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世界から猫が消えたなら (If Cats Disappeared from the World), 世界 から 猫... – Text to read

世界から猫が消えたなら (If Cats Disappeared from the World), 世界 から 猫 が 消えた なら:世界 から 映画 が 消えた なら:1

고급 1 일본어의 lesson to practice reading

지금 본 레슨 학습 시작

世界 から 猫 が 消えた なら :世界 から 映画 が 消えた なら :1

世界 から 映画 が 消えた なら

「人生 は 近く で 見る と 悲劇 だ けれど 、遠く から 見れば 喜劇 だ 」

その 男 は 僕 に 言う 。

シルクハット に 大きめ の タキシード 姿 で 、スティック を 振り回し ながら 。

沁みる 。

いま の 僕 に は 、その 言葉 が とても 沁みる よ 。 僕 は 想い を 彼 に 伝えたい が 、言葉 に ならない 。

続けて 男 は 言う 。

「死 と 同じ ように 避けられない もの が ある 。

それ は 生きる こと だ 」

その 通り だ よ 。

自分 が 死ぬ かもしれない と 思った とき に はじめて 分かった んだ 。 死 と 生 は 等価 である こと を 。 いま の 僕 は あまりに も その バランス が 悪すぎる 。

いままで 、僕 だって それなりに がんばって 生きてきた つもりだ 。

でも 、いま の 僕 に 残る のは 後悔 だらけ 。 圧倒的な 死 の 威力 に 、生 が 押しつぶされて しまっている んだ 。

僕 の 想い を 察した の か 、タキシード の 男 は その チョビ髭 を 触り ながら 近付いて くる 。

「意味 を 考えて いた って 始まらない よ 。

意味 なんて どうでも いい じゃない か 。 生きて いく こと は 美しく すばらしい 。 くらげ にだって 生きて いる 意味 が ある 」

きっと そう な のだ 。

どんな もの でも 、そこ に 存在 する こと に は 意味 が ある のだろう 。 くらげ だって 、道ばた の 小石 だって 、盲腸 に だって 意味 が ある んだ 。 きっと ね 。

だとしたら 、僕 が 世界 から 何か を 消して いこう と する 、その 行為 は 重罪 な ので は ない か 。

くらげ にだって 生きて いる 意味 が ある 。 でも 、生きて いく こと が 意味 不明 に なって いる いまの 僕 は くらげ 以下 な のかもしれない 。

男 は 近付いて くる 。

そう 。

その 男 は 紛れもなく チャーリー ・チャップリン だ 。

チャップリン は 僕 の 目の前 に 立ち 、シルクハット を 自分 の 顔 に かぶせる 。

「みゃあ 」

という 声 と ともに 、シルクハット を 取る と 、その 顔 は 猫 に なっている 。

「」

声 に ならない 声 を 上げ ながら 僕 は 跳ね起きた 。

腕時計 を 見る 。

朝 の 九時 。

キャベツ が 心配 そうに 、みゃあ みゃあ と 泣き ながら 僕 の 枕元 に うずくまる 。

僕 は キャベツ を ゆっくり と 撫でる 。

柔らかくて 、温かい 。 フーカフーカ した 感触 。 生きて いる 感覚 。 ようやく 頭 が 回りだした 僕 は 、昨夜 の こと を 少しずつ 思い出して いた 。

映画館 の 前 で 寒気 と めまい で 倒れた 。

その後 の こと は さっぱり 覚えて いない 。

いま は 少し の 頭痛 と 、熱っぽさ だけ が 体 に 残って いる 。

「ちょっと ちょっと ー !

なん なん す か ー 、もう 大げさに ー ! 」台所 から 僕 が 叫ぶ 。 いや 僕 で は ない 。

僕 の 姿 を している 、悪魔 が 。

「もう 単なる 風邪 と かって ……まじ 勘弁 して ください よ !

」「風邪 ……と いいます と ? 」赤い アロハシャツ が 派手 すぎて 、目 が チカチカ する 。 「だから 単なる 風邪 だった んです よ 、あなた 。

ここ まで 連れて くる の 、結構 大変 だった んです よ 。 いくら 悪魔 だ からって 大変な もの は 大変な ん す から ね ! 」アロハ は 、僕 の カップ に 湯 を 注ぎ 、そこ に ハチミツ を 溶いて レモン を 絞り 、スプーン で からから と かき混ぜる 。 「ずいぶん 苦しんでる から 、もう 死んじゃう の か と 思った じゃない すか ー 、もう 」

アロハ は 呆れ ながら カップ を 僕 の 枕元 に 置く 。

「すみません ……」

僕 は その 甘ずっぱくて 美味しい 飲み物 を ゆっくりと すする 。

「 いま まで 延命 ミス した こと 一度 も ない んです から ね !

ミス なんか したら 神様 に 怒られちゃう んです から ! 」「以後 気をつけます …… 」 「もう 以後 とか 言って らんない 身 なんです から 。

自覚 して もらわない と 困ります ! 」なんか 理不尽 な アロハ の 理屈 。 でも 仕方 が ない 。 いま は こいつ が 僕 の 命綱 な のだ 。 みゃあ ……と 鳴いて 僕 の 枕元 から 去って いく キャベツ 。 なんだか キャベツ まで 呆れて いる ようだ 。

「で 、どう します ?

」僕 が 飲み 終わる の を 待って 、アロハ は 尋ねる 。 「何 が ?」

「やだ なー もう 。 この 世界 から 消す もの です よ 」

「ああ 」

「次 は 映画 です よ 」

「そう でした 」

「消します ? やめ ときます ? 」

世界 から 映画 が 消えた なら 。

僕 は 想像 する 。

困った 。

趣味 が なくなって しまう で は ない か 。

今さら 趣味 なんて 騒いで も 仕方がない のは 分かっている 。

でも かなり の 数 、買い ためた DVD 、もったいない な 。 スタンリー ・キューブリック と スター ・ウォーズ の ブルーレイ BOX も 買った ばかり な のに 。

うーん ……でも それ くらい か ?

そんな もん な の か ? 本当に 。

アロハ は 「早くっ早くっ 」と せかして くる が 、これ は 重要な 問題 だ 。

ちょっと 一度 立ち止まって 考えて みよう 。

「やっぱり ……映画 じゃ ない と ダメ です か ?」

「ダメ です 」

「どうしても ?」

「じゃあ ……何なら 消して も いい んです か ?」

例えば 音楽 なら どう だろう 。

NOMUSIC ,NOLIFE .

音楽 が なければ 、生きて いけない !

か の レコード ショップ は 謳う 。

果たして 、音楽 なし の 世界 で 僕ら は 生きて いける のだろうか 。

生きて いける だろう 。

きっと 。

雨 の 日 に ひとり 部屋 に こもり 、大好き な ショパン を 聴けなくて も 、いま まで 通り それなりに 心地よく 過ごせる だろう 。

晴れた 日 の ボブ・マーリー が なくなったら 、それ は ゆるやかな 幸せ は 感じない の かもしれない けれども 、まあ 問題 ない だろう 。

自転車 で 疾走 している とき に 聴く ビートルズ は たまらなく 爽快な のだが (僕 が 郵便配達 を している ときの BGM なのだ )なんとか 仕事 は できる だろう 。

暗い 夜道 を ひとり 歩いて 帰り ながら 聴く ビル・エヴァンス は 、たまらなく 切なく 、胸 が ぎゅっと する のだ けれども 、別に それ が なくて も 問題 ない 。

結論 1 。

NOMUSIC ,YESMYLIFE .

音楽 が なくて も 、僕 は 生きて いける 。

少し の 寂しさ が 、たくさん できる のだろう けれど 。

NOCOFFEE ,NOLIFE !NOCOMIC ,NOLIFE !

叫んで みた ものの 、別に コーヒー や コミック が なくなって も 人生 は 続いて いく 。

大好きな コーヒー ゼリー や スターバックス の カフェラテ が なくて も 、きっと 生きて いける 。 AKIRA も ドラえもん も スラムダンク も 、お別れ する の は 辛い けれども 命 の ため なら なんとか 別れて みせる 。

僕 の 大好き な フィギュア だって 、スニーカー だって 、帽子 だって 、ペプシコーラ も 、ハーゲンダッツ も 、なくなったら それ は もちろん 嫌だ けれど 、別に 死に は しない 。

命 優先 。

と いう こと で 僕 は 想像上 の 世界 で 全部 捨てて みた 。

結論 2 。

人 は 水 と 食べ物 と 寝床 が あれば 死に は しない 。

つまり は 、この 世界 に ある ほとんど の もの は 、あっても なくて も よい もの な のだ 。

僕 の 人生 に 最も 寄り添って きた と も いえる 大事な 映画 たち 。

果たして それ が 消えた とき に 、まるで 僕 そのもの が 消えた ような 気 が する のだろうか 。

「道 を 知っている こと と 、実際 に 歩く こと は 違う 」

『マトリックス 』で 語られる その 言葉 。

世界 から 何か が 消える という 事象 と 、そこ に 関連 する リアリティ は まったく 別物 なのだ と 思う 。

物理的に 失われる こと の 直接的 影響 より も 、何か 数値 で は 測れない 大きな 欠落 が そこ に 起きて いる 。 それ は 一見 分からない 。 だが それ は 、誰 の 目 に も つかない まま 、確かに 状況 を 大きく 変えて いく のだろう 。

何より 心 が 痛んだ 。

映画 を 愛して いた 彼女 、全世界 の 映画 を 愛する 人々 。 その すべて から 映画 を 奪う のだ 。 罪 は 重い 。

とはいえ 僕 という 存在 が あって 、はじめて 相対的に 映画 が 存在 する わけで 、まず 僕 の 命 が ない こと に は どうしようもない のだ 。

生きて い なければ 、映画 を 楽しむ こと は できない わけだ し 、彼女 や 映画 を 愛する 人々 と その 素晴しさ を 分かち合う こと も できない のだ から 。

僕 は 決意 する 。

映画 を 消そう と 。

かつて 観た 映画 で 主人公 が 言って いた 。

「世の中 に は 悪魔 に 魂 を 売りたがっている 人間 が たくさん いる 。 問題 は 買って くれる 悪魔 が なかなか いない と いう こと だ 」

この セリフ は 間違って いた 。

なぜなら 僕 の 前 に は 、魂 を 買って くれる 悪魔 が 現れた わけ な の だ から 。 まさか 文字通り 本物 の 悪魔 が 登場 する と は 、夢にも 思って いなかった のだ けれど 。

「決めた ようです ね 」

ずいぶん 陽気 で は ある が 、一応 本物 の 悪魔 であろう アロハ が にやけ ながら 言う 。

「はい …… 」

「じゃあ 、ルール 通り 、最後に 一本 だけ 、好きな 映画 を どうぞ 」

そう か 。

一本 選べる の か 。 考え 始める と 、頭 を 抱えて しまう 。 到底 選べない 。

「最後 に あなた の 好きな 映画 を ここ で かけて あげる 。

一緒に 観よう 」

昨夜 の 彼女 の 言葉 が よみがえって くる 。

あの 言葉 は 予言 だった の かもしれない 。

いずれにせよ 、僕 が 愛する あまたの 映画 の なか から 、人生 最後に 何 を 観る の か 。

それ は 大きな 問題 だ 。 いま まで 観た こと の ある 映画 な の か 、それとも 見逃して いた 映画 な の か 。

最後 の 晩餐 や 、無人島 に 持って いきたい もの など 、究極 の 選択 という のは 雑誌 や テレビ で は 見て いた が 、いざ 自分 が その 立場 に なる と これほど 苦しい こと は ない 。

でも いま の 僕 に は 、この アロハ の 提案 を 断る という 選択肢 は ない 。 だって 死んじゃう んだ もの 。

「決められ な さ そう です ねえ ……分かります よ ー 、もちろん そう だ と は 思います 。

あなた 映画 大好き です もん ね 」

「 はい ……」

「でしたら 、いま から あなた に 半日 だけ あげます 。 その 間 に 決めちゃって ください ! 人生 最後 の 一本 を 」

困り果てた 僕 は ツタヤ を 訪ねる こと に した 。

ツタヤ と は 店 で は なく 、人 である 。

え 、ちょっと 日本語 が おかしい って ?

言い 直そう 。

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