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昔話、日本語。, Hikoichi Tengu ’ s Straw Raincoat

Hikoichi Tengu ’ s Straw Raincoat

昔 、 昔 ある ところ に 彦一 さん と いう 人 が いました 。 彦一 さん の 住んで いる 村 の そば の 山 に は 天狗 が 住んで いて 、 着る と 姿 が 見え なく なる と いう 隠れ蓑 を 持って いました 。 彦一 さん は 天狗 の 隠れ蓑 が ほしくて たまりません 。 そこ で 、 ある こと を 思い つきました 。 一 本 の 竹筒 を 持って 山 に 入る と 、 その 竹筒 を のぞいて は 大騒ぎ を 始めました 。 「 おお 、 すごい 、 あんな もの が 見え る 。 城 の 中 が 見える 。 おお 、 ごちそう も 見える 。 殿様 の ごちそう だ ! 」 こんな こと を 言って 大騒ぎ を して いる もの です から 、 天狗 が やってきて 彦一 さん に 尋ねました 。 「 いったい それ は な んです か ? 」 彦一 さん は しめた と ばかり に こう 答えました 。 「 これ は 、 遠眼鏡 です 。 遠く の もの が すぐ 近く に 見える のです 。」 天狗 は のぞいて みたくなった ので 、 「 ちょっと 貸して くれません か ? 」 と い いました 。 「 いえいえ 、 これ は だめです 。 とても 貴重な もの です から ね 。 でも 、 天狗 さ ん の 持って いる 隠れ蓑 と 交換 する なら 考えて も いい でしょう 。」 どうしても 竹筒 を のぞいて み たく なった 天狗 は 、 大切な 隠れ蓑 と 交換 して しまいました 。 天狗 は 竹筒 を のぞいて みました が 、 なにも 見えません 。 ただ の 竹筒 です から 、 なにも 見える はず が ありません 。 だまされた と 知った 天狗 は 、「 彦一 め 。 だました な 。」 と 彦一 を 探しました が 、 どこ に も 見当たりません 。 彦一 さん は 天狗 の 隠れ蓑 を 使って 姿 を 消した ので 、 天狗 に は 見え なかった のです 。 彦一 さん は 、 姿 を 消して 山 を 下りる と 、 家 に 帰って 奥さん に 声 を かけました 。 「 ひや ~、 だれ も いない のに 私 の 名前 を 呼ぶ やつ が いる 。」 奥さん は びっくり仰天 。 腰 を 抜かし て しまいました 。 いたずらに 成功 した 彦一 さん は 、 酒 屋 さん に 行って 酒 を 飲み 始めました 。 姿 が 見えません から 、 お 金 を 払え と 言わ れる こと も ありません 。 いい 気分 に なった 彦一 さん は 、 家 に 帰って グーグー 寝て しまいました 。 さて 、 奥さん が 家 の 掃除 を 始める と 、 タンス の 中 に 汚い 蓑 が しまって ありました 。 天狗 の 隠れ蓑 と は 知ら ない 奥さん は 、 「 こんな 汚い 蓑 。 いやだ わ 、 燃やして し まおう 。」 と ごみ と 一緒に かまど で 燃やして しまいました 。 起きて きた 彦一 さん は 、 奥さん が 蓑 を 燃やして しまった と 聞いて 、たいへん 残念がりました 。 しかし 、 かまど に 残った 灰 を みて 、 「 もしかすると まだ 効き目 が 残って いる かも しれ ない 。 と 灰 を 体 に 塗って みま した 。 すると 、 どう でしょう 。 灰 を 塗った ところ が みるみる 見え なく なり ま した 。

彦一 さん は 喜んで 、 裸 に なって 全身 に 灰 を 塗って また 酒屋 さん に 出かけて 酒 を 飲み 始めました 。 ところが 、 酒 を 飲む とき に 口元 の 灰 が 取れて しまいました 。 する と 、 口 だけ 空中 に 浮き だして 見える では ありません か 。 お 酒 を 注いで いた 女中さん が それ を 見つけて 大騒ぎ を 始めました 。 「 口 だけ の お化け が でた ~。」 店 中 騒ぎ に なって しまった ので 、 彦一 さん は 店 の 主人 に 追い回さ れ 、 大 慌 て で 外 に 逃げ出しました 。 一生懸命に 逃げて いる うち に 、 川 に 落ちて しまった 彦一 さん は 、 灰 が 水 で 流されて しまって 、 すっかり 裸 に なって みんな の 前 に 現れました 。 「 川 の 中 に 裸 の 彦一 が いる ぞ 。」 と みんな に 大笑い さ れた そうです 。

おしまい 。


Hikoichi Tengu ’ s Straw Raincoat hikoichi|tengu||straw|raincoat Hikoichi Tengu 's Straw Raincoat Imperméable en paille de Hikoichi Tengu L'impermeabile di paglia di Hikoichi Tengu 히코이치 텐구의 밀짚 우비 Stro regenjas van Hikoichi Tengu Capa de chuva de palha do Hikoichi Tengu Соломенный дождевик Хикоичи Тенгу 天狗彦一的草帽雨衣

昔 、 昔 ある ところ に 彦一 さん と いう 人 が いました 。 むかし|むかし||||ひこいち||||じん||い ました A long time ago, there was a person named Hikoichi in a certain place. 彦一 さん の 住んで いる 村 の そば の 山 に は 天狗 が 住んで いて 、 着る と 姿 が 見え なく なる と いう 隠れ蓑 を 持って いました 。 ひこいち|||すんで||むら||||やま|||てんぐ||すんで||きる||すがた||みえ|||||かくれみの||もって| A tengu lived in the mountain near the village where Mr. Hikoichi lives, and he had a cover that disappeared when he wore it. 彦一 さん は 天狗 の 隠れ蓑 が ほしくて たまりません 。 ひこいち|||てんぐ||かくれみの||| Hikoichi is very eager to get his hands on a tengu's hide. そこ で 、 ある こと を 思い つきました 。 |||||おもい|つき ました There, he came up with something. 一 本 の 竹筒 を 持って 山 に 入る と 、 その 竹筒 を のぞいて は 大騒ぎ を 始めました 。 ひと|ほん||たけづつ||もって|やま||はいる|||たけづつ||||おおさわぎ||はじめ ました When he entered the mountain with a bamboo tube, he started making a fuss except for the bamboo tube. 「 おお 、 すごい 、 あんな もの が 見え る 。 |||||みえ| "Oh, awesome, I can see something like that. 城 の 中 が 見える 。 しろ||なか||みえる You can see the inside of the castle. おお 、 ごちそう も 見える 。 |||みえる Oh, you can see the feast. 殿様 の ごちそう だ ! とのさま||| It's a feast for the lord! 」 こんな こと を 言って 大騒ぎ を して いる もの です から 、 天狗 が やってきて 彦一 さん に 尋ねました 。 |||いって|おおさわぎ|||||||てんぐ|||ひこいち|||たずね ました Since you were making a big fuss by saying this, a long-nosed goblin came and asked Hikoichi-san. 「 いったい それ は な んです か ? "What on earth is that? 」 彦一 さん は しめた と ばかり に こう 答えました 。 ひこいち||||||||こたえ ました Hikoichi replied, just as he said. 「 これ は 、 遠眼鏡 です 。 ||とおめがね| "This is a telescope. 遠く の もの が すぐ 近く に 見える のです 。」 とおく|||||ちかく||みえる| Things in the distance can be seen in the immediate vicinity. " 天狗 は のぞいて みたくなった ので 、 「 ちょっと 貸して くれません か ? てんぐ|||み たく なった|||かして|くれ ませ ん| I wanted to take a peek at the tengu, so I asked, "Can you lend me a little? 」 と い いました 。 ||い ました " said . 「 いえいえ 、 これ は だめです 。 "No, this is no good. とても 貴重な もの です から ね 。 |きちょうな|||| It's very valuable. でも 、 天狗 さ ん の 持って いる 隠れ蓑 と 交換 する なら 考えて も いい でしょう 。」 |てんぐ||||もって||かくれみの||こうかん|||かんがえて||| However, you can think of it if you want to exchange it for the cover that Tengu-san has. " どうしても 竹筒 を のぞいて み たく なった 天狗 は 、 大切な 隠れ蓑 と 交換 して しまいました 。 |たけづつ||||||てんぐ||たいせつな|かくれみの||こうかん||しまい ました The tengu, who wanted to take a peek at the bamboo tube, exchanged it for an important cloak of invisibility. 天狗 は 竹筒 を のぞいて みました が 、 なにも 見えません 。 てんぐ||たけづつ|||み ました|||みえ ませ ん The tengu looked into the bamboo tube, but I couldn't see anything. ただ の 竹筒 です から 、 なにも 見える はず が ありません 。 ||たけづつ||||みえる|||あり ませ ん It's just a bamboo tube, so you can't see anything. だまされた と 知った 天狗 は 、「 彦一 め 。 だまさ れた||しった|てんぐ||ひこいち| The tengu, who knew he was fooled, said, "Hikoichi. だました な 。」 I deceived you. " と 彦一 を 探しました が 、 どこ に も 見当たりません 。 |ひこいち||さがし ました|||||みあたり ませ ん I searched for Hikoichi, but I can't find it anywhere. 彦一 さん は 天狗 の 隠れ蓑 を 使って 姿 を 消した ので 、 天狗 に は 見え なかった のです 。 ひこいち|||てんぐ||かくれみの||つかって|すがた||けした||てんぐ|||みえ|| Hikoichi disappeared using the tengu's cloak of invisibility, so he couldn't see it in the tengu. 彦一 さん は 、 姿 を 消して 山 を 下りる と 、 家 に 帰って 奥さん に 声 を かけました 。 ひこいち|||すがた||けして|やま||おりる||いえ||かえって|おくさん||こえ||かけ ました Hikoichi disappeared and went down the mountain, then went home and spoke to his wife. 「 ひや ~、 だれ も いない のに 私 の 名前 を 呼ぶ やつ が いる 。」 |||||わたくし||なまえ||よぶ||| "Hiya ~, there is a guy who calls my name when no one is there." 奥さん は びっくり仰天 。 おくさん||びっくりぎょうてん His wife was surprised. 腰 を 抜かし て しまいました 。 こし||ぬかし||しまい ました I have pulled out my waist. いたずらに 成功 した 彦一 さん は 、 酒 屋 さん に 行って 酒 を 飲み 始めました 。 |せいこう||ひこいち|||さけ|や|||おこなって|さけ||のみ|はじめ ました Hikoichi, who succeeded in mischief, went to a liquor store and started drinking. 姿 が 見えません から 、 お 金 を 払え と 言わ れる こと も ありません 。 すがた||みえ ませ ん|||きむ||はらえ||いわ||||あり ませ ん You won't be told to pay because you can't see him. いい 気分 に なった 彦一 さん は 、 家 に 帰って グーグー 寝て しまいました 。 |きぶん|||ひこいち|||いえ||かえって||ねて|しまい ました Hikoichi, who felt good, went home and fell asleep. さて 、 奥さん が 家 の 掃除 を 始める と 、 タンス の 中 に 汚い 蓑 が しまって ありました 。 |おくさん||いえ||そうじ||はじめる||たんす||なか||きたない|みの|||あり ました By the way, when my wife started cleaning the house, there was a dirty mino in the chest of drawers. 天狗 の 隠れ蓑 と は 知ら ない 奥さん は 、 「 こんな 汚い 蓑 。 てんぐ||かくれみの|||しら||おくさん|||きたない|みの His wife, who doesn't know the Tengu's cloak of invisibility, said, "This dirty mino. いやだ わ 、 燃やして し まおう 。」 ||もやして|| No, let's burn it. " と ごみ と 一緒に かまど で 燃やして しまいました 。 |||いっしょに|||もやして|しまい ました I burned it in a kamado with garbage. 起きて きた 彦一 さん は 、 奥さん が 蓑 を 燃やして しまった と 聞いて 、たいへん 残念がりました 。 おきて||ひこいち|||おくさん||みの||もやして|||きいて||ざんねんがり ました Hikoichi, who got up, was very disappointed to hear that his wife had burned the Mino. しかし 、 かまど に 残った 灰 を みて 、 「 もしかすると まだ 効き目 が 残って いる かも しれ ない 。 |||のこった|はい|||||ききめ||のこって|||| However, looking at the ash left in the kamado, he said, "Maybe there is still some effect left. と 灰 を 体 に 塗って みま した 。 |はい||からだ||ぬって|| I applied ash to my body. すると 、 どう でしょう 。 Then what about? 灰 を 塗った ところ が みるみる 見え なく なり ま した 。 はい||ぬった||||みえ|||| The place where I applied the ash disappeared.

彦一 さん は 喜んで 、 裸 に なって 全身 に 灰 を 塗って また 酒屋 さん に 出かけて 酒 を 飲み 始めました 。 ひこいち|||よろこんで|はだか|||ぜんしん||はい||ぬって||さかや|||でかけて|さけ||のみ|はじめ ました Hikoichi was happy to get naked, apply ashes to his whole body, and go to the liquor store again to start drinking. ところが 、 酒 を 飲む とき に 口元 の 灰 が 取れて しまいました 。 |さけ||のむ|||くちもと||はい||とれて|しまい ました However, when I drank alcohol, the ashes in my mouth came off. する と 、 口 だけ 空中 に 浮き だして 見える では ありません か 。 ||くち||くうちゅう||うき||みえる||あり ませ ん| Then, you can see only the mouth floating in the air. お 酒 を 注いで いた 女中さん が それ を 見つけて 大騒ぎ を 始めました 。 |さけ||そそいで||おんな ちゅうさん||||みつけて|おおさわぎ||はじめ ました The maid who was pouring alcohol found it and started making a fuss. 「 口 だけ の お化け が でた ~。」 くち|||おばけ|| "There was a ghost only in the mouth." 店 中 騒ぎ に なって しまった ので 、 彦一 さん は 店 の 主人 に 追い回さ れ 、 大 慌 て で 外 に 逃げ出しました 。 てん|なか|さわぎ|||||ひこいち|||てん||あるじ||おいまわさ||だい|こう|||がい||にげだし ました Hikoichi was chased by the owner of the store and rushed out because of the turmoil in the store. 一生懸命に 逃げて いる うち に 、 川 に   落ちて しまった 彦一 さん は 、 灰 が 水 で 流されて しまって 、 すっかり 裸 に なって みんな の 前 に 現れました 。 いっしょうけんめいに|にげて||||かわ||おちて||ひこいち|||はい||すい||ながさ れて|||はだか|||||ぜん||あらわれ ました Hikoichi, who had fallen into the river while escaping hard, appeared in front of everyone, completely naked, as the ashes were washed away by the water. 「 川 の 中 に 裸 の 彦一 が いる ぞ 。」 かわ||なか||はだか||ひこいち||| "There is a naked Hikoichi in the river." と みんな に 大笑い さ れた そうです 。 |||おおわらい|||そう です It seems that everyone laughed a lot.

おしまい 。