JapaneseDentists(Part4:TheOperation)/日本 の 歯医者 (第 四 章 :診療 )
日本 の 歯医者
第 四 章
僕 が スカイスリーパー に 座った 瞬間 、お姉さん が 一人 部屋 に 入ってきて 、
「今 から 歯 を 磨きます が よろしい ですか 」と 聞いて くる 。
「大丈夫 です 」と 僕 が 答える と 、お姉さん は 、
「その 前 に 下半身 の 緊張 を ほぐす 必要 が あり ます ので 」
と 言い ながら トランスフォーマー から ローション を 取り出して たっぷり 手 に 付け 、
そして 僕 の ベルト へ と 手 を 伸ばし ――
すみません 、今 の は 聞か なかった こと に して ください 。
「口 を あけて 頂けます か ?」
僕 が YUKI ちゃん と マチュピチュ の 緑 の 段々畑 を 一緒に 登っている と 、
マスク を した 男性 が 診察室 に 入ってきて 、隣 に 椅子 を 引き寄せて 座り 、そう 言った 。
「あ 、虫歯 が ある みたいです ね 」
「この 奥歯 は 磨き にくい んです よねぇ ……」
歯 医者 の 言葉 に 頷く と も なく 頷いている と
また BRAVIA に 吸い込ま れ る 。
段々畑 の 上 の 方 から 褐色 の 肌 を した ペルー 人 女性 が 降りてきて 、
「遅れて すみません 。マリア です 」と 挨拶 する と 、マチュピチュ に ついて 色々 と 説明 を して くれた 。
話し ながら 、彼女 は 風 が 吹く 度 に
中指 で 長い 茶色い 髪 を 耳 の 後ろ に かき上げた 。
YUKI ちゃん は 僕 の 脇 を ツンツン して 、
「なんか シャンプー の CM っぽく ない ?」
と 小声 で 言って 笑った 。
「じゃあ 今 から 詰めます ね 。痛かったら ――」
マリア は 、
「それでは 今 から 山頂 に 向かい ます が 、その 前 に マチュピチュ に ついて の ご 質問 など は あり ます か ?」と言う 。
YUKI は 、
「インカ 人 は 車輪 を 使わ ず に マチュピチュ を 作った と 聞いた こと あり ます が 、本当 です か ?」と 聞く 。
マリア は 得意 げ に 微笑み 、「そうです 」と 答えた 。
「はい 終わり ました 」
「車輪 を 使わ ず に こんな 山 の 上 に 街 を 作る なんて …… 」
「本当に すごい で すね 、道元 さん ……」
「道元 さん …」
「道元 さん 、聞いて ます か ?」
「はい ?」
マリア の 唇 から 歯医者 の 顔 に 視線 を 移す 僕 。
「もう 終わり ました よ 、道元 さん 」
「 え ?」
歯 医者 は 慣れた 手つき で マスク を 外し 、
「道元 さん は ずいぶん 我慢強い です ね 」
「これ から は 奥歯 に も 気 を 付けて ください ね 」
と 笑って 言った 。
後ろ に 立って いた お姉さん は
僕 を 見て ウインク を した 。
ミニカ の 、背もたれ を 倒した まま の 、
と いう より 普通に 壊れた 運転席 に 横 に なる と 、
壁 から 漏れて くる 電動 ドリル の 音 や 人 の 泣き声 を 20 分 ほど 聞かされる 。
これ も 拷問 の 一 つ なんだろう か 。
やがて ドア の 開く 音 が し 、
二 、三 秒 して 閉まる 音 が する 。
が 、その あと は 何も 音 が し ない 。
気 に なって 体 を 起こして 部屋 を 見回す と ………
……誰 も いない じゃない か 。
ぞっと し つつ 、
周り を 気 に し ながら 、
再び ミニカ 椅子 に 横たわる 。
もう 20 分 ノイズ 拷問 に 耐える と
また ドア が 開き 、
今度 は 禿げ 上がった ホビット が 部屋 に 入って くる 。
小型 の 双眼鏡 が ついた メガネ みたいな もの を 掛けて いて 、
全身 から いかにも ホビット らしい キツい 体臭 を 漂わせて いる 。
彼 は 僕 の 隣 まで やってきて いきなり 声 を 上げた 。
「で ?」
「虫歯 …です が 」
「 虫歯 …………」
「虫歯 …………ねぇ !」
ホビット は 拷問 道具 の ところ に 行って 、自分 の 小さくて 毛 深い 手 で それら を 撫で 始めた 。
「なぜ 虫歯 が 出来る か 、」
「分かる か ね ?」
「……砂糖 や 、食べ物 ――」
ホビット は 僕 の 答え に は 興味 が なかった 。
「 怠 惰 だ よ 」
僕 は 胃 が ビクッ と する の が 分かった 。
これ が いわゆる 「歯医者 の 取り調べ 」な のだ 。
「道元 は 、釣り は 好き かね ?」
そう 言い ながら 、ホビット は 怪しく 微笑み 、釣り針 の ついた ボールペン を 持ち上げて みせた 。
「釣り は 好き か って 聞いてる んだ が ?」
とそ の 時 、壁 から 漏れて くる 悲鳴 。
「………好き です 」
僕 は 震え ながら 答えた 。
ホビット は ちらり と 僕 を 見て 、笑った 。
「なら いい 」
彼 は 釣り針 を テーブル に 戻し 、
今度 は 何 か 紫色 の 液体 の 入った 注射器 を 持ち上げて みせた 。
「もう 一つ 、質問 して も いい かね ?」
その 質問 に すでに 怯え ながら も 、
小刻みに 頷く 僕 。
「道元 さん は 怠け者 かね ?」
「怠け者 って 言わ れれば ……」
「たまに は 歯磨き を 忘れ ――」
僕 が 話し 終わら ない うち に
ホビット は いきなり 注射 針 を 僕 の 歯茎 に 突き 立てた 。
強烈な 痛み に 全身 が こわばり 、
目 に 涙 が 浮かんだ 。
「さて と …」
「詰める か 」
そう 言う と ホビット は 拷問 道具 の テーブル の 下 から 削岩機 と しか 表し よう の ない もの を 取り出して 、
僕 の 椅子 に 脚 を 掛ける と 僕 の 上 に またがり 、
そして 錆び ついた 道具 の 先 を 僕 の 唇 に 当てた 。
「『あぁ 』って する んだ 」
僕 は 目 を つぶって ミニカ の 安っぽい 肘 掛け を 握りしめた 。
「頑張れ 、忍耐 は 美徳 だ 」