17.1.2 スリザリン の 継承者 -TheHeirofSlytherin
アーマンド ・ディペット じいさん が 、それ を どういうふうに 取った か 、わかる だろう 。 一 人 は トム ・リドル と いう 、貧しい が 優秀な 生徒 。 孤児 だ が 勇敢 そのもの の 監督生 で 模範生 。
もう 一人 は 、図体 ばかり で かくて 、ドジ な ハグリッド 。 一 週間 おき に 問題 を 起こす 生徒 だ 。 狼 人間 の 仔 を ベッド の 下 で 育てよう と したり へ こっそり 抜け出して 『禁じられた 森 』に 行って トロール と 相撲 を 取ったり 。 しかし 、あんまり 計画 通り に 運んだ ので 、張本人 の 僕 が 驚いた こと は 認める よ 。 誰か 一人 ぐらい 、ハグリッド が 『スリザリン の 継承者 』で は ありえない 、と 気づく に 違いない と 思っていた 。 この 僕 で さえ 、『秘密の 部屋 』に ついて 、できる かぎり の ことを 探り出し 、秘密の 入口 を 発見 する までに 五 年 も かかった んだ ......ハグリッド に 、そんな 脳みそ が ある か !そんな 力 が ある か !」
「たった 一人 、変身術 の ダンブルドア 先生 だけ が 、ハグリッド は 無実 だ と 考えた らしい 。 ハグリッド を 学校 に 置き 、家畜 番 、森 番 として 訓練 する ように ディペット を 説得 した 。 そう 、たぶん ダンブルドア に は 察し が ついていた んだ 。 他の 先生 方 は みな 僕 が お気に入り だった が 、ダンブルドア だけ は 違っていた ようだ 」
「きっと ダンブルドア は 、君 の こと を とっくに お見通し だった んだ 」ハリー は ギュッと 歯 を 食いしばった 。
「そう だ な 。 ハグリッド が 退学 に なって から 、ダンブルドア は 、たしかに 僕 を しつこく 監視 する ように なった 」リドル は こともなげに 言った 。
「僕 の 在学中 に 『秘密の 部屋 』を 再び 開ける の は 危険だ と 、僕 に は わかっていた 。 しかし 、探索 に 費 した 長い 年月 を むだに する つもり は ない 。 日記 を 残して 、十六 歳 の 自分 を その 中 に 保存 しよう と 決心 した 。 いつか 、時が 巡って くれば 、誰かに 僕の 足跡を 追わせて 、サラザー ル・スリザリンの、崇高な仕事を成し遂げることができるだろうと」
「君は それを 成し遂げては いない じゃないか 」ハリーは 勝ち誇った ように 言った 。
「今度は 誰も 死んでは いない 。 猫 一匹 たりとも 。 あと 数 時間 すれば マンドレイク 薬 が でき上がり 、石 に された もの は 、みんな 無事 、元 に 戻る んだ 」
「まだ 言って なかった かな ?」リドル が 静かに 言った 。
「『穢れた 血 』の 連中 を 殺す こと は 、もう 僕 に とって は どうでもいい こと だって 。 この 数ヶ月 間 、僕 の 新しい 狙い は ――君 だった 」
ハリー は 目を 見張って リドルを 見た 。
「それから しばらくして 、僕の 日記を また 開いて 書き込んだ のが 、君では なく ジニーだった 。 僕は どんなに 怒ったか 。 ジニーは 君が 日記を 持っている のを 見て 、パニック状態に なった 。 君が 日記の 使い方を 見つけて しまったら ?僕が 君に 、ジニーの 秘密を 全部 しゃべって しまう かもしれない 。 もっと 悪い ことに 、もし 僕が 君に 、鶏を 絞め殺した 犯人を 教えたら どうしよう ?―― そこ で 、バカな 小娘は 、君たちの 寝室に 誰も いなくなるのを 見計らって 、日記を 取戻しに 行った 。 しかし 、僕には 自分が 何を すべきか が わかって いた 。 君が スリザリンの 継承者の 足跡を 確実に 追跡して いると 、僕には はっきり わかって いた 。 ジニー から 君 の こと を いろいろ 聞かされて いた から 、どんな こと を して でも 君 は 謎 を 解く だろう と 僕 に は わかっていた ――君 の 仲良し の 一人 が 襲われた のだ から なおさら だ 。 それ に 、君 が 蛇語 を 話す と いう ので 、学校中 が 大騒ぎ だ と 、ジニー が 教えて くれた ......」
「そこで 僕 は 、ジニー に 自分 の 遺書 を 壁 に 書かせ ここ に 下りてきて 待つ ように 仕向けた 。 ジニー は 泣いたり 喚いたり して 、とても 退屈だった よ 。 しかし 、この 子 の 命 は もう あまり 残されて は いない 。 あまりに も 日記 に 注ぎ込んで しまった 。 つまり この 僕 に 。 僕 は 、おかげで ついに 日記 を 抜け出す までに なった 。 僕 と ジニー と で 、君 が 現れる の を ここ で 待って いた 。 君 が 来る こと は わかって いた よ 。 ハリー ・ポッター 、僕 は 君 に いろいろ 聞きたい こと が ある 」「なに を ?」ハリー は 拳 を 固く 握った まま 、吐き捨てる ように 言った 。 「そう だ な 」リドル は 愛想 よく 微笑 しながら 言った 。
「これ と いって 特別な 魔力 も 持たない 赤ん坊 が 、不世出 の 偉大な 魔法使い を どう やって 破った ?ヴォルデモート 卿 の 力 が 打ち砕かれた のに 、君 の 方 は 、たった 一 つ の 傷痕 だけ で 逃れた のは なぜ か ......」むさぼる ような 目 に 、奇妙な 赤い 光 が チラチラ と 漂っている 。 「僕 が なぜ 逃れた の か 、どうして 君 が 気 に する んだ ?」ハリー は 慎重に 言った 。 「ヴォルデモート 卿 は 君 より あと に 出てきた 人 だろう 」「ヴォルデモート は 」リドル の 声 は 静かだ 。 「僕 の 過去 であり 、現在 であり 、未来 な のだ ......ハリー ・ポッター よ 」ポケット から ハリー の 杖 を 取り出し 、リドル は 空中 に 文字 を 書いた 。 三つ の 言葉 が 揺らめき ながら 淡く 光った 。 TOMMARVOLORIDDLE ( トム ・ マールヴォロ ・ リドル ) もう 一 度 杖 を 一 振り した 。 名前 の 文字 が 並び 方 を 変えた 。 IAMLOADVOLDEMORT ( わたし は ヴオルデモート 卿 だ )「 わかった ね ?」 リドル が ささやいた 。
「この 名前 は ホグワーツ 在学 中 に すでに 使って いた 。 もちろん 親しい 友人 に しか 明かして いない が 。 汚らわしい マグル の 父親 の 姓 を 、僕 が いつまでも 使う と 思う かい ?母方 の 血筋 に サラザール ・スリザリン その 人 の 血 が 流れている この 僕 が ?汚らしい 、俗な マグル の 名前 を 、僕 が 生まれる 前 に 、母 が 魔女 だ と いう だけ で 捨てた やつ の 名前 を 、僕 が そのまま 使う と 思う かい ?ハリー 、ノー だ 。 僕 は 自分 の 名前 を 自分 で つけた 。 ある 日 必ずや 、魔法 界 の すべて が 口 に する こと を 恐れる 名前 を 。 その 日 が 来る こと を 僕 は 知っていた 。 僕 が 世界 一 偉大な 魔法 使い に なる その 日 が ! 」
ハリー は 脳 が 停止 した ような 気 が した 。 麻痺 した ような 頭 で リドル を 見つめた 。
この 孤児 の 尐年 が やがて 大人 に なり 、ハリー の 両親 を 、そして 他の 多くの 魔法使い を 殺した のだ 。
しばらく して ハリー は やっと 口 を 開いた 。
「違う な 」静かな 声 に 万感 の 憎しみ が こもって いた 。
「何が !」リドルが 切り返した 。
「君は 世界一 偉大な 魔法使い じゃない 」ハリーは 息を 荒げていた 。
「君を がっかりさせて 気の毒だ けど 、世界一 偉大な 魔法使いは アルバス・ダンブルドアだ。 みんなが そう 言っている 。 君 が 強大 だった とき で さえ 、ホグワーツ を 乗っ取る こと は おろか 、手出し さえ できなかった 。 ダンブルドア は 、君 が 在学中 は 君 の こと を お見通し だった し 、君 が どこ に 隠れて いようと 、いまだに 君 は ダンブルドア を 恐れて いる 」
微笑 が 消え 、リドル の 顔 が 醜悪に なった 。
「ダンブルドア は 僕 の 記憶 に 過ぎ ない もの によって 追放 され 、この 城 から いなく なった !」リドル は 歯 を 食いしばった 。
「ダンブルドア は 、君 の 思って いる ほど 、遠く に 行って は いない ぞ !」ハリー が 言い返した 。 リドル を 恐がらせる ために 、とっさに 思いついた 言葉 だった 。 本当に そう だ と 確信 している と いう より は 、そう あって 欲しい と 思っていた 。
リドル は 口 を 開いた が 、その 顔 が 凍りついた 。
どこ から ともなく 音楽 が 聞こえて きた のだ 。 リドル は クルリ と 振り返り 、がらんと した 部屋 を ずっと 奥 まで 見渡した 。 音楽 は だんだん 大きく なった 。 妖しい 、背筋 が ぞくぞく する ような 、この世 の もの とも 思えない 旋律 だった 。 ハリー の 毛 は ザワッ と 逆立ち 、心臓 が 二倍 の 大きさ に 膨れ上がった ような 気 が した 。
やがて その 旋律 が 高まり 、ハリー の 胸 の 中 で 肋骨 を 震わせる ように 感じた とき 、すぐ そば の 柱 の 頂上 から 炎 が 燃え上がった 。
白鳥 ほど の 大きさ の 深紅 の 鳥 が 、ドーム型 の 天井 に 、その 不思議な 旋律 を 響かせ ながら 姿 を 現した 。
孔雀 の 羽 の ように 長い 金色 の 尾羽 を 輝かせ 、まばゆい 金色 の 爪 に ポロポロ の 包み を つかんでいる 。
一瞬 の 後 、鳥 は ハリー の 方 に まっすぐに 飛んで きた 。 運んで きた ボロボロ の もの を ハリー の 足元 に 落とし 、その 肩 に ずしり と 止まった 。
大きな 羽 を たたんで 、肩 に 留まって いる 鳥 を 、ハリー は 見上げた 。 長く 鋭い 金色 の 嘴 に 、真っ黒な 丸い 目 が 見えた 。
鳥 は 歌う の を やめ 、ハリー の 頬 に じっと その 暖かな 体 を 寄せて しっかり と リドル を 見据えた 。
「不死鳥 だ な ......」リドル は 鋭い 目 で 鳥 を にらみ返した 。
「フォークス か ?」ハリー は そっと 呟いた 。 すると 金色 の 爪 が 、肩 を 優しく ぎゅっと つかむ の を 感じた 。 「 そして 、 それ は ――」 リドル が フォークス の 落とした ぼろ に 目 を やった 。 「それは 古い 『組分け帽子 』だ 」
その 通り だった 。 つぎはぎ だらけ で ほつれた 薄汚 ない 帽子 は 、ハリー の 足元 で ぴくり とも しなかった 。
リドル が また 笑い はじめた 。 その 高笑い が 暗い 部屋 に ガンガン 反響 し 、まるで 十 人 の リドル が 一度に 笑って いる ようだった 。
「ダンブルドア が 味方 に 送って きた の は そんな もの か !歌い 鳥 に 古 帽子 じゃ ない か ! ハリー ・ポッター 、さぞかし 心強い だろう !もう 安心だ と 思う か ?」
ハリー は 答え なかった 。 フォークス や 「組分け帽子 」が 、なんの 役に立つ のか は わからなかった が 、もう ハリー は 一人ぼっち で は なかった 。 リドル が 笑い やむ の を 待つ うちに 、ふつふつと 勇気 が たぎってきた 。
「ハリー 、本題 に 入ろう か 」リドル は まだ 昂然と 笑み を 浮かべて いる 。
「二回 も ――君 の 過去 に 、僕 にとって は 未来 に だが ――僕たち は 出会った 。 そして 二 回 とも 僕 は 君 を 殺し 損ねた 。 君 は どう やって 生き残った ? すべて 開か せて もらおう か 」
そして リドル は 静かに つけ加えた 。
「長く 話せば 、君 は それ だけ 長く 生きて いられる こと に なる 」ハリー は 素早く 考え を 巡らし 、勝つ 見込み を 計算した 。 リドル は 杖 を 持って いる 。 ハリー に は フォークス と 「 組 分け 帽子 」が ある が 、どちら も 決闘 の 役 に 立つ と は 思え ない 。 完全に 不利 だ 。
しかし 、リドル が そうして そこ に 立っている うちに 、ジニー の 命 は ますます 磨り減っていく ......。
そう こうして いる うち に も 、 リドル の 輪郭 が はっきり 、 しっかり して きた こと に ハリー は 気づいた ―― 自分 と リドル と の 一騎打ち に なる なら 、 一刻 も 早い ほう が いい ――。
「君が 僕を 襲った とき 、どうして 君が 力を 失った のか 、誰にも わからない 」ハリーは 唐突に 話し はじめた 。
「僕自身も わからない 。 でも 、なぜ 君が 僕を 殺せなかった か 、僕には わかる 。 母が 、僕を かばって 死んだ からだ 。 母は 普通の 、マグル 生まれの 母だ 」
ハリーは 、怒りを 押さえつける のに ワナワナ 震えていた 。
「君が 僕を 殺すのを 、母が 食い止めたんだ 。 僕 は ほんとうの 君 を 見た ぞ 。 去年 の こと だ 。 落ちぶれた 残骸 だ 。 かろうじて 生きて いる 。 君 の 力 の なれ の 果て だ 。 君 は 逃げ 隠れ して いる ! 醜い ! 汚らわしい !」
リドル の 顔 が 歪んだ 。 それ から 無理やり 、ぞっと する ような 笑顔 を 取りつくろった 。
「そうか 。 母親が 君を 救う ために 死んだ 。 なるほど 。 それは 呪いに 対する 強力な 反対 呪文だ 。 わかった ぞ ――結局 君 自身 に は 特別な もの は 何も ない わけだ 。 実は 何か ある の か と 思っていた んだ 。 ハリー ・ポッター 、何しろ 僕たち に は 不思議に 似た ところ が ある 。 君 も 気づいた だろう 。 二人とも 混血で 、孤児で 、マグルに 育てられた 。 偉大なる スリザリン 様 ご自身 以来 、ホグワーツに 入学した 生徒の 中で 蛇語を 話せるのは 、たった 二人 だけ だろう 。 見た目
も どこか 似ている 。 しかし 、僕 の 手 から 逃れられた の は 、結局 幸運 だった から に 過ぎない の か 。 それ だけ わかれば 十分だ 」
ハリー は 今にも リドル が 杖 を 振り上げる だろう と 、 体 を 固く した 。 しかし 、 リドル の 歪んだ わら 笑い は またもや 広がった 。
「さて 、ハリー 。 すこし 揉んで やろう 。 サラザール ・スリザリン の 継承者 、ヴォルデモート 卿 の 力 と 、有名な ハリー ・ポッター と 、ダンブルドア が くださった 精一杯 の 武器 と を 、お手合わせ 願おう か 」