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銀河英雄伝説 01黎明篇, 第一章 永遠の夜のなかで (3)

第 一 章 永遠 の 夜 の なか で (3)

あんな 奴 ら に 支配 さ れる ため に 、 宇宙 は 存在 する んじゃ ない 」

「 ラインハルト さま ……」

「 そう さ 、 キルヒアイス 、 おれ も お前 も 、 あんな 奴 ら の 風下 に 立つ べき 理由 は なにひとつ ない んだ 」

この 種 の 会話 は 両者 の あいだ で 幾 度 と なく かわさ れた が 、 ある とき 、 ラインハルト は 赤毛 の 親友 に 強烈 きわまる 衝撃 を あたえた 。

首都 の いたる処 に 傲然 と そびえ 立つ ルドルフ 大帝 の 像 に 敬礼 した あと ―― これ に 礼 を ほどこす の は 帝国 臣民 の 神聖な 義務 だった 。 大帝 像 の 両眼 は 精巧な テレビ ・ アイ に なって おり 、 帝 威 を おそれ ぬ 危険 分子 は 内務 省 に きびしく 監視 されて いる のだ ―― ラインハルト は 熱っぽい 口調 で 語りかけた 。 「 キルヒアイス 、 こう 考えて みた こと は ない か ? ゴールデンバウム 王朝 は 人類 の 発生 以来 、 つづいて きた わけじゃ ない 。 始祖 は あの 傲岸 不遜 な ルドルフ だ 。 始祖 が いる と いう こと は 、 それ 以前 は 帝 室 など で なく 、 名 も ない 一 市民 に すぎ なかったって こと だ 。 もともと ルドルフ は なり あがり の 野心 家 に すぎ なかった 。 それ が 時流 に のって 神聖 不可侵 の 皇帝 など に なり おおせた んだ 」

この 人 は なに を 言おう と して いる の か ? キルヒアイス は 鼓動 の 高まり を おぼえた 。 ラインハルト は 言った 。

「 ルドルフ に 可能だった こと が 、 おれ に は 不可能だ と 思う か ? 」 そして キルヒアイス を 凝視 した ラインハルト の 蒼氷 色 の 宝石 の ような 瞳 を 、 赤毛 の 少年 は 呼吸 を 停める 思い で 見かえした のだ 。 それ は ふた り が 軍隊 に は いる 直前 の 冬 の こと だった 。

Ⅲ 「…… 科学 技術 の 無秩序な 発展 が 人類 の アイデンティティ に 危険 を およぼした 例 は 、 西暦 二〇 世紀 から 二一 世紀 に かけて 多数 を 見いだす こと が できる 。 ことに 遺伝子 工学 の 一 成果 である 生命 複製 は 、 それ が たんに 理論 上 の 可能 性 を しめした だけ であった に も かかわら ず 、 永遠の 生命 を 保障 さ れた か の よう に 誤解 さ れた 。 それ が 社会 ダーウィニズム と 結合 さ れた とき 、 おそるべき 生命 軽視 の 思想 が 地球 と いう 名 の 惑星 上 を 跋扈 する に いたった 。 劣悪な 遺伝子 の 所有 者 に 子 を 生む 資格 は なく 、 劣等 人種 を 淘汰 する こと に よって 人類 の 質的 向上 を はかる べきだ と の 意見 が 勢力 を ました 。 これ は じつに 、 後日 の ルドルフ ・ フォン ・ ゴールデンバウム の 主張 の 遠い 萌芽 と なった もの であり ……」

操作 卓 の 小さな 画面 に 映しだされて いた 文章 が 急に 薄れて 消えた 。 調節 ボタン に 指 が 触れる より 早く 、 べつの 文章 が 浮かびあがる 。

「 ヤン 准将 、 司令 官 が お呼び です 。 指揮 官 席 へ 至急 おいで ください 」

読書 の 途中 を 邪魔 さ れた ヤン ・ ウェンリー 准将 は 、 軍用 ベレー を 取って おさまり の 悪い 黒い 頭髪 を かきまわした 。

彼 は 自由 惑星 同盟 軍 第 二 艦隊 の 次 席 幕僚 であり 、 旗 艦 パトロクロス の 艦 橋 の 一角 に 座 を しめて いた 。 本来 、 戦術 コンピューター 用 の 操作 卓 に 書籍 VTR を いれて 私的な 読書 を 楽しんで いた のだ から 、 不愉快 がる 道理 は ない 。

ヤン の 姓名 表記 型式 は E 式 と なって いる 。 これ は 銀河 連邦 成立 以前 から の 伝統 で 、 姓 が 名 の 前 に くる 型式 であり 、 E と は 東洋 の 頭文字 だ と されて いた 。 逆に 名 が 姓 の 前 に くる 表記 型式 を W 式 と 称し 、 これ は 西洋 の 頭文字 と いう こと に なって いる 。

もっとも 、 混血 が いちじるしく すすんだ この 時代 、 姓名 は 直系 の 祖先 の 出身 を おぼろげに しめす だけ の 役割 しか もって いない 。 ヤン は 黒い 髪 、 黒い 目 、 中肉 中 背 の 体 軀 を もつ 二九 歳 の 青年 で 、 軍人 と いう より は 冷静な 学者 と いった 印象 を あたえる 。 だが それ も しいて 言えば の こと で 、 ごく 温和 そうな 青年 と いう 以上 に は 他人 は み ない ようであった 。 軍隊 に おける 彼 の 階級 を 聞いてたいてい の 人 は 驚く 。 「 ヤン 准将 、 まいり ました 」

敬礼 する 青年 士官 に 、 艦隊 司令 官 パエッタ 中将 は 非 好意 的な 視線 を むけた 。 こちら は 、 軍人 以外 の 職業 が 想像 でき ない ような 、 いかめしい 顔つき の 中年 の 人物 である 。

「 きみ の 提出 した 作戦 案 を 見た 」

それ だけ 言って 、 また ヤン を 観察 する 。 こんな 軟弱 そうな 孺子 が 、 自分 より 二 階級 しか 下 で ない こと を 、 どうしても 納得 でき ぬ と 言い た げ である 。

「 なかなか 興味深い 案 だった 。 しかし 、 慎重に すぎて いささか 消極 的で は ない か な 」

「 そう でしょう か 」

ヤン は ごく 温和な 口調 で 応じた が 、 考えて みれば これ は 上官 にたいして かなり 無礼な 応答 であった かも しれ ない 。 パエッタ 中将 は 気づか なかった 。

「 きみ 自身 が 記して いる とおり 、 たしかに 負け がたい 作戦 案 で は ある 。 しかし 負け ない だけ で は 意味 が ない 。 勝た なくて は な 。 わが 軍 は 敵 を 三方 から 包囲 して いる 。 しかも 敵 の 二 倍 の 兵力 で だ 。 これ だけ 大勝 の 要件 を そなえて 、 なぜ 、 いまさら 、 負け ない 算段 を せ ねば なら ん のだ ? 」 「 ですが 、 まだ 包囲 網 が 完成 さ れた わけ では ありません 」 今度 は 中将 も 気づいた 。 彼 は 不快 そうに 眉 根 を よせ 、 みごとな 縦 皺 を 一 本 、 眉間 に 深く 刻んだ 。

ヤン は 平然と して いる 。

九 年 前 、 国防 軍 士官 学校 を 卒業 した とき 、 ヤン は 平凡な 新任 少尉 だった 。 卒業 時 の 席次 は 四八四〇 名 中 、 一九〇九 番 だった のだ 。 そして 現在 は 平凡な 准将 、 と は 言え ない 。 彼 は 同盟 全軍 を つうじて 一六 名 しか いない 二〇 代 の 将官 の ひと り な のである 。 パエッタ 中将 は 、 この 若い 准将 の 戦 歴 を 知ら ない わけで は ない 。 九 年間 に 一〇〇 回 以上 の 戦闘 に 参加 して いる 。 今回 の ように 五 桁 の 艦艇 が 集結 する ような 大規模 の 戦闘 は めったに なかった が 、 それ でも 幼児 の 花火 ごっこ と は わけ が ちがう のだ 。 そして なにより も 、 あの 〝 エル ・ ファシル 脱出 行 〟 の 輝 ける 英雄 !

若い ながら 歴戦 の 勇士 である はずな のだ が 、 そういう 印象 を パエッタ は まるで うけ ない のである 。 後方 勤務 本部 で 兵士 の 給料 の 計算 でも して いる ほう が 似つかわしく 思えて なら ない 。

「 とにかく 、 この 作戦 案 を 却下 する 」

書類 を 、 中将 は ヤン に さしだした 。

「 言って おく が 、 きみ に 含む ところ が ある わけで は ない ぞ 」

よけいな こと を 中将 は 言った 。

Ⅳ ヤン ・ ウェンリー の 父親 ヤン ・ タイロン は 自由 惑星 同盟 の 多く の 交易 商人 の なか でも 、 手腕 に 富んだ 男 と して 知られて いた 。 人 を そらさ ぬ 微笑 の 奥 で 高 性能 の 商業 用 頭脳 を 回転 さ せ 、 一 介 の 小 商船 主 から 出発 して どんどん 財産 を ふやして いった のだ 。

「 おれ は 金銭 を 可愛がって る から …………」

と 、 彼 は 成功 の 秘訣 を 訊 ねる 友人 に 答えた もの だ 。

「 恩 を 感じた 金銭 が 出世 して もどって くる の さ 。 銅貨 は 銀貨 に 、 銀貨 は 金貨 に な 。 要するに 育て かた ひと つ だ よ ! 」 彼 自身 は それ を 気 の きいた 冗談 と 思って いた ようで 、 こと ある ごと に そう 言って まわった ので 、〝 金銭 育て の 名人 〟 と いう ニックネーム を たてまつら れた 。 かならずしも 好意 的な もの と は 言いがたい が 、 言わ れる 当人 は 満足 して いた ようである 。

ヤン ・ タイロン は 、 また 、 古美術 品 の 収集 家 で も あった 。 西暦 が 使用 されて いた 当時 の 絵画 、 彫刻 、 陶磁器 など が 、 彼 の 邸宅 に は 山積み に なって いた 。 オフィス に 陣どって 恒星 間 商船 隊 に 指揮 を くだして いない とき の 彼 は 、 邸 内 の 古美術 品 を 鑑賞 したり 磨き たてたり する のに 忙しかった 。 趣味 が 高じた あげく 、 彼 は 配偶 者 まで 古美術 品 を えらんだ 、 と 噂 さ れた 。 浪費 癖 の ある 最初の 妻 と 離婚 した あと 、 彼 は 評判 の 美女 と 再婚 した が 、 彼女 は とある 軍人 の 未亡人 だった のである 。 そして 息子 ―― ヤン ・ ウェンリー が 生まれた 。

男児 誕生 の 報 を 、 ヤン ・ タイロン は 自 邸 の 書斎 で うけた が 、 古い 花瓶 を 磨く 手 を 休める と つぶやいた 。

「 おれ が 死んだら 、 この 美術 品 は みんな そい つ の もの に なって しまう んだ なあ 」

そして また 磨き つづけた 。

ヤン ・ ウェンリー が 五 歳 に なった とき 、 母親 が 死んだ 。 急性 の 心臓 疾患 に よる もの で 、 それ まで 健康であった だけ に 、 その 突然の 死 は さすが の ヤン ・ タイロン を も 驚かせた 。

彼 は 手 に して いた 青銅 の 獅子 の 置物 を 床 に とり 落とした が 、 我 に かえって それ を 拾いあげる と 、 妻 の 親族 一同 を 憤慨 さ せる 台詞 を 吐いた 。

「 割れもの を 磨いて いる とき で なくて よかった ……」

生別 と 死別 に よって ふた り の 妻 を 失った ヤン ・ タイロン は 、 もう 結婚 する 意思 を もた なかった 。 彼 は 息子 に メイド を つけた が 、 メイド が 休暇 の とき など 扱い に こまり 、 自分 の 傍 に すわら せて 一緒に 壺 を 磨いたり して いた 。

亡 妻 の 親族 が 彼 の 邸宅 を 訪れ 、 書斎 で 無言 の まま 壺 を 磨いて いる 父子 の 姿 を 見て 呆れかえり 、 かくも 無責任な 父親 の 手 から 幼児 を 救出 す べきだ 、 と 主張 する に いたった 。 息子 と 古美術 品 の どちら が だいじ か 、 と 詰問 されて 、 交易 商人 は 答えた 。 「 美術 品 を 集める に は 資金 が かかった から なあ 」

息子 の ほう は ただ だった 、 と いう わけである 。

この 言 種 に 怒りくるった 親族 一同 は 、 こと を 法廷 に もちこんで 解決 する 姿勢 を しめした が 、 それ を 察した ヤン ・ タイロン は 息子 を 抱いて みずから 恒星 間 商船 に 乗りこみ 、 首都 ハイネセン から 姿 を 消して しまった 。 まさか 、 父親 が 息子 を 誘拐 した と 訴える こと も でき ず 、 親族 一同 は 肩 を すくめて 、 星空 に 宇宙 船 の 軌跡 を おう しか なかった 。 まあ しかたない 、 息子 を つれて 行った と いう こと は 、 あの 男 に も 脈 が ある と いう こと な のだろう ……。

こうして ヤン ・ ウェンリー は 一六 歳 に なる まで 、 人生 のたいはん を 宇宙 船 の 船 内 で すごす こと に なった のだ 。 幼い ヤン ・ ウェンリー は 最初 、 跳躍 の たび に 体調 を 崩して 吐いたり 発熱 したり した が 、 やがて 慣れて しまう と 、 悠然と して 自分 の 境遇 を うけいれた 。 彼 は 機器 へ の 興味 を ひととおり みたして しまう と 、 他の 方面 へ 関心 を むける ように なった 。 歴史 に 、 である 。

少年 は ビデオ も 見 、 再 刊 さ れた 古書 も 読み 、 昔 語り も 喜んで 聞いた が 、 とくに 〝 史上 最悪 の 簒奪 者 〟 ルドルフ にたいして の 興味 は 深かった 。 自由 惑星 同盟 の 人々 が 話す こと だ から 、 当然 、 ルドルフ は 悪 の 権化 と して 表現 さ れた が 、 聞く うち に 少年 は 疑問 を いだく ように なった 。 ルドルフ が それほど の 悪党 だった なら 、 なぜ 、 人々 は 彼 を 支持 し 権力 を あたえた の か ?

「 そり や あ 、 ルドルフ は とことん あくどい 奴 だった から な 、 民衆 を うまく だました の さ 」

「 民衆 は どうして だまさ れた んだろう ? 」 「 ルドルフ が なにしろ 悪い 奴 だった から だ よ 」 こういう 問答 は 少年 を 満足 さ せ なかった のだ が 、 父親 の 見解 は ほか の 人々 と 多少 、 ことなって いた 。 息子 の 質問 に 彼 は こう 答えた 。

「 民衆 が 楽 を したがった から さ 」

「 楽 を し た がる ? 」 「 そう と も 。 自分 たち の 努力 で 問題 を 解決 せ ず 、 どこ から か 超人 なり 聖者 なり が あらわれて 、 彼ら の 苦労 を 全部 ひと り でしょ いこん で くれる の を 待って いた んだ 。 そこ を ルドルフ に つけこま れた 。 いい か 、 おぼえて おく んだ 。 独裁 者 は 出現 さ せる 側 に より 多く の 責任 が ある 。 積極 的に 支持 し なくて も 、 黙って 見て いれば 同罪 だ …… しかし だ な 、 お前 、 そんな こと より もっと 有益な もの に 関心 を もて 」

「 有益な ものって ? 」 「 金銭 と 美術 品 だ 。

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