DantaliannoShokaEpisode2
これ は …
何 この世 の すべて よ え 人 が 生まれて から 死ぬ まで に 知る 喜び 怒り
悲しみ 楽しみ
それ ら を 余す こと なく 集め
凝縮 し た もの
二 冊 も
今 の あなた に は この 子達 が 必要 だ から
さ 早く
書架 が 扉 を 閉ざし て しまう
その 前 に
うん
また 来る ね
第 二 話 胎児 の 書
そう です か
ロード *ウェズリー *ディス ワード も 亡くなら れ た の です ね
え 半年 ほど 前 に
では お 祖父 様 と 同じ 頃 に …
そう と は 知ら ず あの ような 手紙 を 差し上げて しまい
大変 失礼 いたし まし た
気 に しない で ください
仕事 の ほう は 僕 が 代わり に 引き受けます から
貴方 が
手紙 に 同封 さ れ て い た 小切手 に 目 が 眩んだ だけ な の です
報酬 を 前金 で いただい ている 以上
知らん顔 を する わけ に は いき ませ ん から
ご 迷惑 で し た でしょ うか
確認 も せ ず に 小切手 を お 送り して
大丈夫 です
こんな こと を 言って い ます が
この 子 も
リル バーン 大佐 の 蔵書 が 見 たい と 言って 付い て きた ん です
まあ そう で し た の
では 早速 お 祖父様 の 書斎 に ご 案内 し ましょう
ロード *ディス ワード
ああ 私 の こと は ヒューイ で 結構 です
ミス *リル バーン
そう は まわり ませ ん わ ロード *ディス ワード
これ は 凄い
父 も 母 も 早く に 他界 し た ので
お 祖父 様 の 死後 屋敷 と 一緒 に 私 が 引き継いだ の です
けど どの 本 に どれ だけ の 価値 が ある の か 見当 も つかず
手 の つけ 様 が なくて
成る程 それ で 爺さん に 鑑定 を
この 音 は
あ カリヨン です
この 屋敷 の 時計 塔 は
一 時間 ごと に 音楽 を 奏でる んです
お 祖父 様 は オルゴール の 製作 に 関する 特許 で 財 を 成し た 人 です から
その 技術 を 応用 し て いる の だ そう です
どう 思う
ウィズ の コレクション に 比べる と まだまだ な の です
そう じゃ なく て ミス *リル バーン だ よ
幼児 体型 な の です
どうして こんな 辺鄙 な 場所 に 一人 で
お前 は あの 幼児 体型 が 気 に なる の です か
少し ね
ああいう 髪型 が 好き な の です か …
え ちょっと よろしい です かな ロード *ディス ワード マーティン *ギース と 申し ます
どうぞ お 見知り 置き を
こちら こそ
うん
ミスター *ギース
失礼 です が …
あー エス テラ の 従兄 です
現在 は 後見人 で も あり ます が
週 に 一 度 こう やって あの 子 の 様子 を 見 に 来て いる の です
何せ 山奥 です から ここ は
彼女 が ここ で 暮らし て いる の は 貴方 が
ええ 使用人 を 手配 し た の も 私 です が
なぜ そこ まで し て 彼女 を ここ に 押し込めて おく の です
どうやら 貴方 は 誤解 なさって いる よう だ
あの 子 が ここ に いる の は 私 の 意志 で は ない
では 彼女 自身 が 望んでいる と
それ も 違い ます な
これ は 呪い な の です
呪い
あの 子 も 年頃 です
自然 と 縁談 の 話 も 来ます し
婚約 に 至った こと も 何度 が あり まし た
しかし 婚約者 たち は 一人 の 例外 も なく 殺害 されている の です
殺さ れ た
それ だけ で は あり ません
あの 子 の 両親 は ご存知 で
若く し て 亡くなられた と
まさか
ええ 殺さ れ た の です
他 に も 使用人 が 何 人 か
一体 誰 が
分かり ませ ん
ただ 犠牲者 に 共通 している の は
彼ら が 全員 エス テラ を この 屋敷 から 連れ出そう と していた こと
それ で 呪わ れ た の だ と
そう です
リル バーン 大佐 の 呪われた 本 に ね
そう
原因 は 本 な の です
大佐 が 手 に 入れた その 本 が
今 も この 屋敷 の どこ か に 隠さ れた まま に なって いる の です
言う なれば
あの 子 は 幻 書 に 囚われている の です
大佐 の 本 は 面白い かい
イエス ウェズ と は 趣味 が 異なって い て 興味深い の です
この ような 異国 の 律法 を 扱った 本 は うち に は ない の です
そう それ は よかった
それ は 何 な の です
スクラップ ブック だ よ
大佐 は 事件 に 関する 記事 を 残し て いた ん だ
何 か 分かった の です か
ここ に 記録 さ れ て いる 最初 の 殺人 は 今 から 五十 年 も 前 に 起き て いる ん だ
当然 ミス *リル バーン は 産まれ て いない
それ から の 数 年 で 変死
もしくは 行方 不明 に なった 人間 は 百 人 を 超し て いる
そして ある 日 犯行 は ぴたり と 止んだ
だが 数 十 年 の 時 を 経て 再び 事件 は 起きた
エス テラ *リル バーン の 周辺 で
それ が 幻 書 の せい だ と
少なくとも ミスター *ギース は そう 思って いる
くだらない の です
幻 書 と いえ ども 記さ れて いる の は た だの 知識
持って いる だけ で 人 を 不幸 に する 呪われた 本 など という もの は 存在 しない のです
かも しれ ない
だけど 呪い の 存在 を 信じる 人間 は いる
それ は ただ の 阿呆 です
どう し た の です
ミス *リル バン と ミスター *ギース だ よ
あの 二 人 は そういう 爛れた 関係 だった の です か
ミスター *ギース は 結婚 し て いる そう だ よ
だからこそ 爛れ て いる と 言って いる の です
成る程
あの 髭 は お前 に 呪わ れ た 本 と やら を 探し出さ せ
あの 女 を 屋敷 から 連れ出し
自分 の 屋敷 の 近く に でも 囲う つもり に 違いない の です
君 の 想像力 に は 脱帽 する よ
何 と でも 言う が いい の です
残念 で し た ね ヒューイ
それ は どういう 意味 だい
さて 僕 は そろそろ 眠り たい ん だ が
だが 何 な の です
君 の 寝室 は 隣 だろう
私 の こと なら 気 に し なくて いい の です
ダリ アン も しか して 君 …
一 人 に なる の が 怖い の かい
な …何 を 愚か し い こと を
この世 に 呪い など と いう 物 は 存在 し ない の です
何 なの です その 笑い を 噛み殺し た 不愉快 極まりない 顔 は
伏せ て
大丈夫 です か ミス *リル バーン
ロード *ディス ワード
マーティン は
殺さ れ まし た
先程 の 怪物 に
こ *ろ *さ *れ *た
あ …そう で し た か
残念 です
また お 洋服 を こんなに 汚し て しまった
ごめんなさい お祖母 様
これ から は 気 を つけます
だから 叱ら ない で
お祖母 様
ごめんなさい ごめんなさい
いい 子 に し ます から
どうか 許し て
お前 は やはり 馬鹿 な の です か
なぜ だい
あの 怪物 が 呪われた 幻書 を 持っている と 考える のが 自然 だろ
呪い など 存在 し ない と 何度 言わ せる の です
じゃ あの 怪物 は なん な ん だ
胎児 の 書
お前 は ゴー レム を 知 て い ます か
古い 伝 書 に 出 て くる 粘土 の 人形 だろ
確か 異 教 の 律 法 学者 が 神聖 な 儀式 を 経て 生み出す
無機 物 の 兵士 だ とか
異教 の 律法 に つい て 書かれた 本
じゃ まさか
イエス あれ は きっと 幻 書 に よって 生み出さ れた ゴーレム な もの です
ですが 主人 は 誰 な の です
主人
ゴー レム と は 胎児 と いう 意味 な の です
自分 で は なんの 判断 も 出来 ず
聖なる 七十二 文字
シェム *ハ *メフォラシュ に よって 編まれた
厳格 なる 命令 に よって のみ 操る こと が できる
土 人形 に 過ぎ ない の です
じゃ 誰 か が ミスター *ギース を 殺す ように 命じた という の か
それ 以外 に 考え られ ない の です
どこ に 行く ん だ
知れ た こと
幻 書 を 見つける の です
僕 も 行こう
これ は なん だい ダリ アン
ぐずぐず して いる 暇 は ない の です
やっぱり それ らしい 本 は ない な
この 屋敷
どこ か に 隠し 部屋 で も ある ん じ や ない の か
人 に 幻 書 を 探さ せ て おい て
君 は なに を し て いる ん だ
この 家 の 歴史 を まとめた 私 家本 を 読んでいる のです
何 か 分かった
リル バーン 大佐 の 妻 は 移民 し て きた 異国 の 末裔 らしい の です
そして 彼女 の 祖先 が 祖国 を 追わ れ た 原因 は 領内 で 起き た 連続 殺人 事件 だ とか
連続 殺人
ヒューイ
お 仕事 ご苦労様
お 忙しい と 思い ランチ を お 持ち し まし た
わざわざ すみません ミス *リル バーン
狡 い
え 自分 の こと は ヒューイ と 呼ば せて おい て 私 は ミス *リル バーン 私 の こと も エス テラ と お呼び ください
や それ は …
それ は お前 が 作った の です か
ええ ミスター *ギース が 連れ て きた 使用人 たち は 皆 姿 を 消し て しまい ました から
姿 を …消し た
ええ
雇い主 が い なく なった ので
給金 が 貰い ない と 早合点 し て 出て 行った の でしょ う
ありがとう
ヒューイ あなた は どこ に も 行かない で ください ね
一緒 に いて くださる の でしょ う
依頼 さ れた 仕事 が 終わる まで は ここ に 留まる つもり です が
ミス *リル バーン
エス テラ と は 読んで くださらない の です ね
すみません
気分 を 害 し たん なら 謝り ます
ですが …
貴方 も 私 を 置い て いなく なって しまう の ね
え どうして 本当 に どうして な の でしょ う
私 は ただ 皆 と 一緒 に い たかった だけ な のに
ミシター *ギース も 奥様 に 気づかれた から
もう この 屋敷 に は 来 られ ない なんて
だから 殺し た の です か
だって 動か なく なって しまえ ば ずっと 一緒 に いられ ます し
どういう こと だ ダリ アン
やはり こいつ は 幻 書 を 守って 勝手に 動いてる ん じゃん
まだ 気づか ない の です か
呪わ れ た 本 など 存在 し ない の です
存在 する の は 呪われた 一族 の 娘 だけ な の です
呪わ れ た 一族 の 娘
お前 の 腹 に ナイフ を はやし て くれた の は 誰 な の です
リル バーン の 一族 に は 代々 強烈 な 殺人 衝動 を 持った 女 が 出現 する の です
その 女 も
恐らく その 祖母 も
そして
祖国 を 追わ れ た と いう 祖先 も か
貴方 は どうして 動け る の ヒューイ
大佐 は 自分 の 妻 や 孫娘 が 天生 の 殺人者 で ある と 知てい た の です
だから ゴレーム を 生み出し
犯罪 の 痕跡 を 消す ように 命じて いた の でしょ う
成る程
それでは 彼ら 消す べき 犯罪 の 痕跡 に は 僕 も 含まれる の か な
当然 な の です
ヒューイ
お前 に 門 を 開く 権利 を 与える の です
我 は 問う
汝 は 人 なり や
否 我 は 天 壺 中 の 天 なり
九十万 と 六百六十六 の 幻 書 を 封印 せし 迷宮 の 書架
叡智 へ の 扉 は 開か れ
多い なる 川 の 水 は
冥界 と この世 を 隔てる
死 すべき 人間 と 不死 なる 神々 と を 分かつ
その 重き 水 に より
誓い を 試さ れよ
不 死 の 賢者
ケイ ローン が 記し た 冥界 の 女神
スティクス の 書
一千 の 槍 も この 結界 を 貫く こと は かなわない の です
女神 は 微笑み
ここ に 留まる こと を 許し
何者 に も 害 さ れ ぬ
永遠 の 青春 を 祝福 し た
オリンポス の 神々 の 命 は 永遠 なり
それ を 余 は 授かった の だ
ヒュイ もう 一 冊 を 読み上げる です
右手 に 矛
左手 に 稲妻
雲 に 乗る かた 最強 の 戦士
ダゴン の 息子
バアル *ゼブルバール の 声 響き
バール の 雷 鳴る 時
風 震え
山 戦 き
大地 揺れる
敵 は 山 に 縋り 森 に 逃げ 走り
東 から 西 慌てふためき 逃れ 去る
死 神 モート の 叫び は 炎
その 息 は 死
一夜 で 60 ベール の 森 が 燃え尽きる
怯 む こと を 知ら ぬ 戦士
聖なる 腕 を 高く 上げ 死神 目掛け 振り下ろす
叩き付け
轟音 轟き 白い 光 が 目 を 潰す
バール の 稲妻
天地 を 斬り 裂く
これ は …
カナン の 雷神 を 讃え し ウガリット の 粘土 板 門 所 これ は …
カナン の 雷神 を 讃え し ウガリット の 粘土 板 門 所
もっとも 古い 世代 の 幻書 の 一 つ な の です
神 の いか ず ち か
さすが に 辛い な
幻 書 二 冊 …
不死身 か あいつ は
もとより ゴー レム に 死 の 概念 など ない の です
その 機能 を 止める に は
シェム *ハ *メフォラシュ の 七十二 の 聖 音 を 探し出す しか ない の です
七十二 の 聖 音 か
聖なる …音
ダリ アン 文字 で 記さ れ て い ない 幻書 という のは 存在する のか
イエス 点字 や モールシ 信号 インカ の キープ
文字 以外 で 伝達 さ れる 言語 など 珍しく ない の です
了解
黒い 雲
昇る 雲
怒り の 雲
渦巻く 雲
雲 が 集まり かわい た 空 を 覆い隠す
それ は 恐怖 の 力
滅ぼす 物 を 選ばぬ 力
目 を 閉じる 間 に あらゆる 物 を 消し去る
高い ところ 光 に 包まれた 不死 の 戦士
敵 は 恐れ その 名 を 呼ぶ
バアル ゼブル
七十二 弁 の オルゴール を 利用 し た カリヨン
あれ が 大佐 の 幻書 の 正体 だった ん だ
お前 に しては 上出来 な の です
まずい こっち に 倒れ て くる ぞ
この 大 間抜け
文句 なら 後 で 聞く から まずは 逃げ ない と
あなた も 速く
私 は ここ に い ます
ミス *リル バーン
それ が お 祖父 様 と の 約束 な の
それ に みんな 一緒 です もの
寂しく なんか あり ませ ん わ
ヒューイ
謎 の 連続 殺人 リル バーン 一族 を めぐる 呪われた 伝説 か
ま 瓦礫 の 下 から あれ だけ 大量 の 死体 が 発見 さ れたら 騒ぎ に も なる か
あの 女 は どう なった の です
残念 だ けど
そう です か
ダリ アン 僕 に は まだ 信じ られ ない よ
呪わ れ た 一族 なんて
あの 家 で は 代々 女児 に 対して 特定 の 教育 を 施し て い た の かも しれない のです
幼少期 に 歪んだ 教育 や 行きすぎた 躾け を 受ける こと で
精神 に 変調 を 来す 可能性 も ある の です
じゃ
憶測 に すぎ ない の です
今 と なって は 真相 を 知る 術 は あり ませ ん
人間 を 呪う の は 同じ 人間 だけ か
ところで ダリ アン
その 髪 は どう し たん だ
特に 深い 意味 は ない の です
そう
なら いい んだ けど
楽園 の ドア 開く
鍵 を なくし て
罰 を 受け し 心 を
夜 の 迷路 へ
いばら の を 許さ ず
解ける 鎖
求め た の は 永遠
うずめ た 愛
穢れ 壊れた
僕 を 見 ない で
裂か れ た 絆
黒き レクイエム
ここ に 来ない で
君 は 知ら ない で
絶望 の 雨 が 降る
世界 が 今 終わる
ダン タリ アン の 書架 カステラ ラスク クリーム ブリュレ レモン パイ
イチゴ の ガナッシュ シュー クリーム ムース スフレ レア チーズ ケーキ
キャラメル マキアート トリュフ フィナンシェ エクレア あげ パン
次回 「睿智 の 書 」「月下美人 」キャラメル マキアート トリュフ フィナンシェ エクレア あげ パン
次回 「睿智 の 書 」「月下 美人 」