盾 の 勇者 の 成り上がり 01 Chapter 16
十六 話 黒 頭 双 犬
俺 達 は 武器 屋 の 親父 から 聞いた 通り 、 村 に 向った 。
村 の 名前 は リユート 村 。
拠点 に する に は 良さそうな 村 であり 、宿 は 一つ しか ない が 宿泊 費 は 銀貨 一枚 。 買取 商人 も 二 日 に 一 度 は 滞在 する と いう 好 立地 。
薬屋 は 無い が 村人 が 薬 を 欲している ので 城下町 の 薬屋 より も 安めに 売る 。
その 代わり 品質 が 悪い と 念 を 押す 。
ちなみに 俺 の 悪名 は 響き 渡って おり 、村 に 来た 当初 、戯けた 事 を する ので バルーン の 刑 に 処して やった 。
で 、旅 の 行商 に 村 の 周辺 で 倒した 魔物 の 素材 を 売った 時 の 事 。
「ふむ ……こんな 所 です ね 」
「そう か 」
銀貨 数 枚 を 受け取り 、俺 は 唸る 。
良い 値 で 売れて は いる けれど 、決定的な 物 に 欠ける 。
「もっと 、手っ取り早く 稼げる 手段 は 無い か ……」
「何 か 物 入り な ので ?
「まあ な 」
俺 が 盾 の 勇者 だって 知ら ない の か ?
いや 、知って いて 俺 を 騙そう と して いる の かも 知れない な 、この 行商 は 。
「では 、この リユート 村 近隣 に ある 炭鉱 で 採れる 鉱石 を 採って くる と いう のが 良い でしょう ね 」
「そう な の か ?
「ええ 、上手く 採掘 できれば 、多少 金銭 を 稼げる と 思い ます よ 」
「……なんで みんな やら ない んだ ?
こういう 儲け 話 って 皆 やって いる もの だ と 思う が 。
「ええ 、波 の 到来 前 に は 若干 活気 が あった のです けど ね ……危険な 魔物 が 生息 して から は ……」
「 なるほど 」
「冒険者 や 騎士団 、召喚 された 勇者 様 は 何 を して くださっている の か ……まあ 、廃坑 寸前 の 炭鉱 なんて こんな 物 です かね 」
ふむ ……これ は 良い 話 を 聞いた 。
炭鉱 か 。 上手く 鉱石 を 獲得 できれば 金銭 に なる 。
「一応 、そこ で 採れる 鉱石 に は 珍しい 物 も あります から ね 。
もしも 手 に 入ったら 良い 値 で 売れます よ 」
「そう か 、情報 提供 感謝 する 」
本当 か どう か は 怪しい けど 、廃坑 という 名 の 洞窟 に 行く の も 一つ の 手 だ 。
「……今日 は どこ に 行く の ?
ラフタリア が 怯え つつ 聞いて くる 。
「今日 は 近く の 廃坑 に 行く 」
「 うん ……」
「危険な 魔物 が いる らしい 、何か あったら 逃げる から ちゃんと 付いて こい よ 」
「 はい !
地図 を 広げ 、その 廃坑 が ある 場所 を 確認 する 。
人 の 手 が 入ら ない 山 の 近く 、雑草 が 生えだした 道 の 先 に 廃坑 が あった 。
入口 に は 放置 された ツルハシ が 数 本 、落ちている 。
ボロボロ だ けど 使え なく は ない だろう 。
その 隣 に 放置 さ れた 休憩所 を 見つけた 。
扉 に は 鍵 が 掛かって いる 。
誰 も 使って い ない の なら 入って も 問題 ない だろう 。
「ラフタリア 、鍵 を 壊す ぞ 」
「 え ?
…… うん 」
ラフタリア が 石 を 持って 扉 の 錠前 を 叩く 。
元々 錆びて ボロボロ だった から か 数 回 叩く だけ で 壊れた 。
中 に 入る と ロープ を 発見 。
他 に も 雑貨 が 転がって いる 。
と は いえ 、捨て 置かれた みたいで 目ぼしい もの は 無い 。
炭鉱 の 地図 が あった の が 救い だ な 。
ロープシールド の 条件 が 解放 さ れました 。
なんだろう ?
と いう か スキル って どう やって 使う んだ ?
一応 、ロープシールド に 変えて みる 。
ロープ を 丸く させた 盾 だ 。
防御 力 は 冗談 じゃ ない ほど 低い 。
実戦 で 使う の は 厳しい な 。
専用 効果 、ロープ は なんだ ?
試しに 使って みよう と 思う 。
こう 言う の って 鉤縄 みたいな 感じ で 何か に 引っかける の か な ?
そう 思って 、小屋 の 梁 に ロープ が 飛んで いく 様子 を イメージ したら 盾 の ロープ が 伸びて 結びついた 。
おお !
便利 だ 。
エアストシールド に 関して は ……一応 ヘルプ で 探して みる 。
あった 。
他 、モーション で 発動 する スキル も 存在 し ます 。 MMO だ と スキル で 統一されている もの も ある 。 それ と 同じ だ 。
よし 、とりあえず 唱えて みる 。
「 エアストシールド !
唱える と 同時に 視界 に 何 処 へ 出す か を 指示する ように と 表示され 、出せる 範囲 が サークル 範囲 で 地面 に 写った 。
とりあえず は 目の前 に 出る ように 意識 する 。
すると エアストシールド は イメージ 通り の 場所 に 出現 した 。
形状 は ……やや 大き めな 盾 っぽい 。
不思議な 力 で 作られた 盾 だ 。
持て ない の か ?
触れて みた 。
だけど 、俺 が 出した ところ から 全く 動く 気配 が ない 。 単純に 盾 を 呼び出す スキル と いう こと か 。 初めて の スキル が これ と は ……何 処 まで も 攻撃 力 が 期待 でき ない ようだ 。
「どうした の ?
ラフタリア が 首 を 傾げて 聞いて くる 。
「 なんでもない 。
少し 便利な 力 を 手 に 入れた だけ さ 」
「そう ……行かない の ?
「行く さ 」
ラフタリア はやる 気 を 最近 出して いる けど 、こう 言う 慣れ 始め が 一番 怖い んだ 。
注意 して い ない と な 。
ツルハシ の 盾 は 、採掘 を しよう と して いる 俺たち に 調度 いい 技能 だ 。
さて 、と 。
松明 を 片手 に 廃坑 に 足 を 踏み入れる 。
「危険な 魔物 が 生息 して いる らしい から 気 を つけろ よ 」
「 うん 」
俺 が 先頭 で 廃坑 の 中 を 進む 。
途中 まで は 木 で 補強 された 洞窟 みたいだった が 、しばらく する と 鍾乳洞 みたいに なった 。
流れ の 緩やかな 小さな 滝 や 泉 も ある し 、薄ら と 上 から の 明かり が ある 。 穴 が 開いて いて 、その 光 が 洞窟 内 の 埃 を 幻想的に 瞬いて いた 。
さて ……何 処 に 行けば 目当て の 鉱石 が 採掘 できる か な 。
地図 を 広げ 、確認 する 。
迷路 ……じゃ ない な 。
滝 の 上 を 迂回 した 辺り で ×印 が 付いている 。 そこ を 目標 に しよう 。
「ご 主人 様 ……」
「 ん ?
ラフタリア が クイクイ と 俺 の 服 の 裾 を 引っ張る 。
「あの ……これ 」
ラフタリア が 下 を 指差した 。
見る と 、何か ……犬 の ような 物 の 足跡 が ある の を 発見する 。
ああ 、化け物 が 住み 着いて いる と か 言って いた けど 本当 だった の か 。
廃 坑 だ から な 、野犬 が 住み 着いた んだ ろ 。 足跡 から 見て 、俺 の 知る 犬 サイズ だ 。 大きさ は 中型 犬 くらい 。
「とりあえず は 行く しか ない だろ 」
危険 を 避けて いて も 結果 は 良く ならない 。
魔物 を 倒す 延長 線上 だ 。
この サイズ なら 問題 ない だろ 。
「よし 行く ぞ 」
「う 、うん 」
「安心 しろ 、何時も 通り に 倒せば 良い さ 」
「 頑張る 」
良い 傾向 だ な 。
「 グゥルルルル ……」
滝 の 上 に まで 登った ところ で 遭遇した 。
なんか 、頭 が 二 つも ある 黒い 犬 。
で 、さっき の 足跡 ……子供 の 時 だった の か ?
俺 の 身長 くらい まで 大きく なって る !
やる しか ない か 。
「 ワオォオオオオオオオオオン !
犬 が 遠吠え を して 俺 たち に 向かって 突撃 して くる 。
今 まで の 敵 から ダメージ を 受けた 事 は 無い が 、耐え られる か ?
いや 、仮に 受けた と しても 即死 は 無い だろう 。
盾 を 構えて 犬 の 突進 に 耐える 。
ぐ ……重い 。
「 ガアアアア !
爪 で ガリガリ と 盾 を 引っかき 、二つ ある 頭 で 俺 に 噛みつこう と してくる 。
さ せる かって の !
噛みつかれない ように 上半身 を 仰け反らせて 避ける 。
耐え きれ なく は ない 。
と いう 所 だ な 。
「 よし !
押さえ つけた ! 後 は 隙 を 見て ラフタリア が ……という 所 で 気 が 付いた 。
「あ ……ああ ああ ……」
ガクガク と 震えた ラフタリア が 虚空 を 見つめて いる こと に 。
ヤバイ !
この 症状 は 夜 の 叫び だ 。
「 イヤ アアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア !
キーン と 耳 が 遠く なる ほど の 絶叫 。
「 キャン !
双頭 の 犬 が 叫び を あげて 、一度 俺 から 距離 を 取る 。
その後 、ターゲット を 叫ぶ ラフタリア に 切り替えて 走って きた 。
「させる か !
咄嗟に ラフタリア を 突き飛ばして 守る 。
のだ が 、ラフタリア が 滝 の 方 へ 落ち かける 。
「ひ !?た 、助け ──」
落ちて も 、死に は し ない だろう 。
だが 、今にも 落ち そうに なって いる 。
「ダメ 、ダメ !
お 父さん ! お 母さん ! ぐ ……ここ は 一旦 、引き下がる べき か 。
少々 命がけ だ けど やる しか ない 。
俺 は 犬 の 猛攻 から 引いて 、ラフタリア を 抱えて 滝 に 身 を 任せる 。
ゲーム だ と 滝 から 落ちる とか は よく ある けど 、現実 で やる と めまぐるしく 景色 が 変わって 、状況 が 掴めない 。
一瞬 だけ 滝 から 放り出さ れた が 、重力 に 従って 落下 。
滝つぼ 兼 、泉 に 落ちた 。
後 は ……まあ 、流れ が 緩やかだ から 泳いで 岸 に 上がる 。
「ゲホ ……ゲホ ……」
「まったく 、いきなり パニック に なる んじゃない !
「お 父さん ?
「 違う 。
何の 事 を 言って いる んだ ? 話 を し つつ 上 を 見る 。
双頭 の 黒い 犬 が 崖 から 岸 に 上がった 俺達 を 睨み つけて 踵 を 返す 。
絶対 に こっち へ 来る な 。
「大丈夫 か ?
意識 は しっかり して いる の か ? 「あ ……私 ……」
「一体 どうした ん だ ?
「 その ……」
「ちゃんと 話せ 」
「う ……はい 」
ラフタリア は ポツリポツリ と 話しだした 。
「私 は この 国 の 辺境 、海 の ある 、街 から 少し 離れた 農村部 に ある 亜人 の 村 の 出身 なんです ……この 国 です から 裕福 とは 言えない けど 」
両親 は 優しく 、村 の みんな と も 仲良く 平和に 過ごして いた 。
しかし ある 日 、骸骨 兵 が 大量に 、災厄 の 波 から 溢れ出てきた という 。
骸骨 兵 は 数 こそ 多かった が 、最初 は 近隣 に 居た 冒険者 達 で 対処 できて いた 。
が 、獣 、大きな 甲虫 など が 大量に 溢れ返り 、防衛 線 は 決壊 。
その 果て に 黒い 三つ の 頭 を 持つ 犬 の ような 化け物 が 現れ 、人々 は まるで 無抵抗な 草花 の ように 蹂躙 さ れ て いった 。
ラフタリア の 村 も その 被害 を 抑え きれ ず 、必死に 、化け物 達 から 逃げ 出した 。
しかし 、化け物 たち は 逃亡 を 許さ ず 、まるで 遊び の ように 見知った 人々 を 殺して 回った 。
ラフタリア の 両親 も 同様 で 、一緒に 逃げて いた が 、海 の 上 の 崖 まで 化け物 たち は 追いかけて きた 。
逃げ 切れ ない と 悟った ラフタリア の 両親 は 顔 を 合わせ 、ラフタリア に 微笑む 。
そんな 状況 だ という のに 、優しく 、怯える ラフタリア の 頭 を 撫でた 。
両親 が 命 を 掛けて 助けよう と して いる の が 幼い 彼女 でも 理解 できた らしい 。
『いや ぁ !
お 父さん ! お 母さん ! ドン !
二人 は 、ラフタリア に 生きて 欲しい と 願い を 込めて 、崖 から 海 へ 突き飛ばす 。
ラフタリア は 突き飛ばさ れ 、海 へ 落ちる 最中 、化け物 たち が 両親 に 向って 襲い 掛かる の を 目撃してしまった 。
これ を 語る ラフタリア の 顔色 が 青い 。
話す の も 辛い 記憶 な んだ と 思う 。
「それ から 私 は 海 に 落ちて 、奇跡的に 近くの 浜 に 流れ着きました 」
気 が 付いた 時 、ラフタリア は 体 を 起こして 、両親 を 探す ために あの 崖 へ 足 を 運んだ らしい 。
既に 化け物 は 国 が 出した 冒険者 と 騎士団 に よって 辛うじて 討伐 されて いた らしい 。
死骸 の 転がる 荒野 を 歩き 、やっと の 事 で 両親 と 別れた 崖 に たどり着いた 。
そこ に は おびただしい 血 と ……肉 の 切れ端 が 点々 と 転がって いた 。
両親 の 死 を 理解 した 時 、ぷつり と ラフタリア の 中 で 何か が 弾けた そうだ 。
「 イヤ ア ア ア ア ア ア ア アアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア !
その後 、ラフタリア は 両親 の 死 を 心 の 傷 に しつつも 健気 に 頑張ろう と した 。
今 の ラフタリア を 見る と 想像 も 付か ない が 、元々 は 頑張り屋 だった らしい 。
それ も 奴隷 生活 で 少しずつ 磨耗 して いった のだろう 。
俺 と 出会う 道中 は 壮絶な もの であった 。
生き残った 村人 と 一緒に 村 の 復興 を 目指し も した が 、運悪く 奴隷 狩り に 遭い 、拷問 も 経験 した そうだ 。
やがて 、あの サーカス テント の ような 場所 に 収監 さ れた と いう 。
逃げ なきゃ ! また パニック に 陥り かけて いる 。
トラウマ の 原因 か 。
「 落ちつけ !
「で 、でも ──」
「あれ は お前 の 両親 を 殺した 奴 じゃ ない 。
頭 だって 二 つ だ ろ ! それ に ……お前 は 俺 を 誰 だ と 思って いる んだ ? 「 え ……」
「俺 は 盾 の 勇者 だ 。
今 まで だって 、俺 は ずっと 、お前 を 守って い ただ ろ ? だけど 、俺 は お前 を 守る こと は 出来て も 、敵 を 倒せ ない んだ 」
そっと ラフタリア の 頬 に 手 を 添える 。
「お前 の 両親 は 帰って こない 。
だけど 、お前 と 同じ 境遇 に なって しまい そうな 子 を 助ける 事 は 出来る 」
詭弁 だ な 。
俺 は 生き残り たい から 強く なり たい だけ だ 。 だけど ラフタリア に とって 波 と いう の は 災厄 だ 。
「俺 に 出来る の は お前 が 最大限 戦える 環境 を 整える だけ 、それ でも イヤ なら ……前 に も 言った よ な 」
「う 、うん !
「 ガア !
犬 が どうやら 追いついて きた ようだ 。
「とにかく 、戦え ない の なら 下がって ここ から 出ろ 」
「ご 主人 様 は ?
「俺 は コイツ の 注意 を ひいて から 逃げる !
「 そんな !
「しょうがない だろ 、俺 は 守る 事 は 出来て も 戦えない んだ 」
「行っちゃ イヤ !
「じゃあ どう する んだ ?
このまま 死ね と ? 「…… イヤ !
ラフタリア が 剣 を 強く 持って 、犬 の 横 に 回り込んで 突き刺した 。
「 キャン !
犬 が 悲鳴 を 上げる 。
「死んじゃ ダメ !
「……死なない さ 、俺 が 死ぬ とき は 攻め手 から 、お前 を 守り切れ なかった 時 だろう な 」
死な ない ため に 、俺 は 強く なり たい んだ 。
こんな 所 で 死んで たまる か !
犬 が ラフタリア に 向かって 噛みつこう と して くる 。
咄嗟に ロープシールド に 変えて 唱える 。
「 エアストシールド !
その 直後 に 戦闘用 の 盾 に 変化 。
思い切り 犬 の 体 に 組み ついた 。
「 ガァア !? 」
ラフタリア に 噛み つけ ず 、俺 に 組み つかれて 犬 は 吠える 。
もう 一 つ の 頭 が 俺 の 肩 に 食らいつく 。
痛み と 共に 鮮血 が 飛び散る 。
「ご 主人 様 !?」
「 落ちつけ !
まだ 大丈夫 だ ! 防御 力 と やら は 相当な 効果 らしい な 。
あんな 鋭い 牙 で 噛まれている のに 致命傷 に ならない と は 。
これ も 盾 の 力 だろう 。
流血 こそ して いる が 痛み は 耐え られない 程 じゃない 。
「 はい !
ラフタリア は 渾身 の 力 を 込めて 、隙 を 作った 犬 の 心臓 の ある 位置 を 剣 で 突く 。
「でりゃ ああ ああ ああ ああ ああ ああ あ ああ !
ずぶり と 音 を 立てて 犬 の 体 に 剣 は 突き刺さった 。
「 ガアアアアアアアアアアアア ……」
想像 以上 に 抵抗 する 犬 の 心臓 を ラフタリア は 何度 も 突き刺す 。
やがて 双 頭 の 黒い 犬 は 動かなく なり 、倒れた 。
「 は ぁ …… は ぁ ……」
「よく 、やった ぞ 」
血まみれ に なった ラフタリア と 俺 。
俺 は ラフタリア の 頭 を 撫でる 。
「ご主人様 ……絶対 に 、死なないで 、私 に ……居場所 を 」
つたない 言葉 で ラフタリア は 俺 に 状況 の 維持 を 懇願 する 。
奴隷 生活 は 大変 だった のだろう 。
普通に 考えて 戻り たく は ない はずだ 。
環境 に 不満 は ない 。
だから 評価 して ほしい か ……。
俺 と しても 簡単に 手放す つもり は ない 。
そして 要求 する 事 は 戦う こと だけ だ 。
「ご主人様 ……まだ 、お名前 を 聞いて ません よね ?
「ああ 、そう だった な 。
岩谷 尚 文 、 岩谷 が 姓 で 名前 は 尚 文 だ 」
「ナオフミ ……様 ……改めて よろしく お 願い します 」
ぺこ り と 頭 を 下げた ラフタリア が そう 俺 に 言った 。
名前 ……か 。
勇者 様 と 呼ばれる より は 遥かに マシ だ な 。
解体 して ……。
犬 を 解体 する って 、あんまり 気持 が 良い もの じゃない な 。
結果 。
皮 製 で 、頭 の 部分 が 生きている ような 迫力 が ある 。
能力 は 程々 に 高い な 。
悪く は ない だろう 。
アラートシールド って な んだ ?
専用 効果 の ドッグバイト と いう の も 気 に なる 。
後 で 調べて おこう 。
ひんやり した 感覚 と 共に 徐々に 傷 が 治って いく の を 感じた 。
宿 に 戻ったら 、回復 魔法 とか が 使える 冒険者 に 金 を 払って 治して もらう か 。
そう いえば 、この 世界 に 来て 初めて の 痛み だ 。
やはり 、痛み は ある んだ よ な 。
戦え なく は ない けど ……やはり 痛い の は いやだ な 。
解体 して も 他の 部位 の 盾 は 出 ない の か ……もしくは 材料 とか Lv が 足りない んだな 。
「さて 、魔物 は 倒した し 、鉱石 を 掘り に 行く か 」
「 はい !
お ?
さっき より も 元気 だ な 。
採掘 技能 1 を 持つ ツルハシ の 盾 に 変え 、ツルハシ を 持って 、廃 坑 の × 印 の 場所 を 掘る 。
徐に 俺 は ツルハシ を 振り 上げる 。
すると 壁 に 十字 に 輝く ポイント が 浮かび上がる 。 なんだ ? ここ に 突き 立てれば 良い の か ?
「 てい !
勢い を つけて 、俺 は ツルハシ を 振るった 。
ガツン と いう 音 と 共に 壁 に ヒビ が 入る 。
その 亀裂 が メキメキ と 広がって 崩れた 。
「お わ !
凄く 脆い な ぁ この 壁 。
崩落 の 危険性 を 視野 に 入れ ながら 、鉱石 を 探す 。
……あんまり 芳しく ない なぁ 。
と 、何 回 か 掘り 進めて いく と 光る 鉱石 を 発掘 できた 。
「 ライトメタル ?
ライトメタル という 鉱石 が 出てきた 。
これ が 高く 売れる 鉱石 な の か …… ?
純度 が 高 そうだ 。
産出 量 は 良くない けど 、その 日 は 夕方 に なる まで 掘り 進め 、十 個 ほど 見つけた 。
あんまり 効率 は 良く なさそうだ 。
一 個 、盾 に 吸わ せる 。
必要 個数 が 足り ない っぽい 。
もう 一 個 。
こりゃ あ 、強い 魔物 と 戦う 時 は これ が 一番 だ な 。
「どう です か ?
「ま 、こんな 物 だ ろ 」
「わかり ました 。
じゃあ 帰り ましょう 。 ナオフミ 様 」
ラフタリア が 俺 の 手 を 握って 前 を 歩こう と する 。
「絶対 に 、生き残り ましょう ね 」
「 ああ 」
当たり前 だ 。
俺 は 生きて 元 の 世界 に 帰る んだ 。 こんな 糞 みたいな 世界 で 死ぬ もん か 。
やはり 高値 で 売れた 。
これ で 当分 の 活動 資金 や 装備 を 整え られる な 。