×

We use cookies to help make LingQ better. By visiting the site, you agree to our cookie policy.


image

2 - Harry Potter, 9.2 壁に書かれた文字 - The Writing on the Wall

9.2 壁に書かれた文字 - The Writing on the Wall

「 サラザール ・ スリザリンって 、 狂った 変人 だって こと 、 それ は 知って た さ 」 授業 が 終わり 、 夕食 前 に 寮 に カバン を 置き に 行く 生徒 で 、 廊下 は ごった返して いた が 、 人 混 み を 掻き分け ながら ロン が ハリー と ハーマイオニー に 話しかけた 。 「 でも 、 知ら なかった なあ 、 例の 純血 主義 の なんのって スリザリン が 言いだした なんて 。 僕 なら お 金 を もらったって 、 そんな やつ の 寮 に 入る もん か 。 はっきり 言って 、 組 分け 帽子 が も し 僕 を スリザリン に 入れて たら 、 僕 、 汽車 に 飛び乗って まっすぐ 家 に 帰って たな ......」

ハーマイオニー も 「 そう 、 そう 」 と 頷いた が 、 ハリー は 何も 言わ なかった 。 胃袋 が ドスン と 落ち込んだ ような 気味の 悪 さ だった 。

組 分け 帽子 が ハリー を スリザリン に 入れる こと を 本気で 考えた と いう こと を 、 ハリー は ロン に も ハーマイオニー に も 一 度 も 話して い なかった 。

一 年 前 、 帽子 を かぶった とき 、 ハリー の 耳元 で 聞こえた ささやき 声 を 、 ハリー は 昨日 の こと の ように 覚えて いる 。

「 君 は 偉大に なれる 可能 性 が ある んだ よ 。 その すべて は 君 の 頭 の 中 に ある 。 スリザリン に 入 れば まちがい なく 偉大に なる 道 が 開ける ......」

しかし 、 スリザリン が 、 多く の 闇 の 魔法使い を 卒業 さ せた と いう 評判 を 聞いて いた ハリー は 、 心 の 中 で 「 スリザリン は ダメ !」 と 必死で 思い 続けて いた 。

すると 帽子 が 「 よろしい 、 君 が そう 確信 して いる なら ...... むしろ グリフィンドール !」 と 叫 んだ のだった 。

人波 に 流されて 行く 途中 、 コリン ・ クリーピー が そば を 通った 。 「 や ー 、 ハリー !」

「 や ぁ 、 コリン 」 ハリー は 機械 的に 忚 えた 。 「 ハリー 、 ハリー 、 僕 の クラス の 子 が 言って た んだ けど 、 君って ......」 しかし 、 コリン は 小 さ 過ぎて 、 人波 に 逆らえ ず 、 大広間 の 万 に 流されて 行った 。 「 あと で ね 、 ハリー !」 と 叫ぶ 声 を 残して コリン は 行って しまった 。

「 クラス の 子 が あなた の こと 、 なんて 言って た の かしら ?」

ハーマイオニー が いぶかった 。

「 僕 が スリザリン の 継承 者 だ と か 言って た んだ ろ 」

昼食 の とき 、 ジャスティン ・ フィンチ ・ フレッチリー が 、 ハリー から 逃げて 行った 様子 を 急 に 思い出して 、 ハリー は また 数 センチ 胃 が 落ち込む ような 気 が した 。

「 ここ の 連中 と きたら 、 何でも 信じ込む んだ から 」 ロン が 吐き捨てる ように 言った 。 混雑 も 一 段落 して 、 三 人 は 楽に 次の 階段 を 上る こと が できた 。 「『 秘密の 部屋 』 が あるって 、 君 、 ほんとうに そう 思う ?」 ロン が ハーマイオニー に 問いかけた 。 「 わから ない けど 」

ハーマイオニー は 眉 根 に シワ を 寄せた 。

「 ダンブルドア が ミセス ・ ノリス を 治して やれ なかった 。 と いう こと は 、 わたし 考えた んだ けど 、 猫 を 襲った の は 、 もしかしたら ウーン ―― ヒト じゃ ない かも しれ ない 」

ハーマイオニー が そう 言った とき 、 三 人 は ちょうど 角 を 曲がり 、 ずばり あの 事件 が あった 廊 下 の 端に 出た 。 三 人 は 立ち止まって 、 三 人 は 顔 を 見合わせた 。 現場 は ちょうど あの 夜 と 同じ ようだった 。 松明 の 腕 木 に 硬直 した 猫 が ぶら下がって いない こと と 、 壁 を 背 に 椅子 が ぽつ ん と 置かれて いる こと だけ が あの 夜 と は 違って いる 。 壁 に は 「 秘密の 部屋 は 開か れたり 」 と 書 かれた まま だ 。

「 あそこ 、 フィルチ が 見張って いる 所 だ 」 ロン が 呟いた 。 廊下 に は 人っ子 一 人 いない 。 三 人 は 顔 を 見合わせた 。 「 ちょっと 調べたって 悪く ないだ ろ 」 ハリー は カバン を 放り出し 、 四 つ ん 這い に なって 、 何 か 手掛り は ない か と 探し回った 。 「 焼け焦げ だ ! あっち に も ―― こっち に も ――」 ハリー が 言った 。 「 来て みて ! 変だ わ 」 ハーマイオニー が 呼んだ 。 ハリー は 立ち上がって 、 壁 の 文字 の すぐ 脇 に ある 窓 に 近づいて いった 。

ハーマイオニー は 一 番 上 の 窓 ガラス を 指差して いる 。 二十 匹 あまり の クモ が 、 ガラス の 小さ な 割れ目 から ガザガザ と 先 を 争って 這い 出そう と して いた 。 慌てた クモ たち が 全部 一 本 の 綱 を 上って 行った か の ように 、 クモ の 糸 が 長い 銀色 の 綱 の ように 垂れ下がって いる 。

「 クモ が あんなふうに 行動 する の を 見た こと ある ?」 ハーマイオニー が 不思議 そうに 言った 。 「 う うん 」 ハリー が 忚 えた 。

「 ロン 、 君 は ! ロン !」

ハリー が 振り返る と 、 ロン は ずっと 彼方 に 立って いて 、 逃げ出したい の を 必死で こらえて い る ようだった 。 「 どうし たんだい ?」 ハリー が 聞いた 。

「 僕 ―― クモ が ―― 好きじゃ ない 」 ロン の 声 が 引きつって いる 。

「 まあ 、 知ら なかった わ 」 ハーマイオニー が 驚いた ように ロン を 見た 。

「 クモ なんて へ 魔法 薬 で 何 回 も 使った じゃ ない ...!」

「 死んだ やつ なら かまわ ない んだ 」

ロン は 、 窓 に だけ に 目 を 向け ない ように 気 を つけ ながら 言った 。

「 あいつ ら の 動き 方 が いやな んだ ...」

ハーマイオニー が クスクス 笑った 。

「 何 が おかしい んだ よ 」

ロン は むき に なった 。

「 わけ を 知りたい なら 言う けど 、 僕 が 三 つ の とき 、 フレッド の おもちゃ の 箒 の 柄 を 折った ん で 、 あいつったら 僕 の ―― 僕 の テディ ・ ベア を バカで かい 大 蜘妹 に 変えちゃった んだ 。 考え て も みろ よ 。 いやだ ぜ 。 熊 の ぬいぐるみ を 抱いて る とき に 急に 脚 が ニョキニョキ 生えて き て 、 そして ...!」

ロン は 身震い して 言葉 を 途 切ら せた 。 ハーマイオニー は まだ 笑い を こらえて いる の が 見え 見 え だ 。

ハリー は 話題 を 変えた 方 が よ さ そうだ と 見て取った 。

「 ねえ 、 床 の 水溜り の こと 、 覚えて る ? あれ 、 どっから 来た 水 だろう 。 だれ か が 拭き取っちゃった けど 」 「 この あたり だった 」 ロン は 気 を 取り 直して フィルチ の 置いた 椅子 から 数 歩 離れた ところ まで 歩いて 行き 、 床 を 指 差し ながら 言った 。

「 この ドア の ところ だった 」 ロン は 、 真 鈴 の 取っ手 に 手 を 伸ばした が 、 やけど を した か の よう に 急に 手 を 引っ込めた 。 「 どうした の ?」

ハリー が 聞いた 。

「 ここ は 入れ ない 」 ロン が 困った ように 言った 。 「 女子 トイレ だ 」 「 あら 、 ロン 。 中 に は 誰 も いない わ よ 」 ハーマイオニー が 立ち上がって やってきた 。 「 そこ 、『 嘆き の マートル 』 の 場所 だ もの 。 いらっしゃい 。 覗いて みて みましょう 」 「 故障 中 」 と 大きく 書か れた 掲示 を 無視 して 、 ハーマイオニー が ドア を 開けた 。 ハリー は 今 まで 、 こんなに 陰気で 憂鬱な トイレ に 足 を 踏み入れた こと が なかった 。

大きな 鏡 は ひび割れ だらけ 、 しみ だらけ で 、 その 前 に あちこち 縁 の 欠けた 石 造り の 手洗い 台 が 、 ず らっと 並んで いる 。 床 は 湿っぽく 、 燭台 の 中 で 燃え尽き そうに なって いる 数 本 の 蝋燭 が 、 鈍い 灯り を 床 に 映して いた 。

一つ一つ 区切ら れた トイレ の 小 部屋 の 木 の 扉 は ペンキ が 剥げ 落ち 、 引っ掻き 傷 だらけ で 、 そ の うち の 一 枚 は 蝶番 が はずれて ぶら下がって いた 。

ハーマイオニー は シーッ と 指 を 唇 に 当て 、 一 番 奥 の 小 部屋 の 方 に 歩いて 行き 、 その 前 で 「 こ ん にち は 、 マートル 。 お 元気 ?」 と 声 を かけた 。

ハリー と ロン も 覗き に 行った 。 「 嘆き の マートル 」 は 、 トイレ の 水槽 の 上 で ふわふわ し なが ら 、 顎 の にきび を つぶして いた 。

「 ここ は 女子 の トイレ よ 」 マートル は ロン と ハリー を うさんくさ そうに 見た 。

「 この 人 たち 、 女 じゃ ない わ 」

「 ええ 、 そう ね 」 ハーマイオニー が 相槌 を 打った 。

「 わたし 、 この 人 たち に 、 ちょっと 見せ たかった の 。 つまり ―― えー と ―― ここ が 素敵な と こ だって ね 」

ハーマイオニー が 古ぼけて 薄汚れた 鏡 や 、 濡れた 床 の あたり を 漠然と 指差した 。

「 何 か 見 なかった かって 、 聞いて みて 」 ハリー が ハーマイオニー に 耳打ち した 。 「 なに を こそこそ して る の !」 マートル が ハリー を じっと 見た 。

「 なんでもない よ 。 僕たち 聞きたい こと が ...... J ハリー が 慌てて 言った 。 「 みんな 、 わたし の 陰口 を 言う の は やめて 欲しい の 」 マートル が 涙 で 声 を 詰まら せた 。

「 わたし 、 たしかに 死んで る けど 、 感情 は ちゃんと ある の よ 」

「 マートル 、 だ ー れ も あなた の 気持 を 傷つけよう なんて 思って ない わ 。 ハリー は ただ ――」 ハーマイオニー が 言った 。

「 傷つけよう と 思って ないで すって ! ご 冗談 でしょう !」 マートル が 喚 いた 。

「 わたし の 生きて る 間 の 人生って 、 この 学校 で 、 悲惨 そのもの だった 。 今度 は みんな が 、 死 んだ わたし の 人生 を 台無しに し に やってくる の よ !」

「 あなた が 近ごろ 何 か おかしな もの を 見 なかった か どう か 、 それ を 聞き たかった の 」 ハーマ イオニー が 急いで 聞いた 。

「 ちょうど あなた の 玄関 の ドア の 外 で 、 ハロウィーン の 日 に 、 猫 が 襲わ れた もの だ から 」

「 あの 夜 、 この あたり で 誰 か 見かけ なかった ?」 ハリー も 聞いた 。

「 そんな こと 、 気 に して いられ なかった わ 」 マートル は 興奮 気味に 言った 。 「 ビープズ が あんまり ひどい もの だ から 、 わたし 、 ここ に 入り込んで 自殺 しよう と した の 。 そ したら 、 当然だ けど 、 急に 思い出した の 。 わたしって ―― わたしって ――」 「 もう 死んで た 」 ロン が 助け 舟 を 出した 。 マートル は 悲劇 的な すすり泣き と ともに 空中 に 飛び上がり 、 向き を 変えて 、 真っ逆さまに 便 器 の 中 に 飛び込んだ 。

三 人 に 水飛沫 を 浴びせ 、 マートル は 姿 を 消した が 、 くぐもった すすり泣き の 聞こえて くる 方 向 から して 、 トイレ の U 字 溝 の どこ か で じっと して いる らしい 。

ハリー と ロン は 口 を ポカン と 開けて 突っ立って いた が 、 ハーマイオニー は やれやれ と いう 仕 種 を し ながら こう 言った 。

「 まったく 、 あれ でも マートル に して は 機嫌 が いい 方 な の よ ...... さあ 、 出ましょう か 」 マートル の ゴボゴボ と いう すすり泣き を 背 に 、 ハリー が トイレ の ドア を 閉める か 閉め ない か する うち に 、 大きな 声 が 聞こえて 、 三 人 は 飛び上がった 。 「 ロン !」

階段 の てっぺん で パーシー ・ ウィーズリー が ピタッ と 立ち止まって いた 。 監督 生 の バッジ を きらめか せ 、 徹底 的に 衝撃 を 受けた 表情 だった 。

「 そこ は 女子 トイレ だ !」 パーシー が 息 を 呑 んだ 。

「 君 たち 男子 が 、 いったい 何 を !――」

「 ちょっと 探して た だけ だ よ 」 ロン が 肩 を すぼめて 、 なんでもない と いう 身ぶり を した 。

「 ほら 、 手掛かり を ね ......」 パーシー は 体 を 膨らま せた 。

ハリー は それ が ウィーズリー おばさん そっくり だ と 思った 。

「 そこ ―― から ―― とっとと ―― 離れる んだ 」

パーシー は 大股 で 近づいて きて 、 腕 を 振って 三 人 を そこ から 追い立て はじめた 。

「 人 が 見たら どう 思う か わから ない の か ? みんな が 夕食 の 席 に ついて いる のに 、 また ここ に 戻って くる なんて ......」

「 なんで 僕たち が ここ に いちゃ いけない んだ よ 」 ロン が 熱く なった 。

急に 立ち止まり 、 パーシー を にらみつけた 。

「 いい かい 。 僕たち 、 あの 猫 に 指 一 本 触れて ない んだ ぞ !」

「 僕 も ジニー に そう 言って やった よ 」 パーシー も 語気 を 強めた 。

「 だけど 、 あの 子 は 、 それ でも 君 たち が 退学 処分 に なる と 思って る 。 あんなに 心 を 痚 め て 、 目 を 泣き腫らして る ジニー を 見る の は 初めて だ 。 尐 し は あの 子 の こと も 考えて やれ 。 1 年生 は みんな 、 この 事件 で 神経 を すり減らして る んだ ――」

「 兄さん は ジニー の こと を 心配 して る んじゃ ない 」 ロン の 耳 が 今や 真っ赤に なり つつ あった 。 「 兄さん が 心配 して る の は 、 首席 に なる チャンス を 、 僕 が 台無しに するって こと な んだ 」 「 グリフィンドール 、 五 点 減点 !」 パーシー は 監督 生 バッジ を 指 で いじり ながら パシッ と 言った 。 「 これ で おまえ に は いい 薬 に なる だろう 。 探偵 ごっこ は もう やめ に しろ 。 さ も ない と ママ に 手紙 を 書く ぞ !」

パーシー は 大股 で 歩き 去った が 、 その 首筋 は ロン の 耳 に 負け ず 务 ら ず 真っ赤だった 。

その 夜 、 ハリー 、 ロン 、 ハーマイオニー の 三 人 は 、 談話 室 で できる だけ パーシー から 離れた 場所 を 選んだ 。

ロン は まだ 機嫌 が 直ら ず 、「 妖精 の 魔法 」 の 宿題 に インク の しみ ばかり 作って いた 。

インク じみ を 拭おう と ロン が 何気なく 杖 に 手 を 伸ばした とき 、 杖 が 発火 して 羊 皮 紙 が 燃え だ した 。

ロン も 宿題 と 同じ ぐらい に カッカ と 熟 く なり 、「 標準 呪文 集 ・ 二 学年 用 」 を バタン と 閉じて しまった 。

驚いた こと に 、 ハーマイオニー も ロン に 「 右 倣え 」 を した 。

「 だけど いったい 何者 かしら ?」

ハーマイオニー の 声 は 落ち着いて いた 。 まるで それ まで の 会話 の 続き の ように 自然だった 。

「 でき 損ない の スクイブ や マグル 出身 の 子 を ホグワーツ から 追い出したい と 願って る の は ... ... 誰 J 「 それでは 考えて みましょう 」 ロン は わざと 頭 を ひねって 見せた 。 「 我々 の 知っている 人 の 中 で 、 マグル 生まれ は くず だ ! と 思って いる 人物 は 誰 でしょう ?」

ロン は ハーマイオニー の 顔 を 見た 。 ハーマイオニー は 、 まさか 、 と いう 顔 で ロン を 見返し た 。

「 もし かして 、 あなた 、 マルフォイ の こと を 言って る の ?」

「 モチ の ロン さ !」 ロン が 言った 。

「 あいつ が 言った こと 聞いたろう !『 次 は おまえたち だ ぞ 、『 穢 れた 血 』 め !』って 。 しっか りしろ よ 。 あいつ の 腐った ねずみ 顔 を 見た だけ で 、 あいつ だって わかり そうな もん だ ろ 」

「 マルフォイ が 、 スリザリン の 継承 者 !」

ハーマイオニー が 、 それ は 疑わしい と いう 顔 を した 。

「 あいつ の 家族 を 見て くれよ 」 ハリー も 教科 書 を パタン と 閉じた 。

「 あの 家系 は 全部 スリザリン 出身 だ 。 あいつ 、 いつも それ を 自慢 して る 。 あいつ ら なら スリ ザリン の 末 商 だって おかしく は ない 。 あいつ の 父親 も どこ から 見て も 悪玉 だ よ 」

「 あいつ ら なら 、 何 世紀 も 『 秘密の 部屋 』 の 鍵 を 預かって いた かも しれ ない 。 親 から 子 へ 代々 伝えて ......」 ロン が 言った 。

「 そう ね 」 ハーマイオニー は 慎重だ 。

「 その 可能 性 は ある と 思う わ ......」

「 でも 、 どう やって 証明 する !」 ハリー の 顔 が 曇った 。

「 方法 が ない こと は ない わ 」 ハーマイオニー は 考え ながら 話した 。

そして 、 いっそう 声 を 落とし 、 部屋 の むこうに いる パーシー を 盗み 見 ながら 言った 。

「 もちろん 、 難しい の 。 それ に 危険だ わ 。 とっても 。 学校 の 規則 を ざっと 五十 は 破る こと に なる わ ね 」

「 あと 一 カ月 ぐらい して 、 もし 君 が 説明 して も いい と いう お 気持 に お なり に なったら 、 その とき は 僕たち に ご 連絡 ください ませ 、 だ 」 ロン は イライラ して いた 。

「 承知 しました 、 だ 」 ハーマイオニー が 冷たく 言った 。 「 何 を やら なければ なら ない か と いう と ね 、 わたし たち が スリザリン の 談話 室 に 入り込 ん で 、 マルフォイ に 正体 を 気づか れ ず に 、 いくつか 質問 する こと な の よ 」 「 だけど 、 不可能だ よ 」 ハリー が 言った 。 ロン は 笑った 。

「 いいえ 、 そんな こと ない わ 」 ハーマイオニー が 言った 。

「 ポリジュース 薬 が 尐 し 必要な だけ よ 」

「 それ 、 なに ?」 ロン と ハリー が 同時に 聞いた 。

「 数 週間 前 、 スネイプ が クラス で 話して た ――」

「 魔法 薬 の 授業 中 に 、 僕たち 、 スネイプ の 話 を 闘い てる と 思って る の ? もっと ましな こと を やって る よ 」

ロン が ぶつぶつ 言った 。

「 自分 以外 の 誰 か に 変身 できる 薬 な の 。 考えて も みて よく 。 わたし たち 三 人 で 、 スリザリン の 誰 か 三 人 に 変身 する の 。 誰 も わたし たち の 正体 を 知ら ない 。 マルフォイ は たぶん 、 なんで も 話して くれる わ 。 今ごろ 、 スリザリン 寮 の 談話 室 で 、 マルフォイ が その 自慢 話 の 真っ最中 かも しれ ない 。 それ さえ 開ければ 」

「 その ポリジュース なんとかって 、 尐 し 危なっかしい な 」 ロン が しかめっ面 を した 「 もし 、 元 に 戻れ なくて 、 永久 に スリザリン の 誰 か 三 人 の 姿 の まま だったら どう する ?」 「 しばらく する と 効き目 は 切れる の 」 ハーマイオニー が もどかし げ に 手 を 振った 。 「 むしろ 材料 を 手 に 入れる の が とって も 難しい 。 『 最も 強力な 薬 』 と いう 本 に それ が 書いて あるって 、 スネイプ が そう 言って た わ 。 その 本 、 きっと 図書 館 の 『 禁 書 』 の 棚 に ある はずだ わ 」

「 禁 書 」 の 棚 の 本 を 持ち出す 方法 は たった 一 つ 、 先生 の サイン 入り の 許可 証 を もらう こと だった 。

「 でも 、 薬 を 作る つもり は ない けど 、 そんな 本 が 読みたいって 言ったら 、 そりゃ 変 だって 思 われる だろう ?」 ロン が 言った 。 「 たぶん 」 ハーマイオニー は かまわ ず 続けた 。 「 理論 的な 興味 だけ なん だって 思い込ま せれば 、 もしかしたら うまく いく かも ......」 「 な ー に 言って る んだ か 。 先生 だって そんなに 甘く ない ぜ 」 ロン が 言った 。 「―― でも ...... だまさ れる と したら 、 よっぽど 鈍い 先生 だ な ......」

9.2 壁に書かれた文字 - The Writing on the Wall かべ に かか れた もじ|the|writing|||wall 9.2 Die Schrift an der Wand - Die Schrift an der Wand 9.2 The Writing on the Wall 9.2 Pismo na ścianie - Pismo na ścianie 9.2 A escrita na parede - A escrita na parede 9.2 Skriften på väggen - Skriften på väggen 9.2 不祥之兆

「 サラザール ・ スリザリンって 、 狂った 変人 だって こと 、 それ は 知って た さ 」  授業 が 終わり 、 夕食 前 に 寮 に カバン を 置き に 行く 生徒 で 、 廊下 は ごった返して いた が 、 人 混 み を 掻き分け ながら ロン が ハリー と ハーマイオニー に 話しかけた 。 |スリザリン って|くるった|へんじん|||||しって|||じゅぎょう||おわり|ゆうしょく|ぜん||りょう||かばん||おき||いく|せいと||ろうか||ごったがえして|||じん|こん|||かきわけ||||||||はなしかけた 「 でも 、 知ら なかった なあ 、 例の 純血 主義 の なんのって スリザリン が 言いだした なんて 。 |しら|||れいの|じゅんけつ|しゅぎ||なんの って|||いいだした| "But I didn't know, Slytherin said what the pure-blooded principle was. 僕 なら お 金 を もらったって 、 そんな やつ の 寮 に 入る もん か 。 ぼく|||きむ||もらった って||||りょう||はいる|| If I got the money, would I go to that kind of dormitory? はっきり 言って 、 組 分け 帽子 が も し 僕 を スリザリン に 入れて たら 、 僕 、 汽車 に 飛び乗って まっすぐ 家 に 帰って たな ......」 |いって|くみ|わけ|ぼうし||||ぼく||||いれて||ぼく|きしゃ||とびのって||いえ||かえって|

ハーマイオニー も 「 そう 、 そう 」 と 頷いた が 、 ハリー は 何も 言わ なかった 。 |||||うなずいた||||なにも|いわ| Hermione nodded, "Yes, yes," but Harry didn't say anything. 胃袋 が ドスン と 落ち込んだ ような 気味の 悪 さ だった 。 いぶくろ||どすん||おちこんだ||ぎみの|あく||

組 分け 帽子 が ハリー を スリザリン に 入れる こと を 本気で 考えた と いう こと を 、 ハリー は ロン に も ハーマイオニー に も 一 度 も 話して い なかった 。 くみ|わけ|ぼうし||||||いれる|||ほんきで|かんがえた|||||||||||||ひと|たび||はなして||

一 年 前 、 帽子 を かぶった とき 、 ハリー の 耳元 で 聞こえた ささやき 声 を 、 ハリー は 昨日 の こと の ように 覚えて いる 。 ひと|とし|ぜん|ぼうし||||||みみもと||きこえた||こえ||||きのう|||||おぼえて|

「 君 は 偉大に なれる 可能 性 が ある んだ よ 。 きみ||いだいに||かのう|せい|||| "You have the potential to be great. その すべて は 君 の 頭 の 中 に ある 。 |||きみ||あたま||なか|| スリザリン に 入 れば まちがい なく 偉大に なる 道 が 開ける ......」 ||はい||||いだいに||どう||あける

しかし 、 スリザリン が 、 多く の 闇 の 魔法使い を 卒業 さ せた と いう 評判 を 聞いて いた ハリー は 、 心 の 中 で 「 スリザリン は ダメ !」 と 必死で 思い 続けて いた 。 |||おおく||やみ||まほうつかい||そつぎょう|||||ひょうばん||きいて||||こころ||なか||||だめ||ひっしで|おもい|つづけて|

すると 帽子 が 「 よろしい 、 君 が そう 確信 して いる なら ...... むしろ グリフィンドール !」 と 叫 んだ のだった 。 |ぼうし|||きみ|||かくしん|||||||さけ||

人波 に 流されて 行く 途中 、 コリン ・ クリーピー が そば を 通った 。 ひとなみ||ながさ れて|いく|とちゅう||||||かよった Colin Creepy passed by on the way to being swept away by the waves. 「 や ー 、 ハリー !」 |-|

「 や ぁ 、 コリン 」 ハリー は 機械 的に 忚 えた 。 |||||きかい|てきに|| 「 ハリー 、 ハリー 、 僕 の クラス の 子 が 言って た んだ けど 、 君って ......」 しかし 、 コリン は 小 さ 過ぎて 、 人波 に 逆らえ ず 、 大広間 の 万 に 流されて 行った 。 ||ぼく||くらす||こ||いって||||きみ って||||しょう||すぎて|ひとなみ||さからえ||おおひろま||よろず||ながさ れて|おこなった "Harry, Harry, a kid in my class was just telling me about you. ......" However, Colin was too small to resist the crowd and was swept away by the 10,000 people in the hall. 「 あと で ね 、 ハリー !」 と 叫ぶ 声 を 残して コリン は 行って しまった 。 |||||さけぶ|こえ||のこして|||おこなって|

「 クラス の 子 が あなた の こと 、 なんて 言って た の かしら ?」 くらす||こ||||||いって|||

ハーマイオニー が いぶかった 。

「 僕 が スリザリン の 継承 者 だ と か 言って た んだ ろ 」 ぼく||||けいしょう|もの||||いって||| "I was saying that I was the heir to Slytherin."

昼食 の とき 、 ジャスティン ・ フィンチ ・ フレッチリー が 、 ハリー から 逃げて 行った 様子 を 急 に 思い出して 、 ハリー は また 数 センチ 胃 が 落ち込む ような 気 が した 。 ちゅうしょく|||||||||にげて|おこなった|ようす||きゅう||おもいだして||||すう|せんち|い||おちこむ||き|| At lunch, I suddenly remembered Justin Finch-Fletchery escaping from Harry, and Harry felt like he was feeling depressed again a few centimeters.

「 ここ の 連中 と きたら 、 何でも 信じ込む んだ から 」 ロン が 吐き捨てる ように 言った 。 ||れんちゅう|||なんでも|しんじこむ|||||はきすてる||いった They'll believe anything," Ron spat. 混雑 も 一 段落 して 、 三 人 は 楽に 次の 階段 を 上る こと が できた 。 こんざつ||ひと|だんらく||みっ|じん||らくに|つぎの|かいだん||のぼる||| 「『 秘密の 部屋 』 が あるって 、 君 、 ほんとうに そう 思う ?」 ロン が ハーマイオニー に 問いかけた 。 ひみつの|へや||ある って|きみ|||おもう|||||といかけた 「 わから ない けど 」

ハーマイオニー は 眉 根 に シワ を 寄せた 。 ||まゆ|ね||しわ||よせた

「 ダンブルドア が ミセス ・ ノリス を 治して やれ なかった 。 |||||なおして|| "Dumbledore couldn't cure Mrs. Norris. と いう こと は 、 わたし 考えた んだ けど 、 猫 を 襲った の は 、 もしかしたら ウーン ―― ヒト じゃ ない かも しれ ない 」 |||||かんがえた|||ねこ||おそった||||うーん|ひと||||| I thought, but it was probably Woo-not a human who attacked the cat. "

ハーマイオニー が そう 言った とき 、 三 人 は ちょうど 角 を 曲がり 、 ずばり あの 事件 が あった 廊 下 の 端に 出た 。 |||いった||みっ|じん|||かど||まがり|||じけん|||ろう|した||はしたに|でた As Hermione said this, the three of them had just turned the corner and were at the end of the hallway where the incident had taken place. 三 人 は 立ち止まって 、 三 人 は 顔 を 見合わせた 。 みっ|じん||たちどまって|みっ|じん||かお||みあわせた The three stopped, and the three looked at each other. 現場 は ちょうど あの 夜 と 同じ ようだった 。 げんば||||よ||おなじ| 松明 の 腕 木 に 硬直 した 猫 が ぶら下がって いない こと と 、 壁 を 背 に 椅子 が ぽつ ん と 置かれて いる こと だけ が あの 夜 と は 違って いる 。 たいまつ||うで|き||こうちょく||ねこ||ぶらさがって||||かべ||せ||いす|||||おか れて||||||よ|||ちがって| The only difference from that night is that there is no rigid cat hanging from the armrest of the torch and the chair is placed against the wall. 壁 に は 「 秘密の 部屋 は 開か れたり 」 と 書 かれた まま だ 。 かべ|||ひみつの|へや||あか|||しょ|||

「 あそこ 、 フィルチ が 見張って いる 所 だ 」 ロン が 呟いた 。 |||みはって||しょ||||つぶやいた That's where Filch is watching," Ron muttered. 廊下 に は 人っ子 一 人 いない 。 ろうか|||じん っこ|ひと|じん| There is no one in the corridor. 三 人 は 顔 を 見合わせた 。 みっ|じん||かお||みあわせた 「 ちょっと 調べたって 悪く ないだ ろ 」 ハリー は カバン を 放り出し 、 四 つ ん 這い に なって 、 何 か 手掛り は ない か と 探し回った 。 |しらべた って|わるく|||||かばん||ほうりだし|よっ|||はい|||なん||てがかり|||||さがしまわった "It's not bad to do a little research." Harry threw his bag out, crawls on all fours, and hunted for clues. 「 焼け焦げ だ ! あっち に も ―― こっち に も ――」 ハリー が 言った 。 やけこげ||あっ ち||||||||いった "It's burnt! Over there--over here--" Harry said. 「 来て みて ! 変だ わ 」 ハーマイオニー が 呼んだ 。 きて||へんだ||||よんだ ハリー は 立ち上がって 、 壁 の 文字 の すぐ 脇 に ある 窓 に 近づいて いった 。 ||たちあがって|かべ||もじ|||わき|||まど||ちかづいて| Harry stood up and approached the window right next to the writing on the wall.

ハーマイオニー は 一 番 上 の 窓 ガラス を 指差して いる 。 ||ひと|ばん|うえ||まど|がらす||ゆびさして| 二十 匹 あまり の クモ が 、 ガラス の 小さ な 割れ目 から ガザガザ と 先 を 争って 這い 出そう と して いた 。 にじゅう|ひき|||くも||がらす||ちいさ||われめ||||さき||あらそって|はい|だそう||| 慌てた クモ たち が 全部 一 本 の 綱 を 上って 行った か の ように 、 クモ の 糸 が 長い 銀色 の 綱 の ように 垂れ下がって いる 。 あわてた|くも|||ぜんぶ|ひと|ほん||つな||のぼって|おこなった||||くも||いと||ながい|ぎんいろ||つな|||たれさがって| The spider's thread hangs down like a long silver rope, as if all the hurried spiders had climbed up a single rope.

「 クモ が あんなふうに 行動 する の を 見た こと ある ?」 ハーマイオニー が 不思議 そうに 言った 。 くも|||こうどう||||みた|||||ふしぎ|そう に|いった 「 う うん 」 ハリー が 忚 えた 。

「 ロン 、 君 は ! ロン !」 |きみ||

ハリー が 振り返る と 、 ロン は ずっと 彼方 に 立って いて 、 逃げ出したい の を 必死で こらえて い る ようだった 。 ||ふりかえる|||||かなた||たって||にげだし たい|||ひっしで|||| When Harry turned around, Ron seemed to be standing far away, desperately trying to escape. 「 どうし たんだい ?」 ハリー が 聞いた 。 どう し||||きいた

「 僕 ―― クモ が ―― 好きじゃ ない 」 ロン の 声 が 引きつって いる 。 ぼく|くも||すきじゃ||||こえ||ひきつって|

「 まあ 、 知ら なかった わ 」 ハーマイオニー が 驚いた ように ロン を 見た 。 |しら|||||おどろいた||||みた

「 クモ なんて へ 魔法 薬 で 何 回 も 使った じゃ ない ...!」 くも|||まほう|くすり||なん|かい||つかった|| "I didn't use spiders with magical medicine many times ...!"

「 死んだ やつ なら かまわ ない んだ 」 しんだ||||| "If he's dead, I don't care."

ロン は 、 窓 に だけ に 目 を 向け ない ように 気 を つけ ながら 言った 。 ||まど||||め||むけ|||き||||いった Ron said, being careful not to look only at the windows.

「 あいつ ら の 動き 方 が いやな んだ ...」 |||うごき|かた||| "I don't like how they move ..."

ハーマイオニー が クスクス 笑った 。 ||くすくす|わらった

「 何 が おかしい んだ よ 」 なん|||| "What's wrong?"

ロン は むき に なった 。 Ron protested, "I don't protest.

「 わけ を 知りたい なら 言う けど 、 僕 が 三 つ の とき 、 フレッド の おもちゃ の 箒 の 柄 を 折った ん で 、 あいつったら 僕 の ―― 僕 の テディ ・ ベア を バカで かい 大 蜘妹 に 変えちゃった んだ 。 ||しり たい||いう||ぼく||みっ||||||||そう||え||おった|||あいつ ったら|ぼく||ぼく|||べあ||ばかで||だい|くもいもうと||かえちゃ った| "If you want to know why, when I was three, I broke the handle of Fred's toy broom, and when he did, I turned my teddy bear into a stupid big sister. I got it. 考え て も みろ よ 。 かんがえ|||| Think about it. いやだ ぜ 。 熊 の ぬいぐるみ を 抱いて る とき に 急に 脚 が ニョキニョキ 生えて き て 、 そして ...!」 くま||||いだいて||||きゅうに|あし|||はえて||| When I was holding a teddy bear, my legs suddenly grew up, and ...! "

ロン は 身震い して 言葉 を 途 切ら せた 。 ||みぶるい||ことば||と|きら| ハーマイオニー は まだ 笑い を こらえて いる の が 見え 見 え だ 。 |||わらい||||||みえ|み|| Hermione can still be seen holding back laughter.

ハリー は 話題 を 変えた 方 が よ さ そうだ と 見て取った 。 ||わだい||かえた|かた||||そう だ||みてとった

「 ねえ 、 床 の 水溜り の こと 、 覚えて る ? あれ 、 どっから 来た 水 だろう 。 |とこ||みずたまり|||おぼえて|||ど っ から|きた|すい| だれ か が 拭き取っちゃった けど 」 「 この あたり だった 」 |||ふきとっちゃ った|||| Someone wiped it off. "" It was around here. " ロン は 気 を 取り 直して フィルチ の 置いた 椅子 から 数 歩 離れた ところ まで 歩いて 行き 、 床 を 指 差し ながら 言った 。 ||き||とり|なおして|||おいた|いす||すう|ふ|はなれた|||あるいて|いき|とこ||ゆび|さし||いった Ron regained his temper and walked a few steps away from Filch's chair, pointing at the floor.

「 この ドア の ところ だった 」 ロン は 、 真 鈴 の 取っ手 に 手 を 伸ばした が 、 やけど を した か の よう に 急に 手 を 引っ込めた 。 |どあ||||||まこと|すず||とって||て||のばした|||||||||きゅうに|て||ひっこめた Ron reached for the handle of the bell, but suddenly withdrew his hand as if he had been burned. 「 どうした の ?」

ハリー が 聞いた 。 ||きいた

「 ここ は 入れ ない 」 ロン が 困った ように 言った 。 ||いれ||||こまった||いった "You can't come in here." Ron said in a troubled voice. 「 女子 トイレ だ 」 「 あら 、 ロン 。 じょし|といれ||| 中 に は 誰 も いない わ よ 」 ハーマイオニー が 立ち上がって やってきた 。 なか|||だれ|||||||たちあがって| 「 そこ 、『 嘆き の マートル 』 の 場所 だ もの 。 |なげき||||ばしょ|| いらっしゃい 。 Welcome . 覗いて みて みましょう 」 「 故障 中 」 と 大きく 書か れた 掲示 を 無視 して 、 ハーマイオニー が ドア を 開けた 。 のぞいて||み ましょう|こしょう|なか||おおきく|かか||けいじ||むし||||どあ||あけた ハリー は 今 まで 、 こんなに 陰気で 憂鬱な トイレ に 足 を 踏み入れた こと が なかった 。 ||いま|||いんきで|ゆううつな|といれ||あし||ふみいれた|||

大きな 鏡 は ひび割れ だらけ 、 しみ だらけ で 、 その 前 に あちこち 縁 の 欠けた 石 造り の 手洗い 台 が 、 ず らっと 並んで いる 。 おおきな|きよう||ひびわれ||||||ぜん|||えん||かけた|いし|つくり||てあらい|だい|||ら っと|ならんで| 床 は 湿っぽく 、 燭台 の 中 で 燃え尽き そうに なって いる 数 本 の 蝋燭 が 、 鈍い 灯り を 床 に 映して いた 。 とこ||しめっぽく|しょくだい||なか||もえつき|そう に|||すう|ほん||ろうそく||にぶい|ともり||とこ||うつして| The floor was damp, and a few candles nearly burnt out in a candlestick cast a dull glow on the floor.

一つ一つ 区切ら れた トイレ の 小 部屋 の 木 の 扉 は ペンキ が 剥げ 落ち 、 引っ掻き 傷 だらけ で 、 そ の うち の 一 枚 は 蝶番 が はずれて ぶら下がって いた 。 ひとつひとつ|くぎら||といれ||しょう|へや||き||とびら||ぺんき||はげ|おち|ひっかき|きず|||||||ひと|まい||ちょうつがい|||ぶらさがって| The wooden doors in the small rooms of the toilets, which were separated one by one, had paint peeled off and were full of scratches, and one of them had its hinges detached and hung.

ハーマイオニー は シーッ と 指 を 唇 に 当て 、 一 番 奥 の 小 部屋 の 方 に 歩いて 行き 、 その 前 で 「 こ ん にち は 、 マートル 。 ||||ゆび||くちびる||あて|ひと|ばん|おく||しょう|へや||かた||あるいて|いき||ぜん|||||| お 元気 ?」 と 声 を かけた 。 |げんき||こえ|| How are you? I asked him, "How are you?

ハリー と ロン も 覗き に 行った 。 ||||のぞき||おこなった 「 嘆き の マートル 」 は 、 トイレ の 水槽 の 上 で ふわふわ し なが ら 、 顎 の にきび を つぶして いた 。 なげき||||といれ||すいそう||うえ||||な が||あご||||| "Moaning Myrtle" was fluffy on the toilet aquarium, crushing acne on his chin.

「 ここ は 女子 の トイレ よ 」 マートル は ロン と ハリー を うさんくさ そうに 見た 。 ||じょし||といれ|||||||||そう に|みた

「 この 人 たち 、 女 じゃ ない わ 」 |じん||おんな|||

「 ええ 、 そう ね 」 ハーマイオニー が 相槌 を 打った 。 |||||あいづち||うった

「 わたし 、 この 人 たち に 、 ちょっと 見せ たかった の 。 ||じん||||みせ|| "I wanted to show these people a little. つまり ―― えー と ―― ここ が 素敵な と こ だって ね 」 |||||すてきな|||| In other words ――Um ――This is a wonderful place. "

ハーマイオニー が 古ぼけて 薄汚れた 鏡 や 、 濡れた 床 の あたり を 漠然と 指差した 。 ||ふるぼけて|うすよごれた|きよう||ぬれた|とこ||||ばくぜんと|ゆびさした Hermione vaguely pointed to an old, dingy mirror or a wet floor.

「 何 か 見 なかった かって 、 聞いて みて 」 ハリー が ハーマイオニー に 耳打ち した 。 なん||み|||きいて||||||みみうち| "Hear me, if you didn't see anything," Harry listened to Hermione. 「 なに を こそこそ して る の !」 マートル が ハリー を じっと 見た 。 |||||||||||みた

「 なんでもない よ 。 僕たち 聞きたい こと が ...... J ハリー が 慌てて 言った 。 ぼくたち|きき たい|||j|||あわてて|いった 「 みんな 、 わたし の 陰口 を 言う の は やめて 欲しい の 」 マートル が 涙 で 声 を 詰まら せた 。 |||かげぐち||いう||||ほしい||||なみだ||こえ||つまら|

「 わたし 、 たしかに 死んで る けど 、 感情 は ちゃんと ある の よ 」 ||しんで|||かんじょう||||| "I'm dead, but I have emotions."

「 マートル 、 だ ー れ も あなた の 気持 を 傷つけよう なんて 思って ない わ 。 ||-|||||きもち||きずつけよう||おもって|| "Myrtle, no one wants to hurt your feelings. ハリー は ただ ――」 ハーマイオニー が 言った 。 |||||いった

「 傷つけよう と 思って ないで すって ! ご 冗談 でしょう !」 マートル が 喚 いた 。 きずつけよう||おもって||||じょうだん||||かん| "Don't try to hurt! You're kidding!" Myrtle exclaimed.

「 わたし の 生きて る 間 の 人生って 、 この 学校 で 、 悲惨 そのもの だった 。 ||いきて||あいだ||じんせい って||がっこう||ひさん|その もの| My whole life has been a misery in this school. 今度 は みんな が 、 死 んだ わたし の 人生 を 台無しに し に やってくる の よ !」 こんど||||し||||じんせい||だいなしに||||| Now they're all coming to ruin my life now that I'm dead!

「 あなた が 近ごろ 何 か おかしな もの を 見 なかった か どう か 、 それ を 聞き たかった の 」 ハーマ イオニー が 急いで 聞いた 。 ||ちかごろ|なん|||||み|||||||きき||||||いそいで|きいた

「 ちょうど あなた の 玄関 の ドア の 外 で 、 ハロウィーン の 日 に 、 猫 が 襲わ れた もの だ から 」 |||げんかん||どあ||がい||||ひ||ねこ||おそわ||||

「 あの 夜 、 この あたり で 誰 か 見かけ なかった ?」 ハリー も 聞いた 。 |よ||||だれ||みかけ||||きいた

「 そんな こと 、 気 に して いられ なかった わ 」 マートル は 興奮 気味に 言った 。 ||き|||いら れ|||||こうふん|ぎみに|いった "I didn't care about that," Myrtle said with excitement. 「 ビープズ が あんまり ひどい もの だ から 、 わたし 、 ここ に 入り込んで 自殺 しよう と した の 。 ||||||||||はいりこんで|じさつ|||| "Because the beeps are so terrible, I tried to get in here and commit suicide. そ したら 、 当然だ けど 、 急に 思い出した の 。 ||とうぜんだ||きゅうに|おもいだした| Then, of course, I suddenly remembered it. わたしって ―― わたしって ――」 「 もう 死んで た 」 ロン が 助け 舟 を 出した 。 わたし って|わたし って||しんで||||たすけ|ふね||だした I --- I-- "" I'm dead "Ron set out a rescue boat. マートル は 悲劇 的な すすり泣き と ともに 空中 に 飛び上がり 、 向き を 変えて 、 真っ逆さまに 便 器 の 中 に 飛び込んだ 。 ||ひげき|てきな|すすりなき|||くうちゅう||とびあがり|むき||かえて|まっさかさまに|びん|うつわ||なか||とびこんだ

三 人 に 水飛沫 を 浴びせ 、 マートル は 姿 を 消した が 、 くぐもった すすり泣き の 聞こえて くる 方 向 から して 、 トイレ の U 字 溝 の どこ か で じっと して いる らしい 。 みっ|じん||みずしぶき||あびせ|||すがた||けした|||すすりなき||きこえて||かた|むかい|||といれ||u|あざ|みぞ|||||||| After splashing water on the three, Myrtle disappeared, but from the direction of the muffled sobbing, it seems that he was still somewhere in the U-shaped groove of the toilet.

ハリー と ロン は 口 を ポカン と 開けて 突っ立って いた が 、 ハーマイオニー は やれやれ と いう 仕 種 を し ながら こう 言った 。 ||||くち||||あけて|つったって||||||||し|しゅ|||||いった Harry and Ron stood up with their mouths open, but Hermione said, doing the trick of doing it.

「 まったく 、 あれ でも マートル に して は 機嫌 が いい 方 な の よ ...... さあ 、 出ましょう か 」  マートル の ゴボゴボ と いう すすり泣き を 背 に 、 ハリー が トイレ の ドア を 閉める か 閉め ない か する うち に 、 大きな 声 が 聞こえて 、 三 人 は 飛び上がった 。 |||||||きげん|||かた|||||で ましょう|||||||すすりなき||せ||||といれ||どあ||しめる||しめ||||||おおきな|こえ||きこえて|みっ|じん||とびあがった "Absolutely, I'm in a good mood for Myrtle ... let's get out." Harry closes or doesn't close the toilet door with Myrtle's gobogobo sobbing on his back. Meanwhile, a loud voice was heard, and the three jumped up. 「 ロン !」

階段 の てっぺん で パーシー ・ ウィーズリー が ピタッ と 立ち止まって いた 。 かいだん|||||||||たちどまって| 監督 生 の バッジ を きらめか せ 、 徹底 的に 衝撃 を 受けた 表情 だった 。 かんとく|せい||ばっじ||||てってい|てきに|しょうげき||うけた|ひょうじょう| The coach's badge flashed and he looked thoroughly shocked.

「 そこ は 女子 トイレ だ !」 パーシー が 息 を 呑 んだ 。 ||じょし|といれ||||いき||どん|

「 君 たち 男子 が 、 いったい 何 を !――」 きみ||だんし|||なん|

「 ちょっと 探して た だけ だ よ 」 ロン が 肩 を すぼめて 、 なんでもない と いう 身ぶり を した 。 |さがして|||||||かた||||||みぶり|| "I was just looking for it." Ron shrugged and pretended to be nothing.

「 ほら 、 手掛かり を ね ......」 パーシー は 体 を 膨らま せた 。 |てがかり|||||からだ||ふくらま| "Look, give me a clue ..." Percy inflated his body.

ハリー は それ が ウィーズリー おばさん そっくり だ と 思った 。 |||||||||おもった

「 そこ ―― から ―― とっとと ―― 離れる んだ 」 |||はなれる| "There --- from --- suddenly --- I'm leaving."

パーシー は 大股 で 近づいて きて 、 腕 を 振って 三 人 を そこ から 追い立て はじめた 。 ||おおまた||ちかづいて||うで||ふって|みっ|じん||||おいたて| Percy approached with a wide stride and began to wave his arms in the air to drive the three of them away.

「 人 が 見たら どう 思う か わから ない の か ? みんな が 夕食 の 席 に ついて いる のに 、 また ここ に 戻って くる なんて ......」 じん||みたら||おもう||||||||ゆうしょく||せき||||||||もどって|| "Don't you know what people think when you see it? Everyone is sitting at the supper, but they're coming back here ..."

「 なんで 僕たち が ここ に いちゃ いけない んだ よ 」 ロン が 熱く なった 。 |ぼくたち||||||||||あつく| "Why can't we be here?" Ron got hot.

急に 立ち止まり 、 パーシー を にらみつけた 。 きゅうに|たちどまり||| Suddenly I stopped and glanced at Percy.

「 いい かい 。 " Mind you . 僕たち 、 あの 猫 に 指 一 本 触れて ない んだ ぞ !」 ぼくたち||ねこ||ゆび|ひと|ほん|ふれて||| We haven't touched that cat with one finger! "

「 僕 も ジニー に そう 言って やった よ 」 パーシー も 語気 を 強めた 。 ぼく|||||いって|||||ごき||つよめた "I told Genie that too." Percy also strengthened his vocabulary.

「 だけど 、 あの 子 は 、 それ でも 君 たち が 退学 処分 に なる と 思って る 。 ||こ||||きみ|||たいがく|しょぶん||||おもって| "But that child still thinks you guys will be expelled. あんなに 心 を 痚 め て 、 目 を 泣き腫らして る ジニー を 見る の は 初めて だ 。 |こころ|||||め||なきはらして||||みる|||はじめて| It's the first time I've seen Ginny with such an itchy heart and crying and swollen eyes. 尐 し は あの 子 の こと も 考えて やれ 。 ||||こ||||かんがえて| Think about that child as well. 1 年生 は みんな 、 この 事件 で 神経 を すり減らして る んだ ――」 ねんせい||||じけん||しんけい||すりへらして|| All the first-year students are going through a nerve-wracking time with this case."

「 兄さん は ジニー の こと を 心配 して る んじゃ ない 」 ロン の 耳 が 今や 真っ赤に なり つつ あった 。 にいさん||||||しんぱい|||||||みみ||いまや|まっかに||| "My brother isn't worried about Genie." Ron's ears were now turning bright red. 「 兄さん が 心配 して る の は 、 首席 に なる チャンス を 、 僕 が 台無しに するって こと な んだ 」 「 グリフィンドール 、 五 点 減点 !」 パーシー は 監督 生 バッジ を 指 で いじり ながら パシッ と 言った 。 にいさん||しんぱい|||||しゅせき|||ちゃんす||ぼく||だいなしに|する って|||||いつ|てん|げんてん|||かんとく|せい|ばっじ||ゆび||||||いった "My brother is worried that I'm ruining my chance to be the chief." "Gryffindor, five points deducted!" Percy slammed the director's badge with his finger. rice field . 「 これ で おまえ に は いい 薬 に なる だろう 。 ||||||くすり||| "This will be a good medicine for you. 探偵 ごっこ は もう やめ に しろ 。 たんてい|||||| Stop playing detectives anymore. さ も ない と ママ に 手紙 を 書く ぞ !」 ||||まま||てがみ||かく|

パーシー は 大股 で 歩き 去った が 、 その 首筋 は ロン の 耳 に 負け ず 务 ら ず 真っ赤だった 。 ||おおまた||あるき|さった|||くびすじ||||みみ||まけ|||||まっかだった Percy walked away with a stride, but his nape was as bright red as Ron's ears.

その 夜 、 ハリー 、 ロン 、 ハーマイオニー の 三 人 は 、 談話 室 で できる だけ パーシー から 離れた 場所 を 選んだ 。 |よ|||||みっ|じん||だんわ|しつ||||||はなれた|ばしょ||えらんだ

ロン は まだ 機嫌 が 直ら ず 、「 妖精 の 魔法 」 の 宿題 に インク の しみ ばかり 作って いた 。 |||きげん||なおら||ようせい||まほう||しゅくだい||いんく||||つくって| Ron wasn't in a good mood yet, and was just making ink stains on his homework for "Fairy Magic."

インク じみ を 拭おう と ロン が 何気なく 杖 に 手 を 伸ばした とき 、 杖 が 発火 して 羊 皮 紙 が 燃え だ した 。 いんく|||ぬぐおう||||なにげなく|つえ||て||のばした||つえ||はっか||ひつじ|かわ|かみ||もえ|| When Ron casually reached for the cane to wipe off the ink stains, the cane ignited and the sheepskin burned.

ロン も 宿題 と 同じ ぐらい に カッカ と 熟 く なり 、「 標準 呪文 集 ・ 二 学年 用 」 を バタン と 閉じて しまった 。 ||しゅくだい||おなじ|||かっか||じゅく|||ひょうじゅん|じゅもん|しゅう|ふた|がくねん|よう||||とじて| Ron became as ripe for a cracker as he was for homework, and he wrote "Standard Spellbook for Second Grade." The door slammed shut.

驚いた こと に 、 ハーマイオニー も ロン に 「 右 倣え 」 を した 。 おどろいた|||||||みぎ|ならえ|| To my surprise, Hermione also "imitated right" to Ron.

「 だけど いったい 何者 かしら ?」 ||なにもの| "But who is it?"

ハーマイオニー の 声 は 落ち着いて いた 。 ||こえ||おちついて| まるで それ まで の 会話 の 続き の ように 自然だった 。 ||||かいわ||つづき|||しぜんだった

「 でき 損ない の スクイブ や マグル 出身 の 子 を ホグワーツ から 追い出したい と 願って る の は ... ... 誰 J  「 それでは 考えて みましょう 」 ロン は わざと 頭 を ひねって 見せた 。 |そこない|||||しゅっしん||こ||||おいだし たい||ねがって||||だれ|j||かんがえて|み ましょう||||あたま|||みせた 「 我々 の 知っている 人 の 中 で 、 マグル 生まれ は くず だ ! と 思って いる 人物 は 誰 でしょう ?」 われわれ||しっている|じん||なか|||うまれ|||||おもって||じんぶつ||だれ| "Which of the people we know thinks that Muggle is a waste!"

ロン は ハーマイオニー の 顔 を 見た 。 ||||かお||みた Ron saw Hermione's face. ハーマイオニー は 、 まさか 、 と いう 顔 で ロン を 見返し た 。 |||||かお||||みかえし| Hermione looked back at Ron with a no-nonsense face.

「 もし かして 、 あなた 、 マルフォイ の こと を 言って る の ?」 |||||||いって|| "Maybe you're talking about Malfoy?"

「 モチ の ロン さ !」 ロン が 言った 。 もち||||||いった "Mochi's Ron!" Ron said.

「 あいつ が 言った こと 聞いたろう !『 次 は おまえたち だ ぞ 、『 穢 れた 血 』 め !』って 。 ||いった||きいたろう|つぎ|||||あい||ち|| "You've heard what he said!'Next is you guys,'dirty blood'!" しっか りしろ よ 。 Get your act together. あいつ の 腐った ねずみ 顔 を 見た だけ で 、 あいつ だって わかり そうな もん だ ろ 」 ||くさった||かお||みた||||||そう な||| Just by looking at his rotten mouse's face, he seems to understand. "

「 マルフォイ が 、 スリザリン の 継承 者 !」 ||||けいしょう|もの "Malfoy is the successor to Slytherin!"

ハーマイオニー が 、 それ は 疑わしい と いう 顔 を した 。 ||||うたがわしい|||かお|| Hermione made a face that it was suspicious.

「 あいつ の 家族 を 見て くれよ 」 ハリー も 教科 書 を パタン と 閉じた 。 ||かぞく||みて||||きょうか|しょ||||とじた "Look at his family." Harry also closed the textbook in a pattern.

「 あの 家系 は 全部 スリザリン 出身 だ 。 |かけい||ぜんぶ||しゅっしん| あいつ 、 いつも それ を 自慢 して る 。 ||||じまん|| あいつ ら なら スリ ザリン の 末 商 だって おかしく は ない 。 ||||||すえ|しょう|||| It would not be surprising if they were Srizalin's youngest merchants. あいつ の 父親 も どこ から 見て も 悪玉 だ よ 」 ||ちちおや||||みて||あくだま|| His father is also a bad guy no matter where he looks. "

「 あいつ ら なら 、 何 世紀 も 『 秘密の 部屋 』 の 鍵 を 預かって いた かも しれ ない 。 |||なん|せいき||ひみつの|へや||かぎ||あずかって|||| "They may have kept the key to the'secret room'for centuries. 親 から 子 へ 代々 伝えて ......」 ロン が 言った 。 おや||こ||だいだい|つたえて|||いった Passing on from parent to child for generations ... "Ron said.

「 そう ね 」 ハーマイオニー は 慎重だ 。 ||||しんちょうだ

「 その 可能 性 は ある と 思う わ ......」 |かのう|せい||||おもう|

「 でも 、 どう やって 証明 する !」 ハリー の 顔 が 曇った 。 |||しょうめい||||かお||くもった

「 方法 が ない こと は ない わ 」 ハーマイオニー は 考え ながら 話した 。 ほうほう|||||||||かんがえ||はなした "There is no such thing as no way." Hermione thought as she spoke.

そして 、 いっそう 声 を 落とし 、 部屋 の むこうに いる パーシー を 盗み 見 ながら 言った 。 ||こえ||おとし|へや||||||ぬすみ|み||いった

「 もちろん 、 難しい の 。 |むずかしい| それ に 危険だ わ 。 ||きけんだ| とっても 。 学校 の 規則 を ざっと 五十 は 破る こと に なる わ ね 」 がっこう||きそく|||ごじゅう||やぶる|||||

「 あと 一 カ月 ぐらい して 、 もし 君 が 説明 して も いい と いう お 気持 に お なり に なったら 、 その とき は 僕たち に ご 連絡 ください ませ 、 だ 」 ロン は イライラ して いた 。 |ひと|かげつ||||きみ||せつめい|||||||きもち|||||||||ぼくたち|||れんらく||||||いらいら|| "About a month later, if you feel like you can explain, please contact us at that time, no," Ron was frustrated.

「 承知 しました 、 だ 」 ハーマイオニー が 冷たく 言った 。 しょうち|し ました||||つめたく|いった "I understand," Hermione said coldly. 「 何 を やら なければ なら ない か と いう と ね 、 わたし たち が スリザリン の 談話 室 に 入り込 ん で 、 マルフォイ に 正体 を 気づか れ ず に 、 いくつか 質問 する こと な の よ 」 「 だけど 、 不可能だ よ 」 ハリー が 言った 。 なん||||||||||||||||だんわ|しつ||はいりこ|||||しょうたい||きづか||||いく つ か|しつもん|||||||ふかのうだ||||いった "What we have to do is that we go into Slytherin's lounge and ask Malfoy some questions without being aware of her identity." "But it's impossible. That's right, "Harry said. ロン は 笑った 。 ||わらった

「 いいえ 、 そんな こと ない わ 」 ハーマイオニー が 言った 。 |||||||いった "No, that's not the case," said Hermione.

「 ポリジュース 薬 が 尐 し 必要な だけ よ 」 |くすり||||ひつような|| "I only need a little polyjuice medicine."

「 それ 、 なに ?」 ロン と ハリー が 同時に 聞いた 。 ||||||どうじに|きいた

「 数 週間 前 、 スネイプ が クラス で 話して た ――」 すう|しゅうかん|ぜん|||くらす||はなして|

「 魔法 薬 の 授業 中 に 、 僕たち 、 スネイプ の 話 を 闘い てる と 思って る の ? もっと ましな こと を やって る よ 」 まほう|くすり||じゅぎょう|なか||ぼくたち|||はなし||たたかい|||おもって||||||||| "Do you really think we're fighting Snape's story in Potions class? I've got better things to do."

ロン が ぶつぶつ 言った 。 |||いった

「 自分 以外 の 誰 か に 変身 できる 薬 な の 。 じぶん|いがい||だれ|||へんしん||くすり|| "It's a medicine that can be transformed into someone other than yourself. 考えて も みて よく 。 かんがえて||| Think about it. わたし たち 三 人 で 、 スリザリン の 誰 か 三 人 に 変身 する の 。 ||みっ|じん||||だれ||みっ|じん||へんしん|| Three of us will transform into three of Slytherin. 誰 も わたし たち の 正体 を 知ら ない 。 だれ|||||しょうたい||しら| マルフォイ は たぶん 、 なんで も 話して くれる わ 。 |||||はなして|| Malfoy will probably talk to you about anything. 今ごろ 、 スリザリン 寮 の 談話 室 で 、 マルフォイ が その 自慢 話 の 真っ最中 かも しれ ない 。 いまごろ||りょう||だんわ|しつ|||||じまん|はなし||まっさいちゅう||| それ さえ 開ければ 」 ||あければ If you open it "

「 その ポリジュース なんとかって 、 尐 し 危なっかしい な 」 ロン が しかめっ面 を した 「 もし 、 元 に 戻れ なくて 、 永久 に スリザリン の 誰 か 三 人 の 姿 の まま だったら どう する ?」 「 しばらく する と 効き目 は 切れる の 」 ハーマイオニー が もどかし げ に 手 を 振った 。 ||なんとか って|||あぶなっかしい||||しかめ っ おもて||||もと||もどれ||えいきゅう||||だれ||みっ|じん||すがた|||||||||ききめ||きれる|||||||て||ふった "That polyjuice is a little dangerous," Ron frowned. "What if I couldn't get it back and I'd be forever in the shape of three of Slytherin?" "It works for a while." Hermione shook her hand in a frustrating manner. 「 むしろ 材料 を 手 に 入れる の が とって も 難しい 。 |ざいりょう||て||いれる|||||むずかしい "Rather, it is very difficult to get the material. 『 最も 強力な 薬 』 と いう 本 に それ が 書いて あるって 、 スネイプ が そう 言って た わ 。 もっとも|きょうりょくな|くすり|||ほん||||かいて|ある って||||いって|| Snape said that it was written in a book called "The Most Powerful Medicine." その 本 、 きっと 図書 館 の 『 禁 書 』 の 棚 に ある はずだ わ 」 |ほん||としょ|かん||きん|しょ||たな||||

「 禁 書 」 の 棚 の 本 を 持ち出す 方法 は たった 一 つ 、 先生 の サイン 入り の 許可 証 を もらう こと だった 。 きん|しょ||たな||ほん||もちだす|ほうほう|||ひと||せんせい||さいん|はいり||きょか|あかし||||

「 でも 、 薬 を 作る つもり は ない けど 、 そんな 本 が 読みたいって 言ったら 、 そりゃ 変 だって 思 われる だろう ?」 ロン が 言った 。 |くすり||つくる||||||ほん||よみ たい って|いったら||へん||おも|||||いった "But I'm not going to make medicine, but if I said I wanted to read such a book, wouldn't it be strange?" Ron said. 「 たぶん 」 ハーマイオニー は かまわ ず 続けた 。 |||||つづけた 「 理論 的な 興味 だけ なん だって 思い込ま せれば 、 もしかしたら うまく いく かも ......」 「 な ー に 言って る んだ か 。 りろん|てきな|きょうみ||||おもいこま|||||||-||いって||| If we can convince them that it's just a theoretical interest, maybe it will work. ...... What are you talking about? 先生 だって そんなに 甘く ない ぜ 」 ロン が 言った 。 せんせい|||あまく|||||いった Ron said, "Even teachers aren't that naive. 「―― でも ...... だまさ れる と したら 、 よっぽど 鈍い 先生 だ な ......」 ||||||にぶい|せんせい|| "-- but you must be a very dull teacher if you can be fooled by ...... You must be a very dull teacher if you can be fooled by ......."