×

우리는 LingQ를 개선하기 위해서 쿠키를 사용합니다. 사이트를 방문함으로써 당신은 동의합니다 쿠키 정책.

image

三姉妹探偵団 1, 三 姉妹 探偵団 01 Prologue

三 姉妹 探偵団 01 Prologue

プロローグ ──火事

最初に 煙 の 匂い に 気付いた の は 、次女 の 夕里子 だった 。

三 人 姉妹 の 中 で は 、実際 、何事 に も 一番 めざとい のが 夕里子 である 。

鼻 を つく 、こげ くさい 匂い 。 ただ 、魚 が こげている とか 、そんな もの で は ない 。 鼻 の 粘膜 が ヒリつく ような 、刺激 の 強い 匂い だった 。

ベッド に ハッと 起き上った の は いい が 、その 拍子 に 、妹 が 寝ている 上の 段 の 底板 に 頭 を いやというほど ぶつけて 、

「あ 、畜生 ! と 、十七 歳 の 乙女 らしからぬ 言葉 を 吐いた 。

姉妹 の 寝ている 八 畳 間 は 、真っ暗 だった 。 頭 の てっぺん を さすり ながら 、夕里子 は ベッド から 出る と 、蛍光 灯 の 紐 を 手探り した 。

こういう とき に は 、勘 が 狂う もの だ 。

「 エイッ ! かけ声 を かけて 手 を 振り回す と 、紐 が 触れた の は いい が 、今度 は 紐 を はね飛ばして しまって 、また 分 ら なく なって しまう 。 やっと の 思い で 紐 を 捕まえ 、引張る と 、グローランプ が 二 、三 度 瞬いて 、明るく なった 。

ドア の 下 から は 、もう 白い 煙 が じわじわ と 広がり つつ あって 、部屋 の 空気 も 少し かすんで いる 。 さすが に 度胸 の いい 夕里子 も 、一瞬 青ざめた 。

しかし 、呆然 と 突っ立っている とき で は ない のだ 。 まず 二 段 ベッド の 梯子 に 飛びついて 妹 の 珠美 の 毛布 を はぎ取って 、

「 珠美 ! 起きて ! 胸ぐら つかんで 揺さぶった 。

「 えっ? なに ? どうした の ! 十四 歳 の 珠美 は 、寝坊 でも した と 思った の か 、ガバ と 起き上り 、

「何 時 ? と 訊いた 。

「火事 よ ! と 夕里子 が 怒鳴る 。

「 えっ? もう 九 時 ? 遅刻 だ わ ! 「馬鹿 、火事 だって 言って ん の 。 早く 降りろ 、こら ! 珠美 も 下 を 覗いて 、煙 に 気付いた 。

「や だ ! お姉ちゃん 、どう しよう ? 「早く 降りて ! 夕里子 は 飛び降りる と 、一人 だけ 普通の ベッド で 寝ている 長女 の 綾子 へ と 駆け寄った 。 これ が 大変な のだ 。

「 姉さん ! 起きて ! 火事 よ ! 思い切り 揺さぶる が 、綾子 は 、低く 唸った きり で 起き ない 。 何しろ 低 血圧 で 寝起き が 悪い の は 姉妹 でも 群 を 抜いて いる 。 一度 寝て しまう と 、ちょっと や そっと の こと で は 起き ない のである 。

夕 里子 と 珠美 が 悲鳴 を 上げた 地震 の とき も 、全く 知ら ず に 眠って いた こと が ある くらい だ 。

「 姉さん ! 「何 よ ……」

綾子 が やっと 瞼 を 重そう に 開けた 。

「火事 よ ! 「 火事 ? ──どこ が ? 「うち が 、よ ! 早く 起きて ! 逃げる の よ ! 綾子 も 、やっと 煙 に 気付いて 事態 を 理解 した らしい 。 ベッド から 這い出す と 、煙 を 吸って むせた 。

「立た なきゃ ! ほら 、煙 を 吸っちゃう わ よ 」

「 うん ……」

綾子 として は 、これ で 精一杯 な のである 。

「 パパ は ? と よろけ ながら 立ち上る 。

「出張 中 」

「あ 、そう か ……。 よかった 」

「何 を 呑気 な こと 言って ん の 。 早く 外 へ ──」

「 待って ! 待って よ 」

と 綾子 は 夕 里子 の 腕 を つかんだ 。 「私 、ネグリジェ よ 。 服 着る から ──」

「焼け 死んだら 、もっと カッコ悪い わ よ ! 夕 里子 は 頭 へ 来て 怒鳴った 。

「 分った わ よ 」

綾子 は まだ 寝ぼけ 顔 で 、不服 そうに 、「あんた 、怒る と ママ そっくり 」

「余計な こと 言ってる ヒマ が ──」

と 言い ながら ドア を 開けて 、夕里子 は 立ちすくんだ 。 赤い 炎 が 目の前 の 壁 を なめ 始めて いる 。 天井 は もう 火 に 包まれて いた 。

「だめ だ わ 。 窓 から ! ドア を 叩きつける ように 閉める と 、夕里子 は 、奥 の 窓 へ 駆け寄った 。 幸いな こと に 平屋 造り である 。

「でも 金網 が 張って ある よ 」

と 、珠美 が 言った 。

夏 の 虫よけ に 、細かい 金網 を 打ちつけて ある のだ 。 窓 を 開ける と 、夕里子 は 叫んだ 。

「破る の よ 。 椅子 ! ほら 、それ かして 」

妹 の 勉強机 の 椅子 を かつぎ 上げる と 、金網 めがけて 叩きつける 。 足 の 先 が 網 を 破って 外 へ 突き出る 。

「もう 一 度 ! 珠美 ! 見て ないで 手伝って よ ! 珠美 が あわてて 椅子 を 一緒に かつぐ 。

「 そら ! 力一杯 椅子 を 金網 へ と 突き出す と 、そのまま 椅子 は スッポ 抜けて 、窓 の 外 へ 消えた 。

「珠美 、早く 出て ! 「私 が 先 ? 「いい から 早く して ! お姉さん 、出て よ 」

綾子 は 、ぼんやり と 腕組み して 立って いる 。

「あんた 先 に 出て 。 妹 なんだ から 」

「そんな こと 言ってる とき じゃない よ ! 急いで 、ほら ──」

スローモー な 姉 を 一人 で 置いてったら 、また 一つ 欠伸 を して ベッド へ 戻り かねない 。 強引に 窓 の 方 へ と 引張って 、背中 を ぐいぐい 押す 。

「分った から ──押さないで 。 危い じゃ ない の ! 火事 と どっち が 危い んだ か ! やっとこ 綾子 を 押し出した とき 、ドア が 突然 倒れた 。 火 の 塊 が 天井 へ と 突き抜けて 、ドーン と 凄い 音 が した 。

「お 姉ちゃん ! 外 で 珠美 の 呼ぶ 声 が する 。 夕里子 は あわてて 窓 へ と 頭 から 突っ込んで 行った 。

窓 の 真下 に 、先 に 出た 綾子 が 、まだ 座り込んで いた 。 夕 里子 は その 真上 に 落ちた わけである 。

「 痛い ! 「 キャーッ ! 二 人 は もつれる ように して その 場 から 這って 逃げ出した 。

「 お 姉ちゃん ……」

珠美 が 妙に 上ずった 声 を 出した 。

夕 里子 は 起き上って 振り向き 、目 を 見張った 。 ほんの 数 秒 前 に 出て来た 窓 から 、黄色い 炎 が 、まるで 巨大な ガス バーナー みたいな 勢い で 吹き出していた 。

そして 、姉妹 たち の 家 は 、もう 八 割方 、炎 に 包まれていた 。

「家 が ……なく なっちゃう ……」

珠美 が 気 の 抜けた ような 声 を 出した 。

「 うん ……」

夕 里子 も 、ぼんやり と して 、ただ 肯いた 。

三人 の 家 は 、この 新興 住宅地 の 一画 でも 、少し 離れて 、ポツンと 高台 に 建っていて 、隣近所 といっても 、軒 を 接している わけで は なかった から 、延焼 の 心配 は なかった 。 もっとも 、三人 とも 、そんな こと に まで 、とても 頭 が 回らなかった が 。

「夕 里子 ……」

と 、綾子 が 呟く ように 言った 。

「なあ に ? 「一一九番 しなかった わ ね 」

「 うん ……」

今さら 電話 した って 、どう なる の 、と 叫び たい の を 抑えて 、夕里子 は 肯いた 。 お姉さん は そういう 人 なんだ から 。

人間 、悲劇 的な 立場 に 立たされる と 、却って 寛大に なれる もの な のである 。

そこ へ 、坂 を 駆け上って 来る 足音 が した 。

「 おい ! 大丈夫 か ! 「あ 、先生 ──」

と 珠美 が 言った 。

この 少し 先 に 住んで いる 、安東 という 教師 だった 。 珠美 の 通っている 中学校 で 、国語 を 教えている 。

パジャマ 姿 に サンダル を 引っかけて 、駆けて 来る 。

「どうした ん だ ! 「分 り ませ ん 。 寝て たら 急に ──」

「みんな 無事 か ? ──お 父さん は どうした ? 「パパ 、出張 です 」

「そう か 、じゃ 、君 ら だけ な んだ な ? 良かった ! 家 が バリバリ と 裂ける ような 音 を 立てた 。

「危い ぞ 。 退がって いた 方がいい 」

屋根 が 崩れ落ちた 。 火の粉 が 無数 に 夜空 へ 舞い上って 、夕里子 は こんな 場合 なのに 、きれいだな 、と 思った 。

「──何も 持ち出せ なかった わ 」

と 、やっと 目 が 覚め 切った らしい 綾子 が 言った 。 「保険 の 証書 も 焼けちゃった の かしら 」

「命 が ある んだ ! と 安東 が 太い 声 で 言った 。 「みんな 火傷 も せ ず に 、生きてる んだ ! それ が 何より じゃ ない か 」

理屈 は そう だ けど ね 。 ──夕里子 は 心 の 中 で 、焼けて 行く 一つ一つ の 品物 を 思い出して いた 。 小学校 から 使った 机 、買った ばかりの 鞄 、お気に入り の ワンピース 、まだ 一回 は いただけ の 靴 ……。

そう だ 。 死んだ ママ の 写真 も 、焼けて しまった 。

──サイレン が 遠く から 近付いて 来る 。

「やっと 来た か 」

と 安東 が 言った 。

「先生 が 電話 して 下さった んです か ? と 綾子 が 訊いた 。

「うん 。 もっと すぐ 来る と 思った が ……」

全部 焼け落ちて しまう わ 、この 様子 じゃ 、と 夕里子 は 思った 。 サイレン と 鐘 の 音 が 、少しずつ 近付いて来て 、他 に も 何人か 、近所 の 人たち が 、寝巻き 姿 で 走って来る の が 、炎 に 照らし出されて 目に入った 。

炎 は 少し 勢い を 弱め つつ あった 。 もう 、燃える 物 が なくなって 来た のだ 。

夕 里子 は 、初めて 夜気 の 冷たさ を 感じて 、身震い した 。

Learn languages from TV shows, movies, news, articles and more! Try LingQ for FREE