盾 の 勇者 の 成り上がり 01 Chapter 26
番外 編 お 子様 ランチ の 旗
「行って き まーす !
「お 昼 まで に は 戻って くる の よ ー 」
「 は ー い 」
今日 は 凄く 良い 天気 !
わたし は お母さん に 出発 の あいさつ を して から 村 の 広場 で 待っている キール 君 達 の 所 へ 向かう 。
「おお 、ちゃんと 来た な 」
「 うん 」
キール 君 が 犬 に 似た 耳 を ピコピコ と 動かし ながら わたし を 待って いた 。
もう 他の 子達 も 集まって いる 。
「今日 は サディナ 姉ちゃん が いない から 海 に 行っちゃ ダメ だって さ ……別に 大丈夫 だって 言った のに さ 」
「でも キール 君 、この 前 溺れ かけて た じゃない 」
「う 、うる せえ な 。
だから 今日 は 草原 の 方 へ 遊び に 行こう ぜ 」
「 うん !
みんな して 頷く 。
「じゃあ 出発 な !
お前 も ちゃんと 付いて こい よ 」
「わたし を 誰 だ と 思って いる の ?
走る の は 得意 な んだ から ! みんな で 競う ように 草原 に 向かって 走り出す 。
これ でも わたし は 走る の が 大 得意 。
駆けっこ じゃ この 中 で 一 番 早い キール 君 と おんなじ くらい 早く 走れる んだ から 。
ダッ と 走って 行く と みんな 私 の 後ろ を ついて くる 。
「やっぱり 早い な ぁ ──ちゃん 」
「腕 を 前 に 出して 少し でも 前 に 出よう って 意識 する と 早く 走れる ように なる んだ よ 」
と 、足 の 遅い 子 に 早く 走る コツ を 話している と 近く の 草原 に 着いた 。
お 父さん 達 は 魔物 が 出る から 気 を つけなさい と 言っていた けど 、今まで 危険な 魔物 に なんて 会った 事 無い もん 。
「今日 は 何 する ?
「 くっそ ー 。
負けた 。 ぜって ー 追いついて やる 」
キール 君 が わたし に 向かって ムキ に なって 睨んで くる 。
ふ ふん 。
今日 の わたし は とても 調子 が 良い んだ もん 。
「じゃあ 今日 の 遊び は 鬼ごっこ で 良い ?
「お うよ !
「 うん !
みんな 、わたし の 提案 に 頷いた 。
「鬼 は 俺 だ !
絶対 に 追いついて やる から な 」
「負け ない よ ー !
負けず嫌い だ な ぁ キール 君 は 、でも そこ が 魅力的 だ よね 。
「あ は は は は ー 」
「 くっそ ー 。
待て ー ! なんか キール 君 が 凄く ムキ に なって 私 ばかり 追い かけて くる 。
やがて 二 人 揃って 疲れちゃった 頃 に みんな で 休憩 を する 事 に なった 。
「次 は 何 を しよう か な ?
「みんな は まだ 遊べる よ ね 」
「お 手伝い は し なくて も 大丈夫 だ よ 」
なんだか んだ で みんな 家 の 手伝い で 忙しく なる 時 が ある 。
わたし だって お母さん と 一緒に ご飯 を 作る お手伝い を している もん 。
「もう 一回 鬼ごっこ だ 」
「 もう 疲れちゃった ー 少し 休ま せて よ 」
キール 君 が 元気 過ぎて 困っちゃう 。
さすが は 男の子 だ よ ね 。
「 ちっ…… じゃあ まだ 元 気 の ある 奴 等 で かくれんぼ な 」
「 おう !
男の子 達 が 揃って 立ち 上がり 、遊び を 再開 する 。
「 元気 ね ー 」
「 そう ね ー 」
近所 の リファナ ちゃん が わたし と 一緒に 微笑ましく 男の子達 を 見つめ ながら 同意した 。
「ねえ ねえ 。
村 の 中 で 好きな 子 いる ? 「ん ー ……」
なんだか んだ で わたし 達 は 恋愛 と いう もの が 気に なる 年頃 に 差し掛かって いた 。
村 で は 年上 の お姉さん達 が 、誰 と 付き合っている か とか 、誰 と 結婚するんだ とか 囁き合っていて 、自然と 私達 も 興味 が 湧いて来ている 。
「 お 父さん みたいな人 かな ー 」
「そう じゃ なくて おんなじ くらい の 年齢 だったら 」
「 うーん 」
鬼ごっこ に 夢中 に なって いる キール 君 達 に 目 を 向ける 。
なんだか んだ で カッコいい の は キール 君 だ よ ね 。
顔 も 整って いる し 。 だけど 、自分 で 言う の も なんだ けど わたし は あんまり 鏡 で 見る 自分 の 容姿 に 自信 が 無い 。
近く の 町 へ 行く と 同い年 位 でも かわいい 子 が 沢山 いて 、それ は 成長 する に つれて 如実に 表れて くる 。
私 の 種族 って あんまり 顔 は 良く ない らしい し ー …… 。
でも お 父さん は カッコいい し 、顔 も 良い 。
私 も お父さん 似 に なり たい なぁ 。
お 母さん は みんな に かわいい って 言わ れて る 。
優しい し 、 料理 も 上手だ し ー ……。
大人 に なったら 綺麗 に なる か な ?
と お母さん に 聞いた 事 も ある 。
そ したら お母さん は 優しく 頷いて くれた 。
だ から 大きく なったら 美人 に なる はずだ もん 。
その後 、お母さん に 男の人 を 好きに なる って どんな 気持ち な の ?
わたし の 好き と は 違う の ? って 聞いたら 困って た 。
どうも わたし の 好き って 気持ち は 、そう 言う の と は 違う らしい 。
「好き って 種類 が ある みたいで 、よく わかん ない 。
私 の 好き って 違う んだ って お母さん が 言ってた 」
「そっかー 私 は ね 。
伝説 に 存在 する 盾 の 勇者 様 みたいな 人 と 結婚 し たい ! リファナ ちゃん は 村 一番 の 仲良し で 、わたし より も 女の子 らしくて 、恋愛 や 恋人 の 話 が 好き 。
特に 昔話 に も ある 、四人 の 伝説 の 勇者 様 ……中でも 亜人 を 大切に して くれた 盾 の 勇者 様 に 憧れて いる 。
「わたし は ──」
なんて 話して いた その 時 の 事 。
この 時 まで 、私 は 、こんな 平和な 日々 が ずっと 続く と 何の 疑い も 無く 信じて いた 。
ピシッ !
と 、大きな 音 が 辺り に 響き 渡った 。
なんだろう と 思って いる と 空気 が 震えて 、風 で 吹き飛ばさ れ そうに なる 。
「 わ !
「 キャ !
「う お !
みんな して 身 を 伏せて 風 が 止む の を 待った 。
しばらく する と 風 が 止んで 静かに なる 。
「な 、なん だった んだ ?
「おい 、あれ 」
キール 君 が 空 を 指差した 。
わたし は 目 で その 先 を 追って 、言葉 を 失って しまった 。
まるで お 空 を ナイフ で 抉った ように 赤い 、不気味な 亀裂 が 草原 の 先 の 方 へ 延びて いた 。
「どう しよう 」
「何 か あったら 村 に 戻れ って お父さん 達 が 言ってた よ 」
「ここ で 調べ に 行か なくて 何時 行く んだ よ 」
「ダメ だ よ キール 君 !
私 を 含め みんな で キール 君 を 押さえ つけて 急いで 帰る 事 に する 。
「お 父さん !
お 父さん が 隣町 から 帰って きて いた 。
私 は 急いで お 父さん の 方 へ 駆け寄る 。
「大丈夫 だった かい ?
心配 した んだ よ ? 「 うん 。
何 か あったら 村 に 戻って って お父さん が 言ってた 通り に 急いで 戻ってきた の 」
「良い 子 だ ね 」
お 父さん が 私 の 頭 を 撫でて くれる 。
え へ へ ……。
そして お 父さん は 村 の 大人達 と 話 を 始めた 。
「みんな 、領主 様 と 話 を して きた 。
なんでも あの 空 の 亀裂 の 根元 から 大量 の 魔物 が 溢れ だして いる そうだ 」
「じゃあ 、村 の 者 で 戦え そうな 者 は 出る 事 に なる の か ?
「一応 、そう なる 」
空 の 亀裂 の 方 から 不気味な 遠吠え が 聞こえて きた 。
私 の 尻尾 が ぞわぞわ と その 声 に 逆立つ 。
凄く 怖い 声 だった 。
「大丈夫 かね ?
「 う ー む ……」
「お 、おい !
大変 だ ! 町 の 方 に 魔物 が 溢れ返っている ぞ ! 既に 地獄 だ ! と 、村 に 駆けつけた 近所 の おじさん が 血相 を 変えて 言った 。
「 な 、 何 !? 幾ら なんでも 早 過ぎる !
「領主 様 も 事態 の 早さ に 一刻 も 早く 逃げろ と 御 言い なさった !
既に 城 に 増援 を 要請 した そうだ 」
「領主 様 は どう なって いる ?
「わから ない ……ただ 、一人 でも 多く 逃がそう と 避難 誘導 を 為さって おいで だった 」
「 く ……」
お 父さん 達 は とても 怖い 顔 で 何か 話し あって いた 。
「こんな 時 に サディナ や 村 の 猛者 は 遠出 の 漁 に 出て いる し ……」
「海 の 方 も 大 シケ だ 。
こりゃ あ 帰って くる か わから ない ぞ 」
空 の 様子 が どんどん 悪く なって いる 。
そして ……ガラ っと 変な 音 が 聞こえ 、村 の 人達 は 音 の 方向 に 目 を 向ける 。
「なに ……あれ ?
なんか ……人 の 骨 みたいな ……何か が ノソノソ と いっぱい こっち に 向かって 歩いて 来て いた 。
その 人 の 骨 みたいな 何か は 手 の 部分 に 武器 を 持って いて 鈍く 光って いる 。
怖い ……本能 的に そう 思った 。
── 化け物 。
そう 、その 言葉 が 酷く よく 噛み合った 。
「う 、うわ ああ ああ あ ああ !
おじさん が 凄い 声 を あげて 逃げ 出した 。
それ に つられて 村 の 人達 は 声 を あげる 。
そこ に 、お 父さん が 立ちはだかる 。
『力 の 根源 足る 。
私 が 命ずる 。 光 よ 我が 前 の 敵 を 屠れ ! 「ファスト ・ホーリー !
ピカッ と お父さん が 放った 魔法 が 骸骨 に 当たって 砕け 散る 。
「みんな 、焦らないで 聞いて ほしい 。
一刻 も 早く ここ から 逃げよう 。 身体 能力 の 秀でた 種族 である 私達 でも あの 数 の 魔物 を 相手に 戦って なんて いられない 」
「そう ね 」
お母さん が ナタ を 片手 に 骸骨 を 倒して 言った 。
でも 、ぞろぞろ と いっぱい 骸骨 が 村 に 向かって 押し寄せて くる 。
「ここ は 私達 が 引き受ける 。
さあ 、みんな 」
「う 、うん 」
「そう だ な 。
アンタ が そう 言う の なら 」
みんな 落ちついて 避難 を 始めた 。
とりあえず 、まだ 大丈夫 だろう と 少し 離れた 港町 を 目指す 事 に なった 。
あそこ なら もしかしたら シケ でも 海 へ 逃げ られる かも しれない の と 、亀裂 から 距離 が ある から 大丈夫だろう と 言う 話 だった 。
「ガアアアアアアアアアアア !
だけど 私 達 の 願い は 届か なかった 。
「く ……なんて 化け物 だ 」
三つ の 頭 を 持った 、とても 大きな 犬 の 化け物 が 村 に 走って きた 。
お 父さん と お 母さん が 善戦 する のだ けど 、 それ も 敵 わない 。
動き が とても 早く 、お 父さん の 魔法 も 、お 母さん の ナタ も 全く 当たらない 。
「 ガアアアア !
ぶん と 乱暴に 振るう その 巨大な 爪 で お 父さん と 一緒に 戦って いた 村 の 人 が 吹き飛ばさ れた 。
変な 方向 に 関節 が 曲がって 地面 に 倒れて いる 。
え ?
あれ ?
うそ ……だ よ ね 。
「 わ 、 わ ああ ああ ああ ああ ああ ああ ああ あ ああ !
「きゃ ああ ああ ああ ああ ああ ああ ああ ああ !
村 の 人々 も パニック に なって 避難 で は 無く 、滅茶苦茶 に 逃げ 始める 。
だけど 村 の みんな は お 父さん 達 の 制止 を 聞か ず に 、海 の 方 へ 逃げて 行って しまった 。
私 は パニック に なった みんな に 押さ れて 転んで しまう 。
「待つ んだ みんな !
「 大丈夫 ?
お母さん が 私 を 抱き 起こして くれた 。
だけど 、その 顔色 は 悪い 。
あの 大きな 頭 が 三 つ も ある 犬 は 逃げ おくれた 村人 に 爪 や 牙 で とどめ を 刺して いく 。
「こ 、怖い ……」
私 が 怯えて いる と お母さん が 頭 を 撫でて くれた 。
「大丈夫 、絶対 に 逃げきれる から あなた は 安心 して いて 」
「う 、うん 」
お 母さん が 言う んだ から 大丈夫 ……だ よね 。
「行く ぞ 」
お 父さん が 逃げる みんな を 追い かける 。
私 も お母さん に 連れられて 後 を 追った 。
村 の 人達 は 我先に と 崖 の 方 へ 逃げて 海 へ と 飛び込んで いく 。
それ に 追撃 を しかける かのように 大きな 犬 は 追い掛けて くる 。
そして 信じ られ ない 事 に 、海 へ 逃げて 安全だ と 思っていた 村人 に 向かって 海 に 飛び込んで 食らいついた 。
一瞬 で 海 が 赤く 染まる 。
「 わ 、 わ ああ ああ ああ ああ ああ ああ ああ 」
「お 、遅かった !
お 父さん が 普段 より も 怖い 口調 だった 。
私 は 怯え ながら みんな を 守る ため 大きな 犬 に 攻撃 を する お父さん と お母さん の 後ろ に 隠れる 。
「 ガアアアアア !
大きな 三 つ の 頭 を 持つ 犬 が 吠えて 海 から 飛び出して 私達 の 前 に 立ちはだかった 。
逃げ られ ない ように 崖 を 背 に させて 。
「 く ……」
大きな 三 つ の 頭 を 持つ 犬 が 爪 で 襲いかかる 。
お 父さん が 放った 魔法 で 爪 を はじいた けれど 、お 父さん の 肩 から 血 が 吹き出た 。
え ?
「あなた 、大丈夫 です か ?
「ああ 、大丈夫 だ 。
だが ……」
後ろ は もう 崖 、村 の 人達 が 既に 崖 の 下 の 海 に 居る 。
先ほど の 攻撃 で 半数 以上 が ……。
「ひ ぃ ……」
私 は 怯えて お母さん の 背 に 掴まって いた 。
みんな 必死に 泳いで いる 。
だけど 流れ が 速くて 留まって い られない 。 このまま じゃ 溺れちゃ う 。
「ここ で 、コイツ を ほって おいたら 、追って くる だろう な 。
まだ 生きて いる 者 達 も 全滅 だ 」
「 はい ……」
「迷惑 を 、かける な 」
「何 を 言って いる のです か 、覚悟 の 上 です よ 」
お 父さん と お母さん は それぞれ 話し あって 、私 を 見つめる 。
「 ラフタリア 」
「な 、なあ に ?
お母さん が 私 を 宥める ように 背中 を なでる 。
「いつも 笑顔 で 、村 の みんな と 仲良く ね 」
「そう だ ぞ 、お前 が 笑顔 に なる 事 で 、みんな を 笑顔 に させる んだ 」
お 父さん が わたし の 頭 を 撫でる 。
「ラフタリア ……これ から 、お前 は きっと 大変な 状況 に なる と 思う 。
もしかしたら 死んで しまう かも しれ ない 」
「でも ね 。
ラフタリア 、それ でも 私達 は 、アナタ に 生きて いて 貰い たい の ……だ から 、私達 の ワガママ を 許して 」
ここ で わたし は 、お父さん と お母さん に もう 会え なく なって しまう ような イヤな 胸騒ぎ が した 。
「いや ぁ !
お 父さん !
お 母さん ! 離れ たく ない 。
だって 、お 父さん も お 母さん も 、見た 事 も 無い 悲しい 顔 を している 。
必死 に 手 を 伸ばす 。
けれど ……
ドン と 、お母さん が 私 を 強く 突き飛ばし 、崖 から 海 へ 落とした 。
ボコボコ と 泡 が 私 の 視界 を 埋め尽くし 、急いで 海 から 顔 を 出す 。
そして ……お 父さん と お母さん に 向かって あの 三つ の 頭 を 持つ 巨大な 犬 が 襲い掛かる 瞬間 を 見てしまった 。
「いや ああ ああ ああ ああ ああ ああ ああ ああ ああ ああ ああ ああ !
海流 に 流さ れ 、私 は 必死に もがき 続けた 。
やがて 、やっと の こと で 岸 に 辿り着いた の は 、空 が 暗く なって 来た 頃 だった 。
「は ぁ ……は ぁ ……」
岸 に は 私 と 同じく 生き延びた 村人 達 が いる 。
ただ ……死んで しまった 者 も 流れ ついて いた ようだった 。
空 は 既に 普段 通り の 色合い に 戻って いた 。
何 が あった の か 、この 時 の わたし に は わから なかった 。
少し でも 早く お 父さん と お 母さん に 会い たい 一心 で 別れた 崖 へ と 急いだ 。
辺り に は バラバラに なった 骨 が 散らばって いる 。
既に 城 の 方 から の 援軍 や 、冒険者 さん が 魔物 を 退治 して 行った ようだった 。
そして ……私 は ……あの 崖 に 戻って きた 。
その 場所 に は ……。
肉 片 と ……あの 化け物 の 死骸 が 、転がって いた 。 それ を 騎士 と 冒険者 が 運んで いる 。
何 が 起こった の か 、なんとなく わかった 。
「いや ぁ 、弱って いて 助かった な 」
「手負い だった ようだ し 、どうにか なった な 」
冒険者 と 兵士 が 呆然と する わたし に 気付く 。
「なんだ この ガキ ?
捕まえる か ? 「待て 、ここ は 亜人 の 領地 だ ぜ ?
「何 言って んだ 。
その 領主 は 死んでる よ 。 さっき 報告 が 来 ただ ろ 」
「そう か 」
「でも 手 を 出す な よ 。
どう なる か わかった もん じゃ ない 」
わたし が 前 に 出る と 兵士 と 冒険者 は 道 を 開ける 。
そして わたし は 崖 の 先 に 行き ……両親 だった 物 を 見 ながら 、わなわな と 震えて 泣いた 。
「いや ああ ああ ああ ああ ああ ああ ああ ああ ああ ああ ああ ああ !
どれ だけ の 時間 が 経った だろう 。
気 が ついた 時 、私 は お父さん と お母さん の お墓 を 作って いた 。
『いつも 笑顔 で 、村 の みんな と 仲良く ね 』
『そう だ ぞ 、お前 が 笑顔 に なる 事 で 、みんな を 笑顔 に させる んだ 』
「 うん ……」
お 父さん と お 母さん が 命 を 掛けて 助け たかった 人 達 の 事 を 、私 は 頼まれた んだ 。
だ から ……絶対 に 、お父さん達 の 言いつけ は 守って 見せる から !
ここ で 泣き 続けちゃ ったら 、お父さん や お母さん に 怒られちゃう 。
「もう 泣か ない よ ……行く ね 」
わたし は 、村 の 方 へ 歩き出した 。
大人 は 少なく 、子供 の 方 が 多い 。
「ラフタリア ちゃん かい ?
「 うん ……」
「お 父さん と お母さん は 無事 かい ?
近所 に 住む おじいさん が 心配 そうに 声 を 掛けて くる 。
私 は 涙 が 出る の を 必死で 堪えて 首 を 横 に 振る 。
「そうかい ……それ は ……」
おじいさん が 言葉 を 濁して いる 。
それ 以上 言う と 私 が 泣いて しまう と 思って いる の だろう 。
「 大丈夫 。
お 父さん 達 に 任さ れた の 、こんな 時 こそ 私 は みんな を 励まして 行きなさい って 」
「そうかい ……強い 子 だ ね 」
「え へ へ 」
わたし は 笑えて いる かな ?
大丈夫 、私 が 泣いて ちゃ お 父さん 達 に 怒ら れちゃ う 。
「 みんな !
わたし は 大きく 声 を あげて 泣いている 子達 の 注目 を 集める 。
「悲しい の は わかる 。
わたし も ……そう だ けど 、ここ で 泣いて いろ って お父さん や お母さん 、兄弟 、友達 は 言う の ? わたし の 言葉 に 村 の 子 や 大人 達 は 辛 そうに 顔 を 歪ま せる 。
わたし は 胸 に 手 を 当てて 前 に 出る 。
「まだ 死んだ わけじゃ ない と 信じて いる 人 に も 言う わ 。
その 人達 が 戻ってきた 時 、こんな 状態 の 村 の まんまだったら どう 思う ? うん 。
だって ここ は みんな の 村 な んだ もの 。 このまま で 良い はず が 無い 。
村 は 、みんな で 作った 家族 だって お父さん や 領主 さま が 言ってた 。
「とても 悲しい の は わかる 。
だからこそ 、生き残った みんな で ここ を 再興 させ なきゃ いけない と 思う の 、だって 、みんな 家族 な んだ もん 」
そう 、お 父さん は 何時も 言ってた 。
村 の 人達 を 家族 だ と 思える くらい 大切に しなさい って 。
だ から わたし は お 父さん の 言葉 を 継いで 村 の 人達 を 大切に し たい と 思う 。
「 ね ?
お 願い 」
精一杯 の 笑み を 浮かべて わたし は みんな に 言い聞かせた 。
「ラフタリア ちゃん ……」
「ラフタリア ちゃん は 悲しく ない の !? 」
「親 が 死んだ のに 、なんで 笑って んだ !
その 言葉 に わたし は 、笑う の を 少し だけ やめる 。
泣か ない よ 。
だって 泣いたら 止まら なく なる もの 。
「うん ……悲しく なんか ……ない よ 」
泣いちゃ いけない 。
だって 、わたし が 泣いたら 、もう 誰 も 止め られ ない 。
「そ 、そう か 」
「こんな 小さな 子 が 頑張って いる んだ 。
みんな !
頑張って 乗り越えて 行こう じゃ ない か ! 「 うん !
「 はい !
「そう だ な !
ラフタリア ちゃん ! 俺 達 も 頑張る よ ! さっき まで 泣いて いた キール 君 が 元気に なって 言い放った 。
「 うん !
ヒラヒラ と 領主 さま が プレゼント した 村 の シンボル である 旗 が わたし の 前 に 降ってくる 。
まるで 、わたし の 言った 事 が 正しい と 言う か の ように 。
うん 、これ は 何 か の ……見守って くれている お父さん や お母さん 達 から の 贈り物 。
わたし が 旗 を 掴む と 、村 の 大人達 が 大きな 棒 を 持って きて わたし から 旗 を 受け取って くくりつける 。
「これ は 天 から の 思し召し !
さあ 、皆 の 者 ! 村 を 再興 させ ようで は ない か ! 「「「 お ー !
」」」
こうして 、みんな で 頑張って 村 を 再興 させよう と 心 を 一つ に した の 。
バッ と わたし は 飛び起きる 。
ここ は ……村 の 仮設 で 立てた テント の 中 だった 。
わたし の 家 は 燃えて 跡 かた も 残って いない から 、みんな と 一緒に 寝て いた んだった 。
夢 を 見て いた 気 が する 。
「い 、今 、凄い 声 が 聞こえ なかった ?
おじいさん が わたし の 方 に 駆け寄って 聞いて きた 。
「 そう ?
「ラフタリア ちゃん が 凄い 声 を 出して た よ ?
「そう 、なんだ ?
笑顔 を 作ら ない と 、じゃない と みんな の 元気 が なくなっちゃう 。
「 大丈夫 !
ちょっと 夢見 が 悪かった だけ 」
「そ 、それ なら 良い の だ けど 。
無理 し ないで ね 」
「無理 なんて して ない から 心配 し ないで !
お 父さん 。
お 母さん 。
わたし 、頑張る から ね 。
絶対 に ……。
壊れたり 焼け落ちた 家 は 後回し に して 、修理 すれば まだ 住め そうな 家 を 重点的に 補修 する 事 に した 。
他 に ……浜辺 で 打ち上げられた 村 の 人達 の お墓 作り に 人員 を 分けた 。
大人 達 が 頑張って 復興 に 力 を 注いで くれて いる 。
子供 も 一緒に なって 仕事 を 手伝う 。
ただ 、食料 の 残り が 若干 不安に なって きて いる 。
一応 、漁 を して 食料 調達 を しよう と 言う 話 を している のだ けど 、海 が 荒れて いて 後回し に なった 。
「 後 は ……」
生き残り の 人数 を みんな で 数え あった 。
村 に 居た 人 の 四 分 の 一 しか い ない 。
それ でも 生き残れた 方 だ と 、おじいさん は 言っていた 。
「でも 、わたし 達 は 生きて いる 。
ラフタリア ちゃん の 言う とおり だ よ 」
「 うん !
そんな ……わたし 達 の 頑張り は 、無慈悲 に 投げ捨てられる の を この 時 の わたし は 知る 由 も なかった 。
「 わ !
何 を する んだ ! 村 に ぞろぞろ と 人相 の 悪い 人間 が やってきて 、手始めに 大人 の 人 に 剣 で 切り掛った 。
「ひ ぃ !?」
「な 、なんだ お前 等 !
「 は は は 、 亜人 共 が 生き残って いるって 聞いた が 本当だった な 」
「ああ 、ここ は もう 保護区 じゃ ねえ し 、良い 金 稼ぎ に なる だろ ?
「そう だ な !
オラァ !
おじいさん が 一歩 前 に 出て 怒声 を 上げる 。
「こんな 事 を して 領主 様 が 許す はず が 無い !
城 から の 兵士 が まだ この 近隣 に いる はず じゃ ! その 言葉 を 人相 の 悪い 人間 が 一斉に 笑い 始める 。
「もう 死んでる 領主 の 事 なんて 恐れて どう すんだ よ 。
それ に ──」
ドスゥ っと ……一瞬 の 出来事 だった 。
わたし は 腰 が 引けて 何 が 起こった の か 理解 が 追い付か なかった 。
おじいさん の お腹 に 、人相 の 悪い 人 が 剣 を 突きたてて いた 。
「 え ……?
「 カハ ──」
「その 兵士 が 俺達 だって わかってる の か ?
「わかって ねえ よ 、こいつ 等 」
「ち げえ ねえ 」
「「「 ハハハハハハ !
」」」
おじいさん が 血 を 吐いて 倒れ ……ピクリ と も 動かなく なった 。
わたし の 足元 に は 血 だまり が 出来て いて …… 。
「わ 、わぁ ああ ああ ああ ああ ああ ああ !
一瞬 で パニック に なった 。
わたし も 訳 が わから ず 、その 場 から 走り 出す 。
「逃す な !
年寄り や 男 は 殺せ ! 女 や ガキ は 売れる から 生け捕り に しろ ! そこ から 先 の 出来事 は 、あんまり 覚えて いない 。
「いや ああ あ !
「大人 しく しろ !
おりゃ ああ ! 「あ 、くう ……」
ただ 、わたし は 髪 を 誰 か に 掴まれて 、思い切り ぶたれた ような 気 が した だけ だった 。
お 父さん と お 母さん の 最期 を 悪夢 と して 見続けて いる 。
あの 日 わたし は 奴隷 と して 捕まり 、売られた 。
最初 は 、ちょっと 優し そうな 人 だった 。
わたし を 小 間 使い に し たかった みたい 。 だけど ……何 が 原因 か 分から ない けど 売ら れて しまった 。
その 次 が ……。
「 オラァ !
「 くう ──」
なんで ?
なんで こんな 酷い 事 を する の ?
太った 人相 の 悪い 男 だった 。
わたし は 知ら ない 町 の 大きな 屋敷 の 下 に ある 牢屋 に 入れ られた 。
わたし と 同じ ように ……ううん 。
わたし より も 前 に リファナ ちゃん が この 男 に 買わ れて いた みたい 。
そして 毎日 、男 の 気 が 向いた 時 に 鎖 で 宙吊り に さ れて 鞭 で 打た れた 。
何度 も 打たれ 、皮膚 から 血 が 出て 、それでも ビシバシ と 打たれる 。
少し でも 言い 返したり 、痛 がら ない と 、奴隷 紋 と いう 胸 に 痛み の 走る 変な 文様 が わたし を 苦しめ 、更に 鞭 で 打たれた 痛み で 気 が 狂い そうに なる 。
でも 、負け ない 。
お 父さん も お 母さん も 、それ に ここ に いない 皆 だって 耐えて る 。
だ から 、何 が あって も 負け ない 。
「ラフタリア ちゃん ……コホ 」
「大丈夫 、きっと 、きっと 村 に 戻れる よ !
リファナ ちゃん は わたし と 再会 した 時 に は 既に 風邪 を 引いて いた 。
それ でも 男 は 、リファナ ちゃん を 鞭 で 打つ 。
「そう 、だ よ 、ね 。
うん 」
この 男 は わたし 達 に 何 を 望んで いる のだろう ?
こんなに 鞭 で わたし 達 を 打って ……何 が 楽しい の ?
「 はっ!
まだ そんな 夢 みたいな 事 を 言って やがる の か ! バシン と わたし の 背中 に 赤い 血 しぶき が 生じた 。
痛み で 、涙 が ボロボロ と 溢れて くる 。
「もっと 泣き 喚け !
「う ぐう !
その 日 は より 一層 酷 く 、 拷問 された 。
やっと 解放 さ れ 、ボロボロ に なった わたし は 、泥 の ように 地面 を 這いずって 、リファナ ちゃん の 看病 を する 。
ものすごく 臭くて 不味い 泥水 みたいな スープ が 今日 、唯一の ご飯 。
「は ぁ ……は ぁ ……」
それ を リファナ ちゃん に 飲ま せて 今日 も 命 を 繋ぐ 。
大丈夫 、そう 絶対 に 村 に 戻れる 。
だって ……みんな が 待って いる のだ から 。
「待って て 、わたし が 、絶対 に 助ける んだ から 」
石 壁 の 石 で 五 月 蠅 すぎない 程度 に 格子 の 下 の 石 を 叩いて 少しずつ 壊す 準備 は 進んでいる 。
壊し きれば 潜 れる 筈 。 そう したら 逃げ 切れる !
「あ 、りが 、とう ……」
「 うん !
みんな が 待って る もん ね ! わたし は お 父さん と お 母さん に 村 の みんな を 任さ れた んだ もん 。
それ に 、きっと 村 の 人達 が 助けて くれる 。
サディナ お 姉ちゃん は きっと みんな を 助ける ために 来て くれる だろう し 、それ まで 生き残れば 良い はずだ もん 。
「ああ ……あの 日 が 、懐かしい 、ね 。
ラフ 、タリ 、アちゃん 」
横 に なった リファナ ちゃん が 震える 手 を 天井 に 伸ばす 。
「ねぇ ……?
領主 様 の ……旗 ……覚えて ……る ? 「うん ……うん 」
リファナ ちゃん の 伸ばした 手 を 両手 で 強く 握る 。
覚えて る 。
皆 を 元気付けて くれた 旗 。
あの 、何も なく 平和 だった 日 が 懐かしい 。
だけど 、あの 日 に なんて 戻れ ない 。
だ から 、あの 日 の 安らぎ を わたし の 手 で 取り戻さ ない と ──。
「 コホ !
コホ ──」
三 日 目 …… 。
カツ カツ と また あの 男 の 足音 が 聞こえて きた 。
「リファナ ちゃん !
コホ !
また 、あの 地獄 の 時間 が 始まる 。
わたし も リファナ ちゃん の 風邪 が 移って しまった 。 だけど 、大丈夫 。
わたし は 壊して いる 最中 の 格子 を 濡れた 藁 で 隠す 。
「……」
リファナ ちゃん は まったく 返答 が 無い 。
「リファナ ちゃん ?
カツ カツ と 男 が やってきて また 牢屋 の 戸 を 開け 、リファナ ちゃん に 触れる 。
「……死んだ か 。
面倒だ な 」
男 が 乱暴に リファナ ちゃん の 片腕 を 持ち あげて 確認し 、言い放った 。
だらーん とした リファナ ちゃん は 、虚ろ な 目 で される がまま に なっている 。
「そろそろ 返却 期日 だった が 、死んで しまった か 、違約金 が 掛り おって !
と 、まるで おもちゃ の ように 男 は リファナ ちゃん を 蹴り つけた 。
後 で 知る 事 なんだ けど 、亜人 の 奴隷 を 拷問 して 苦しむ 姿 を 見る と いう 娯楽 が ある らしい 。
わたし 達 は 、その 個人 使用 目的 の 貸し 与え の 悲鳴 奴隷 だった 。
「ひ ぃ !?」
え ?
え ?
リファナ ちゃん ?
ねえ ……嘘 だ よ ね 。
震える 手 で リファナ ちゃん に 触れる 。
恐ろしい ほど に 冷たい その 体 に わたし の 心 が 震え あがる 。
そんな 、リファナ ちゃん !
悲しみ や 恐怖 、理不尽 に 対する 怒り 、絶望 。
沢山の 負 の 感情 が 濁流 の 様 に 混ざって わたし の 心 を ぐちゃぐちゃに する 。
なんで ?
リファナ ちゃん は 何も 悪い 事 を して いない のに !
「お前 も 毎晩 毎晩 、悲鳴 を 上げて 五 月 蠅 いんだ よ !
こち とら 睡眠 不足 だ ! 「い 、ぐ ……リ 、ファナ ちゃ 、ん !
男 は わたし を 吊り上げて 鞭打ち を 始めた 。
その 日 は 特に 長かった 。
だけど 、わたし の 目 は ずっと リファナ ちゃん に 釘付け で 痛み なんて 飛んで しまって いた 。
「ああ 、そう そう 。
お前 は ずっと 帰る 村 が ある と 言って いた な 」
「……」
答える 必要 なんて ない 。
だって 、みんな が 待って いる はずだ もん 。
「とっくに 廃村 に なっている そうだ 。
これ が 証拠 だ 」
そう 言って 、男 は 水晶 玉 を 掲げる 。
する と 水晶 玉 から 光 が 出て 、壁 に 村 の 姿 を 映す 。
そこ に は ……わたし が 知る 村 より も さらに 酷く なった ……誰 も いない 村 が 映し出されていた 。
旗 が 無残に も 焼き払われた 残骸 が 目立つ 証拠 として ある 。
「ああ 、確か お前 が その 村 の 連中 を 励まして いた 子 だって 聞いた ぞ 。
みんな 村 を 棄てて 、逃げ出した そうだ 」
「 あ ……」
男 が 残忍 に 笑う 。
今 まで 全く 屈し なかった わたし が 、初めて 見せた その 顔 に 満足 した ようだった 。
「う ……うわ ああ ああ ああ ああ ……」
その 時 ──何か が ポキリ と 折れた 気 が した 。
もう 、ダメな んだ 。
お 父さん と お 母さん に あれ だけ 任さ れた 事 だった のに 、もう 、村 に は 誰 も 残って いない 。
じゃあ 、わたし は ……どう したら 、良い の ?
もう 、何も わたし に は 、残さ れ て い ない んだ 。
「もっと 泣け !
痛み で 頭 が おかしく なり そうだった 。
ぼんやり と 、毎晩 見る 、あの 悪夢 が わたし の 心 を 蝕んで いく 。
お 父さん と お 母さん の 最期 の 姿 が ……更 なる 悪夢 に 変わって 行く 。
村 を 救え なかった お前 は 悪い 子 だ 。
笑う 資格 なんか ない 。 生きる 資格 なんか ない 。
死ね と 囁き 続ける 。
きっと ……そう ……もう 笑顔 に なれ ない から 。
笑顔 に なり たく ない から 。
だ から 、約束 を 破って しまった わたし は ……。
いや 、もしかしたら わたし を 拷問 する 期間 が 切れた の かも しれない 。
「これ は 酷い ……買い取り 金額 は 相当 低い です よ 。
ハイ 」
「どうせ 死に かけ だ 。
借用 だった が 、損 耗 が 酷く て 買い取り に なった 。 その 処分 で 引き取って 貰える だけ マシ だ 」
「分かり ました です 。
ハイ 」
太った 紳士 服 の 人 が わたし を あの 男 から 買い取った 。
わたし を 売買 した 最初の 人 と は 違う 。
次の 飼い主 は この 人 ?
「もう 少し 扱い方 が ある でしょう に ……」
新しい 飼い主 は わたし に 薬 と 食べ物 を 分け 与えて くれた 。
「コホ 、コホ !
「……あんまり 長持ち し そうに ないで す 。
ハイ 」
と 、呟き ながら 飼い主 は わたし を 檻 に 入れる 。
もう ……わたし に 存在 価値 なんて 無い 。
だって 、守る べき 村 は 無くて 、お父さん も お母さん も 死んじゃって 、わたし に 死ね と 言う んだ もん 。
苦しい 。
早く 、死に たい 。
どれ だけ の 時間 が 経った だろう 。
ぼんやり と した 意識 の 中 で 、わたし の 前 を 色々な 人 が 通り 過ぎて 行く 。
そして ……。
「ここ が ──様 に 提供 できる 最低 ライン の 奴隷 です な 」
若い 男性 を 連れた 飼い主 が 檻 の 前 で 何か 話している 。
「左 から 遺伝 病 の ラビット 種 、パニック と 病 を 患った ラクーン 種 、雑種 の リザードマン です 」
「どれ も 問題 を 抱えて いる 奴 ばかり だ な 」
男 の 人 が 飼い主 と 交渉 を して いる 。
その 最中 、ふと 目 が 合う 。
睨ま れた だけ で 殺さ れ そうな 程 、鋭い 眼光 だった 。
咄嗟に わたし の 喉元 から 空気 が 漏れ出る 。
直 に その 瞳 は 他の 二人 の 方 に 注がれた けど 、凄く 怖かった 。
わたし を 鞭 で 打った 人 と は 比 で は ない 程 、憎しみ に 溢れて いた 。
まるで 世界 の 全て を 憎んで いる みたい 。
この 人 に 買わ れたら わたし は 直 に 死んじゃう んだろう な ……。
「──夜間 に パニック を 起し ます 故 、手 を 拱いて いる のです 」
わたし の 事 を 言って いる の か な ?
わから ない 。
だけど 、結局 わたし は 買わ れた 。
奴隷 紋 の 登録 は いつも 痛くて イヤ 。
だけど 、きっと この 人 が わたし の 最後 の 飼い主 な んだ と 思う 。
どうせ ……わたし は もう 長く ない 。
凄く 怖かった 。
だけど 、刺さなきゃ もっと 痛い 。
武器 を 扱って いる お 店 から 出る と 、お腹 が 鳴った 。
また 怒ら れる !
違う と 横 に 顔 を 振る 。
違う の 、違う から 怒ら ないで 、鞭 で 打た ないで !
「は ぁ ……」
溜息 で 返さ れた 。
なんで ?
怒って 無い の ?
そのまま 、飼い主 は 別の 店 に わたし を 連れて 行く 。
そこ は ご飯 を 売っている お店 だった 。
町 で 見た 覚え が ある 。
定食 屋 さん だ 。
「えっ と 、俺 は この 店 で 一番 安い ランチ ね 。
こいつ に は 、 あそこ の 席 に いる 子供 が 食べてる メニュー で 」
「え !?」
ふと 、羨ましい なぁ と 見ていた 物 を 飼い主 は 注文してくれた 。
わたし は 耳 を 疑う 。
だって 、村 の 外 の 人 は 酷い 人 ばかり 。
なのに 、なんで ?
「なん 、で ?
「 ん ?
「お前 が 食い たい って 顔 してた から だろ 。
別の を 食い たかった か ? わたし は 首 を 振った 。
「なん 、で 、食べ させて くれる の ?
だって 、そんな 事 、奴隷 に なって から 誰 も して くれた 事 無い 。
「だ から 言ってる だろ 、お前 が 食べたい って 顔 している から だ 」
「 でも ……」
「とにかく 飯 を 食って 栄養 を つけろ 。
そんな ガリガリ じゃ この 先 、死ぬ ぞ 」
死 ……そうだ 。
わたし は 、きっと 死ぬ 。 リファナ ちゃん を 死なせた 病 で 、きっと 。
「お 待たせ しました 」
わたし の 目の前 に 、旗 の 付いた 豪華な ご飯 が 運ばれ て きた 。
羨ましい と 見ていた 物 が 目の前 に ある 。
だけど 、きっと 、食べよう と した 瞬間 に 床 に ぶちまけられて 、この 人 は 笑う んだろう なぁ 。
「食べ ない の か ?
手 を 伸ばさ ない わたし に この 人 は 、首 を 傾げて 聞いて くる 。
「……良い の ?
「は ぁ ……良い から 食べろ 」
うん 。
たぶん 、やる はず 。 恐る恐る 手 を 伸ばす 。
チラリ と 飼い主 を 見る 。
何も する 気配 が 無い 。
ご飯 に 手 が 触れた 。
わたし は 旗 を 抜いて 、達成 感 に 満ち 溢れた 。
この 旗 が あれば 、他 に は 何も いらない かのように 満足だった 。 村 に 戻れた 様 な 気 が した 。 失わ れた 旗 が 戻って きた ような 、気 が した 。
その 旗 を 握りしめて 久しぶりの 豪華な ご飯 を 貪り 続けた 。
その 美味し さ に 涙 が 溢れて くる 。
泣いて いたら 怒ら れる 。
必死に 隠して 平静 を 装わ ない と 。
「美味 いか ?
「 はい !
しまった !
元気に 答えちゃ った 。 きっと 喜ぶ わたし に 酷い 事 を する つもり なんだ !
「そう か 、良かった な 」
と 、飼い主 の 言葉 に わたし は 首 を 傾げた 。
手 に 持った 旗 から 暖かい 何 か が 滲み出て くる 気 が する 。
領主 さま が くれた 、あの 時 の 旗 と 比べれば 遥かに 小さくて 安っぽい 物 だ けど 、わたし が 失って しまった 物 が ぎゅっと 凝縮している 様 な ……大切な 物 を 思い出させて くれる 。
男 の 人 を 見る 。
相変わらず 怖い 顔 を している けれど 、今 まで と は 何か が 違う と 思った 。
この 人 は ……何 か 違う の ?
声 や 目 は とても 怖い のに 優しい 人 な の ?
わたし の 中 で は 疑問 が 溢れて いた 。
薬 を 飲ま さ れた し 、色々 歩き まわら さ れた 。
だけど 、もっとも 大きな 違い が 一 つ ある 。
今 まで わたし を 苛んで いた 悪夢 が ……違って いた 。
「 ラフタリア 」
お 父さん と お母さん が あの 崖 の 上 に 立っている 。
「お 父さん !
お 母さん ! わたし は 無我夢中 で 駆け寄る 。
会い たかった 。
ずっと 一緒に いたかった 。
ダメな のに 、お 父さん お母さん の 前 で は ダメな のに 、瞳 から 勝手に 涙 が 溢れて くる 。
「大丈夫 ……大丈夫 よ 」
「泣いちゃ ダメ だ よ 。
強く なる んだ 」
「う う ……でも 」
泣き 続ける わたし を お父さん と お母さん は 優しく 、宥めて くれる 。
「私達 は いつでも お前 を 見守って いる よ 」
「ええ 、どう か 、幸せに ね 」
「 でも ──」
「きっと 、大丈夫 、その 人 は ……」
わたし は そこ で 夢 から 覚める 。
驚いた 事 に 飼い主 が わたし を 抱きかかえて 慰めて くれて いた 。
……悪い 人 じゃ ない みたい 。
それ に 、わたし を いたずらに 傷つけたり し ない 。
凄く 不器用 で 口 も 悪い けど 、優しい の が わかる 。
わたし の お腹 が 空いたら あまり お金 が 無い のに ご飯 を くれる し 、薬 を 飲ま せ 、自分 より も 優先的に 装備品 を 持た せて くれる 。
この 時 の わたし の 心 に 芽生えた 不思議な 気持ち ……まだ 新芽 の 様 な 何か が 、何であるか はいずれ 、わかる 事 に なる 。
そして 、この 人 が 誰 なの か を わたし は 直 に 知る 事 と なった 。
憎しみ に 染まった ……悲しい 色 を した 黒い 瞳 を した 人 。
乱暴 で 、口 が 悪くて 、直 に 怒る 、とっても 怖い 人 。
だけど 、誰 か の 痛み を 知っている ……とても 、とっても 優しい 心 を 持った 人 。
そう 、わたし の ご主人様 は リファナ ちゃん が 憧れて いた ……盾 の 勇者様 だった のだ 。
全て を 失った わたし の 宝物 が 増えて 行って いった 。
「え へ へ 」
勇者 様 が くれた 袋 に 宝物 を 詰めて 私 は 笑う 。
ボール でしょ 。
壊れた ナイフ でしょ 。 他 に も 色々 と くれる 。 だけど 一 番 の 宝物 は あの 旗 。
他 に も 袋 に は 入って いない けど 暖かい 物 を 沢山 もらった 。
体 も 元気 に なって 、少しずつ 強く なっている 自覚 が 出てきた 。
「ほら 、飯 だ ぞ 」
「 は ー い 」
リファナ ちゃん 。
聞こえて いる かな ?
私 、盾 の 勇者 様 と 一緒に 戦って いる んだ よ ?
きっと 、驚く よ ね 。
その 日 も わたし は 夢 を 見る ……とても 良い 夢 。
死んだ はずの リファナ ちゃん が わたし の 前 に 居て 、笑って いる 。
そして これ まで の 話 や 他 愛 ない 話 を した 。
「ラフタリア ちゃん 。
頑張って 」
「頑張る よ 」
「 良い な ー …… 盾 の 勇者 様 と 一緒 なんて ー 」
「うふふ 、羨ましい でしょう 」
「あ 、ひっどーい !
夢 の 中 の リファナ ちゃん は まったく 辛 そうに なんて して いない 感じ で 、わたし に 微笑み かける 。
「見守って る から ね 」
「 うん 」
「あの 旗 の ある 村 へ 、帰ろう ね 」
「 うん 。
絶対 に 、取り戻す から ! どう か お 父さん と お母さん が いる 場所 から 見守って いて 。
絶対 に 生き残って あの 村 を 再建 させる んだ から 。
わたし 達 を 攫ったり する 悪人 を 懲らしめる 強さ が 欲しい 。
残酷 で 苦しい 、悪意 に 満ちた 世界 だ けど 、わたし は 諦め ない 。
もう 誰 も 失い たく ない 。
お 父さん と お 母さん 、リファナ ちゃん を 、そして ナオフミ 様 を 守れる 様に なる 。
その 為 に わたし は 、私 は ……歩き 続ける 。
ま 、後 数日 は リユート 村 に 滞在 する 予定 で は ある 。
俺 は 村 に 来た 行商 に 薬 を 売って 、部屋 に ちょうど 帰ってきた 。
ラフタリア が 色々な 手 荷物 を 整理 している 。
前 に 買った ボール 、ラフタリア が 最初 に 着用 して いた 服 を 綺麗に 畳んで 荷物 袋 に 収めて いる ようだ 。
その 中 に 汚れた お 子様 ランチ の 旗 が ある 。
ラフタリア は まだ 俺 が 部屋 の 扉 を 開けた 事 に 気付いて いない みたいだ 。
気 が 付かない ラフタリア は 汚れた 旗 を 、ゴミ と して 捨てる どころか 大切 そうに 手 に 持って 。
「え へ へ 」
と 、なんか 楽し そうに 声 を 出して いる 。
そう か ……ラフタリア は お 子様 ランチ の 旗 が そんなに 好きな の か 。
なら 戦力 と なる ラフタリア に はやる 気 を 出して 貰わ ねば ならない 。
でないと 波 を 上手く 乗り越え られる か わからん から な 。
「あ 、ナオフミ 様 」
俺 が 帰って きた 事 に 気付いた ラフタリア は 旗 を 荷物 袋 に 閉しまって 平静 を 装う 。
「今 帰った 」
「どう でした ?
「売上 は 上々 だ な 」
いつも の ように 会話 を して いる と 、俺 は とある アイデア を 閃いた 。
これ さえ あれば ラフタリア も 喜んで 食事 を 楽しみ 、戦って くれる だろう 。
今日 は 豪快に 鉄 串 を 刺して 串焼き だ 。
「大分 焼けて きました ね 」
「そう だ な 」
俺 は 美味い か どうか 、味覚 が 無い から よく わからない けれど 、見た目 と 匂い で なんとなく 判断する 。
薬草 の 中 に ある 香草 っぽい もの で 肉 の 下ごしらえ を している から 、スパイシー な 良い 匂い が 辺り に 漂ってきた 。
さて 、そろそろ だろう 。
俺 は 焼き上がった 鉄 串 を 持ち 、荷物 袋 から 、昨晩 作った 自作 の 旗 を 串焼き の 肉 に 刺した 。
「え !?」
「ほら 、ラフタリア 。
お前 の 分 だ 」
俺 の 世界 の 国旗 だ 。
覚えて いる 国旗 は 複数 ある から 種類 は 増やせる だろう 。
「あの ……なんですか これ ?
「何 って 旗 だ が ?
まあ 、確かに 旗 を 付け られたら おかしい と は 思う かも しれない 。
だけど ラフタリア は どうやら 旗 が 好き な ようだ から 与える 。
ん ?
更に 名案 が 閃いた ぞ 。
「俺 自作 の 旗 で は 不満 か 。
では この 旗 を 七つ 集めたら 城下町 の あの 店 で 旗 の 付いた ランチ を 注文して やろう 」
「いえ 、不満 で は 無い です けど ……」
「なら 存分に 食う と 良い 」
「 はい ……」
やはり 俺 の 自作 じゃ 不満 か 。
と は いい つつ 、旗 を 取った ラフタリア は 機嫌 良く 串 焼き を 頬張り 始める 。
そして 旗 を 空 に 掲げて とても うれし そうだった 。
うん 。
やはり ラフタリア は 旗 が 好きな んだ な 。
「さて 、腹 ごなし も 済んだ し 、そろそろ Lv上げを再開するか」
「 はい !
と 、その 日 の 夕方 まで 俺たち は 近隣 の 魔物 を 狩り 、同時に 薬草 の 採取 を 続けた 。
なんだか んだ 言って 疲れて きた 。
味 は わから ない が 良い 物 を 食わ ない と 体 が 持た ない こと を 俺 は 知って いる 。
ラフタリア に も 精 の 付く 物 を 食って 貰わない と 。
筋肉 が 付か ない だろう し 。
タダ で さえ やせ 気味 な んだ 。
万年 腹ペコ の ようだ し 、下手に ケチって も 良い 事 は 無い 。
「お 待たせ しました 」
酒場 で 出て くる ランチ を ラフタリア は 目 で 追って いる 。
コト っと 俺 達 の 前 に ランチ が 置かれ 、店員 は 次 の 客 の 応対 を 始める 。
「では いただき ます 」
「あ 、ちょっと 待て 」
「なん です か ?
最近 は ラフタリア も テーブル マナー を 覚えて きて 上品に なって きて いる ような 気 が する 。
手掴み で 食べて いた の が ウソ の ようだ 。
俺 は 懐 から 旗 を 取り出して ランチ に 刺した 。
どうせ 近々 城下町 に 行く んだ 。
それ まで の 間 に 旗 を 増やして やった 方が 良い 。
「えっ と ……」
楽し そうに 食べよう と して いた ラフタリア の 表情 が 曇る 。
「 どうした ?
ああ 、衛生 観念的に イヤ と いう 奴 か ?
ワガママ な 奴 だ な 。
そして 夜食 の 時間 。
最近 は あまり 空腹 で 目覚める 事 は 無かった けれど 、調合 中 に ラフタリア は 目 を 覚ました 。
「 なんだ ?
腹 が 減った の か ? 「ああ ……はい 」
昼間 に 焼いて おいた 串 焼き を 取り出して 旗 を 刺そう と した 所 で ラフタリア は 俺 の 手 を 握る 。
「 なんだ ?
「あの ……もう 結構です 」
「どうした ん だ ?
旗 が 好きな の か と 思った のだ が 」
「好き か 嫌い か と言われれば 好きです けど 、こう ボンボン 渡さ れて も …… 」
ああ 、なるほど ね 。
時々 貰える から 嬉しい 物 であって 、毎度 貰える と ありがたみ も 薄れる という 訳 か 。
俺 も うっかり して いた 。
本人 に しか 分からない 希少 価値 と いう 奴 だ 。
「それ は すま なかった 」
「 はい 」
ならば 、希少 価値 さえ 見いだせれば 嬉しい と いう 事 だ 。
どう する ?
奴隷 の 精神 状態 の ケア くらい して おかない と 戦い に 支障 を 来す ぞ 。
なるほど 。
旗 は 好きだ が 、食べ物 に ついている 旗 が 好きな わけで はない の か 。
「では これ から 、ラフタリア が 十分 、役 に 立った と 思ったら 旗 を 進呈 しよう 」
「 は ?
「金 の 変わり だ 。
旗 が 七つ 集まったら 、一日 休み を やる 。 存分に 遊んで 来い 」
「そういう 意味 で 断った 訳 じゃ ないで す 」
む う ……ラフタリア も 頑固 だ な 。
「じゃあ どう すれば いい んだ ?
「ナオフミ 様 。
私 は その ……別に 旗 が 好きだ と いう 意味 で 大切に している 訳 じゃない のです よ 」
「そう な の か ?
「なんと 言い ます か ……その ……です ね 」
あれ は お 子様 ランチ 。
子供 である ラフタリア は きっと 両親 と 一緒に 同じ ように 外食 で 食べ させて もらえて いた の かも しれない 。
だ から 過去 を 振り返って 、思い出 の 旗 と 比べて いる の か 。
「皆 まで 言う な 、わかった 。
親 と の 思い出 な んだ な ? 「えっ と 」
ラフタリア は 目 を 泳がせて から 、諦めた かのように 頷く 。
「 はい 。
そういう 事 に して おいて ください 。 似た ような もの です から 」
違う の か ?
どうも 気難しい 奴 だ な 。
ああ 、そう 言えば 、頭 に 旗 を 付けた 古い アニメキャラ が 居た な 。
俺 は 旗 を 改造 して 頭 に 付け られる よう 細工 し 、ラフタリア の 頭 に 乗せる こと に した 。
「後 は 語尾 に ダジョー って 付ける と 良い 」
「あの ……何の 冗談 です か ?
「旗 好きな キャラクター ……物語 の 登場 人物 の 真似 だ 」
「怒り ます よ ?
ダジョー ……です か ? ……ふむ 、冷静に 考えたら 俺 も やり すぎ だ と 思う 。
正直 くどい な 。 しかも 古い 。
「本当に 悪かった 」
「 はい 」
「じゃあ 旗 は 処分 だ な 」
「いえ ……今回 まで で 良い です から 下さい 」
「む 、わかった 」
ラフタリア は 俺 から 旗 を 受け取る と そのまま 荷物 袋 に 仕舞う 。
「この 旗 は 色々な 種類 が ある ようです が 、何処 の 旗 なのですか ?
「俺 の 世界 の 国旗 だ 」
「いっぱい あり ます ね 」
「色々な 国 が ある から なぁ ……」
「ナオフミ 様 の 世界 って 、どんな 所 な んですか ?
ラフタリア に 尋ね られて 、俺 は 元 の 世界 に 戻る 夢 を 描く 。
ああ ……懐かしい 。
つまらない 日常 だ と 思って いた あの 日々 が こんなに も 恋しい と は 思わなかった 。
「そう だ な ……まず 魔物 と か は いない な 。
Lv と か の 概念 も 無い 」
「そう な の です か !?」
「あと 亜人 は い ない 。
奴隷 制度 は あった けど 、今 じゃ 廃れて いる ――」
と 、俺 は 深夜 、ラフタリア に 故郷 である 日本 の 話 を 聞かせる 。
「そのような 世界 が ある のです か 」
「ああ 、俺 の 世界 は そんな 世界 だ 」
「一 度 で いい から 行って みたいです 。
そんな 平和 で 、平凡 な 世界 を 」
「ラフタリア は 住み 辛い と 思う ぞ 」
見世物 に さ れて しまう だろう 。
安易に 哀れな 未来 が 想像 できる 。
「それ でも ……私 は 行って みたい と 思います 」
「じゃあ もしも 行けたら 、俺 の 世界 の お子様 ランチ を 奢って やる よ 」
「約束 です よ ?
「 ああ 」
叶う か どう か わからない 約束 を 、 俺 は ラフタリア と した のだった 。
ゲーム と 読書 好き が 高じて 、小説 を 書き 始める 。
『盾 の 勇者 の 成り上がり 』を 執筆 し 、ネット 上 に 作品 を 公開 。
作品 発表 後 、連日 欠かす こと なく 更新 する こと で 病み付き と なる 読者 が 続出 し 話題 と なる 。
2013 年 8 月 「 MF ブックス 」から 商業 デビュー 。
「どん底 から どこまでも 出世 して 行きます 」と 語る 。
©2013 Aneko Yusagi
本書 は 投稿 小説 サイト 「小説家 に なろう 」(http ://syosetu .com /)に 発表 さ れた もの を 加筆 の 上 書籍化 した もの です 。