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三姉妹探偵団 2 キャンパス篇, 三姉妹探偵団(2) Chapter 07 (1)

三姉妹探偵団(2) Chapter 07 (1)

7 意外な 顔 「 あ 、 綾子 さん ! 」 大学 の キャンパス へ 入って 行く と 、 とたん に 呼びかけ られた 。 石原 茂子 が 、 小走り に やって 来る 。 もう 、 昼 休み に なる ところ で 、 早 目 に 講義 の 終った らしい 学生 たち が 、 ポツポツ と 出て 来て いた 。 「 大変だった わ ねえ ! 新聞 で 見て 、 びっくり しちゃ った 。 けが 、 ない の ? 」 「 私 、 運 が 強い の 」 と 、 綾子 は 微笑んだ 。 「 それ に 心強い ボディガード も いる し ね 」 「 失礼 ね ! 」 夕 里子 は 姉 を にらんだ 。 好きで ついて 来 てる わけじゃ ない の よ ! 「 夕 里子 さん 、 学校 の 方 は いい の ? 何なら 、 彼 に 綾子 さん を ガード して もらう わ よ 」 「 大丈夫です 。 それ に 私 、 こういう こと 、 割と 嫌い じゃ ない んです もの 」 だ から 、 もて ない の よ ね 、 と 心 の 中 で 付け加える 。 「 あ 、 そうだ 。 綾子 さん 、 梨 山 先生 が ね 、 部屋 へ 来 いって 」 「 私 に ? 」 「 私 たち に 、 よ 。 文化 祭 の こと で 、 何 か 言い たい らしい わ 」 「 そう ……」 綾子 は 、 情 ない 顔 で 肯 いた 。 夕 里子 は 笑い を かみ殺して いた 。 ── まるで 叱ら れ に 行く 小学生 みたいだ わ ! 夕 里子 も 、 姉 と ワンセット (? ) と いう こと で 一緒に ついて 、 建物 の 中 へ と 入って 行った 。 こちら は 真 新しい 建物 で 、 中 も 明るい 。 「── 梨 山 先生 の 部屋 って 、 二 階 だった っけ ? 」 と 、 綾子 が 言った 。 「 よく 知って る じゃ ない の 」 「 一 度 行った こと が ある の よ ね 」 階段 を 三 人 が 上り かける と 、 誰 か が 、 ダダッ と 駆け 降りて 来る 足音 が した 。 思わず 足 を 止める 。 「── 危 い ! 」 と 、 夕 里子 が 言った 。 その 人物 は 、 凄い 勢い で 駆け 降りて 来た 。 よく 、 足 を 踏み外して 転落 し ない もん だ 、 と 反射 的に 夕 里子 が 考えた ほど である 。 夕 里子 は 大丈夫だった 。 何しろ 、 運動 神経 も 抜群に いい 。 茂子 も 辛うじて よけ られた 。 問題 は 、 やはり 綾子 だった 。 ポカン 、 と 突っ立って いて 、 駆け 降りて 来る 誰 か を 、 よけ られ なかった のである 。 ただ 、 向 う が 瞬間 的に よけて くれた ので 、 正面 衝突 だけ は 避け られた 。 その代り 、 足 が 払わ れる ような 格好に なって 、 二 、 三 段 上って いた 綾子 は 、 「 キャッ ! 」 と 声 を 上げて 、 引っくり返って いた 。 みごとに スカート が フワリ と 広がり 、 一 回転 。 ── デン 、 と お 尻 を 打って 、 「 痛い ! 」 と 言った 。 「 大丈夫 ? 」 夕 里子 が あわてて 助け 起こす 。 「 ああ ── びっくり した ! 」 「 けが は ? 」 と 、 茂子 が 訊 いた 。 「 別に ……。 それにしても 、 昨日 から 、 ツイ て ない わ 」 「 爆弾 でも 命拾い を したり 、 転んで けが 一 つ して ない の は 、 ツイ てる と も 言える わ 」 「 なるほど 。 考え ようだ わ ね 」 と 、 綾子 は 感心 して 言った 。 「 今 の 誰 だろう ? 」 と 、 茂子 が 首 を 振る 。 「 早 すぎて 、 全然 何も 見え なかった けど 」 「 女 の 人だった わ 、 コート を 着て て 」 と 、 夕 里子 が 言った 。 「 本当 ? 凄い わ ね ! 大した 観察 力 だ わ 」 「 夕 里子 は ね 、 シャーロック ・ ホームズ の 落し 子 な の 」 と 、 綾子 が 珍しい 冗談 を 言った 。 「 じゃ 、 もしかしたら ──」 と 、 茂子 が 呟いた 。 「 え ? 」 「 いえ 。 ── 何でもない わ 。 行き ましょう 」 三 人 は 、 階段 を 上って 行った 。 「── 大学 内 でも 、 制限 速度 を 決めて ほしい わ ね 」 と 綾子 が 言った 。 「 マンション の 方 、 どう な の ? 」 と 茂子 が 訊 いた 。 「 ドア が 壊れた だけ な んです 」 と 、 夕 里子 が 説明 した 。 「 今日 中 に ドア を つけ 直して くれる はずです 。 管理人 に 頼んで 来た んで ……」 「 でも 、 どうして あなた の 所 が ──」 「 スパイ と 間違え られた の かも ね 」 綾子 が 真面目な 顔 で 言った 。 「── 講堂 の 方 は 、 まだ 警官 が いる んです か ? 」 「 ええ 、 今日 一 杯 は 立入 禁止 と かって 、 太田 さん が 言って た わ 」 夕 里子 は 、 さり 気 なく 、 「 私 たち 、 ゆうべ ホテル P に 泊った んです よ 、 ね 、 お 姉さん 」 と 言った 。 夕 里子 の 目 に は 、 茂子 の 表情 が 、 いくぶん 固く なった ように 思えた 。 「 そう だった の 」 「 太田 さん って 人 、 ホテル P で ガードマン を やって らし たん でしょう ? 」 「 ええ 、 そう な の 。 でも 、 勤務 時間 が 不規則だ から いや だって 、 辞めた そう よ 」 茂子 が 、 辞めた 理由 を 、 訊 かれ も し ない 内 に 言う の が 、 何だか 変だ 、 と 夕 里子 に は 思えた 。 ── きっと 、 本当の 理由 を 知っている んだ わ 。 「 太田 さん に 一 度 紹介 して 下さい 」 と 、 夕 里子 は 言った 。 「 素敵な 人 だって 、 お 姉さん から 聞か さ れて ます から 」 「 まあ 、 それ に は ちょっと 異論 ある な 」 茂子 は 笑って 、「 紹介 なんて 、 大げさな こと し なくて も 、 講堂 の 前 に 立って る はずだ わ 」 「 じゃ 、 後 で 見物 に 行こう っと 」 「 何 よ 、 夕 里子 、 その 言い 方 」 と 、 綾子 が たしなめる 。 「 いい わ よ 。 当人 も きっと 喜ぶ わ 。 わざわざ 若い 子 が 見 に 来た と 知ったら 。 ── あっ 、 ここ よ 」 「 ここ が どうした の ? 」 と 、 綾子 が 言った 。 「 梨 山 先生 の 部屋 じゃ ない 」 「 あ 、 そう か 」 ── 頼りない こと 、 夕 里子 は ため息 を ついた 。 ノック して 、 「 失礼 し ます 」 と 、 茂子 が ドア を 開ける と 、 とたん に 、 「 キャッ 、 ハハハ ! 」 と けたたましい 笑い声 が 飛び出して 来て 、 三 人 と も びっくり した 。 「 誰 だい ? 」 と 梨 山 の 声 。 「 石原 です 。 あの ── さっき 呼ば れた ──」 「 ああ 、 そう か 。 入って くれ 」 三 人 が 入って 行く と 、 ミニスカート の 若い 女の子 が 、 梨 山 の 膝 に チョコン と 腰かけて いる 。 「 おい 、 やめ なさい ! 仕事 の 話 が ある んだ から ! 」 梨 山 が 渋い 顔 で 言った が 、 そう 言う そば から ニタニタ して いる のだ から 、 しまら ない 。 「 じゃ 、 また 後 で ね 」 その 女の子 は 、 ヒョイ と 梨 山 の 膝 から 降りて 、 「 バイバイ 」 と 手 を 振った 。 「 次 は ちゃんと レポート を 出せよ 」 「 は あい 」 甘ったれた 声 で 言って 、 教授 室 を 出て 行った が ……。 夕 里子 は 、 アッ と 思った 。 ── ゆうべ 、 ホテル P の 廊下 で 、 裸 で もめて た 女の子 だ ! 「 一 年生 な んだ 。 全く 、 甘ったれ で 困る 」 梨 山 は 、 エヘン と 咳払い した 。 「 あの 、 ご用 は ……」 「 うん 。 他 で も ない が 、 三 日 の 文化 祭 の コンサート は 、 君 たち の 担当 だ そうだ ね 」 「 はい 」 と 茂子 が 答える 。 「 開け そう か ? どう な んだ ? 」 「 殺人 事件 が あって 、 今日 中 は 使え ない んです が 、 明日 から は 大丈夫 と いう こと です 。 何とか やれる と 思い ます 」 「 思い ます 、 じゃ 困る んだ よ 」 梨 山 は 首 を 振った 。 「 予算 も もう 取って ある わけだ 。 もし 中止 に でも なって 、 余ら せて しまう と 、 来 年度 の 予算 を 大幅に 削ら れる こと に なり かね ない 。 ただ で さえ 、 理事 会 の 方 じゃ 、 タレント なんか 招 んで ショー を 開く のに 何 十万 も 出す の は 、 けしからん 、 と いう 意見 も ある んだ 」 「 は あ 」 「 この ところ 、 学校 も 苦しい から ね 。 少し でも 支出 を 減らし たい 、 と いう の が 本音 だろう 。 僕 も 、 学生 たち の ため に 頑張って は いる が 、 理事 会 の 決定 に は 従わ ざる を 得 ない 。 分 って くれる ね ? 」 夕 里子 は 、 聞いて いて 、 馬鹿らしく なった 。 ── 何の こと は ない 。 要するに 責任 逃れ を して おき たい のだ 。 何 か あって 、 コンサート が 中止 に なったら 、 「 だ から 言って おいた じゃ ない か 」 と 言い たい わけだ 。 やれやれ 、 と 夕 里子 は 話 を 聞く 気 に も なれ ず 、 目 を 、 本棚 の 方 へ 向けた 。 どうやら 、 英文 学 の 教授 らしく 、 それ らしい 、 分厚い 本 が 並んで いる 。 開けた こと ある の かしら 、 と 夕 里子 は 思った 。 それにしても 、 あの 女の子 ……。 一 歳 違い か 。 大した もん ね ! 夕 里子 が 短大 に 入った って 、 とても あんな 風 に は なれ ない 。 まあ 、 ああいう こと は 、 学校 と は 関係ない わけだ が 。 あそこ まで アッケラカン と やられる と 、 腹 も 立た ない 。 きっと 、 この 先生 など も 、 鼻 の 下 を 長く して いる んだろう 。 あれ ? 夕 里子 は 、 ふと 、 場違いな 本 の タイトル に 目 を 止めた ……。 「 よろしく 、 って 言って ました よ 」 と 、 夕 里子 は 言った 。 「 憶 えて て くれた んだ なあ 」 太田 は 嬉し そうだった 。 ── お 昼 ご飯 を 、 四 人 で 食べて いた 。 夕 里子 、 綾子 、 石原 茂子 、 太田 の 四 人 である 。 学生 食堂 は 、 大変な 混雑 な ので 、 カレーライス を 皿 ごと 外 へ 持ち出して 、 表 の 石段 に 腰かけて 食べて いる のだった 。 水っぽい カレー も 、 こうして 食べる と 、 結構 旨 い 。 「── 警察 の 調査 の 方 は どう ? 」 と 、 茂子 が 訊 いた 。 「 うん 、 さっき 、 あの 刑事 さん ── 何て いった っけ 。 国 ……」 「 国友 さん です か 」 「 そうそう 。 さっき 顔 を 出して 、 ハッパ を かけて た よ 。 ── いい 人 だ な 、 なかなか 」 「 妹 の 恋人 な んです 」 綾子 が 、 いつも やられて いる お返し を した 。 「 いい でしょ 」 と 、 夕 里子 は 平然と 、「 恋 に 年齢 は あり ませ ん ! とかい って ……。 あ 、 あそこ に いた ! 」 見れば 、 国友 も カレー の 皿 を 手 に 、 外 へ 出て キョロキョロ して いる 。 「 夕 里子 、 行って あげたら ? 」 「 言わ れ なくて も 行き ます よ 、 だ 」 夕 里子 と して は 、 ちょうど 国友 と 話 も し たかった のである 。 「 や あ 、 ここ に いた の か 」 国友 は 笑顔 に なった 。 「 一緒に いかが ? 」 「 いい ね 」 「 食べ 終る まで は 、 二 人 で いま しょ 。 ── そこ に 座って 」 「 なかなか 乙 な もん だ ね 」 「 ハイキング みたい ね 」 二 人 は 、 綾子 たち と 少し 離れて 座った 。 「── 手がかり は つかめた ? 」 と 、 夕 里子 は 訊 いた 。 「 はかばかしく ない ね 」 国友 は 首 を 振った 。 「 どっち も だ 。 黒木 殺し と 、 あの 爆弾 事件 」 「 黒木 の 奥さん は ? 」 「 神 山田 タカシ と ホテル に いた 。 ── 証人 も いる んだ 。 アリバイ は かなり しっかり して いる よ 」 「 黒木 って 人 を 恨んで る に して も 、 あそこ で 殺した 理由 が 分 ら ない わ 」 「 そう な んだ 。 ── それ に 君 の 姉さん を 狙った 理由 も ね 」 「 爆弾 の 方 は ? 」 「 素人 の 手作り らしい 。 そう 精巧な もの じゃ ない ようだ よ 。 ちょっと した 化学 の 知識 が あれば 作れる 、 って こと だった 」 夕 里子 は 、 さっき 行った 梨 山 と いう 教授 の こと が 気 に なって いた 。 あの 本棚 に 、 一 冊 だけ 、 なぜ か 〈 火薬 の 話 〉 と いう 本 が 紛れ込んだ ように 並んで いた のだ ……。 「 ちょっと した ニュース が ある の 」 と 、 夕 里子 は 言った 。 「 ほう 」 「 世間話 を して る ような 顔 で 聞いて 」 「 おいおい ──」 と 、 国友 は 夕 里子 を 見て 、「 また やって る の かい ? 危 い ぞ 。 探偵 の 真似 は やめた 方 が いい 」 「 探偵 の 真似 なんて して ない わ 」 と 夕 里子 は やり返した 。 「 探偵 そのもの を やって る の 」 「 もっと 悪い ぞ 」 「 聞いて 。 ── あの 太田 さん って ガードマン ね 、 神山 田 タカシ を 殴って 、 ホテル を クビ に なった の よ 」 「 何 だって ? 」 夕 里子 が 、 ホテル P で 、 北山 から 聞いた こと を 話して やる と 、 国友 は ため息 を ついた 。 「 君 に 教え られる んじゃ 、 困った もん だ な 、 我々 も 」 「 もう 一 つ ある の 」 「 ほう ? 」 「 その 乱暴 さ れた 女の子 の こと 」 「 名前 も 分 ら ない んじゃ 、 捜し よう が ない な 。 ── いや 、 待てよ 。 きっと ファンク ラブ に 入って いた だろう 。 そして その後 、 やめ てる はずだ な 」 国友 は 肯 いて 、「 よし 、 これ で 調べ られる ぞ ! 」 「 それ も いい けど ──」 夕 里子 は カレー を 平らげて 、「 今 、 その 子 は 二十 歳 ぐらい よ 。 その とき の 事件 が きっかけ で 、 その 優しい ガードマン と 恋 仲 に なって も おかしく ない わ 」 国友 は 啞然 と して 、 「 あの 女の子 ── 石原 茂子 が ? 」 と 言った 。 「 しっ ! 聞こえる わ 」 「 どうして そう 思った ? 」 「 別に 」 と 、 肩 を すくめて 、「 でも 、 きっと そう よ 。 だから って 、 あの 人 が 黒木 を 殺した と は 言って ない けど 」 「 うん 。 しかし ……」 国友 は 考え込んだ 。 「 その とき 、 神山 田 と 黒木 も いた と する と 、 充分に 殺害 の 動機 に なる な 」 「 でも 、 今さら ? 三 年 も たって る の よ 」 「 逆に 、 太田 の 方 が やった と も 考え られる な 」 「 時間 よ 。 時間 が たち すぎて る わ 」 と 、 夕 里子 は 言った 。 茂子 が 立ち上って 、 やって 来た 。 「 お 皿 を 返して 来て あげる わ 」 「 あ 、 自分 で やり ます 」 「 どうせ 、 ついで よ 」 と 、 茂子 は 微笑んだ 。 「 すみません 」 「 じゃ 刑事 さん の も ──」 「 そうかい ? 悪い ね 」 「 いいえ 、 重ねて 下さい 。 ── じゃ 、 すぐに 置いて 来 ます 」 と 、 茂子 は 、 食堂 の 方 へ と 歩き 出した 。 「 いい 人 だ わ 」 と 、 夕 里子 は 言った 。

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