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三姉妹探偵団 3 珠美・初恋篇, 三姉妹探偵団 3 Chapter 14

三 姉妹 探偵 団 3 Chapter 14

14 女 の 影

「 命拾い ね 」

と 、 夕 里子 が 言った 。

「 うん ……」

「 あんた 、 国 友 さん に 感謝 し なさい 」

「 うん ……」

「 いい んだ よ 。

もともと 、 僕 の 不注意だった んだ から 」

と 、 国 友 が 言う 。

「 うん ……」

珠美 は 、 しおらしく うつむいて ── いた わけで は なかった 。

夕 里子 が 作った カレーライス を 、 猛烈な 勢い で 平らげて いて 、 返事 どころ じゃ なかった のだ 。

もちろん 、 佐々 本家 の 食堂 である 。

「── ああ 、 生き返った !

三 杯 目 を ペロリ と 平らげ 、 珠美 は 、 息 を ついた 。

「 呆れた 。

胃 を こわす わ よ 」

「 死ぬ より いい でしょ 」

珠美 は 、 ワーオ と 大 欠 伸 を して 、「 顔 、 洗って 来 よ 」

と 、 立って 行く 。

「── いい わ ねえ 末っ子 って 」

と 、 夕 里子 が ため息 。

「 私 は お 姉さん の こと が 心配で 食欲 ない って いう のに 」

「 いや 、 珠美 君 だって 心配 して る さ 。

ただ 、 それ を ストレートに 表わさ ない だけ だ 。 そういう 世代 な んだ よ 」

「 何だか 私 が 凄く 年寄り みたい 」

と 、 夕 里子 は 国 友 を にらんだ 。

「── だけど 、 本当に ありがとう 」

「 職務 だ よ 」

「 あら 、 私 の ため に 頑張って くれた の か と 思った わ 」

「 それ も ある けど ね 」

国 友 は 大真面目に 言った 。

「 しかし 、 運 が 良かった んだ 。 客 の 一 人 が 、 あの 騒ぎ の 後 、 珠美 君 を 運んで 行く 車 を 見て 、 ナンバー を 憶 えて て くれた んだ から ね 」

「 天 は 我 を 見捨て ず 、 だ わ 」

夕 里子 は 十字 を 切った 。

「 アーメン 」

「 何だか いい加減な 感謝 の 祈り だ ね 」

「 いい の 。

全部 の 神様 に お 礼 を 言った から 」

と 、 夕 里子 は 涼しい 顔 で 言った 。

「── ああ 、 サッパリ した !

と 、 珠美 が 戻って 来る 。

もちろん 、 ごく 普通の 服 に 着替えて いた 。

「 井口 と 草間 由美子 を 、 うんと 絞り 上げて やら なきゃ な 」

と 、 国 友 は 言った 。

「 ああ 、 そう だ 。 珠美 君 」

「 何 です か ?

「 君 、 気 を 失う とき 、 何だか 変な こと 言った よ 」

「 私 が ?

何て 言った か な 」

「『 全部 は いや よ 、 全部 は 』 って 。

── どういう 意味 だい ? 「 私 、 そんな こと 言った ?

と 、 珠美 は とぼけた 。

「 きっと 混乱 して 、 わけ の 分 ら ない こと を 口走った の よ 」

「 そう か 。

なら い い んだ が 」

「 だけど 、 珠美 ──」

と 、 夕 里子 が 言った 。

「 カレー は もう いら ない 」

「 そんな こ と 言って ない わ よ 。

── 小峰 さん は 、 自分 で 『 殺さ れる かも しれ ない 』 と 言った の ね ? 「 うん 。

でも 、 それ 以上 は 何も 言わ なかった 。 ── あの お じいさん は 、 割と いい 人 の ようだった けど 。 助かり そうな の ? 「 今夜 一杯 もてば 、 何とか なり そうだ と 言って た よ 」

「 そう 。

良かった 。 ── 勇一 の 奴 に も 、 一 度 会わ せて やり たい もん ね 」

「 その 勇一 も 行方 不明 よ 」

「 どこ に いる んだろう ?

もう 夜 でしょ ? 「 七 時 過ぎ よ 」

「 寒い だろう なあ ……」

急に 、 低い 呟き に なって 、 珠美 は 、 表 の 方角 へ と 目 を やった ……。

「 そう だ な 。

今日 は もう ずいぶん 寒い 。 雪 に でも なり そうな 雲 だった よ 」

「── ねえ 」

と 、 夕 里子 は 言った 。

何 か を 思い 付いた とき 、 いつも 夕 里子 は 目 を 輝か せて いる 。

「 うん ?

「 勇一 が 見つかる かも しれ ない 」

「 どこ で ?

と 、 珠美 が 言った 。

「 病院 よ 」

国 友 が 、 ゆっくり と 肯 いて 、

「 そう か 。

── あいつ も 、 小峰 が 重体 な の は 知って る 。 一 度 は 会い に 行く かも しれ ない ……」

「 きっと 行く わ よ !

珠美 が 、 ピョン と 飛び はねる ように 立ち上った 。

「 ね ! 私 たち も 行こう よ 、 早く ! 「 そう ね 。

だけど ──」

と 、 夕 里子 が ためらって 、「 もし お 姉さん が 連絡 して 来たら ……」

「 連絡 できる って こと は 、 放っといて も 大丈夫 って こと よ !

ほら 、 早く 仕度 して ! 「 分 った わ よ 」

夕 里子 は 、 珠美 が アッという間 に コート を 着て 玄関 へ 出て 行く の を 見て 、「 学校 に 行く とき 、 あれ ぐらい の スピード で やって くれる と 楽な のに ね 」

と 言った 。

── 病院 は 、 もう 夜中 だった 。

いや 、 時間 的に は 、 三 人 が 着いた とき 、 やっと 、 八 時 に なった ばかりだった が 、 もう 明り が 消えて いる 病室 も 結構 あった 。

「 や あ 、 刑事 さん 」

若い 医師 が 、 国 友 を 見て 、 やって 来た 。

「 度々 すみません 」

と 、 国 友 は 言った 。

「 どう です か 、 小 峰 の 具合 は ? 「 良く も 悪く も ない 、 と いう ところ です ね 」

と 、 医師 は 首 を 振った 。

「 危険 を 脱した わけで は ない んです が 、 ここ まで 落ちついて ます から 、 一応 希望 は 持て ます 」

「 どうも 、── 病室 へ 入って も ?

「 いい です よ 。

ロック コンサート でも やら なきゃ ね 」

ユーモア の ある 医師 だ 。

夕 里子 は 、 つい 微笑んで いた 。

「 行こう 」

と 、 国 友 が 、 二 人 を 促す 。

廊下 を 少し 行く と 、 ドア の 一 つ が 開いて 、 若い 男 が 出て 来た 。

「 刑事 だ よ 」

と 、 国 友 が 夕 里子 に 言った 。

「 おい 、 どう だ ? 「 あ 、 国 友 さん 」

ウーン と 伸び を して いた 若い 刑事 は 、 あわてて 、 手 を おろした 。

「 変り ない か ?

「 今 の ところ は 。

犯人 の 手がかり は ? 「 拳銃 を 洗わ せて る が 、 時間 が かかり そうだ 」

「 そう です か 。

── 入り ます か ? 「 いや 、 後 で 覗く よ 」

「 じゃ 、 ちょっと 手 を 洗って 来 ます んで ──」

「 ああ 、 見て る よ 」

「 すみません 」

若い 刑事 が 歩いて 行く 。

「── 一 階 じゃ ない 方 が 良かった な 」

と 、 国 友 は 言った 。

「 窓 から 入ら れる 」

「 でも 、 まさか ──」

「 入院 の とき は 、 それ どころ じゃ なかった から ね 」

「 国 友 さん 」

と 、 夕 里子 は 言った 。

「 もし 犯人 が 、 また 小 峰 を 殺し に 来たら ? 「 それ は ある まい 」

と 、 国 友 は 言った 。

「 それ こそ 自殺 行為 だ よ 。 特に 、 小 峰 の 容態 も 、 まだ 危 い わけだ 。 そんな とき に ──」

「 そう ね ……」

と 、 夕 里子 が 肯 く 。

「 何 だい 、 気 に なって る こと が ある らしい な 」

「 有田 信子 を 殺した 人間 と 、 小峰 さん を 撃った の は 、 同じ 人 じゃ ない か と 思った の 」

「 しかし 、 二 人 が 親子 だ と いって も 、 両方 を 殺す 動機 の ある 人間 が いる かい ?

財産 の 問題 でも 、 有田 信子 は 、 そんな もの 、 欲し がって も い なかった だろう 。 却って 有田 信子 が 殺さ れた ばかりに 、 孫 の 存在 が 明るみ に 出た わけだ し 」

「 そう 。

それ に 小峰 さん と 、 有田 信子 の 殺さ れた 現場 ── あの 中学校 と は 全く 無縁だ もの ね 」

「 うん 、 そう だ 」

「 それ でも 、 同じ 犯人 って こと 、 あり 得る と 思う の 」

夕 里子 の 言葉 に 、 国 友 が 戸惑って いる とき だった 。

「 しっ !

と 、 珠美 が 言った 。

「 ねえ ! 「 どうした の ?

「 静かに ──」

珠美 は 声 を 低く した 。

「 今 、 中 で 足音 が した の よ 」

「 足音 ?

確かに ? 「 もしかしたら ……」

珠美 は 、 病室 の ドア に 手 を 伸し 、 サッと 開けた 。

正面 に 、 勇一 が いた 。

小 峰 の ベッド の わき に 立って いる 。

中 は 薄暗かった 。

廊下 の 明り を 受けて 、 勇一 は ハッと した 。

そして 、 勇一 は 、 正面 の 窓 へ と 駆けて 行った 。

「 待って !

と 、 珠美 が 駆け 出す 。

窓 に 向 って 。

── しかし 、 間に合わ なかった 。

勇一 は 、 窓 を 開けて おいた らしい 。

一瞬 の 内 に 、 窓 から 外 へ 、 飛び出して いた 。

珠美 は 、 窓 へ 駆け寄る と 、「 私 よ ! と 、 身 を 乗り出して 叫んだ 。

「 待って !

勇一 が ダダッ と 駆け 出して 病院 の 前庭 の 芝生 を 、 突っ切って 行く 。

「 おい !

待て ! 国 友 が 、 窓 から 転 り 出た 。

「 話 が ある んだ ! しかし 、 国 友 の 呼びかけ に も 、 勇一 は 足 を 止め なかった 。

勇一 が 、 芝生 の 真中 を 駆けて いく 。

その とき ──。

バン 、 と 鋭く 短い 音 が 、 夜 の 空気 を 貫いた 。

「 キャッ !

と 、 珠美 は 叫んだ 。

銃声 !

そして ── 勇一 が 芝生 に 倒れた のである 。

「 撃た れた わ !

「 ど いて !

夕 里子 が 、 後 を 追って 、 窓 から 転 り 出る と 、 珠美 も 負けて い られ ない 。

エイッ 、 と 思い切って 頭から 外 へ ダイビング 。

首 の 骨 は 折ら なかった が 、 したたか お 尻 を 打って 顔 を しかめた 。

── やっとこ 立って 、 芝生 の 方 を 見る と 、 夕 里子 の 姿 しか なかった 。

「── お 姉ちゃん !

あの 子 は ? と 駆け寄って 行く 。

「 い ない わ 。

逃げた みたい 」

と 、 夕 里子 は 、 周囲 を 見 回した 。

「 頭 を 下げて 。 また 弾丸 が 飛んで 来る と 大変じゃ ない の ! 「 だけど ──」

「 見なさ い よ 」

夕 里子 は 、 芝生 の 上 に かがみ 込んだ 。

水銀 灯 の 青白い 光 が 、 芝生 を 照らし 、 そこ に 、 黒 っぽい 点々 が ……。

「 これ ── 血 だ わ !

珠美 が 青く なった 。

「 撃た れた の よ 。

国 友 さん は 銃声 の した 方 を 調べて る 」

「 急いで あいつ を 捜さ なくちゃ !

「 そう ね 。

でも 、 向 う が 出て 来る 気 に なら ない と 、 むずかしい かも 」

二 人 が 話して いる と 、 国 友 が 駆けて 戻って 来た 。

「 大丈夫 か ?

「 私 たち は ね 」

夕 里子 が 肯 く 。

「 でも ── これ を 」

「 血痕 じゃ ない か !

国 友 は 、 通り へ 目 を やった 。

「 言う こと を 聞か ない んだ から 、 全く ! 「 銃声 の 方 は ?

「 車 の 中 から 撃った らしい 。

充分に 狙える 位置 だった から ね 。 一 発 撃って 、 そのまま 逃げた らしい よ 」

「 あの 子 を 狙った の かしら ?

「 この 明る さ だ から な 。

見 間違い は ない だろう 」

「 じゃ 、 犯人 も 、 勇一 が ここ へ 来る と 読んで た の ね 」

「 もっと 早く 来る んだった !

と 、 珠美 が 悔し げ に 言った 。

「 国 友 さん !

若い 刑事 が 駆けて 来る 。

「 すみません ! 「 いや 、 君 は 病室 へ 戻って ろ 」

国 友 が 厳しく 言った 。

「 小 峰 の そば を 離れる な 」

「 分 り ました 」

若い 刑事 が 戻って 行く と 、 国 友 たち は 、 血痕 を 追って 歩き 出した 。

しかし 、 ついて 歩けた の は 、 ほんの 数 十 メートル 。

血痕 は プッツリ と 切れた 。

「 タクシー でも 拾った か な 」

と 、 国 友 が 首 を 振った 。

「 早く 手当 し なきゃ 」

珠美 は 気 が 気 で ない 。

「 行き ましょう 」

と 、 夕 里子 が 言った 。

「 どこ へ ?

国 友 が 夕 里子 を 見た 。

「 何 か 、 あて が ある んだ ね ? 「 私 の 直感 。

── 今 は 信じて 、 ついて 来て ちょうだい 」

夕 里子 は そう 言って 、 通り かかった タクシー を 自分 で 停めた 。

「 どこ へ 行く ん だい ?

と 、 乗り 込んで 、 国 友 が 言った 。

「 場所 は 知ら ない の 」

と 、 夕 里子 が 言った 。

「 丸山 先生 の 家 。 国 友 さん 、 知って る でしょ ? 「 ああ 。

しかし ──」

国 友 は 、 何 か 言い かけて 、「 OK 。

おとなしく ついて 行こう 」

と 、 運転手 に 道順 を 説明 した 。

タクシー は 夜 の 町 を 駆け抜けて 行く 。

外 は 木 枯 し が 強く なって いた 。

「── 何 か 分 り ました んでしょう か 」

丸山 の 未亡人 は 、 何となく 気 の ぬけた ような 表情 で 座って いた 。

昨日 、 葬儀 を 終えた ばかりだ 。

一種 の 虚 脱 状態 に あって も 無理 は ない 。

「 いや 実は ……」

国 友 と して も 、 やって は 来た が 、 どう 訊 いた もの やら 分 ら ない 。

居間 の ソファ の 、 端 の 方 に かけて いた 夕 里子 が 、 思い切った ように 身 を 乗り出した 。

「 あの ── こんな こと を 申し上げたら 、 お 気 を 悪く さ れる でしょう けど 」

「 は あ ……」

未亡人 は 当惑 した 顔 で 夕 里子 を 見た 。

「 ご 主人 ── 丸山 先生 は 、 テスト の 問題 を 、 前もって ある 生徒 に 教えて いた んじゃ あり ませ ん か ?

相手 の 顔 が こわばった 。

「 何て こと を ──」

「 お 願い です 。

本当の こと を 教えて 下さい 。 先生 を 殺した 犯人 は 、 他 に も 人 を 殺して いる かも しれ ない んです 。 逮捕 が 遅れたら 、 また 誰 か を 殺す かも しれ ない 。 ── 現に 今 も 一 人 が 撃た れて 重体 です 。 どう か 本当の こと を ──」

「 主人 が どうして そんな こと を し なきゃ なら ない んです ?

「 お 金 の ため です 。

問題 を 売って いた んです 」

夕 里子 は たたみかける ように 言った 。

「 それ に 、 丸山 先生 に は 恋人 が いた でしょう 」

「 おい ──」

国 友 が さすが に 心配に なって 、 止めよう と した 。

未亡人 が 真 青 に なって 、 今にも 夕 里子 を 殴り つける か と 思えた から だ 。

しかし ── 未亡人 は 、 しばらく する と 、 ふっと 体 の 力 を 抜いて 、 肩 を 落とした 。

怒り も 、 消えた ようだった 。

「 あなた の 言う 通り だ わ 」

と 、 未亡人 は 言った 。

「 主人 は …… とても 真面目で 、 正直な 人 だった 。 気 が 弱くて 、 そんな 、 試験 問題 を 売る なんて こと 、 自分 じゃ 考え も し なかった わ 」

「 それ は 私 も そう 思い ます 」

と 、 夕 里子 が 肯 いた 。

「 その 女 が 、 ご 主人 を 操って いた んじゃ あり ませ ん か ? 「 そう 。

その 通り な の よ 」

未亡人 は 、 夕 里子 の 言葉 に 飛びつく ように 、「 総 て は あの 女 が 現われて から 、 狂って しまった んだ わ 」

「 それ じゃ ── 草間 由美子 が 」

と 、 珠美 が 言った 。

「 お 葬式 の とき 、 にらんで た でしょう 」

「 ええ 。

あの 女 。 ── 私 は 名前 も 知ら なかった けど 、 あの 女 だ わ 」

「 草間 由美子 か ……」

国 友 は 首 を 振った 。

「 しかし 、 なぜ 彼女 が ──? 「 彼女 は 小峰 家 で は 、 どういう 立場 な の ?

と 、 夕 里子 が 国 友 に 訊 いた 。

「 自分 で は 、 小 峰 の 身の回り の 世話 を して いる と 言って た が ……。

まず 、 愛人 と いう 立場 だった んじゃ ない か な 」

「 でも 一方 で は 、 秘書 の 井口 と も 手 を 組んで いた はずだ わ 」

「 うん 。

しかし ……」

「 奥さん 」

と 夕 里子 は 未亡人 の 方 へ 向いて 、「 ご 主人 が 、 試験 問題 を 売って いた 相手 を 、 ご存知 です か ?

「 さあ ……。

何 人 か いた ようです けど ね 。 でも 名前 まで は 分 ら ない わ 」

と 、 未亡人 は 首 を 振った 。

それ から 不安 げ に 国 友 の 方 を 見て 、

「 この こと が 新聞 なんか に 出る んでしょう か ?

と 訊 いた 。

「 さあ ……。

それ は 何とも ──」

「 死んだ 後 に なって 、 そんな こと を 書き 立て られたら 、 主人 も 悲しむ と 思い ます 。

何とか 、 公 に なら ない ように して 下さい ませ ん か 。 ── お 願い し ます 」

と 、 頭 を 下げる 。

もちろん 、 その 気持 は 分 ら ないで も ない 。

生徒 に 、 金 を 取って 問題 を 教えて いた と なる と 、 学校 側 と して も 見すごして は おけ ない だろう 。

未亡人 に とって は 、 退職 金 の 問題 など 、 生活 が かかって いる のである 。

「 極力 、 努力 は し ます 」

と 、 国 友 は 答えた 。

「 それ 以上 の こと は お 約束 でき ませ ん が ……」

未亡人 は それ 以上 何も 言わ なかった 。

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