Bungou Stray Dogs (LiteraryStrayDogs) Episode 1
一 杯 の 茶漬け
梅干 に 刻み 海苔
それ に 夕 餉 の 残り の 鶏肉
そい つ を 熱い 白 湯 に 浮かべ
塩 昆布 と 一緒 に 掻き込む
旨 かった なあ
孤児院 の 台所 で 人目 を 忍んで 食った 茶漬け は
駄目 だ 腹 減って 死ぬ
僕 の 名前 は 敦
故 あって 餓死 寸前 です
孤児院 を 追い出さ れ 食べる もの も 寝る ところ も なく
勿論 金 も なく
かといって 盗み を 働く 度胸 も なく
こんな 処 まで 来て しまった
しかし …
最 早 生き たけ れ ば 盗む か 奪う しか ない
出ていけ 穀潰し
お前 な どこ の 孤児院 に も 要ら ぬ
どこ ぞ で 野垂れ死に でも し た ほうが 世間 様 の 為 よ
五 月 蝿 い
五 月 蝿 い
五 月 蝿 い
五 月 蝿 い
五 月 蝿 ァー い
野垂れ死に だ と
僕 は 死な ない ぞ 絶対 に
何 と して も 生き延びて やる
よし この 次 に 通りかかった 奴 を 襲って そい つ から 金品 を 奪って やる
流石 に これ は 無理 だ 空腹 じゃ 追いつけ ない
次 っ
1234123412341234…
ト トレーニング 中 の 軍 警 が 財布 を 持ってる と は 思えない
次 だ 次 こそ 絶対 に
今度 こ そ っ
いや …
これ は 流石 に ノー カン でしょ
ノ ノー カン に させて ください
ノ ノー カン に ィー
川 に 流さ れ て まし た けど 大丈夫 です か
助かった か
ち ぇっ
「 ち ぇっ」 ?
今 「ちぇっ」って云ったかこの人
君 かい 私 の 入水 を 邪魔 し た の は
僕 は ただ 助けよ う と し た だけ で
入 水 ?
知ら ん か ね
入 水 自殺 だ よ
じ 自殺 ?
そう 私 は 自殺 を しよ う と して い た の だ
それなのに 君 が 余計 な こと を
僕 なんか 今 怒ら れ てる ?
とはいえ 人 に 迷惑 を かけ ない クリーン な 自殺 が 私 の 信条 だ
だの に 君 に 迷惑 を かけた 時点 で それ は こちら の 落ち度
何 か お 詫び でも …
空腹 な の かい 少年
実は ここ 数 日 何も 食べ て なく て …
奇遇 だ な
実は 私 も だ
それ じゃあ …
ちなみに 財布 は 流さ れ た よう だ
そんな …
こんな 処 に 居った か 唐 変 木
国 木田 君 ご苦労様 ァー
何 が ご苦労様 だ 苦労 は 凡て お前 の 所 為 だ この 自殺 嗜癖
お前 は どれ だけ 俺 の 計画 を 乱せ ば 気 が 済む の だ
あ そうだ
よい こと を 思い つい た
彼 は 私 の 同僚 な の だ 彼 に 奢って もらえ ば いい
人 の 話 を 聞け よ
君 名前 は ?
中島 …敦 です けど
では つい て 来た まえ 敦 君
何 が 食べ たい
あの …でき れば …
な ァ に 遠慮 は 要ら ない よ
茶漬け が 食べ たい です
餓死 寸前 の 少年 が 茶漬け を 所望 か
いい よ 国 木田 君 に 三十 杯 くらい 奢らせよう
俺 の 金 で 太っ腹 に なる な 太宰
太 宰 ?
ああ 私 の 名 だ よ
私 の 名 は 太宰
太 宰 治 だ
全く 貴様 という 奴 は
仕事 中 に 「いい 川 だ ね 」とか 云い ながら いきなり 飛び込む 奴 が ある か
おかげ で 見ろ 予定 が 大幅 に 遅れ て しまった
国 木田 君 は 予定 表 が 好き だ ねえ
これ は 予定 表 で は ない
理想 だ
我が 人生 の 道標 だ
そして これ に は
「仕事 の 相方 が 自殺 嗜癖 」とは 書いていない
$ % # @ & # % * $ @
五 月 蝿 い
出費 計画 の 頁 に も
「俺 の 金 で 小僧 が しこたま 茶漬け を 食う 」とは 書いていない
# * % & @ * $ ?
だから 仕事 だ
& @ % # $ # $ # $ ?
今日 の 仕事 ?軍 関係 の 依頼 だが
なんで 君 達 会話 でき てる の
食った ー
もう 茶漬け は 十 年 は 見たく ない
お前 …
人 の 金 で これ だけ 食って おい て よくも まあ 抜け 抜け と
本当 助かり まし た
孤児院 を 出て 横浜 に 来て から 食べる もの も 寝る ところ も なく
あわや 餓死 する か と
君 施設 の 出 かい
出 という か …
追い出さ れ た ん です
それ は 薄情 な 施設 も あった もの だ ね
おい 太 宰
俺 達 は 恵まれ ぬ 小僧 に 慈悲 を 垂れる 篤志家 じゃ ない
仕事 に 戻る ぞ
そう いえ ば 先刻 軍 関係 の 依頼 と 仰って まし た が
何 の お 仕事 を ?
な ァ に 探偵 だ よ
探偵 ?
探偵 と 云って も ペット 探し や 不貞 調査 で は ない ぞ
異 能 集団 「武装 探偵 社 」と 云え ば 聞い た こと が ある の で は ない か
風 の 噂 で 聞い た こと が あった 「武装 探偵 社 」
曰 く 軍 や 警察 に 頼れ ない 危険 な 仕事 を 専門 に する 探偵 集団
昼 の 世界 と 夜 の 世界 その 間 を 取り仕切る 薄暮 の 武装 集団
何でも 「武装 探偵 社 」の 社員 の 多く が 異能力 を 持つ 者 だ と 聞く が
この 二 人 が そう な の か
あんな 処 に いい 鴨居 が っ
立ち寄った 茶屋 で 首吊り の 算段 を する な
違う よ 首吊り 健康 法 だ よ
何 だ それ は
国 木田 君 知ら ない の 凄く 肩凝り に 効く の に
なに そんな 健康 法 ある …
ほら メモ メモ 早く
首吊り 健康 法 …
嘘 だ けど
こ この 二 人 が 本当 に あの 武装 探偵 社 ?
相棒 は 川 に 流さ れる わ
行き倒れ の 小僧 は 遠慮 も なく 食い まくる わ で
俺 の 完璧 な 予定 が 今や 白紙 同然 だ
今日 の 仕事 だけ は 予定 通り 終わらせる から な
その 今日 の お 仕事 と いう の は
わかった か この 唐 変 木
ああ ァ ?
すいません 余計 な こと 聞い ちゃ い まし た
そ … そそう です よ ね 探偵 社 の 仕事 は 守 秘 義務 と か あります もん ね
今日 の 仕事 は 別に 隠す よう な 類 の もの で は ない
軍 の 依頼 で 虎 探し を し て いる
虎 ?
近頃 街 を 荒らし て いる 噂 の 「人喰い 虎 」だ よ
ま ほんと に 人 を 食った か は 知ら ない が
倉庫 を 荒らし たり 畑 の 作物 を 食ったり 好き 放題 さ
最近 この 辺り で の 目撃 情報 が 多く て ね
どう し た 敦 君
ぼ …ぼ ぼ …ぼ 僕 は こ …これ で 失礼 し ます さ …さようなら
待て 小僧
貴様 何か 知っている な
む …無理 だ
奴 に 人 が 敵 う わけない
貴様 「人喰い 虎 」を 知っている の か
あいつ は 僕 を 狙って る 殺さ れ かけ たん だ
この 辺 に 出た ん なら 早く 逃げない と
小僧
茶漬け 代 は 腕 一 本 か 凡 て 話す か だな
まあまあ 国 木田 君
君 が やる と 情報 収集 が 尋問 に なる
社長 に いつも 注意 さ れ てる だろ
それ で 君 は あの 虎 の 何 を 知ってる
うち の 孤児院 は あの 虎 に ぶっ壊さ れた んです
畑 を 荒らさ れ
鳥小屋 も 壊さ れ
それ に 倉庫 も
死人 こそ 出 なかった けど
貧乏 孤児院 が それ で 立ち行か なく なって 口 減らし に 僕 は 追い出さ れた
出て いけ 穀潰し
どこ ぞ で 野 垂れ 死 ん だ ほう が 世間 様 の 為 よ
何故 です 僕 は 何 も …
穀潰し は この 施設 に は 要らん
いや 天下 の どこ に も お前 の 居場所 など あり は せん
どこ へ でも 行き 朽ち果てる が いい
そりゃ あ 災難 だった ね
それ で 小僧 「殺さ れ かけ た 」と いう の は
あの 「人喰い 虎 」僕 を 追いかける ように
僕 の 行く ところ の 先々 に 現れる ん です
この 間 も 鶴見 の 辺り を 歩い て い た 時 に
虎 だ 虎 が いる ぞ
なに
施設 を 追い出さ れ た 二 週間 前 から 何度 も あいつ の 影 を 見 た
きっと 僕 を 追って 街 まで 降りて きたんだ
その 虎 を 最後 に 見た の は いつ の 話 だい
鶴見 の 辺り で あいつ を 見 た の が 確か 四日 前 です
確かに 虎 の 被害 は 二 週間 前 から こっち に 集中 し て いる な
それ に 四 日 前 に 鶴見 の 辺り で 虎 の 目撃 証言 も ある
敦 君 これ から 暇 ?
なんか 猛烈 に 嫌 な 予感 が する
君 が 「人喰い 虎 」に 狙われている なら 好都合 だ
は ぁ ?
虎 探し を 手伝って くれた まえ
嫌 です よ
国 木田 君 は 社 に 戻って この メモ を 社長 に
おい 二 人 だけ で 捕まえる 気 か
まずは 情報 の 裏 を 取って
いい から
僕 は 嫌 です から ね
それ って つまり 「餌 」って こと じゃ ない です か
誰 が そんな …
報酬 出る よ
報酬 ?
報酬 って
いやいや いや …
そんな もの じゃ 釣られ ませ ん から ね
ち ちなみに 参考 まで に 聞きます が その 報酬 という の は
これ くらい
太 宰 さん
何 を 読んでる ん です か
いい 本
こんな 暗い 中 で よく 読め ます ね
目 は いい から
それ に 内容 は もう 凡て 頭 に 入ってる し
じゃあ なんで 読んでる ん です か
何度 読んで も いい 本 は いい
本当 に 虎 は ここ に 現れる ん でしょ う か
現れる
心配 要ら ない
虎 が 現れ て も 私 の 敵 じゃ ない よ
こう 見え て も 「武装 探偵 社 」の 一隅 だ
凄い 自信 です ね なんか 羨ましい です
僕 なんか 孤児院 でも ずっと 「駄目 な 奴 」って 云われてて
その うえ 今日 の 寝床 も 明日 の 食い 扶持 も 知れ ない 身 で
出ていけ この 穀潰し
天下 の どこ に も お前 の 居場所 など あり は せん
確かに こんな 奴 が どこ で 野垂れ 死んだ って 誰 も 気にしない
いや いっそ 虎 に 食わ れ て 死 ん だ ほう が …
却 説
そろそろ かな
い …今 奥 で 物音 が
そう だ ね
きっと 奴 です よ 太宰 さん
いや 風 で 何 か 落ち た ん だろう
「人喰い虎 」だ 僕 を 食い に 来た ん だ
落ち着き たまえ 敦 君
虎 は あんな 処 から は 来 ない
どうして わかる ん です か
そもそも 変 な の だ よ
経営 が 傾い た からって そんな 理由 で 養護 施設 が 児童 を 追放 する かい
大昔 の 農村 じゃ ない ん だ
いや 第 一 に 経営 が 傾い た の なら
一 人 二 人 追放 し た ところ で どうにも ならない
半分 くらい 減らし て 他所 の 施設 に 移す の が 筋 だ
な 何 を 云ってる んです 太宰 さん
君 が この 街 に 来た の が 二 週間 前
虎 が 街 に 現れた の も 二 週間 前
君 が 鶴見 の 辺り に い た の が 四 日 前
同じ 場所 で 虎 が 目撃 さ れ た の も 四 日 前
国 木田 君 が 云って いた ろう
「武装 探偵 社 」は 異能 を 持つ 輩 の 寄り合い だ と
あまり 知られ て は い ない が この 世 に は 異能 の 力 を 持つ 者 が 少なからず いる
そして その 力 で 成功 する 者 も いれ ば
力 を 制御 でき ず に 身 を 滅ぼす 者 も いる
多分 施設 の 人達 は 虎 の 正体 を 知って い た が
君 に は 教え なかった の だろう
君 だけ が わかって い なかった の だ よ
君 も 異能 の 力 を 持つ 者 だ
現身 に 飢獣 を 降ろす
月下 の 能力 者
こりゃ 凄い
人間 の 首 くらい
簡単 に 圧し 折れる ね
おっと
獣 に 食い 殺さ れる 最期 と いう の も 中々 悪く ない が
君 で は 私 を 殺せ ない
異 能力
「人間 失格 」
私 の 能力 は 凡る 他 の 異能力 を 触れた だけ で 無効化する
男 と 抱き合う 趣味 は ない
おい 太 宰
ああ 遅かった な 国 木田 君
虎 は 捕らえた よ
まさか この 小僧 が …
虎 に 変身 する 能力 者 だ
全く …
何 だ この メモ は
「十五 番 街 の 倉庫 に 虎 が 出る 逃げ られぬ 様 周囲 を かためろ 」
実に 簡潔 で よい メモ だ
要点 が 抜け とる
次 から は 事前 に 説明 しろ
おかげ で 非番 の 奴 ら まで 駆り出す 始末 だ
後 で 皆 に 酒 でも 奢れ
なん だい 怪我人 は な しか
つまんない ねえ
中々 できる ように なった じゃないか 太宰
まあ 僕 に は 遠く 及ば ない けど ね
でも この 人 を どう する ん です
自覚 は なかった わけ でしょ
うん そうだ な
どう する 太 宰
一応 区 の 災害 指定 猛獣 だ ぞ
実は もう 決め て ある
僕 なんか 孤児院 でも ずっと 「駄目 な 奴 」って 云われてて
その うえ 今日 の 寝床 も 明日 の 食い 扶持 も 知れ ない 身 で
確かに こんな 奴 が どこ で 野垂れ 死んだ って 誰 も 気に しない
いや いっそ 虎 に 食わ れ て 死ん だ ほう が …
うち の 社員 に する
なに それ
矢っ張り 莫迦 だ な 太宰 は
何 の 権限 が あって 貴様 は
よし よし よ ー し よ しっ
起きろ 少年
怪奇 ひしめく この 街 を
変人 揃い の 探偵 社
これ より 始まる 怪奇 譚
これ が 先触れ 前 兆し
却 説
あれ
僕 は …
敦 君
変身 中 の 記憶 は 全く なし かい
何 の こと です
でも まだ 右手 に 残って る
右手 ?
なに なに なに
な に これ な に これ な に これ
なん だ なん だ な ん だ ー
中島 敦
これ より 君 は 私 達 の 仲間 に なる
今日 から 君 は 「武装 探偵 社 」の 一員 だ
はい ?
布団 で 寝 た の は 久しぶり
生き返った 心地 だ
こら 小僧
非常 事態 だ
さっさと 探偵 事務所 に 来い
非常 事態 って ?
爆弾 魔 が 人質 を 取って 事務所 に 立て篭もって いる の だ
行き たく ない で す 僕
次回 「文豪 ストレイ ドッグス 」第 二 話
「或る 爆弾 」
異能力 「独歩 吟 客 」
僕 が 僕 で い られる 理由 を 探し て い た
あなた の 胸 の 中 で 生きている 僕 が いる の ならば
暗闇 も 長い 坂道 も 越え て 行ける よう な 僕 に なれる はず
それぞれ に 今 を 歩いてる 僕ら が 笑える ように
生き て いる 意味 を 確かめ 合い ながら 進める よう に
名前 を 呼ぶ よ あなた の 名前 を
あなた が あなた で いれる よう に
悲しみ に 暮れ て あなた の 涙 が こぼれる 時
寂しさ に 溢れ て 心 が しぼんで く 時
名前 を 呼ぶ よ あなた の 名前 を
僕 の 名前 を 呼んで くれた みたい に