この 素晴らしい 世界 に 祝福 を !あぁ 、駄女神さま (2)
「承りました 。 では 、今後 の アクア 様 の お仕事 は この わたくし が 引き継ぎます ので 」
何も ない 所 から 、白く 輝く 光 と 共に 、突然 羽 の 生えた 一人 の 女性 が 現れた 。 ……一言 で 言えば 、天使 みたいな 。
「……えっ 」
呆然と 呟く アクア の 足元 と 、そして 俺 の 足 の 下 に 、青く 光る 魔法陣 が 現れた 。 おお 、なんだ これ 。
本当に このまま 異世界 行き ?
「ちょ 、え 、なに これ 。 え 、え 、噓 でしょ ? いやいや いやいや 、ちょっと 、あの 、おかしい から ! 女神 を 連れて く なんて 反則 だ から ! 無効 でしょ !?こんな の 無効 よ ね ! 待って ! 待って !? 」
涙 目 で オロオロ しながら 、滅茶苦茶 に 慌てふためく アクア 。
その アクア に 。
「行って らっしゃいませ アクア 様 。 後 の 事 は お任せ を 。 無事 魔王 を 倒さ れた 暁 に は 、こちら に 帰還 する ため の 迎え の 者 を 送ります 。 それ まで は 、あなた 様 の お仕事 の 引き継ぎ は この わたくし に お任せ を 」
「待って ! ねえ 待って ! 私 、女神 なんだ から 癒す 力 は あって も 戦う 力 なんて 無い んです けど ! 魔王 討伐 とか 無理 なんです けど !! 」
突然 現れた その 天使 は 、泣きながら すがる アクア を 尻目に 、俺 に 柔らかな 笑み を 浮かべ 。
「佐藤 和真 さん 。 あなた を これから 、異世界 へ と 送ります 。 魔王 討伐 の ため の 勇者 候補 の 一人 として 。 魔王 を 倒した 暁 に は 、神々 から の 贈り物 を 授けましょう 」
「……贈り物 ?」
オウム 返し に 尋ねる 俺 に 。
その 天使 は 、穏やかに 微笑んだ 。
「そう 。 世界 を 救った 偉業 に 見合った 贈り物 。 ……たとえ どんな 願い でも 。 たった 一つ だけ 叶えて 差し上げましょう 」
「おおっ ! 」それは つまり 、異世界 と やら に 飽きたら 日本 に 帰りたい って 願い も 有り なのだろうか 。 例えば 、異世界 で の 暮らし に 飽きたら 、日本 に 帰って 、金持ち に なって 美少女 に 囲まれ ながら ゲーム 三昧 の 人生 を ! とか そんな 退廃的 な 願い も 有り な の だろうか !
「ねえ 待って ! そういう カッコイイ 事 を 告げる のって 、私 の 仕事 な んです けど !」
いきなり 現れた 天使 に 仕事 を 奪われ 、泣いて すがる アクア 。
アクア の その 姿 を 見られた だけで 、俺 は すでに 満足 して いた 。 俺 は そのまま アクア を 指差し 。
「散々 バカ に して た 男 に 、一緒に 連れて かれる って どんな 気持ち だ ? おい 、 俺 が 持っていく 〝者 〟 に 指定 された ん だ 、 女神 なら その 神 パワー と か で 、 精 々 俺 を 楽 させて くれよ !」
「いや あー ! こんな 男と 異世界 行きだ なんて 、いや ああ ああ ああ ああ !」
「さあ 、勇者よ ! 願わくば 、数多 の 勇者 候補 達 の 中 から 、あなた が 魔王 を 打ち 倒す 事 を 祈って います 。 ……さあ 、旅立ち なさい !」
「わ ああ ああ ああ ーっ ! 私 の セリフ ー !」
厳かに 天使が 告げる 中 。
俺は 、泣き叫ぶ アクアと 共に 明るい 光に 包まれた ……!
1.
石造りの 街中を 、馬車が 音を 立てながら 進んでいく 。
「……異世界 だ 。 ……おいおい 、本気で 異世界 だ 。 え 、本当に ? 本当に 、俺って これから この 世界で 魔法とか 使ってみたり 、冒険とか しちゃったり すんの ?」
俺 は 目の前 に 広がる 光景 に 、興奮 で 震え ながら も 呟いた 。
そこ は 、レンガ の 家々 が 立ち並ぶ 、中世 ヨーロッパ の ような 街並み 。
車 や バイク は 走って おらず 、電柱 も 無ければ 電波塔 も 無い 。
「あ ……ああ ……ああ ああ …………」
俺 は キョロキョロ と 街中 を 見渡して 、行き交う 人々 を 観察した 。
「獣 耳 だ ! 獣 耳 が いる ! エルフ 耳 ! あれ エルフ か !? 美形 だ し 、エルフ だ よ な ! さようなら 引き篭もり 生活 ! こんにちは 異世界 ! この 世界 なら 、俺 、ちゃんと 外 に 出て 働く よ !」
「ああ ああ …………ああ ああ ああ …………ああ ああ ああ ああ あ ああ !」
俺は 隣で 頭を 抱えて 叫び声を 上げている アクアの 方を 振り向いた 。
「おい うるさい ぞ 。 俺まで 頭の おかしい 女の 仲間だって 思われたら どうするんだよ 。 それより 、こういった 時には 俺に 渡す 物とか ある だろ ? ほれ 、見ろよ 今の 俺の 格好 。 ジャージ だよ ? せっかくの ファンタジー 世界に ジャージ 一丁 ですわ 。 ここ は ゲーム とか で 恒例 の 、必要 最低限 の 初期 装備 とか を ……」
「ああ ああ ああ ああ ああ ああ ああ ああ ああ ああ ああ ああ ああ ああ ああ ああ ーっ !!」
叫ぶ と 同時 、女神 は 泣き ながら 俺 に 摑み かかって きた 。
「う おっ ! な 、なんだ よ 、やめろ ! 分かった よ 、初期 装備 は 自分 で なんとか する よ 。 と いう か 、悪かった って ! そんなに 嫌 なら もう いい よ 、帰って もらって 。 後 は 自分 で 何とか して みる から 」
涙 目 で 俺 の 首 を 絞めよう と する アクア の 手 を 振り払う と 、面倒臭 そうに シッシ と 手 を 払う 。
すると 、 アクア は 手 を 戦慄かせた 。
「あんた 何 言って ん の !? 帰れ ない から 困って る んです けど ! どう すん の !?ねえ 、どう しよう ! 私 これから どう したら いい !?」
アクア は 泣きながら 取り乱し 、頭を 抱えて バタバタ していた 。
腰 まで 届く 長い 髪 を 振り乱し 、 なんという か もう 、 黙って いれば 凄い 美 少女 な のに これ で は どう 見て も 痛い 女 だ 。 いや 、正直 見てられない 。 「おい 女神 、落ち着け 。 こういう 時 の 定番 は まず 酒場 だ 。 酒場 に 行って 情報 収集 から 始める もん だ 。 それ が ロールプレイングゲーム で の 定番 だ 」
「 なっ ……! ゲーム オタク の 引き篭もり だった はず なのに 、なぜ こんなに 頼もしい の ? あ 、カズマ 、私 の 名前 は アクア よ 。 女神 様 って 呼んで くれても いい けれど 、できれば アクア って 呼んで 。 でないと 人だかり が できて 魔王 討伐 の 冒険 どころ じゃ なく なっちゃう わ 。 住む 世界 は 違って も 、一応 私 、この 世界 で 崇められてる 神様 の 一人 な の 」 アクア は そう 言って 、自信 満々 な 俺 の 後ろ を バタバタ と ついて 来る 。
さて 、こういった 時 に は 魔王 に 対抗 する ため の 冒険者 組合 だとか 、モンスター 討伐 の ため の 冒険者 ギルド とか が ある はずだ 。
と いう か 、よく 考えたら アクア は 女神 なんだ し 、こいつ に 色々 聞けば いい んじゃないか 。
「アクア 、とりあえず 冒険者 ギルド の 場所 だ 。 どこ に 行けば いい んだ ?」
俺 が アクア に 尋ねる と 、アクア は キョトンと した 表情 で 。
「……? 私 に そんな 事 聞かれて も 知らない わ よ 。 私 は この 世界 の 一般常識 は 知っていて も 、街 の 事 なんか は 分からない し 。 と いう か 、 ここ は 大量に ある 異 世界 の 中 の 一 つ の 星 、 更に その 中 の 小さな 街 の 一 つ よ ? そんな もの いちいち 知る 訳ない でしょ ?」
こいつ 使え ねえ 。
しかたない ので 、俺は 通りすがり の おばさんに 尋ねる 。
男性 に 聞く のは ガラの 悪い 相手 だと 厄介だ し 、若い 女性 だと 俺の チキンハート には 難易度が 高い 。
「すいませーん 、ちょっと いい ですか ? 冒険者 ギルド 的な ものを 探してる んですが ……」
「ギルド ? あら 、この 街 の ギルド を 知らない なんて 、ひょっとして 他所 から 来た 人 かしら ?」
おばさん の 言葉 に 、やはり ギルド が あった か と 安心 する 。
「いや あ 、ちょっと 遠く から 旅 して きた もの で 。 つい さっき 、この 街 に 着いた ばかり なんです よ 」
「あら あら ……。 この 街 に 来る って 事 は 、冒険者 を 目指している 方 かしら 。 駆け出し 冒険者 の 街 、アクセル へ ようこそ 。 ここ の 通り を 真っ直ぐ 行って 右 に 曲がれば 、看板 が 見えて くる わ 」
「真っ直ぐ 行って 右 です ね 。 どうも 、ありがとう ございました ! ……ほら 、行く ぞ 」
駆け出し 冒険 者 の 街 か 。
なるほど 。 死んだ 人間 を 異世界 へ 送る 際 の スタート 地点 として は 、理想的な 場所 だ 。
おばさん に 礼 を 言い 、教わった 道 を 歩いて 行く と 、後ろ を ちょろちょろ ついて 来る アクア が 、ちょっと 尊敬 の 眼差し を 交え ながら 感嘆 の 声 を 上げた 。
「ねえ 、あの 咄嗟 の 言い訳 とか 、なんで そんなに 手際 が いい の ? こんなに できる 男 な 感じ な のに 、 なんで 彼女 も 友人 も いない 引き篭もり の オタク だった の ? なんで 毎日 閉じ篭もって ヒキニート なんか やって た の ?」
「彼女 や 友人 が いない の は 別に 悪い 事 じゃ ない 。 友人の 数 や 恋人の 有る 無し で 人の 価値 は 計れ ない 。 あと ヒキニート は 止めろ クソビッチ 。 引き篭もり と ニート を 足す な 、俺 は まだ 十六 歳 だ 。 世間 で 言えば まだ ニート 呼ばわり さ れる 年 じゃ ない 。 …… あそこ か 」
クソビッチ 呼ばわり された アクア が 首を 絞めて くる が 、それを 無視し 、冒険者 ギルドに 入って いく 。
──冒険者 ギルド ──
ゲームに 必ず 出てくる 、冒険者に 仕事を 斡旋したり 、もしくは 支援したり する 組織 。
つまり 異 世界 の ハロワ的 な 存在 だ 。
そこは かなり 大きな 建物で 、中から は 食べ物の 匂いが 漂っていた 。
中には きっと 、荒くれが いる のだろう 。
新参者を 見て 、いきなり 絡んでくる かも 知れない 。
そんな 覚悟を しながら 中に 入ると …… 。
「 あ 、 いらっしゃい ませ ー 。 お 仕事 案内 なら 奥 の カウンター へ 、 お 食事 なら 空いてる お 席 へ どうぞ ー !」
短髪 赤毛 の ウェイトレス の お姉さん が 、愛想 よく 出迎えた 。
どことなく 薄暗い 店内 は 、酒場 が 併設 されている 様 だ 。 そこかしこに 鎧を 着た 連中が たむろしている が 、特に ガラの 悪そうな 人は 見当たらない 。
だが 、やはり 新参者は 珍しい のか やけに 注目を 集めている 。
……と 、俺は その 原因に 気がついた 。
「ねえねえ 、いやに 見られてる んですけど 。 これ って アレ よ 、きっと 私 から 滲み出る 神 オーラ で 、女神 だって バレて る んじゃ ない かしら 」この すっと ぼけた 事 を 言う 女神 の 容姿 。 黙って いれば 美少女 な こいつ が 目 を 惹いて いる のだろう 。
とりあえず 視線 は 無視 して 、当初 の 目的 を 遂行 しよう 。
「…… いい か アクア 、 登録 すれば 駆け出し 冒険者 が 生活 できる 様 に 色々 チュートリアル して くれる の が 冒険者 ギルド だ 。 冒険 支度 金 を 貸して くれたり 、駆け出し でも 食って いける 簡単な お仕事 を 紹介して くれ 、オススメ の 宿 も 教えて くれる はず 。 ゲーム 開始 時 は 大概 そんな もん だ 。 本来 なら 、この 世界 で 最低限 生活 できる 物 を 用意 して くれる って お前 の 仕事 だ と 思う んだ けど ……。 まあ いい 。 今日 は 、ギルド へ の 登録 と 装備 を 揃える ため の 軍資金 入手 、そして 泊まる 所 の 確保 まで 進める 」
「知らない わ よ そんな もの 。 私 の 仕事 は 、死んだ 人 を この 世界 に 送る 事 だ もの 。 でも 、分かった わ 。 ゲームは 知らない けど 、こういった 世界で の 常識 や お約束 って ヤツ ね 。 私も 冒険者として 登録すれば いい の ね ?」
「そういう 事だ 。 よし 、行こう 」
俺 は アクア を 引き連れ 、真っ直ぐ カウンター へ と 向かう 。
受付 は 四 人 。
その 内 二 人 は 女性 職員 。
俺 は その 女性 職員 の 内 、より 美人 な 方 の 受付 の 列 に 行く 。
「……ねえ 、他の 三つ の 受付 が 空いてる のに 、何で わざわざ ここに 来た の ? 他なら 待たなくて も いい のに 。 ……あ 、受付 が 一番 美人 だ から ね ? 全く 、ちょっと 頼りがい が ある と 感心した 矢先に これ ですか ?」
俺 の 後 に くっ付いて きた 何も 分かって いない アクア に 、俺 は 小さな 声 で 教えて やった 。
「ギルド の 受付 の 人 と 仲良く なって おく の は 基本 だ 。 そして 、美人 な 受付 の お姉さん とは 色々な フラグ が 立つ 。 今後 、あっと 驚く 隠し 展開 とか が 待ってる 訳 だ 。 お姉さん が 、元 は 凄腕 冒険者 だった 、とか な 」
「……そう いえば 、漫画 とか でも そういった 話 を 聞いた 事 が ある わ ね 。 ごめん ね 、素直に ここに 並んで おく ね 」