雷 さま と クワ の 木
むかし むかし 、お母さん と ニ 人 暮らし の 男の子 が いました 。
ある 日 、お母さん が 男の子 に 言いました 。
「畑 に ナス を 植える から 、町 へ 行って ナス の なえ を 買って 来て 」
「 は ー い 」
男の子 は 町 へ 行く と 、一 番 値段 の 高い なえ を 一本 だけ 買って 来ました 。
それ を 見て 、お母さん は がっかり です 。
「お前 は 何で 、もっと 安い なえ を いっぱい 買って 来なかった の ? 一 本 しか なかったら 、育てて も 大した 数 に ならない のに 」
「うーん 、そう だった の か 」
でも 男の子 は 、心 の 中 で こう 思いました 。
(一 本 きり でも 、この 値段 の 高い なえ なら 、きっと たくさん 実 が つく はず )
確かに その 通り で 、ナス の なえ は 植えた とたん に グングン と 伸びて いった のです 。
「どう だい 。 やっぱり 値段 の 高い なえ は 違う だろう ? わ あ ! 話して いる 間 に も 、雲 を 突き抜けた ぞ 」
ナス の くき は 、雲 を 突き抜けて も 成長 を やめません 。
やがて ナス は 薄紫 の 花 を 咲かせる と 、それはそれは 見事な 実 を いっぱい 実らせた のです 。
次の 日 の 朝 、男の子 は 家 から はしご を 持ち出しました 。
それ を 見つけて お母さん が 、あわてて 言います 。
「こら 、どこ へ 行く つもり だ ? ナス を 登る つもり なら 、危ない から やめなさい 」
「危なくない さ 。 じゃあ 、ちょっくら 行って くる 」
「 だめ ! やめなさい ! 落ちたら どう する の ? お 父さん も 、屋根 から 落ちて 死んだ のだ から 」
「 大丈夫 、 大丈夫 」
男の子 は そのまま 、ナス の 木 を 登って いきました 。
さて 、男の子 が ナス の 木 を 登って 雲 の 上 に 出る と 、そこ に は 立派な お 屋敷 が ありました 。
男の子 が お 屋敷 の 扉 を 開けて みる と 、中 に は ナス を 持った おじいさん が いました 。
「 あっ! それ は 、おら の ナス じゃ ない か ? ! 」
男の子 が 叫ぶ と 、おじいさん が 言いました 。
「ほう 、この ナス は 、お前 さん が 植えた ナス だった か 。 おかげ で 毎日 、おいしく いただいています よ 」
おじいさん は 男の子 に 礼 を 言う と 、男の子 を お 屋敷 の 中 に 連れて行きました 。
中 に は 二人 の きれいな 娘 が いて 、男の子 を 一晩中 、歌 や 踊り で もてなして くれました 。
次の 朝 、男の子 が 目 を 覚ます と 誰 も いません 。
「あれ ? みんな 、どこ へ 行った の か な ? 」
男の子 が つぶやく と 、ふすま の 向こう から おじいさん の 声 が しました 。
「起きた か 。 わし ら は 仕事 に 行ってくる から 、留守番 を しといて くれ 」
「 仕事 ? 雲 の 上 に も 、仕事 が ある の か ? 」
「 もちろん 。 これ で 結構 、忙しい の さ 」
「なら 手伝う から 、おい ら も 連れて 行って くれ 」
##男の子 の は そう 言い ながら 、ふすま を 開けました 。
そして おじいさん の 姿 を 見て びっくり 。
「 うわっ! 鬼 だ 、鬼 だ ぁ ! 」
何 と おじいさん は 、頭 に 二 本 の 角 が 生えた 鬼 だった のです 。
その 横 に は 、二人 の 鬼 の 娘 も 立って います 。
怖く なった 男の子 は 、真っ青な 顔 で 言いました 。
「おい ら の 肉 は まずい ぞ 。 だから 食わないで くれ ! 」
それ を 聞いた 鬼 の おじいさん は 、大笑い です 。
「 ワッハハハハ 。 わし たち は 、人間 を 食べる 悪い 鬼 で ねえ 。 わし ら は 雨 を 降らす 鬼 な んじゃ 。 ほれ 、こんな 具合 に な 」
そう 言って 鬼 が たいこ を 鳴らす と 、娘たち が ひしゃく で 雨 を 降らせました 。
「わかった 、おじいさん は 、かみなり さま だった の か 」
「そう じゃ 、かみなり さま だ 。 だから これ から 、雨 を 降らせ に 行く んじゃ 」
それ を 聞いて 安心 した 男の子 は 、鬼 に 言いました 。
「それ なら 、おいら も 一緒に 行く 」
「よし 、それ なら この 雲 に 乗りなさい 」
鬼 は 足下 の 雲 を 大きく ちぎる と 、二人 の 娘 と 一緒に 男の子 を 乗せました 。
みんな を 乗せた 雲 は すーっと 動く と 、今 から 雨 を 降らせる 場所 まで 移動 しました 。
雲 の 端 から 下 を のぞいて 、男の子 が 言いました 。
「あっ、ここ は おいら の 村 だ! 」
鬼 は 立ち上がって 、たいこ を 鳴らしました 。
娘 の 一人 が 、かがみ で 光 を 地上 へ てらしました 。
この たいこ の 音 と かがみ の 光 が 地上 へ 届いて 、いなびかり と なりました 。
もう 一人 の 娘 が ひしゃく の 水 を まく と 、それ が 地上 へ 届いて 大雨 と なりました 。
ちょうど その 日 は 、村 の 夏 祭り でした 。
突然 の いなびかり と 大雨 に 、集まって いた 村人たち は びっくり です 。
「うわ あ ! 夕立 だ あっ 」
それ を 雲 の 上 から 見ていた 男の子 は 、逃げる 村人 たち の 様子 が 楽しくて たまりません 。
「ねえ 、娘 さん 、おいら に も 、雨 の ひしゃく を 貸して くれ 」
男の子 は ひしゃく を 借りる と 、面白がって 雲 の 上 から 雨 を 降らせました 。
おかげ で 村 は 、滝 の 様な 大雨 です 。
「それ っ 、それっ 。 逃げろ 逃げろ 、早く 逃げ ない と 、もっと 降らせる ぞ 」
男の子 は 調子 に 乗って 、何度 も 何度 も ひしゃく の 水 を まきました 。
そして その 時 、男の子 は 足 を 滑らせて 、雲 の 上 から 落ちて しまった のです 。
「うわっ 、助けて くれ ! まだ 死に たくない よう ー ! 」
男の子 は 雨 の 中 を 落ちて いき 、下 に あった クワ 畑 の 中 へ 飛び込みました 。
ドッシーーン !
しかし 何と 、男の子 は 運良く クワ の 木 に 引っかかって 、命 だけ は 助かった のです 。
これ を 見て 、かみなり さま が 言いました 。
「ああ 、せっかく 、わし の 後 を つがせよう と 思った のに 。 地面 に 落ちて しまって は 仕方 が ない 」
でも 、もっと 残念がって いた の は 、二人 の 娘たち でした 。
二 人 とも 、男の子 の お嫁さん に なりたい と 思って いた から です 。
それ から という もの 、クワ の 木 の そば に は 、決して かみなり は 落ちない と 言われて います 。
なぜ か と 言う と 、男の子 を 助けて くれた クワ の 木 へ 、かみなり さま が 感謝 している から です 。
だから 今 でも 、クワ の 枝 を 家 の 軒下 へ ぶら下げて 、かみなり よけ に している 家 が ある そうです 。
おしまい