カッパ | カッパ の 宝物
むかし むかし 、九州 に は 九十九 峠 と いう 峠 が あり 、そこ を 下った ところ に 、カッパ 池 と 呼ばれる 深い 池 が ありました 。
青 黒い 水 を たたえた 池 は 、見るからに 気味 悪く 、この 池 で 魚 を 取ったり 泳いだり する と 、恐ろしい カッパ が 現れて 、必ず 命 を 奪われる と 言う のです 。
ある 日 の 夕方 、 一人 の お 百姓 ( ひゃくしょう ) が 、 この 池 の ふち で ウマ を 洗って いました 。
すると 突然 、ウマ の たづな を グイグイ 引っぱる もの が あります 。
お 百姓 は 慌てて ウマ の しっぽ を 掴む と 、うしろ へ 引っぱりました 。
そして ウマ が 土手 の 上 へ 駆け上がる と 、ウマ は 何か を 振り落としました 。
見て みる と 、それ は 何 と 、頭 に 皿 を 乗せた カッパ です 。
「この やろう ! 」
お 百姓 は 、いきなり カッパ に 飛びつきました 。
カッパ は 力持ち で 有名 です が 、ふい を つかれた カッパ は 、あっという間に ひっくり返り 、頭 の 皿 の 水 を すっかり こぼして しまいました 。
皿 の 水 が 無くなって は 、カッパ は 力 が 出ません 。
力 の 出ない カッパ は 、たちまち お 百姓 に 組み ふせられて 、首 を しめられました 。
「く 、苦しい ・・・」
カッパ は 目 を 白黒 させ ながら 、おがむ ように 手 を 合わせます 。
お 百姓 が 手 を ゆるめて やる と 、カッパ は 手 を ついて あやまりました 。
「もう いたずら は し ない から 、許して おくれ 。 その 代わり 、わし の 宝物 を あげる から 」
宝物 と 聞いて 、お 百姓 は ニンマリ です 。
「よし 、で は 許して やろう 。 しかし 、どんな 宝物 を くれる と いう の だ 」
すると カッパ は 、いつの間に 用意 した の か 、一つ の タル と 手紙 を お百姓 に 渡して 、
「宝物 は ここ に ない 。 すまん が わし の 家 まで 取り に 行って くれ 。 わし の 家 は 、この 峠 を 登りきって 右 へ 曲がった 所 に ある 。 この タル と 手紙 を 持っていけば 、家 の 者 が 渡して くれる はずだ 」
「・・・・・・」
お 百姓 は 、何だか 怪しい ような 気 も しました が 、
(まあ 、とにかく 行く だけ 行って みよう )
と 、覚悟 を 決めて 、タル を かついで 峠 を 登って いきました 。
ところが 上 へ 近づく に つれて 、なんだか 臭い におい が してきます 。
おかしい と 思って あたり を 調べて みました が 、別に 変わった 様子 は ありません 。
「 クンクン 。 ・・・もし かして 、この タル か ? 」
なんと 、臭い におい は 、かついでいる タル の 中 から もれていた のでした 。
お 百姓 は 、あわてて ふところ から 手紙 を 出して 読んで みました 。
すると 手紙 に は 、
《 親分 の 言いつけ 通り 、 人間 の 肛門 を 百 個 届けます 。 タル の 中 に は 九十九 個 入って います が 、 最後 の 一 個 は この 男 の 物 を 取って ください 》
と 、書いて ありました 。
「そ 、そんな ばかな ・・・」
お 百姓 は ビックリ して タル を 投げ出す と 、 大 慌て で 峠 ( とうげ ) を くだって いきました 。
男 は 家 に 戻った ものの 、それ から 高い 熱 を 出して 、七 日間 も 寝込んで しまった そうです 。
おしまい