盾 の 勇者 の 成り上がり 01 Chapter 21
二十一 話 災厄 の 波
村 に 着く と 、丁度 、波 から 溢れて いた 化け物 達 が 、まさに 暴れ だす 瞬間 だった 。
駐在 して いた 騎士 と 冒険者 が 辛うじて 化け物 達 と 戦っている が 、多勢 に 無勢 ……防衛 線 は 決壊 寸前 だ 。
「ラフタリア は 村民 の 避難 誘導 を しろ 」
「え 、ナオフミ 様 は ……?
「俺 は 敵 を 引き 付ける !
防衛 線 に 向かって 駆け出し 、イナゴ の 群 の ような 魔物 に 向けて 盾 を 使って 殴り かかる 。
無論 、金属 を 殴った 音 が して ダメージ は まるで 入って いない 。
だが 注意 を 引く 位 は できる 。
これ まで ラフタリア と やって いた 事 と 何も 変わらない 。
「 グギ !
イナゴ の ような 小さな 魔物 が 群 を 成して 俺 に 向って 襲い 掛かる 。
他 に ハチ 、ゾンビ と 化け物 の 種類 は 決まって いる ようだ 。
ガン !
ガン !
ガン !
蛮族 の 鎧 の お陰 か 、それとも 盾 の 効果 か 、ダメージ は 受け ない 。
「ゆ 、勇者 様 ?
「ああ ……お前 等 、俺 が 引きつけて いる 間 に サッサ と 体制 を 立て直せ !
リユート 村 の 連中 は 俺 と 顔なじみ の 奴 も 多い 。
「は 、はい !
これ 幸いに と 、深手 を 負って いない 奴 まで 下がり 、防衛 線 が 俺 一人 に なった 。
「 おい ……」
何 を 考えて い やがる 。
半ば 呆れて いる 間 に も 、化け物 たち は 俺 を 倒そう と 牙 や ハリ 、爪 で 攻撃してくる 。
ガキンガキン と 音 を 立てて いる けれど 、痛く も 痒く も 無い 。
ただ 、全身 を 這わ れる 感覚 は 気持ち 悪くて しょうがない 。
化け物 を 殴り つける 。
ガイン !
ったく 、この 世界 の 連中 は どうして こう も 人任せ な んだ ?
災厄 の 波 が 始まって 早々 イラ だって しょうがない 。
「た 、助け ──!!」
世話 に なって いた 宿屋 の 主人 が 後方 で 化け物 に 襲われ そうに なっている 。
化け物 の 爪 が 宿屋 の 主人 を 貫こう と する 瞬間 、俺 は 咄嗟に 叫んだ 。
「 エアストシールド !
スキル を 唱え 、宿屋 の 主人 を 守る 盾 を 呼び出した 。
突然 現れた 盾 に 宿屋 の 主人 は 驚いて いた が 、俺 の 方 を 向く 。
「早く 逃げろ !
「……あ 、ありがとう 」
腰 が 抜けて いた 主人 は 礼 を 言う と 、家族 と 一緒に その 場 を 去った 。
「きゃ ああ ああ ああ ああ ああ ああ ああ ああ !
絹 を 裂く ような 悲鳴 。
見る と 逃げ 遅れた らしき 女性 の 方 へ 魔物 が 群 を 成して 近づき つつ ある 。
俺 は 射程 圏 内 まで 近づき 、
「 シールドプリズン !
女性 を 守る 四方 の 盾 を 呼び出した 。
突然の 盾 の 出現 に 、化け物 たち は ターゲット を 俺 に 変更 する 。
そう だ 。
こっち に 来い 。 狙い は 俺 だけ で 良い 。
シールドプリズン の 効果 時間 が 切れる 前 に 化け物 を 引きつれて 移動 する 。
「ハァ ……ハァ ……他 に 逃げ遅れた 奴 は ──っ !
走り ながら 周囲 を 見渡して いる と 突然 前方 から 一匹 の 化け物 が 攻撃 を 仕掛けて きた 。
反射 的に 盾 を 構えて 攻撃 を 防ぐ 。 すると 大きな 火花 が 散った 。
「ゾンビ か ……」
盾 の 解析 で は 名称 は 次元 ノ 屍 食 鬼 。
今 まで 連れて いた イナゴ や ハチ みたいな 化け物 と は 趣 が 違う 。
両手 に 武器 を 持ち 、身体 に は 鎧 を 付けて いる 。
「 くっ!
やる しか ない か ……」
せめて ラフタリア の 避難 誘導 が 終わる まで は コイツ の 注意 を 引き 付けて おかない と 。
だが 、どうせ なら クソ 勇者 共 が 戦って いる 方向 で 戦おう 。
敵 は まだ 湧いて くる 。
新たに 現れた 化け物 が 一 匹 でも 多く 俺 に 注意 を 向ければ 俺 の 仕事 も 減る 。
「付いて 来い ゾンビ 共 !
お前 等 臭い んだ よ ! 走る 速度 を 上げる 。
イナゴ 、ハチ 、ゾンビ と 種類 の 違う 化け物 を 連れている から な 。 一 匹 一 匹 の 速 さ に 違い が ある 所 為 で 行軍 速度 も 違う 。
幸いな の は 化け物 共 の 知能 が それ 程 高く 無い こと で 、一番 近い 俺 を 狙って 来る 。
「ち っ !
前 から も か 」
盾 の お陰 で 頑丈 と は 言って も 、可能な 限り 攻撃 を 受けたく なかった が 致し方ない 。
ここ で 敵 の 行軍 を 止める 。
まず 前 から 迫って くる 化け物 の 攻撃 を 盾 で 受け止め 、そして 受け流し ながら 反転 。
今 は ラフタリア が いない から な 。
無理に 全て 攻撃 を 受けて やる 道理 は 無い 。
こちら に 攻撃 手段 が 無い 以上 、無い なら 無い なりの 戦い を する まで だ 。
「 エアストシールド !
空中 に エアストシールド を 展開 させた 。
俺 の 周り に は 化け物 が 円 を 描く 形 で 密集 している 。
さすが に 化け物 の 波 に 飲み込まれたら 俺 でも 耐えられる 確証 が 無い 。
ならば ──。
「よっ と !
屍 食 鬼 を 足 蹴 に エアエストシールド へ 飛び乗った 。
そして 化け物 が 少ない 位置 に 着地 して 盾 を 構える 。
くっ ……イナゴ の 様な 化け物 が 俺 に へばり付いて いる 。
振り払って も 数 匹 が 吹っ飛ぶ 位 で 身体 が 気持ち 悪い 。 何より も 身体 が 少し 重く なった 。
くそ っ !
さっき みたいに 囲まれたら 飛んで 逃げる 作戦 が 難しい 。
引き 離せ ない なら コレ で どう だ 。
「アニマル ニードル シールド !
この 盾 は 専用 効果 針 の 盾 (小 )が 付いて いる 。
これ は 盾 の 部分 で 攻撃 を 受ける と 針 が 振動 して 敵 に ダメージ を 与え られる 。 難点 は 先程 まで 使って いた 盾 より も 防御 力 が 低い 事 か 。 しかも ダメージ 自体 は 僅か と いう 始末 。 しかし 俺 に は これ しか 攻撃 手段 が ない 。
もう 一 つ 、同じ ように カウンター 効果 の ある 盾 が 無い 訳 じゃない が 、この 盾 と は 違って 群れ と の 相性 が 悪い 。
「 喰 ら え !
盾 で パンチ する かの様に 化け物 に 攻撃 する 。
カンッ !
と いう 、相変わらず の 音 が 響いた 。
やはり 俺 の 攻撃 で は ダメージ は 期待 でき ない らしい 。
逆に 化け物 の 攻撃 を 盾 で 防ぐ 。
すると 針 が 飛び出て 化け物 に 命中 した 。 ダメージ は 少ない が 、攻撃 を 与えれば 少し は 敵 に 隙 が できる 。 そこ を 利用 して 時間 を 稼ぐ しか ない 。
「コイツ は ……」
見えた の は 屍 食 鬼 が 武器 を 振り 被って いる 姿 。
手 に 持っている 大きな 斧 は 、攻撃 を 盾 で 受ける より も 前 に 俺 の 肩 を 抉った のだ 。
「 ぐっ!
肩 に 熱 を 帯びた 激痛 が 走り 、血 が 噴出した 。
鮮血 に 数 歩 後ろ に 下がる 。
痛い 。
なんで 俺 が こんな こと を し なくて は ならない 。
俺 を バカ に する 連中 を 血 を 流して まで 守って やる なんて バカ みたいだ 。
落ち着け ……冷静に なれ 。
これ は 盾 で 受け られ なかった だけ でなく 、攻撃 用 の 盾 を 使って いた 所 為 も ある だろう 。
もっと 防御 力 の 高い 盾 を 使おう と 思えば 、反撃 の 手段 が 無くなる 。
本当 、使い 辛い 盾 だ な !
「勇者 様 !
「な っ !?なんで ここ に いる !
邪魔だ 、さっさと 逃げろ ! そこ に は 武器 を 持った ……と 言って も 農具 ばかり だ が 村 の 男 共 が 立っていた 。
中 に は 先程 助けた 連中 も 含まれている 。
「ですが 盾 の 勇者 様 が 一人 です !
お前 等 が そうした んだ ろ !
俺 だって 一人 に なり たくて なってる 訳 じゃ ねー よ !
前線 を 維持 しろ って 言った のに 下がった のは お前 等 だろう が 。
……逃げた 冒険 者 連中 は ここ に い ない な 。
「この 村 は 私達 の 村 です !
逃げる だけ で は いけません ! 「 くっ!
わかった 。 俺 が 盾 に なる 。 避難 が 終わる まで 戦線 維持 に 協力 して くれ 。 お前 等 は 攻撃 を 受け ない 様 に 陣形 を 組んで 攻撃 しろ ! 「わかり ました !
正直 ありがたい 。
攻撃 手段 が 無い 以上 、少し でも 戦力 が あれば 戦闘 能力 が 格段に 上がる 。 それ は ラフタリア で 実証 さ れて いる の は 言う まで も 無い 。
俺 は 直 に ライトメタルシールド に 切り替え 、村人 の 陣形 に 合わせて 敵 の 注意 を 引いた 。
「一発 攻撃 を 与えたら 離れろ よ 。
敵 の 進行 の 邪魔 を して 、俺 が 受ける 」
「 はい !
村人 達 を 守る 様 に 前 へ 立ち 、攻撃 を 盾 で 防ぐ 。
そして 村人 達 は その 間 から 農具 を 突き刺した 。
さすが に 一発 で は 無理 だが 、十発 二十発 と 攻撃 を 与える 内 に 化け物 は 倒れて いく 。
「ひ ぃっ !
村人 へ 攻撃 が 飛んで いけば 盾 で 受け止め 声 を 上げる 。
「安心 しろ !
攻撃 は 俺 が 全て 引き受ける 。 お前 等 は 敵 を 倒す 事 だけ を 考えろ ! 村人 達 から 安堵 の 表情 が 読み 取れる 。
少なくとも 、自分 達 を 守って くれている という 事 は 伝わった と思って 良い だろう 。
災害 なんか で は 声 が 大きい 者 に 先導 さ れる 輩 が いる らしい が 、ソレ かも しれない な 。 だが 、今 は それ で 良い 。 宣言 通り 俺 の 味方 を する なら 守って やる 。
「それにしても 数 が 多い ……避難 は まだ 終わら ない の か !
「他の 勇者 様 は どうして いる のです か ?
「 ハッ !
波 の 大 本 で 戦闘 中 だ よ ! お前 等 を 無視 して なっ ! 「な 、なんて 事 だ ……」
俺 の 言葉 に 村人 の 一人 が 意気消沈 している 。
瞬間 、下 に 大きな 影 が 生まれた の が 見えた 。
咄嗟に その 男 を 突き飛ばす 。
「ぐ あっ ……」
現れた の は 巨大な 屍 食 鬼 。
装備 も 他の 奴 等 より 豪華な 鎧 を 付け 、巨大な 斧 を 持って いる 。
その 攻撃 を 盾 も 構え ず 受けた 所 為 で 視界 が 揺らぐ 。
こんな 所 で 死ねる か !
俺 は 歯 を 食い縛って 意識 を 繋ぐ 。
ここ で 倒れたら 本当に 死ぬ 。
明らかに 他の 奴 と は 違う 。
まともに 喰らった とは いえ 、俺 が ダメージ を 受ける んだ 。
相当な 奴 だろう 。
「大丈夫 か !?」
「は 、はい ……ゆ 、勇者 様 は ……」
「もう 良い !
お前 等 は 下がれ 。 あれ を 相手 に して お前 等 を 守れる 自信 が 無い ! 「 ですが !
下がれ と いう 言葉 に 反論 を 唱えよう と する 村人 達 。
そこ に ──
「ナオフミ 様 !
既に 戦闘 準備 を 整えた ラフタリア が 剣 を 持って 現れた 。
「ラフタリア か !
丁度 良い 。 アイツ を 倒す ぞ ! 「 はい !
巨大な 屍 食 鬼 に 向き合う 様 に 移動して 盾 を 構える 。
「攻撃 は 俺 が 受け止める 。
今 まで 通り 、剣 で 突き刺せ 」
「わかり ました 」
大きくて も 屍 食 鬼 の 知能 は 他 と 然程 変わらない のだろう 。
目 に 付いた 俺 に 攻撃 を 振るう 屍 食 鬼 の 攻撃 を 真っ向 から 受け止める 。
避け ない の は 味方 へ 攻撃 が いか ない 様 に する 意味 も ある 。
避ける と 攻撃 が バラける し 、ラフタリア が 攻撃 以外 の 事 も 考え なくては いけなく なる から だ 。
屍 食 鬼 が 攻撃 を 振り 被る と 同時に ラフタリア は 剣 で 突き刺した 。
その 影響 で 盾 が 受ける 衝撃 が 若干 減った 。
よし !
これ なら 行ける 。
「ラフタリア 、コイツ 等 は 近い 奴 から 攻撃 する 習性 が ある 。
剣 を 刺したら 距離 を 取り 、俺 に 攻撃 して きたら 同じ 要領 で また 刺して くれ 」
「 はい !
「す 、すごい ……」
俺 達 の 連携 に 村人 が 感想 を 漏らして いる 。
そんな 事 より コイツ 等 を 早く 逃がさ ない と 。
「まだ 居た の か !
早く 下がれ 。 協力 は 感謝 する が 、今 は 正直 邪魔 な んだ ! 俺 は お前達 を 死なせない 為に ここ に いる んだ ぞ ! 「わ 、わかり ました !
強く 叫ば れた 影響 か 素直に 頷いた 村人 達 が 警戒 し ながら 距離 を 取り 始める 。
そして ある 程度 村人 達 が 離れた 所 で 背筋 を 嫌な 物 が 通り 過ぎた 。
「 ラフタリア !
俺 は 剣 を 構えて いた ラフタリア を 抱える 様 に 抱き寄せ 、マント を 広げて 中 へ 隠した 。
「ナオフミ 様 !?」
一番 防御力 の 高い ライトメタルシールド に 盾 を 変える 。
その 直後 に 降り注ぐ 火 の 雨 。
化け物 の 群れ の 中 から 外 を 見る と 騎士団 が 到着 し 、魔法 が 使える 連中 が 火 の 雨 を こちら に 向けて 放って いた 。
「 おい !
こっち に は 味方 が いる んだ ぞ ! あっという間 に 引火 して 燃え盛る 化け物 達 。
昆虫 が 多い から な 、火 の 魔法 で 燃え盛って いく 。
どうやら 俺 は 物理 防御 力 だけ で なく 、魔法 防御 力 も 高い 様 だ な 。
いや 、ライトメタルシールド の 専用 効果 魔法 防御 向上 の お陰 か 。
巨大な 屍 食 鬼 も 燃え盛る 雨 に 大きな 音 を 立てて 倒れる 。
それ を 確認 する や 真 紅 に 燃え盛る 防衛 線 の 中 、味方 の 誤射 と は なんだろうか と 腹 が 立ち ながら 、俺 は ツカツカ と 騎士団 を 睨みつけ ながら 近づき 、マント を 靡かせ 、炎 を 散らす 。
「ふん 、盾 の 勇者 か ……頑丈な 奴 だ な 」
騎士 団 の 隊長 らしき 奴 が 俺 を 見る なり 吐き捨てた 。
直後 、マント の 中 から 飛び出す ように 剣 を 振りかぶる ラフタリア 。 吐き 捨てた 奴 は 剣 を 抜き 、ガキン と 音 を 立てて 鍔迫り合い に なる 。
「ナオフミ 様 に 何 を なさる のです か !
返答 次第 で は 許し ませ ん よ ! 殺意 を 込めて 、ラフタリア が 言い放つ 。
「盾 の 勇者 の 仲間 か ?
「ええ 、私 は ナオフミ 様 の 剣 !
無礼 は 許し ませ ん ! 「……亜人 風情 が 騎士団 に 逆らう と でも 言う つもり か ?
「守る べき 民 を 蔑ろ に して 、味方 である はずの ナオフミ 様 もろとも 魔法 で 焼き払う ような 輩 は 、騎士 であろう と 許しません !
「五 体 満足 な のだ から 良い じゃ ない か 」
「良く あり ませ ん !
ギリギリ と 鍔迫り合い を 続ける ラフタリア を 騎士達 は 囲む 。
「 シールドプリズン !
「な 、貴様 ──」
鍔迫 り 合い の 相手 を 盾 の 牢獄 に 閉じ込め 、俺 は 多勢 に 無勢 を 働こう と した 騎士達 を 睨む 。
「……敵 は 波 から 這いずる 化け物 だろう 。
履き違える な ! 俺 の 叱責 に 騎士団 の 連中 は 分 が 悪い ように 顔 を 逸らす 。
「犯罪者 の 勇者 が 何 を ほざく 」
「なら ……残り は お前達 だけ で 相手 を する か ?
燃え盛る 前線 を 化け物 たち が 我が 者 顔 で 蠢き 、最 前線 に いる 俺 に 襲い 掛かる 。
その 全て を 耐え 切って いる 俺 に 、騎士 達 は 青い 顔 を した 。
仮にも 俺 は 盾 の 勇者 だ 。
コイツ 等 だけ で は 持つ はず も ある まい 。
「ラフタリア 、避難 誘導 は 済んだ か ?
「いえ ……まだ です 。
もう 少し 掛かる と 思い ます 」
「そう か 、じゃあ 早く 避難 させて おけ 」
「 ですが ……」
「味方 に 魔法 を ぶっ放さ れた が 、痛く も 痒く も 無い 。
ただ ……俺 が 手 も 足 も 出ない と 舐めた 態度 を 取っている の なら ……」
ラフタリア の 肩 を 叩き ながら 、騎士団 を 睨み つける 。
「……殺す ぞ 。
どんな 手段 を 使って も 、最悪 お前等 を 化け物 の エサ に して 俺 は 逃げて も いい 」
俺 の 脅し が 効いた の か 騎士団 の 連中 は 息 を 呑んで 魔法 の 詠唱 を 止める 。
「さて 、ラフタリア 。
戦い を 始める の は 邪魔な 奴 等 を 逃がして から だ 。 なに 、敵 は いっぱい いる 。 それ から で いい 」
思いのほか 、耐え られる ようだ から な 。
これ なら 大丈夫 そうだ 。
「は 、はい !
指示 に 従い ラフタリア は 村 の 方 へ 駆け出す 。
「 くそ !
盾 の 勇者 風情 が 」
牢獄 の 効果 時間 が 切れた 途端 、隊長 らしき 馬鹿 が 俺 に 怒鳴り つける 。
「そう か 、お前 は ……死ぬ か ?
俺 の 背後 に 迫る 化け物 たち 。
さすが に 俺 が 守ら ねば 自分 に 降りかかる の を 察した の か 馬鹿 は 黙って 下がる 。
まったく 、ど いつも こいつ も 、碌 な 奴 が 居ない 。
俺 が 守る しか 能 の 無い 盾 の 勇者 じゃ なかったら こんな 奴 等 、誰 が 好き 好んで 助けて やる か 。
邪魔な 連中 の 避難 が 終わった ラフタリア が 前線 に 復帰 する と 俺 は 攻撃 に 打って出た 。
騎士 団 の 連中 の 援護 を 利用 し つつ 、空 の 亀裂 が 収まった のは 数 時間 も 後 の 事 だ 。
「ま 、こんな 所 だ ろ 」
「そう だ な 、今回 の ボス は 楽勝 だった な 」
「ええ 、これ なら 次の 波 も 余裕 です ね 」
波 の 最前線 で 戦って いた 勇者 共 が 今回 の 一番 の ボス らしき キメラ の 死体 を 前 に 雑談 交じり に 話し合い を 続けて いる 。
民間 人 の 避難 を 騎士団 と 冒険者 に 任せて 何 を 言って やがる ……一 ヶ月 も 経って いる と いう のに ゲーム 気分 の 抜けない 奴等 だ 。
注意 する の も 面倒な 俺 は そんな クソ 勇者 共 を 無視 して 、波 を 乗り切った 事 を 安堵 して いた 。
空 は 何時も の ような 色 だが 、やがて 夕日 に 染まる 。
これ で 最低 一 ヶ月 は 生き延び られる 。
……ダメージ を あまり 受け なかった の は 、波 が まだ 弱い から だろう 。
次 も 耐え られる か 正直 分から ない 。
いずれ 俺 が 耐え られ なく なった 時 ……どう なる の か 。
「よく やった 勇者 諸君 、今回 の 波 を 乗り越えた 勇者 一行 に 王様 は 宴 の 準備 が できている と の 事 だ 。
報酬 も 与える ので 来て 欲しい 」
本来 は 行き たく ない 。
けど 、俺 に は 金 が ない 。 だから 俺 は 引き上げる 連中 に 付き添い 、一緒に 付いて 行く 。
確か 、支度 金 と 同等の 金銭 を 一定 期間 毎 に くれる はずだ 。
銀貨 五百 枚 。
今 の 俺 に は 大金 である 。
「あ 、あの ……」
リユート 村 の 連中 が 俺 を 見る なり 話し かけて くる 。
「 なんだ ?
「ありがとう ございました 。
あなた が 居なかったら 、みんな 助かって いなかった と 思い ます 」
「なる ように なった だ ろ 」
「 いいえ 」
別の 奴 が 俺 の 返答 を 拒む 。
「あなた が 居た から 、私たち は こうして 生き残る 事 が 出来た んです 」
「そう 思う なら 勝手に 思って いろ 」
「「「 はい !
」」」
村 の 連中 は 俺 に 頭 を 下げて 帰って いった 。
村 の 損耗 は 激しい 。
これ から の 復興 を 考える と 大変 だろう 。
命 を 助けて 貰ったら 礼 を 言う だけ 、普段 は 俺 を 蔑む くせに ……現金な 連中 だ 。
だが …… 悪魔 だ と 罵ら れる より は 遥かに マシ だ な 。
「ナオフミ 様 」
長い 戦い の 末 、泥 と 汗 まみれ に なった ラフタリア が 笑顔 で 駆け寄って くる 。
「やり ました ね 。
みんな 感謝 して ます よ 」
「……そう だ な 」
「これ で 、私 の 様 な 方 が 増え なくて すみます 。
ナオフミ 様 の お陰 です ! 「…… ああ 」
戦後 の 高揚 から か 、それとも 自身 の 出自 と 重ねて な の か 、ラフタリア は 涙ぐんで いる 。
「私 も ……頑張り ました 」
「ああ 、お前 は 良く 頑張った な 」
ラフタリア の 頭 を 撫でて 、俺 は 褒めた 。
そう だ 。
ラフタリア は 俺 の 指示 通り ちゃんと 動き 、戦った 。
それ は 正しく 評価 し なくて は いけない 。
「いっぱい 化け物 を 倒し ました 」
「ああ 、助かった よ 」
「え へ へ 」
嬉し そうに 笑う ラフタリア に 少々 不思議な 思い が し つつ 、俺達 は 城 へ と 向う のだった 。
さすが 勇者 だ 。 前回 の 被害 と は 雲泥 の 差 に ワシ も 驚き を 隠せん ぞ ! 陽 も 落ち 、夜 に なって から 城 で 開かれた 大 規模 な 宴 で 王様 が 高らかに 宣言 した 。
ちなみに 死傷 者 は 前回 が どれ 程 な の か 知ら ない が 、今回 の 死傷 者 は 一桁 に 収まる 程度 だった らしい 。
……誰 の 活躍 か なんて 自己 主張 する つもり は 無い 。
あの 勇者 共 が 湧き出す 化け物 達 を 倒して は いた らしい ので 全部 俺 の 手柄 だ と は 思わない 。
だが 、いずれ この 程度 で は 済ま なく なる のだろう な と 俺 自身 思って いる 。
砂時計 に よって 転送 さ れる 範囲 が 近かった から 良かった ものの 、騎士団 が 直 に これ ない 範囲 で 起こったら どう する つもり なんだ 。
課題 は 多い な ……。
ヘルプ を 呼び出し 、確認 する 。
あの 態度 だ 。
俺 に 登録 さ れよう なんて 輩 は い ない だろう が な 。
しかし ……あの クソ 勇者 共 は 使わ なかった な 。
一体 何故 だ ?
知って いる ゲーム なら 手配 して いて も おかしく ない はずだ 。
……大方 、そこ まで 大変 じゃない と 思っていた とか 、確認 を 怠っていた とか そんな 所 だった のだろう 。
言う の も 煩わしい 。
俺 は 宴 が 催さ れて いる 中 、隅 の 方 で 適当に 飯 を 食べる 。
「ご馳走 です ね !
ラフタリア が 普段 は 食べ られない 食べ物 の 山 を 見て 、瞳 を 輝かせて いる 。
「食い たければ 食って 良い ぞ 」
「 はい !
あんまり 良い もの を 食べ させて あげ られ なかった から な ……こんな 時 こそ 好きな もの を 食べ させる べき だろう 。
それ に 見合う 戦果 を ラフタリア は 上げて いる 。
「あ ……でも 、食べたら 太っちゃう 」
「まだ 育ち盛り だ ろ 」
「う ー ……」
なんか ラフタリア が 困った 顔 で 悩んでる 。
「食べれば 良い だ ろ 」
「ナオフミ 様 は 太った 子 は 好きです か ?
「は ぁ ?
何 を 言って んだ ?
「興味 ない 」
女 と 言う だけ で あの クソ 女 が 浮かんで くる ん だ 。
好き と か そんな 感情 が 浮かんで こない 。
そもそも が 女 と いう 生物 が 生理的に 気に 食わない 。
「そう です よ ね 。
ナオフミ 様 は そういう 方 でした 」
半ば 諦めた か の ように ラフタリア は ご馳走 に 手 を 伸ばす 。
「美味しい です 、ナオフミ 様 」
「良かった な 」
「 はい 」
ふう ……宴 と やら が 面倒 だ な 。
報酬 は 何 時 貰える んだ 。
こんな クズ の 集まり 、見て いる だけ で 腹 が 立つ 。
……よく 考える と 明日 と か の 可能性 も ある な 。
無駄 足 だった か ? いや 、食費 が 浮く から 良い か 。 本人 は 気 に している 様 だ が ラフタリア は 亜人 で 成長期 だ 。 食費 も バカに なら ない 。
「タッパー と か あれば 持ち 帰れた のに な 」
保存 が 利かない から 明日 まで だろう が 、金 を 考えたら もったいない ……後 で コック に でも 頼んで 包んで もらおう 。
他 に も あまり の 食材 を 頂いて 行く の も 良い かも しれない 。
等 と 考えている と 怒り の 形相 を した 元康 が 人 を 掻き分けて 、俺達 の 方 へ 向かって きやがる 。
まったく 、一体 なん だって 言う んだ 。
相手 を する の も 面倒 だ から 避けよう と 人混み の 方 へ 歩く と 元康 の 奴 、俺 を 睨みつけ ながら 追って くる 。
「 おい !
尚 文 ! 「……なんだ よ 」
キザ ったら しく 手袋 を 片側 だけ 外して 俺 に 投げ つける 。
確か 、決闘 を 意味 する 奴 だ っけ 。
元 康 の 次 の 言葉 に 周り が ざわめいた 。
「決闘 だ !
「いきなり 何 言って んだ 、お前 ?
ついに 頭 が 沸いた か ?
よくよく 考えて みれば ゲーム 脳 の 馬鹿だ 。
助ける べき 人 を 見捨てて ボス に 突撃 する 様 な イノシシ だ から な 、槍 の クソ 勇者 様 は 。
「聞いた ぞ !
お前 と 一緒に 居る ラフタリア ちゃん は 奴隷 なん だって な ! 闘志 を 燃やして 俺 を 指差し ながら 糾弾 する 。
「 へ ?
ラフタリア が 変な 声 を 漏らした 。
……当の 本人 は ご馳走 を 皿 に 盛って 美味し そうに 食事 中 だ ぞ 。
「だ から なんだ ?
「『だ から な んだ ?
』……だ と ? お前 、本気 で 言って ん の か ! 「 ああ 」
奴隷 を 使って 何 が 悪い と いう の だ 。
俺 と 一緒に 戦って くれる ような 奴 は い ない 。
だから 俺 は 奴隷 を 買って 使役 して いる 。
そもそも この 国 は 奴隷 制度 を 禁止 して いない はずだ 。
それ が どうした と いう んだ ?
「アイツ は 俺 の 奴隷 だ 。
それ が どうした ? 「人 は ……人 を 隷属 させる もん じゃ ない !
まして 異 世界 人 である 俺達 勇者 に は そんな 真似 は 許さ れ ない んだ ! 「何 を 今更 ……俺達 の 世界 でも 奴隷 は 居る だろう が 」
元 康 の 世界 が どうか は 知らない 。
けれど 人類 の 歴史 に 奴隷 が 存在 し ない と いう の は ありえない 。
考え方 を 変えれば 、社会人 は 会社 の 奴隷 だ 。
「許さ れ ない ?
お前 の 中 で は そう な んだろう よ 。 お前 の 中 で は な ! 勝手に ルール を 作って 押し付ける とは ……頭 が 沸いて いる な コイツ 。
「生憎 ここ は 異世界 だ 。
奴隷 だって 存在 する 。 俺 が 使って 何 が 悪い 」
「き ……さま !
ギリッ と 元 康 は 矛 を 構えて 俺 に 向ける 。
「勝負 だ !
俺 が 勝ったら ラフタリア ちゃん を 解放 させろ ! 「なんで 勝負 なんて し なきゃ いけない んだ 。
俺 が 勝ったら どう する んだ ? 「そん とき は ラフタリア ちゃん を 好き に する が いい !
今 まで の ように 」
「話 に ならない な 」
俺 は 元 康 を 無視 して 立ち去ろう と する 。
何故 なら 勝負 して も 俺 に は 得 が 無い 。
「モトヤス 殿 の 話 は 聞かせて もらった 」
人 混み が モーゼ の 伝説 の ように 割れて 王様 が 現れる 。
「勇者 と も あろう 者 が 奴隷 を 使って いる と は ……。
噂 で しか 聞いて い なかった が 、まさか 本当 だった と は ……やはり 盾 の 勇者 は 罪人 と いう 事 か 」
罪人 って 人 に 冤罪 を 押し付けて おきながら 良く 言う 。
しかも 奴隷 は この 国 で 認め られた 制度 じゃ ない か 。
奴隷 を 使う 奴 が そこ 等 中 に いる のに 、何故 俺 だけ が 文句 を 言わ れ なければ ならない 。
「モトヤス 殿 が 不服 と 言う の なら ワシ が 命ずる 。
決闘 せよ ! 「知る か 。
さっさと 波 の 報酬 を 寄越せ 。 そう すれば こんな 場所 、俺 の 方 から 出て って やる よ ! 王様 は 溜息 を つく と 指 を 鳴らす 。
どこ から か 兵士 達 が やってきて 俺 を 取り囲んだ 。 見れば ラフタリア が 兵士 達 に 保護 されて いる 。
「ナオフミ 様 !
「……何の 真似 だ ?
俺 は これ でも か と 瞳 に 力 を 入れて 王様 を 睨み つける 。
コイツ 、俺 の 言う 事 を 全く 信じ なかった 。
それ 所 か 俺 の 邪魔 しか し ない 。
「この 国 で ワシ の 言う 事 は 絶対 !
従わ ねば 無理矢理 に でも 盾 の 勇者 の 奴隷 を 没収 する まで だ 」
「…… チッ !
奴隷 に 施して ある 呪い を 解く 方法 ぐらい 、国 の 魔術師 とか は 知って いそうだ 。
つまり 、戦わない こと は ラフタリア が 俺 の 元 から いなく なる と いう 事 に 繋がる 。
ふざける な !
やっと の 事 で 使える ように なった 奴隷 だ ぞ !
どれ だけ の 時間 と 金銭 を 投資 した と 思っている んだ 。
「勝負 なんて する 必要 あり ませ ん !
私 は ──ふむ ぅ ! ラフタリア が 騒が ない よう に 口 に 布 を 巻かれて 黙ら される 。
「本人 が 主 の 肩 を 持たない と 苦しむ よう 呪い を 掛けている 可能性 が ある 。
奴隷 は 黙ら させて もらおう 」
「……決闘 に は 参加 させ られる んだ よ な 」
「決闘 の 賞品 を 何故 参加 さ せ ねば なら ない ?
「 な !
お前 ──」
「では 城 の 庭 で 決闘 を 開催 する !
王様 の 野郎 、俺 の 文句 を 遮って 決闘 を する 場所 を 宣言 し やがった 。
くそ 、俺 に は 攻撃 力 が 無い んだ ぞ ?
出来 レース じゃ ねえ か !