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銀河英雄伝説 01黎明篇, 第三章 帝国の残照 (3)

第 三 章 帝国 の 残照 (3)

「 全 人類 の 支配 者 に して 全 宇宙 の 統治 者 、 天 界 を 統べる 秩序 と 法則 の 保護 者 、 神聖に して 不可侵 なる 銀河 帝国 フリードリヒ 四 世 陛下 の ご 入来 ! 」 語尾 に 帝国 国歌 の 荘重な 旋律 が おおいかぶさる 。 それ に 首すじ を おさえつけられる ように 、 一同 は 深々と 頭 を たれた 。 幾 人 か は 口 の なか で 数 を かぞえて いた かも しれ ない 。 ゆっくり と 頭 を あげる と 、 黄金 張り の 豪 奢 な 椅子 に 彼ら の 皇帝 が すわって いた 。

銀河 帝国 第 三六 代 皇帝 フリードリヒ 四 世 。 六三 歳 の 、 奇妙に 困憊 した 印象 を あたえる 男 である 。 老人 と いう 年齢 で は ない のに 、 老人 と 形容 し たく なる ところ が ある 。 国 事 に は ほとんど 関心 が ない 。 絶対 的な その 権力 を 積極 的に 行使 する 能力 も 意思 も な さ そうに みえる 。 強烈 を きわめた 先祖 ルドルフ の 残 光 を 背負った 、 先祖 と は 正反対の ひ弱な 男 、 皇帝 フリードリヒ 四 世 。

皇帝 は 一〇 年 前 に 皇后 を 失った 。 難病 と は 言え ない 。 風邪 を こじら せて 肺炎 に かかった のである 。 ガン は はるか 昔 に 克服 さ れた が 、 風邪 を 病名 の リスト から 追放 する こと は 、 同盟 の 歴史 家 が 悪意 を こめて 記述 した ように 、〝 偉大なる ルドルフ の 威光 を もって して も 〟 不可能だった のだ 。

以後 、 皇帝 は 皇后 を たて ず 、 寵姫 の ひと り に グリューネワル 卜 伯爵 夫人 の 称号 を 贈り 、 事実 上 の 妻 の 座 を あたえて いる 。 しかし その 寵姫 は 大 貴族 の 出身 で は ない ため 、 公式 の 国 事 に 参列 する こと を 遠慮 し 、 この 夜 も 美しい 姿 を 人々 の 前 に あらわさ なかった 。 グリューネワルト 伯爵 夫人 、 本名 は アンネローゼ である 。

「 ローエングラム 伯 ラインハルト どの ! 」 式部 官 が 朗々と 式典 の 主人公 の 名 を 呼んだ 。 一同 は 、 今度 は 最 敬礼 する 必要 も なく 、 絨毯 を 踏んで 歩みよって くる 若い 武官 に 視線 を 送った 。

貴婦人 たち の あいだ から 歎声 が 洩 れる 。 ラインハルト に 反感 を 有して いる 者 ―― つまり 参列 者 の 大部分 ―― も 、 彼 の たぐい まれな 美貌 を 認め ない わけに は いか なかった 。

最 上質の 白磁 で 造ら れた 人形 の ように 端 麗 な 、 だが 人形 に して は 眼光 が するどく 、 表情 が 勁烈 に すぎる 。 彼 の 姉 アンネローゼ にたいする 皇帝 の 耽溺 と 、 彼 自身 の この 表情 が なかったら 、 この 君 臣 にたいして 男 色 に かんする 陰口 が たたか れる こと は 必至であったろう 。 参列 者 たち の さまざまな 感情 が いり乱れる なか を 、 武官 らしく きびきび した 歩調 で とおりぬける と 、 ラインハルト は 玉 座 の 前 に 立ち 、 心 に も なく うやうやしく 片 膝 を ついた 。

その 姿勢 で 、 皇帝 が 玉音 を 下 賜 さ れる の を 待つ 。 公式 の 場 に おいて 、 皇帝 に さき に 話しかける こと など 、 臣下 に は 許されて いない のだ 。 「 ローエングラム 伯 、 このたび の 武 勲 、 まことに みごとであった 」

およそ 個性 の ない 発言 であった 。

「 おそれいります 、 ひとえに 陛下 の 御 威光 の たまもの で ございます 」 ラインハルト の 応答 に も 個性 が ない が 、 これ は 計算 と 自制 の 結果 である 。 気 の きいた こと を 言って も 理解 できる 相手 で は ない し 、 参列 者 の 反感 をます だけ の こと だ 。 彼 に とって は 、 皇帝 が 式部 官 から 手わたされて 読みあげる 一 枚 の 紙片 の ほう が よほど 重要であった 。 「 アスターテ 星 域 に おける 叛乱 軍 討伐 の 功績 に より 、 汝 、 ローエングラム 伯 ラインハルト を 帝国 元帥 に 任ず 。 また 、 帝国 宇宙 艦隊 副 司令 長官 に 任じ 、 宇宙 艦隊 の 半数 を 汝 の 指揮 下 に おく もの と す 。 帝国 暦 四八七 年 三 月 一九 日 、 銀河 帝国 皇帝 フリードリヒ 四 世 」

ラインハルト は たちあがって 階 を のぼり 、 最 敬礼 と ともに その 辞令 を うけとった 。 ついで 元帥 杖 を さずけられる 。 この 瞬間 、 ローエングラム 伯 ラインハルト は 帝国 元帥 と なった 。

華やかな ほど の 微笑 を たたえ ながら 、 内心 で は けっして 満足 して は いない 。 これ は 彼 の 歩む べき 道程 の 、 ほんの 第 一 歩 に すぎ ない のだ 。 権力 に まかせて 彼 から 姉 を 奪った 無能 者 に とってかわる のだ 。

「 ふん 、 二〇 歳 の 元帥 か 」

低く つぶやいた の は 装甲 擲 弾 兵 総監 オフレッサー 上級 大将 だった 。 四〇 代 後半 の 筋骨 たくましい 巨漢 で 、 同盟 軍兵 士 の 放った レーザー 光線 で 截 られた 左 頰骨 の 傷跡 が 生々しい 紫色 を して いる 。 わざと 完治 さ せ ず 、 歴戦 の 猛 将 である こと を 誇示 して いる のだ 。

「 光輝 ある 帝国 宇宙 艦隊 は 、 いつ から 幼児 の 玩具 に なりさがった のです 。 閣下 ? 」 煽 動 する ように 彼 が ささやき かけた 相手 は 、 ラインハルト に 麾下 の 部隊 の 半数 を 奪わ れる 男 だった 。 宇宙 艦隊 司令 長官 ミュッケンベルガー 元帥 は 半 白 の 眉 を 微妙な 角度 に まげた 。

「 卿 は そう 言う が な 、 あの 金髪 の 孺子 に 用 兵 の 才能 が ある こと は 否定 でき ぬ 。 現に 叛乱 軍 を 撃破 して おる し 、 その 手腕 に は 百 戦 錬磨 の メルカッツ で さえ 舌 を まいて おる のだ 」

「 牙 を 抜か れた と みえます な 、 たしかに 」 武官 の 列 中 に 黙 然 と たたずむ メルカッツ 大将 の 姿 に 視線 を 投げて 、 オフレッサー は 容赦 なく 評した 。

「 勝った と は いえ 、 一 度 だけ で は 偶然 と いう こと も ありましょう 。 小 官 に 言わ せれば 、 敵 が 無能 すぎた と しか 思えません 。 勝敗 と は けっきょく 、 相対 的な もの です から な 」

「 声 が 高い 」

たしなめ は した が 、 元帥 は 上級 大将 の 発言 の 内容 そのもの を 否定 した わけで は なかった 。 ラインハルト の 功績 を なんら 心理 的 抵抗 なく 受容 する の は 、 大 貴族 出身 者 や 古参 の 将官 たち に とって 容易で は ない のだ 。 しかし 場所 が 場所 であり 、 元帥 は 話題 を 転じる 必要 を 感じた ようだった 。

「 ところで 、 その 敵 だ が な 、 ヤン と か いう 指揮 官 の 名 を 卿 は 知って おる か 」

「 さて …… 記憶 に ありません な 。 その 人物 が なに か ? 」 エル ・ ファシル の 件 を オフレッサー は 思いだせ なかった 。 「 今度 の 会戦 で 叛乱 軍 の 全面 崩壊 を 防ぎ 、 エルラッハ 少将 を 戦死 さ せた 男 だ 」

「 ほう 」

「 相当な 将 才 の 持ち主 らしい 。 さすが の 金髪 の 孺子 も 鼻 を へし折ら れた と いう 情報 で な 」

「 それ は 愉快 では ありません か 」 「 ラインハルト ひと り の こと であれば な 。 しかし 先方 は 戦う に あたって 敵 を えらぶ と 思う か ? 」 元帥 の 声 は さすが に にがにがし さ を おび 、 オフレッサー は 分厚い 肩 を 無器用に すくめた 。 〝 黒 真珠 の 間 〟 に ふたたび 音楽 が 流れ はじめた 。 勲 功 ある 武官 を たたえる 歌 、「 ワルキューレ は 汝 の 勇気 を 愛 せり 」 である 。

大 貴族 たち に とって 不愉快な 式典 は 終幕 に ちかづき つつ あった 。

ジークフリード ・ キルヒアイス 大佐 は 、 ほか の 佐官 級 の 軍人 たち と ともに 、 式場 から 幅広 の 廊下 ひと つ を 隔てた 〝 紫 水晶 の 間 〟 に ひかえて いた 。

貴族 でも 将官 で も ない キルヒアイス に は 、〝 黒 真珠 の 間 〟 に 入室 する 資格 が あたえ られて いない 。 しかし ここ 両日 中 に 彼 は 准将 を とびこして 少将 に 昇進 し 、〝 閣下 〟 と 呼ば れる 地位 を あたえられる こと が 確定 して いた 。 そうなれば 、 華麗な 式典 から 排除 さ れる こと も なくなる のだろう 。

ラインハルト さま が 階 梯 を ひと つ のぼる たび に 、 自分 も ひきずり あげられる …… キルヒアイス は かるく 身 慄 い した 。 自分 に 才 幹 が ない と は 思わ ない が 、 栄達 の 速度 が 普通で ない こと は たしかであり 、 それ が 自分 の 実力 ばかり に よる もの だ と 思ったらたいへんな こと に なる であろう 。 「 ジークフリード ・ キルヒアイス 大佐 です な 」

静かな 声 が 傍 から かけ られた 。

三〇 代 前半 と お ぼ しい 将校 が 、 キルヒアイス の 視線 の さき に 立って いた 。 階級 章 は 大佐 である 。 キルヒアイス に は およば ない が かなり の 長身 で 若 白髪 の 多い 黒っぽい 頭髪 に 薄い 茶色 の 目 を して おり 、 皮膚 は 青白い 。

「 そう です が 、 貴 官 は どなた です ? 」 「 パウル ・ フォン ・ オーベルシュタイン 大佐 です 。 お初 に お目にかかる 」

そう 言った とき 、 オーベルシュタイン と 名のった 男 の 両眼 に 、 異様な 光 が 浮かび 、 キルヒアイス を 驚かせた 。

「 失礼 ……」

オーベルシュタイン は つぶやいた 。 キルヒアイス の 表情 に 気づいた のであろう 。

「 義 眼 の 調子 が すこし 悪い ようだ 。 驚かせた ようで 申しわけない 。 明日 に でも とりかえる こと に しましょう 」 「 義 眼 を なさって いる のです か 、 いや 、 これ は こちら こそ 失礼な こと を ……」

「 なん の 、 お 気 に なさる な 。 光 コンピューター を くみこんで あって 、 こいつ の おかげ で まったく 不自由 せ ず に すんで います 。 ただ 、 どうも 寿命 が 短くて ね 」

「 戦傷 を うけ られた のです か ? 」 「 いや 、 生来 の もの です 。 もし 私 が ルドルフ 大帝 の 時代 に 生まれて いたら 、〝 劣悪 遺伝子 排除 法 〟 に ひっかかって 処分 されて いた でしょう な 」 その 声 は 、 空気 の 振動 が 音 と なって 人間 の 耳 に 聴 こえる 、 かろうじて その 下限 に あった が 、 キルヒアイス に 息 を の ませる に 充分だった 。 ルドルフ 大帝 にたいする 批判 めいた 発言 は 、 当然 、 不敬罪 の 対象 に なる のだ 。 「 貴 官 は よい 上官 を お もち だ 、 キルヒアイス 大佐 」

やや 声 を 大きく して オーベルシュタイン は 言った が 、 それ でも ささやき 以上 の もの に は なら なかった 。

「 よい 上官 と は 部下 の 才 幹 を 生かせる 人 を いう のです 。 現在 の 帝国 軍 に は いたって すくない 。 だが ローエングラム 伯 は ちがう 。 お 若い に 似 ず 、たいした お方 です な 。 門 閥 意識 ばかり 強い 大 貴族 ども に は 理解 し がたい でしょう が ……」

罠 にたいする 警告 信号 が 、 キルヒアイス の 脳裏 に 点滅 した 。 この オーベルシュタイン なる 男 が 、 ラインハルト の 失脚 を のぞむ 連中 の 操り 人形 で ない と 、 どうして 断言 できる だろう 。

「 貴 官 は 、 どこ の 部隊 に 所属 して おいで です ? 」 さりげなく 話題 を 転じる 。 「 いま まで は 統帥 本部 の 情報 処理 課 に い ました が 、 今度 、 イゼルローン 要塞 駐留 艦隊 の 幕僚 を 拝 命 し ました 」

答えて から 、 オーベルシュタイン は 薄く 笑った 。

「 用心 して おら れる ようだ 、 貴 官 は 」

一瞬 、 鼻 白んだ キルヒアイス が 、 なに か 言おう と した とき 、 入室 して くる ラインハルト の 姿 が 彼 の 視界 に 映った 。 式典 が 終了 した らしい 。

「 キルヒアイス 、 明日 ……」

声 を かけて 、 部下 の 傍 に いる 青白い 顔 の 男 に 気づいた 。

オーベルシュタイン は 敬礼 して 名のり 、 かたどおりの 短い 祝辞 を 述べる と 、 背 を むけて 去った 。

ラインハルト と キルヒアイス は 廊下 に でた 。 その 夜 は 彼ら は 宮殿 の 一隅 に ある 小さな 客 用 の 館 に 宿泊 する こと に なって いた 。 その 場所 まで 、 庭園 の 内部 を 一五 分 は 歩か なければ なら ない 。

「 キルヒアイス 、 明日 姉 上 に 会う 、 お前 も 来る だろう 」

夜空 の 下 に でた ところ で 、 ラインハルト が 言った 。

「 私 が 同行 して も よろしい のです か ? 」 「 なに を いまさら 、 遠慮 する 。 おれたち は 家族 だ ぞ 」

ラインハルト は 少年 の 笑顔 に なった が 、 それ を ひっこめる と やや 声 を 低めた 。

「 ところで 先刻 の 男 は 何者 だ ? 多少 、 気 に かかる な 」

キルヒアイス は 簡単に 事情 を 説明 し 、

「 どうも 得体の知れない 人 です 」

と 感想 を つけくわえた 。 ラインハルト は 描いた ように かたち の よい 眉 を かるく しかめて 聞いて いた が 、

「 たしかに 得体の知れない 男 だ な 」

と キルヒアイス の 意見 に 賛同 した 。

「 どういう つもり で お前 に ちかづいた か 知ら ない が 、 用心 して おく に こした こと は ない 。 もっとも こう 敵 が 多い と 、 用心 も なかなか 難しい か 」

ふた り は 同時に 笑った 。

Ⅲ グリューネワルト 伯爵 夫人 アンネローゼ の 館 は やはり 新 無 憂宮 の 一隅 に あった が 、 訪れる に は はでに 装飾 さ れた 宮廷 用 の 地上 車 で 一〇 分 も 走る 必要 が あった 。

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