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秒速5センチメートル, 秒速 5センチメートル

秒速 5 センチメートル

→ ねえ

→秒速 5 センチ な んだって →えっ 何 ? →桜 の 花 の 落ちる スピード 秒速 5 センチメートル

→ ふうん

→アカリ そういう こと よく 知ってる よね →ふ ふん

→ねえ なんだか まるで 雪 みたい じゃない ? → すう かな ー

→ねえ !

→待って よ !

→ アカリ !

→タカキ くん

来年 も 一緒に 桜 見れる と いいね ! 遠野 タカキ さま へ たいへん ご無沙汰 して おります →こちら の 夏 も 暑い けれど 東京 に 比べれば ずっと 過ごしやすい です →でも 今に して 思えば 私 は 東京 の あの ムシ 暑い 夏 も 好きでした

→溶けて しまい そうに 熱い アスファルト も 陽炎 の むこうの 高層 ビル も デパート や 地下鉄 の 寒い くらい の 冷房 も

→私 たち が 最後 に 会った の は 小学校 の 卒業 式 でした から

→あれ から もう 半年 です

→ねえ タカキ くん 私 の こと 覚えて います か ? →前略 タカキ くん へ →お 返事 ありがとう 嬉しかった です →もう すっかり 秋 です ね こちら は 紅葉 が キレイ です

→今年 最初の セーター を おととい 私 は 出しました →遠野 くん !

→ 先輩

→ 何 ? アブレター ?

→違います よ ! →ごめん ね 全部 お 願い しちゃって →いえ すぐ 終わりました から →ありがとう ねっ 転校 しちゃ うって ホント ? →あっ はい 3 学期 いっぱい です → どこ ?

→鹿児島 です 親 の 都合 で → そう か ー 寂しく なる な ぁ →最近 は 部活 で 朝 が 早い ので 今 この 手紙 は 電車 で 書いています →この 前 髪 を 切りました →耳 が 出る くらい 短く しちゃった から →もし 会って も 私って 分からない かも しれません ね → ただいま ー

→お かえり

→タカキ くん も きっと 少しずつ 変わって いく のでしょう ね →拝啓 寒い 日 が 続きます が お 元気 です か ? →こちら は もう 何度 か 雪 が 降りました →私 は その たび に ものすごい 重 装備 で 学校 に ツ 通って います →東京 は 雪 は まだ だ よ ね

→引越 して きて から も つい クセ で 東京 の ぶん の 天気 予報 まで 見て しまいます →雨 でも 降ら ねえ か なぁ

→でも 居 内 でも キツイ ぜ

→なぁ 栃木 って 行った こと ある か ? → ハァ ? どこ ?

→ 栃木

→ ない

→どう やって 行く の か な ?

→さぁ ...新幹線 と か ?

→遠い よ な

→一 年 !

→ ハイ !

→ラスト 三 周 !

→ファイト ! オーッ !

ファイト ! オーッ !

→今度 は タカキ くん の 転校 が 決まった と いう こと 驚きました →お互いに 昔 から 転校 に は 慣れて いる わけです が

→それにしても 鹿児島 だ なんて

→今度 は ちょっと 遠い よ ね

→いざ という 時 に 電車 に 乗って 会い に 行ける ような 距離 で は なく なって しまう のは

→ やっぱり ...

→少し ...ちょっと 寂しい です

→どうか どう か タカキ くん が 元気 で います ように →前略 タカキ くん へ →3月 4日 の 約束 とても 嬉しい です →会う の は もう 一 年 ぶり です ね →なんだか 緊張 して しまいます →うち の 近く に 大きな 桜 の 樹 が あって

→春 に は そこ でも たぶん →花びら が 秒速 5 センチ で 地上 に 降って います →タカキ くん と 一緒に

→春 も やってきて くれれば いい のに って 思います → 予報 で は 夕方 から 雪 に なるって え ~っ寒い と 思った よ もう 3 月 な のに な →風邪 引き そうだ よ ね

→ねっ あったかい もの 飲んで こうよ 下北 で 降りて さ →そうだ な

→ 遠野

→部活 行こう ぜ

→あ ぁ

→あの さ 俺 今日 ちょっと 部活 ダメな んだ →引越し の 準備 か ?

→そんな トコ 悪い な →私 の 駅 まで 来て くれる の は とても 助かる のです けれど

→遠い ので どう か 気 を つけて きて 下さい

→約束 の 夜 7 時 に 駅 の 待合室 で 待って います →アカリ と の 約束 の 当日 は 昼 すぎ から 雪 に なった

→あっねえ タカキ くん ! → ねこ ! チョビ だ !

→こいつ いつも ここ に いる ね →でも 今日 は 1 人 みたい

→ミミ は どうした の ? 1人 じゃ 寂しい よ ねぇ

→あの 本 どう ? →なかなか 昨日 一晩 で 40億 年 分 読んじゃった ! →どの あたり ?

→アノマロカリス が 出て くる あたり

→カンブリア 紀 !

→私 ハルキゲニア が 好きだ な こんな の →まあ 似て る かも →タカキ くん は 何 の ファン ?

→オパビニア かな

→あー 眼 が 5 つ ある ヒト だ よ ね ! →僕 と アカリ は 精神的に どこか よく 似ていた と 思う

→ 僕 が 東京 に 転校 して きた 1 年 後 に ー アカリ が 同じ クラス に 転校 して きた

→まだ 体 が 小さく 病気がちだった 僕ら は グランド より は 図書館 が 好きで

→だ から 僕たち は ごく 自然に 仲良く なり

→その せい で クラスメイト から からかわれる こと も あった けれど

→ でも ー

→お互い が いれば 不思議に そういう こと は あまり 怖く は なかった

→僕たち は いずれ 同じ 中学 に 通い →この先 も ずっと 一緒に だ と

→どうして だとう そう 思って いた → 新宿 新宿 終点 です →お 振り の お客様 は ... JR 線 京王 線 地下鉄 は お乗り換え です ... →新宿 駅 に 1 人 で 来た の は 初めて で

→これ から 乗る 路線 も 僕 に は すべて 初めて だった

→ドキドキ して いた

→これ から 僕 は アカリ に 会う んだ →この 前 の 子 どう だった ? → 誰 ?

→ほら 西 商 の ! →え ~ ? 趣味 悪く ない ?

→...快速 列車 待ち合わせ の ため この 列車 は 4 分 ほど 停車 します →与野 本町 大宮 まで お 急ぎ の 方 は 向かい の ...

→あの ...篠原 と 申します けど →あの タカキ くん いらっしゃいます か ? →アカリ ちゃん よ

→え ...転校 ?

→西中 は どう すんだ ? せっかく 受かった のに

→栃木 の 公立 に 手続き する って ... →ごめん ね

→いや ...アカリ が 謝る こと な いけ で

→葛飾 の 叔母さん ち から 通いたい って 言った んだ けど →もっと 大きく なって から じゃ ない と ダメ だって ...

→ わかった

→もう いい よ

→もう いい

→ ごめん ...

→耳 が 痛く なる くらい 押しあてた 受話器 ご しに → アカリ が 傷つく の が 手 に とる よう に 分かった でも ... →どう しよう も なかった

→乗り換え の ターミナル 駅 は 帰宅 を 始めた 人々 で 混み合って いて

→誰 の 靴 も 雪 の 水 を 吸って ぐっしょり 濡れて いて

→ 空気 は ー

→雪 の 日 の 都市 独特の 匂い に 満ちて 冷たかった →お 客様 に お知らせ いたします →宇都宮 線 小山 宇都宮 方面 行き 列車 は ただいま 雪 の ため 到着 が 8 分 ほど 遅れて おります →お 急ぎ の ところ お客様 に は 大変 ご 迷惑 おかけ いたします が →その 瞬間 まで 僕 は 電車 が 遅れる なんて いう 可能性 を →考え も し なかった

→不安 が 急に 大きく なった

→ただいま この 電車 は 雪 の ため 10 分 ほど 遅れて 運行して おります →お 急ぎ の ところ 列車 遅れて おります こと お 詫び いたします →大宮 駅 を 過ぎて しばらく する と 風景 から は あっという間 に 建物 が 少なく なった

→次 は 久喜 久喜 →到着 が 大変 遅れました こと お 詫び 申し上げます →東 武 伊勢崎 線 に お 乗り換え の 方 は 5 番 出口 に おまわり 下さい

→後続 列車 が 遅れて いる ため この 列車 は 到駅 にて 10 分 ほど 停車 します →お 急ぎ の ところ 大変 ご 迷惑 おかけ いたします が 今 しばらく お待ち 下さいます よう お 願い いたします → すみません

→後続 列車 が 遅れて いる ため この 列車 は 到駅 にて 10 分 ほど 停車 します →お 急ぎ の ところ 大変 ご 迷惑 を おかけ いたします が ... → 野木 野木 →お客様 に お断り と お詫び 申し上げます 後続 列車 遅延 の ため この 列車 は 当駅 で しばらく の 間 停車 します →お 急ぎ の ところ 大変 ご 迷惑 ...

→駅 と 駅 と の 間 は 信じられない くらい 離れて いて →電車 は 一 駅 ごと に 信じられない くらい 長い 間 停車 した →窓 の 外 の 見た こと も ない ような 雪 に 荒野 も じわじわ と 流れていく 時間 も 痛い ような 空腹 も 僕 を ますます 心細く させて いった

→約束 の 時間 を 過ぎて

→今頃 アカリ は きっと 不安 に なり 始めて いる と 思う

→ あの 日 ... あの 電話 の 日 ー 僕 より も ずっと 大きな 不安 を 抱えて いる はずの アカリ に 対して 優しい 言葉 を かける こと の でき なかった 自分 が ひどく 恥ずかしかった → じゃあ

→今日 で ショナラ だ ね

→アカリ から の 最初の 手紙 が 届いた の は それ から 半年 後

→中 1の 夏 だった

→彼女 から の 文面 は すべて 覚えた

→約束 の 今日 まで 2 週間 かけて 僕 は アカリ に 渡す ため の 手紙 を 書いた

→アカリ に 伝え なければ いけない こと 聞いて 欲しい こと が

→本当に 僕 に は たくさん あった →大変 お 待たせ いたしました まもなく 宇都宮 行き 発車 いたします → 小山 小山 →東北 新幹線 ご 利用 の 方 は お 乗り換え です

→東北 新幹線 下り 盛岡 方面 お 乗り換え の 方 は 1 番 線

→上り 東京 方面 お 乗り換え の 方 は 5 番 線 へ お まわり 下さい

→お客様 に お知らせ いたします ただいま 両毛線 は 雪 の ため 大幅な 遅れ を もって 運転 しております →お 客様 に は 大変 ご 迷惑 を おかけ いたして おります →列車 到着 まで 今 しばらく お 待ち 下さい

→とにかく アカリ の 待つ 駅 に 向かう しか なかった

→8 番 線 足利 .前橋 方面 高崎 行き 上り 電車 が 参ります →白線 の 内側 に 下がって ...

→お客様 に ご案内 いたします ただいま 降雪 に よる ダイヤ の 乱れ の ため 少々 停車 いたします →お 急ぎ の ところ 大変 恐縮 です が →現在 の ところ 復旧 の 目処 は 立って おりません → 繰り返します →ただいま 降雪 に よる ダイヤ の 乱れ の ため 少々 停車 いたします →お 急ぎ の ところ 大変 恐縮 です が →現在 の ところ 復旧 の 目処 は 立って おりません →タカキ くん お 元気 です か ? →部活 で 朝 が 早い ので この 手紙 は 電車 で 書いています →手紙 から 想像 する アカリ は なぜ か いつも 1 人 だった

→ 電車 は それ から 結局 ー

→2 時間 も 何も ない 荒野 に 停まり 続けた

→たった 1 分 が ものすごく 長く 感じられ →時間 は はっきり と した 悪意 を もって 僕 は 上 を ゆっくり と 流れて いった →僕 は きつく 歯 を くいしばり ただ とにかく 泣か ない ように 耐えて いる しか なかった → アカリ ...

→どうか ...もう ...

→家 に ...

→帰って いて くれれば いい のに ...

→3 番 線 足利 .前橋 方面 高崎 行き 列車 到着 いたします →この 電車 は 雪 に ため しばらく 停車 します → アカリ

→ おいしい

→ そう ? 普通の ほうじ 茶 だ よ

→ほうじ 茶 ? 初めて 飲んだ

→ウソ ぜったい 飲んだ こと ある よ ! →そう かな ?

→そうだ よ !

→それ から これ ...私 が 作った から 味 の 保証 は ない んだ けど

→よかったら 食べて

→ ありがとう

→お腹 すいて たんだ すごく →どうか な ?

→今 まで 食べた もの の 中 で 一番 おいしい

→大袈裟 だ なぁ

→ホント だ よ

→きっと お腹 が すいて たから よ

→すう かな

→そう よ

→私 も 食べよっと →引越し もう すぐ だ よ ね →うん 来週 → 鹿児島 か ぁ

→遠い ん だ

→ うん

→栃木 も 遠かった けど ね

→ふ ふ 帰れ なく なっちゃった もん ね →そろそろ 閉めます よ もう 電車 も ない ですし → ハイ

→ほん な 雪 です から お 気 を つけて → ハイ !

→ 見える ? あの 樹

→手紙 の 樹 ?

→うん 桜 の 樹 → ねえ

→まるで ...雪 みたい じゃない ?

→そうだ ね

→ その 瞬間 ー 永遠 と か 心 と か 魂 と か いう もの が どこ に ある の か

→分かった 気 が した

→13 年間 生きて きた こと の 全て を 分かち あえた よう に 僕 は 思い それ から 次の 瞬間 ー →たまらなく ...悲しく なった

→アカリ の その 温もり を その 魂 を どのように 扱えば いい の か どこ に 持っていけば いい の か →それ が 僕 に は 分から なかった から だ

→僕たち は この 先 も ずっと 一緒に いる こと は できない と

→はっきり と 分かった

→僕たち の 前 に は いまだ 巨大 すぎる 人生 が 茫漠とした 時間 が どうしようもなく 横たわっていた → でも ー

→僕 を 捉えた その 不安 は やがて ゆるやかに 溶けて いき

→あと に は アカリ の 柔らかな 唇 だけ が 残って いた

→ その 夜 ー 僕 たち は 畑 の 脇 に あった 小さな 納屋 で 過ごした

→古い 毛布 に くるまり 長い 時間 話し 続けて

→いつの間にか 眠って いた

→朝 動き 始めた 電車 に 乗って →僕 は アカリ と 別れた

→ あの ...

→タカキ くん ...

→ ん ...?

→タカキ くん は ...

→きっと この先 も 大丈夫 だ と 思う ぜったい !

→ ありがとう

→アカリ も 元気 で !

→手紙 書く よ ! 電話 も !

→アカリ へ の 手紙 を なくして しまった こと を

→僕 は アカリ に 言わ なかった

→あの キス の 前 と 後 と で は

→世界 の 何もかも が 変わって しまった ような 気 が した から だ

→彼女 を 守れる だけ の 力 が 欲しい と 強く 思った

→それ だけ を 考え ながら 僕 は いつまでも 窓 の 外 の 景色 を 見続けて いた

→カナエ 放課後 も 行く の ? →うん お 姉ちゃん は 平気 ? →いい よ でも 勉強 も ちゃんと やんな さ いよ → は ー い

→ふう ...よし

→ おはよう

→おはよう 遠野 くん 今朝 も 早い ね →澄 田 も 海 行って きた んだ ろ ? →頑張る んだ ね

→そんなに でも ...へ へ へ

→また ね ! 遠野 くん

→いい か ぁ ? そろそろ 決める 時期 だ ぞ

→月曜 まで に 提出 だ から な

→ご 家族 と よく 相談 して 書いて くる ように

→佐々木 さん 東京 の 大学 行く みたい よ →さすが 私 の 熊本 の 短大 かな ~

→カナエ は ?

→ え ?

うーん ...

→就職 だっけ ? → うーん ...

→あんた ホン と 何も 考えて ない よ ね

→遠野 くん の こと だけ ね

→あいつ ゼッタイ 東京 に 彼女 いる よ →そんな ぁ !

→うっふ ふ ふ →まだ 上手く いかない ?

→うん どう しちゃった の かな ... →あんまり 悩ま ない 方がいい よ その うち また 乗れる わ よ →お姉ちゃん は 気楽 で いい わ よ

→なに 焦って ん の よ →このまま じゃ 卒業 まで 言えない じゃない

→あり が と お 姉ちゃん →送って くわ よ

→う うん カブ で 帰る ! →あっ 澄 田 今 帰り ? →うん 遠野 くん も ? → ああ ...

→一緒に 帰ら ない ?

→もし 私 に 犬 みたいな 尻尾 が あったら もっと 嬉しさ を 隠し きれず に ぶんぶん と 振って しまった と 思う

→ああ 私 は 犬 じゃ なくて 良かった な ~なんて ホッと し ながら 思って →そういう こと に 我ながら バカだ なぁ と 呆れて

→それ でも

→遠野 くん と の 帰り道 は 幸せ だった

→最初 から 遠野 くん は 他の 男の子 たち と は どこか 少し 違って いた

→遠野 貴樹 です

→親 の 仕事 で 転校 に は 慣れて います が この 島 に は まだ 慣れて いません →よろしく お 願い します →中 2 の その 日 の うち に 好き に なって 彼 と 同じ 高校 に 行き たくて

→ものすごく 勉強 を がんばって なんて か 合格 して

→それ でも まだ 遠野 くん の 姿 を 見る たび に もっと 好き に なって いって しまって

→それ が 怖くて 毎日 が 苦しくて →でも 会える たび に 幸せで 自分 でも どう しようも なかった

→遠野 くん また 同じ の → ふ ふ これ ウマ いんだ よ →澄田 は なんか いつも 真剣 だ よ ね ものすごく → うん !

→先 行って る よ

→ うん ...

→これ 下さい

→ 90 円 ね

→ ハイ

→いつも あり が と ね

→お 帰り 何 買った の ? →うん 迷った んだ けど ... →遠野 くん は 時々 誰 か に メール を 打って いて

→その たび に 私 は それ が 私 あて の メール だったら いい のに って →どうしても いつも 思って しまう → カブ ! ただいま ー !

→カブカブ 帰って きた よ ! →町 役場 から お 知らせ します 次回 の 当番 スタンド は 坂井 の 農協 給油 ... →3年 1組 の 澄田 花苗 さん 伊藤 先生 が お呼び です 生徒 指導室 まで 来て 下さい

→遠野 の 彼女 じゃ ん

→彼女 と か じゃ ない よ

→学年 で 出して ない の は 澄田 だけ だ ぞ

→ すみません ...

→あの なぁ こう 言っちゃ 何 だが そんなに 悩む ような こと じゃ ない んだ よ →澄田 先生 は 何 て 言ってる んだ ?

→ いえ ...

→どうしても 決められ ない なら 県内 の 短大 とか は どう な んだ ? → でも ...

→お姉ちゃん は 関係ない のに ...

→ だって ...

→お姉ちゃん に ねだって はじめた サーフィン も

→一番 大切だ と 思う あの 人 の こと も →私 は まだ 全然 ... →いつも あり が と ね

→いえ それ じゃ あまた →遠野 くん が いる 場所 に くる と 胸 の 奥 が ...少し 苦しく なる

→遠野 くん !

→澄田 ?どうした の よく 分かった ね →へ へ へ 遠野 くん の 単車 が あった から 来ちゃった いい ? →うん そっか 嬉しい よ →今日 は 単車 置き場 で 会え なかった から さ

→私 も !

→彼 は 優しい

→時々 泣いて しまい そうに なる →ねえ 遠野 くん は 受験 ? →うん 東京 の 大学 受ける →東京 ...そっか そう だ と 思った んだ → どうして ?

→遠く に 行き た そうだ もの なんとなく

→澄 田 は ?

→う ~ん ...

→私 明日 の こと も よく 分からない の よ ね →だ ぶん 誰 だって そう だよ → ワン !

遠野 くん も ?

→ もちろん

→ぜんぜん 迷い なんて ない みたいに 見える →まさか 迷って ばかりな んだ 俺 →出来る こと を なんとか やってる だけ 余裕 ない んだ

→ そっか ... →そう な んだ

→ 飛行機 ?

→ .. すごい

→時速 5 キロ なん だって

→えっ ? →南 種子 の 打ち上げ 場 まで

→ ああ ...

→今年 は 久しぶり に 打ち上げる んだ よ ね

→ああ 太陽 系 の ずっと 奥 まで 行くん だって →何 年 も かけて

→あんた カナエ の 進路 ちゃん と 相談 に 乗って やんな さいよ →ぼんやり した 子 な ん だ から

→大丈夫 よ あの 子 も もう 子供 じゃ ない んだ し →私 も 昔 は ああ だった なぁ ... →ねえ カブ 遠野 くん も 分から ない んだって →一緒 な んだ ...遠野 くん も

→それ は 本当に ...

→想像 を 絶する くらい 孤独な 旅 である はずだ →本当の 暗 閣 の 中 を ただ ひたむきに

→1つ の 水素 原子 に さえ 滅多に 出会う こと なく

→ ただただ 深淵 に ある はず と 信じる 世界 の 秘密に 近づきたい ー 心 で →僕たち は そう やって どこ まで 行く のだろう →どこ まで 行ける のだろう

→出す あて の ない メール を 打つ クセ が ついた の は いつ から だろう

→カナエ あんた 進路 決めた の ? →う うん やっぱり まだ 分かんない けど でも いい の 決めた の ! → 1 つ ずつ 出来る こと から やる の 行って くる !

→あの 日 から いくつか の 台風 が 通りすぎ その たび に 島 は 少しずつ すずしく なって いった →サトウキビ を 揺らす 風 が かすかに 冷気 を 孕み

→空 が ほんの 少し 高く なり 雲 の 輪郭 が 優しく なって カブ に 乗る 同級生 たち が 薄い シャンパー を 羽織る ように なった

→私 が 半年 ぶり に 波 の 上 に 立てた のは また 夏 が かろうじて のる そんな 10月 の 半ば だった

→本日 夕方 から の 天候 は 晴れ 最大 風速 は 8 m の 予報 と なって います →佐々木 さん 山田 から 告白 さ れた らしい よ → さすが だ な ー

→あれ ? カナエ なんか 今日 嬉し そう ね →遠野 くん と なんか あった の ?

→ ワン !

→私 だって 今日 こそ ...

→遠野 くん に 告白 する んだ

→波 に 乗れた 今日 言わ なければ この先 の きっと ...ずっと 言え ない →澄 田

→ と ...

→遠野 くん ...

→今 帰り ?

→ そっか →じゃあ 一緒に 帰ろう よ →あれ 澄 田 今日 は もう 決まり ? →どうした の ?

→...しく し ないで

→ え ?

→ごめん ...何でもない の

→調子 悪い ?

→うん ヘン だ なぁ → ダメ ?

→うん ...プラグ の 寿命 な んじゃないのかな これ お下がり ?

→うん お 姉ちゃん の →加速 で 息継ぎ して なかった ?

→して た かも

→今日 は ここ に 置かせて もらって 後 で 家 の 人 に 取りに きて もらい なよ

→今日 は 歩こう

→えっ 私 一 人 で 歩く よ !遠野 くん は 先 帰って →ここ まで きれば 近い から それ に ちょっと ...歩きたい んだ →遠野 くん ...

→お 願い ...

→どうした の ! →ごめん なんでもない の →ごめん ね ...

→澄 田 ...

→お 願い だ から ...もう ...

→私 に ...

→やさしく し ないで ....!

→必死に ただ 閣 雲 に 空 に 手 を 伸ばして あんなに 大きな カタマリ を 打ち上げて 気 の 遠く なる くらい むこうに ある 何 か 見つめて →遠野 くん が 他の 人 と 違って 見える 理由 が

→少し だけ 分かった 気 が した

→そして 同時に 遠野 くん は 私 を 見て なんて いない んだ と いう こと に →私 は ハッキリ と 気づいた

→だ から その 日 私 の 遠野 くん に 何も 言え なかった →遠野 くん は 優しい けれど

→とても 優しい けれど

→ でも ー

→遠野 くん は いつも

→私 の ずっと むこう ...もっと ずっと 遠く の 何か を 見ている

→私 が 遠野 くん に 望む こと は きっと 叶わ ない

→それ でも ...

→それ でも 私 は 遠野 くん の こと を きっと 明日 も 明後日 も その 先 も やっぱり どうしようもなく 好きな んだ と 思う

→遠野 くん の こと だけ を 想い ながら 泣き ながら 私 は 眼った →今 振り返れば きっと あの 人 振り返る と 強く 感じた →中央 .総 武 最終 電車 東京 行き が 到着 します →お 正月 で いれば いい のに

→うん ...でも 色々 準備 も ある から

→そう だ な 彼 に も うまい もの 作って やれよ →何 か あったら 電話 する の よ アカリ →大丈夫 よ 来月 に は 式 で 会う んだ から そんなに 心配 しないで →寒い から もう 戻り な よ

→ゆうべ 昔 の 夢 を 見た →私 も 彼 も まだ 子供 だった →きっと 昨日 見つけた 手紙 の せい だ →水野 さん

→あ はい → ミーテイング いい かな ?

→ はい

→ただ 生活 を して いる だけ で 哀しみ は そこ ここ に 積もる 日 に 干した シーツ に も 洗面所 の 歯ブラシ に も 携帯電話 の 履歴 に も →あなた の こと は 今 でも 好きです と

→三 年間 付き合った 女性 は そう メール に 書いて いた

→でも 私 たち は きっと 1000 回 も メール を やりとり して

→多分 心 は 1 センチ くらい しか 近づけません でした と →この 数 年間 とにかく 前 に 進み たくて 届か ない もの に 手 を 触れ たくて それ が 具体的に 何 を 指す の かも → ほ とんと 脅迫 的 と も 言える ような その 想い が

→どこ から 湧いて くる の かも 分から ず に 僕 は ただ働き 続け

→気づけば 日々 弾力 を 失って いく 心 が ひたすら 辛かった

→そして ある 朝 かつて あれほど までに 真剣で 切実だった 思い が

→綺麗に 失われて る こと に 僕 は 気づき もう 限界 だ と 知った とき 会社 を 辞めた →昨日 夢 を 見た →ずっと 昔 の 夢

→その 夢 の 中 で は 僕たち は まだ 13 歳 で →そこ は 一面 の 雪 に 覆われた 広い 田園 で 人家 の 灯り は ずっと 遠く に まばらに 見える だけ で →振り 積もる 新雪 に は 私たち の 歩いて きた 足跡 しか なかった

→そう やって いつか また 一緒に 桜 を 見る こと が 出来る と 私 も 彼 も なんの 迷い も なく そう 思って いた

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