6.寂れた神社
寂れた 神社
20 年 ほど 前 。 当時 大学生 だった 俺 が 、 夏 休み に 車 で 田舎 の 実家 に 帰省 して いた とき の こと だった 。
その 時 は いつも 帰省 時 に 通って いる 道 と は 別の 道 を 通って いた 。 見渡す 限り の 山 や 田んぼ に 囲ま れた
いかにも 田舎 って 感じ の 道 を しばらく 運転 して いた 時 、 少し 先 の 山 の 入り口 みたいな ところ に
赤い 鳥居 が 立って いる の を 見かけた 。 とても 寂れた 雰囲気 が 良かった ので 車 を 止めて
ぶらりと 立ち寄って みる こと に した 。 赤い 鳥居 を くぐる と 長い 石段 が あり 、 山 の 上 の 方 まで 続いて いた 。
ひと 気 は 全く なく 、 周り は 木々 に 囲ま れ 薄暗く 、 石段 に は びっしり と 苔 が 生えて 足元 に 気 を つけ ながら 登って いった 。
階段 を 登り きる と 、 すぐ 目の前 に 小さな 社 が あった 。 もう 何 十 年 も 人 の 手 が 入って い なかった のだろう か
その 社 は ひどく 朽ち果てて いた 。 せっかく な ので 手 を 合わせ 参拝 した 後 、 石段 を 下りて 実家 に 帰省 した 。
その 時 は 特に 何も なかった しかし その 日 から 変な 夢 を 見る ように なった 。
夢 の 中 で 俺 は 例の 神社 に 行って 鳥居 を くぐり 石段 を 上り 、 社 の 前 で 参拝 して 石段 を 下る と いう 、 まったく あの 時 と 同じ 行動 を して いた 。
三 日 三 晩 その 同じ 夢 を 見た 。 さすが に 気味 が 悪く なった が 、4 日 目 以降 は その 夢 を 見る 事 は なく なり
気 に は なって いた もの の その後 は 特に 何事 も なく 過ごして いた 。
それ から 10 年 以上 が 経ち 、 結婚 して 子供 は い なかった が それなり に 幸せな 日々 を 過ごして いた 。
あの 神社 も 不可解な 夢 の 事 も 、 すっかり 忘れて いた 。 ある 年 の お盆 に 嫁 と 実家 に 帰る こと と なった 。
途中 で 近道 を しよう と 見知らぬ 山道 を 進んで いった せい で 、 道 に 迷って しまった 。
途方 に 暮れて いる と おばあ さん が 道端 を 歩いて いた ので 道 を 聞いて みる と 、 ニコニコ し ながら 丁寧に 教えて くれた 。
おばあ さん に 挨拶 を して 教えて もらった 道 を しばらく 運転 して いく と 、 見覚え の ある 道 に 出た 。
安心 より も すごく 嫌な 気持ち に なった 。 なぜなら その道 は 例の 神社 が ある 道 だった から だ 。
しかし 戻る わけに も いか ない ので 、 そのまま 進む こと に した 。 赤い 鳥居 が 見えて きた 。
俺 は 気 に せ ず 通り過ぎよう と した が 、 赤い 鳥居 の 前 に 誰 か が いる 。 見て は いけない と 思い ながら も 目 を 向ける と 、 それ は さっき の おばあ さん だった 。
おばあさん は ニコニコ 笑って こちら を ずっと 見て いた 。 俺 は 怖く なって 車 の スピード を 上げ 、
すぐに その 場 から 去った 。 しばらく する と いつも 通って いる 道 に 出て 、 少し 安心 した ところ で ふと 助手 席 の 嫁 を 見る と
嫁 の 顔 が 真っ青に なって いた 。 「 あれ を 見た の か 」 と 口 に は 出さ ず 、 心 の 中 で 思い ながら 「 どうした の か 」 と 聞いて みる と 、
何 か おかしい
嫁 が 言う に は 、 確かに 鳥居 の 前 に 人 が いる の を 見た が それ は 俺 が 見た おばあ さん で は なく 、
嫁 が 高校 時代 に 亡くなった 同級 生 の 女 だった と いう のだ 。
その 同級 生 ば 自ら 命 を 絶って しまった のだ が その 原因 は いじめ らしく 、 嫁 は 直接 いじめ に 加担 こそ を して い なかった が 、 見て 見ぬ ふり を して いた と の こと だった 。
しかし ずっと その こと を 気 に して いた らしい 。
俺 は 嫁 に 「 気のせい だ よ 」 と 諭し ながら 気丈に 振る舞って いた 。
だけど 心 の 中 で は 「 あの おばあ さん が 俺 たち を あの 神社 に 誘った の か 」 など いろいろ 考え ながら 運転 して いた 。
俺 は あの 神社 の こと と 、 俺 が 見た の は おばあ さん だった こと など は 嫁 に は 黙って いた 。 とにかく すごく 怖かった 。
その 日 から 嫁 が 夢 を 見る ように なった 。 内容 を 聞く と 、 例の 神社 に 入って 石段 を 上がる と
社 が あって 、 実際 に 神社 に 行った わけで も ない のに 俺 が かつて 見た 夢 と 同じだった 。
ただし 大きく 違う ところ が 2 つ あった 。 一 つ 目 は 参拝 して 帰ろう と 振り向く と 、 目の前 に
例の 自殺 した 同級 生 が 現れて 、 そこ で 目 が 覚める こと 。 もう 一 つ は 、 もう 数 十 日 経って も 同じ 夢 を 見 続けて いる こと だ 。
嫁 は どんどん 元気 が なくなり 、 病院 に 連れて 行く と 鬱 と 診断 さ れた 。 全く 眠れて い ない せい か 目 も 虚ろ に なって いる 場合 が ほとんど だった 。
俺 が あの 神社 に 立ち寄り 参拝 して から 十 数 年 、 ようやく 理解 した 。
俺 は ずっと 祟られて いた のだ と 。 今 思えば 、 帰省 時 あの 道 は 普段 絶対 に 通る はずの ない 道 だった 。
なのに なぜ か 通って しまった 。 何 か に 呼び寄せ られた の か ?
嫁 に ば 本当に 申し訳ない こと を した と 思って いる 。 さらに 数 年 が 経った 今 でも 、 かつて の 幸せな 日々 は 戻って こ ない 。