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三姉妹探偵団 3 珠美・初恋篇, 三姉妹探偵団 3 Chapter 05

三 姉妹 探偵 団 3 Chapter 05

5 ライバル

「 変だ なあ ……」

夕 里子 は 、 首 を かしげた 。

待ち合せ の 喫茶 店 で 、 首 を かしげて いる と いって も 、 相手 が 約束 の 時間 に 現われ ない と いう ので は ない 。

まだ 、 約束 の 五 時 に は 十五 分 ほど あった 。

会い たく ない 相手 と いう わけで も ない 。

いや 、 むしろ 大いに 会い たい 相手 で ── 国 友 と 待ち合せて いる のだ 。

で は 何 が 変な の か ?

学校 で 最後 の 授業 が 終り 、 片 瀬 敦子 と 帰り 仕度 を して いる と 、 事務 の 女性 が 、

「 佐々 本 さん 、 電話 よ 」

と 、 呼び に 来た のだった 。

「── や あ 、 夕 里子 君 か 」

国 友 は いやに 楽し げだった 。

「 今日 、 帰り に 会え ない か な 」

「 いい けど ……。

仕事 は いい の ? まだ あの 事件 を 調べて る んでしょ ? 「 うん 、 実は ね 、 その 件 で 、 例の 問題 を 作った 数学 の 教師 と 会う こと に なって る んだ 」

「 じゃ 、 その後 に ?

「 いや 、 君 も 興味 ある だろう と 思って さ 。

同席 しちゃ どう だい ? 夕 里子 は 面食らった 。

「 そりゃ 構わ ない けど ……。

でも 、 いい の 、 私 なんか が 一緒で ? 「 うん 。

ぜひ 一緒に いて ほしい んだ 」

── 変だ わ 、 と 夕 里子 が 思った の も 分 る だろう 。

国 友 は 、 夕 里子 を 事件 に 巻き 込む の を 嫌って いる のである 。

夕 里子 が 首 を 突っ込もう と する と 却って 怒る 。

もちろん 、 夕 里子 の 身 に 危険 が 及ぶ の を 心配 して の こと だ 。

それなのに 、 今日 に 限って 、 自分 の 方 から 、 一緒に 話 を 聞いたら 、 と 言い 出した のだ から ……。

夕 里子 が 首 を ひねる の も 分 る と いう もの である 。

「 いらっしゃい ませ 」

店 の ウェイトレス の 声 に 、 夕 里子 は 入口 の 方 を 向いた 。

国 友 で は ない 。

でも 、 もしかしたら 、 これ が 例の 数学 教師 か な 、 と 思った 。

いかにも 教師 らしい タイプ の 男 な のである 。

年齢 は 四十 前後 か 。 地味な 背広 に ネクタイ 、 メガネ 、 少し 禿げ 上った 頭 ……。

いや 、 夕 里子 は 、 もしかしたら 一 度 や 二 度 、 この 顔 を 見て いた の かも しれ ない 。

母親 代り に 、 珠美 の 中学校 の 父母 会 へ 出た こと が ある から だ 。

その とき に 、 目 に して いた と したら 、 何となく 目 を ひか れて も 当然だろう 。

いささか くたびれた 革 鞄 を 持って いる の も 、 教師 らしい 印象 を 与えた 。

店 の 中 を キョロキョロ と 見 回し 、 どうやら 待ち合せた 相手 が 来て い ない らしい と 知る と 、 ホッと した ような 顔 に なる 。

そして 、 入口 が 見える 席 に 、 落ちつか ない 様子 で 腰 を おろした 。

あと 十二分 。

── 国 友 さん 、 時間 通り に 来る の か な 、 と 夕 里子 は 表 に 目 を やった 。

若い 女性 が 一 人 、 せかせか と 歩いて 来る 。

濃い えんじ の オーバー を 着 込んで 、 寒 そうに 首 を すぼめて 。 ── まあ 、 確かに 風 も 冷たい の は 事実 だ けれど 、 まだ 五 時 で 、 外 は うっすら 明るい 。 よほど の 寒 がり なんだろう 、 と 思った 。

その 女性 、 喫茶 店 の 方 に は 目 も くれ ず に 、 夕 里子 の 目の前 を 通り 過ぎた と 思う と ── クルッ と 向き を 変え 、 入口 の 自動 扉 が 開く の も もどかしい 様子 で 、 中 に 入って 来た 。

「 いらっしゃい ませ 」

と 声 が 飛ぶ 。

店 の 中 の 暖か さ で ホッと した の か 、 肩 が 落ちて 、 力 が 抜けた 。

へえ 、 と 夕 里子 は 思った 。

なかなか の 美人 である 。

よく 見る と そう 若く も なくて 、 たぶん 三十 に は なって いる だろう 。

でも 、 どことなく 派手な 印象 が あって 、 若く 見せて いる のだ 。

おや 、 と 思った の は 、 その 女性 が 、 つい 今しがた 入って 来た 、 あの 教師 らしい 男 の 方 を 見て いた から だった 。

予め 、 いる こと を 知って いた 、 と いう 目つき だ 。

二 人 の 視線 が 、 ほんの わずかの 間 だ けど 、 出会って 、 女 の 方 が 、 ちょっと 微笑んで 見せた 。

待ち合せた 相手 は この 女 だった の か 、 と 思う と ── 女 は 、 さっさと 他の 席 に 座って しまった 。

変だ な 、 と 夕 里子 は 、 また 何となく 思った のである 。

国 友 が やって 来た の は 、 約束 の 五 時 に 、 五 分 前 だった 。

夕 里子 は 、 国 友 が 隣 の テーブル に つく の を 見て 、 知らん顔 を する こと に した 。

その辺 は 慣れて いる から 、 臨機応変 に 対応 できる のである 。

国 友 は 、 寒 そうに 手 を こすり 合せて 、 ココア を 注文 した 。

「 それ から ──」

と 、 ウェイトレス へ 、「 丸山 って 人 が 来たら 、 教えて くれ ない か 」

大きな 声 が 、 店 の 中 に 響いて 、 あの 、 教師 らしい 男 が ギクリと する の が 分 った 。

もちろん 国 友 とて 刑事 の はしくれ である 。

店 に 入った とき から 、 あの 男 の こと は 目 に 止めて いた に 違いない のだ 。 ただ 、 気付か ない ふり を して 、 相手 を こっち の 席 へ 呼ぶ つもりな のだ 。

男 は 、 そろそろ と 立ち上る と 、 国 友 の 方 へ やって 来て 、

「 国 友 さん です か 」

と 声 を かけた 。

「 は あ 。

── あ 、 丸山 さん で ? 「 そうです 」

「 これ は 失礼 し ました !

いや 、 遅れて みえる と いう お 話 でした ので 、 気 が 付き ませ ん で 」

「 いえ ── 用事 が 早く 終った ので ……」

「 そう です か 。

じゃ 、 どうぞ お かけ 下さい 。 君 ! そこ の コーヒー を ここ へ 持って 来て ! と 、 国 友 が ウェイトレス へ 呼びかける 。

隣 の テーブル だ から 、 夕 里子 も ちゃんと 話 を 聞ける 。

── 国 友 さん 、 なかなか やる じゃ ない 、 と 夕 里子 は 、 そっぽ を 向き ながら 、 内心 に や にやして いた 。

丸山 は 、 国 友 と 向かい合った 席 に 腰 を おろした 。

「 ご 足 労 いただいて 恐縮 です 」

国 友 は 身分 証明 書 を 見せて 、「── いや 、 今度 の 件 で は 、 こちら も 困って いる んです よ 、 正直な ところ 」

「 私 ども と して も 、 大変 迷惑な こと で ──」

「 いや 、 全く です 。

手がかり 一 つ つかめ ない ので は 、 お 詫び する しか あり ませ ん 」

国 友 が 、 ポケット から 、 例の 問題 の コピー を 出して 、 テーブル に 広げた 。

「 これ は 先生 が 作った もの です ね 」

いきなり 本題 に 入る 。

丸山 は 、 ちょっと たじろいだ ようだった 。

「 ええ ……。

そ の ようです 」

と 、 曖昧な 口調 で 言った 。

「 確かです ね 」

と 、 念 を 押さ れて 、 何しろ 手書き である 、 否定 する わけに も いか ない と 思った の か 、

「 そうです 」

と 、 渋々 肯 いた 。

「 これ が 、 殺さ れた 有田 信子 の バッグ に 入って いた んです よ 」

「 聞いて い ます 」

と 、 丸山 は 言って 、 コーヒー を 飲んだ 。

「── どういう こと か 、 全然 見当 も つき ませ ん よ 」

「 これ は 、 いつ 作ら れた んです か 」

「 ええ と ……。

たぶん 一 週間 ぐらい 前 じゃ ない か な 」

「 はっきり 分 り ませ ん か 」

「 どうも ねえ 」

と 、 首 を ひねる 。

「 ともかく 年中 、 似た ような もの を 作って る わけです から 」

「 なるほど 」

国 友 は 肯 いた 。

「 しかし 、 これ が 有田 信子 の バッグ に あった の は 事実 です 。 と いって 、 彼女 の 子供 は 、 あの 中学 に 通って い ない 」

「 ええ 、 それ も 知って い ます 」

「 息子 を ご存知 でした か ?

「 勇一 と か いう 名 だ そうです ね 。

私 も 教えた こと が ある の かも しれ ない が 、 全然 憶 えて い ませ ん 」

「 なぜ 、 この コピー が 有田 信子 の バッグ に 入って いた か 、 お 考え は あり ませ ん か 」

「 一向に 」

と 、 丸山 は 首 を 振った 。

「 そう です か 」

国 友 は 、 ちょっと 間 を 置いて 、「── 問題 を こう やって 作る と 、 どこ へ 渡す んです か 」

「 それ は ── まあ 、 事務 の 方 です ね 。

そこ で きちんと タイプ して もらって 、 刷る わけです 」

「 タイプ が 終る と 、 その 原稿 は どう なり ます ?

「 色々です ね 。

先 に 返して もらう 場合 も ある し 、 こっち が い ない と 、 後 で 印刷 した テスト の 用紙 と 一緒に 返って 来る こと も あり ます 」

「 この 場合 は どっち でした ?

丸山 は 肩 を すくめて 、

「 憶 えて い ませ ん ね 。

何しろ 教師 と いう の は 雑用 が 多い んです よ 」

「 そう でしょう ね 」

と 、 国 友 は 肯 いて 、「 ところで 、 やはり 数学 の 問題 が 、 生徒 の 鞄 から 見付かった こと が あり ます ね 」

「 ああ 、 佐々 本 です ね 」

「 そう でした 。

そんな 名前 でした ね 。 ── あれ も 先生 の 作った 問題 でした ね ? 「 そうです 」

と 、 丸山 は 、 ちょっと 不安 そうに 、「 それ が どうした と おっしゃる んです ?

「 いや 、 偶然に して は 妙だ と 思った もの です から 」

と 、 国 友 が 言う と 、 丸山 は 、

「 あれ は もう 処理 が 済んで ます よ 」

と 、 強い 口調 で 言った 。

「 佐々 本 が 認めて 、 停学 処分 に なった はずです 」

「 認めた 、 と は ──?

「 もちろん 、 問題 を 盗んだ こと です よ 」

「 それ は 変だ 。

私 が 当った ところ で は 、 当人 は 否定 して いた ようです が 」

「 一応 口 じゃ そう 言って る だけ でしょう 、 大体 、 佐々 本 と いう 子 は 、 問題 の ある 生徒 な んです 」

「 ほう 。

どんな 風 に ? 国 友 は 、 何 食わ ぬ 顔 で 訊 いた 。

「 要するに ── 不良です な 。

つまり 、 一見 おとなし そうで 、 その実 、 色々 悪い こと に 手 を 出して いる と いう 、 一 番 たち の 悪い 生徒 な んです 」

「 は あ 」

── 夕 里子 は 聞いて いて 頭 に 来て いた 。

よっぽど 、 コップ の 水 を 頭から ぶっか け て やろう か と 思った が 、 何とか 我慢 した ……。

「 タバコ 、 酒 は もちろん やって る でしょう 。

男の子 と も 遊んで る ようだ し 、 それ に ともかく 何かと いう と 、 すぐ お 金 の こと を 言う 奴 です 」

最後 の 点 は 、 夕 里子 も 否定 でき ない 。

しかし 、 それ 以外 は ── あんまり ひどい !

「 金 に なる と 思えば 、 どんな こと でも 平気で やる でしょう ね 」

丸山 は 、 調子 に 乗って しゃべって いる 。

国 友 も 、 これ 以上 聞いて いる と 、 丸山 を 殴って しまい かね ない ので 、

「 一 つ 、 うかがい たかった の は です ね ──」

と 、 話 を 変えた 。

「 あの とき 、 突然 、 鞄 の 中 を 調べる こと に なった の は 、 どうして な んです か ? 「 それ は ──」

丸山 は 、 言い淀んだ 。

「 それ は ── 噂 が あった んです よ 、 噂 が 」

「 どんな 噂 です ?

「 そりゃ あ …… 誰 か が 、 問題 の コピー を 盗んだ 、 と いう ……」

「 どこ から 、 そんな 話 が 出た んでしょう ね 」

「 分 り ませ ん ね 」

丸山 は 強く 首 を 振る と 、「 私 は 教師 です 。

いちいち そんな こと に 関り 合っちゃ い られ ませ ん よ 」

と 、 ほとんど 食ってかかる ような 調子 で 言った 。

夕 里子 は 、 さっき 入って 来た 、 えんじ 色 の コート の 女 が 、 立ち上る の を 見た 。

先 に 支払い を 済ませて 、 店 を 出て 行く 。

どうして 先 に 出た んだろう 、 と 夕 里子 は 眉 を 寄せて 考え 込んだ 。

「── で は 、 ちょっと 用事 が ある ので 、 失礼 」

と 、 丸山 が 立ち上る 。

「 こりゃ どうも 。

お 忙しい ところ 、 失礼 し ました 」

国 友 は 無理に 引き止め なかった 。

丸山 が 出て 行く と 、 国 友 は 夕 里子 を 見て 、 ニヤリ と 笑った 。

「 どう だい ?

「 出 ま しょ 」

夕 里子 は 立ち上った 。

「 え ?

「 後 を 尾 ける の 。

説明 する から 」

「 よし 、 分 った 」

国 友 も 、 すぐ に 腰 を 上げる 。

外 に 出る と 、 丸山 が 急ぎ足 で 遠ざかって 行く 後ろ姿 が 見えた 。

「 ついて 行こう 」

と 、 国 友 が 低い 声 で 言った 。

「 何 か 気 が 付いた の ? 「 女 が いた の 」

と 、 夕 里子 は 、 丸 山 から 目 を 離さ ず に 言った 。

「 女 だって ?

夕 里子 が 手短 か に 説明 する と 、 国 友 は 軽く 肯 いて 、

「 そう か 。

良かった 。 君 が 相棒 だ と 心強い 」

「 変な お 世辞 、 やめて よ 」

夕 里子 は ちょっと 国 友 の 方 を にらんで から 、「 でも ── どういう 心境 の 変化 な の ?

と 訊 いた 。

「 何の こと だい ?

「 あんなに 、 私 が 首 を 突っ込む の を いや が って た じゃ ない 」

「 うん ……。

それ が ちょっと ね ── 困った こと に なって る んだ 」

国 友 は 頭 を かいて 、「 君 に 誤解 さ れて も 困る し 、 と いって 危 い 目 に 遭わ せる の も いやだ し ……」

「 誤解 って 何の こと ?

「 実は ね 、 この 前 話 した 杉 下 って いう ──」

「 ああ 。

国 友 さん が ひっぱ たいた 、 って 人 ね ? やっぱり 何 か 言って 来た の ? 「 苦情 なら 、 まだ 良かった んだ けど ね 」

と 、 国 友 が 言った 。

「 どういう こと ?

── 二 人 は 、 丸山 の 姿 を 見失わ ない ように し ながら 、 話して いた のだ が 、 ちょうど 横断 歩道 を 渡ろう と した とき だった 。

「 見付けた !

と 、 甲高い 声 が して 、 国 友 は トン 、 と 背中 を 突か れて 、 飛び上った 。

「 君 か !

「 へ へ 」

と 舌 を 出して ニヤニヤ して いる の は ──。

「 ね 、 今 は 仕事 中 な んだ 。

邪魔 し ないで くれ 」

「 あら 、 女の子 と 楽し げに しゃべって る じゃ ない 。

この 人 、 誰 な の ? と 、 夕 里子 を 見る 。

夕 里子 は 、 ちょっと 呆 気 に 取ら れて いた が 、

「 国 友 さん !

ほら 、 丸山 が 見え なく なっちゃ う 」

「 そう か 。

行こう 」

国 友 と 夕 里子 が 歩き 出す と 、 もう 一 人 の 女の子 も 、 一緒に 歩き 出した 。

「 ねえ 、 何 して ん の ?

誰 を 尾行 して る わけ ? 「 子供 は 邪魔 し ないで 」

と 、 夕 里子 が にらむ と 、

「 子供 って 誰 の こと よ 」

と 、 言い 返した その 少女 、「 私 、 杉 下 ルミ よ 。

あんた は ? 「 杉 下 ……。

じゃ 、 国 友 さん が ひっぱ たいた ──」

「 そう よ 。

あんた この 人 に ひっぱ たかれ たこ と ある ? と 、 得意 げ に 、 ツンと 上 を 向く 。

「 ない わ よ 」

「 暴力 は ね 、 愛 の 表現 な の よ 」

「── 何で すって ?

夕 里子 は 思わず 訊 き 返した 。

「 私 ね 、 この 人 の 愛 の ムチ に しびれちゃ った の !

夕 里子 は 、 丸山 を 尾行 して いた の も 忘れて 、 ポカン と して 国 友 を 見た 。

「 ねえ 、 君 」

国 友 が うんざり した 様子 で 、「 いい加減に して くれ よ 。

僕 の 恋人 は ね 、 この 子 な んだ よ 」

と 言った 。

「 まあ !

杉 下 ルミ は 、 キッ と なって 、「 こんな 男 みたいな 女 の 、 どこ が いい の よ 」

これ に は 夕 里子 も カチン と 来た 。

「 ちょっと あんた 。

それ 、 どういう 意味 ? あんた 中学生 な んでしょ ? 「 中学生 だって 、 女 は 女 。

高校 生 だって 、 ガキ は ガキ よ 」

「 ガキ と は 何 よ !

「 ちっとも 色気 なんか ない じゃ ない 。

私 は ね 、 女 と して 国 友 さん を 愛して る の 」

「 子供 が 何 言って ん の よ 」

「 私 、 国 友 さん と 結婚 する って 決めた の 。

あんた 、 邪魔 よ 。 あっ ち 行って 」

もう 丸山 の 尾行 どころ じゃ ない 。

夕 里子 も カッ と なった 。

「 私 と 国 友 さん は ね 、 何度 も 命がけ で 事件 に ぶつかって 来た 仲 な の よ !

「 それ が どうした の ?

結婚 相手 と 探偵 ごっこ は わけ が 違う わ 」

「 探偵 ごっこ は そっち でしょ !

子供 は お 人形 さん 相手 に して りゃ いい の よ 」

「 フン だ 。

未経験の くせ に 、 私 は もう 女 に なって る んだ から ね 」

国 友 が 、 たまり かねて 、

「 おい 、 いい加減に して くれ よ 」

と 割って 入る 。

「 ともかく 、 今 は 仕事 の 途中 な んだ から ──」

「 そう だ わ !

夕 里子 が ハッと して 、「 丸山 は ?

「 知ら ない よ 。

あっ ち へ 行 っ ち まった 」

「 追い かけ なきゃ !

夕 里子 が 駆け 出す 。

「 おい 、 待って くれ よ 」

国 友 が あわてて 夕 里子 の 後 を 追う と 、 杉 下 ルミ が 、

「 待って 、 私 の 国 友 さん !

と 、 また その後 を 追う 。

── 見失っちゃ った の か な 。

走って 来て 、 夕 里子 は 、 息 を 弾ま せ ながら 、 足 を 止めた 。

ちょうど 、 電車 の ガード 下 。

暗く なった 道 を 、 誰 か が 、 フラフラ と やって 来る シルエット が 見えた 。

酔っ払い か な 、 と 思った 。

── その 相手 が 明り の 中 へ 出て 来た とき 、 夕 里子 は 、 思わず 声 を 上げた 。

丸山 だった 。

── 胸 から 腹 に かけて 、 血 が 大きく 広がって いる 。 びっくり した ように 目 を 見開いて ── そして 、 夕 里子 の 手前 、 数 メートル の 所 まで 来る と 、 バタッ と 倒れた 。

夕 里子 は 、 ハッと した 、 誰 か が 立って いる 。

手 に ナイフ を 持って 、 呆然と した 様子 で 、 影 の 中 から 出て 来た 。

少年 だった 。

── 十五 、 六 の 、 ジャンパー 姿 の 少年 。

「 どうした ん だ !

国 友 が 叫び ながら 駆けて 来る 。

その 声 を 聞いて 、 少年 は 我 に 返った ようだった 。

ナイフ を 投げ 捨てる と 、 ワッ と 一気に 駆け 出した 。

「── 丸山 じゃ ない か 」

国 友 が 、 足 を 止め 、 急いで か が み込んだ 。

「 今 、 走って 行った の は ?

「 分 ら ない わ 。

男の子 よ 。 顔 は 知ら ない けど ……」

国 友 は 、 立ち上った 。

「── もう 死んで る な 」

「 じゃ …… 今 の 男の子 が ?

「 うん 」

国 友 は 、 眉 を 寄せて 、 首 を 振った 。

「 チラッ と 見た だけ だ が 、 あれ は たぶん ──」

「 知って る の ?

「 有田 勇一 だ と 思う 」

「 じゃ 、 殺さ れた 女性 の 息子 ?

「 おそらく ね 。

── 悪い けど 、 一一〇 番 して 来て くれ ない か 。 僕 は ここ を 見て る 」

「 分 った わ 」

夕 里子 が 走り 出そう と する と 、 目の前 に 立った の は 杉 下 ルミ 。

「 邪魔 よ 。 ど いて 」

「 もう いい わ よ 」

「 何 が ?

「 一一〇 番 。

私 、 今 そこ の 電話 ボックス で 、 かけちゃ った 」

と 、 ルミ は 腕組み して 、「 刑事 の 妻 に なる に は 、 これ くらい 機転 が きか なくちゃ ね 」

夕 里子 は 、 国 友 じゃ ない が 、 本当に この 小 生意気な 娘 を ぶん 殴り たく なって 来た ……。

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