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Aozora Bunko Readings (4-5mins), 112. 青水仙、赤水仙 - 夢野久作

112. 青水仙、赤水仙 - 夢野久作

青 水仙 、赤 水仙 -夢野 久作

うた子 さん は 友達 に 教わって 、水仙 の 根 を 切り 割って 、赤い 絵の具 と 青い 絵の具 を 入れて 、お庭 の 隅 に 埋めて おきました 。 早く 芽 が 出て 、赤 と 青 の 水仙 の 花 が 咲けば いい と 、毎日 水 を やって おりました が 、いつまでも 芽 が 出ません 。 ・・

ある 日 、学校 から 帰って すぐに お庭 に 来て みる と 、大変です 。 お 父様 が お庭 中 を すっかり 掘り返して 、畠 に して おいでになります 。 そうして うた子 さん を 見る と 、・・

「や あ 、うた子 か 。 お 父さん は うっかり して 悪い 事 を した 。 お前 の 大切な 水仙 を 二 つ とも 鍬 で 半分 に 切ってしまった から 、裏 の 草原 へ 棄ててしまった 。 勘弁 して くれ 。 その 代り 、今度 水仙 の 花 が 咲く 頃 に なったら 、大きな 支那 水仙 を 買って やる から 」・・

と お あやまり に なりました 。 ・・

うた子 さん は 泣きたい の を やっと 我慢 して 、裏 の 草原 を 探しました が 、もう 見つかりません でした 。 そうして その 晩 蒲団 の 中 で 、「支那 水仙 は 要らない 。 あの 水仙 が 可愛い そうだ 。 もう 水 を やる 事 が 出来ない の か 」と いろいろ 考え ながら 泣いて 寝ました 。 ・・

あくる 日 、 学校 から 帰る 時 に うた子 さん は 、「 もう うち へ 帰って も 、 水仙 に 水 を やる 事 が 出来ない から つまらない なあ 」 と シクシク 泣き ながら 帰って 来ます と 、 途中 で 二人 の 綺麗な お嬢さん が 出て 来て 、 なれなれしく そば へ 寄って 、・・

「あなた 、なぜ 泣いて いらっしゃる の 」・・

と たずねました 。 うた子 さん が わけ を 話す と 、それでは 私 たち と 遊んで 下さい ましな と 親切に 云いながら 、連れ立って おうち へ 帰りました 。 ・・

二 人 は ほんとに 静かな 音 なし い 児 でした 。 顔色 は 二人 共 雪 の ように 白く 、おさげ に 黄金 の 稲飾り を 付けて 、一人 は 赤 の 、一人 は 青 の リボン を 結んで おりました 。 うた子 さん は すこし 不思議 に 思って 尋ねました 。 ・・

「あなたたち は そんな 薄い 緑色 の 着物 を 着て 、寒く は ありません か 」・・

「いいえ 、ちっとも 」・・

「お 名前 は 何 と おっしゃる の 」・・

「花子 、玉子 と 申します 」・・

「どこ に いらっしゃる のです か 」・・

二人 は 顔 を 見合わせて にっこり 笑いました 。 ・・

「この頃 御近所 に 来た のです 。 どうぞ 遊んで 下さい まし ね 」・・

うた子 さん は それ から 毎日 、三人 で 温順しく 遊びました 。 本 を 見たり 、絵 や 字 を かいたり 、お手玉 を したり して 日 が 暮れる と 、二人 は 揃って 、・・

「 さようなら 」・・

と 帰って 行きました 。 お母さん は 、・・

「ほんとに 温 順 しい 、品 の いい お嬢さん です こと 。 うた子 と 遊んで いる と 、うち に いる か いない か わからない 位 です わね 」・・

と お 父さん と 話し合って 喜んで おいでになりました 。 ・・

その うち に お正月 に なりました 。 ・・

うた子 さん は 初夢 を 見よう と 思って 寝ます と 、いつも 来る お嬢さん が 二人 揃って 枕元 に 来て 、さも うれし そうに 、・・

「今日 は お わかれ に 来ました 」・・

と 云 いました 。 ・・

うた子 さん は びっくり しました が 、これ は きっと 夢 だ と 思いました から 安心 して 、・・

「まあ 、どこ へ いらっしゃる の 」・・

と 尋ねました 。 二 人 は 極り わる そうに 、・・

「今 から 裏 の 草原 に 行か ねば なりません 。 どうぞ 遊び に 入らっして 下さい ね 」・・

と 云う うちに 、二人 の 姿 は 消えて しまいました 。 うた子 さん は ハッと 眼 を さましました が 、この 時 やっと 気 が つきまして 、・・

「それ じゃ 、水仙 の 精 が 遊び に 来て くれた の か 」・・

と 、夜 の 明ける の を 待ちかねて 草原 へ 行って みました 。 ・・

草原 は 黄色く 枯れて しまって いる 中 に 、水仙 が 一本 青々 と 延びて いて 、青 と 赤 と 二いろ の 花 が 美しく 咲き 並んで おりました 。

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