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三姉妹探偵団 1, 三 姉妹 探偵 団 01chapter05(1)

三 姉妹 探偵 団 01chapter05(1)

5 三 姉妹 の 受難

珠美 は 、教室 に 一人 で 残って いた 。

別に 残さ れた わけで は ない 。 自主 的に 残って いた のである 。 その 点 は 強調 して おく 必要 が ある だろう 。 珠美 は その 要領 の 良さ で 、大して 勉強 は し ない が 、そう 成績 は 悪く なかった から である 。

「──おい 、佐々本 、まだ やってる の か 」

と 、教室 の 戸 が 開いた 。

「あ 、先生 」

安東 が 覗き に 来た のだった 。

「帰ら ん か 、一緒に ? 「もう 少し 計算 して 行きます 」

「何 を やって いる んだ ? 「いい んです 、別に 」

と 、珠美 は 笑って ごまかした 。

「 分った 。 あんまり 遅く なる な よ 」

安東 は 、それ 以上 何も 言わ ず に 出て 行った 。

珠美 は 、ノート を 眺めて 、

「しめて ……二万四千八十 円 か ……」

と 呟いた 。 家計 簿 を つけて いる のである 。

いつまでも 安東 の 家 に 厄介 に はなれ ない 。 それ は 珠美 に も 分って いた 。 だから 、安東 の 家 が 、綾子 と 珠美 の 二人 に いくら ぐらい 使って いる の か 、大体 の ところ を つけている のである 。

食費 の 他 に 、風呂 の ガス 代 、水道 代 、下着 の 替え を 買って くれた 分 など を 計算 する と 、二万四千 円 余り に なる 。

これ じゃ 、いくら 夫婦 共稼ぎ ったって 、楽じゃ ない 。 やはり 居候 は それなり の 貢献 を し なくて は ならない 。

綾子 は 働き 始めて いる が 、バイト で は 大した 金 に ならない し 、いつまで 続く かも 心もとない 。 あまり あてにしない 方 が いい だろう 。

と いって 、夕里子 は 高校 、自分 は 中学 。 アルバイト った って 、たかが 知れて いる 。

「売春 で も やる か なあ ……」

と 、珠美 は 机 の 上 を 片付け ながら 呟いた 。

教室 の 明り を 消して 、珠美 は 廊下 へ 出た 。

ロッカールーム へ 入る と 、靴 を はき かえる 。 ──どこ か で タバコ の 匂い が している 。

隠れて 誰 か が 喫った の か な 。 もったいない 。 今 は タバコ も 高い のに 。

鞄 を 手 に ロッカールーム を 出よう と する と 、いきなり ドア が 開いて 、珠美 は 中 へ 押し戻さ れた 。

「な 、何 よ ……」

二 年生 だ 。 それ も 年中 問題 を 起こして いる 三 人 組 だった 。 一 人 は くわえ タバコ で 、髪 も 染めて いる 。

珠美 は 、まずい 、と 思った 。

「ねえ 、あんた 」

一 人 が ドア を 閉めて 、より かかる 。 二 人 が ジリジリ と 近付いて 来た 。

「何 です か ? 「ちょっと 小遣い が いる の 。 貸して よ 」

「お金 なんて ……」

「持って ん の 、知って んだ よ 。 いつも 金 勘定 してる って いう じゃない 」

「私 、別に ……」

「なめ ん じゃ ない よ ! つき飛ばさ れて 、珠美 は ひっくり返った 。 小柄 だ から 、体力 で は とても 敵 わ ない 。

「おとなしく 金 出し な よ 」

珠美 も 決して 勇敢 で は ない 。 人並みに 、殴られる の は 好きでない し 、こういう 手合 を 相手に 喧嘩 する 度胸 も ない 。

しかし 、珠美 は 無類の ケチ である 。 鞄 の 中 に は 、確かに 一万五千 円 ほど の 現金 が ある 。 しかし 、 これ は 夕 里子 から 預かった 〈 資金 〉 な のだ 。

「どう な の さ ? 「渡す もん です か ! お 金 欲しきゃ 、働き なさい よ ! 珠美 は 、両手 に しっかり と 鞄 を かかえ込んだ 。 ──相手 は ちょっと 呆気 に 取られた 。

脅して やれば すぐ 渡す だろう と 思って いた のだ 。

「この 野郎 ……」

珠美 は 、 お腹 を けられて 、 体 を 縮めた 。 頭 を 踏ま れる 。 髪 の 毛 を 引張られる 。 顔 を 殴ら れる 。 痛 さ で 気 が 遠く なった 。

「 よこせ ! と 鞄 を もぎ取られそうに なる と 、ハッと して 、

「や だ ! と 鞄 を 必死で 抱きしめた 。

「 こいつ ……」

不良 グループ が 、刃物 や チェーン を 持って いなかった の は 幸い であった 。 珠美 に こう も 手こずる と は 思って いなかった のだろう 。

殴る 、ける 、が 続いて 、珠美 は 目 の 前 が 真っ暗 に なった 。 口 の 端 が 切れて 血 が 流れる の が 分った 。

死んじゃ う かも しれ ない 、と 思った 。 しかし 、絶対 に 鞄 は やらない 、と 決心 していた 。 お 金 の ため に 死ぬ なら 、本望 であった 。

「おい 、何 してる ! 男 の 声 が した 。 ありがたい !

「 逃げろ ! ドタドタッ と 足音 が 入り乱れて 、それ から 静かに なった 。

「──大丈夫 かい ? 事務室 に いる 男性 の 声 らしかった 。 らしかった 、という の は 、珠美 は 目 が かすんで 、よく 見えなかった のである 。

しかし 、鞄 だけ は しっかり と 抱きかかえて いた 。

死んじゃ おう 。

綾子 は 、電車 の 中 で 、ホーム で 、帰り道 で 、そう 考え つづけて いた 。

昨日 の 好調 と は 打って変って 、今日 は 最低の 一日 であった 。 五時 の チャイム まで が 、まるで 一年間 も ある ようだった 。

コピー の 機械 に やっと 慣れて 、自信 満々 で 出社 した のに 、今日 は 書類 の 整理 と 荷造り を やらさ れた 。

書類 と いって も 、勤めた こと も なく 、商業 高校 に も 行って いない 綾子 に は 、伝票 と メモ の 違い だって 見分け が つかない のである 。

おまけに 、

「歳入 、歳出 別 に ね 」

なんて 言わ れた って 、そもそも 「サイニュウ 」「サイシュツ 」が 、どういう 字 を 当てる の か 、定か で ない 。

「入 」と 「出 」か な 、と 見当 は ついた のだが 、そこ を 、

「どう やって 見分ける んです か 」

と 一言 訊け ば いい の を 、そう でき ない の が 気 の 弱さ である 。

「じゃ 、やっと いて ね 、僕 は 忙しい から 」

と 、その 男性 、さっさと 綾子 を 置いて 行って しまう 。

困って しまった ものの 、遊んで いる わけに も いかず 、ともかく 、「出 」「入 」の 字 を 頼り に 、書類 、伝票 を 全部 分けて しまった 。

怒鳴ら れた 。

「めちゃくちゃ じゃ ない か ! もう いい ! 却って 何も やら ないで いて くれた 方が ありがたい よ 、全く ! 教えて くれ ない んだ もの 、と 口 の 中 で 呟いて 、すみません 、と 頭 を 下げる 。

もう これ で 十二分に 落ち込んだ のだ が 、午後 から は 、発送 業務 で 、小包 に 紐 を かけ させられた 。

これ が また 苦手 である 。 大体 、綾子 は 不器用な のだ 。 靴 の 紐 を 結ぶ の だって 、いい加減 何度 も くり返さ ない と でき ない 。 だから 、靴 も 絶対 に 紐 の ない もの を 選んで いた 。

その 綾子 に 、荷造り しろ と いう のだ から 無理だ 。 担当 の 女性 が 、

「ここ を こう 通して ね 、ここ で キュッ と しめて 、これ で いい の よ 」

と やって 見せて くれた とき は 、あ 、割と やさしい 、と 思った のだ が 、とんでもない 。 やって みる と 、紐 は もつれる 、結び目 は 妙な 所 に できる 、指 を 一緒に 縛っちゃう 、という 有様 。

それ でも 二 時間 近く かかって 、やっと 結び 方 を 憶え 、後 は 順調に 行った 。

四 時 半 に なって 席 へ 戻る と 、さすがに ぐったり した が 、まあ 午前中 より は まし な 気分 であった 。

「 ご苦労さま 」

と 、お茶 も くれた し 、「後 は 五時 まで のんびり して なさい よ 」

と 言わ れて 、やっと 笑顔 も 出た のだが …… 。

「誰 だ おい ! こんな 小包 を 造った 奴 は ! と 、怒鳴り 声 が 、事務所 中 に 響き渡った 。 口やかましい 、と 聞いて いた 課長 さん である 。

「ゆるゆる じゃ ない か 。 見ろ ! 紐 を 持って 下げる と 、確かに ゆる すぎて 外れ そうな のだ 。 「こんなん で 、向う へ 着く と 思ってる の か ! 誰 だ 、 やった 奴 は ! 綾子 は 、 顔 から 血の気 が ひく の が 分った 。

そろそろ と 立ち上る と 、

「私 です 」

と 、消え 入り そうな 声 で 言った 。

「何 だ 、バイト か ? 「 はい 」

「今 の 学生 は 何 を 習って る んだ ? 紐 一 つ 満足 に 結べ ん の か 」

「 すみません ……」

「男 の 引っかけ方 ばっかり 勉強 し とる んだろう 」

事務所 中 が 一斉に 笑った 。 ──綾子 は 、自分 が 世界 一 惨めな 人間 に 思えた 。

帰り道 、ずっと 綾子 は そう 考えて いた 。

世の中 は 、自分 に 合う ように できて いない 。 ── そうだ 。 みんな が 私 を からかって 、馬鹿に して 面白がってる んだ 。

もう 、会社 に 顔 を 出せ や し ない 。

あんな 恥ずかしい 思い を して 。 ──もう 何もかも 終り なんだ 。

安東 の 家 へ 帰りつく と 、張りつめて いた もの が 一挙に 崩れて 、綾子 は 奥 の 六 畳間 に 駆け込む と 、ワーッ と 泣き出して しまった 。

綾子 に 得意な こと が ある と する と 、それ は 泣く こと である 。 何しろ 泣き虫 な のだ 。

一旦 泣き出したら 、一 時間 は 止まらない 。 夕 里子 など 、からかって 、

「お姉さん 、砂漠 で さまよって も 、助かる よ 、水分 の 貯え が 多い から 」

など と 言って いる 。

薄暗く なった 部屋 で 、一人 泣き 続けている と 、襖 が 開いた 。

「──おい 、どうした ? 安東 だった 。

「 先生 ……」

綾子 は 泣く の を やめよう と 思った が 、水道 の 蛇口 と 違って 、止め られ ない のである 。

「 どうした ? 何 か あった の か ? 安東 は わき に 座る と 、綾子 の 肩 を 抱いて やった 。

その 優しさ が 、また 涙腺 を 刺激 した 。

「 私 …… 私 ……」

もう 言葉 に なら ない 。 綾子 は 安東 の 胸 に 身 を 投げかけて 、また ひとしきり 泣き出した 。

「元気 出せ 。 ──おい 、しっかり しろ よ 」

安東 が 綾子 の 頭 を 撫で ながら 言った 。

「 すみません ……」

たっぷり 十分 以上 、泣いて から 、綾子 は 顔 を 上げた 。

「悲しく って ……私 ……だめな んです 。 何 やって も ……笑われる んです 」

「 そんな こと が ある もん か 。 気 に する んじゃ ない 」

「本当 な ん です ……。 私 の こと 、みんな が 馬鹿に して 、笑いもの に する んです …… 」

「俺 は し ない ぞ 」

と 安東 は 言った 。

綾子 は 顔 を 上げた 。

次の 瞬間 、安東 の 力強い 腕 が 綾子 を 抱き 寄せて 、綾子 は 唇 に 安東 の 唇 を 受け止めて いた 。 全身 が 燃える ように 熱く なった 。 ──綾子 は 夢中 で 安東 の 背 に 腕 を 回して いた 。

「 ただいま 」

夕 里子 は 、片瀬 家 の 玄関 を 上った 。

家 の 中 は 、いやに 静か である 。 ──誰 も いない の か な 。

それ に しては 玄関 の 鍵 が 開いていた が 。

「 ただいま 」

居間 の ドア を 開けて 、夕里子 は 立ちすくんだ 。

まるで 、静止 した 画像 の ように 、敦子 と 、父親 、母親 が 離れ離れに 座って 、黙り 込んで いた 。

和やかな ムード で は ない 。 重苦しくて 、その 場 へ 入った とたんに 息苦しく なる 感じ だった 。 ──いて は いけない 、と 思って 、夕里子 は 居間 を 出た 。

すぐに 、敦子 が 追いかけて 出て 来た 。

「夕里子 、外 に 行こう 」

敦子 が 、涙ぐんで いる 。

「 うん 」

二人 は 玄関 から 表 へ 出て 、暗く なり かけた 道 を しばらく 歩いた 。

「靴 、どうした の ? と 、敦子 が 訊いた 。

「 え ? ああ 、あの 編上靴 、かかと が こわれちゃった の 。 ごめん ね 」

「いい の よ 。 それ 、買った の ? 「うん 、知ってる 人 に 買って もらった 」

また 、二人 は 黙り込んだ 。

国友 と 二人 で 水口 淳子 の 家 へ 行って みた のだが 、留守 で 、会う こと は できなかった 。 また 明日 、出直そう という こと に なった のだ が ……。

「ママ が ね 、浮気 してた んだ 」

と 、敦子 が 言った 。 「それ が ばれた の 」

夕 里子 は 息 を 呑んだ 。 ──忘れて いた ! あの 電話 だ ! 二 時 に 。 この前 の ホテル 。 来 なければ 旦那 に ばらす ……。

「相手 が 誰 な の か 、って パパ が 訊いて も ね 、ママ 、言わない の 。 で 、あんな 風 な の よ 。 もう 一 時間 も 」

「どうして ……分った の ? 「パパ の 会社 に 電話 が かかった らしい わ 。 そして 、あんた の 奥さん と 浮気 して いた 、って ……。

ママ の 体 の こと 、あれこれ 細かく しゃべった んだ って 。 だから ママ も 言い逃れ でき なくて 」

夕 里子 は 、言葉 が なかった 。 ──自分 の せい だ 。 あの とき 、ちゃんと 敦子 の 母 に 伝えて おけば ……。

「ママ だって 、うまく やりゃ 良かった の よ 。 ねえ ? 敦子 は 捨て鉢 な 調子 で 言った 。

「そんな 言い方 、気の毒 よ 」

「もう いやだ わ 、家 へ 帰り たく ない ! 敦子 は 、唇 を かみしめた 。 涙 が 頰 に 伝い 落ちた 。 夕 里子 は 、自分 を 呪って やり たかった 。

「でも ──どうして お母さん 、男 の 名前 を 言わない の ? 「分 らない って 言う の 。 何だか 、怪しい 電話 の 誘い に 乗って ホテル へ 行ったら 、部屋 は 真っ暗で 、いきなり 抱きしめられて …… 。 気 が 付いたら 、男 の 方 は もう いなくなってた って 」

「そんな こと って ある の かしら ? 「分 んな いわ よ ! 敦子 は 叫ぶ ように 言って 、それ から 、息 を 吐き出した 。 「──ごめん ね 、夕里子 の せい じゃ ない のに 」

私 の せい よ 、と 夕里子 は 心 の 中 で 言った 。 しかし 、口 に 出して は 、とても 言えない 。

「戻ろう よ 」

と 、夕里子 は 言った 。

「 うん 」

敦子 は 夕 里子 の 腕 に 腕 を からめた 。

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