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ボールルームへようこそ, Ballroom e Youkoso (Welcome to the Ballroom) Episode 17

Ballroom e Youkoso (Welcome to the Ballroom ) Episode 17

( 多々良 ( たたら )) そんな こと 言って る 場合 じゃ ない だろう !

試合 まで 時間 ない んだ よ

( 千夏 ( ち なつ )) どうせ 私 は フォロー が 下手です よ !

( 千夏 ) 男 の あんた より も ね ! ( 多々良 ) あっ …

あっ …

アア … ンッ …

( 雫 ( しずく ) たち ) あっ … ( 多々良 ) ち ー ちゃん 待って よ !

僕 何 だって する から さ

僕 の こと も 少し は 頼って よ きっと うまく …

あんた が 分から ない から ムリ !

ンッ … クッ !

( 戸 の 開く 音 )

( 兵藤 ( ひょう どう )) まったく … お互い の 何 が そんなに 気 に 入ら ない んだ ?

( 多々良 ) えっ ?

( 兵藤 ) 役割 に 信頼 関係 が ない うえ に おのおの 勝手に ダンス に 潔癖 すぎる

ほんの 少し 意識 が 及べば 問題 は 全て 消える のに な

( マリサ ) まさか ケンカ を 理由 に 都民 大会 を 欠場 する と か 言わ ないで よ

私 午後 は 釘宮 ( くぎ みや ) 組 の レッスン が ある から —

あなた たち の ケンカ まで は 面倒 みて あげ られ ない の

ンンッ …

だから この 子 に 頼って いい わ よ

えっ ?

♪〜

〜♪

( 千夏 ) 死に たい !

ンンッ … 恥ずかしい …

みんな の 前 で あんな … クッ …

試合 … 私 の せい で 負けたら どう しよう

多々良 に カップル 解消 さ れちゃ う かも

( 兵藤 ) 入る ぞ 緋山 ( ひ やま ) ( 千夏 ) えっ ?

( 千夏 ) キャ 〜 ッ !

( 千夏 ) オオッ … ウソウソウソ ! イヤだ !

ちょっと ! 兵藤 さん ! ンッ …

( 雫 ) 清春 ( きよ はる )!

( 賀寿 ( が じゅ )) なん や 結局 兵藤 が 引っ張って きた ん かや

( 多々良 ) ンンッ … ( 雫 ) 強引に 連れて きちゃ った の ?

( 兵藤 ) 雫 手伝って くれ

( 雫 ) レッスン ? トレーニング ?

( 兵藤 ) あれ やろう と 思って る ブラインド ダンス

( 雫 ) ああ … いい かも ね

ブラインドダンス ?

( 雫 ) 目 を 閉じて 踊る ダンス の こと だ よ

多分 この 練習 は 千夏 ちゃん の フォロー 力 強化 に 役立つ と 思う な

(2 人 ) えっ …

( 雫 ) 見て て ね

視界 を 封じる こと で 体 の あらゆる 感覚 が 研ぎ澄まさ れ —

男性 の 動き に 応える ため に 全 神経 が 集中 する

ボディーランゲージ が より スムーズに 伝わり —

互い の 快適な 領域 が —

体 に 流れ込んで くる

( 雫 ) 2 人 も やって みて 歩く だけ でも いい から

(2 人 ) ンンッ …

( 千夏 ) ウワッ ! ヤダ ! 急に 引っ張ら ないで よ

( 多々良 ) ご … ごめん ね 脅かす つもり は …

( 雫 ) あっ ゆっくり 歩いて

( 雫 ) 清春 も 何 か 言って あげて よ ( 兵藤 ) フフフッ …

( 多々良 ) ち ー ちゃん “ せ 〜 の ” で いくよ

( 雫 ) 富士田 ( ふ じた ) 君 合図 しちゃ ダメだ から !

( マリサ ) フフフッ …

雫 ちゃん ! ごめんなさい ね すっかり 任せちゃ って

( 雫 ) い … いえ

( 千夏 ) ねえ 帰り たい

( 多々良 ) この レッスン 絶対 今 の 僕ら に 合って ない よ ね

( 雫 ) 富士田 君 ( 多々良 ) ハッ …

( 雫 ) 女の子 を 動かす とき は 骨盤 から

千夏 ちゃん は 目 を つぶって て ね

( 千夏 ) あれ ?

( 鼓動 音 )

( 鼓動 音 )

( 千夏 ) ハッ …

ヤダ …

この先 が 怖い

( 兵藤 ) おおよそ 富士田 に 問題 が あり そうだ な

( 多々良 ) 僕 ?

少し 確認 し たい こと が ある

( 風呂 場 の 水音 ) ( 賀寿 ) ハァ 〜 ッ …

( 賀寿 ) や っぱ 露天 風呂 は いい や いな !

兵藤 も 多々良 も な 〜 に じ ぶ っく れて る ん ?

ケンカ なん ?

踊り 以前 の 問題 だ

( 多々良 ) なんか もう 僕 混乱 して きた よ

兵藤 君 たち の 言って る こと 難しい し …

その あと ち ー ちゃん と やった 妙な テスト だって …

( 雫 ) 今 から 2 人 の 体 内 に 流れて る リズム の 違い を 見せて もらう ね

踊り 慣れた ルーティン でも 実は お互い 全く 違う テンポ を —

イメージ して たって こと よく ある から

( 多々良 ) その テスト は 音 の 届か ない 場所 で カップル 同士 が 目 を 閉じて —

同じ ルーティン を 頭 の 中 で シミュレーション する と いう もの

( 雫 ) 踊り 終えたら 目 を 開けて 挙手 する

やって み せる から 見て て ね

3 2 1…

( 手 を たたく 音 )

( 多々良 ) 兵藤 組 の ワルツバリエーション は 約 2 分

ピタリ と そろった

( 雫 ) じゃ 次 は 富士田 組 の 番 ね

( 千夏 ) ンッ …

( 手 を たたく 音 )

( 多々良 ) 一方 僕ら の ワルツベーシック は 1 分 弱

5 小節 も ズレ ていた

なんか ヘコ んじゃ うよ な

( 雫 ) アッ ! ( 千夏 ) なに ? ここ 足元 滑る !

( マリサ ) あら ら ? 雫 ちゃん ったら おっぱい 大きく なった ?

( 雫 ) 変わって ませ ん !

( 千夏 ) わ あ ! マリサ 先生 の おっぱい すごい !

( マリサ ) ロシア の 血 かしら ね ?

( 多々良 ) お っぱ … ( 賀寿 ) 雫 …

カ 〜 ッ !

( 賀寿 ) なあ そう いや 俺 —

ブラインド ダンス って やった こと ねえ ん さ どんな なん ?

( 兵藤 ) そうだ な …

じゃ それ を 手 に 持った まま 目 を つぶって

この アヒル を 動かす ん き ゃ ?

( 兵藤 ) そう ( 賀寿 ) う 〜 ん …

ンンッ …

( 賀寿 ) いや 涼んで る し !

何 か さ れる か と 思って 怖かった んに !

( 兵藤 ) 昼間 の ブラインド ダンス も 同じだ 富士田

( 多々良 ) えっ ? ( 兵藤 ) 目 を 閉じた 状況 で —

何 を さ れる の か 分から ない って の は わりと 怖い こと だろう ?

まして や 緋山 は ずっと リーダー 役 で —

カップル の 主導 権 を 握って きた んだ

今 まで 信頼 の 置ける リーダー と 組めた ためし が なかった の なら —

意固地に も なる

相手 に 期待 でき なければ —

自分 の ダンス に しがみつく しか なかった んだ

僕 ち ー ちゃん を 怖がら せる つもり なんて …

( マリサ ) その 声 やっぱり 多々良 君 でしょう ?

( 多々良 ・ 賀寿 ) ンッ !

ねえ ず 〜 っと 聞き たかった こと が …

( 千夏 ) ああ 〜 っ ! 先生 やめて ください !

ホント 何でもない ので !

( マリサ ) 千夏 ちゃん の こと どう 思って る の ?

( 多々良 ) ハッ … ( 千夏 ) イヤ 〜 ッ !

真子 ( ま こ ) ちゃんと カップル 組んで た とき は —

仙石 ( せんごく ) 君 の 後ろ に 隠れて モジモジ して た のに

男 は 女 で 変わる の ね

えっ ? 多々良 と 組んで たこ と ある んです か ?

言って なかった ん かい

( 真子 ) はい ( マリサ )2 か月間 だけ ね

非公式 戦 で 遊んで さよなら した の よ ね ?

へ … へえ 多々良 は ちゃんと 踊れて た ?

( 真子 ) はい !

それ は もう … すばらしい リーダー さん でした

ンンッ …

( 賀寿 ) ンンッ ! や っぱ 何 か あった んだ べ な !?

何も ない です !

お前 ( め え ) 大体 真子 の こと どう 思って る ん ?

えっ ? そ … 尊敬 し てるよ

( 賀寿 ) は ぁ !? ( 多々良 ) ダンサー と して だ よ !

だって 天 平 杯 ( てん ぺい は い ) だって 真子 ちゃん の フォロー が なかったら —

踊り きれ なかった だろう し ホント 僕 なんて …

( 兵藤 ) やめろ よ それ ( 多々良 ) えっ ?

富士田 は フォロー に 何 か 期待 し すぎて る だろう

パートナー に 寄り添う ばかりで —

自分 の 意思 を 相手 に 伝えよう と し ない よ な ?

緋山 が 富士田 を 頼れ ない いちばん の 理由 は —

お前 の 踊り を 信じ られ ない から じゃ ない の か ?

( 兵藤 ) 緋山 は —

何 に ついていけば いい んだ ?

お前 は どんな ダンス を 踊り たい んだ よ ?

( ステップ を 踏む 音 )

( 賀寿 ) なあ 多々良 たち どうした ん ?

なんか シャドー 練 ばっ か やって ねえ ?

( 雫 ) 千夏 ちゃん が 昨日 以上 に 富士田 君 を 避けて て …

( 賀寿 ) どうせ ブラインド ダンス なんて やら せた から 悪く なった んだ ん べ

( 雫 ) う 〜 ん … フフフッ …

でも 千夏 ちゃん の あの 態度 って …

おおかた やきもち よ ね

心配だ で …

( 真子 ) ウワッ ! ( 賀寿 ) よっ しゃ ! そんな ら …

( 賀寿 ) 気分 転換 す ん べ !

ほら ! お前 ら ソフトクリーム 食え やい !

お土産 も 買って い きや !

賀寿 が 遊び たかった だけ だろう

多々良 たち も 楽しんで んだ から いい だ ん べ

( 千夏 ) 何 な の ? あんた !

私 と 同じ 物 買わ ないで よ !

わざと じゃ ない よ !

もう いいかげん 怒る の やめて ったら …

ンッ ! もう ! 捨て たい

( 兵藤 ) ケンカ に 発展 した な

( 賀寿 ) き … きっと 腹 が 減って イラ ついて んだ ん べ

( 真子 ) 多々良 さん も パスタ です か ?

( 多々良 ) うん 真子 ちゃん も ? ( 千夏 ) まあ 趣味 が 合い ます こと

リーダー の こと を 何ひとつ 知ら ない 私 なんか と は 大 違い

寂しい わ よ ね 相方 に 心 を 開いて もらえ ない って いう の は

“ 非公式 戦 で 遊ぶ ” と か なに ? それ

相手 に 恵まれて 安全 圏 に いる 人 は やる こと が 違う わ よ ね

( 真子 ) ンッ … ( 多々良 ) それ 以上 言う な よ

ナメ んじゃ ない よ ! 比べて た くせ に !

君 って 本当に ムカ つく !

( 雫 たち ) アア …

( 千夏 ) 帰る ! ( 真子 ) 千夏 さん 待って !

( 賀寿 ) 多々良 マズ い べ 早 ( は ) よう 追っかけ な !

マリサ 先生 は —

僕ら を ケンカ さ せる ため に ここ に 呼んだ の か な ?

は ぁ ? 何 言って る ん ?

( 兵藤 ) 理由 の ひと つ で は ある だろう な

何しろ 富士田 は 女 に 依存 して —

自分 1 人 で は ダンス に 向き合おう と も し ない ようだ から

富士田 は どうせ 雫 に 挑発 さ れた から —

躍起に なって る だけ だろう ?

( 真子 ) 天 平 杯 に は いろいろ いきさつ が あって —

出 ざる を え なく なった と いう か です ね …

( 千夏 ) わざわざ 言葉 選んで 聞か せて くれ なくて も いい から

それ に ケンカ なんて 珍しく ない し

( 真子 ) 羨ま し い です ( 千夏 ) なんだ と ?

( 真子 ) 私 一 度 も 多々良 さん に —

“ ムカ つく ” なんて 言って もらえた こと ないで すし

( 千夏 ) 私 は 言わ れ たく ない んです けど …

( 真子 ) 対等な 関係 って いい で すね

( 千夏 ) ンッ … あの ね 私 たち そんな 楽しい もん じゃ ない よ

協調 し 合え ない んだ よ ね 私 ペア ダンス 向いて ない の かも

リード の アラ と か 気 に なっちゃ うし

( 真子 ) 千夏 さん 上手だ から ( 千夏 ) 慰め ないで くれる ?

でも 正直 ダンス 界 の 男性 上 位 な ところ は ちょっと ね

リーダー の 実力 だけ で —

成り立って る ような カップル を 見かける と ヘコ む もん

( 千夏 ) 私 レギュラー 戦 に は 出 られ ない 立場 だった から —

いつも 横目 で 思って たよ

“ 女 は 不公平だ な ” って

( 真子 ) 分かり ます ( 千夏 ) いや 真子 ちゃん は —

賀寿 さん って いう いい リーダー に 恵まれて る じゃ ん

( 真子 ) だ から かえって つらい って いう か …

ンッ … 千夏 さん は 知って ます よ ね ?

私 が 周り から —

“ ポチパートナー ” って 陰 で 言わ れて る こと

え 〜 っと …

( 真子 ) 大丈夫です 兄 と の 実力 差 は 自覚 して ます から

一 度 完全に 見捨て られた こと も あり ます し

私 自信 を 持て ない せい で 意思 も 示せ ず —

いつの間にか お 兄ちゃん を 孤立 さ せて —

追い込んだ んです

どう なり たい んじゃ !?

( 真子 ) だ けど 多々良 さん と 組んで —

あの 人 は 私 から —

知らず知らず たくさんの もの を 引き出して くれて …

試合 が 終わった とき 私 は 変わって た

( 千夏 ) ンンッ … ( 真子 ) 実際 問題 —

私 と 兄 の カップル バランス は よく ないで すし

いつか は 踊り に ついて いけ なく なって —

ケガ を する かも しれ ませ ん

でも 今 の 日本 を 見渡して も 私 以外 に —

兄 に ふさわしい パートナー が い ない から —

私 が しっかり し ない と

( 真子 ) さあ 戻り ましょう

フフッ …

ンッ …

( 多々良 ) うん … うん

僕 は 大丈夫 おばあ ちゃん に よろしく ね

( 電話 を 切る 音 ) ハァ …

( ノック )

( 雫 ) お 疲れ ( 多々良 ) ヒイッ !

一緒に 練習 し ない ?

( 雫 ) そう いえば 環 ( たまき ) さん が 心配 して たよ

“ 小笠原 ( お が さわら ) の スタジオ 辞めて から 全然 連絡 くれない ” って

( 多々良 ) いや … マリサ 先生 の 教室 に 移って から 余裕 が なくて …

( 雫 ) 富士田 君 は 小笠原 を 離れて 雰囲気 変わった よ ね

庭 で 会った とき —

一瞬 誰 だ か 分から なかった よ

そんなに 変わった かな ?

( 雫 ) 変わった よ すっかり アスリート で カッコイイ

でも なんだか 息苦し そうに 見える よ

( 多々良 ) 何の こと ?

私 が “ 戦い たい ” って 言った から ?

( 遠 雷 )

( 雫 ) 今 の 2 人 を 見て たら 申し訳なく なっちゃ って …

迷惑だったら 忘れて い いよ

待って よ !

( 多々良 ) みっともない けど 言う よ

僕 は 花岡 ( は なお か ) さん たち と 戦い たい なんて 思って ない

自分 の 実力 以上 の まぐれ を 期待 する ほど —

僕 は ダンス を ナメ て ない

ただ 僕 は 君 たち と 同じ フロア で 踊り たい んだ

君 たち の こと が 好きだ から どうしても 印象 に 残り たくて …

アア …

( ステップ を 踏む 音 )

( 釘宮 ) おい 自力 で 立て 重い !

( 多々良 ) 口 は 悪い けど リード は 力強い

ああいう 人 が 競技 会 で 勝ち残る んだろう な

( 雫 ) ねえ

“ 印象 に 残る ” って さっき の 話 だ けど —

富士田 君 って 時々 とんでもない こと 言う よね

( 多々良 ) えっ ?

“ 自分 の 踊り を 他人 の 記憶 に 残す ” と か —

かなり 野心 的だ もん

そんな 大口 を たたいた つもり は …

( 雫 ) 人 を 幸せな 気持ち に さ せたり —

心 を えぐって トラウマ を 植え付けたり

( 雫 ) 衝撃 だ よ ね

見る 者 の 心 に 何 か を 刻んで くる 表現 者 が いる なんて

私 今 でも 富士田 君 の ワルツ 忘れて ない よ

すっかり 私 の 踊り の 一部 に なって る の

数々 の 大好きな ダンサー の すばらしい 踊 り たち と 並んで

私 に とって あなた は 謎

( 多々良 ) 驚いた …

花岡 さん も 今 僕 に とって とんでもない こと を 言った よ

( 多々良 ) 人 に 見て もらえたり —

少し でも 覚えて いて もらえる こと が —

僕 に とって どんなに …

( 多々良 ) 練習 どう する ? 僕 は 必要 ?

( 千夏 ) みんな して 見 ないで よ

ああ … 真子 ちゃん の 前 じゃ 言い訳 する 気 に も なれ ない わ

合わせ ようじゃ ない

( 千夏 ) 試合 前 に ひと つ 言って おく ね

( 多々良 ) うん ?

( 千夏 ) 私 ちゃん と 自覚 ある んだ よ 自分 は やっかいな ヤツ だって

だから もし 私 の せい で 今度 の A 級 戦 優勝 でき なかったら —

遠慮 なく カップル 解消 して かまわ ない

私 から 解放 して あげる わ よ

( 多々良 ) そう 来た か じゃ じゃ 馬 め !

ち ー ちゃん と カップル 解消 だ なんて …

イヤに 決まって る だろう !

( 千夏 ) きっと この先 多々良 以上 に 私 に 向き合って くれる 男 なんて い ない

この 組 は 私 の ラスト チャンス だ !

( 千夏 ) だ から 遅い って 言って ん の よ !

( 多々良 ) ち ー ちゃん こそ 自分 の リズム だけ で 踊ら ないで よ !

( マリサ ) ねえ 清春

合宿 最終 日 に して より 一層 衝突 が 激化 して る みたいだ けど —

まさか あの まま 試合 に 出場 さ せる つもり ?

( 兵藤 ) 前 より マシ に なったろう ( マリサ ) まあ 確かに そう ね

( マリサ ) ぶつかり合い ながら も —

やっと お互いに 同じ 方向 を 向き 始めて きた 感じ かしら

( 釘宮 ) 先生 あの 子 ら 何 です か ?

ケンカ ばっ か で 空気 が 悪い ったら ないで す

( マリサ ) まあまあ 雨降 って 地 固まる って いう じゃ ない

随分 と 気 に かけて る んです ね 富士田 君 の こと

まあ ね 釘宮 君 と 違って まだ 若い から 伸び盛り だ し

( 釘宮 ) まさか 先生 僕 と 富士田 君 が 勝負 に なる と か 思って ます ?

( マリサ ) や ぁね ! 優勝 は どうせ 釘宮 君 な んでしょう ?

でも あの 子 たち …

来る わ よ

( 多々良 ) “ 仙石 さん お 元気です か ?”

“ ダンス の 世界 は 感覚 的 すぎて 戸惑い ます ”

“ 合宿 で は 多く を 教わり ました が —”

“ 教わった とおり に 自分 が 成長 できて いる か 分かり ませ ん ”

“ 僕 は 自分 の ダンス を 語れる ほど —”

“ ダンス を 知ら ない と いう こと を 知り ました ”

“ 惹 ( ひ ) かれ ます ダンス を もっと 知り たい です ”

ハァ …

(2 人 ) フフッ …

♪〜

〜♪

( 多々良 ) 次回 …


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( 多々良 ( たたら )) そんな こと 言って る 場合 じゃ ない だろう ! たたら||||いって||ばあい|||

試合 まで 時間 ない んだ よ しあい||じかん|||

( 千夏 ( ち なつ )) どうせ 私 は フォロー が 下手です よ ! ちか||||わたくし||ふぉろー||へたです|

( 千夏 ) 男 の あんた より も ね ! ( 多々良 ) あっ … ちか|おとこ||||||たたら|

あっ …

アア …  ンッ …

( 雫 ( しずく ) たち ) あっ … ( 多々良 ) ち ー ちゃん 待って よ ! しずく||||たたら||-||まって|

僕 何 だって する から さ ぼく|なん||||

僕 の こと も 少し は 頼って よ きっと うまく … ぼく||||すこし||たよって|||

あんた が 分から ない から ムリ ! ||わから|||むり

ンッ …  クッ !

( 戸 の 開く 音 ) と||あく|おと

( 兵藤 ( ひょう どう )) まったく …  お互い の 何 が そんなに 気 に 入ら ない んだ ? ひょうとう||||おたがい||なん|||き||はいら||

( 多々良 ) えっ ? たたら|

( 兵藤 ) 役割 に 信頼 関係 が ない うえ に おのおの 勝手に ダンス に 潔癖 すぎる ひょうとう|やくわり||しんらい|かんけい||||||かってに|だんす||けっぺき|

ほんの 少し 意識 が 及べば 問題 は 全て 消える のに な |すこし|いしき||およべば|もんだい||すべて|きえる||

( マリサ ) まさか ケンカ を 理由 に 都民 大会 を 欠場 する と か 言わ ないで よ ||けんか||りゆう||とみん|たいかい||けつじょう||||いわ||

私 午後 は 釘宮 ( くぎ みや ) 組 の レッスン が ある から — わたくし|ごご||くぎみや|||くみ||れっすん|||

あなた たち の ケンカ まで は 面倒 みて あげ られ ない の |||けんか|||めんどう|||||

ンンッ …

だから この 子 に 頼って いい わ よ ||こ||たよって|||

えっ ?

♪〜

〜♪

( 千夏 ) 死に たい ! ちか|しに|

ンンッ …  恥ずかしい … |はずかしい

みんな の 前 で あんな …  クッ … ||ぜん|||

試合 … 私 の せい で 負けたら どう しよう しあい|わたくし||||まけたら||

多々良 に カップル 解消 さ れちゃ う かも たたら||かっぷる|かいしょう||||

( 兵藤 ) 入る ぞ 緋山 ( ひ やま ) ( 千夏 ) えっ ? ひょうとう|はいる||ひやま|||ちか|

( 千夏 ) キャ 〜 ッ ! ちか||

( 千夏 ) オオッ … ウソウソウソ !  イヤだ ! ちか|||いやだ

ちょっと !  兵藤 さん !  ンッ … |ひょうとう||

( 雫 ) 清春 ( きよ はる )! しずく|きよはる||

( 賀寿 ( が じゅ )) なん や 結局 兵藤 が 引っ張って きた ん かや がひさし|||||けっきょく|ひょうとう||ひっぱって|||

( 多々良 ) ンンッ … ( 雫 ) 強引に 連れて きちゃ った の ? たたら||しずく|ごういんに|つれて|||

( 兵藤 ) 雫   手伝って くれ ひょうとう|しずく|てつだって|

( 雫 ) レッスン ?  トレーニング ? しずく|れっすん|とれーにんぐ

( 兵藤 ) あれ やろう と 思って る ブラインド ダンス ひょうとう||||おもって||ぶらいんど|だんす

( 雫 ) ああ …  いい かも ね しずく||||

ブラインドダンス ? ぶらいんど だんす

( 雫 ) 目 を 閉じて 踊る ダンス の こと だ よ しずく|め||とじて|おどる|だんす||||

多分 この 練習 は 千夏 ちゃん の フォロー 力 強化 に 役立つ と 思う な たぶん||れんしゅう||ちか|||ふぉろー|ちから|きょうか||やくだつ||おもう|

(2 人 ) えっ … じん|

( 雫 ) 見て て ね しずく|みて||

視界 を 封じる こと で 体 の あらゆる 感覚 が 研ぎ澄まさ れ — しかい||ふうじる|||からだ|||かんかく||とぎすまさ|

男性 の 動き に 応える ため に 全 神経 が 集中 する だんせい||うごき||こたえる|||ぜん|しんけい||しゅうちゅう|

ボディーランゲージ が より スムーズに 伝わり — |||すむーずに|つたわり

互い の 快適な 領域 が — たがい||かいてきな|りょういき|

体 に 流れ込んで くる からだ||ながれこんで|

( 雫 ) 2 人 も やって みて 歩く だけ でも いい から しずく|じん||||あるく||||

(2 人 ) ンンッ … じん|

( 千夏 ) ウワッ ! ヤダ !  急に 引っ張ら ないで よ ちか|||きゅうに|ひっぱら||

( 多々良 ) ご … ごめん ね   脅かす つもり は … たたら||||おびやかす||

( 雫 ) あっ ゆっくり 歩いて しずく|||あるいて

( 雫 ) 清春 も 何 か 言って あげて よ ( 兵藤 ) フフフッ … しずく|きよはる||なん||いって|||ひょうとう|

( 多々良 ) ち ー ちゃん “ せ 〜 の ” で いくよ たたら||-|||||

( 雫 ) 富士田 ( ふ じた ) 君   合図 しちゃ ダメだ から ! しずく|ふじた|||きみ|あいず||だめだ|

( マリサ ) フフフッ …

雫 ちゃん !  ごめんなさい ね すっかり 任せちゃ って しずく|||||まかせちゃ|

( 雫 ) い … いえ しずく||

( 千夏 ) ねえ 帰り たい ちか||かえり|

( 多々良 ) この レッスン 絶対 今 の 僕ら に 合って ない よ ね たたら||れっすん|ぜったい|いま||ぼくら||あって|||

( 雫 ) 富士田 君 ( 多々良 ) ハッ … しずく|ふじた|きみ|たたら|

( 雫 ) 女の子 を 動かす とき は 骨盤 から しずく|おんなのこ||うごかす|||こつばん|

千夏 ちゃん は 目 を つぶって て ね ちか|||め||||

( 千夏 ) あれ ? ちか|

( 鼓動 音 ) こどう|おと

( 鼓動 音 ) こどう|おと

( 千夏 ) ハッ … ちか|

ヤダ …

この先 が 怖い このさき||こわい

( 兵藤 ) おおよそ 富士田 に 問題 が あり そうだ な ひょうとう||ふじた||もんだい|||そう だ|

( 多々良 ) 僕 ? たたら|ぼく

少し 確認 し たい こと が ある すこし|かくにん|||||

( 風呂 場 の 水音 ) ( 賀寿 ) ハァ 〜 ッ … ふろ|じょう||みずおと|がひさし||

( 賀寿 ) や っぱ 露天 風呂 は いい や いな ! がひさし|||ろてん|ふろ||||

兵藤 も 多々良 も な 〜 に じ ぶ っく れて る ん ? ひょうとう||たたら|||||||||

ケンカ なん ? けんか|

踊り 以前 の 問題 だ おどり|いぜん||もんだい|

( 多々良 ) なんか もう 僕 混乱 して きた よ たたら|||ぼく|こんらん|||

兵藤 君 たち の 言って る こと 難しい し … ひょうとう|きみ|||いって|||むずかしい|

その あと ち ー ちゃん と やった 妙な テスト だって … |||-||||みょうな|てすと|

( 雫 ) 今 から 2 人 の 体 内 に 流れて る リズム の 違い を 見せて もらう ね しずく|いま||じん||からだ|うち||ながれて||りずむ||ちがい||みせて||

踊り 慣れた ルーティン でも 実は お互い 全く 違う テンポ を — おどり|なれた|||じつは|おたがい|まったく|ちがう|てんぽ|

イメージ して たって こと よく ある から いめーじ||||||

( 多々良 ) その テスト は 音 の 届か ない 場所 で カップル 同士 が 目 を 閉じて — たたら||てすと||おと||とどか||ばしょ||かっぷる|どうし||め||とじて

同じ ルーティン を 頭 の 中 で シミュレーション する と いう もの おなじ|||あたま||なか||しみゅれーしょん||||

( 雫 ) 踊り 終えたら 目 を 開けて 挙手 する しずく|おどり|おえたら|め||あけて|きょしゅ|

やって み せる から 見て て ね ||||みて||

3 2 1…

( 手 を たたく 音 ) て|||おと

( 多々良 ) 兵藤 組 の ワルツバリエーション は 約 2 分 たたら|ひょうとう|くみ||||やく|ぶん

ピタリ と そろった ぴたり||

( 雫 ) じゃ 次 は 富士田 組 の 番 ね しずく||つぎ||ふじた|くみ||ばん|

( 千夏 ) ンッ … ちか|

( 手 を たたく 音 ) て|||おと

( 多々良 ) 一方 僕ら の ワルツベーシック は 1 分 弱 たたら|いっぽう|ぼくら||||ぶん|じゃく

5 小節 も ズレ ていた しょうせつ||ずれ|

なんか ヘコ んじゃ うよ な

( 雫 ) アッ ! ( 千夏 ) なに ?  ここ   足元 滑る ! しずく||ちか|||あしもと|すべる

( マリサ ) あら ら ?  雫 ちゃん ったら おっぱい 大きく なった ? |||しずく||||おおきく|

( 雫 ) 変わって ませ ん ! しずく|かわって||

( 千夏 ) わ あ ! マリサ 先生 の おっぱい すごい ! ちか||||せんせい|||

( マリサ ) ロシア の 血 かしら ね ? |ろしあ||ち||

( 多々良 ) お っぱ … ( 賀寿 ) 雫 … たたら|||がひさし|しずく

カ 〜 ッ !

( 賀寿 ) なあ   そう いや 俺 — がひさし||||おれ

ブラインド ダンス って やった こと ねえ ん さ   どんな なん ? ぶらいんど|だんす||||||||

( 兵藤 ) そうだ な … ひょうとう|そう だ|

じゃ それ を 手 に 持った まま 目 を つぶって |||て||もった||め||

この アヒル を 動かす ん き ゃ ? |あひる||うごかす|||

( 兵藤 ) そう ( 賀寿 ) う 〜 ん … ひょうとう||がひさし||

ンンッ …

( 賀寿 ) いや 涼んで る し ! がひさし||すずんで||

何 か さ れる か と 思って 怖かった んに ! なん||||||おもって|こわかった|

( 兵藤 ) 昼間 の ブラインド ダンス も 同じだ 富士田 ひょうとう|ひるま||ぶらいんど|だんす||おなじだ|ふじた

( 多々良 ) えっ ? ( 兵藤 ) 目 を 閉じた 状況 で — たたら||ひょうとう|め||とじた|じょうきょう|

何 を さ れる の か 分から ない って の は わりと 怖い こと だろう ? なん||||||わから||||||こわい||

まして や 緋山 は ずっと リーダー 役 で — ||ひやま|||りーだー|やく|

カップル の 主導 権 を 握って きた んだ かっぷる||しゅどう|けん||にぎって||

今 まで 信頼 の 置ける リーダー と 組めた ためし が なかった の なら — いま||しんらい||おける|りーだー||くめた|||||

意固地に も なる いこじに||

相手 に 期待 でき なければ — あいて||きたい||

自分 の ダンス に しがみつく しか なかった んだ じぶん||だんす|||||

僕 ち ー ちゃん を 怖がら せる つもり なんて … ぼく||-|||こわがら|||

( マリサ ) その 声 やっぱり 多々良 君 でしょう ? ||こえ||たたら|きみ|

( 多々良 ・ 賀寿 ) ンッ ! たたら|がひさし|

ねえ ず 〜 っと 聞き たかった こと が … |||きき|||

( 千夏 ) ああ 〜 っ ! 先生 やめて ください ! ちか|||せんせい||

ホント 何でもない ので ! ほんと|なんでもない|

( マリサ ) 千夏 ちゃん の こと どう 思って る の ? |ちか|||||おもって||

( 多々良 ) ハッ … ( 千夏 ) イヤ 〜 ッ ! たたら||ちか|いや|

真子 ( ま こ ) ちゃんと カップル 組んで た とき は — まさこ||||かっぷる|くんで|||

仙石 ( せんごく ) 君 の 後ろ に 隠れて モジモジ して た のに せんごく||きみ||うしろ||かくれて|もじもじ|||

男 は 女 で 変わる の ね おとこ||おんな||かわる||

えっ ?  多々良 と 組んで たこ と ある んです か ? |たたら||くんで|||||

言って なかった ん かい いって|||

( 真子 ) はい ( マリサ )2 か月間 だけ ね まさこ|||かげつかん||

非公式 戦 で 遊んで さよなら した の よ ね ? ひこうしき|いくさ||あそんで|||||

へ … へえ 多々良 は ちゃんと 踊れて た ? ||たたら|||おどれて|

( 真子 ) はい ! まさこ|

それ は もう … すばらしい リーダー さん でした ||||りーだー||

ンンッ …

( 賀寿 ) ンンッ ! や っぱ 何 か あった んだ べ な !? がひさし||||なん|||||

何も ない です ! なにも||

お前 ( め え )  大体 真子 の こと どう 思って る ん ? おまえ|||だいたい|まさこ||||おもって||

えっ ?  そ … 尊敬 し てるよ ||そんけい||

( 賀寿 ) は ぁ !? ( 多々良 ) ダンサー と して だ よ ! がひさし|||たたら|だんさー||||

だって 天 平 杯 ( てん ぺい は い ) だって 真子 ちゃん の フォロー が なかったら — |てん|ひら|さかずき||||||まさこ|||ふぉろー||

踊り きれ なかった だろう し ホント 僕 なんて … おどり|||||ほんと|ぼく|

( 兵藤 ) やめろ よ それ ( 多々良 ) えっ ? ひょうとう||||たたら|

富士田 は フォロー に 何 か 期待 し すぎて る だろう ふじた||ふぉろー||なん||きたい||||

パートナー に 寄り添う ばかりで — ぱーとなー||よりそう|

自分 の 意思 を 相手 に 伝えよう と し ない よ な ? じぶん||いし||あいて||つたえよう|||||

緋山 が 富士田 を 頼れ ない いちばん の 理由 は — ひやま||ふじた||たよれ||||りゆう|

お前 の 踊り を 信じ られ ない から じゃ ない の か ? おまえ||おどり||しんじ|||||||

( 兵藤 ) 緋山 は — ひょうとう|ひやま|

何 に ついていけば いい んだ ? なん||||

お前 は どんな ダンス を 踊り たい んだ よ ? おまえ|||だんす||おどり|||

( ステップ を 踏む 音 ) すてっぷ||ふむ|おと

( 賀寿 ) なあ   多々良 たち どうした ん ? がひさし||たたら|||

なんか シャドー 練 ばっ か やって ねえ ? |しゃどー|ね||||

( 雫 ) 千夏 ちゃん が 昨日 以上 に 富士田 君 を 避けて て … しずく|ちか|||きのう|いじょう||ふじた|きみ||さけて|

( 賀寿 ) どうせ ブラインド ダンス なんて やら せた から 悪く なった んだ ん べ がひさし||ぶらいんど|だんす|||||わるく||||

( 雫 ) う 〜 ん …  フフフッ … しずく|||

でも 千夏 ちゃん の あの 態度 って … |ちか||||たいど|

おおかた やきもち よ ね

心配だ で … しんぱいだ|

( 真子 ) ウワッ ! ( 賀寿 ) よっ しゃ !  そんな ら … まさこ||がひさし||||

( 賀寿 ) 気分 転換 す ん べ ! がひさし|きぶん|てんかん|||

ほら ! お前 ら ソフトクリーム 食え やい ! |おまえ|||くえ|

お土産 も 買って い きや ! おみやげ||かって||

賀寿 が 遊び たかった だけ だろう がひさし||あそび|||

多々良 たち も 楽しんで んだ から いい だ ん べ たたら|||たのしんで||||||

( 千夏 ) 何 な の ?  あんた ! ちか|なん|||

私 と 同じ 物 買わ ないで よ ! わたくし||おなじ|ぶつ|かわ||

わざと じゃ ない よ !

もう いいかげん 怒る の やめて ったら … ||いかる|||

ンッ !  もう !  捨て たい ||すて|

( 兵藤 ) ケンカ に 発展 した な ひょうとう|けんか||はってん||

( 賀寿 ) き … きっと 腹 が 減って イラ ついて んだ ん べ がひさし|||はら||へって|||||

( 真子 ) 多々良 さん も パスタ です か ? まさこ|たたら|||ぱすた||

( 多々良 ) うん   真子 ちゃん も ? ( 千夏 ) まあ 趣味 が 合い ます こと たたら||まさこ|||ちか||しゅみ||あい||

リーダー の こと を 何ひとつ 知ら ない 私 なんか と は 大 違い りーだー||||なにひとつ|しら||わたくし||||だい|ちがい

寂しい わ よ ね   相方 に 心 を 開いて もらえ ない って いう の は さびしい||||あいかた||こころ||あいて||||||

“ 非公式 戦 で 遊ぶ ” と か なに ?  それ ひこうしき|いくさ||あそぶ||||

相手 に 恵まれて 安全 圏 に いる 人 は やる こと が 違う わ よ ね あいて||めぐまれて|あんぜん|けん|||じん|||||ちがう|||

( 真子 ) ンッ … ( 多々良 ) それ 以上 言う な よ まさこ||たたら||いじょう|いう||

ナメ んじゃ ない よ ! 比べて た くせ に ! ||||くらべて|||

君 って 本当に ムカ つく ! きみ||ほんとうに||

( 雫 たち ) アア … しずく||

( 千夏 ) 帰る ! ( 真子 ) 千夏 さん   待って ! ちか|かえる|まさこ|ちか||まって

( 賀寿 ) 多々良   マズ い べ 早 ( は ) よう 追っかけ な ! がひさし|たたら||||はや|||おっかけ|

マリサ 先生 は — |せんせい|

僕ら を ケンカ さ せる ため に ここ に 呼んだ の か な ? ぼくら||けんか|||||||よんだ|||

は ぁ ?  何 言って る ん ? ||なん|いって||

( 兵藤 ) 理由 の ひと つ で は ある だろう な ひょうとう|りゆう||||||||

何しろ 富士田 は 女 に 依存 して — なにしろ|ふじた||おんな||いぞん|

自分 1 人 で は ダンス に 向き合おう と も し ない ようだ から じぶん|じん|||だんす||むきあおう||||||

富士田 は どうせ 雫 に 挑発 さ れた から — ふじた|||しずく||ちょうはつ|||

躍起に なって る だけ だろう ? やっきに||||

( 真子 ) 天 平 杯 に は いろいろ いきさつ が あって — まさこ|てん|ひら|さかずき||||||

出 ざる を え なく なった と いう か です ね … だ||||||||||

( 千夏 ) わざわざ 言葉 選んで 聞か せて くれ なくて も いい から ちか||ことば|えらんで|きか||||||

それ に ケンカ なんて 珍しく ない し ||けんか||めずらしく||

( 真子 ) 羨ま し い です ( 千夏 ) なんだ と ? まさこ|うらやま||||ちか||

( 真子 ) 私 一 度 も 多々良 さん に — まさこ|わたくし|ひと|たび||たたら||

“ ムカ つく ” なんて 言って もらえた こと ないで すし |||いって||||

( 千夏 ) 私 は 言わ れ たく ない んです けど … ちか|わたくし||いわ|||||

( 真子 ) 対等な 関係 って いい で すね まさこ|たいとうな|かんけい||||

( 千夏 ) ンッ …  あの ね 私 たち そんな 楽しい もん じゃ ない よ ちか||||わたくし|||たのしい||||

協調 し 合え ない んだ よ ね 私 ペア ダンス 向いて ない の かも きょうちょう||あえ|||||わたくし|ぺあ|だんす|むいて|||

リード の アラ と か 気 に なっちゃ うし |||||き|||

( 真子 ) 千夏 さん 上手だ から ( 千夏 ) 慰め ないで くれる ? まさこ|ちか||じょうずだ||ちか|なぐさめ||

でも 正直 ダンス 界 の 男性 上 位 な ところ は ちょっと ね |しょうじき|だんす|かい||だんせい|うえ|くらい|||||

リーダー の 実力 だけ で — りーだー||じつりょく||

成り立って る ような カップル を 見かける と ヘコ む もん なりたって|||かっぷる||みかける||||

( 千夏 ) 私 レギュラー 戦 に は 出 られ ない 立場 だった から — ちか|わたくし|れぎゅらー|いくさ|||だ|||たちば||

いつも 横目 で 思って たよ |よこめ||おもって|

“ 女 は 不公平だ な ” って おんな||ふこうへいだ||

( 真子 ) 分かり ます ( 千夏 ) いや   真子 ちゃん は — まさこ|わかり||ちか||まさこ||

賀寿 さん って いう いい リーダー に 恵まれて る じゃ ん がひさし|||||りーだー||めぐまれて|||

( 真子 ) だ から かえって つらい って いう か … まさこ|||||||

ンッ … 千夏 さん は 知って ます よ ね ? |ちか|||しって|||

私 が 周り から — わたくし||まわり|

“ ポチパートナー ” って 陰 で 言わ れて る こと ||かげ||いわ|||

え 〜 っと …

( 真子 ) 大丈夫です 兄 と の 実力 差 は 自覚 して ます から まさこ|だいじょうぶです|あに|||じつりょく|さ||じかく|||

一 度 完全に 見捨て られた こと も あり ます し ひと|たび|かんぜんに|みすて||||||

私 自信 を 持て ない せい で 意思 も 示せ ず — わたくし|じしん||もて||||いし||しめせ|

いつの間にか お 兄ちゃん を 孤立 さ せて — いつのまにか||にいちゃん||こりつ||

追い込んだ んです おいこんだ|

どう なり たい んじゃ !?

( 真子 ) だ けど 多々良 さん と 組んで — まさこ|||たたら|||くんで

あの 人 は 私 から — |じん||わたくし|

知らず知らず たくさんの もの を 引き出して くれて … しらずしらず||||ひきだして|

試合 が 終わった とき 私 は 変わって た しあい||おわった||わたくし||かわって|

( 千夏 ) ンンッ … ( 真子 ) 実際 問題 — ちか||まさこ|じっさい|もんだい

私 と 兄 の カップル バランス は よく ないで すし わたくし||あに||かっぷる|ばらんす||||

いつか は 踊り に ついて いけ なく なって — ||おどり|||||

ケガ を する かも しれ ませ ん けが||||||

でも 今 の 日本 を 見渡して も 私 以外 に — |いま||にっぽん||みわたして||わたくし|いがい|

兄 に ふさわしい パートナー が い ない から — あに|||ぱーとなー||||

私 が しっかり し ない と わたくし|||||

( 真子 ) さあ   戻り ましょう まさこ||もどり|

フフッ …

ンッ …

( 多々良 ) うん …  うん たたら||

僕 は 大丈夫 おばあ ちゃん に よろしく ね ぼく||だいじょうぶ|||||

( 電話 を 切る 音 ) ハァ … でんわ||きる|おと|

( ノック )

( 雫 ) お 疲れ ( 多々良 ) ヒイッ ! しずく||つかれ|たたら|

一緒に 練習 し ない ? いっしょに|れんしゅう||

( 雫 ) そう いえば 環 ( たまき ) さん が 心配 して たよ しずく|||かん||||しんぱい||

“ 小笠原 ( お が さわら ) の スタジオ 辞めて から 全然 連絡 くれない ” って おがさはら|||||すたじお|やめて||ぜんぜん|れんらく||

( 多々良 ) いや …  マリサ 先生 の 教室 に 移って から 余裕 が なくて … たたら|||せんせい||きょうしつ||うつって||よゆう||

( 雫 ) 富士田 君 は 小笠原 を 離れて 雰囲気 変わった よ ね しずく|ふじた|きみ||おがさはら||はなれて|ふんいき|かわった||

庭 で 会った とき — にわ||あった|

一瞬 誰 だ か 分から なかった よ いっしゅん|だれ|||わから||

そんなに 変わった かな ? |かわった|

( 雫 ) 変わった よ すっかり アスリート で カッコイイ しずく|かわった|||||

でも なんだか 息苦し そうに 見える よ ||いきぐるし|そう に|みえる|

( 多々良 ) 何の こと ? たたら|なんの|

私 が “ 戦い たい ” って 言った から ? わたくし||たたかい|||いった|

( 遠 雷 ) とお|かみなり

( 雫 ) 今 の 2 人 を 見て たら 申し訳なく なっちゃ って … しずく|いま||じん||みて||もうしわけなく||

迷惑だったら 忘れて い いよ めいわくだったら|わすれて||

待って よ ! まって|

( 多々良 ) みっともない けど 言う よ たたら|||いう|

僕 は 花岡 ( は なお か ) さん たち と 戦い たい なんて 思って ない ぼく||はなおか|||||||たたかい|||おもって|

自分 の 実力 以上 の まぐれ を 期待 する ほど — じぶん||じつりょく|いじょう||||きたい||

僕 は ダンス を ナメ て ない ぼく||だんす||||

ただ 僕 は 君 たち と 同じ フロア で 踊り たい んだ |ぼく||きみ|||おなじ|ふろあ||おどり||

君 たち の こと が 好きだ から どうしても 印象 に 残り たくて … きみ|||||すきだ|||いんしょう||のこり|

アア …

( ステップ を 踏む 音 ) すてっぷ||ふむ|おと

( 釘宮 ) おい 自力 で 立て   重い ! くぎみや||じりき||たて|おもい

( 多々良 ) 口 は 悪い けど リード は 力強い たたら|くち||わるい||||ちからづよい

ああいう 人 が 競技 会 で 勝ち残る んだろう な |じん||きょうぎ|かい||かちのこる||

( 雫 ) ねえ しずく|

“ 印象 に 残る ” って さっき の 話 だ けど — いんしょう||のこる||||はなし||

富士田 君 って 時々 とんでもない こと 言う よね ふじた|きみ||ときどき|||いう|

( 多々良 ) えっ ? たたら|

“ 自分 の 踊り を 他人 の 記憶 に 残す ” と か — じぶん||おどり||たにん||きおく||のこす||

かなり 野心 的だ もん |やしん|てきだ|

そんな 大口 を たたいた つもり は … |おおぐち||||

( 雫 ) 人 を 幸せな 気持ち に さ せたり — しずく|じん||しあわせな|きもち|||

心 を えぐって トラウマ を 植え付けたり こころ|||||うえつけたり

( 雫 ) 衝撃 だ よ ね しずく|しょうげき|||

見る 者 の 心 に 何 か を 刻んで くる 表現 者 が いる なんて みる|もの||こころ||なん|||きざんで||ひょうげん|もの|||

私 今 でも 富士田 君 の ワルツ 忘れて ない よ わたくし|いま||ふじた|きみ||わるつ|わすれて||

すっかり 私 の 踊り の 一部 に なって る の |わたくし||おどり||いちぶ||||

数々 の 大好きな ダンサー の すばらしい 踊 り たち と 並んで かずかず||だいすきな|だんさー|||おどり||||ならんで

私 に とって あなた は 謎 わたくし|||||なぞ

( 多々良 ) 驚いた … たたら|おどろいた

花岡 さん も 今 僕 に とって とんでもない こと を 言った よ はなおか|||いま|ぼく||||||いった|

( 多々良 ) 人 に 見て もらえたり — たたら|じん||みて|

少し でも 覚えて いて もらえる こと が — すこし||おぼえて||||

僕 に とって どんなに … ぼく|||

( 多々良 ) 練習 どう する ?  僕 は 必要 ? たたら|れんしゅう|||ぼく||ひつよう

( 千夏 ) みんな して 見 ないで よ ちか|||み||

ああ …  真子 ちゃん の 前 じゃ 言い訳 する 気 に も なれ ない わ |まさこ|||ぜん||いいわけ||き|||||

合わせ ようじゃ ない あわせ||

( 千夏 ) 試合 前 に ひと つ 言って おく ね ちか|しあい|ぜん||||いって||

( 多々良 ) うん ? たたら|

( 千夏 ) 私 ちゃん と 自覚 ある んだ よ 自分 は やっかいな ヤツ だって ちか|わたくし|||じかく||||じぶん|||やつ|

だから もし 私 の せい で 今度 の A 級 戦 優勝 でき なかったら — ||わたくし||||こんど||a|きゅう|いくさ|ゆうしょう||

遠慮 なく カップル 解消 して かまわ ない えんりょ||かっぷる|かいしょう|||

私 から 解放 して あげる わ よ わたくし||かいほう||||

( 多々良 ) そう 来た か じゃ じゃ 馬 め ! たたら||きた||||うま|

ち ー ちゃん と カップル 解消 だ なんて … |-|||かっぷる|かいしょう||

イヤに 決まって る だろう ! いやに|きまって||

( 千夏 ) きっと この先 多々良 以上 に 私 に 向き合って くれる 男 なんて い ない ちか||このさき|たたら|いじょう||わたくし||むきあって||おとこ|||

この 組 は 私 の ラスト チャンス だ ! |くみ||わたくし||らすと|ちゃんす|

( 千夏 ) だ から 遅い って 言って ん の よ ! ちか|||おそい||いって|||

( 多々良 ) ち ー ちゃん こそ 自分 の リズム だけ で 踊ら ないで よ ! たたら||-|||じぶん||りずむ|||おどら||

( マリサ ) ねえ 清春 ||きよはる

合宿 最終 日 に して より 一層 衝突 が 激化 して る みたいだ けど — がっしゅく|さいしゅう|ひ||||いっそう|しょうとつ||げきか||||

まさか あの まま 試合 に 出場 さ せる つもり ? |||しあい||しゅつじょう|||

( 兵藤 ) 前 より マシ に なったろう ( マリサ ) まあ 確かに そう ね ひょうとう|ぜん|||||||たしかに||

( マリサ ) ぶつかり合い ながら も — |ぶつかりあい||

やっと お互いに 同じ 方向 を 向き 始めて きた 感じ かしら |おたがいに|おなじ|ほうこう||むき|はじめて||かんじ|

( 釘宮 ) 先生   あの 子 ら 何 です か ? くぎみや|せんせい||こ||なん||

ケンカ ばっ か で 空気 が 悪い ったら ないで す けんか||||くうき||わるい|||

( マリサ ) まあまあ 雨降 って 地 固まる って いう じゃ ない ||あめふらし||ち|かたまる||||

随分 と 気 に かけて る んです ね 富士田 君 の こと ずいぶん||き||||||ふじた|きみ||

まあ ね   釘宮 君 と 違って まだ 若い から 伸び盛り だ し ||くぎみや|きみ||ちがって||わかい||のびざかり||

( 釘宮 ) まさか 先生 僕 と 富士田 君 が 勝負 に なる と か 思って ます ? くぎみや||せんせい|ぼく||ふじた|きみ||しょうぶ|||||おもって|

( マリサ ) や ぁね !  優勝 は どうせ 釘宮 君 な んでしょう ? |||ゆうしょう|||くぎみや|きみ||

でも あの 子 たち … ||こ|

来る わ よ くる||

( 多々良 ) “ 仙石 さん   お 元気です か ?” たたら|せんごく|||げんきです|

“ ダンス の 世界 は 感覚 的 すぎて 戸惑い ます ” だんす||せかい||かんかく|てき||とまどい|

“ 合宿 で は 多く を 教わり ました が —” がっしゅく|||おおく||おそわり||

“ 教わった とおり に 自分 が 成長 できて いる か 分かり ませ ん ” おそわった|||じぶん||せいちょう||||わかり||

“ 僕 は 自分 の ダンス を 語れる ほど —” ぼく||じぶん||だんす||かたれる|

“ ダンス を 知ら ない と いう こと を 知り ました ” だんす||しら||||||しり|

“ 惹 ( ひ ) かれ ます ダンス を もっと 知り たい です ” じゃく||||だんす|||しり||

ハァ …

(2 人 ) フフッ … じん|

♪〜

〜♪

( 多々良 ) 次回 … たたら|じかい