3-gatsu no Lion (Marchcomesinlikealion)Episode3
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(目覚まし時計 の 音 )
( 桐山 零 ( きり やま れ い ) ) ん … あ …
ああ …
まぶしい …
いいかげん カーテン 買わ ん と …
から 揚げ …最後 の 1 個
( 零 ) 今日 の 対局 は 獅子 ( しし ) 王 戦 の 6 組 トーナメント
相手 は 二 海 堂 ( に かいどう ) 晴 信 ( はる の ぶ )
もう すぐ 夏 休み か
(零 )プロ に なって から は 今日 が 初 対局 だ
デパート の 屋上 など で 毎年 子供 将棋 大会 が 催さ れ た
奨励 会 に 入る 前 全国 の 強い 子供 たち は
こう いった 小さな 大会 で 何度 も 顔 を 合わせる
すでに 何度 も 顔 を 合わせて い た
あれ は 何 年生 の 頃 だった ろう …
恐ろしく 暑い イベント で
僕 と 晴信 は 準決勝 で 顔 を 合わせた
その 日 は ほんと に ひどい 暑さ で …
暑い の が 苦手 な 彼 は 赤 鬼 の ように 真っ赤っか で
ひどく つら そう で …
(二 海 堂 晴 信 )す ぅ …ふ ぅ …
(零 )見ている こっち まで 苦しく なった
たぶん 貧血 を 起こし て いる の だろう
彼 の 顔 は どんどん 青白く なって いった
( 二 海 堂 ) は ぁ …
(零 )傲慢 な 考え かも しれ ない
(駒 音 )
何とか 最短 で 詰み まで 持っていく 道 を 探し て い た
一刻 も 早く 目の前 の 子 を
冷房 の 効いた 涼しい 場所 で 休ませねば と思った の だ
しかし …
ありったけ の 持ち 駒 を 自陣 に 投入 し て
必死 の 抵抗 を 始めた の だ
汗 まみれ の 真っ青 な 顔 から は
声 に ならない 叫び が 漏れ だし て い た
(二 海 堂 )負け たく ない …
負け たく ない …
負け たく ない
負け たく ない
負け たく ない !
(零 )その 瞬間 僕 は 自分 の 思い上がり を 恥じ た
(二 海 堂 )負け たく ないっ !
(零 )目 の 前 の 人間 が こんなに 汗 まみれ で
フラフラ に なって まで ここ に 座って いる の は
(零 )勝ち たい から な の だ
(零 )それ は もう どう しよう も なく …
僕 と 同じ に
長い 戦い に なった
もう 僕 の 勝ち だった
それ でも 彼 は 一 手 一 手
もがく よう に 見え ない 道 を 探し て 指し 続ける
しかし ついに 指す 手 が 無くなる 時 が きた
どんな に 目 を 凝らし て も
もう どこ に も 自分 の 玉 の 生きる 道 が ない
(二 海 堂 )負け まし た …
漫画 みたい な 大粒 の 涙 を ポロポロ と こぼし 始め た
僕 は それ を せみ の 声 と デパート の 屋上 の BGMの中で
ただ 黙って 見つめて い た
その 顔 を …
( 水音 )
止まら ない 列車 に 飛び乗る よう な もの だ
もう 二 度 と 降りる こと は できない
負け て 転がり 落ちる まで は …
気 が 遠く なる ほど の 勝ったり 負けたり を 繰り返す の だ
“負け たく ない ”と あえぎ ながら
( 三角 ( み すみ ) 龍 雪 ( たつ ゆき ) ) おう 桐山
ちょっと の ぞい て みろ
( 松本 ( まつ もと ) 一 砂 ( いっさ ) ) お前 の ライバル が すばらしい 気迫 で 待ってる ぞ
( 零 ) え ?
(零 )あ …は …(三角 )な ?
何 か もう 気合 入り すぎ て ほぼ 別 の 漫画 に なってる だろ ?
ん にゃ 何 つ ー の ?こう …
“次 号 詰む や 詰ま ざる や ”…みたい な ?
うらやましい な 桐山
見ろ よ あの 気迫
全て お前 の ため な ん だ ぜ
“終生 の ライバル だ ”って 言ってた ぜ 彼
(零 )あぁ …
(零 )落ち着け
まず ゆっくり 息 を 吸い込む
浅い 息 は 視界 を 狭く する
( 二 海 堂 ) うん ?
遅い ぞ 桐山 待ちくたびれた ぞ
(零 )僕 は 時間 どおり に 来ました
早く 来た の は 二 海堂 さん の 方 でしょ ?も ぉ …
(二 海 堂 )そっか !うむ …気持ち が はやって しまって な
さあ …
始めよ う じゃ ない か !
(レモン 水 を 飲む 音 )
( 零 ) 2 五 桂 ( けい ) … 来 た !
2 四 銀
3 五 歩
同 銀
1五 歩
強く なって いる
じわじわ と で も 揺るが ず に 攻め て くる
駄目 だ …
受け て ばかり で は らち が 明か ない
流れ を 変える !
(零 )は …汗 ?
あの 時 と 同じ だ
顔色 が 悪い
二 海 堂 の 様子 が おかしい
すいません 空調 効いて ます か ?
(記録 係 )あ …すいません
どう も エアコン の 調子 が 良くない みたい で
(二 海 堂 )いい よ 桐山
あの デパート の 屋上 に 比べ たら 天国 だ
続け よう ぜ !
( 零 ) 5 七 香 ( きょう )
歩 切れ を つい て きた か
なら こう だ !
7 六 歩
(駒 音 )
はっ …は ?え ?
6 八 銀 ?
金 取り を 放置 し て 銀 打ち ?
何 だ ?
何 だ …これ ?
(せみ の 鳴き声 )
(せみ の 鳴き声 )
(零 )うん
負け たく ない
負け たく ない よ ね
(息 を 吸う 音 )
(零 )落ち着け
息 は 深く 視野 は 広く
この 局面 僕 の 方 が いい はず な ん だ
落ち着いて 指し 続けろ !
僕 は 晴信 の 粘り を 振り切り 続けた
そして …
( 二 海 堂 ) う … くっ…
あり ませ ん …負け まし た
(零 )ああ そう だ この 顔 …
同じ まん ま だ 子供 の 頃 と
ちっと も 変わって い ない
二 海 堂 も そして きっと 僕 も
ずっと …
( 花岡 ( は なお か ) ) 晴 信 様
お …花岡 ?
グリーン 休暇 は ? 世界 一 周 は どう し た ん だ ?
80 日間 帰って こない ん じゃ なかった の か ?
(花岡 )大奥 様 に 代わって いただき まし た
私 は 10 日間 で 十 分 です
船旅 は 満喫 させて いただきました
正直 晴 信 様 と 離れ て いる 方 が 心配 で 心配 で …
もう 不整 脈 と か 起こし かね ない 危なさ で ありました よ
病院 の 方 へ 行って いません でした ね
このまま 森川 先生 の ところ へ 行き ましょう
もう 連絡 は し て あり ます
(花岡 )晴 信 様 お つらい です か ?
また 腎 機能 が 低下 し て いる の でしょ う
(二 海 堂 )すまない …
申し訳 あり ませ ん
私 が いない 間 食事 も むちゃ なさった の で ありましょう
(二 海 堂 )う ぐっ …すまない 花岡 …
いい ん です 分かり ます
病院 食 ばかり で は ストレス が たまり ます
それ を 子供 の 頃 から です
どんな に お つらい か …
花岡 は ずっと 見 て 参り まし た
大丈夫 花岡 が つい て おり ます
焦ら ず 少し でも 体調 を 戻し ましょう
桐山 様 は …対局 は いかが で し た か ?
(二 海 堂 )負けた …強かった
あんな に 強く なってる なんて …
でも …
次 は 絶対 に 負け ない !
はい !
もちろん です と も !晴 信 様
約束 どおり 僕 は みんな の いる 家 に 向かった
( 川本 ( かわも と ) あかり ) 対局 が 終わったら また おいで
送り 盆 な の ごちそう 作る から
(零 )こんばんは 桐山 です
(あかり )遅かった ね お 疲れ さま
おなか 減って る でしょ ?入って
(零 )遅く なって すみません
(あかり )ほら モモ 零 ちゃん 来た よ
(零 )これ プリン です
(川本 ひなた )さあ どうぞ !
桐山 君 の は 遅い から 別に 盛って おい た よ
ありがとう
ちょっと ずつ 盛って よけて おい た よ
(零 )おいし そう !
でも 食べ き れ る かしら ?
(ひなた )で !こっち が おばあちゃん と お母さん の 分 です
モモ の ままごと セット に 盛りつけて みました !
(零 )おお …ちっちゃい …
( 川本 相 米 二 ( そめ じ ) ) ん あぁ … さすが に もう ビール 2 本 は きつい な
う っこ ら しょ っと
ふ ああ …
(あかり )おじいちゃん 寝ちゃ 駄目 よ
そろそろ 送り火 たか ない と …だし
ああ
ああ もう 9 時 過ぎ か …そう だ な
あんまり 遅く なる と ばあさん たち 帰る の 大変 だ から な
(零 )ん ?この 間 夕方 たい て …
(あかり )そう !この 間 は 迎え 盆 だった から
早く 来て みんな 待ってる よ って
日 が 暮れる 頃 たく の
晩 ごはん が 終わって から たく の よ
きゅうり の 馬
なす で 作った 牛 に 乗って いって もらう の よ
さあ そろそろ お 見送り し ましょう か
(零 )みんな は いつも と 変わら ず にこにこ し てる けど
やっぱり どこ か けだるく しんみり し て 見え た
ごちそう を 用意 し たり
帰る 時間 を みんな で 気に し たり
切ない 儀式 に しか 思え なかった
(あかり )さぁ そろそろ うち に 入り ましょう か
モモ も お 風呂 入って 寝 よっ かね
(ひなた )あたし ちょっと …
コンビニ 行って くる
(あかり )ヒナ …今 から ?
何 買い に ?
えっ と ね …漫画 !
新刊 出てる の 忘れ て た
(相 米 二 )坊主 …つい てって くれ
( 零 ) え ?
(零 )あっ !
( 相 米 二 ) いい から 早く ! ( 零 ) あ … は いっ
( 足音 )
(零 )足 …速い な
どこ 行く ん だ ?そっち は コンビニ じゃ …
ヒナ …
(零 )いた !
あ …
お 母 さん !
お 母 さん
ひっく … お 母 さ ぁぁ ん
お 母 さん …
あ ああ …
(零 )声 が 掛け られ なかった
胸 が 詰まる よう な 声 だった
きっと みんな の 前 で はずっと 我慢 し てた の だろう
(ひなた )う あぁ ん …
( 零 ) あ …
(ひなた )ぐ す っ …う う …
桐山 君 …
ごめんなさい !すぐ 戻る から
胸 の 中 で インク みたい に にじみ だし た
いい よ … いい
(ひなた )う う …
もう ちょっと ここ に いよ う
う ぅ …う っ …う わ ぁん
(零 )僕 は …
泣 い て も しかたない から 諦めて
悲しい から 考え ない ように し て
頭 から 追い出し て 追い出し て
追い出し て …
でも …
本当 に それ で よかった ん だろう か …
( ひなた ) あぁ ー ん あ ああ …
あぁ ー ん …
二 人 並んで 見上げる 美しい …
ただ ただ 美しい …7 月 の 夜空
( 泣き声 )
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(ひなた )開けた 瞬間 こう …
ぱぁ ~って !う わ っ かわいい !って なる よう な
( 零 ) ヒナ ちゃん は とって も 悩 ん で い た
(二 海 堂 )よし !小さき 者 よ 名 を 聞こ う
名 を 何 と言う ?
(モモ )ボドロ ~!
(あかり )玉 の よう に 艶やか な すばらしい お 友達 ね !
(ひなた )お姉ちゃん !また よそ の 子 を ?
(二階堂 )3 月 の ライオン 次回 も お楽しみ に !
みんな も 僕 と 一緒に 将棋 を 勉強 しよ う !