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Aozora Bunko Readings (4-5mins), 101. お鍋とおやかんとフライパンのけんくわ - 村山籌子

101. お鍋とおやかんとフライパンのけんくわ - 村山籌子

お 鍋 と お やかん と フライパン の けん くわ -村山 籌子

よう子 ちや ん は お 台所 が 大好き でした 。 なぜ とい つて 、 お 料理 の に ほ ひ は ほんとに おいし さ うな ん です もの 。 それ に 、 お さじ や フオーク や お 茶碗 や お 皿 など が カチン 、 カチン 、 チヤラ 、 チヤラ と 可愛い い 音 を たてて ゐま す 。 それ から もつ と 、色んな 音 が します 。 ・・

お 鍋 の 中 で は クツタ 、 クツタ 、 クツタ と お 湯 の に たつ 音 が します し 、 ジヤ 、 ジヤ 、 ジヤ 、 ジヤ と 水道 が いき ほ ひ よく ながれる し 、 バツタン 、 バツタン と 戸棚 を あける 音 も きこえます 。 よう子 ち やん は 色んな 音 を きく の も 大好き です 。 ・・

或る 日 の こと お台所 で は お料理 づくり に お母さん が いそがしく 働いて ゐま した 。 その うち に お母さん は お鍋 と 、おやかん と 、フライパン を 火 に かけて 、お庭 へ 出て ゆきました 。 ・・

よう子 ちや ん は その すきに ソーツ と お 台所 に はいりこみました 。 ・・

ガス の 火 は ボウ 、ボウ 、ボウ と 妙な 声 を 出して 、もえて 、その 上に お鍋 と おやかん が ならんで ゐま す 。 ・・

「 よう子 ち や ん 、 もつ と こつ ちへい ら つ し や い な 。 おもしろい 歌 を きかせて あげ ませ う 。」 どこ から か こんな 声 が しました ので 、 よう子 ち や ん は び つくり して しま ひま した 。 ・・

する と 、おやかん が 、こんな 歌 を うたひ 初めました 。 ・・

「 ブクツ 、 ブクツ 、 ブクツ 、 ブクツ 。」 それ から その 歌 は 段々 大きく な つて 、・・

「 プー 、 プー 、 シユツ 、 シユツ 、 プー 、 プー 、 シユツ 、 シユツ 、 シユツ 」・・

それ から 、もつ と 、もつ と 大きく 、・・

「ブク 、ブク 、シユ 、シユ 、ブク 、シユ 、シユ 。」 あまり 大きな 声 を 出して 歌 つた ので 、おやかん の 上 に 乗つ かつて ゐた ふた まで が 、・・

「 パクン 、 パクン 、 パクン 、 パクン 」 と とんだり 、 はねたり の 大さわぎ です 。 ・・

「おやかん が 、私 に 歌 を きかせて ゐる んだ わ 。 だけど お 湯 が にたち すぎ や しない かしらん 、私 、心配だ わ 、どう しませう 。」 よう子 ちや ん は 心配 に なりました 。 ・・

「 グツ 、 グツ 、 グツ 、 グツ 、 グツ 、 グツ 、 グツ 」 今度 は お 鍋 も お やかん の 歌 に 合せて 歌 ひ 初めました 。 ・・

「グツタ 、グツ 、グツタ 、グツ 、グツタ 、グツタ 、グツタ 。」 段々 大きな 声 を 出しました 。 ・・

「お 鍋 が 私 に 歌 を きかして くれて ゐる の ね 。 だけど あんな 声 を 出して 、にたち すぎる と 困る わ 。」 ・・

「 ピチ 、 ピチ 、 ピチ 、 ピチ 、 ピチ 、 ピチ 、 ピチ 。」 出 ない 声 を はり上げて 、フライパン まで が 歌 ひ 出しました 。 ・・

「チリ 、ピチ 、チリ 、ピチ 、チリ 、ピチ 、チリ 。 私 だ つて 歌 は う と 思 ひや 、 歌 へる の よ 。 チリ 、チリ 、ピチ 、ピチ 、チリ 、ピチ 、チリ 。 私 の 声 は とても いい 声 で せう ? 」・・

「 ブク 、 ブク 、 グツ 、 グツ 、 ブク 、 グツ 、 ブク 。 私 たち は こんなに 大きな 声 が 出せる の よ 。 大きな 声 を ね 。」 と お 鍋 と お やかん は 又 、負けず に がなり 立てました 。 ・・

ブク 、ブク 、シユツ 、シユツ ・・

パク 、 パク 、 パク ・・

グツ 、グツ 、グタ 、グタ ・・

チリ 、ピチ 、チリ ・・

お 鍋 と おやかん と フライパン は めいめい 夢中 に なつて 歌つて ゐる うち に 、さあ 、大変 、みんな ガバンガバン と 煮え くりかへつて しまひました 。 ・・

プク 、パク 、グツ 、ピチ 、プク 、パク 、グツ 。 ピチ 、プク 、パク 、グツ 、ピチ 、プク 、パク 。 ・・

その 音 を ききつけて 、お母さん は 大 あわて に あわてて 、台所 へ かけこんで 、お鍋 と おやかん と フライパン を 火 から 引きずり 下しました 。 お 鍋 と お やかん と フライパン の けんか は これ で おし ま ひ に なりました 。 お母さん は お つ しや いました 。・・

「 よう子 ち や ん 、 こんど から 、 お 鍋 や 、 お やかん や フライパン が ブツブツ 言 ひ 出したら お母さん に すぐ 知ら さ なく ち や いけません よ 。」 「 私 が 悪い ん ぢやない の よ 。 お 鍋 と おやかん に けんか を しかけた フライパン が 悪い の よ 。 さ うで せう ! お母さん ? 」お母さん は 何にも 御存じない ので おかしさうに お 笑ひ に なりました 。

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