Midnight Diner S 1:E 10 Episode 10
♪~
( マスター )1 日 が 終わり 人々 が 家路 へ と 急ぐ ころ ―
俺 の 1 日 は 始まる
メニュー は これ だけ
あと は 勝手に 注文 して くれりゃ あ ―
できる もん なら 作る よって の が 俺 の 営業 方針 さ
営業 時間 は 夜 12 時 から 朝 7 時 ごろ まで
人 は “ 深夜 食堂 ” って 言って る よ
( 柱 時計 の 時報 )
( ユキ ) 随分 人 を あやめ てま すね
( カタギリ ) 前世 で ?
いえ 前々 世 で
いつごろ ?
およそ 千 年 前
和歌山 の 熊野 ( くま の ) です
世界 遺産 か …
因果応報
輪廻 ( りんね ) 転生
( ユキ ) ご 自分 の 心 を 探し に 行か れる んです ね
随分 前 から 決め てらした
釣り は いら ない よ
( ゲン ) 頼む よ
あなた は 今 悪い 方向 に 導か れて いる
それ を 変え られる の は あなた 自身
( マスター ) よう
( マスター ) ゲン ちゃん が うち に 一 人 で来た の は ―
その 日 が 初めて だった
北京 ダック
( マスター ) ない ね
った く しけて や がん な
じゃ トリュフ
トリュフ 知って ん の かい ?
じゃ ラーメン
うち の は インスタントだ よ
は あ ? インスタントラーメン で 金 取 ん の か よ
のり は ?
( マスター ) あいにく 切れ ち まって な
切れた ?
切れた …
ラーメン に のり が 載 っか って ねえ なんて ―
あり え ねえ だ ろ
あ ち っ … あっ …
あ ち … ああ …
猫舌 な んだ よ !
はい
次 は ちゃんと のり ラーメン に 載 っけ て やる から
( 戸 の 開閉 音 )
( マスター ) 帰る 間際 に 見せた 不安 げ な 笑顔
それ が やけに 気 に かかった んだ
ハァ ハァ ハァ …
( マスター ) その 夜 ゲン ちゃん は 敵対 する ヤクザ の 若 頭 を 刺して ―
それっきり 姿 を 消した
( 男性 ) ごちそう さん
( マスター ) ありがとう ね
( 小道 ( こみち )) 今日 は 一 人 ?
( ルミ ) 二 人 と も あたし 出し抜いて 合 コン
んな こと より ―
その ゲン ちゃん て 人 どう なった の ?
( 金本 ( か ねもと )) 行方 不明
やっぱり 切った 張った の 世界 の 人 な んだ ね
( 忠 ( ちゅう ) さん ) ヤクザ って の はな 男 売る の が 商売 だ から よ
あん 時 の 落とし 前 を て め え で つけよう と 思った んだ よ
( ホームレス ) や あっ !
( 竜 ( りゅう )) ああ っ …
兄貴 兄貴 !
小 寿々 ( こす ず ) さん が 言って たよ ゲン ちゃん は さ ―
竜 ちゃん 守れ なかった こと を ずっと 悔んで たって
もう 新宿 に は い ない の か な
そりゃ そうでしょ
ヤクザ だけ じゃ なく 警察 に も 追わ れて る 身 だ し
( 忠 さん ) うん
敵討ち ね
余計に 迷惑 かけて んじゃ ない
もう 東京 湾 に 沈んで たり して
冗談 よ 冗談
や だ みんな 深刻な 顔 しちゃ って
( 忠 さん ) 無事に いて くれりゃ いい けど な
( 男性 ) 剣 崎 ( けんざ き ) さん
ちょっと 話 が ある んだ
( 小 寿々 ) どうした の ? ボク
( マスター ) いらっしゃい
お ばん です
小 寿々 さん 今日 は 早い ね
うん ボク お 入 ん なさい
かわいい ! 小 寿々 さん お 孫 さん ?
こら っ
子供 こしらえ られ ねえ のに 孫 が いる はず ねえ だろう が
なあ ? ( 小 寿々 ) タネ は あん の よ
表 に 立って た の
ボク ここ で 誰 か と 待ち合わせ ?
( 健太 ( けん た )) ここ に 来たら お 父さん に 会える と 思って
はじめ まして 健太 です
お 父さん です よ ね
( 健太 ) 証拠 なら あり ます
( 刑事 ) 弟 分 の こと だ けど
今 どこ に いる んだ
分かって りゃ とっくに 教えて ます よ
悪い な 車 内 は 禁煙 な んだ よ
あの さ 俺 たち だって 忙しい んだ よ
いろいろ 事件 が あって な
だから あんた ら みたいな 小 悪党 相手 に して る 暇 ない んだ
だから 早く 出頭 さ せて くれ
( マスター ) はい ジュース
マスター じゃ ない と したら 誰 な んだ ?
確かに 住所 は ここ に なって る わ ね
マスター ちょっと お 願い が ある んだ けれど
うち の お 店 に ラーメン の 出前 頼め ない かしら
チン さん の ところ で 頼めば ?
大体 うち は インスタントな んだ し 届ける 前 に 冷めちゃ うよ
熱々 じゃ なくて いい の お 客 さん 猫舌 だ し
あっ … そう よ ね そう よ そう そう
そんな の おいしく ない わ よ ね
ああ いい の 忘れて
あの … お 店 戻る から また あと で来る から
( ルミ ) あれ ? 小 寿々 さん もう 帰っちゃ う の ?
( 小 寿々 ) ちょっと 用事 思い出した の
( ルミ ) じゃ また あと で ね
( 忠 さん ) しかし 最近 の 子 は ―
俺 たち の ころ より も 賢 そうに 見える ね
青 っ 鼻 も 出て ねえ し さ
( ルミ ) いる わけない でしょ いつ の 話 よ
( 忠 さん ) ハハッ この キムチ イケ る ね
腹 減って ないかい ?
何 か 作って や ろうか ?
( 健太 ) これ そろばん ?
ピーナッツ そろばん ?
すごい
同じ 形 の ピーナッツ を 探した んだ
気 が 遠く なる ぜ
触って も いい です か ?
慎重に な
( 金本 ) デュッセルドルフ です か
( 忠 さん ) ど こだい ?
ドイツ です よ
ネアンデルタール 人 の 骨 が 見つかった 近く
は あ …
ご 両親 と 海外 生活 すごい ッス ね
それ で 日本 を 離れる 前 に ―
こう やって 毎年 バースデー カード 送って くれた ―
本当の お 父さん に 会い たい と 思った
けなげ ね
お 父さん の 顔 知ら ない んです 写真 も ない し
( 戸 の 開く 音 )
あっ ユキ さん 久しぶり
どうも
だから な これ ぐらい あった んだ よ
マスター ラーメン
あ いよ
( マスター ) また ラーメン だ
ラーメン の 注文 が 続く 珍しい 夜 だった
ヘヘヘッ そんなに 冷ましたら 伸びちゃ うよ ヘヘヘッ
猫舌 なんで
( ドア ベル の 音 )
いらっしゃい
マ … マスター
うち の ラーメン 食べ たい って 客 の 顔 拝み たく って さ
( ゲン ) ビール で いい か ?
そう だ よ な
俺 みて え な 半端 もん が 相手 じゃ 一緒に 飲む 気 し ねえ よ な
兄貴 分 に て め え の ケツ 拭か せて いい気な もん だ な
あんた なら きっと そう 言う と 思った よ
俺 が 脅した って 顔色 ひと つ 変え なかった もん な
や っち まった こと なかった こと に は でき ねえ よ
大事な の は その あと どう する か だ
けど …
俺 取り返し の つか ねえ こと …
( マスター ) 取り返し が つか ない って の は ―
何も し ねえ で 嘆いて る やつ の 言い訳 じゃ ねえ の か ?
あり が と な
( マスター ) おい
うち で ラーメン 食 って から 行き な よ
今日 は ちゃんと ―
のり 載 っけ て やる から
前科 は ?
ねえ よ
ない んです か ? ヤクザ な のに
悪 ( わり ) いか よ
ちょっと 切った だけ でしょ ?
だったら 傷害 罪 で うまく いけば 執行 猶予 つき ます よ
絶対 ( ぜ って え ) だ な
多分 … ねっ ?
父親 に 会わ せて やり たかった な
( 忠 さん ) ああ
せっかく 息子 が 探し に 来た って いう のに よ
あっ …
おい
おい
お前 …
健太 な の か ?
どうも
はじめ まして
何 か 食べ たい の あり ます か ?
うん ? うん … ラーメン
ここ の インスタントです けど
家 ( うち ) じゃ 食べ らん ない から
インスタント 好きじゃ ない んだ お 母さん が
マスター ラーメン
( マスター ) あい よ
うまい ?
そ っか
また 会える よ ね ?
おお
今度 手紙 書く から 住所 どこ ?
今 まで どおり ここ で いい んだ よ
元気で な
お 父さん も ね
( ゲン ) 兄貴
一 人 で 大丈夫 ッス から
もう 逃げ ませ ん から
つきあわせろ よ
絶対 手紙 書く から ね
( 忠 さん ) 住所 は ここ だ から な
クリスマス って さ 幸せじゃ なきゃ いけなかった っけ
さあ … 忘れちゃ った わ よ
しかし 一 年 に 一 度 きり な のに 僕 も 含めて です けど ―
こんな 吹きだまり に 集まる の は どう な んでしょう か
すいません でした フフッ
( 小 寿々 ) あら 竜 ちゃん
( マスター ) よっ いらっしゃい
執行 猶予 ついた よ
( マスター ) へ え そう
いろいろ みんな に 世話 か けち まった から
( 一同 ) ああ っ !
( 金本 ) カニ
( 小 寿々 ) カニ ~ カニ
サンタ って ホントに いる んだ ね マスター
( ミキ ・ ルミ ・ カナ ) ねえ 早く 食べよう よ ねえ ねえ
( マスター ) ようし じゃ 今夜 は 豪快に 焼き ガニ と いき ましょう
( 一同 ) わ あっ !
( マスター ) これ が 本当の サイレントナイト さ
行く の かい ?
居心地 の いい ところ に 長居 して る と ―
そう じゃ ない とこ に 行き たく なる んで
やっかいな 性分 だ な
自分 でも 持て余して ます
それ と これ
今 まで ツケ に して もらった 分 です
しまい な よ
新しい 土地 に 行けば 何かと 物 入り だ
受け取って ください
今度 の 旅 は 少し 長く なり そうな んで
そうかい
じゃ
その 傷 の 落とし 前 必ず つけ ます から
( マスター ) 世の中 は ―
さすらい 迷って 戻り 川
人生 なめ ん な よ
いらっしゃい
メニュー に なくて も できる もん なら ―
何でも 作る よ
♪~
~♪