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Dogen Shorts, AmericanJapanese : SharksandVanity / アメリカ人 日本語 :「 巨大な サメ と 自惚れ 」

AmericanJapanese : SharksandVanity / アメリカ人 日本語 :「 巨大な サメ と 自惚れ 」

オレ は 巨大な サメ

オレ は 巨大な サメ だ 。 深海 の 光 の 届かない 、氷 より 冷たい 水 の 中 で 生まれた 、サメ 。 体長 は 七 メートル 。 歯 は 三千 本 。 好物 は 魚 。 そんな 立派な サメ である オレ は 、今 、名古屋 に ある カフェ に 来た とこ だ 。 どう やって ここ に 来た の か は 分から ない が 、ひどく 腹 が 減っている の は 分かる 。 オレ は カフェ に 入った 。 レジ の 向こう に 立ち 、髪 を ポニーテール に している 店員 が ギョッ と した 。 七 メートル も ある サメ が この 店 を 訪れた の は 初めて な の かも しれない 。 オレ は レジ へ と 体 を ぎこちなく ばたつかせ はじめた 。 振動 の せい で 、カウンター から いくつか の ガラス が 床 に 落ちて 粉々に なった 。 店員 の 目 が さらに 大きく なって いき 、手 が 震え だした 。 食べられる んじゃ ない か と 怖がって いる のだ 。 オレ は レジ に 着き 注文 した 。 「 水 を 、 五 杯 」 「 水 、 です か ? 」食べ物 より も 、サメ に とって は 水 の 方 が 大事 だ 。 「 はい 。 水 」 「 水 、 だけ です か ? 」 まずい 。 何 か 別の もの も 頼ま ない と ケチ な サメ だ と 思わ れる 。 店員 の うま そうな 肌 から 目 を そらし 、レジ の 前 に 置いて ある メニュー に 目 を やった 。 そして 最初に 目 に した もの を 頼んで みた 。 「 ホット 、 コーヒー 」 「 ホットコーヒー です と …」 恐怖 の せい か 、 店員 は そう 言って 一瞬 言葉 に 詰まった 。 人間 は 恐怖 に とらわれている 時 に さらに 美味しそうに 見える 。 「ホットコーヒー です と 、ドーナツ が 無料 で つきます が 、いかがですか ? 」「ドーナツ 」そんな 言葉 を 口 に した の は 、生まれて 初めて だった 。 「こちら です 」そう いって 店員 は 、ガタガタ 震える 手 で ガラス 越し の もの を 指した 。 つやつや した もの が いっぱい 乗って いる 、丸い 、パン ? 何故 か 真ん中 に 大きな 穴 が 開いて いる 。 よく 分から ない もの だ 。 「魚 は ? 」「申し訳 ありません が 、こちら は ドーナツ カフェ な ので 魚 は ございませ ん 」次 いつ 食べ れる か 分から ない 。 念のため に 食べて おいた 方 が いい 。 しかし ドーナツ 知識 が ゼロ だ 。 「お すすめ は ? 」「最近 …」彼女 は そう 言って 再び 言葉 に 詰まった 。 「最近 、こちら が とても 人気 です 。 甘くて とても 美味しい です 」甘い って どういう こと だろう と 思い ながら 、彼女 が 指した もの に 目 を 向ける 。 他の もの より も 遥かに 穴 が 大きかった 。 「ドーナツ 」は 、穴 が 大きい ほど 美味しい のだろう か 。 「これ 」他の もの に 目 を 通して 少し 迷った 後 、そう 言って オレ は 店員 の 薦め を 無視して 最も 穴 の 小さな もの を ひれ で 指した 。 一 週間 以上 何も 食べて いない 。 味 なんか 気 に している 場合 じゃ なかった 。 「かしこまりました 、少々 お 待ち ください 」激しく 手 を 震わせ ながら 、店員 は 「ドーナツ 」と ホットコーヒー と 五 杯 の 水 を 一個 ずつ トレー に 乗せ 、少し 身 を そらして から トレー を カウンター の 向こう から こっち へ 差し出した 。 子供 が 注意深く 犬 に 餌 を やる 時 みたいだ 。 彼女 を 見て 無意識に そう 思う 。 「三百四十 円 に なります 」と 言わ れた 瞬間 、金 を 持って いない こと に 気づいた 。 表情 が 微妙に 変わった の か 、何となく 店員 も それ が 分かった ようだ 。 オレ たち は 二 、三 秒 見つめ 合った 。 そう だ 。 と 思って 、オレ は 二 週間 前 に ハワイ 付近 で 食った 兵士 の 手 を レジ 前 の 金属 トレー に 吐いた 。 記憶 通り 、薬指 に は キラキラ 光る 金 の 指輪 が はまっている 。 店員 は それ と オレ の 歯 を 交互に 見て から ありがとう ございました と 言って 、トレー を 丸ごと 取り上げて さっさと 厨房 に 姿 を 消した 。 オレ は 笑み を こぼして 水 を 一 杯 ずつ 顔 に はね かけた 。 そして ホットコーヒー と 「ドーナツ 」が のっている トレー を ひれ に 乗せ 、席 へ と 体 を ばたつかせた 。 恥ずかしい こと に 、ほとんど の ホットコーヒー が 床 に こぼれて しまった 。 席 に 着く ちょっと 前 、店 の ドア から 三 人 の 大学生 らしい 女性 が 入ってきた 。 彼女たち は 、あたしたち より 綺麗な 人 は きっと こんな ドーナツ カフェ に いない よ ね と 白い 歯 を 見せて 大きく 笑いながら 、ゆっくり と 店 の 中 を 見回した 。 みんな 足 が 長くて 髪 が つやつや している 。 韓国 の ガールズグループ の ように 見える 。 うぬぼれて いる ため 、彼女たち は ここ に 巨大な サメ が いる こと に 全く 気づいて いない 様子 だ 。 オレ は もう 一 度 笑み を こぼした 。 そして 半分 以上 空気 である 「ドーナツ 」を 食べて から 、こっそり と 美人 たち の 方 に 滑り 始めた 。 「 一 番 カロリー が 低い ドーナツ って どれ ー ? 」最も 美しい 女 が 、ポニーテール の 不器量 な 店員 に 大きい な 声 で そう 聞いた 。 「こちら です 」そう 言って 店員 は さきほど オレ に すすめた 最も 穴 の 大きい ドーナツ を 手 の 平 で 差した 。 人間 は やはり 、カロリー が 低い ほど 喜ぶ ようだ 。 しかし サメ は 違う 。 オレ は さらに 彼女たち に 近づいて いった 。 「どう しよう 。 さっき 野菜 ジュース 飲んだ もん ね 」「エミ ちゃん まだ 全然 細い じゃん 。 食べちゃ いなよ 」「全然 細く ない よ 。 最近 一 キロ も 増えた し 。 もう 四十 キロ 越えちゃう よ 」「マジ で ? それ や ば くない ? 」オレ は さらに 近づいて いった 。 「どうし よ 。 コーヒー だけ に しよう か な 。 ハル ちゃん 何 に する ー ? 」「あたし さっき サラダ 食べちゃった から 水 で いい わ 」水 。 その 言葉 を 聞いた 瞬間 、オレ の 食欲 が 激増 した 。 彼女 たち の シャンプー の 匂い が 届く 距離 まで 近づいて いった 。 「って か やめよう か 。 ここ は 美味しい もの な さ そうだ し 」エミ ちゃん と 思しき 人物 が そう 言って ドア の 方 を 振り返った 。 そこ に オレ が いた 。 「何 か 用 ? 」エミ ちゃん は そう 言って イライラ した 面持ち で 眉 を 上げた 。 ドーナツ ひと つ より も カロリー が 低 そうな 彼女 の 足 に 、オレ は 何も 言わずに 噛みついた 。 ポニーテール の 店員 は 小さく 笑って また グラス に 水 を 注ぎ 始めた 。

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