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三姉妹探偵団 3 珠美・初恋篇, 三姉妹探偵団 3 Chapter 06

三 姉妹 探偵 団 3 Chapter 06

6 ある 居候

「 夕 里子 、 遅い わ ね 」

と 、 綾子 が 言った 。

「 いい じゃ ない の 。

放っとけば 」

珠美 は さっさと 夕食 を 終えて 、「 TV 見よう っと 」

「 あんた 、 夕 里子 の こと 、 心配じゃ ない の ?

「 夕 里子 姉ちゃん は しっかり して る もん 。

大体 、 誰 と デート して る か 、 分 って ん の ? 刑事 さん よ 。 これ 以上 安全な こと なんか ない じゃ ない の 」

「 それ ぐらい 分 って る わ よ 」

と 、 綾子 は 憮然と して 、「 こう 見えて も 、 長女 な んです から ね 」

「 先 に 生れた ぐらい で 威張 ん ないで よ 」

「 あんた は もう ……」

と 、 綾子 は ため息 を ついて 、「 少し 年上 の 人間 へ の 敬意 を 持ったら ?

「 持って る よ 」

と 、 珠美 は 言い 返した 。

「 でも 、 それ は 年下 の 人間 が 、 自主 的に 持つ もの で 、 年上 の 方 から 請求 して 来る もん じゃ ない と 思う けど 」

「 理屈 ばっかり 」

と 、 綾子 は 諦めた ように 首 を 振った 。

「 ともかく ね 、 心配 は 心配 よ 。 いくら 相手 が 刑事 さん でも 」

「 どうして ?

「 だって ── 刑事 さん だって 男 でしょ 。

夕 里子 は 女 よ 」

珠美 は びっくり して 、

「 じゃ 、 お 姉ちゃん 、 そんな こと 心配 して る わけ ?

夕 里子 姉ちゃん と 国 友 さん が ホテル か 何 か で ──」

珠美 は 、 そこ まで 言う と 、 ゲラゲラ 笑い 出した 。

「 あんた は 子供 だ から そう やって 笑って る けど ね 。

男 と 女 なんて 、 本当に ちょっと した 勢い で 、 そんな 風 に なっちゃ う の よ 」

「 そう ね 。

── 綾子 姉ちゃん 、 前科 が ある もん ね 」

珠美 に からかわ れて 、 綾子 は 、

「 何 よ !

と 、 真 赤 に なって いる 。

いささか 大人げない 、 と いう 感じ である 。

「 夕 里子 姉ちゃん も 、 もう 高校 三 年生 な んだ から 、 いい じゃ ない の 恋人 と 少々 何 か あって も 」

「 そういう もの じゃ ない の よ 」

と 、 綾子 は おごそかに 、「 それ は お 嫁 に 行く まで 大切に ──」

「 でも ねえ 、 国 友 さん 、 ちゃんと 避妊 して くれる か な 。

中絶 する と 、 体 に 悪い し 、 お 金 も かかる し ……」

綾子 は 、 諦めた ように 、 ため息 を ついた 。

「── あら 電話 」

「 きっと 夕 里子 姉ちゃん だ 」

と 、 珠美 が 立って 行く 。

「 ベッド の 中 から かも ね 」

「 早く 帰る ように 言って 」

綾子 は 、 のんびり と 夕 ご飯 を 食べ 始めた 。

今 まで 、 夕 里子 が 帰って 来る か と 、 待って いた のである 。

「 はい 、 佐々 本 です 。

── あ 、 夕 里子 姉ちゃん ? どこ から かけて る の ? 「 今 、 やっと 現場 の 処理 が 終った の よ 」

「 何だか サイレン の 音 が して る ね 。

現場 って 何の 現場 ? 「 殺人 事件 」

「 へえ 」

珠美 は 目 を パチクリ さ せた 。

「 お 姉ちゃん も 好き ねえ 」

「 誰 も 、 好きで 殺人 に 出くわして る わけじゃ ない わ よ 」

と 、 夕 里子 が 、 いささか 不機嫌 そうに 言い 返した 。

「 もう 、 お腹 空いちゃ って ──」

「 国 友 さん 、 一緒じゃ ない の ?

「 現場 に 居 合せた んだ もの 、 ご飯 食べる どころ じゃ ない の 。

今 から 帰って 食べる わ 。 お 姉さん に そう 言 っと いて 」

「 うん 、 分 った 。

ついでに 犯人 も 捕まえて きたら ? 「 そう 簡単じゃ ない わ 。

あ 、 それ に ね 、 殺さ れた の 、 あんた の 数学 の 先生 よ 」

「 数学 ?

── 丸山 ? 「 そう 。

ほら 、 例の 問題 の コピー の こと で ね 、 話 を 聞いて た の 」

「 へえ !

「 ともかく 、 帰って ゆっくり 説明 する わ 。

じゃあ ね 」

珠美 は 、 受話器 を おろす と 、 ちょっと 首 を かしげて 、

「 明日 の 宿題 、 やって か なくて も 大丈夫 か なあ ……」

と 呟いた 。

居間 へ 行こう と して 、 珠美 は 、 足 を 止めた 。

「 気のせい かな ……」

トントン 、 と ドア を 叩く ような 音 が 聞こえた のだ 。

でも ── 客 なら 、 チャイム を 鳴らす だろう し 。

と 、 歩き かける と 、 今度 は もっと はっきり 、 トントン 。

「 誰 かな ……」

珠美 は 、 玄関 に 出て 行く と 、 サンダル を つっかけ 、「 どなた です か ?

と 声 を かけた 。

歩き かけた らしい 足音 が 、 止った 。

珠美 は 、 覗き 穴 から 外 を 見た 。

誰 だ か …… 男 だ 。

いや 、 男の子 ……。

「 な あんだ 」

珠美 は ドア を 開けた 。

「 あんた だった の 」

有田 勇一 は 、 ためらい がちに 、 歩いて 来る と 、

「 よう 」

と 言った 。

「 どうした の ?

「 うん ……。

どう って ── わけじゃ ない けど ──」

と 、 勇一 は 、 両手 を ポケット に 突っ込んだ まま 、 言葉 を 濁した 。

「 上る ?

「 一 人 か ?

「 姉さん が いる 」

「 そう か 」

勇一 は 、 肩 を すくめて 、「 じゃ 、 また 来 ら あ 」

「 何 よ 。

大丈夫 よ 、 綾子 姉ちゃん は 、 そんな こと やかましく 言わ ない から 」

「 でも 、 別に どう って 用 じゃ ねえ んだ 」

と 、 勇一 は 言った 。

「 お腹 、 空いて んじゃ ない の ?

「 いや 、 ちっとも 」

と 言った とたん 、 勇一 の お腹 が 、 グーッ と 抗議 の 声 を 発した 。

珠美 は 吹き出して しまった 。

「 無理 し ないで 。

入 ん なさい よ 」

「 じゃあ ……」

勇一 は 、 きまり 悪 げ に 、 真 赤 に なって 、 それ でも 中 へ 入って 来た 。

「 ちょっと ── 手 を 洗わ せて くれ 。 汚れて んだ 」

「 いい わ よ 。

そっち が 洗面 所 」

珠美 が 台所 へ 行く と 、 綾子 が 顔 を 上げた 。

「 夕 里子 、 戻った の ?

「 う うん 。

お 客 」

「 お 客 様 ?

── じゃ 、 居間 へ お 通し して ──」

「 ここ で いい の よ 」

「 こんな 所 に お 通し しちゃ 失礼 よ 」

「 便利だ から いい の 」

「 便利 って ?

── そこ へ 、 勇一 が 顔 を 出した 。

「 かけて よ 。

今 、 ご飯 よそ って あげる 」

と 、 珠美 が 言った 。

「 この 人 ね 、 有田 勇一 。 これ が 上 の 方 の お 姉ちゃん 」

「 どうも ……」

勇一 が ボソッ と 呟く ように 言った 。

「 まあ 、 いらっしゃい 」

綾子 が 、 パッと 立ち上る と 、「 いつも 珠美 が お 世話 に なって ──」

と 始めた ので 、 勇一 も あわてて 立ち上り 、

「 と 、 とんでもない です 。

こっち こそ ──」

「 座 んな さい って 、 二 人 と も 」

珠美 が 呆れ顔 で 、「 ただ の 友だち な んだ から 、 気取る こと ない わ よ 」

「 そう ?

綾子 は 、 それ でも 何となく 心残りな 様子 で 、

「 どうぞ ご ゆっくり 」

など と やって いる 。

しかし ── 勇一 が ご飯 を 食べ 始める と 、 いくら 綾子 でも 、 話し かける 気 に は なれ なく なった 。

ご飯 、 おかず ── どちら も 見る見る 内 に 、 消えて いた 。

まるで 四 次元 の 世界 へ でも 吸い 込ま れた か の よう …… と いう の は 大げさだ が 、 実際 、 さしも の 珠美 が 啞然 と する ほど の スピード であった 。

「 よっぽど …… お腹 が 空いて た の ね 」

と 、 綾子 が やっと 口 を 開いた とき に は 、 すでに 勇一 は 三 杯 目 であった 。

「── ああ 、 旨 かった !

と 、 空 の 茶碗 を 置いて 、 息 を つく 。

「 今 日一日 、 何も 食べて なかった んでしょ 」

と 、 珠美 が 、 呆れ顔 で 言った 。

「 そんな ん じゃ ねえ や 」

と 、 勇一 は 言い 返した 。

「 昨日 も だ 」

「 よく 生きて た わ ね 、 全く !

と 、 珠美 は 笑って しまった 。

そして ── はて な 、 と 思った 。

私 、 今日 は どうかして る ぞ 。

いつも だったら 、 ろくに 知り も し ない こんな 奴 に 、 タダ で 飯 なんか 食わ して やったり し ない 。

たとえ 食べ させた と して も 、 ちゃんと 請求 書 を 渡して やる だろう 。

でも …… 何となく 、 そんな 気 に なら ない のだ 。

ま 、 大体 、 見た って 、 一 文なし って こと は 分 る から 、 請求 する だけ 、 む だって もの だ が 、

「 ああ くたびれた ……」

と 、 勇一 が 、 今度 は 眠く なった の か 、 大 欠 伸 を した 。

「 ちょっと ── 休ま せて もらって い い か な 」

「 いい わ よ 。

ソファ に 引っくり返って れ ば ? 「 サンキュー 。

そう すら あ 」

勇一 は 、 居間 の 方 へ 歩いて 行った 。

「── 珠美 」

綾子 が 、 少し して 言った 。

「 変った 友だち が いる の ね 」

「 え ?

── そう ね 。 ちょっと ユニークな 子 でしょ 」

「 言葉づかい は 感心 し ない わ ね 。

まあ 、 人 は いい みたいだ けど 」

「 そう ?

「 ただ の 不良 って 感じ じゃ ない わ よ 。

何だか 無理 して 『 不良 して る 』 みたい 」

綾子 は 、 およそ 世間知らずで 、 子供 みたいな もの な のだ が 、 その 無邪気な 直感 が 、 時として 、 人 を 見抜く 力 に も なる 。

「 へえ 。

── 綾子 姉ちゃん 、 なかなか いい こと 言う じゃ ない ? 「 姉 を からかっちゃ いけない わ 」

と 、 綾子 は 言って から 、「 あら !

「 どうした の ?

「 夕 里子 に と っと いた おかず 、 あの 子 、 全部 食べちゃ った わ 」

と 、 綾子 は 言った ……。

「── 何で すって ?

夕 里子 は 、 自分 の 耳 を 疑った 。

「 珠美 、 今 何て 言った の ? 玄関 を 上った ところ で 、 夕 里子 は ポカン と 突っ立って いた 。

「 だから ── これ 」

と 、 珠美 が 差し出して いる の は ……。

「 珠美 ── あんた 、 それ が 何 か 分 って る の ?

「 千 円 札 よ 」

「 そう よ 。

それ を 私 に くれる って いう の ? 「 うん 」

夕 里子 は 、 急いで 、 珠美 の 額 に 手 を 当てて みて 、「 熱 は ない わ ね 」

「 失礼 ねえ 」

「 だって ── あんた が 自分 の 小づかい から 千 円 出して よこす なんて ……」

「 だから 説明 した じゃ ない の 。

友だち が 全部 おかず を 食べちゃ った の よ 。 だから 、 夕 里子 姉ちゃん 、 これ で 外 へ 行って 何 か 食べて 来て って こと 」

「 そりゃ 、 理屈 は 分 る けど ──」

「 でも 、 おつり が あったら 、 返して よ 」

この 辺 は 珠美 らしい ところ だ 。

「 いい わ よ 、 そんな こと 」

と 、 夕 里子 は 手 を 振って 、「 私 、 もう クタクタ な の 。

外 へ 食べ に 出る 元気な いわ 。 目玉焼き と か 何 か で 食べる から いい わ よ 」

台所 へ 入って 行く と 、 綾子 が 洗い もの を して いる 。

「 お 帰り 」

と 、 綾子 は 、 手 を 拭いて 、「 国 友 さん 、 ちゃんと して くれた ?

「── 何 を ?

珠美 が 吹き出した 。

「 綾子 姉ちゃん ね 、 夕 里子 姉ちゃん が 国 友 さん と ホテル に 行って た と 思い 込んで んだ よ 」

「 馬鹿 言わ ないで よ !

と 、 夕 里子 は 真 赤 に なった 。

「 こっち は 殺人 事件 を 目撃 して 、 大騒ぎ だった 、 って いう のに 」

「 殺人 ?

「 そう 。

── 卵 を 出して 、 と 。 フライパン に 油 を ひいて ……」

夕 里子 が さっさと 勝手に 目玉焼き を 作って 、 ご飯 を 食べ 始める と 、 綾子 、 珠美 は 椅子 に かけて 、 しばらく 黙って 夕 里子 を 眺めて いた 。

「── 何 よ 、 人 の こと ジロジロ 見て 」

と 、 夕 里子 は 口 を モグモグ やり ながら 言った 。

「 食べ にくい じゃ ない の 」

「 ねえ 、 夕 里子 。

── お 願い だ から 、 また 、 危 い こと に 首 を 突っ込ま ないで ね 」

「 仕方ない でしょ 。

事件 の 方 が 、 勝手に やって 来た んだ から 」

「 それ に したって さ ……。

パパ が い ない と 、 決 って こう だ もの ねえ 」

と 、 綾子 は ため息 を ついた 。

「 殺人 事件 なんか に 巻き 込ま れる より は 、 まだ 国 友 さん と ホテル へ 行って くれた 方 が いい わ 」

「 綾子 姉ちゃん 、 大胆な こと 言う じゃ ん 」

と 、 珠美 は ニヤニヤ して いる 。

「 ま 、 出産 の 方 が お 葬式 より は 安く 上る けど ね 」

「 二 人 で 勝手に やって なさい 。

── 国 友 さん は 、 事件 で 、 女の子 どころ じゃ ない の よ 」

「 夕 里子 姉ちゃん 、 目撃 した って 言った ね 、 さっき 」

「 そう よ 」

「 じゃ 、 丸山 先生 が 殺さ れた の を 見た わけ ?

「 まあ ね 」

── 食べ ながら 、 夕 里子 が いきさつ を 説明 して やる と ( ただし 、 あの 杉 下 ルミ の 出て 来た くだり は 省いて いた )、 珠美 は 肯 いて 、

「 フーン 。

じゃ 、 犯人 を 見た んだ 」

「 そう 。

── 印象 的だった わ 。 血 の ついた ナイフ を 手 に 、 呆然と 突っ立って る の 」

「 じゃ 、 すぐ 捕まる ね 」

「 でしょう ね 。

国 友 さん 、 もう 手配 して る はず よ 」

「 男の子 なんて ……。

どうして 丸山 先生 を 殺したり した の か なあ 」

「 知ら ない わ 。

この 前 の 事件 と 関係 ある んじゃ ない ? 「 この前 って ?

「 有田 信子 が 殺さ れた 事件 よ 」

珠美 が 、 ちょっと 不安 げ な 顔 に なった 。

「 どうして ── そう 思う の ?

「 だって 、 丸山 先生 を 刺した の 、 有田 信子 の 息子 な んだ もの 」

これ を 聞いて 、 珠美 も さすが に 愕然と した 。

「 でも ── お 姉ちゃん 、 知ら ない でしょ 、 その 子 の 顔 なんか 」

「 国 友 さん が そう らしい って 言った の 。

で 、 大倉 さん って いう 、 その 子 の 入って る 施設 の 所長 さん に 会って ね 、 写真 を 見せて もらった の よ 」

「 その 子 の 写真 ?

「 間違い なく 、 有田 勇一 だった わ 。

しかも 、 姿 を くらまして る 、 って いう し ね 」

「 でも ── 他人 の 空似 って こと も ある んじゃ ない ?

「 私 、 そんなに 目 は 悪く ない もん 」

夕 里子 は 空 に した 茶碗 を 流し へ 運んで 、 洗い 始めた 。

「── 夕 里子 」

と 、 綾子 が 振り向いた 。

「 その 子 、 何て 名前 ? 「 犯人 ?

有田 勇一 。 どうして ?

「 どこ か で 聞いた 名 だ と 思って ……。

ねえ 、 珠美 ── あら ? 珠美 は 、 居間 へ 入って 行った 。

ソファ に 、 勇一 が 引っくり返って 寝て いる 。

よほど 疲れて いる のだろう 。

グオーッ 、 と いう 、 派手な 寝息 を たてて 、 少々 の こと で は 目 を 覚まし そうに ない 。

珠美 は 、 初めて 、 勇一 の 着て いた ジャンパー に 、 血 らしい もの が こびりついて いる のに 気 が 付いた 。

「 ちょっと 。

── 起き なさい よ 。 ── ねえ 、 ちょっと ! 珠美 は 、 力一杯 、 勇一 を 揺さぶった 。

「 ウーン 」

と 、 勇一 は 唸った が 、 また そのまま グーッ と 寝 込んで しまう 。

「 参った なあ ……。

ほら 起きて ! 捕まっちゃ う よ ! もう 一 度 、 起こそう と やって みる が 、 とても だめだ 。

「── 珠美 、 誰 、 それ ?

夕 里子 が 入って 来た 。

そして 、 眠って いる 勇一 を 見る と 、 目 を 丸く した 。

「 この 子 ……。

この 子 だ わ ! 丸山 を 殺した の は 、 この 子 よ ! 「 ねえ 、 お 姉ちゃん ──」

「 どうして 、 この 子 が ここ で 寝て る の ?

「 何 か あった の ?

と 、 綾子 が 顔 を 出す 。

「 あら 、 珠美 の 友だち 、 いい 気持 で 寝ちゃ って る わ ね 」

「 珠美 の 友だち ?

夕 里子 は 仰天 した 。

「 珠美 ! どういう こと ? 「 うん ……。

まあ 、 ちょっと した 知り合い な の 」

そう と でも 言う しか ない 。

「 だけど 、 夕 里子 姉ちゃん 、 この 子 、 人 を 殺したり し ない わ よ 」

「 だって 、 私 、 見た んだ もの 」

「 見 間違い って こと だって ある でしょ ?

「 それ は 、 警察 で 調べて くれる わ 。

── 国 友 さん へ 電話 しよう 」

と 、 夕 里子 が 電話 の 方 へ 行き かけた とき だった 。

信じ られ ない ような こと が 起きた 。

珠美 が ダッ と 駆け 出す と 、 電話 の 前 に 立ちはだかった のである 。

「 だめ !

「 珠美 ── どうした の よ ?

「 その 子 を 見なさ いよ !

そんなに 疲れて ── そんなに 気持 良 さ そうに 眠って る じゃ ない の 。 夕 里子 姉ちゃん 、 警官 を 呼んで 、 その 子 を 叩き起こそう って いう の ? 珠美 の 剣幕 に 、 夕 里子 は 呆 気 に 取ら れて いた 。

「 だって 、 珠美 ──」

「 どうしても 警察 呼ぶ なら 、 その 子 が たっぷり 眠って から に して 」

「 あんた 、 変 よ 。

どうした の ?

「 どうも し ない 。

ただ ── その 子 が 可哀そうな の よ 」

「 殺人 犯 よ 」

「 どうしても 、 今 、 一一〇 番 する んだったら 、 私 、 この 家 を 出て 行く !

もう お 姉ちゃん たち と は 関係 ない 人間 に なる んだ 」

「 あんた ……」

夕 里子 は 、 やっと 、 信じ がたい 結論 に 達した 。

「 あんた ── この 子 が 好きな の ね 」

珠美 に も 、 それ は 思いがけない 言葉 だった 。

「 そんな ん じゃ ない !

可哀そうな だけ よ 」

と 言い 返す 。

「 驚いた ……」

夕 里子 は 首 を 振った 。

珠美 が 恋 を !

── そんな 話 を 聞けば 、 まず 大笑い した だろう 。

珠美 の 恋人 は 「 お 金 」 だけ だ 、 と ── そう 思って いた 。

いや 、 珠美 自身 も 、 そう 言って いた 。

だけど 、 いつまでも 珠美 だって 、 子供 で は ない 。

夕 里子 だって 、 それ くらい は 分 って いる が 、 しかし 、 こう も 突然に その 現実 を つきつけ られる と は 、 思わ なかった のである 。

珠美 が 恋 を した 。

夕 里子 は 、 ふっと 、 自分 の 興奮 が たちまち 冷めて いく の を 感じた 。

── 夕 里子 の 中 に ある 、「 母親 代り 」 の 部分 が 、 一種 の 感慨 を 抱いて いる の かも しれ なかった 。

そう 。

それ は ごく 自然な こと で 、 そして 決して 悪い こと じゃ ない 。

「── 分 った わ 」

と 、 夕 里子 は 言った 。

「 起きる まで 待って ましょう 」

「 お 姉ちゃん ……」

珠美 が 、 頰 を 染めた 。

「 ごめん 。 つい カッ と して 」

「 あんた も カッ と する こと 、 ある んだ って 分 って ホッと した わ よ 」

と 、 夕 里子 は 微笑んだ 。

「── 夕 里子 」

と 、 綾子 が 言った 。

「 あんた 、 本当に この 子 が 人 を 殺す の を 見た の ? 「 どうして よ ?

「 私 、 この 子 は 人 なんか 刺せ ない と 思う 」

と 、 綾子 は 言った 。

「 目 が 優しい わ 」

「 目 が 、 ね ……」

夕 里子 は 、 ため息 を ついた 。

全く 、 我が家 は 「 まとも 」 な 人間 が い ない んだ から !

「 私 、 ちゃんと 見た の よ 、 この 子 が 血 の ついた ナイフ を 持って ──」

と 言い かけ 、 夕 里子 は 言葉 を 切った 。

そう か 。

夕 里子 とて 、 勇一 が 丸山 を 刺す ところ を 見た わけで は ない 。

「 確かに 、 刺す ところ は 見て ない わ 」

「 ほら 、 そう でしょ !

珠美 が 飛び上った 。

「 それ じゃ 、 この 子 が 刺した か どう か 、 分 ら ない じゃ ない の 」

「 理屈 じゃ ね 」

と 、 夕 里子 は 肩 を すくめた 。

「 でも 、 この 子 、 あわてて 逃げた わ 」

「 何 か わけ が ある の よ 。

── 母親 を 殺した 犯人 を 見付ける んだ って 言って た から 」

「 あんた 、 どこ で そんな 話 、 聞いた の ?

珠美 が 、 勇一 と の 出会い と 、 そして 母親 の 葬儀 で 、 小 峰 と いう 老 紳士 が 現われた こと まで 話す と 、 夕 里子 は ますます びっくり した 。

「 じゃ 、 勇一 は 、 その お 金持 の 孫 、 か 。

── ドラマチック ね ──」

「 で 、 どう する の ?

と 、 綾子 が 言った とき 、 電話 が 鳴り 出して 、 三 人 と も ギョッ と した 。

「── はい 、 佐々 本 です 」

珠美 が 出て 、「── あ 、 国 友 さん 。

── お 姉ちゃん …… いる よ 。 ── 待って ね 」

珠美 が 受話器 を 夕 里子 に 渡す 。

夕 里子 は 、 少し 間 を 置いて から 、 受話器 を 取った 。

「── もしもし 」

「 や あ 、 悪かった ね 。

送って 行け なくて 」

「 いい の 。

そっち は どう ? 「 やっと 一 段落 した 。

今 、 手配 を 終った ところ だ よ 」

「 有田 勇一 の ?

「 もちろん さ 」

「 それ で ── 見付かり そう ?

「 どうか な 。

やって みる しか ない よ 。 非常 線 に 、 まだ 引っかかって い ない 」

夕 里子 は 、 ちょっと 、 振り向いて 、 ソファ で 、 相 変ら ず ぐっすり 眠って いる 有田 勇一 を 見た 。

「 大倉 さん って いう 人 、 何 か 言って た ?

と 、 夕 里子 は 訊 いた 。

「 うん 。

── あの 子 が 人 を 殺す と は 思え ない と 言って た よ 」

「 そう 」

「 しかし 、 目撃 者 が いる んだ から ね 。

── まあ 丸山 が 母親 を 殺した と 思った のだ と したら 、 分 ら ないで も ない 」

「 丸山 が やった の かしら ?

「 動機 が ある かな ?

── 捜査 は これ から だ よ 」

「 そう ね ……」

「 ともかく 、 今夜 は 、 悪かった ね 」

「 いい の よ 。

── あの ルミ って 子 は ? 「 さすが に ここ まで は ついて 来 ない よ 」

と 、 国 友 は 笑った 。

「 もてて 困る わ ね 」

「 冷やかす な よ 」

「 じゃ 、 何 か 分 ったら 教えて 」

「 うん 。

── 明日 から は また フル 回転 だ よ 」

「 気 を 付けて ね 」

── 夕 里子 は 、 お やすみ なさい 、 と 言って 、 電話 を 切った 。

「── 言わ なかった ね 」

と 、 珠美 が 息 を ついて 、「 ありがとう 」

「 あんた が 礼 を 言う こと ない わ 」

夕 里子 は 肩 を すくめた 。

「 明日 、 その 子 から ゆっくり 話 を 聞き ま しょ 。 もし 、 本当に やった の なら ──」

「 自首 さ せる わ よ 」

珠美 は そう 言って 、「── ああ 、 安心 したら こっち も 眠く なっちゃ った 。

お 風呂 に 入って 寝 よう っと 」

さっさと 行って しまう 。

夕 里子 は 、 綾子 と 顔 を 見合せた 。

「 珠美 ったら ……」

夕 里子 は 苦笑い し ながら 、「 やっぱり 姉妹 ね 。

お 姉ちゃん と も 似た とこ ある わ 」

と 言った 。

「 どういう 意味 ?

綾子 に は 、 一向に 分 って いない 様子 だった ……。

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