 見 て ん の ね
ゲーム は … やって る 様子 は ない わ ね
お ー い や っぱ 気落ち し てる な ?
いや 別に 今 は やり たい ゲーム が …
( 真 ) ウソ こけ や
クリア ゲーム を 何度 も やる の が 春雄 君 でしょ ?
「 ファイナル ファイト 」 なんか 何 回 クリア し た ?
( 春雄 ) 88 回 ( 真 ) 多 っ !
って か キモ っ 覚え てる ん だ
晶 の 出発 の 日 だ けど ―
今月 の 24 日 の 夕方 だ から …
お 見送り 絶対 来 なさい よ
ホント 急 すぎる 話 だ わ
子供 の 都合 なんて これ っぽ っち も 考え て ない 勝手 な 方針 よ
また 中学 の 時 み て え に 日本 に 戻って くる って こと は …
春雄 君 の 前 で それ は ない と は 言 え ない
言 える の は いろいろ 難しい って こと だけ
晶 の 次 に 被害 者 な の は 春雄 君 よ ね
ん な こと ない って ば お 姉さん だって 被害 者 だ ぜ
妹 と 離れ離れ に さ れる ん だ もん よ
( 真 ) 私 は どっち か って 言ったら 加害 者 で 元凶 よ …
( 春雄 ) また それ を 言う
( 真 ) 私 が 全部 晶 に 押し付け た から …
ごめん ね
何で お 姉さん が 謝 ん だ よ
自分 の 意志 を 貫き 通し た だけ だ ろ
( 真 ) 晶 の 意志 は …
あいつ は あいつ なり の 考え が ある ん だ ろ
家 の 方針 に 納得 し た の で あれ ば ―
それ は もう …
( 真 ) く … う っ … ( 春雄 ) お 姉さん 泣 い て ん の か ?
お おい
( 真 ) 別に 泣 い て ない し ( 春雄 ) 何 だ よ
( 真 ) 晶 は 親 と 家 の 顔 を 立て てる だけ
あの 子 の 胸 の 内 は 姉 の 私 でも 分から ない わ
それ より 春雄 君 の 意志 は どう な の ?
( 春雄 ) 俺 の 意志 …
( 真 ) と いう より あなた の 意志 は どこ に 行く の ?
“ 勝負 に 負け て ダメ で し た ”
… じゃ 一生 後悔 する こと に なる ん じゃ ない ?
お っ 大切 な こと 忘れる ところ だった
はい 晶 から 春雄 君 に
えっ 何 だ ? 手紙 ?
( 真 ) さあ そこ は もう 私 が 入り込む 領域 じゃ ない から
ゲーム も やって ない よう だ し ―
私 が あげ た 原 付 に も 乗って ない よう ね
ウジウジ し て て も 前 に 進め ない わ よ
今 が 春雄 君 の 人生 の ターニング ポイント
自分 の 意志 を どう 向け て 貫く か …
今 こそ 勝負所 よ
( 真 ) 何 よ エラ そう に 私 って ば
( 春雄 ) そう か …
( 春雄 ) 俺 と 大野 の 5 年 に 渡る 長い 戦い は ―
もう 終わ っち まっ た ん だ
( 戸 の 開閉 音 )
( な みえ ) 春雄 晶 ちゃん の 出発 の 日 よ
見送り は どう す ん の ?
何 を ウジウジ し てん の よ 春雄 らしく ない
( な みえ ) さっさと 行か ない と 間に合わ なく なっちゃ う わ
意地 張る ワケ を 聞か せ なさい
ちょっと どこ 行く の ? 行って あげる の ?
( 春雄 ) いや ( な みえ ) 春雄 !
( 春雄 ) おふくろ ごめん
いろいろ 考え た 上 で の 決断 な ん だ よ
見送り に は 行け ねえ
( な みえ ) ちょっと 春雄 !
( 春雄 ) おふくろ の 言う 通り ―
ウジウジ し て 俺 は 何 やって ん だ よ
ダサ すぎる ぜ
でも 負け は 負け だ
大 惨敗 だ
( 日高 小春 ( ひだ か こはる ) ) 矢口 君
日高 …
( 小春 ) 久しぶり だ ね
( 春雄 ) 日高 髪 … ( 小春 ) うん
スッキリ し た でしょ 軽く なって いい 感じ
それ より 矢口 君 どう し た の ?
すごく 深刻 そう な 顔 し て た
まあ 多分 大野 さん の こと だ と 思う けど
大野 さん また 海外 に 行っちゃ う ん でしょ ?
ちょっと 前 に 聞か さ れ た
矢口 君 に とって は これ で 2 回 目 な ん だ よ ね ?
離れ離れ に なる の は
それ で 落ち込 ん で た ん でしょ
すごい ね 大野 さん の 存在 って
あんな に おしゃべり な 矢口 君 を ここ まで 黙ら せる ん だ も の
知って る ? 大野 さん 先月 私 に 戦い を 挑 ん で き た ん だ よ
えっ ?
( 小春 ) 矢口 君 の こと で 白黒 つける ため の って ―
最初 は そう 思って い た
私 と 大野 さん の 真剣 勝負 …
( 小春 ) で も あれ は 私 の 矢口 君 へ の 想い を …
本気 を 大野 さん が 確かめ たかった 戦い だった と 思う
自分 が 海外 へ 移住 する こと を 踏まえ た 上 で ―
引き下がる 気持ち で いたん だ と …
( 春雄 ) おお っ …
( 小春 ) それ でも 大野 さん は 迷って た よ
3 回 戦 目 で の 戦い は
矢口 君 へ の 気持ち を 捨て き れ ない で い た 私 に ―
引導 を 渡す こと に 躊躇 ( ちゅうちょ ) し て い た
あの 対戦 で 大野 さん の 想い は 痛い ほど 伝わって き た
あの 時 の 大野 さん の 表情 …
試合 に は 勝った けど 勝負 に は 負け た って 思った よ
そんな の …
そんな の 感じ ちゃ ったら もう 引き下がる しか ない じゃ ん
私 み たい な お邪魔 虫
( 春雄 ) ああ …
( 小春 ) 大阪 遠征 の 話 も 知って る よ
( 小春 ) 大野 さん 律 儀 に 私 の 所 に 承認 を 得 に 来 た の
矢口 君 と の 思い出
日本 を 発 つ 前 に 作り たかった ん だ と 思う
断る 権利 も ない 私 に 気 を 使って
ホント いじらしい
そんな 大野 さん の 気持ち む げ に し ちゃ ダメ
私 は この 場所 で 矢口 君 を 好き に なって いった の
( 小春 ) 楽しい こと に 真っ直ぐ な 矢口 君 に 惹 ( ひ ) かれ た
だから 大野 さん の こと も 真っ直ぐ で い て ほしい
日高 俺 …
大野 の こと が 好き だ
知って る よ
( 春雄 ) お前 の 気持ち を 散々 ないがしろ に し ち まって …
( 小春 ) 謝ら ない で みじめ に なる から
( 春雄 ) 日高 の 助言 身 に しみる よ
でも もう いい ん だ もう 終わ っち まっ た ん だ
笑って くれ や 日高
俺 の 人 の 心 に 鈍感 だった ツケ が 回って き ち まった ん だ
小 6 の 時 に ―
俺 が あげ た 物 を ずいぶん 大切 に 持って た み て え な ん だ が
この 前 姉 貴 づ て に 突き返さ れ て …
今日 の 夕方 日本 を 発 っち まう ん だ
あっ
あいつ は もう 吹っ切れ ち まっ てん だ
( 小春 ) 何 ? ( 春雄 ) え ?
何 を 返さ れ た の ?
いや 大した もん じゃ ねえ よ
ゲーセン で 取った ガキ くせ え 指輪 で …
いって え !
バカ ! もう 夕方 じゃ ん
今日 発 つ って こんな 所 で 何 やって ん の よ
感傷 に 浸っちゃ っ て 矢口 君 らしく ない
何 よ 指輪 って … ムカ つく
指輪 を 返さ れ て 終わった と 思った ?
それ で いじけ ちゃ って た わけ ?
やっぱり 矢口 君 は ―
女の子 の 気持ち が 全然 分かって ない !
大野 さん の 気持ち は 逆 でしょ
それ 持って 迎え に 来 て ほしい 意思 表示 じゃ ん
行って 矢口 君
自分 の 意思 に 忠実 に 生きる の が 気持ち の いい 生き 方 って ―
あなた が 言った 言葉 よ
大野 さん 絶対 矢口 君 を 待って る
矢口 君 早く !
( 小春 の 泣き声 )
( 春雄 の 叫び声 )
おふくろ ! う お っ
おふくろ …
決心 が つい た よう ね
それ で こそ 我が 息子
( な みえ ) 行け 全速力 で !
漢 ( おとこ ) を 見せろ !
( 駅 アナウンス ) 信号 トラブル に より ―
田園 都市 線 に 遅延 が 発生 し て おり ます
( 春雄 ) 悔や ん で も 悔やみ き れ ねえ
好き な こと しか 見 ねえ で 大事 な こと を 見逃し ち まう
救え ねえ … 救 え ねえ バカ だ
何で 意固地 に な っち まっ た ?
もう 終わった と 何で 決めつけ ち まった ?
何度 も 何度 も 大野 に は 負かさ れ た が ―
負け を 認め て 諦め ち まった こと なんて 無かった はず だ
どう し て 勝負 を 終わら せ ち まった ?
腑抜 け ち まった の は ホレ た 女 を 前 に ビビ って た ん だ
見切り を つけ られ た こと に ヒヨ っち まったん だ
追いかける 度胸 も ねえ ヘタレ 野郎
今さら 気づ い て も もう 遅い
間に合わ ねえ 間に合う わけ が ねえ
電 車 が 止まった 時点 で 詰 ん で た ん だ
原 付 で 空港 まで どん だけ 時間 が かかる ?
こんな 夕方 渋滞 も し てる はず
無理 だ ! 大野 は もう 行 っち まっ た !
大野 は もう 日本 を 発 っち まっ た よ !
はっ !
は あっ …
( 急 ブレーキ の 音 )
( ドライバー ) 何 だ ?
車 が 前 に 進ま ねえ
故障 か ?
おお っ !
( ガイル ) 春雄 春雄 !
ソニックブーム ば り に 突き進め !
諦める な !
間に合わ なく て も 行く しか ない 全力 で 真っ直ぐ に
お前 が 今 まで ゲーム に ぶつけ た よう な 全力 を
矜持 ( きょうじ ) を 信念 を ―
この 戦い に ぶつける の だ !
( 春雄 ) そう だ
何度 も 何度 も あの 女 と は 引き離さ れ た
今さら 引き 下 が れっか よ !
大野 に 会い て え 今 すぐ に でも 会い て え
大野 ぉぉ ぉぉ ぉ !
( ガイル ) 愛 が 可能 に する
愛 が 形 と なる
俺 たち を 愛し て くれ た 恩 を ―
今 こそ お前 に !
( 大野 晶 ) は あっ …
( ガイル ) ファネッフー !
( スクーター の 激突 音 )
( 春雄 ) う っ … は あ …
あ あっ !
今 まで 何 し て た の ?
って いう か ボロボロ じゃ ない の
( 春雄 ) それ より 大野 は もう …
行っちゃ っ た ! 行っちゃ っ た けど ―
飛行機 が Uターン し て 帰って くる って
( 爺 ( じい ) や ) 乱 気流 だ と か 機体 の トラブル か 何 か で
大野 勝ち 逃げ なんて さ せ ねえ
さ せ て たまる かって ん だ 勝負 は まだ 終わっちゃ い ねえ
お前 と の 因縁 の 対決 …
終わら せる わけ に は いか ねえ
海外 に 行った って 逃がしゃ し ねえ ぜ
パスポート を 取って お前 に 会い に 行く ん だ から
泣く な 空港 で 泣く の は 俺 の 番 だ
( 春雄 ) 大野
お前 の こと が 好き だ
のたうち 回る くらい 大好き だ
お前 に は これ から も 負け 続ける だ ろ う よ
でも 俺 は それ で いい 一生 お前 に 挑み 続け て え
張り合って いき て えん だ
ずっと 大野 の そば で !
お前 を 嫁 に する ため 絶対 に 迎え に 行く
もらって くれる か ?
( ゲーム キャラクター たち の 歓声 )
( 晶 ) フフ …
( 春雄 ) くっ …
( ガイル ) 春雄 これ は まだ 終わり で は ない
お前 は ステージ の 1 つ を 越し た に すぎ ない
最良 の エンディング の ため に 俺 たち は 戦う
それ は お前 も 同じ
この 戦い が ―
お前 の … お前 たち の 新た なる 力 と なる
♪ ~