この 素晴らしい 世界 に 祝福を !あぁ 、駄女神さま (5)
「神 の 力 、思い知れ ! 私 の 前 に 立ち塞がった 事 、そして 神 に 牙 を 剥いた 事 ! 地獄 で 後悔 し ながら 懺悔 なさい ! ゴッド ブローッ ! 確か 、ギルド の 職員 から は 、打撃 系 の 攻撃 は あまり 効果 が 無い と 聞いて いた の だ が 。
ぶよん と カエル の 柔らかい 腹 に 拳 が めり込み 、そして 殴られた カエル は 、まるで 何事 も なかった か の 様 に ……。
カエル と 見つめ 合った まま アクア が 呟く 。
「……カ 、カエル って 、よく 見る と 可愛い と 思う の 」…………俺 は 、捕食 した 獲物 を 飲み込もう と して 動かなく なった 、本日 二 匹 目 に なる カエル を 倒し 、粘液 まみれ で 泣きじゃくる 女神 を 連れ 、今日 の 討伐 を 終えた 。 4.
「アレ ね 。 二 人 じゃ 無理 だ わ 。 仲間 を 募集 しましょう ! 街 に 帰還 した 俺達 は 、真っ先 に 大衆 浴場 に 行って 汚れ を 落とし 、冒険者 ギルド にて カエル も も 肉 の 唐揚げ を 食い 、作戦 会議 を していた 。
ここ 冒険 者 ギルド は 、冒険 者 達 の 待ち合わせ や 溜まり場 と して も 使われて いて 、討伐 した モンスター の 買い取り と 、モンスター 料理 が 売り の 大きな 酒場 が 併設 されて いる 。 今日 は カエル 二 匹 の 肉 が 手 に 入った ので 、ギルド へ カエル 肉 を 売り 、そこそこ の 小遣い に なった 。
あんな 巨大な カエル は 、とても 俺達 二人 じゃ 運べ ない 。
だけど ギルド の 人 に 頼む と 、倒した モンスター の 移送 サービス を 行って くれる そうだ 。
カエル 一 匹 の 引き取り 価格 は 、移送 サービス 込み で 五千 エリス 。
ハッキリ 言って 、土木 作業 の バイト の 給料 と 稼ぎ が あまり 変わらない こと が 分かった 。
しかし 、ちょっと 硬い が カエル の 唐揚げ が 意外に イケる の が 驚いた 。
この 世界 に 来た 当初 は トカゲ や カエル に 抵抗 が あった が 、 定食 と して 出さ れ 、 食べて みる と 意外 と 美味 い 物 が 多い 。
目の前 の 女神 は 、どんな 食べ物 でも 一切 の 躊躇 なく モリモリ 食べて いた が 。
「でも なあ …… 。 仲間 ったって 駆け出し で ロク な 装備 も ない 俺達 と 、パーティー 組んで くれる 奴 なんか いる と思う か ? 口 一 杯 に カエル の もも 肉 を 頬張った アクア は 、手 に した フォーク を 左右 に 振った 。
「ふぉの わた ひ が いる んだ はら 、な か ああ ん て 」
「 飲み込め 。 飲み込んで から 喋れ 」
口 の 中 の 物 を ゴクリ と 飲み込み 、
「この 私 が いる んだ から 、仲間 なんて 募集 かければ すぐ よ 。 なにせ 、私 は 最上級 職 の アークプリースト よ ? あらゆる 回復 魔法 が 使える し 、補助 魔法 に 毒 や 麻痺 なんか の 治癒 、蘇生 だって お手の物 。 どこ の パーティー も 喉 から 手 が 出る ぐらい 欲しい に 決まってる じゃない 。 カズマ の せい で 地上 に 落とされ 、本来 の 力 から は 程遠い 状態 とはいえ 、仮にも 女 が ……、コホンッ ! この アクア 様 よ ? ちょ ろっと 募集 かければ 『お 願い です から 連れてって ください 』って 輩 が 山ほど いる わ ! 分かったら 、カエル の 唐揚げ もう 一つ よこしなさい よ ! と 言って 、俺 の 皿 から 唐揚げ を 奪い取る 自称 女神 を 、俺 は 不安気 に 眺めて いた 。
5.
翌日 の 、冒険者 ギルド にて 。
「……………………来ない わ ね ……」
アクア が 寂し そうに 呟いた 。
求人 の 張り紙 を 出した 俺達 は 、冒険者 ギルド の 片隅 に ある テーブル で 、すでに 半日 以上 も 未来 の 英雄 候補 様 を 待ち続けている 。
どうやら 、張り紙 が 他の 冒険者 に 見て もらえて いない 訳 で はない らしい 。 俺達 以外 に も パーティー 募集 を して いる 冒険者 は そこそこ いる 。 だが その 人達 は 次々 と 面接 を して 、何やら 談笑 した 後 どこか に 連れだって 行った 。
誰 も 来ない 理由 は 分かって いる 。
「……なあ 、ハードル 下げよう ぜ 。 目的 は 魔王 討伐 だ から 、仕方ない っちゃ 仕方ない んだ が ……。 流石 に 、上級 職 のみ 募集 してます って の は 厳しい だろ 」「うう …… 。 だって だって ……」
この 異世界 の 冒険者 として の 職 に は 、上級職 と いう もの が ある 。
アクア が 就いた 、アークプリースト も その 上級 職 の 一 つ だ 。
普通の 人間 で は そう そう 就け ない 、言って みれば 勇者 候補 だ 。
当然 、そんな 勇者 候補 は 既に 他の パーティー で 優遇 されて いる 訳 で …… 。 アクア は 、魔王 討伐 の ため に できる だけ 強力な 人材 で 固めたい ところ な のだろう 。 だが …… 。
「このまま じゃ 一人 も 来ない ぞ ? 大体 、お前 は 上級 職 かも 知れん が 俺 は 最 弱 職 なんだ 。 周り が いきなり エリート ばかり じゃ 俺 の 肩身 が 狭く なる 。 ちょっと 、募集 の ハードル 下げて ……」
俺 が そう 言って 、立ち上がろう と した 時 だった 。
「上級 職 の 冒険者 募集 を 見て 来た のです が 、ここ で 良い のでしょうか ? どことなく 気怠げ な 、眠 そうな 赤い 瞳 。
そして 、黒く しっとり と した 質感 の 、肩 口 まで 届く か 届か ない かの 長さ の 髪 。
俺達 に 声 を かけて きた の は 、黒 マント に 黒い ローブ 、黒い ブーツ に 杖 を 持ち 、トンガリ 帽子 まで 被った 、典型的な 魔法使い の 少女 だった 。
まるで 人形 の 様 に 整った 顔 を した ──ロリっ子 ──である 。 この 世界 で は 、子供 が 働いて いる の も 別に 珍しく は 無い ようだ が ……。
どう 考えて も 12~13 歳 くらい に しか 見え ない 、片目 を 眼帯 で 隠した 小柄で 細身 な その 少女 は 、突然 バサッ と マント を 翻し 、
「我が 名 は めぐみ ん ! アークウィザード を 生業 と し 、最強 の 攻撃 魔法 、爆裂 魔法 を 操る 者 ……! 「…………冷やかし に 来た の か ? 「ち 、ちがわい ! 女の子 の 自己 紹介 に 思わず 突っ込んだ 俺 に 、その 子 は 慌てて 否定 する 。
いや 、めぐみ んって なんだ 。 「……その 赤い 瞳 。 もし かして 、あなた 紅 魔 族 ? アクア の 問い に その 子 は こくり と 頷く と 、アクア に 自分 の 冒険者 カード を 手渡した 。
「 いかにも ! 我 は 紅 魔族 随一 の 魔法 の 使い手 、めぐみん ! 我が 必殺 の 魔法 は 山 を も 崩し 、岩 を も 砕く …… ! ……と いう 訳 で 、優秀 な 魔法使い は いりません か ? ……そして 図々しい お 願い なのです が 、もう 三日 も 何も 食べて いない のです 。 できれば 、面接 の 前 に 何か 食べ させて は 頂けません か ……」めぐみん は 、そう 言って 悲しげな 瞳 で じっと 見て きた 。 それ と 同時に 、めぐみ ん の 腹 の 辺り から キュー と 切ない 音 が 鳴る 。
「……飯 を 奢る ぐらい 構わない けど さ 。 その 眼帯 は どう した んだ ? 怪我 でも して いる の なら 、こいつ に 治して もらったら どう だ ? 「…… フ 。 これ は 、我 が 強大なる 魔力 を 抑える マジックアイテム であり …… 。 もし これ が 外される 事 が あれば ……。 その 時 は 、この世 に 大いなる 災厄 が もたらされる だろう ……」
「 へえ ー ……。 封印 みたいな もの か 」
「まあ 噓 です が 。 単に 、オシャレ で 着けて いる ただ の 眼帯 ……、あっあっ 、ごめんなさい 、止めて 下さい 引っ張ら ないで ください ! 「……ええ と 。 カズマ に 説明 する と 、彼女達 紅魔族 は 、生まれつき 高い 知力 と 強い 魔力 を 持ち 、大抵 は 魔法使い の エキスパート に なる 素質 を 秘めている わ 。 紅 魔 族 は 、 名前 の 由来 と なって いる 特徴的 な 紅 い 瞳 と ……。 そして 、それぞれ が 変な 名前 を 持って いる の 」
めぐみ ん の 眼帯 を 引っ張って いる 俺 に 、アクア が 言った 。
…… なるほど 。 名前 と いい 眼帯 と いい 、俺 を からかって いる の か と 思った 。
眼帯 を 解放 され 、気 を 取り 直し ため ぐみん は 。
「変な 名前 と は 失礼な 。 私 から 言わ せれば 、街 の 人達 の 方 が 変な 名前 を している と 思う のです 」
「……ちなみに 、両親 の 名前 を 聞いて も いい か ? 「 母 は ゆい ゆい 。 父 は ひょいざぶろー 」
「「…………」」
思わず 沈黙 する 俺 と アクア 。
「…………とりあえず 、この 子 の 種族 は 質 の いい 魔法使い が 多い んだ よ な ? 仲間 に して も いい か ? 「おい 、私 の 両親 の 名前 に ついて 言いたい 事 が ある なら 聞こう じゃないか 」俺 に 顔 を 近付けて くるめ ぐみん に 、アクア が 冒険者 カード を 返す 。 「 い ー ん じゃない ? 冒険者 カード は 偽造 でき ない し 、彼女 は 上級 職 の 、強力な 攻撃 魔法 を 操る 魔法使い 、アークウィザード で 間違いない わ 。 カード に も 、高い 魔力 値 が 記されてる し 、これ は 期待 できる と 思う わ 。 もし 彼女 の 言う 通り 本当に 爆裂 魔法 が 使える の なら 、それ は 凄い 事 よ ? 爆裂 魔法 は 、習得 が 極めて 難しい と 言わ れ る 爆発 系 の 、最上級 クラス の 魔法 だ もの 」
「おい 、彼女 で は なく 、私 の 事 は ちゃんと 名前 で 呼んで 欲しい 」
抗議 して くるめ ぐみん に 、俺 は 店 の メニュー を 手渡した 。
「まあ 、何か 頼む と いい よ 。 俺 は カズマ 。 こいつ は アクア だ 。 よろしく 、アークウィザード 」
めぐみ ん は 何 か 言い た そうな 顔 を し ながら 、無言 で メニュー を 手 に 取った 。
6.
「爆裂 魔法 は 最強 魔法 。 その分 、魔法 を 使う の に 準備 時間 が 結構 かかります 。 準備 が 調う まで 、あの カエル の 足止め を お願い します 」俺達 は 満腹 に なった めぐみん を 連れ 、あの ジャイアントトード に リベンジ に 来て いた 。 平原 の 、遠く 離れた 場所 に は 一匹 の カエル の 姿 。
その カエル は 、こちら に 気付いて 向かって 来て いた 。
だが 、更に 逆 方向 から も 別の カエル が こちら に 向かう 姿 が 見える 。
「遠い 方 の カエル を 魔法 の 標的 に して くれ 。 近い 方 は ……。 おい 、行く ぞ アクア 。 今度 こそ リベンジ だ 。 お前 、一応 は 元 なん たら なんだ ろ ? たまに は 元 なん たら の 実力 を 見せて みろ ! 「元 って 何 !?ちゃんと 現在 進行 形 で 女神 よ 私 は ! アークプリースト は 仮 の 姿 よ ぉ ! 涙 目 で 俺 の 首 を 絞めよう と して くる 自称 女神 を 、めぐみん が 不思議 そうに 。
「…… 女神 ? 「……を 、自称 している 可哀想な 子 だ よ 。 たまに こういった 事 を 口走る こと が ある んだ けど 、できるだけ そっと しておいて やって 欲しい 」
俺 の 言葉 に 、同情 の 目 で アクア を 見る めぐみん 。
涙 目 に なった アクア が 、拳 を 握って ヤケクソ 気味に 、近い 方 の カエル へ と 駆け出した 。
「何 よ 、打撃 が 効き 辛い カエル だ けど 、今度 こそ 女神 の 力 を 見せて やる わ よ ! 見て なさい よ カズマ ! 今 の ところ 活躍 して ない 私 だ けど 、今日 こそ はっ ! そう 叫んで 、見事 カエル の 体内 へ 侵入する 事 に 成功した 学習 能力 の無い アクア が 、やがて 動かなくなり 、そのまま 一匹 の カエル を 足止めする 。
流石 は 女神 、身 を 挺 して 時間 稼ぎ を して くれている らしい 。
……と 、めぐみん の 周囲 の 空気 が ビリビリ と 震え だした 。
めぐみ ん が 使おう と している 魔法 が ヤバ そうな こと は 、魔法 を 知ら ない 俺 で も 分かった 。
魔法 を 唱える め ぐみん の 声 が 大きく なり 、 めぐみ ん の こめかみ に 一筋 の 汗 が 伝う 。
「見て いて ください 。 これ が 、人類 が 行える 中 で 最も 威力 の ある 攻撃 手段 。 ……これ こそ が 、究極 の 攻撃 魔法 です 」
めぐみ ん の 杖 の 先 に 光 が 灯った 。
膨大な 光 を ギュッと 凝縮 した 様な 、とても 眩しい が 小さな 光 。
めぐみ ん が 、紅い 瞳 を 鮮やかに 輝かせ 、カッ と 見開く 。
「『 エクスプロージョン 』 ッ ! 平原 に 一筋 の 閃光 が 走り抜ける 。
めぐみ ん の 杖 の 先 から 放たれた その 光 は 、遠く 、こちら に 接近してくる カエル に 吸い込まれる 様 に 突き刺さる と ……!
その 直後 、凶悪 な 魔法 の 効果 が 現れた 。
目 も 眩む 強烈な 光 、 そして 辺り の 空気 を 震わせる 轟音 と 共に 、 カエル は 爆裂 四散 した 。