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昔話、日本語。, こぶ とり じいさん

こぶ とり じいさん

むかし 、 むかし 、 ある ところ に 、たいへん ほがらか で 、 気 の いい おじいさん が 住んでいました 。 おじいさん は 、 たのしい 話 を したり 、 踊り を 踊ったり する の が とても 好きで 、 いつも にこにこ していまし た 。 ところ が 、 この おじいさん に は ひとつ 悩み が ありました 。 それ は 、 おじいさん の ほっぺ に 大きな こぶ が あった のです 。 普段 は あまり 気 に なりません が 、 仕事 を して 疲れてくる と 、 こぶ が 重くて 肩 が こってきます 。 「 だれ か この こぶ を とってくれん か の ー 。」 おじいさん は 、 いつも ひとり で つぶやいて いました 。 ある 日 、 おじいさん が いつも の よう に 森 で 木 を 切っている と 、 急に 雨 が 降ってきました 。 「 ひや ー 、 これ は ひどい 雨 だ 。 たまらん の ー 。」おじいさん は 、 あまやどり を する ため に 大きな 木 の ほら に はいりまし た 。 「 どれ 、 雨 が やむ まで ここ で 一休み しよう 。 」 お いさん は 、 日ごろ の 疲れ が 出た の か 、 その うち に 眠ってしまいました 。 雨 が やんで 、 日 も 暮れて 、 お 月 様 が でて も 眠っていました 。 どれ くらい 時間 が たった でしょう か 。 なに やら 、 あたり が 騒がしくなってきました 。 ぴーひゃら 、 ぴーひゃら と 笛 の 音 も 聞こえてきます 。 おじいさん は 、 その 音 で ふと 目 を 覚ましました 。 「 ありゃ ー 、 いかん 、 どれ くらい ねむっていた の か な 。 」 と 、 目 を こ すり ながら あたり を みまわす と 、 それ は それ は おどろきました 。 木 の ほら の 周り で は 、 たくさんの 鬼 たち が 集まって 酒盛り を していた のです 。 おじいさん は 、 みつからない よう に 、 ほら の 中 で 息 を ひそめてじっとして いました が 、 鬼 たち の 楽しそうに 踊っている 様子 を みている うち に 、 自分 も ついつい 踊りだしたくなりました 。 とうとう 我慢 できなくなった おじいさん は 、 鬼 たち の 間 に 出ていって 、 踊りだしてしまいました 。 「 おや 、 こんな ところ に 人間 の じいさん が いる ぞ 。 」 「 よーし 、 食ってしまえ 。 」 「 いや 、 待て 待て 、 なかなか おもしろい 踊り じゃ 。しばらく 見ていよう 。」 鬼 たち は 、 おじいさん の 踊り が おもしろい ので 、 げらげら 笑いながら ずっと 見ていました 。 「 おもしろい じいさん じゃ 、 それ 、 みんな で 踊ろう 。 」 鬼 たち も おじいさん と 一緒 に なって 踊りだしました 。

時 が たつ の も 忘れ 、 鬼 たち と おじいさん は 踊って いました が 、 その うち どこ か で にわとり が なきました 。 「 そろそろ 夜 が 明ける 。 今日 は もう おしまい に しよう 。 」 「 いや ~。 じいさん の おかげで 今日 は 楽しかった 。 明日 も ぜひ 来いよ 。」 おじいさん は 、 鬼 が こわかった の で 、 「 へへー 、 明日 も 来ます 。 」 と 返事 を しました 。 鬼 の ひとり が 「 いや 、 もし こない と いけない から 、 なに か 預かって おこう 。 そう だ 、 その ほっぺ の こぶ を 預かろう 。 」 そう いって おじいさん の ほっぺ の こぶ を とってしまいました 。 「 いい か 、 明日 来たら 返して やる ぞ 。」 おじいさん は 、 かる なった ほっぺ を なで ながら 、 大喜び で 家 に 帰りました 。 そして 、 この 話 を となり の おじいさん に しました 。 となり の おじいさん は 、 「 いい こと を きいた 。 わし も 鬼 に この こぶ を とって もらおう 。 」 と いう のも 、 この おじいさん に も ほっぺに 大きいな こぶ が あった の です 。 となり の おじいさん は 、 話 に 聞いた とおり の 場所 に 行って 、 木 の ほら に 座って 、 ずっと 鬼 が 来る の を 待っていました 。 そして 、 夜 、 鬼 たち が やってきて 、 酒盛り を 始める と 、 鬼 たち の 間 に 出 て 行って 踊り を 踊り 始めました 。 ところが 、 その 踊り の へたな こと 。 その おじいさん は 、 陰気 で 意地悪 で 、 人前 で 踊りなんて 踊った こと が なかった のです 。 鬼 たち は 、「 へたくそな 踊り だな 。 なんだ 、 ちっとも おもしろくない 。 それ 、 これ を 返す から さっさと 家 に かえれ ! 」 そう いって 、 きのう 預かった こぶ を なげつけました 。 すると 、 その こぶ は おじいさん の もう 片方 の ほっぺ に ぺたり と くっついてしました 。 おじいさん は 、 「 こぶ が ふたつ に なってしまった よ 。」 と 泣き ながら 、 家 に 帰って いった と いう こと です 。

おしまい 。


こぶ とり じいさん Kobutori Grandpa rundvlees en varkenslever Opa fígado de vaca e de porco Avô говяжья и свиная печень Дед 古部鸟老人 古部鳥老人

むかし 、 むかし 、 ある ところ に 、たいへん ほがらか で 、 気 の いい おじいさん が 住んでいました 。 ||||||||き|||お じいさん||すんで い ました Once upon a time, there lived a very nice old man in one place. おじいさん は 、 たのしい 話 を したり 、 踊り を 踊ったり する の が とても 好きで 、 いつも にこにこ していまし た 。 お じいさん|||はなし|||おどり||おどったり|||||すきで|||してい まし| My grandfather loved to talk and dance, and he was always smiling. ところ が 、 この おじいさん に は ひとつ 悩み が ありました 。 |||お じいさん|||ひと つ|なやみ||あり ました However, this grandfather had one problem. それ は 、 おじいさん の ほっぺ に 大きな こぶ が あった のです 。 ||お じいさん||ほ っぺ||おおきな|||| It had a big hump on his grandfather's cheeks. 普段 は あまり 気 に なりません が 、 仕事 を して 疲れてくる と 、 こぶ が 重くて 肩 が こってきます 。 ふだん|||き||なり ませ ん||しごと|||つかれて くる||||おもくて|かた||こって き ます I don't usually care much, but when I get tired from work, my hump is heavy and my shoulders are stiff. 「 だれ か この こぶ を とってくれん か の ー 。」 |||||とって くれ ん|||- "Who should take this hump?" おじいさん は 、 いつも ひとり で つぶやいて いました 。 ある 日 、 おじいさん が いつも の よう に 森 で 木 を 切っている と 、 急に 雨 が 降ってきました 。 お じいさん||||||い ました||ひ|お じいさん||||||しげる||き||きって いる||きゅうに|あめ||ふって き ました The grandfather was always muttering alone. One day, when my grandfather was cutting trees in the forest as usual, it suddenly started to rain. 「 ひや ー 、 これ は ひどい 雨 だ 。 |-||||あめ| "Hi, this is heavy rain. たまらん の ー 。」おじいさん は 、 あまやどり を する ため に 大きな 木 の ほら に はいりまし た 。 たまら ん||-|お じいさん|||||||おおきな|き||||はいり まし| I can't wait. The grandfather went to the big tree to do some sweets. 「 どれ 、 雨 が やむ まで ここ で 一休み しよう 。 |あめ||||||ひとやすみ| "Who, let's take a rest here until the rain stops. 」 お いさん は 、 日ごろ の 疲れ が 出た の か 、 その うち に 眠ってしまいました 。 |||ひごろ||つかれ||でた||||||ねむって しまい ました The old man fell asleep during that time, perhaps because he was tired on a daily basis. 雨 が やんで 、 日 も 暮れて 、 お 月 様 が でて も 眠っていました 。 あめ|||ひ||くれて||つき|さま||||ねむって い ました The rain stopped, the sun went down, and the moon was asleep. どれ くらい 時間 が たった でしょう か 。 ||じかん|||| How long has it been? なに やら 、 あたり が 騒がしくなってきました 。 ||||さわがしく なって き ました Somehow, the area is getting noisy. ぴーひゃら 、 ぴーひゃら と 笛 の 音 も 聞こえてきます 。 おじいさん は 、 その 音 で ふと 目 を 覚ましました 。 ぴ - ひ ゃら|ぴ - ひ ゃら||ふえ||おと||きこえて き ます|お じいさん|||おと|||め||さまし ました You can also hear the sound of peehyara, peehyara and the whistle. The grandfather suddenly woke up with the sound. 「 ありゃ ー 、 いかん 、 どれ くらい ねむっていた の か な 。 |-||||ねむって いた||| "Oh, I don't know, how long have you been sleeping? 」 と 、 目 を こ すり ながら あたり を みまわす と 、 それ は それ は おどろきました 。 |め|||||||||||||おどろき ました I rubbed my eyes and looked around, which surprised me. 木 の ほら の 周り で は 、 たくさんの 鬼 たち が 集まって 酒盛り を していた のです 。 き||||まわり||||おに|||あつまって|さかもり||して いた| Around the tree, many demons gathered to serve sake. おじいさん は 、 みつからない よう に 、 ほら の 中 で 息 を ひそめてじっとして いました が 、 鬼 たち の 楽しそうに 踊っている 様子 を みている うち に 、 自分 も ついつい 踊りだしたくなりました 。 お じいさん||みつから ない|||||なか||いき||ひそめて じっと して|い ました||おに|||たのし そうに|おどって いる|ようす||みて いる|||じぶん|||おどり だし たく なり ました The old man kept his breath in the air so that he couldn't find it, but as he watched the demons dancing happily, he wanted to start dancing. とうとう 我慢 できなくなった おじいさん は 、 鬼 たち の 間 に 出ていって 、 踊りだしてしまいました 。 |がまん|でき なく なった|お じいさん||おに|||あいだ||でて いって|おどり だして しまい ました At last, the old man who couldn't stand it went out among the demons and started dancing. 「 おや 、 こんな ところ に 人間 の じいさん が いる ぞ 。 ||||にんげん||||| "Oh, there's a human grandfather in a place like this. 」 「 よーし 、 食ってしまえ 。 よ - し|くって しまえ "Okay, eat it. 」 「 いや 、 待て 待て 、 なかなか おもしろい 踊り じゃ 。しばらく 見ていよう 。」 |まて|まて|||おどり|||みて いよう "No, wait, wait, it's a very interesting dance. Let's watch it for a while." 鬼 たち は 、 おじいさん の 踊り が おもしろい ので 、 げらげら 笑いながら ずっと 見ていました 。 おに|||お じいさん||おどり||||げ ら げ ら|わらい ながら||みて い ました The demons were watching the grandfather's dance all the time, laughing and laughing because it was so interesting. 「 おもしろい じいさん じゃ 、 それ 、 みんな で 踊ろう 。 ||||||おどろう "It's an interesting old man, let's dance together. 」 鬼 たち も おじいさん と 一緒 に なって 踊りだしました 。 おに|||お じいさん||いっしょ|||おどり だし ました The demons also started dancing with their grandfather.

時 が たつ の も 忘れ 、 鬼 たち と おじいさん は 踊って いました が 、 その うち どこ か で にわとり が なきました 。 じ|||||わすれ|おに|||お じいさん||おどって|い ました|||||||||なき ました Forgetting about the passage of time, the demons and the old man were dancing, but somewhere along the line the chicken disappeared. 「 そろそろ 夜 が 明ける 。 |よ||あける "It's about time for the night to dawn. 今日 は もう おしまい に しよう 。 きょう||||| Let's finish today. 」 「 いや ~。 "No ... じいさん の おかげで 今日 は 楽しかった 。 ||おかげ で|きょう||たのしかった Thanks to my grandfather, I had a good time today. 明日 も ぜひ 来いよ 。」 あした|||こ いよ Please come tomorrow. " おじいさん は 、 鬼 が こわかった の で 、 「 へへー 、 明日 も 来ます 。 お じいさん||おに|||||へ へ -|あした||き ます My grandfather was scared of the demon, so he said, "Hey, I'll come tomorrow. 」 と 返事 を しました 。 |へんじ||し ました I replied. 鬼 の ひとり が 「 いや 、 もし こない と いけない から 、 なに か 預かって おこう 。 おに||||||||||||あずかって| One of the demons said, ``No, if you have to come, I'll keep something for you. そう だ 、 その ほっぺ の こぶ を 預かろう 。 |||ほ っぺ||||あずかろう That's right, let's take care of that bump on your cheek. 」 そう いって おじいさん の ほっぺ の こぶ を とってしまいました 。 ||お じいさん||ほ っぺ||||とって しまい ました That said, I took off the hump on my grandfather's cheeks. 「 いい か 、 明日 来たら 返して やる ぞ 。」 ||あした|きたら|かえして|| "Okay, I'll give it back when I come tomorrow." おじいさん は 、 かる なった ほっぺ を なで ながら 、 大喜び で 家 に 帰りました 。 お じいさん||||ほ っぺ||な で||おおよろこび||いえ||かえり ました The grandfather went home with great joy, stroking his cheeks. そして 、 この 話 を となり の おじいさん に しました 。 ||はなし||||お じいさん||し ました And I told this story to my grandfather next door. となり の おじいさん は 、 「 いい こと を きいた 。 ||お じいさん||||| The grandfather next door said, "I heard something good. わし も 鬼 に この こぶ を とって もらおう 。 ||おに|||||| I'll have the demon take this hump. 」 と いう のも 、 この おじいさん に も ほっぺに 大きいな こぶ が あった の です 。 となり の おじいさん は 、 話 に 聞いた とおり の 場所 に 行って 、 木 の ほら に 座って 、 ずっと 鬼 が 来る の を 待っていました 。 ||の も||お じいさん|||ほっ ぺに|おおきい な||||||||お じいさん||はなし||きいた|||ばしょ||おこなって|き||||すわって||おに||くる|||まって い ました That's because this grandfather also had a big hump on his cheek. The grandfather next door went to the exact place he heard, sat by the tree, and waited for the demon to come. そして 、 夜 、 鬼 たち が やってきて 、 酒盛り を 始める と 、 鬼 たち の 間 に 出 て 行って 踊り を 踊り 始めました 。 |よ|おに||||さかもり||はじめる||おに|||あいだ||だ||おこなって|おどり||おどり|はじめ ました Then, at night, when the demons came and started to serve sake, they went out between the demons and started to dance. ところが 、 その 踊り の へたな こと 。 ||おどり||| However, that dance was a mess. その おじいさん は 、 陰気 で 意地悪 で 、 人前 で 踊りなんて 踊った こと が なかった のです 。 |お じいさん||いんき||いじわる||ひとまえ||おどり なんて|おどった|||| The grandfather was gloomy and mean, and had never danced in public. 鬼 たち は 、「 へたくそな 踊り だな 。 おに||||おどり|だ な The demons said, "It's a crappy dance. なんだ 、 ちっとも おもしろくない 。 ||おもしろく ない What is it, it's not interesting at all. それ 、 これ を 返す から さっさと 家 に かえれ ! |||かえす|||いえ|| I'll return this, so go home quickly! 」 そう いって 、 きのう 預かった こぶ を なげつけました 。 |||あずかった|||なげつけ ました That said, I struck down the hump I had received yesterday. すると 、 その こぶ は おじいさん の もう 片方 の ほっぺ に ぺたり と くっついてしました 。 ||||お じいさん|||かたほう||ほ っぺ||ぺた り||くっついて し ました Then the hump stuck to the other cheek of the grandfather. おじいさん は 、 「 こぶ が ふたつ に なってしまった よ 。」 お じいさん||||ふた つ||なって しまった| The grandfather said, "I have two humps." と 泣き ながら 、 家 に 帰って いった と いう こと です 。 |なき||いえ||かえって||||| I was crying and went home.

おしまい 。 The end.