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世界の昔話, ほら吹き男爵 老将軍の秘密

ほら吹き 男爵 老 将軍 の 秘密

ほら吹き 男爵 老 将軍 の 秘密

わがはい は 、 ミュンヒハウゼン 男爵 ( だんしゃく )。 みんな から は 、『 ほらふき 男爵 』 と よば れて おる 。 今日 も 、 わがはい の 冒険 話 を 聞か せて やろう 。

ところで きみ たち は 、 お 酒 を 飲む と 酔っぱらう の は 知って いる な 。 わがはい は お 酒 が 大好きで 、 しかも お 酒 に は めっぽう 強い 。 つまり 、 多少 飲んで も 酔っぱらわ ない のだ が 、 ロシア 人 と いう の は 、 この わがはい 以上 に お 酒 が 強い 。 あそこ は 寒い 国 な ので 、 体 を 暖める 必要 から こう なった のだろう が 、 男 でも 女 でも いくら 飲んで も なかなか 酔わ ない のだ 。 中でも 、 わがはい が 特に 感心 した の は 、 宮廷 の 宴会 で よく 一緒に なる 老 将軍 だった 。 赤銅色 の 顔 に 、 ごま しお ひげ を ピンと 生やした 歴戦 の 勇士 は 、 トルコ 戦争 で 頭蓋 骨 の 上 半分 を なくした ので 、 いつも 帽子 を かぶった まま だった が 、 新しい お 客 が 入って 来る と 身分 の へだて なく 、 「 帽子 を かぶった まま で 、 失礼 さ せて いただき ます 」 と 、 ていねいに あいさつ を する のである 。 そして 食事 の 間 に 、 いつも ぶどう 酒 を 十 数 本 は 空 に する 。 ところが これ は まだ 序の口 で 、 食事 が 終わる と 大 だる に 入った 強い コニャック 酒 を 、 まるで ぶどう 酒 の 口直し みたいに ガブガブ と 飲み干し 、 そして 少しも 酔った 様子 も なく 、 け ろ っと して いる のだ 。 「 そんな 、 馬鹿な 」 と 、 きみ たち も 思う だろう 。 ご もっともだ 。 実際 に この 目 で 見た わがはい だって 、 すぐ に は 信じ られ なかった のだ から 。 「 これ に は 、 何 か 秘密 が ある な 」 何事 に も 好奇心 旺盛な わがはい は 、 ひそかに 老 将軍 を 観察 した 。 そして 、 何度 目 か の 宴会 の 時 に 、 「 は は ぁ ー ん 、 これ だ な 」 と 、 その 謎 を 解く 、 ヒント を 見つけた のだ 。 それ は 老 将軍 が お 酒 を 飲み ながら 、 ときどき 帽子 を ちょいと 持ち あげる くせ が あった から だ 。 しかも 実に 用心深く 、 誰 に も 気づか れ ない ように 、 そっと 帽子 を 持ち あげる のだ 。 そこ で 老 将軍 が 帽子 を 持ち あげる タイミング を 狙って 、 わがはい は 床 に 落とした ハンカチ を 拾う ふり を し ながら 帽子 の 内側 を のぞいて みた 。 ( なるほど ) 老 将軍 の 謎 は 、 たちまち とけた 。 なんと 老 将軍 は 帽子 と 一緒に 、 頭 の 銀 の 板 も 持ち あげて いた のだ 。 その 銀 の 板 と は 、 老 将軍 が 頭蓋 骨 の かわり に 頭 の ふた に して いる 物 だ 。 それ を 持ち 上げる たび に 老 将軍 の 飲んだ お 酒 は 蒸気 と なって 、 ふわり ふわり と 外 へ 出て いく のだ 。 だ から 老 将軍 は 、 いくら お 酒 を 飲んで も 酔う 事 が なかった のだ 。

わがはい は さっそく 、 この 新 発見 を まわり の 連中 に 話した が 、 「 何 を 、 馬鹿馬鹿しい 」 「 そんな はず が 、 ない だろう 」 「 くだら ぬ 、 たわごと は よせ 」 と 、 まるっきり 信用 して くれ ない 。 「 よし 、 では 証明 して やる 」 そう 言う と わがはい は 、 こっそり 老 将軍 の 後ろ に まわった 。 そして 老 将軍 が 帽子 を 持ち 上げた 時 、 手 に 持って いた パイプ の 火 を 立ち上る 蒸気 に 近づけた のだ 。 すると 蒸気 は 、 たちまち 美しい 青い 炎 と なって 、 老 将軍 の 頭 の まわり に 輝いた 。 これ に 気 が ついた 老 将軍 は 、 「 なっ 、 なんという 無礼な ! 」 と 、 顔 を まっ 赤 に して 怒り 出した が 、 わがはい が すぐ に 、 「 将軍 、 お 怒り に なる 事 は あり ませ ん 。 将軍 の 頭 の 後光 は 、 どんな 聖者 より も 気高くて 立派で ございます 」 と 、 言う と 、 老 将軍 は たちまち 機嫌 を 良く して 、 その 実験 を 何度 も やら せて くれた のだ 。

『 お 酒 を いくら でも 飲み たければ 、 この 老 将軍 の 様 に 、 頭蓋 骨 の 代わり に 銀 の 板 を 取付けよう 』 これ が 、 今日 の 教訓 だ 。 もちろん 、 きみ たち は まね を して は だめだ ぞ 。

では 、 また 次の 機会 に 、 別の 話 を して やろう な 。

おしまい


ほら吹き 男爵 老 将軍 の 秘密 ほらふき|だんしゃく|ろう|しょうぐん||ひみつ Baron Blowhard, Secrets of the Old General

ほら吹き 男爵   老 将軍 の 秘密 ほらふき|だんしゃく|ろう|しょうぐん||ひみつ Baron Munchausen's Secret

わがはい は 、 ミュンヒハウゼン 男爵 ( だんしゃく )。 |||だんしゃく| My Yes, Baron Munchausen. みんな から は 、『 ほらふき 男爵 』 と よば れて おる 。 ||||だんしゃく|||| Everyone calls it "Horafuki Baron". 今日 も 、 わがはい の 冒険 話 を 聞か せて やろう 。 きょう||||ぼうけん|はなし||きか|| Let me tell you the story of my adventure today.

ところで きみ たち は 、 お 酒 を 飲む と 酔っぱらう の は 知って いる な 。 |||||さけ||のむ||よっぱらう|||しって|| By the way, you don't know that you get drunk when you drink alcohol. わがはい は お 酒 が 大好きで 、 しかも お 酒 に は めっぽう 強い 。 |||さけ||だいすきで|||さけ||||つよい My yes loves alcohol, and it's very strong against alcohol. つまり 、 多少 飲んで も 酔っぱらわ ない のだ が 、 ロシア 人 と いう の は 、 この わがはい 以上 に お 酒 が 強い 。 |たしょう|のんで||よっぱらわ||||ろしあ|じん|||||||いじょう|||さけ||つよい In other words, I don't get drunk even if I drink a little, but Russians are stronger than I am. あそこ は 寒い 国 な ので 、 体 を 暖める 必要 から こう なった のだろう が 、 男 でも 女 でも いくら 飲んで も なかなか 酔わ ない のだ 。 ||さむい|くに|||からだ||あたためる|ひつよう||||||おとこ||おんな|||のんで|||よわ|| It's a cold country over there, so it may have happened because of the need to warm up the body, but no matter how much a man or woman drinks, it's hard to get drunk. 中でも 、 わがはい が 特に 感心 した の は 、 宮廷 の 宴会 で よく 一緒に なる 老 将軍 だった 。 なかでも|||とくに|かんしん||||きゅうてい||えんかい|||いっしょに||ろう|しょうぐん| 赤銅色 の 顔 に 、 ごま しお ひげ を ピンと 生やした 歴戦 の 勇士 は 、 トルコ 戦争 で 頭蓋 骨 の 上 半分 を なくした ので 、 いつも 帽子 を かぶった まま だった が 、 新しい お 客 が 入って 来る と 身分 の へだて なく 、 「 帽子 を かぶった まま で 、 失礼 さ せて いただき ます 」 と 、 ていねいに あいさつ を する のである 。 しゃくどういろ||かお||||||ぴんと|はやした|れきせん||ゆうし||とるこ|せんそう||ずがい|こつ||うえ|はんぶん|||||ぼうし||||||あたらしい||きゃく||はいって|くる||みぶん||||ぼうし|||||しつれい|||||||||| そして 食事 の 間 に 、 いつも ぶどう 酒 を 十 数 本 は 空 に する 。 |しょくじ||あいだ||||さけ||じゅう|すう|ほん||から|| ところが これ は まだ 序の口 で 、 食事 が 終わる と 大 だる に 入った 強い コニャック 酒 を 、 まるで ぶどう 酒 の 口直し みたいに ガブガブ と 飲み干し 、 そして 少しも 酔った 様子 も なく 、 け ろ っと して いる のだ 。 ||||じょのくち||しょくじ||おわる||だい|||はいった|つよい||さけ||||さけ||くちなおし||||のみほし||すこしも|よった|ようす|||||||| 「 そんな 、 馬鹿な 」 と 、 きみ たち も 思う だろう 。 |ばかな|||||おもう| ご もっともだ 。 実際 に この 目 で 見た わがはい だって 、 すぐ に は 信じ られ なかった のだ から 。 じっさい|||め||みた||||||しんじ|||| 「 これ に は 、 何 か 秘密 が ある な 」   何事 に も 好奇心 旺盛な わがはい は 、 ひそかに 老 将軍 を 観察 した 。 |||なん||ひみつ||||なにごと|||こうきしん|おうせいな||||ろう|しょうぐん||かんさつ| そして 、 何度 目 か の 宴会 の 時 に 、 「 は は ぁ ー ん 、 これ だ な 」 と 、 その 謎 を 解く 、 ヒント を 見つけた のだ 。 |なんど|め|||えんかい||じ|||||-|||||||なぞ||とく|ひんと||みつけた| それ は 老 将軍 が お 酒 を 飲み ながら 、 ときどき 帽子 を ちょいと 持ち あげる くせ が あった から だ 。 ||ろう|しょうぐん|||さけ||のみ|||ぼうし|||もち|||||| しかも 実に 用心深く 、 誰 に も 気づか れ ない ように 、 そっと 帽子 を 持ち あげる のだ 。 |じつに|ようじんぶかく|だれ|||きづか|||よう に||ぼうし||もち|| そこ で 老 将軍 が 帽子 を 持ち あげる タイミング を 狙って 、 わがはい は 床 に 落とした ハンカチ を 拾う ふり を し ながら 帽子 の 内側 を のぞいて みた 。 ||ろう|しょうぐん||ぼうし||もち||たいみんぐ||ねらって|||とこ||おとした|はんかち||ひろう|||||ぼうし||うちがわ||| ( なるほど )   老 将軍 の 謎 は 、 たちまち とけた 。 |ろう|しょうぐん||なぞ||| なんと 老 将軍 は 帽子 と 一緒に 、 頭 の 銀 の 板 も 持ち あげて いた のだ 。 |ろう|しょうぐん||ぼうし||いっしょに|あたま||ぎん||いた||もち||| その 銀 の 板 と は 、 老 将軍 が 頭蓋 骨 の かわり に 頭 の ふた に して いる 物 だ 。 |ぎん||いた|||ろう|しょうぐん||ずがい|こつ||||あたま||||||ぶつ| それ を 持ち 上げる たび に 老 将軍 の 飲んだ お 酒 は 蒸気 と なって 、 ふわり ふわり と 外 へ 出て いく のだ 。 ||もち|あげる|||ろう|しょうぐん||のんだ||さけ||じょうき||||||がい||でて|| だ から 老 将軍 は 、 いくら お 酒 を 飲んで も 酔う 事 が なかった のだ 。 ||ろう|しょうぐん||||さけ||のんで||よう|こと|||

わがはい は さっそく 、 この 新 発見 を まわり の 連中 に 話した が 、 「 何 を 、 馬鹿馬鹿しい 」 「 そんな はず が 、 ない だろう 」 「 くだら ぬ 、 たわごと は よせ 」 と 、 まるっきり 信用 して くれ ない 。 ||||しん|はっけん||||れんちゅう||はなした||なん||ばかばかしい|||||||||||||しんよう||| 「 よし 、 では 証明 して やる 」   そう 言う と わがはい は 、 こっそり 老 将軍 の 後ろ に まわった 。 ||しょうめい||||いう|||||ろう|しょうぐん||うしろ|| そして 老 将軍 が 帽子 を 持ち 上げた 時 、 手 に 持って いた パイプ の 火 を 立ち上る 蒸気 に 近づけた のだ 。 |ろう|しょうぐん||ぼうし||もち|あげた|じ|て||もって||ぱいぷ||ひ||たちのぼる|じょうき||ちかづけた| すると 蒸気 は 、 たちまち 美しい 青い 炎 と なって 、 老 将軍 の 頭 の まわり に 輝いた 。 |じょうき|||うつくしい|あおい|えん|||ろう|しょうぐん||あたま||||かがやいた これ に 気 が ついた 老 将軍 は 、 「 なっ 、 なんという 無礼な ! ||き|||ろう|しょうぐん||||ぶれいな 」 と 、 顔 を まっ 赤 に して 怒り 出した が 、 わがはい が すぐ に 、 「 将軍 、 お 怒り に なる 事 は あり ませ ん 。 |かお|||あか|||いかり|だした||||||しょうぐん||いかり|||こと|||| 将軍 の 頭 の 後光 は 、 どんな 聖者 より も 気高くて 立派で ございます 」 と 、 言う と 、 老 将軍 は たちまち 機嫌 を 良く して 、 その 実験 を 何度 も やら せて くれた のだ 。 しょうぐん||あたま||ごこう|||せいじゃ|||けだかくて|りっぱで|||いう||ろう|しょうぐん|||きげん||よく|||じっけん||なんど|||||

『 お 酒 を いくら でも 飲み たければ 、 この 老 将軍 の 様 に 、 頭蓋 骨 の 代わり に 銀 の 板 を 取付けよう 』   これ が 、 今日 の 教訓 だ 。 |さけ||||のみ|||ろう|しょうぐん||さま||ずがい|こつ||かわり||ぎん||いた||とりつけよう|||きょう||きょうくん| もちろん 、 きみ たち は まね を して は だめだ ぞ 。

では 、 また 次の 機会 に 、 別の 話 を して やろう な 。 ||つぎの|きかい||べつの|はなし||||

おしまい