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コンビニ人間, 24.

24 .

18 年間 の 勤務 が 幻 だった か の ように 、あっけなく 、私 は コンビニ 最後 の 日 を 迎えた 。 ・・

その 日 、私 は 朝 の 6時に 店に 行き 、ずっと カメラ の 中 を 眺めていた 。 ・・

トゥアン くん は レジ に 慣れて 、手早く 缶 コーヒー や サンドイッチ を スキャン し 、「領収書 で 」と 言われて も 素早い 手付き で 操作 している 。 ・・

本当 は アルバイト は 辞める 1 ヵ月 前 に 言わなければ ならない が 、事情 が ある と いう と 二 週間 で 辞めさせてくれた 。 ・・

私 は 二 週間 前 の こと を 思いだした 。 「辞め させて ください 」と 言った のに 、店長 は とても うれしそうだった 。 ・・

「あ 、ついに !?白羽 さん が 男 を 見せた って こと !? 」 ・・

バイト が 辞めて いく の は 困る 、人手 不足 なんだ から 次 を 紹介して 辞めて ほしい と いつも 言っていた 店長 なのに 、嬉し そうだった 。 いや 、もう 店長 なんて 人間 は どこ にも いない かも しれない 。 目の前 に いる の は 人間 の オス で 、自分 と 同じ 生き物 が 繁殖 する こと を 望んで いる 。 ・・

突然 辞める ひと は プロ 意識 に 欠ける と いつも 憤って いた 泉 さん も 、「聞いた よ ー ! よかった ね ー ! 」と 祝福 して くれた 。 ・・

私 は 制服 を 脱ぎ 、名札 を 外して 、店長 に 渡した 。 ・・

「それ じゃあ 、お世話に なりました 」・・

「いや あ 、寂しく なる よ ー 。 本当に お疲れ ! 」・・

18 年間 勤めた という のに 、最後 は あっさり した もの だった 。 私 の 代わり に 、レジ で は 先週 から 入った ミャンマー 人 の 女の子 が バーコード を スキャン している 。 横目 で 防犯 カメラ の 映像 を 見 ながら 、もう 、自分 が ここ に 映る こと は ない んだろう な 、と 思って いた 。 ・・

「 古 倉 さん 、 本当に お 疲れ さま 」・・

泉 さん と 菅原 さん から 、「お祝い も 兼ねて 」と 高級 そうな 夫婦 箸 を もらい 、夕勤 の 女の子 からは 缶入り の クッキー を もらった 。 ・・

18 年間 、辞めて いく 人 を 何 人 か 見て いた が 、あっという間に その 隙間 は 埋まって しまう 。 自分 が いなく なった 場所 も あっという間に 補完 され 、コンビニ は 明日 から も 同じ ように 回転 して いく んだろう な と 思う 。 ・・

商品 を 検品 する スキャナー も 、発注 する 機械 も 、床 を 磨く モップ も 、手 を 消毒 する アルコール も 、いつも 腰 に さしていた ハタキ も 、身近だった 道具 たち に 触れる こと は なく なる 。 ・・

「でも まあ 、おめでたい 門出 だ から ! 」・・

店長 の 言葉 に 、泉 さん も 菅原 さん も 頷いた 。 ・・

「そう です よ ! また 遊びに 来て ください ね ! 」・・

「そうそう 、お客さん として いつでも 来て ね 。 白羽 さん と 一緒に おいでよ 、フランクフルト 奢って あげる 」・・

泉 さん も 菅原 さん も 、私 を 祝福 して 笑って いた 。 ・・

私 は 、皆 の 脳 が 想像 する 普通の 人間 の 形 に なって いく 。 皆 の 祝福 が 不気味 だった が 、「ありがとう ございます 」と だけ 口 に した 。 ・・

夕勤 の 女の子 たち に も 挨拶 を して 外 に 出た 。 外 は まだ 明るく 、けれど コンビニ は 空 から の 光 より も 強く 光って いた 。 ・・

店員 でなく なった 自分 が どう なる のか 、私 には 想像 も つかなかった 。 私 は 光る 白い 水槽 のような 店 に 一礼 し 、地下鉄 の 駅 へと 歩き 始めた 。 ・・

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