Kinono Tabi : The Beautiful World ( Kino's Journey ) Episode 11
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(キノ )こんな とき に は 考え込んで しまう よ
(エルメス )何 を ?
(キノ )旅 の 意味 や 生きる 意味 を
(エルメス )それ は 人間 の 病気 みたい な もの だ ね
(キノ )あした の 空 は …
青い だ ろう か
(男 )明日 旅 に 出る んだ
長い 旅 に なる だろう
彼女 に とって は 忘れる ため の 旅 だ から な
(キノ )彼女 が 死んだ フィアンセ の こと を ―
忘れる ため に 旅 に 出る の は いい と し て …
どうして 彼女 は あなた を 旅 の 護衛 に ?
(男 )刑務所 から 手紙 を 出し た
私 の 罪 は 一生 を 懸けて 償い たい と
すると 彼女 が やって きて 言った ん だ
その 言葉 が 本当 なら ―
私 を 危険 から 守る こと で 償って ほしい と
(キノ )なるほど
( 男 ) 彼女 の フィアンセ を 殺し た この 私 を ―
彼女 は まだ 許し て くれた わけ で は ない だろう
だが 一生 懸けて 償い の 機会 を 与え て くれた 人 だ
あの ころ の 私 は 心 の 中 に 竜 が 住み着い て いた ん だ
そして そい つ を 飼いならす こと が でき ずに い た
その せい で 自分 も 周り も 傷つけ て いた ん だ
(キノ )旅 の 目的地 は ある ん です か ?
(男 )どこ まで 行く の か 分からない どこまでも 付き従う つもり だ
でも これ は 私 の 旅 で は なく 彼女 の 旅 だ
そして それ が 私 の 人生 の 旅 だ と 思ってる よ
もう 行か なきゃ 明日 の 出発 の 準備 が ある から
ああ キノ さん
旅 の 先輩 の 君 に 1 つ 聞い て いい かな ?
(キノ )何 でしょ う ?
(男 )旅 で 一番 気 を つけ なくちゃ いけない こと って 何 か な ?
(キノ )簡単 です よ
普通 に 国 の 中 で 生活 し てる とき の それ と 同じ です
ん ?
命 を なくさ ない こと です
フッ ありがとう それ じゃ
(バーテンダー )人間 変われ ば 変わる もん だ ねえ
彼 も 昔 は ムチャクチャ な 悪人 だった が
今 じゃ とても 謙虚 で 優しい 人間 だ
この 国 じゃ 改心 し た 者 は 許さ れ る
その 意味 じゃ ―
彼 は お釣り が くる くらい の 人格者 に 生まれ変わって 戻って きた よ
( 銃声 )
( 男 ) うっ…
な …なぜ …
(女 )自分 の 中 に 竜 が 住んで い た ?
冗談 じゃ ない !
竜 が いる の は 自分 だけ だ と でも 思った の ?
( 銃声 )
(エルメス )彼女 は この ため に 旅 に 出る こと に し た んだ ね
国 の 外 なら 彼 を 殺せる から
(空 撃ち する 音 )
(女 )ホント に いい 人間 に なって た の よ この 男
それ が 一番 許せない !
(女 )キノ さん は 私 を 止めよ う と 思え ば できた
どう して ?
僕 は 神様 で は あり ません から
それ だけ です
これ から どう する ん です か ?
旅 を 続ける わ 忘れる ため に
あ …そう
旅 の 先輩 の あなた に 1 つ 聞い て いい ?
旅 で 一番 気 を つけ なくちゃ いけない こと って 何 ?
(キノ )簡単 です よ
命 を なくさ ない こと です
(キノ )旅 の 中 で 人 と 関わり を 持った とき ―
僕 は 怖く なる こと が ある
(エルメス )どう して ?
(キノ )ただ 通り過ぎる だけ の もの だ から
(エルメス )これ まで 出会った 人 たち は ―
今頃 どう し てる だろう ね ?
彼女 は まだ 旅 を 続け て いる かな ?
(エルメス )さ あね
えっ と …キノ どの 彼女 ?
(女 )話 を 聞い て くださって ありがとう キノ さん
(キノ )なるほど
あなた 方 の 旅 の 目的 は とても よく 分かり まし た
(エルメス )で も 武器 を 使って 殺し 合う こと の むなしさ を ―
訴える ため に ―
武器 を 一切 使わ ない 旅 を 実践 し て みせる なんて ―
ムチャ だ と 思う な
(女 )それ でも 私 たち 2 人 は こう し て 何 年 も 旅 を 続け て いる わ
運 が よかった だけ かも しれません よ
そう ね 確か に 運 が よかった だけ なんだ と 思う
同じ 暴力 反対 の 理想 に 共感 し て くれた 彼 が い て くれ て ―
とても 心強かった けれど ―
でも 本当 に 悪い 連中 に 出会って い たら ―
武器 を 持たない 私たち は たちまち 殺されて いた でしょう ね
(キノ )それ が 分かって いる のに まだ 旅 を 続ける んですか ?
誰 か が 理想 を 説か なくちゃ いけない
たとえ 今 すぐ 実現 でき なく て も …
私 が まい た 小さな 種 が 芽 を 出し て 理想 に 近づく かも しれない
私 が 死んだ ずっと あと に でも ね
(エルメス )何で そこ まで ムチャ する の さ ?
( 女 ) それ が 私 の 使命 だ から
フィアンセ を パース エイダー で 殺さ れた 私 の ね
(エルメス )犯人 を 憎い と 思った こと は ない ?
その 犯人 も 誰 か に パース エイダー で 撃たれ て 死んだ と 聞い て います
もう 憎む 気 も 起き ませ ん
( 男 ) これ は 彼女 に は 秘密 な ん だ が
そい つ を 殺し た の は 私 な ん だ
復讐 ( ふく しゅう ) を 恐れ て 彼女 を 殺 そ う と し た から ね
彼女 の こと が 好き な ん です ね
(男 )ああ
彼女 の ため なら 世界中 を 敵 に 回し て も 戦う
(銃 を 握る 音 )
なるほど
あ …
(エルメス )全員 一 発 も 撃た ず に 殺さ れ てる
(キノ )さっき の 人 だ ね
これ を 彼女 に 気付かれ ない うち に やる なんて ―
すごい 腕 だ
(エルメス )彼女 真相 を 知ったら きっと 自殺 し ちゃう かも
この 分 だ と 彼女 の 旅 は まだ まだ 続き そう だね
(エルメス )彼 が 世界中 を 全滅 させ なきゃ いい けど
(キノ )フッ
(キノ )エルメス !
お 願い 動いて
(エルメス )ダメ だ 燃料 切れ
(キノ )キャッ
わ あ !
エ …エルメス ?ねえ !
ね …ねえ
エルメス ! ( エルメス ) 何 か いる よ
(キノ )あ …あ ああ
(オオカミ の うなり 声 )
(キノ )あ …
あ …化け物 !
(師匠 )誰 が 化け物 で すって ?
(キノ )その とき 私 たち は 迷い 込んだ 森 の 中 で ―
後 に “師匠 ”と 呼ぶ こと に なる 老人 と 出会った
その 人 に は それ から いろんな こと を ―
教わる こと に なる の だが
でも それ は 別 の 話
(エルメス )キノ は 人 と 関わる の が 嫌い な の ?
(キノ )嫌い じゃ ない よ エルメス
人 と の 出会い が ある から 旅 を 続け たい と も 思う
それ に 中 に は 大切 な こと を 教え て もらった 出会い も ある
そんな 出会い に は とても 感謝 し てる よ
(師匠 )いい です か キノ
一番 気 を つけ なくちゃ いけない こと は ―
命 を なくさ ない こと です よ
(エルメス )キノ ~
このまま じゃ 燃料 切れ で 次 の 国 まで 走れない よ
(キノ )前 の 国 で モト ラド の 燃料 が 売って なかった の が 誤算 だった なあ
(エルメス )雨 に ぬれた まま 立往生 なんて ごめん だ よ
(キノ )確か この 先 に いおり が ある って 言ってた ね
(エルメス )うん 賢者 が 住んでる んだ って ?
(キノ )見え て きた きっと あれ だ
富 や 権力 に 執着 は なく ―
余って いる もの を 惜しげ も なく 人 に 与えて くれる らしい
うまく する と そこ で 燃料 を 分けて もらえる かも しれない よ
タダ で
(キノ )旅 の 者 です が 雨宿り させて もらえませんか ?
(娘 )どうぞ
ハァ …助かり まし た
ありがとう ございます
(娘 )いいえ
(キノ )あの お 聞き し て いい です か ?
(娘 )何 でしょ う ?
(キノ )近く の 国 の 人 が ―
ここ に は 賢者 が 住んでいる と 言っていました
あなた が その 賢者 さん です か ?
いえ 私 は お世話 を し て いる 者 です
賢者 様 は 下 で お 休み です
下 で ?
ご 病気 な の です
そう です か
(娘 )実は もう 長く ない の です
旅人 さん と お 話 し に なれ ば 少し は 慰め に も なり ま しょ う
ご 案内 し ます
どうぞ こちら です
(エルメス )こりゃ あ 燃料 どころ じゃ な さ そう だ ね キノ
(娘 )賢者 様
旅人 さん が 雨宿り に 来 られた ので ご 案内 し ました
(賢者 )あ …ああ
(キノ )ご 病気 の ところ お邪魔 し て すみません
(賢者 )いい や
(エルメス )この 汚い おじいさん が 賢者 ?
エルメス !
賢者 様 は 属性 の 欲望 と 無縁 の 暮らし を し て おいで な の です
(キノ )なるほど
では どう して 賢者 と 呼ばれ る ように なった んです か ?
放浪 の 旅 の 途中 たどりつい た と ある 国 で ―
賢者 様 は 浮浪者 の ような 暮らし を し て おられました
ある 日 通り が かった 王 が 戯れ に ―
何でも 望む もの を 1 つ 与え て やろう と 言い ました
すると 賢者 様 は ひと言
日 が 陰る ので そこ を どいて くれ と おっしゃった の です
太陽 に 勝る 宝 は ない
その 言葉 の 奥深さ に 感動 し た 王 は ―
あなた こそ 真 の 賢者 だ と ひざまずい た と いう こと です
(賢者 )私 は そんな もん じゃ ない ん だ
そんな もん じゃ …
(娘 )私 は 上 の 掃除 が あります ので 失礼 し ます
あなた も 旅人 だった の です ね
さっき “私 は そんな もの じゃ ない ”と おっしゃって いまし た が ―
どう いう こと です か ?
(賢者 )違う ん だ
私 が 賢者 と 呼ばれる の は 私 が 物欲 も なく ―
地位 や 名誉 に も こだわらない 人間 だ から です
でも それ は 他人 が 思って いる よう に ―
悟り を 開いて 欲望 を 捨てた の で は ない
(キノ )という と ?
私 に は そもそも 欲望 の 種 が ない の です よ
欲望 の 種 …です か
(賢者 )私 が 生まれた 国 で は ―
凶悪 犯罪 や 陰湿 な 事件 が 横行 し て いまし た
(エルメス )どこ に でも ある ね そう いう 国
(賢者 )それ は 人 の 本能 な の かも しれない
だが 国 の 指導者 に して みれば それ で は 困る
何とか 解決 策 を 考え て い たらしい の です
(キノ )それ が あなた の こと と 関係 が ?
私 は その ころ の こと を はっきり 覚え て い ない の です
ただ 何 か の 罪 を 犯し て ―
刑務所 に 入れ られ て い た こと だけ は 記憶 が あり ます
私 は 開発 さ れた ばかり の 脳内 物質 の 被検体 に 選ばれた のです
それ は 自意識 を 消す 物質 で した
(キノ )自意識 を 消す ?
(賢者 )生理的 な 欲望 を 別に し て ―
犯罪 に おける ほとんど すべて の 欲望 の 種 と なる もの は 何 か ―
彼ら の 出し た 結論 は 自意識 で し た
人 は 誰 でも 自分 の 中 に 自意識 と いう 怪物 を 飼って いる
人 を 殺せ ば 自分 が 強く なった 気 が する
あるいは 自分 を バカ に し た ヤツ ら を 殺し たい と 思う
それ は すべて 自意識 が 強すぎる せい です
ならば 自意識 を 消し て しまえ ば いい
彼ら は そう 考えた の です
実験 を 繰り返す うち ―
私 の 脳 は 自意識 に 対する 抗体 が 出来て しまい ました
だが それ は 彼ら の 望む 形 で は なかった
彼ら が 欲しかった の は 自意識 を 消し ながら も ―
頑張って 働く 気力 は なくさ ない 人間 で した
しかし 私 は 働く 意欲 も 同時に なくし て い た の です
そんな 人間 ばかり に なって は 国 が 滅ぶ
私 は 失敗 作 として 国 を 追放 され ました
(キノ )失敗 作 です か
(賢者 )食欲 や 眠り たい と いう 最低限 の 欲求 は ―
残って い まし た から それ を 満たす だけ の こと は し まし た
ある とき 通り が かった 催眠 術師 が ―
私 の 話 を 聞い て こう 言った ん です
(催眠 術 師 )わし は あんた を 元どおり に する 方法 を 知って いる
これ から 言う 言葉 を よく 聞きなさい
今 言った 言葉 を あんた は 忘れ た
もし もう 一 度 思い出す こと が できた なら ―
あんた は 元どおり の 人間 に なる だろう
この 紙 に それ を 書い て おい た
気 が 向い たら あれ を 追いかける が いい
1つ ヒント を やろ う
あの 言葉 は 世界 で 唯一 本当 の 言葉 だ
よく 考え な
ハハハハ …
(賢者 )元 に 戻りたい と いう 欲 さえ 湧か なかった
ただ 知らず知らず の うち に ―
瓶 が 流れた ほう へ 足 が 動いた だけ の こと です
諸国 を 放浪 する うち 見返り を 求め ず ―
質素 な 暮らし を する 私 を ―
人々 は “賢者 ”だ と あがめる ように なり ました
(賢者 )ありがたい と 思う こと が ―
1 つ だけ あり ます
ほんの 数 日 前
私 は ここ に 来た 医者 に 死 の 宣告 を 受けました が
私 は それ を 怖い と も 悲しい と も 思わ なかった
医者 は さすが 賢者 だ と 言って 帰って いきました
(エルメス )けど その 言葉 って 何 だろう ね
世界 で 唯一 本当 の 言葉 か
(エルメス )ねえ あれ に 似て ない ?
本当 の 青い 空
本当 の 青い 空 ?
ええ
(男 )なあ キノ さん
本当 の 青い 空 って 見 た こと ある かい ?
(キノ )え ?
(男 )俺 の じいさん が さ 死ぬ 前 に こう 言った ん だ
本当 の 青い 空 を 見つけよ う と 見つけ まい と かまわない
俺 は 聞い た “いったい 何 の こと ?”って
でも じいさん は 笑って 死んで いった
それ が 本当 の 青い 空 …です か ?
ああ それ から 俺 は 本当 の 青い 空 って 何 かな って ―
たま に 本当 に たま に 漠然 と 考える こと が ある の さ
キノ さん なら 何て 答える ?
そう です ね 僕 なら こう 答えます
そんな もの は ない って
どう して ?
(キノ )空 の 青さ は ―
場所 や 時間 や 季節 天候 なんか でも よく 変わり ます
そして どれ も キレイ で し た
僕 が 見てきた 中 で
これ こそ が 本当 の 青い 空 と 呼べる もの は 見当たりません
そんな もの は ない 僕 は そう 思い ます
ふ ー ん
正解 か どう か は 分から ない が でも うん 聞い て よかった よ
うん
そんな もの は ない そんな もの は …
フフフ … フフフ …
そう か そう だった の か
あいつ は 俺 を ダマ し た ダマ し たん だ
元 に 戻る 方法 なんて 知る はず も なかった ん だ
ハハハ …
だから あいつ は そう 言った ん だ
そんな もの は ない
アッハハハ …何 という 皮肉 だ
それ に 気付い た とたん 感情 …
感情 が 止まら ない な ~ !
(キノ )大丈夫 …です か ?
(賢者 )ああ あ ~(走る 足音 )
賢者 様 !
昨日 まで は こんな こと は 感じ なかった のに
こんな 苦しみ や 悲しみ と は 無縁 だった のに …
俺 の 一生 は いったい …俺 は いったい 何 の ため に …
( 泣き声 )
(娘 )賢者 様 も 落ち着かれた よう です
いろいろ と ありがとう ございました
( キノ ) こちら こそ
1つ 聞い て いい です か ?
(娘 )何 でしょ う ?
(キノ )あの とき なぜ あの 人 を 殺さ なかった の です か ?
気付 い て い た の です か ?
ハンド パース エイダー の ニオイ と 殺気 で
(娘 )そう です か
私 は 彼 が 生まれた 国 の 人間 な の です
彼 の 実験 が 失敗 し て から も わが国 で は 研究 が 続け られ まし た
そして とうとう 自意識 を 捨て 欲望 を 持たず
けれど 簡単 な 仕事 1 つ くらい なら させられる 人間 を 作る こと に
成功 し た の です
それ が あなた ?
はい
私 の 仕事 は 失敗 作 で ある 彼 が 元 に 戻って しまわ ない か 見張る こと
そして もし 元 に 戻ったら 殺し て しまえ と
(キノ )なるほど
では なぜ あの とき 撃た なかった の です か ?
分かり ませ ん
でも どの 道 彼 は もう 長く ない の です し
今 言える こと は これ で 私 の 仕事 は もう なくなった
と いう こと だけ です
これ から どう する ん です か ?
さあ
旅 に 出る かも しれません
そし たら 私 も …
賢者 と 呼ばれる の かも しれません ね
(エルメス )キノ の 旅 も あの 賢者 の 旅 と そう 変わらない ね
(キノ )そうかい ?
(エルメス )目的 も なければ 計画性 も ない
アハ ハハ …そう かも ね
でも 彼ら と は 1 つ 決定的 に 違って いる ところ が ある よ
(エルメス )何 さ ?
( キノ ) 僕 は …
生きよ う と 思って 生き てる って こと だ よ
♪~
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