Hyouka Episode 1
(折木 奉太郎 (おれきほうたろう ))高校 生活 と いえ ば バラ 色 バラ 色 と いえ ば 高校 生活
そう 言わ れる の が 当たり前 な くらい
高校 生活 は いつも バラ 色 の 扱い だ よ な
さりとて ―
すべて の 高校生 が バラ色 を 望んで いる わけ で は ない と
俺 は 思う ん だ が
例えば 勉学 に も スポーツ に も ―
色恋 沙汰 に も 興味 を 示さ ない 人間 と いう の も ―
いる ん じゃ ない の か ?
いわゆる 灰色 を 好む 生徒 と いう の も いる ん じゃ ない の か ?
(奉太郎 )まっ それ って ずいぶん 寂しい 生き方 だ と は 思う が な
(福部 里志 (ふくべ さとし ))奉太郎 に 自虐 趣味 が あった と は 知らなかった ね
(奉太郎 )自虐 趣味 ?
勉強 に も スポーツ に も 色恋沙汰 に も 後ろ向き
常に 灰色 の 人間 それ って 奉 太郎 の こと だ ろ ?
( 奉太郎 ) 別に 後ろ向き な わけ じゃない
奉 太郎 的 に は ね
省エネ な ん だ よ ね 奉 太郎 は
(奉 太郎 )フン
ただ 単に 面倒 で ―
浪費 と しか 思えない こと に は 興味 が 持てない
その モットー は すなわち …
やらなくて も いい こと なら やらない
やらなければ いけない こと なら 手短に
(里志 )…だ ね でも ね 奉太郎
この 多彩 な 部活動 の 殿堂 神山 ( かみ やま ) 高校 で ―
部活 に も 入ってない 奉太郎 は ―
結果 だけ みれば 灰色 そのもの って こと だ よ
その 奉太郎 が 寂しい 生き方 だ なんて
自虐 趣味 以外 の なにものでもない
口 の 減らない やつ だ な
何を いまさら 中学 から の つきあい だろ
フン まあ いい 先 に 帰れ
先 に ? どういう こと
あっ それ は !
まさか そんな ! 入部 届け ?
奉 太郎 が 部活 に !
しかも 古典 部 ?
(奉太郎 )知ってる か ?(里志 )もちろん さ
(里志 )だ けど なん だって 奉 太郎 が 古典 ?
あっ これ は …
奉 太郎 の お 姉さん から の 手紙 だ ね
(奉 太郎 )インド から 送って き た ベナレス だ か どこ か だ か
どれ ?
これ は 困った ね お 姉さん の 頼み か
(奉 太郎 )部員 が いなくて 廃部 寸前 らしい 存続 の ため に 入部 しろ だ と さ
お 姉さん の 特技 は たしか …
(奉 太郎 )合気道 と 逮捕 術 痛く し よう と 思えば かなり 痛い
ハハハッ これ は 断れ ない
(奉太郎 )まあ 特に やりたい こと が ない の は 姉貴 が 書いた とおり なんだ が
(里志 )部員 が いない んだ よね (奉太郎 )ああ
だったら 古典 部 の 部室 は 独り占め じゃ ない か
学校 の 中 に ―
プライベート スペース が 持てる って の も ―
結構 いい もの だ よ
プライベート スペース ?
( 女子 バスケ 部 主将 ) 神 高 !
( 奉 太郎 ) エネルギー 消費 の 大きい 生き 方 に 敬礼
よく 勘違いされる の だ が ―
俺 は 特に 省エネ が 優れている と 思っている わけ で は ない
活力 ある 連中 を 小バカ に など してはいない の だ
自分 の モットー に 忠実 な だけ
やらなくて も いい こと なら やらない
やらなければ いけない こと なら 手短 に だ
( 女生徒 1 ) ほら これ ( 女生徒 2 ) おお
(奉太郎 )特別 棟 の 4階…最果てだな
( 千 反 田 ( ち た ん だ ) える ) ウフッ
えっ
♪~
~♪
( える ) こんにちは
あなた って 古典 部 だった ん です か ?
折木 さん
誰 だ ?
分かりません か ?
千反田 です 千反田 える です
すまん 全然 分からない んだ が
折木 奉太郎 さん です よね 1年B組の
ああ
私 1 年 A 組 な ん です
あの な それ じゃあ 説明 に なって な …
( 奉 太郎 ) A 組 … 選択 科目 か ?
もし かして 音楽 の 授業 で 一緒 だった か ?
はい
( 奉太郎 ) まだ 1 回 しか やって ない 授業 だ ぞ どんな 記憶力 だ
( 奉 太郎 ) ああ … それ で 千 反 田 さん なぜ この 部屋 に ?
はい
私 古典 部 に 入った ので ごあいさつ に 伺った ん です
( える ) 私 古典 部 に 入った ので 私 古典 部 に 入った ので …
古典 部 に … なんで また
一身 上 の 都合 が あり まし て
折 木 さん は ?
いや 部員 が いる なら 大いに 結構
( 奉 太郎 ) 姉 貴 喜べ 古典 部 は めでたく 存続 し た ぞ
( 奉 太郎 ) じゃ 俺 は これ で
( える ) もう お 帰り です か ?
( 奉 太郎 ) ああ 頑張れ よ
( 奉 太郎 ) あと 戸締まり も 頼む ( える ) えっ ?
( 奉 太郎 ) ん っ ? ( える ) 私 戸締まり でき ませ ん
なんで
鍵 を 持って ませ ん から
ああ
はい
どうして 折 木 さん が それ を 持って る ん です か ?
( 奉 太郎 ) どうして って
鍵 が なけ れ ば ロック さ れ た 教室 に は 入れ ない だ ろ う
そう いや お前 … ああ 失礼
千 反 田 さん は なんで この 部屋 に 入れ た ん だ ?
( える ) 鍵 が かかって なかった から です
( 奉 太郎 ) 俺 が 来 た とき は 閉まって た けど … あっ
( える ) はっ
閉まって た って その ドア が です か ?
そう だ が
… と いう こと は
私 は 閉じ込め られ て い た って こと です ね
お前 が 鍵 を かけ た ん だ ろ う 内側 から
そんな こと は し て い ませ ん
だが 鍵 は 俺 が 持って る お前 以外 に 誰 が ロック できる ん だ
ところで そちら は お 友達 です か ?
えっ ? うん …
( 奉 太郎 ) 里志 ( 里志 ) え ?
( 里志 ) いや あ ごめん ごめん
盗み聞き の つもり は なかった ん だ けど
つもり じゃ ない だ ろ
( 里志 ) そう は 言って も さ
木 石 の ごとき 奉 太郎 が 夕暮れ せまる 教室 の 窓際 で ―
女の子 と 二 人 って の が 下 から 見え ちゃ ったら ―
気 に なる の が 当然 って もん だ よ
放課後 の 逢 瀬 ( お う せ ) を 邪魔 する 気 は なかった し ―
出歯亀 ( でばがめ ) なんて 未経験 で …
あ の っ あの 私 …
本気 で 言って る の か ?
まさか ジョーク だ よ
そう です か
すま ん な こいつ は こういう やつ な ん だ
“ ジョーク は 即興 に 限る 禍根 ( かこん ) を 残せ ば ウソ に なる ” って ね
これ 僕 の モットー
は あ … 折 木 さん こちら は ?
( 奉太郎 ) こいつ は 福部 里志 え せ 粋人 だ
( 里志 ) うん
え せ ?
ウマ い ! ナイス な 紹介 だ よ 奉 太郎
はじめ まして えっ と …
千反田 える です
ち … 千 反 田 さん ?
千 反 田 さん って あの 千 反 田 さん です か ?
どうか し た の か ?
奉 太郎 千 反 田 家 の 名前 を 聞い た こと が ない の かい
神山 市 に 旧家 名家 は 少なく ない けど ―
桁 上がり の 四 名家 と いえ ば その 筋 じゃ 有名 だ よ
荒 楠 ( あれ くす ) 神社 の 十文字 ( じゅうもんじ ) 家 書 肆 ( しょ し ) 百日紅 ( さるすべり ) 家 豪農 千反田 家 山 持ち の 万 人 橋 ( まん に ん ば し ) 家 さ
数字 が 一 桁 ずつ 上がって いく から 人 呼 ん で “ 桁 上がり の 四 名家 ”
本当 か ?
名家 か どう か は 知り ませ ん が そういう 言い 方 は 初めて 聞き まし た
作った な
たまに は 提唱 者 に なり たい とき も ある さ
でも ホント に 桁 上がり です ね
関心 する な よ つけあがる から
しかも その 千 反 田 家 の 長女 は ―
成績 優秀 眉目秀麗 深窓 の 佳人 と して 知ら れ て いる ん だ
中学 時代 県 内 模試 の 成績 優秀 者 で よく 名前 を 見かけ た よ
ほほ う そんなに
たまたま です 試験 なんて ただ の 要領 です し
( 里志 ) これ は 失礼
ところで 話 は 聞か せ て もらった よ 実に 興味深い ね
( 奉 太郎 ) 何 が だ
( 里志 ) 千 反 田 さん が この 部屋 に 閉じ込め られ て い た こと さ
あっ そう で し た
私 が 来 た とき この 部屋 の 鍵 は 開 い て い まし た
でも あと から 来 た 折 木 さん は 鍵 は 閉まって た と 言って ます
不思議 です
どこ が だ
自分 で 閉め た こと を 忘れ た ん だ ろ う
いや 神 高 の ドア は 中 も 外 も ―
鍵 で しか ロック でき ない よう に なって いる ん だ
千 反 田 さん が 中 から 鍵 を かける こと は ―
不可能 って こと だ よ
これ は !
( 奉 太郎 ) 相変わらず ムダ に 博識 だ な
データベース と 言って ほしい ね
( 奉 太郎 ) フン
まあ 鍵 の こと は 何 か の 間違い だ ろ う
俺 は 帰る ぞ
( える ) 待って ください 折 木 さん ( 奉 太郎 ) 何 だ ?
気 に なり ます
私 なぜ 閉じ込め られ た ん でしょ う
もし 閉じ込め られ た ので なければ ―
どうして この 教室 に 入る こと が でき た ん でしょ う
仮に 何 か の 間違い だ と 言う ん なら 誰 の どういう 間違い でしょう か ?
ぜひ 折 木 さん も 考え て ください
折 木 さん
私 気 に なり ます
な っ
ああ そう だ な 面白い
少し 考え て みる か
あ あっ !
ありがとう ござい ます
折 木 さん 心当たり が ある ん です か ?
千 反 田 さん ちょっと 待って あげて
僕 は 単なる データベース だ から 結論 を 出せ ない けど ―
奉 太郎 は 違う
いったん 考え だせ ば それなり に あて に は なる よ
ハア やかましい
さて …
この 部屋 に 入った の は いつ だ ?
( える ) 折 木 さん が 来る 3 分 前 だ と 思い ます
( 奉 太郎 ) ほか に 何 か 気付 い た こと は ?
そう いえ ば ―
さっき から 足元 で ガタゴト 音 が し て ます
( 里志 ) えっ ? 僕 に は 聞こえ ない けど
( える ) 聞こえ ます よ ほら
( 里志 ) 千 反 田 さん 耳 いい ね
ふむ …
( 里志 ) 何 か 分かった の ? 奉 太郎
( 奉 太郎 ) まあ な
ちょうど 下 の 階 で 再現 さ れ てる だ ろ う
( 校務員 ) よい しょ っと
よっ と
よっ
よっ と さ て
よっ
( 里志 ) は は あ
あの 作業 の あいだ に 千 反 田 さん は 地学 準備 室 に 入って ―
運 悪く 鍵 を 閉め られ た って こと だ ね
貸出 し 用 の 鍵 は 俺 が 持って る
あと は マスター キー だけ だ が これ は 生徒 が 使え ない
だから 校 務 員 さん だ と …
でも よく 気付き まし た ね
う っ 別に …
まあ 室 内 に い ながら ―
どうして 千 反 田 さん が ロック の 音 に 気付か なかった の か
… って の だけ は 俺 に も 分から ん が ね
ああ それ でし たら
あの 建物 を 見て い た ん です
( 里志 ) 古い ね ( える ) ええ
そう な の か ?
ああ ずば抜け て
( 奉 太郎 ) ふう ん
( える ) ところ で あいさつ が まだ で し た ね
( 奉 太郎 ) あいさつ ?
( える ) ええ これ から 古典 部 で 一緒 に 活動 し て いく ん です から
一緒 に ?
( える ) 福部 さん も どう です か ? 古典 部
いい ね 今日 は 面白かった し
総務 委員 と 手芸 部 の 掛け持ち に なっちゃ う けど …
うん ! 入る よ 奉 太郎 も ね
入部 届け も もう 書 い てる ん だ し
そう なん です か ?
ああ いや それ は だ な
( える ) はい
( 奉 太郎 ) あっ ( える ) はい 確かに
これ から よろしく お 願い し ます ね
こちら こそ
奉 太郎 も よろしく
( 奉 太郎 ) フン
( える ) そうだ
部長 を 決め ない と いけ ませ ん ね どう し ま しょ
( 里志 ) そうだ ねえ
奉 太郎 は その 手 の は 全然 向 い て ない ん だ よ
( 奉 太郎 ) 姉貴 よ 満足 か ?
伝統 ある 古典 部 の 復活
そして さようなら 俺 の 安寧 と 省エネ の 日々
いや まだ 別れ は 言わ ない 俺 は 安寧 を あきらめ ない
省エネ の ため に 全力 を 尽くそう
問題 は …
( える ) 頭脳明せき って 感じ です よ ね
( 奉 太郎 ) この お 嬢 様 だ
( 里志 ) 昨日 の 放課後 の こと だ
1 年生 の 女子 が 特別 棟 の 4 階 に 行った
その とき 音楽 室 から “ 月光 ” の 美しい 旋律 が 聞こえ て き た
校舎 を 染める 真っ赤 な 夕陽 その 麗しい 音色 は …
( 奉 太郎 ) 異議 あり 昨日 は 雨 で 夕 陽 は 見え なかった
( 里志 ) そう じっとり と 降り 続く 雨
そして 迫る 夕闇
肌 に 絡みつく 不 快感 と ノイズ の よう な 雨音
( 奉 太郎 ) いいかげん だ な
( 里志 ) 音色 に 誘わ れ 音楽 室 に 入る と と たんに 音 は 鳴り止 ん だ
ピアノ の ふた は 上がって いる のに ピアニスト は い ない
カーテン が 閉めきら れ て 部屋 は 暗い
そして 彼女 は 見 た
( 女生徒 ) は っ ! あ あっ
( 里志 ) 長い 乱れ 髪 を 顔 に 垂らし 全身 は ぐったり と して 力なく
目 は ランラン と 血走った 女生徒 が ―
傍ら から 彼女 を じっと 見つめ て いる の を
( 女生徒 の 悲鳴 )
( 里志 ) そう この 神山 高校 に は かつて
全国 大会 を 前 に し て 無念 の 事故 死 を 遂げ た ―
ピアノ 部員 が !
( 奉 太郎 ) い た の か ?
あっ さあ
い た かも しれ ない けど 僕 は 知ら ない ね
( 奉 太郎 ) … だ と 思った
( 里志 ) それにしても 意外 だ ねえ 奉 太郎 が 宿題 を 忘れ て 居残り なんて
書 い た さ 昨日 持って くる の を 忘れ た ん だ
おかげ で こうして
同じ 作文 を 書き ながら 与太話 を 聞か さ れ てる
なるほど ね
ちなみに 乱れ 髪 の お化け は 本当 に い た そう だ よ
今日 の 昼 休み
A 組 で は 話題 に なって た みたい だ し ね
あと は この うわさ が どう 広 がって いく か
これ が 重要 な ん だ
神山 高校 に も あった 7 不思議 その 2 って ね
さしあたって は ―
僕 の D 組 に 到達 する まで 何 日 かかる か だ
うん ? ちょっと 待て
今 の 話 いつ どこ で 誰 から 聞い た ん だ
( 里志 ) さっき 部室 で 千 反 田 さん から
7 不思議 その 2 って こと は その 1 も ある ん だ よ な
聞か せ て くれ ない か ?
お 二 人 と も ここ に い た ん です か
書け まし た 福部 さん
ああ お 疲れ 様
ごめん ね 総務 委員 会 と して は ―
こういう 面倒 な 手続き も お 願い し ない と いけ なく て
いいえ 私 も 部長 を 引き受け て い ます から
折 木 さん !
( 奉 太郎 ) いい ところ に 来 た ( える ) えっ ?
今 里志 から 妙 な うわさ を 聞い た ん だ
あっ その こと な ん です 昼 休み に …
( 奉 太郎 ) 秘密 倶楽部 の 勧誘 メモ の 話 な ん だ が
知って た の か ?
秘密 倶楽部 ?
( 奉 太郎 ) 里志 話し て やって くれよ
あっ ? うん
じゃあ お 聞き 願 お う かな 秘密 倶楽部 の 一 席 を
はい
総務 委員 会 で 聞い た 話 な ん だ
なにせ 神山 高校 に は 部活 が 多い
だから 勧誘 ポスター の 数 も 当然 多く なって ―
学校 中 の 掲示板 が ポスター で 埋め尽くさ れる
総務 委員 会 は 無 許可 の ポスター や メモ を 見つけ しだい ―
剥がし て いる ん だ
ところが 毎年 たった 1 枚
どこ の 部活 の もの かも 分から ない 勧誘 メモ が 出る らしい
去年 は ノート の 切れ端 み たい な 紙 に ―
集合 場所 と 日時 が 書 い て あった そう だ よ
どうやら 総務 委員 会 も 把握 し て い ない 秘密 倶楽部 が あって
ひっそり と 募集 を かけ て いる らしい ん だ
活動 目的 も 部員 も 不明 だ けど やつ ら は 実在 する
その 名前 と は …
( える ) その 名前 と は ?
「 女 郎 蜘蛛 ( ぐ も ) の 会 」
女 郎 蜘蛛
総務 委員 長 の 田名部 ( た な べ ) 先輩 は 去年
回収 し た メモ を 頼り に ―
女 郎 蜘蛛 の 会 に 接触 しよ う と し た らしい
でも ウマ く いか なかった
結局 名前 だけ の いたずら メモ だ と 結論 し た そう だ よ
ところが
( える ) ところが ?
( 里志 ) 卒業 式 の 日
ある 卒業 生 が 田名部 先輩 に 言った ん だ
“ 僕 が 女 郎 蜘蛛 の 会 の 会長 だった ”
“ 次期 会長 に も よろしく して やって くれ ”
“ もし 君 が そい つ を 見つけだせ たら の 話 だ が ”
あ あっ
( 里志 ) 今年 も きっと どこ か に 募集 が 出 て いる だ ろ う ね
今 の ところ 発見 に は 至って ない けど
“ 1 枚 だけ の メモ ” “ 女 郎 蜘蛛 の 会 ”
私 気 に なり ます !
( 奉 太郎 ) よし !
( 奉 太郎 ) そう 言う と 思って た
だから いい ところ に 来 た と 言った ん だ
… と 言い ます と ?
もちろん 探す ん だ よ その メモ を
あ あっ はい !
( 里志 ) 掲示板 は 全部 で 30 か所 だ ね
( える ) そんなに … N 全部 探し ます か ?
( 奉 太郎 ) まさか
一 番 あり そう な の は どこ か 考え た ほう が 早い
( える ) なるほど
( 奉 太郎 ) どういう 条件 の 場所 だ と 思う ?
( える ) もし 私 だったら やっぱり できる だけ 目立た ない ―
校舎 の 隅 の 掲示板 に 貼る と 思い ます
( 奉 太郎 ) それ は 違う な ( える ) 違い ます か ?
( 奉 太郎 ) もし 勧誘 メモ が 貼ら れ て いる と する なら それ は …
1 階 昇降口 の 掲示板 だ
( える ) えっ ? 一 番 目立つ ところ じゃ ない です か
( 里志 ) まあまあ 千 反 田 さん 奉 太郎 に は 何 か 考え が ある らしい よ
いや あ 改めて 見る と やっぱり すごい ね 神山 高校
( える ) 本当 です ね
水墨画 部 に 漫画 研究 会
囲碁 部 に バスケ 部 に 陸上 部
掲示板 の 本体 が 見え ませ ん
折 木 さん どう し た ん です か ?
( 奉 太郎 ) いや あふれ出る 活力 に 当てられ て
アハハ ハハッ
省エネ の 奉 太郎 に は 理解 不能 な 世界 だ ろ う ね
それ に ここ は 新入 生 が まず 見る 掲示板 だ
つまり 激戦 区 だ よ
激戦 区 …
あ あっ なるほど これ だけ たくさん 貼って あれ ば ―
無 許可 の 掲示 物 も 目立ち ませ ん ね
( 奉 太郎 ) それ も ある
それ も ? 別 の 理由 が ある ん です か ?
まあ な とにかく 探し て みよ う
はい !
グローバル アクト 部 ディベート 部
百人一首 部 なんて の も ある ん です ね
あっ 占い 研究 会 私 の 友達 が ここ に 入った ん です
へえ
( える ) 箏曲 部 卓球 部 美術 部
う うん
女 郎 蜘蛛 の 会 の メモ は ない よう です ね
どう かな ?
見 た だけ で 分かる よう に なって る か どう か は ―
ちょっと 分から ない ね
( える ) はっ どういう こと です か ?
( 里志 ) 総務 委員 の 目 を 盗む に は ―
何 か 工夫 が ある かも しれ ない な と 思って ね
工夫 … です か
まっ ある なら いずれ 見つかる よ
( 奉 太郎 ) あった ぞ ( える ) えっ
ああ …
あり まし た ね
もっと 人気 ( ひ とけ ) の ない 場所 に 隠す か と 思った のに
それ は 1 年生 の 発想 だ 不慣れ な やつ ほど 奇 を てらう
気 の 利 い た 秘密 倶楽部 なら ―
堂々 と 裏 を かい て くる と に らん だ ん だ
確かに
でも 不思議 です
そう 言わ れる と ある の が 当然 と いう 気 が し て
なぜ か 驚き が あり ませ ん
総務 委員 会 許可 印 なし 仕事 する ね
ハア
さて 俺 は 作文 を 職員 室 に 出し て そのまま 帰る よ
そう だ ね 僕 も 帰 ろ う かな
分かり まし た で は ここ で さよう なら です ね
“ 不慣れ な 人 ほど 奇 を てら う ” 覚え て おき ます ね
“ 不思議 ヲ 以 テ 不思議 ヲ 制 ス ” の 計 お 見事 だった よ
世話 ん なった な
なんだか あいつ が 来 そう な 予感 が し た ん だ
( 里志 ) ふう ん
それ で あんな メモ や 画 びょう を 用意 し た と
まっ 結果 ドンピシャ だった ね
でも 奉 太郎
あそこ まで 手 の 込んだ マネ を し て
ピアノ の 謎 から 話 を そらせ たかった の は なぜ だい ?
なんて 言わ ない よ ね
( 奉 太郎 ) 音楽 室 は 遠い から な
( 里志 ) それ だけ ? ( 奉 太郎 ) それ だけ だ
( 奉 太郎 ) まっすぐ 昇降口 まで 行って ―
そば の 職員 室 に 作文 を 出し て そのまま 帰り たかった
フッ なるほど 分かった
奉 太郎 だ よ やっぱり
私 気 に なり ます !
“ やら なけ れ ば いけない こと なら 手短 に ” だ
( 里志 ) 奉 太郎 それ は よく ない ね
モットー を 披露 する なら 堂々 と 胸 を 張って 言う べき だ
今 の 奉 太郎 は ―
単に 言い訳 を し た よう に しか 聞こえ ない
あっ
不思議 を 不思議 で 迎え撃つ
うん 僕 好み だ いい 変化球 だ よ
だけど ね 奉 太郎 それ は 奉 太郎 好み じゃ ない よ
千 反 田 さん が 来 た とき
どうして 単に 知ら ん と 言わ なかった ん だい
そこ が 今日 の 奉 太郎 の 根本 的 な 間違い だ よ
実際 奉 太郎 は ―
ずっと そうして き た じゃ ない か
そう かも な
“ 不慣れ な やつ ほど 奇 を てら う ”
今日 の 奉 太郎 が まさしく それ だ よ
千 反 田 さん が いる って いう 状況 に ―
まだ 全然 慣れ て ない
だから あんな 回りくどい こと を する の さ
奉 太郎 は 今日
千 反 田 さん を 拒絶 し た つもり かも しれ ない でも ね …
拒絶 し たかった わけ じゃ ない
もちろん そう さ
あれ は 現状 に 対 する ただ の 保留 だ ね
あっ 保留 ?
そう か 保留 か
ヒヒッ
ところで 音楽 室 の 件 は ―
どういう こと だった ん だ と 思う ?
( 奉 太郎 ) ああ …
その お化け と やら は 髪 が 乱れ て 目 が 血走って た ん だ ろ ?
寝起き の よう に
あっ そう か
( 奉 太郎 ) ピアノ 部員 は 眠かった から 寝 て い た
校門 が 閉まる 6 時 前 に 目 が 覚める よう に ―
CD プレーヤー に “ 月光 ” を 入れ て タイマー を セット し て い た
そんな とこ だ ろ う
( 里志 ) なるほど ね 確かに 行け ば 分かる
プレーヤー に 設定 が 残って いる だ ろ う し
音楽 室 は 遠い から な
分かった って
( 里志 ) ただ ね 奉 太郎 ( 奉 太郎 ) ん ?
( 里志 ) 音楽 室 まで 行って た ほう が ―
ゆく ゆく は 省エネ に ―
つながった よう な 気 が する ん だ
今日 の 屈託 は 意外 と 高く つく かも しれ ない
うん ?
おっと !
奉 太郎 今日 の こと 僕 は 貸し に する 気 は ない よ !
じゃ !
( 奉 太郎 ) 保留 … か
( 奉 太郎 ) 次回 「 名誉 ある 古典 部 の 活動 」