15.2 アラゴグ -Aragog
ロン は 何も 言わなかった 。 身動きも しなかった 。 ハリーの すぐ 後ろ 、地面から 二 、三 メートル 上の 一点に 、目が 釘付けに なっている 。
顔 が 恐怖 で 土気色 だ 。 振り返る 間 も なかった 。 カシャッカシャッ と 大きな 音 が した か と 思う と 、何か 長くて 毛むくじゃら な もの が 、ハリー の 体 を 鷲づかみ に して 持ち上げた 。
ハリー は 逆さまに 宙吊り に なっった 。 恐怖 に 囚われ 、もがき ながら も 、ハリー は また 別の カシャッカシャッ と いう 音 を 聞いた 。
ロン の 足 が 宙 に 浮く の が 見え 、ファング が クィンクィン 、ワォンワオン 鳴き 喚いて いる の が 聞こえた 。
――次の 瞬間 、ハリー は 暗い 木立 の 中 に サーッと 運び込まれた 。
逆さ 吊り の まま 、ハリー は 自分 を 捕らえて いる もの を 見た 。
六 本 の 恐ろしく 長い 、 毛 むくじゃ ら の 脚 が 、 ザック ザック と 突き進み 、 その 前 の 二 本 の 脚 で ハリー を がっちり 挟み 、 その 上 に 黒 光り する 一 対 の 鋏 が あった 。 後ろ に 、もう 一匹 同じ 生物 の 気配 が する 。
ロン を 運んで いる に 違いない 。 森 の 奥 へ 奥 へ と 行進 して 行く 。 ファング が 三 匹 め の 怪物 から 逃れよう と 、キャンキャン 鳴きながら 、ジタバタ もがいている のが 聞こえた 。 ハリー は 叫びたくても 叫べなかった 。 あの 空き地 の 、車 の ところ に 声 を 置き忘れて きた らしい 。
どの ぐらい の 間 、 怪物 に 挟まれて いた のだろう か 、 真っ暗闇 が 突然 薄 明るく なり 、 地面 を 覆う 木 の 葉 の 上 に 、 クモ が うじゃうじゃ いる の が 見えた 。 首 を 捻って 見る と 、だだっ広い 窪地 の ふち に たどり着いた のが 見える 。
木 を 切り払った 窪地 の 中 を 星明り が 照らし出し 、ハリー が これ まで に 目 に した ことが ない 、世にも 恐ろしい 光景 が 飛び込んできた 。
蜘妹 だ 。
木 の 勢 の 上 に うじゃうじゃ している 細かい クモ とは モノ が 違う 。
馬車 馬 の ような 、 八 つ 目 の 、 八 本 脚 の 、 黒々 と した 、 毛 むくじゃ ら の 、 巨大な 蜘味 が 数 匹 。 ハリー を 運んで きた 巨大 蜘味 の 見本 の ような の が 、窪地 の ど真ん中 に ある 靄 の ような ドーム 型 の 蜘妹 の 巣 に 向かって 、急な 傾斜 を 滑り 降りた 。
仲間 の 巨大 蜘妹 が 、獲物 を 見て 興奮 し 、鋏 を ガチャ つかせ ながら 、その 周り に 集結 した 。
巨大 蜘味 が 鋏 を 放し 、ハリー は 四 つ ん 違い に なって 地面 に 落ちた 。 ロン も ファング も 隣 に ドサッと 落ちてきた 。
ファング は もう 鳴く こと さえ できず 、黙って その 場 に すくみ上がって いた 。
ロン は ハリー の 気持ち を そっくり 顔 で 表現 して いた 。
声 に ならない 悲鳴 を あげ 、口 が 大きく 叫び声 の 形 に 開いている 。 目は 飛び出して いた 。
ふと 気 が つく と 、 ハリー を 捕まえて いた 蜘妹 が 何 か 話して いる 。
一言 しゃべる たびに 鋏を ガチャガチャ いわせる ので 、話して いる という ことに さえ 、なかなか 気づか なかった 。
「アラゴグ !」と 呼んで いる 。
「アラゴグ !」
靄 の ような 蜘株 の 巣 の ドーム の 真ん中 から 、小型の 象 ほど も ある 蜘味 が ゆらり と 現れた 。
胴体 と 脚 を 覆う 黒い 毛 に 白い もの が 混じり 、鋏 の ついた 醜い 頭 に 、八 つの 自 濁した 目 が あった 。 ――盲いて いる 。
「なんの 用 だ !」鋏 を 激しく 鳴らしながら 、盲目の 蜘妹 が 言った 。
「人間 です 」ハリー を 捕まえた 巨大 蜘妹 が 答えた 。 「ハグリッド か !」アラゴグ が 近づいてきた 。
八つ の 濁った 目 が 虚ろに 動いている 。 「知らない 人間 です 」ロン を 運んだ 蜘味 が 、カシャカシャ 言った 。 「殺せ 」アラゴグ は イライラ と 鋏 を 鳴らした 。
「眠って いた のに ......」
「僕たち 、ハグリッド の 友達 です 」ハリー が 叫んだ 。 心臓 が 胸 から 飛び上がって 、喉元 で 脈 を 打って いる ようだった 。 カシャッカシャッカシャッ 一 窪地 の 中 の 巨大 蜘味 の 鋏 が いっせいに 鳴った 。 アラゴグ が 立ち止まった 。 「ハグリッド は 一度 も この 窪地 に 人 を 寄こした こと は ない 」ゆっくり と アラゴグ が 言った 。 「ハグリッドが 大変な んです 」息を 切らしながら ハリーが 言った 。 「それで 、僕たちが 来た んです 」
「大変 !」
年老いた 巨大 蜘味 の 鋏 の 音が 気遣わしげな のを 、ハリーは 聞き取った ように 思った 。
「しかし 、なぜ おまえ を 寄こした !」ハリー は 立ち上がろう と した が 、 やめ に した 。
とうてい 足 が 立たない 。 そこで 、地べた に 這った まま 、できる だけ 落ち着いて 話した 。
「学校 の みんな は 、ハグリッド が けしかけて ――か 、怪 ――何物 か に 、学生 を 襲わ せた と 思って いる んです 。 ハグリッド を 逮捕 して 、アズカバン に 送りました 」アラゴグ は 怒り狂って 鋏 を 鳴らした 。 蜘妹 の 群れ が それに 従い 、窪地 中 に 音 が こだました 。
ちょうど 拍手喝采 の ようだった が 、普通の 拍手 なら 、ハリー も 恐怖 で 吐き気 を 催す こと は なかったろう 。
「しかし 、それは 昔 の 話 だ 」アラゴグ は 苛立った 。
「 何 年 も 何 年 も 前 の こと だ 。 よく 覚えて いる 。 それで ハグリッドは 退学させられた 。 みんなが わしの ことを 、いわゆる 『秘密の部屋 』に 住む 怪物 だと 信じ込んだ 。 ハグリッド が 『部屋 』を 開けて 、わし を 自由に した のだ と 考えた 」
「それ じゃ 、あなた は ......あなた が 『秘密の 部屋 』から 出てきた ので は ない のですか ?」ハリー は 、額 に 冷汗 が 流れる のが わかった 。 「わし が !」アラゴグ は 怒り で 鋏 を 打ち鳴らした 。
「わし は この 城 で 生まれた ので は ない 。 遠い ところ から やってきた 。 まだ 卵 だった とき に 、旅人 が わし を ハグリッド に 与えた 。 ハグリッド は まだ 尐年 だった が 、わし の 面倒 を 見て くれた 。 城 の 物置 に 隠し 、食事 の 残り物 を 集めて 食べさせて くれた 。 ハグリッド は わし の 親友 だ 。 いい やつ だ 。 わし が 見つかって しまい 、女の子 を 殺した 罪 を 着せられた とき 、ハグリッド は わし を 護って くれた 。 その とき 以来 、わし は この 森 に 住み 続けた 。 ハグリッド は 今でも 時々 訪ねて きて くれる 。 妻 も 探して きて くれた 。 モサグ を 。 見ろ 。 わし ら の 家族 は こんなに 大きく なった 。 みんな ハグリッド の おかげ だ ...... 」
ハリー は ありったけ の 勇気 を 搾り 出した 。
「それ じゃ 、一度 も ――誰 も 襲った こと は ない のですか ?」
「一度も ない 」年老いた 蜘妹 は しわがれ 声を 出した 。
「襲う のは わしの 本能だ 。 しかし 、ハグリッドの 名誉のために 、わしは 決して 人間を 傷つけは しなかった 。 殺された 女の子の 死体は 、トイレで 発見された 。 わし は 自分 の 育った 物置 の 中 以外 、城 の 他 の 場所 は どこも 見た こと が ない 。 わし ら の 仲間 は 、 暗くて 静かな ところ を 好む ......」
「 それ なら ...... いったい 何 が 女の子 を 殺した の か 知りません か ? 何者 であれ 、 そい つ は 今 戻って きて 、 また みんな を 襲って ――」 カシャカシャ と いう 大きな 音 と 、 何 本もの 長い 脚 が 怒り で 擦れ 合う 、 ザワザワ と いう 音 が 湧き 起こり 、 言葉 が 途中 で かき消された 。 大きな 黒い もの が ハリー を 囲んで ガサゴソ と 動いた 。
「城 に 住む その 物 は 」アラゴグ が 答えた 。
「わし ら 蜘妹 の 仲間 が 何より も 恐れる 、太古 の 生物 だ 。 その 怪物 が 、城 の 中 を 動き回って い る 気配 を 感じた とき 、わし を 外 に 出して くれ と 、ハグリッド に どんなに 必死で 頼んだ か 、よ く 覚えて いる 」
「いったい その 生物 は !」ハリー は 急き込んで 尋ねた 。
また 大きな カシャカシャ と ザワザワ が 湧いた 。
蜘妹 が さらに 詰め寄って きた ようだ 。
「わし ら は その 生物 の 話 を し ない !」アラゴグ が 激しく 言った 。 「わし ら は その 名前 さえ 口 に し ない !ハグリッド に 何度 も 聞かれた が 、わし は その 恐ろしい 生物 の 名前 を 、決して ハグリッド に 教え は し なかった 」
ハリー は それ 以上 追及 し なかった 。
巨大 蜘妹 が 、四方八方 から 詰め寄って きて いる 。 今 は ダメ だ 。
アラゴグ は 話す の に 疲れた 様子 だった 。 ゆっくりと また 蜘妹 の 巣 の ドーム へと 戻って 行った 。 しかし 仲間 の 蜘妹 は 、 ジリッジリッ と 尐 し ずつ 二人 に 詰め寄って くる 。
「それじゃ 、僕たちは 帰ります 」木の葉を ガサゴソ いわせる 音を 背後に 聞きながら 、ハリーは アラゴグに 絶望的な 声で 呼びかけた 。 「帰る !」アラゴグが ゆっくりと 言った 。 「それ は なる まい ......」
「 でも ―― でも ――」
「わし の 命令 で 、娘 や 息子 たち は ハグリッド を 傷つけ は し ない 。 しかし 、わし ら の まっただ 中 に 進んで ノコノコ 迷い込んで きた 新鮮な 肉 を 、おあずけ に は でき まい 。 さらば 、ハグリッド の 友人 よ 」
ハリー は 、体 を 回転 させて 上 を 見た 。
ほんの 数 十 センチ 上 に 聳え立つ 蜘珠 の 壁 が 、鋏 を ガチャ つか せ 、醜い 黒い 頭 に たくさんの 目 を ギラ つか せて いる ......。
杖 に 手 を かけ ながら も 、ハリー に は 無駄な 抵抗 と わかって いた 。 多勢 に 無勢 だ 。
それ でも 戦って 死ぬ 覚悟 で 立ち上がろう と した その とき 、高らかな 長い 音 と ともに 、窪地 に 眩い 光 が 射し込んだ 。
ウィーズリー 氏 の 車 が 、荒々しく 斜面 を 走り 降りて くる 。 ヘッドライト を 輝か せ 、クラク ション を 高々 と 鳴らし 、蜘妹 を なぎ倒し ――何 匹 か は 仰向け に 引っくり返さ れ 、何 本 も の 長い 脚 を 空 に 泳がせて いた 。
車 は ハリー と ロン の 前 で キキーツ と 停まり 、ドア が パッと 開いた 。
「 ファング を !」
ハリー は 、前 の 座席 に 飛び込み ながら 叫んだ 。
ロン は 、ボアハウンド の 胴 の あたり を むんず と 抱きかかえ 、キャンキャン 鳴いている の を 、後ろ の 座席 に 放り込んだ 。
ドア が バタンと 閉まり 、ロンが アクセルに 触りも しない のに 、車は ロンの 助けも 借りず 、エンジンを 唸らせ 、またまた 蜘妹を 引き倒し ながら 発進した 。
車は 坂を 猛スピードで 駆け上がり 、窪地を 抜け出し 、間もなく 森の 中へ と 突っ込んだ 。 車は 勝手に 走った 。
太い 木の 枝が 窓を 叩きは した が 、車は どうやら 自分の 知っている 道らしく 、巧みに 空間の 広く 空いている ところを 通った 。
ハリー は 隣 の ロン を 見た 。 まだ 口 は 開きっぱなし で 、声 に ならない 叫び の 形 の まま だった が 、目 は もう 飛び出して は いなかった 。 「大丈夫 かい !」ロン は まっすぐ 前 を 見つめた まま 、口 が きけ ない 。 森 の 下生え を なぎ倒し ながら 草 は 突進 した 。
ファング は 後ろ の 席 で 大声 で 吼えている 。
大きな 樫 の 木 の 脇 を 無理やり すり抜ける とき 、ハリー の 目の前 で 、サイドミラー が ポッキリ 折れた 。
ガタガタ と 騒々しい 凸凹 の 十分間 が 過ぎた ころ 、木立 が やや まばらに なり 、茂み の 間 から ハリー は 、再び 空 を 垣間見る こと が できた 。
車 が 急 停車 し 、二人 は フロントガラス に ぶつかり そうに なった 。
森 の 入口 に たどり着いた のだ 。 ファング は 早く 出 たくて 窓 に 飛びつき 、ハリー が ドア を 開けて やる と 、尻尾 を 巻いた まま 、一目散に ハグリッド の 小屋 を 目指して 、木立 の 中 を ダッシュして 行った 。
ハリー も 車 を 降りた 。 それ から 一 分 ぐらい たって 、 ロン が ようやく 手足 の 感覚 を 取り戻した らしく 、 まだ 首 が 硬直 して 前 を 向いた まま だった が 、 降りて きた 。
ハリー は 感謝 を 込めて 車 を 撫で 、車 は また 森 の 中 へ と バック して 、やがて 姿 が 見え なく なった 。 ハリー は 「透明 マント 」を 取り に ハグリッド の 小屋 に 戻った 。 ファング は 寝床 の バスケット で 毛布 を 被って 震えて いた 。
小屋 の 外 に 出る と 、ロン が かぼちゃ 畑 で ゲーゲー 吐いて いた 。 「クモ の 跡 を つけろ だって 」ロン は 袖 で 口 を 拭き ながら 弱々しく 言った 。 「ハグリッド を 許さ ない ぞ 。 僕たち 、生きてる の が 不思議だ よ 」「きっと 、アラゴグ なら 自分 の 友達 を 傷つけない と 思った んだ よ 」ハリー が 言った 。 「だから ハグリッド って ダメ な んだ !」ロン が 小屋 の 壁 を ドンドン 叩き ながら 言った 。 「怪物 は どうしたって 怪物 なのに 、みんなが 、怪物 を 悪者 に してしまった んだ と 考えてる 。 その つけが どう なったか !アズカバンの 独房だ !」ロンは 今になって ガタガタ 震えが 止まらなくなっていた 。
「僕たちを あんな ところに 追いやって 、いったい なんの 意味が あった !何が わかったか 教えてもらいたいよ 」「ハグリッドが 『秘密の部屋』を開けたんじゃないってことだ」ハリーはマントをロンにかけてやり、腕を取って、歩くように促しながら言った。 「ハグリッドは 無実だった 」
ロンは フンと 大きく 鼻を 鳴らした 。 アラゴグを 物置の 中で 解す なんて 、どこが 「無実」なもんか、と言いたげだ。
城が だんだん 近くに 見えてきた 。
ハリーは 「透明マント」を引っ張って足先まですっぽり隠し、それから軋む扉をそーっと半開きにした。 玄関 ホール を こっそり と 横切り 、大理石 の 階段 を 上り 、見張り 番 が 目 を 光らせて いる 廊下 を 、息 を 殺して 通り過ぎた 。
ようやく 安全 地帯 の グリフィンドール の 談話室 に たどり着いた 。 暖炉 の 火 は 燃え尽き 、灰 に なった 残り火 が 、わずかに 赤み を 帯びて いた 。 二 人 は マント を 脱ぎ へ 曲がりくねった 階段 を 上って 寝室 に 向かった 。 ロンは 服も 脱がずに ベッドに 倒れ込んだ 。 しかし ハリーは あまり 眠く なかった 。 四本柱 付きの ベッドの 端に 腰掛け 、アラゴグが 言った ことを 一生懸命 考えた 。
城の どこかに 潜む 怪物 は 、ヴォルデモートを 怪物に した ような ものかも しれない 。
他の 怪物 でさえ 、その 名前 を 口 に し たがらない 。 しかし 、ハリー も ロン も それが なん なのか 、襲った 者 を どんな 方法 で 石 に する のか 、結局 の ところ 皆目 わからない 。
ハグリッド でさえ 「秘密の 部屋 」に 、何が いた のか 知って は いなかった 。
ハリー は ベッド の 上 に 足 を 投げ出し 、枕 に もたれて 、寮 塔 の 窓 から 、自分 の 上 に 射し込む 月明り を 眺めた 。
他に 何を したら よいのか わからない 。 八方塞 り だ 。 リドルは まちがった 人間を 捕まえた 。
スリザリンの 継承者は 逃れ去り 、今度 「部屋」を開けたのが、果たしてその人物なのか、それとも他の誰かなのか、わからずじまいだ。 もう 誰 も 尋ねる べき 人 は いない 。 ハリー は 横に なった まま 、アラゴグ の 言った ことを また 考えた 。
とろとろと 眠く なりかけた とき 、最後の 望み とも 思える 考えが ひらめいた 。 ハリー は 、はっと 身を 起こした 。
「ロン 」暗闇 の 中 で ハリー は 声 を ひそめて 呼んだ 。
「ロン !」ロン は ファング の よう に キャン と いって 目 を 覚まし 、キョロキョロ と あたり を 見回した 。 そして ハリー が 目 に 入った 。 「ロン ――死んだ 女の子 だ けど 。 アラゴグ は トイレ で 見つかった って 言ってた 」ハリー は 部屋 の 隅 から 聞こえてくる 、ネビル の 高いびき も 気にせず 言葉 を 続けた 。 「その 子 が それ から 一度 も トイレ を 離れ なかった と したら ?まだ そこ に いる と したら ?」ロン が 目 を 擦り 、月明かり の 中 で 眉根 を 寄せた 。 そして 、ピンと きた 。 「 もし かして ―― まさか 『 嘆き の マートル 』?」