4.1.1 フローリッシュ ・アンド ・ブロッツ 書店 -AtFlourishandBlots
第 4 章 フローリッシュ ・アンド ・ブロッツ 書店 - At Flourish and Blots
「隠れ 穴 」で の 生活 は プリベット とおり とは 思いっきり 違って いた 。 ダーズリー 一家 は 何事 も 四角 四 面 でない と 気 に 入ら なかった が 、ウィーズリー 家 は へんてこで 、度肝 を 抜か れる こ と ばかり だった 。 台所 の 暖炉 の 上 に ある 鏡 を 最初に 覗き込んだ とき 、ハリー は どっきり した 。 鏡 が 大声 を あげた から だ 。 「だらしない ぞ 、シャツ を ズボン の 中 に 入れろ よ !」屋根裏 お化け は 、家 の 中 が 静か 過ぎる と 思えば 、喚く し 、パイプ を 落とす し 、フレッド と ジョージ の 部屋 から 小さな 爆発音 が あがって も 、みんな あたりまえ という 顔 を していた 。 しかし 、ロン の 家 で の 生活 で ハリー が いちばん 不思議 だ と 思った の は 、おしゃべり 鏡 でも うるさい お化け でも なく 、みんな が ハリー を 好いている らしい と いう こと だった 。
ウィーズリー おばさん は 、ハリー の ソックス が どうのこうの と 小 うるさかった し 、食事 の たび に 無理やり 四 回 も お代り させよう と した 。 ウィーズリー おじさん は 、 夕食 の 席 で ハリー を 隣 に 座ら せ た がり 、 マグル の 生活 に ついて 次 から 次 へ と 質問 攻め に し 、 電気 の プラグ は どう 使う の か と か 、 郵便 は どんなふうに 届く の か など を 知り た がった 。
「おもしろい !」電話 の 使い方 を 話して 聞かせる と 、おじさん は 感心 した 。
「まさに 、独創的 だ 。 マグル は 魔法 を 使え なくて も なんとか やっていく 方法 を 、実に いろいろ 考える ものだ 」
「隠れ 穴 」に 来て から 一 週間 ほど たった 、ある 上 天気 の 朝 、ホグワーツ から ハリー に 手紙 が 届いた 。 朝食 を とり に ロン と 一緒に 台所 に 下りて 行く と 、ウィーズリー 夫妻 と ジニー が もう テーブル に ついて いた 。 ハリー を 見た 途端 、ジニー は オートミール 用 の 深 皿 を 、うっかり 引っくり返して 床 に 落として しまい 、皿 は カラカラ と 大きな 音 を たてた 。 ハリー が ジニー の いる 部屋 に 入って くる たび に 、どうも ジニー は 物 を 引っくり返し がち だった 。 テーブル の 下 に 潜って 皿 を 拾い 、また テーブル の 上 に 顔 を 出した とき に は 、ジニー は 真っ赤な 夕日 の よう な 顔 を していた 。 ハリー は なんにも 気 が つかない ふり を して テーブル に つき 、ウィーズリー おばさん が 出して くれた トースト を かじった 。
「学校 から の 手紙 だ 」
ウィーズリー おじさん が 、ハリー と ロン に まったく 同じ ような 封筒 を 渡した 。 黄色 味 が かった 羊 皮 紙 の 上 に 、緑色 の インク で 宛名 が 書いてあった 。 「ハリー 、ダンブルドア は 、君 が ここ に いる こと を もう ご存知だ ――何一つ 見逃さない 方 だ よ 、あの 方 は 。 ほら 、おまえたち 二人 にも 来てる ぞ 」
パジャマ 姿 の フレッド と ジョージ が 、目 の 覚めきっていない 足取り で 台所 に 入ってきた ところ だった 。 みんな が 手紙 を 読む 間 、台所 は しばらく 静かに なった 。 ハリー へ の 手紙 に は 、去年 と 同じく 九月 一日 に キングズ・クロス 駅 の 9 と 4 分 の 3 番線 から ホグワーツ 特急 に 乗る ように 書いて あった 。 新 学期 の 新しい 教科書 の リスト も 入って いた 。
二 年生 は 次の 本 を 準備 する こと 。
基本 呪文 集 (ニ 学年 用 )ミランダ ・ゴズホーク 著
泣き 妖怪 バンシー と の ナウ な 休日 ギルデロイ ・ロックハート 著
グール お化け と の クール な 散策 ギルデロイ ・ロックハート 著
鬼 婆 と の オツ な 休暇 ギルデロイ ・ロックハート 著
トロール と の とろい 旅 ギルデロイ ・ロックハート 著
バンパイア と の バッチリ 船旅 ギルデロイ ・ロックハート 著
狼 男 と の 大いなる 山歩き ギルデロイ ・ロックハート 著
雪男 と ゆっくり 一年 ギルデロイ ・ロックハート 著
フレッド は 自分 の リスト を 読み終えて 、ハリー の を 覗き込んだ 。
「君 の も ロックハート の 本 の オンパレード だ !『闇 の 魔術 に 対する 防衛術 』の 新しい 先生 は ロックハート の ファン だ ぜ ――きっと 魔女 だ 」
ここ で フレッド の 目 と 母親 の 目 が 合った 。 フレッド は 慌てて ママレード を 塗り たくった 。 「ここ の 一式 は 安く ない ぞ 」ジョージ が 両親 の 方 を ちらり と 見た 。 「ロックハート の 本 は なに しろ 高い んだ ......」
「まあ 、なんとか なる わ 」
そう 言い ながら 、おばさん は 少し 心配 そうな 顔 を した 。
「たぶん 、ジニー の もの は お古 で すませられる と 思う し ......」 「あぁ 、君 も 今年 ホグワーツ 入学 な の ?」ハリー が ジニー に 聞いた 。
ジニー は 頷き ながら 、真っ赤な 髪 の 根元 の ところまで 顔 を 真っ赤に し 、バター の 入った 容器 に 肘 を 突っ込んだ 。 幸運に も それを 見た のは ハリー だけ だった 。 ちょうど ロン の 兄 の パーシー が 台所 に 入ってきた からだ 。 ちゃんと 着替えて 、手編み の タンク トップ に 監督生 バッジ を つけて いた 。
「皆さん 、おはよう 。 いい 天気 です ね 」パーシー が さわやかに 挨拶 した 。
パーシー は たった 一 つ 空いて いた 椅子 に 座った が 、途端 に はじける ように 立ち上がり 、尻 の 下 から ボロボロ 毛 の 抜けた 灰色 の 毛ばたき ――少なくとも ハリー に は そう 思えた ――を 引っ張り出した 。 毛 ばたき は 息 を して いた 。
「エロール ! 」
ロン が ヨレヨレ の ふくろう を パーシー から 引き取り 、翼 の 下 から 手紙 を 取り出した 。 「やっと 来た ――エロール じいさん 、ハーマイオニー から の 返事 を 持ってきた よ 。 ハリー を ダーズリー の ところ から 助け出す つもり だって 、手紙 を 出した んだ 」
ロンは 勝手口の 内側に ある 止まり木まで 、エロールを 運んで 行って 、止まらせようと した が 、エロールは ポトリと 床に 落ちて しまった 。
「哀れな やつだ 」と つぶやきながら 、ロンは エロールを 食器の 水切り棚の 上に 載せて やった 。 それから 封筒を ビリッと 破り 、手紙を 読み上げた 。
ロン 、ハリー (そこに いる ? )
お元気ですか 。 すべて うまく いって 、ハリー が 無事 だった こと を 願って います 。 それに 、ロン 、あなた が 彼 を 救い出した とき 、違法な ことを しなかった ことを 願って います 。
そんな ことを したら 、ハリー も 困った ことに なります から 。 わたし は ほんとうに 心配 して いた の よ 。
ハリー が 無事 なら 、お願い だ から すぐに しらせて ね 。
だけど 、別な ふくろう を 使った 方 が いい かも しれません 。 もう 一回 配達 させたら 、あなた の ふくろう は 、もう おしまい に なって しまう かも しれない もの 。
わたし は もちろん 、勉強 で とても 忙しく して います 。 「マジ か よ 、おい 」ロン が 恐怖 の 声 を あげた 。 「休み 中 だ ぜ !」
――わたし は 、水曜日 に 新しい 教科書 を 買い に ロンドン に 行きます 。 ダイアゴン 横丁 で お会い しませんか ?
近況 を なるべく 早く 知らせて ね 。
では また 。
ハーマイオニー
「ちょうど いい わ 。 わたし たち も 出かけて 、あなた たち の 分 を 揃えましょう 」ウィーズリー おばさん が テーブル を かたづけ ながら 言った 。 「今日 は みんな どういう ご予定 ? 」
ハリー 、ロン 、フレッド 、ジョージ は 、丘 の 上 に ある ウィーズリー 家 の 小さな 牧場 に 出かける 予定 だった 。 その 草むら は 周り を 木立 で 囲まれ 、下 の 村 から は 見えない ように なって い た 。 つまり 、あまり 高く 飛び さえ しなければ クィディッチ の 練習 が できる という わけだ 。 本 物 の ボール を 使う わけには いかない 。 もしも ボール が 逃げ出して 村 の 方 に 飛んで いったら 、説明 の しようがない から だ 。 かわりに 、四人 は リンゴで キャッチボールを した 。 みんな で 、かわりばんこに ハリー の ニンバス2000 に 乗ってみた が 、ニンバス2000 は やっぱり 圧巻だった 。 ロンの 中古の 箒 「流れ星 」は 、そばを 飛んでいる 蝶に さえ 追い抜かれた 。
五分後 、四人は 箒を 担ぎ 、丘に 向かって 行進していた 。 パーシー も 一緒に 来ない か と 誘った が 、忙しい と 断られた 。 ハリー は 食事 の とき しか パーシー を 見た こと が なかった 。 あと は ずっと 、部屋 に 閉じこもり きり だった 。
「やっこ さん 、いったい 何 を 考えてる ん だ か 」フレッド が 眉 を ひそめながら 言った 。 「あいつ らしくない んだ 。 君が 到着する 前の 日に 、統一試験 の 結果が 着いた んだ けど 、なんと 、パーシーは 十二 学科とも 全部 パスして 、『十二ふくろう 』だった のに 、ニコリとも しない んだ ぜ 」
「『ふくろう 』って 、十五 歳 に なったら 受ける 試験 で 、普通 (O )魔法 (W )レベル (L )試験 、つまり 頭文字 を とって O ・W ・L の こと さ 」 ハリーが わかっていない 顔を したので 、ジョージが 説明した 。 「ビル も 十二 だった な 。 へた する と 、この 家 から もう 一人 首席 が 出て しまう ぞ 。 俺 は そんな 恥 に は 耐えられない ぜ 」 ビル は ウィーズリー 家 の 長男 だった 。 ビル も 次男 の チャーリー も ホグワーツ を 卒業 して い る 。 ハリー は 、二人 に まだ 会った こと は なかった が 、チャーリー が ルーマニア に いて ドラゴン の 研究 を している こと 、ビル が エジプト に いて 魔法使い の 銀行 、グリンゴッツ で 働いている こと は 知っていた 。
「パパ も ママ も どう やって 学用品 を 揃える お金 を 工面する の か な 」しばらく して から ジョージ が 言った 。 「ロックハート の 本 を 五 人 分 も だ ぜ !ジニー だって ローブ やら 杖 やら 必要 だ し ......」
ハリー は 黙って いた 。 少し 居心地 が 悪い 思い が した 。 ロンドン に ある グリンゴッツ の 地下 金庫 に 、ハリー の 両親 が 残して くれた かなり の 財産 が 預けられて いた 。 もちろん 、魔法 界 だけ で しか 通用 しない 財産 だ 。 ガリオン だの シックル だの クヌート だの 、マグル の 店 で 使え は し ない 。 グリンゴッツ 銀行 の こと を 、ハリー は 一度 も ダーズリー 一家 に 話して は いない 。 ダーズリー たち は 魔法 と 名 が つく もの は 、何もかも 恐れて いた が 、山積み の 金貨 と も なれば 話し は 別だろう から 。
ウィーズリー おばさん は 、水曜日 の 朝 早く みんな を 起こした 。 ベーコン ・サンドイッチ を 一人 当たり 六 個 ずつ 、一気に 飲み込んで 、みんな コート を 着込んだ 。 ウィーズリー おばさん が 、暖炉 の 上 から 植木鉢 を 取って 中 を 覗き込んだ 。
「アーサー 、だいぶ 少なくなってる わ 」おばさん が ため息 を ついた 。 「今日 、買い足して おかないと ね ......さーて 、お客様 から どうぞ !ハリー 、お先に どうぞ 」
おばさん が 鉢 を 差し出した 。 みんな が ハリー を 見つめ 、ハリー は みんな を 見つめ返した 。 「な 、何 を すれば いい の ?」ハリー は あせった 。 「 ハリー は 暖炉 飛行 船 粉 《 フルール ・ パウダー 》 を 使った こと が ない ん だ 」 ロン が 突然 気づいた 。
「ごめん 、ハリー 、僕 、忘れて た 」
「一度 も ?」
ウィーズリー おじさん が 言った 。 「じゃ 、去年 は 、 どう やって ダイアゴン 横丁 まで 学用品 を 買いに 行った のか ね ?」
「地下鉄 に 乗りました 」 「ほう ?」
ウィーズリー おじさん は 身 を 乗り出した 。
「エスカペーター とか が ある の かね ?それは どう やって ―― 」
「アーサー 、その 話 は あと に して 。 ハリー 、暖炉 飛行 って それ より ずっと 速い の よ 。 だけ ど 、一度 も 使った こと が ない とは ねぇ 」
「ハリー は 大丈夫 だ よ 、ママ 。 ハリー 、俺たちの を 見てろよ 」
と フレッドが 言った 。
フレッドは 鉢から キラキラ 光る 粉を 一つまみ 取り出すと 、暖炉の 火に 近づき 、炎に 粉を 振りかけた 。
ゴーッという 音とともに 炎は エメラルド・グリーンに 変わり 、フレッドの 背丈より 高く 燃え上がった 。 フレッド は その 中 に 入り 、「ダイアゴン 横丁 」と 叫ぶ と フッと 消えた 。
「ハリー 、はっきり 発音 し ない と だめ よ 」
ウィーズリー おばさん が 注意 した 。 ジョージ が 鉢 に 手 を 突っ込んだ 。
「 それ に 、 まちがい なく 正しい 火 格子 から 出る こと ね 」
「正しい なん です か ?」
ハリー は 心もとな さ そうに 訪ねた 。 ちょうど 燃え上がった 炎 が 、ジョージ を ヒュッ と かき消した とき だった 。
「あの ね 、魔法 塚 の い 暖炉 と いっても 、ほんとうに いろいろ ある の よ 。 ね ?でも はっきり 発音 さえ すれば ―― 」
「ハリー は 大丈夫 だ よ 。 モリー 。 うるさく 言わ なくとも 」
ウィーズリー おじさん が 暖炉 飛行 粉 を つまみ ながら 言った 。
「でも 、あなた 、ハリー が 迷子 に なったら 、おじ様 と おば様 に なんと 申し開き できます ?」 「あの 人 たち は そんな こと 気 に しません 。 心配 しないで ください 」ハリー は 請け合った 。
「そう ......それなら ......アーサー の 次に いらっしゃいな 。 いい こと 、炎 の 中に 入ったら 、どこに 行く かを 言う のよ ――」
「肘 は 引っ込めて おけよ 」ロン が 注意した 。
「それに 目は 閉じて ね 。 煙が ......」ウィーズリー おばさん だ 。
「モゾモゾ 動くなよ 。 動くと 、とんでもない 暖炉に 落ちる かもしれない から ――」と ロン 。
「だけど 慌てないで ね 。 あんまり 急いで 外に 出ないで 。 フレッド と ジョージ の 姿が 見える まで 待つ のよ 」
なんだか んだを 必死で 頭に 叩き込んで 、ハリーは 暖炉飛行粉を 一つまみ 取り 、暖炉の 前に 進み出た 。 深呼吸 して 、粉 を 炎 に 投げ入れ 、ズイ と 中 に 入った 。 炎 は 暖かい そよ風 の ようだった 。