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2 - Harry Potter, 8.2 絶命日パーティ - The Deathday Party

8.2 絶命日パーティ - The Deathday Party

ハロウィーン が 近づく に つれ 、 ハリー は 絶命 日 パーティ に 出席 する など と 、 軽率に 約束 して しまった こと を 後悔 し はじめた 。

他の 生徒 たち は ハロウィーン ・ パーティ を 楽しみに 待って いた 。

大広間 は いつも の ように 生きた コウモリ で 飾ら れ 、 ハグリッド の 巨大 かぼちゃ は くり抜か れ て 、 中 に 大人 三 人 が 十分 座れる ぐらい 大きな 提灯 に なった 。

ダンブルドア 校長 が パーティ の 余興 用 に 「 骸骨 舞踏 団 」 を 予約 した と の うわさ も 流れた 。 「 約束 は 約束 でしょ 」 ハーマイオニー は 命令 口調 で ハリー に 言った 。

「 絶命 日 パーティ に 行くって 、 あなた そう 言った んだ から 」 そんな わけ で 、 七 時 に なる と ハリー 、 ロン 、 ハーマイオニー の 三 人 は 、 金 の 皿 や キャンドル の 吸い寄せる ような 輝き や 、 大入り 満員 の 大広間 の ドア の 前 を 素通り して 、 皆 と は 違って 、 地下 牢 の 方 へ と 足 を 向けた 。 「 ほとんど 首 無し ニック 」 の パーティ へ と 続く 道筋 に も 、 キャンドル が 立ち 並んで は いた が 、 とても 楽しい ムード と は いえ なかった 。

ひ ょろ り と 長い 真っ黒な 細 蝋燭 が 真っ青な 炎 を 上げ 、 生きて いる 三 人 の 顔 に さえ 、 ほの暗い 幽 かな 光 を 投げかけて いた 。

階段 を 一 段 下りる たび に 温度 が 下がった 。 ハリー が 身震い し 、 ローブ を 体 に ぴったり 巻きつ けた とき 、 巨大な 黒板 を 千 本 の 生爪 で 引っ掻く ような 音 が 聞こえて きた 。

「 あれ が 音楽 の つもり ?」 ロン が ささやいた 。

角 を 曲がる と 「 ほとんど 首 無し ニック 」 が ビロード の 黒幕 を 垂らした 戸口 の ところ に 立って いる の が 見えた 。

「 親愛 なる 友 よ 」 ニック が 悲しげに 挨拶 した 。

「 これ は 、 これ は ...... このたび は 、 よくぞ おい で くださ いました ......」 ニック は 羽 飾り の 帽子 を さっと 脱いで 、 三 人 を 中 に 招き入れる ように お辞儀 を した 。 信じられ ない ような 光景 だった 。 地下 牢 は 何 百 と いう 、 真珠 の ように 白く 半透明 の ゴースト で いっぱいだった 。

その ほとんど が 、 混 み合った ダンス フロア を ふわふわ 漂い 、 ワルツ を 踊って いた 。

黒幕 で 飾ら れた 壇上 で オーケストラ が 、 三十 本 の 鋸 で ワナワナ 震える 恐ろしい 音楽 を 奏でて いる 。

頭上 の シャンデリア は 、 さらに 千 本 の 黒い 蝋燭 で 群青色 に 輝いて いた 。

まるで 冷凍 庫 に 入り込んだ ようで 、 三 人 の 吐く 息 が 、 鼻先 に 霧 の ように 立ち上った 。

「 見て 回ろう か ?」 ハリー は 足 を 暖め たくて そう 言った 。

「 誰 か の 体 を 通り抜け ない ように 気 を つけろ よ 」 ロン が 心配 そうに 言った 。

三 人 は ダンス ・ フロア の 端 の 方 を 回り込む ように 歩いた 。

陰気な 修道 女 の 一団 や 、 ポロ 服 に 鎖 を 巻きつけた 男 が いたし 、 ハッフルパフ に 住む 陽気な ゴースト の 「 太った 修道 士 」 は 、 額 に 矢 を 突き刺した 騎士 と 話 を して いた 。

スリザリン の ゴースト で 、 全身 銀色 の 血 に まみれ 、 げっそり と した 顔 で にらんで いる 「 血 み どろ 男爵 」 は 、 他の ゴースト たち が 遠巻き に して いた が 、 ハリー は それ も 当然だ と 思った 。

「 あーっ、 いやだ わ 」 ハーマイオニー が 突然 立ち止まった 。 「 戻って 、 戻って よ 。 『 嘆き の マートル 』 と は 話し たく ない の ......」

「 誰 だって ?」 急いで 後戻り し ながら ハリー が 聞いた 。

「 あの 子 、 三 階 の 女子 トイレ に 取り 憑 いて いる の 」 ハーマイオニー が 答えた 。

「 トイレ に 取り 憑 いて るって ?」 「 そう な の 。 去年 一 年間 、 トイレ は 壊れっぱなし だった わ 。 だって 、 あの 子 が かんしゃく を 起こして 、 そこら 中 、 水浸し に する んです もの 。 わたし 、 壊れて なく たって あそこ に は 行か なかった わ 。 だって 、 あの 子 が 泣いたり 喚 いたり して る トイレ に 行く なんて 、 とっても いや だ もの 」

「 見て 。 食べ物 だ 」 ロン が 言った 。

地下 牢 の 反対 側 に は 長 テーブル が あり 、 これ に も 真っ黒 など ロード が かかって いた 。

三 人 は 興味 津 々 で 近づいて 行った が 、 次の 瞬間 、 ぞっと して 立ちすくんだ 。

吐き気 の する ような 臭い だ 。

銀 の 盆 に 置か れた 魚 は 腐り 、 銀 の 丸 盆 に 山盛り の ケーキ は 真っ黒焦げ 、 スコットランド の 肉 料理 、 ハギス の 巨大な 塊 に は 姐 が わいて いた 。 厚 切り チーズ は 毛 が 争え たように 緑色 の 黴 で 覆わ れ 、 一 段 と 高い ところ に ある 灰色 の 墓石 の 形 を した 巨大な ケーキ に は 、 砂糖 の かわり に コールタール の ような もの で 文字 が 書かれて い た 。 ニコラス ・ ド ・ ミムジー ・ ポーピントン 卿

一四九二 年 十 月 三十一 日没

恰幅 の よい ゴースト が テーブル に 近づき 、 躯 を かがめて テーブル を 通り 掛け ながら 、 大きく 口 を 開けて 、 異臭 を 放つ 鮭 の 中 を 通り抜ける ように した の を 、 ハリー は 驚いて まじまじ と 見 つめた 。

「 食べ物 を 通り抜ける と 味 が わかる の ?」 ハリー が その ゴースト に 聞いた 。 「 まあ ね 」 ゴースト は 悲しげに そう 言う と ふわふわ 行って しまった 。

「 つまり 、 より 強い 風味 を つける ため に 腐ら せた んだ と 思う わ 」 ハーマイオニー は 物知り顔 で そう 言い ながら 、 鼻 を つまんで 、 腐った ハギス を よく 見よう と 顔 を 近づけた 。

「 行こう よ 。 気分 が 悪い 」 ロン が 言った 。

三 人 が 向き を 変える か 変え ない うち に 、 小 男 が テーブル の 下 から 突然 スイーッ と 現れて 、 三 人 の 目の前 で 空中 に 浮かんだ まま 停止 した 。

「 や あ 、 ビープズ 」 ハリー は 慎重に 挨拶 した 。 周り の ゴースト は 青白く 透明な のに 、 ポルターガイスト の ビープズ は 正反対だった 。

鮮やかな オレンジ色 の パーティ 用 帽子 を かぶり 、 くるくる 回る 蝶 ネクタイ を つけ 、 意地 の 悪 そうな 大きな 顔 いっぱい に 二 ヤニヤ 笑い を 浮かべて いた 。

「 お つまみ は どう ?」 猫撫で声 で 、 ビープズ が 深 皿 に 入った 黴 だらけ の ピーナッツ を 差し出した 。 「 いら ない わ 」 ハーマイオニー が 言った 。 「 おまえ が かわいそうな マートル の こと を 話して る の 、 聞いた ぞ 」 ビープズ の 目 は 踊って いた 。 「 おまえ 、 かわいそうな マートル に ひどい こと を 言った なあ 」 ビープズ は 深く 息 を 吸い込んで から 、 吐き出す ように 喚 いた 。

「 オーイ ! マートル !」

「 あぁ 、 ビープズ 、 だめ 。 わたし が 言った こと 、 あの 子 に 言わ ないで 。 じゃ ない と 、 あの 子 とっても 気 を 悪く する わ 」

ハーマイオニー は 大 慌て で ささやいた 。

「 わたし 、 本気で 言った んじゃ ない の よ 。 わたし 気 に して ない わ 。 あの 子 が ...... あら 、 こん にち は 、 マートル 」

ずんぐり した 女の子 の ゴースト が スルスル と やってきた 。

ハリー が これ まで 見た 中 で 一 番 陰気 くさい 顔 を して いた 。 その 顔 も 、 ダラーツ と 垂れた 猫っ毛 と 、 分厚い 乳 白色 の メガネ の 陰 に 半分 隠れて いた 。 「 なん な の ?」

マートル が 仏頂面 で 言った 。

「 お 元気 ?」 ハーマイオニー が 無理に 明るい 声 を 出した 。

「 トイレ の 外 で お 会い できて 、 うれしい わ 」 マートル は フン と 鼻 を 鳴らした 。

「 ミス ・ グレンジャー が たった今 おまえ の こと を 話して たよ ぅ ......」

ビープズ が いたずらっぼく マートル に 耳打ち した 。 「 あなた の こと ―― ただ ―― 今夜 の あなた は とって も 素敵って 言って た だけ よ 」 ハーマイオニー が ビープズ を にらみつけ ながら 言った 。 マートル は 「 嘘 でしょう 」 と いう 目つき で ハーマイオニー を 見た 。

「 あなた 、 わたし の こと から かって た んだ わ 」

むこう が 透けて 見える マートル の 小さな 目 から 銀色 の 涙 が 見る見る 溢れて きた 。

「 そう じゃ ない ―― ほんと よ ―― わたし 、 さっき 、 マートル が 素敵 だって 言って たわ よ ね ?」

ハーマイオニー は ハリー と ロン の 脇腹 を 痚 い ほど 小突いた 。

「 ああ 、 そう だ と も 」

「 そう 言って た ......」

「 嘘 言って も ダメ 」

マートル は 喉 が 詰まり 、 涙 が 滝 の ように 頬 を 伝った 。

ビープズ は マートル の 肩 越し に 満足げに ケタ ケタ 笑って いる 。

「 みんな が 陰 で 、 わたし の こと なんて 呼んで る か 、 知ら ない と でも 思って る の ? デブ の マー トル 、 ブス の マートル 、 惨め 屋 ・ 愚痴 り 屋 ・ ふさぎ 屋 マートル !」

「 抜かした よ ぅ 、 にきび 面って の を 」 ビープズ が マートル の 耳元 で ヒソヒソ と 言った 。 「 嘆き の マートル 」 は 途端 に 苦しげに しゃくりあげ 、 地下 牢 から 逃げる ように 出て 行った 。

ビープズ は 黴 だらけ の ピーナツ を マートル にぶっつけて 、「 にきび 面 ! にきび 面 !」 と 叫び ながら マートル を 追いかけて 行った 。 「 ああ 、 もう 」 ハーマイオニー が 悲し そうに 言った 。 今度 は 「 ほとんど 首 無し ニック 」 が 人 温み を 掻き分けて ふわふわ やってきた 。 「 楽しんで います か ?」 「 ええ 」 みんな で 嘘 を ついた 。 「 ずいぶん 集まって くれました 」 「 ほとんど 首 無し ニック 」 は 誇らしげに 言った 。 「『 めそめそ 未亡人 』 は 、 はるばる ケント から やってきました ...... そろそろ 私 の スピーチ の 時間 です 。 むこうに 行って オーケストラ に 準備 さ せ なければ ......」

ところが 、 その 瞬間 、 オーケストラ が 演奏 を やめた 。

楽団 員 、 それ に 地下 牢 に いた 全員 が 、 狩 の 角笛 が 鳴り響く 中 、 シーン と 静まり 、 興奮 して 周 り を 見回した 。

「 ああ 、 始まった 」 ニック が 苦々し げ に 言った 。

地下 牢 の 壁 から 、 十二 騎 の 馬 の ゴースト が 飛び出して きた 。

それぞれ 首 無し の 騎手 を 乗せて いた 。 観衆 が 熱狂 的な 拍手 を 送った 。

ハリー も 拍手 しよう と 思った が 、 ニック の 顔 を 見て すぐに 思いとどまった 。

馬 たち は ダンス ・ フロア の 真ん中 まで ギャロップ で 走って きて 、 前 に 突っ込んだり 、 後 脚立 ち に なったり して 止まった 。

先頭 の 大柄な ゴースト は 、 顎 嚢 を 生やした 自分 の 首 を 小 脇 に 抱えて いて 、 首 が 角笛 を 吹いて いた 。

その ゴースト は 馬 から 飛び降り 、 群 集 の 頭越し に 何 か 見る ように 、 自分 の 首 を 高々 と 掲げた ( みんな 笑った )。

それ から 「 ほとんど 首 無し ニック 」 の 方 に 大股 で 近づき 、 首 を 胴体 に グイ と 押し込む ように 戻した 。

「 ニック !」 吼 える ような 声 だ 。

「 元気 かね ? 首 は まだ そこ に ぶら下がって おる の か ?」

男 は 思いきり 高 笑い して 、「 ほとんど 首 無し ニック 」 の 肩 を パンパン 叩いた 。

「 ようこそ 、 パトリック 」 ニック が 冷たく 言った 。

「 生きて る 連中 だ !」

パトリック 卿 が ハリー 、 ロン 、 ハーマイオニー を 見つけて 、 驚いた ふり を して わざと 大げさ に 飛び上がった 。

狙い 通り 、 首 が また ころげ 落ちた ( 観衆 は 笑いころげた )。

「 まことに 愉快です な 」

「 ほとんど 首 無し ニック 」 が 沈んだ 声 で 言った 。

「 ニック の こと は 、 気 に した もう な ?」 床 に 落ちた パーリック 卿 の 首 が 叫んだ 。

「 我々 が ニック を 狩 クラブ に 入れ ない こと を 、 まだ 気 に 病んで いる ! しかし 、 要するに 彼 を 見れば ――」

「 あの ――」 ハリー は ニック の 意味 あり げ な 目つき を 見て 、 慌てて 切り出した 。 「 ニック は とって も ―― 恐ろしくて 、 それ で ―― あの ......」 「 は はん ?」 パトリック 卿 の 首 が 叫んだ 。

「 そう 言え と 彼 に 頼ま れた な ?」

「 みなさん 、 ご 静粛に 。 ひとこと 私 から ご挨拶 を !」「 ほとんど 首 無し ニック 」 が 声 を 張り 上げ 、 堂々と 演壇 の 方 に 進み 、 壇上 に 登り 、 ひやりと する ような ブルー の スポット ライト を 浴びた 。

「 お 集まり の 、 今 は 亡き 、 嘆 げか わしき 閣下 、 紳士 、 淑女 の 皆様 。 ここ に 私 、 心から の 悲し み を もち まして ......」

その あと は 誰 も 聞いて は い なかった 。

パトリック 卿 と 「 首 無し 狩 クラブ 」 の メンバー が 、 ちょうど 首 ホッケー を 始めた ところ で 、 客 は そちら に 目 を 奪われて いた 。 「 ほとんど 首 無し ニック 」 は 聴衆 の 注意 を 取り戻そう と やっさ に なった が 、 パトリック 卿 の 首 が ニック の 脇 を 飛んで 行き 、 みんな が ワッ と 歓声 を あげた ので 、 すっかり あきらめて し まった 。 ハリー は もう 寒くて たまらなく なって いた 。 もちろん 腹 ペコ だった 。

「 僕 、 もう 我慢 でき ない よ 」 ロン が つぶやいた 。

オーケストラ が また 演奏 を 始め 、 ゴースト たち が するする と ダンス ・ フロア に 戻って きた と き 、 ロン は 歯 を ガチガチ 震わせて いた 。

「 行こう 」 ハリー も 同じ 思い だった 。 誰 か と 目 が 合う たび に ニッコリ と 会釈 し ながら 、 三 人 は あとずさり して 出口 へ と 向かった 。 ほどなく 、 三 人 は 黒い 蝋燭 の 立ち 並ぶ 通路 を 、 急いで 元来 た方 へ と 歩いて いた 。 「 デザート が まだ 残って いる かも しれ ない 」 玄関 ホール に 出る 階段 へ の 道 を 、 先頭 を 切って 歩き ながら 、 ロン が 祈る ように 言った 。 その とき 、 ハリー は あの 声 を 聞いた 。 「...... 引き裂いて やる ...... 八 つ 裂き に して やる ...... 殺して やる ......」

あの 声 と 同じだ 。

ロック ハート の 部屋 で 闘い た と 同じ 、 冷たい 、 残忍な 声 。

ハリー は よ ろ よ ろ と して 立ち止まり 、 石 の 壁 に すがって 、 全身 を 耳 に して 声 を 聞いた 。 そして 、 ほの暗い 灯り に 照らさ れた 通路 の 隅 から 隅 まで 、 目 を 細めて 、 じっと 見回した 。 「 ハリー 、 いったい 何 を ......?」

「 また あの 声 な んだ ―― ちょっと 黙って て ――」 「... 空腹だ ... とても ... ずっと ... 長い 間 ...」 「 ほら 、 聞こえる ?」 ハリー が 急き込んで 言った 。 ロン と ハーマイオニー は ハリー を 見つめ 、 その 場 に 凍りついた ように なった 。 「...... 殺して やる ...... 殺す とき が 来た ......」

声 は だんだん 幽 か に なって きた 。 ハリー は 、 それ が たしかに 移動 して いる と 思った ―― 上 の 方 に 遠ざかって 行く 。

暗い 天井 を じっと 見上げ ながら 、 ハリー は 恐怖 と 興奮 の 入り交じった 気持 で 胸 を 締め つ けら れる ようだった 。

どう やって 上 の 万 へ 移動 できる んだろう ? 石 の 天井 で さえ なんの 障害 に も なら ない 幻 な のだ ろうか ?

「 こっち だ 」

ハリー は そう 叫ぶ と 階段 を 駆け上がって 玄関 ホール に 出た 。

しかし 、 そこ で は 何 か 聞こう など 、 無理な 注文 だった 。

ハロウィーン ・ パーティ の ペチャクチャ と いう おしゃべり が 大広間 から ホール まで 響いて い た 。

ハリー は 大理石 の 階段 を 全速力 で 駆け上がり 、 二 階 に 出た 。 ロン と ハーマイオニー も バタバ タ と あと に 続いた 。

「 ハリー 、 いったい 僕たち 何 を ......」

「 シーツ !」 ハリー は 耳 を そばだてた 。

遠く 上 の 階 から 、 ますます 幽 か に なり ながら 、 声 が 聞こえて きた 。

「...... 血 の 臭い が する ...... 血 の 臭い が する ぞ !」

ハリー は 胃 が 引っくり返り そうだった 。

「 誰 か を 殺す つもりだ !」

そう 叫ぶ なり 、 ハリー は ロン と ハーマイオニー の 当惑 した 顔 を 無視 して 、 三 階 へ の 階段 を 一 度 に 三 段 ずつ 吹っ飛ば して 駆け上がった 。

その 間 も 、 自分 の 足音 の 響き に かき 称さ れ そうに なる 声 を 、 聞き取ろう と した 。 ハリー は 三 階 を くまなく 飛び回った 。 ロン と ハーマイオニー は 息 せき 切って 、 ハリー の あと を ついて回った 。

角 を 曲がり 、 最後 の 、 誰 も いない 廊下 に 出た とき 、 ハリー は やっと 動く の を やめた 。 「 ハリー 、 いったい これ は どういう こと だい ?」 ロン が 額 の 汗 を 拭い ながら 聞いた 。

「 僕 に は なんにも 聞こえ なかった ......」 しかし 、 ハーマイオニー の 方 は 、 ハッと 息 を 呑 んで 廊下 の 隅 を 指差した 。 「 見て !」

むこうの 壁 に 何 か が 光って いた 。

三 人 は 暗がり に 目 を 凝らし ながら 、 そ ーっと 近づいた 。 窓 と 窓 の 間 の 壁 に 、 高 さ 三十 センチ ほど の 文字 が 塗り つけられ 、 松明 に 照らされて チラチラ と 鈍い 光 を 放って いた 。 秘密の 部屋 は 開か れたり

継承 者 の 敵 よ 、 気 を つけよ

「 なんだろう ―― 下 に ぶら下がって いる の は ?」 ロン の 声 は かすかに 震えて いた 。

じりじり と 近寄り ながら 、 ハリー は 危うく 滑り そうに なった 。

床 に 大きな 水溜り が できて いた のだ 。

ロン と ハーマイオニー が ハリー を 受け止めた 。

文字 に 尐 し ずつ 近づき ながら 、 三 人 は 文字 の 下 の 、 暗い 影 に 日 を 凝らした 。

一瞬にして 、 それ が な んな の か 三 人 と も わかった 。

途端 に 三 人 は のけぞる ように 飛びのき 、 水溜り の 水 を 跳ね 上げた 。

管理人 の 飼い 猫 、 ミセス ・ ノリス だ 。

松明 の 腕 木 に 尻尾 を 絡ま せて ぶら下がって いる 。

板 の ように 硬直 し 、 目 は カッ と 見開いた まま だった 。

しばらく の 間 、 三 人 は 動か なかった 。 やおら 、 ロン が 言った 。

「 ここ を 離れよう 」

「 助けて あげる べきじゃ ない か な ......」 ハリー が 戸惑い ながら 言った 。

「 僕 の 言う 通り に して 」 ロン が 言った 。 「 ここ に いる ところ を 見られ ない 方 が いい 」 すでに 遅かった 。 遠い 雷鳴 の ような ぎ わめき が 聞こえた 。 パーティ が 終わった らしい 。

三 人 が 立って いる 廊下 の 両側 から 、 階段 を 上って くる 何 百 と いう 足音 、 満腹 で 楽しげな さ ざ め き が 聞こえて きた 。 次の 瞬間 、 生徒 たち が 廊下 に ワッ と 現れた 。

前 の 方 に いた 生徒 が ぶら下がった 猫 を 見つけた 途端 、 おしゃべり も 、 さ ざ め きも 、 ガヤガヤ も 突然 消えた 。

沈黙 が 生徒 たち の 群れ に 広がり 、 おぞましい 光景 を 前 の 方 で 見よう と 押し 合った 。

その 傍ら で 、 ハリー 、 ロン 、 ハーマイオニー は 廊下 の 真ん中 に ポツンと 取り残されて いた 。 やおら 、 静けさ を 破って 誰 か が 叫んだ 。 「 継承 者 の 敵 よ 、 気 を つけよ ? 次 は おまえたち の 番 だ ぞ 、『 撮れた 血 』 め !」 ドラコ ・ マルフォイ だった 。

人垣 を 押しのけて 最 前列 に 進み 出た マルフォイ は 、 冷たい 目 に 生気 を みなぎら せ 、 いつも は 血の気 の ない 頬 に 赤み が さし 、 ぶら下がった まま ピクリ と も し ない 猫 を 見て ニヤッ と 笑った 。

8.2 絶命日パーティ - The Deathday Party ぜつめい にち ぱーてぃ|the|deathday|party 8.2 Die Party zum Todestag - Die Party zum Todestag 8.2 The Deathday Party 8.2 La fiesta del día de la muerte - The Deathday Party 8.2 Przyjęcie z okazji Dnia Śmierci - Przyjęcie z okazji Dnia Śmierci 8.2 The Deathday Party - The Deathday Party

ハロウィーン が 近づく に つれ 、 ハリー は 絶命 日 パーティ に 出席 する など と 、 軽率に 約束 して しまった こと を 後悔 し はじめた 。 ||ちかづく|||||ぜつめい|ひ|ぱーてぃ||しゅっせき||||けいそつに|やくそく|||||こうかい||

他の 生徒 たち は ハロウィーン ・ パーティ を 楽しみに 待って いた 。 たの|せいと||||ぱーてぃ||たのしみに|まって|

大広間 は いつも の ように 生きた コウモリ で 飾ら れ 、 ハグリッド の 巨大 かぼちゃ は くり抜か れ て 、 中 に 大人 三 人 が 十分 座れる ぐらい 大きな 提灯 に なった 。 おおひろま|||||いきた|こうもり||かざら||||きょだい|||くりぬか|||なか||おとな|みっ|じん||じゅうぶん|すわれる||おおきな|ちょうちん|| The hall was adorned with live bats as usual, and Hagrid's giant pumpkin was hollowed out into a lantern large enough to seat three adults inside.

ダンブルドア 校長 が パーティ の 余興 用 に 「 骸骨 舞踏 団 」 を 予約 した と の うわさ も 流れた 。 |こうちょう||ぱーてぃ||よきょう|よう||がいこつ|ぶとう|だん||よやく||||||ながれた 「 約束 は 約束 でしょ 」 ハーマイオニー は 命令 口調 で ハリー に 言った 。 やくそく||やくそく||||めいれい|くちょう||||いった "Promises are promises," Hermione told Harry in a commanding tone.

「 絶命 日 パーティ に 行くって 、 あなた そう 言った んだ から 」  そんな わけ で 、 七 時 に なる と ハリー 、 ロン 、 ハーマイオニー の 三 人 は 、 金 の 皿 や キャンドル の 吸い寄せる ような 輝き や 、 大入り 満員 の 大広間 の ドア の 前 を 素通り して 、 皆 と は 違って 、 地下 牢 の 方 へ と 足 を 向けた 。 ぜつめい|ひ|ぱーてぃ||いく って|||いった||||||なな|じ||||||||みっ|じん||きむ||さら||きゃんどる||すいよせる||かがやき||おおいり|まんいん||おおひろま||どあ||ぜん||すどおり||みな|||ちがって|ちか|ろう||かた|||あし||むけた 「 ほとんど 首 無し ニック 」 の パーティ へ と 続く 道筋 に も 、 キャンドル が 立ち 並んで は いた が 、 とても 楽しい ムード と は いえ なかった 。 |くび|なし|||ぱーてぃ|||つづく|みちすじ|||きゃんどる||たち|ならんで|||||たのしい|むーど|||| Candles lined up along the way to the "Nearly Headless Nick" party, but it wasn't a very enjoyable mood.

ひ ょろ り と 長い 真っ黒な 細 蝋燭 が 真っ青な 炎 を 上げ 、 生きて いる 三 人 の 顔 に さえ 、 ほの暗い 幽 かな 光 を 投げかけて いた 。 ||||ながい|まっくろな|ほそ|ろうそく||まっさおな|えん||あげ|いきて||みっ|じん||かお|||ほのぐらい|ゆう||ひかり||なげかけて|

階段 を 一 段 下りる たび に 温度 が 下がった 。 かいだん||ひと|だん|おりる|||おんど||さがった ハリー が 身震い し 、 ローブ を 体 に ぴったり 巻きつ けた とき 、 巨大な 黒板 を 千 本 の 生爪 で 引っ掻く ような 音 が 聞こえて きた 。 ||みぶるい||||からだ|||まきつ|||きょだいな|こくばん||せん|ほん||なまづめ||ひっかく||おと||きこえて|

「 あれ が 音楽 の つもり ?」 ロン が ささやいた 。 ||おんがく|||||

角 を 曲がる と 「 ほとんど 首 無し ニック 」 が ビロード の 黒幕 を 垂らした 戸口 の ところ に 立って いる の が 見えた 。 かど||まがる|||くび|なし|||びろーど||くろまく||たらした|とぐち||||たって||||みえた Around the corner, I saw "Nearly Headless Nick" standing at the doorway where the velvet mastermind hung down.

「 親愛 なる 友 よ 」 ニック が 悲しげに 挨拶 した 。 しんあい||とも||||かなしげに|あいさつ| "Dear friends." Nick greeted me sadly.

「 これ は 、 これ は ...... このたび は 、 よくぞ おい で くださ いました ......」  ニック は 羽 飾り の 帽子 を さっと 脱いで 、 三 人 を 中 に 招き入れる ように お辞儀 を した 。 ||||||||||い ました|||はね|かざり||ぼうし|||ぬいで|みっ|じん||なか||まねきいれる||おじぎ|| 信じられ ない ような 光景 だった 。 しんじ られ|||こうけい| 地下 牢 は 何 百 と いう 、 真珠 の ように 白く 半透明 の ゴースト で いっぱいだった 。 ちか|ろう||なん|ひゃく|||しんじゅ|||しろく|はんとうめい||ごーすと||

その ほとんど が 、 混 み合った ダンス フロア を ふわふわ 漂い 、 ワルツ を 踊って いた 。 |||こん|みあった|だんす|ふろあ|||ただよい|わるつ||おどって|

黒幕 で 飾ら れた 壇上 で オーケストラ が 、 三十 本 の 鋸 で ワナワナ 震える 恐ろしい 音楽 を 奏でて いる 。 くろまく||かざら||だんじょう||おーけすとら||さんじゅう|ほん||のこぎり|||ふるえる|おそろしい|おんがく||かなでて|

頭上 の シャンデリア は 、 さらに 千 本 の 黒い 蝋燭 で 群青色 に 輝いて いた 。 ずじょう|||||せん|ほん||くろい|ろうそく||ぐんじょういろ||かがやいて|

まるで 冷凍 庫 に 入り込んだ ようで 、 三 人 の 吐く 息 が 、 鼻先 に 霧 の ように 立ち上った 。 |れいとう|こ||はいりこんだ||みっ|じん||はく|いき||はなさき||きり|||たちのぼった

「 見て 回ろう か ?」 ハリー は 足 を 暖め たくて そう 言った 。 みて|かいろう||||あし||あたため|||いった "Shall we take a look around?" Harry said this to keep his feet warm.

「 誰 か の 体 を 通り抜け ない ように 気 を つけろ よ 」 ロン が 心配 そうに 言った 。 だれ|||からだ||とおりぬけ|||き||||||しんぱい|そう に|いった

三 人 は ダンス ・ フロア の 端 の 方 を 回り込む ように 歩いた 。 みっ|じん||だんす|ふろあ||はし||かた||まわりこむ||あるいた The three walked around the edge of the dance floor.

陰気な 修道 女 の 一団 や 、 ポロ 服 に 鎖 を 巻きつけた 男 が いたし 、 ハッフルパフ に 住む 陽気な ゴースト の 「 太った 修道 士 」 は 、 額 に 矢 を 突き刺した 騎士 と 話 を して いた 。 いんきな|しゅうどう|おんな||いちだん||ぽろ|ふく||くさり||まきつけた|おとこ|||||すむ|ようきな|ごーすと||ふとった|しゅうどう|し||がく||や||つきさした|きし||はなし||| There was a group of gloomy nuns, a man with a chain wrapped around his polo clothes, and a cheerful ghost "fat monk" living in a huffle puff, talking to a knight who stabbed an arrow in his forehead.

スリザリン の ゴースト で 、 全身 銀色 の 血 に まみれ 、 げっそり と した 顔 で にらんで いる 「 血 み どろ 男爵 」 は 、 他の ゴースト たち が 遠巻き に して いた が 、 ハリー は それ も 当然だ と 思った 。 ||ごーすと||ぜんしん|ぎんいろ||ち||||||かお||||ち|||だんしゃく||たの|ごーすと|||とおまき|||||||||とうぜんだ||おもった The other Slytherin ghosts looked away from the "Droopy Baron", who was covered in silvery blood and had a ghastly look on his face, but Harry thought that was just as well.

「 あーっ、 いやだ わ 」 ハーマイオニー が 突然 立ち止まった 。 あー っ|||||とつぜん|たちどまった "Oh, no. Hermione suddenly stopped. 「 戻って 、 戻って よ 。 もどって|もどって| Come back, come back. 『 嘆き の マートル 』 と は 話し たく ない の ......」 なげき|||||はなし||| I don't want to talk to Myrtle of Sorrows. ......

「 誰 だって ?」 急いで 後戻り し ながら ハリー が 聞いた 。 だれ||いそいで|あともどり|||||きいた

「 あの 子 、 三 階 の 女子 トイレ に 取り 憑 いて いる の 」 ハーマイオニー が 答えた 。 |こ|みっ|かい||じょし|といれ||とり|ひょう||||||こたえた She haunts the girls' bathroom on the third floor," Hermione answered.

「 トイレ に 取り 憑 いて るって ?」 「 そう な の 。 といれ||とり|ひょう||る って||| "You mean toilets are haunting you?" "Yes, that's right. 去年 一 年間 、 トイレ は 壊れっぱなし だった わ 。 きょねん|ひと|ねんかん|といれ||こぼれ っぱなし|| The toilet was broken for the last year. だって 、 あの 子 が かんしゃく を 起こして 、 そこら 中 、 水浸し に する んです もの 。 ||こ||||おこして||なか|みずびたし|||| Because she throws tantrums and floods the whole place. わたし 、 壊れて なく たって あそこ に は 行か なかった わ 。 |こぼれて||||||いか|| I didn't go there because it wasn't broken. だって 、 あの 子 が 泣いたり 喚 いたり して る トイレ に 行く なんて 、 とっても いや だ もの 」 ||こ||ないたり|かん||||といれ||いく||||| Because it's really unpleasant to go to the bathroom where that child is crying and screaming. "

「 見て 。 みて 食べ物 だ 」 ロン が 言った 。 たべもの||||いった

地下 牢 の 反対 側 に は 長 テーブル が あり 、 これ に も 真っ黒 など ロード が かかって いた 。 ちか|ろう||はんたい|がわ|||ちょう|てーぶる||||||まっくろ||||| On the other side of the dungeon, there was a long table, which was also loaded with black.

三 人 は 興味 津 々 で 近づいて 行った が 、 次の 瞬間 、 ぞっと して 立ちすくんだ 。 みっ|じん||きょうみ|つ|||ちかづいて|おこなった||つぎの|しゅんかん|||たちすくんだ

吐き気 の する ような 臭い だ 。 はきけ||||くさい|

銀 の 盆 に 置か れた 魚 は 腐り 、 銀 の 丸 盆 に 山盛り の ケーキ は 真っ黒焦げ 、 スコットランド の 肉 料理 、 ハギス の 巨大な 塊 に は 姐 が わいて いた 。 ぎん||ぼん||おか||ぎょ||くさり|ぎん||まる|ぼん||やまもり||けーき||まっ くろこげ|すこっとらんど||にく|りょうり|||きょだいな|かたまり|||あね||| The fish in the silver tray were rotten, the pile of cakes in the silver round tray was charred, the Scottish meat dish, and the huge chunks of haggis were slaughtered. 厚 切り チーズ は 毛 が 争え たように 緑色 の 黴 で 覆わ れ 、 一 段 と 高い ところ に ある 灰色 の 墓石 の 形 を した 巨大な ケーキ に は 、 砂糖 の かわり に コールタール の ような もの で 文字 が 書かれて い た 。 こう|きり|ちーず||け||あらそえ||みどりいろ||かび||おおわ||ひと|だん||たかい||||はいいろ||はかいし||かた|||きょだいな|けーき|||さとう|||||||||もじ||かか れて|| ニコラス ・ ド ・ ミムジー ・ ポーピントン 卿 ||||きょう

一四九二 年 十 月 三十一 日没 いちしきゅうに|とし|じゅう|つき|さんじゅういち|にちぼつ October 31, 1492 Sunset

恰幅 の よい ゴースト が テーブル に 近づき 、 躯 を かがめて テーブル を 通り 掛け ながら 、 大きく 口 を 開けて 、 異臭 を 放つ 鮭 の 中 を 通り抜ける ように した の を 、 ハリー は 驚いて まじまじ と 見 つめた 。 かつはば|||ごーすと||てーぶる||ちかづき|く|||てーぶる||とおり|かけ||おおきく|くち||あけて|いしゅう||はなつ|さけ||なか||とおりぬける|||||||おどろいて|||み| Harry was surprised to see a wide-ranging ghost approaching the table, bending over and passing through the table, opening his mouth wide and passing through the stinking salmon.

「 食べ物 を 通り抜ける と 味 が わかる の ?」 ハリー が その ゴースト に 聞いた 。 たべもの||とおりぬける||あじ|||||||ごーすと||きいた "Do you know the taste when you go through the food?" Harry asked the ghost. 「 まあ ね 」 ゴースト は 悲しげに そう 言う と ふわふわ 行って しまった 。 ||ごーすと||かなしげに||いう|||おこなって| "Well," the ghost sadly said so and went fluffy.

「 つまり 、 より 強い 風味 を つける ため に 腐ら せた んだ と 思う わ 」 ハーマイオニー は 物知り顔 で そう 言い ながら 、 鼻 を つまんで 、 腐った ハギス を よく 見よう と 顔 を 近づけた 。 ||つよい|ふうみ|||||くさら||||おもう||||ものしりがお|||いい||はな|||くさった||||みよう||かお||ちかづけた "In other words, I think it was rotten to give it a stronger flavor." Hermione said with a familiar face, pinching her nose and approaching her face to look closely at the rotten haggis.

「 行こう よ 。 いこう| 気分 が 悪い 」 ロン が 言った 。 きぶん||わるい|||いった

三 人 が 向き を 変える か 変え ない うち に 、 小 男 が テーブル の 下 から 突然 スイーッ と 現れて 、 三 人 の 目の前 で 空中 に 浮かんだ まま 停止 した 。 みっ|じん||むき||かえる||かえ||||しょう|おとこ||てーぶる||した||とつぜん|||あらわれて|みっ|じん||めのまえ||くうちゅう||うかんだ||ていし| While the three turned or did not change, a little man suddenly popped up from under the table and stopped floating in the air in front of them.

「 や あ 、 ビープズ 」 ハリー は 慎重に 挨拶 した 。 |||||しんちょうに|あいさつ| "Hey, Beeps," Harry greeted cautiously. 周り の ゴースト は 青白く 透明な のに 、 ポルターガイスト の ビープズ は 正反対だった 。 まわり||ごーすと||あおじろく|とうめいな||||||せいはんたいだった While the surrounding ghosts were pale and transparent, the poltergeist beeps were the opposite.

鮮やかな オレンジ色 の パーティ 用 帽子 を かぶり 、 くるくる 回る 蝶 ネクタイ を つけ 、 意地 の 悪 そうな 大きな 顔 いっぱい に 二 ヤニヤ 笑い を 浮かべて いた 。 あざやかな|おれんじいろ||ぱーてぃ|よう|ぼうし||||まわる|ちょう|ねくたい|||いじ||あく|そう な|おおきな|かお|||ふた||わらい||うかべて| He wore a bright orange party hat, a spinning butterfly tie, and a grin on his big, nasty face.

「 お つまみ は どう ?」 猫撫で声 で 、 ビープズ が 深 皿 に 入った 黴 だらけ の ピーナッツ を 差し出した 。 ||||ねこなでごえ||||ふか|さら||はいった|かび|||ぴーなっつ||さしだした "How about a pinch?" With a cat-stroking voice, Beeps offered a mold-filled peanut in a deep plate. 「 いら ない わ 」 ハーマイオニー が 言った 。 |||||いった "I don't need it," said Hermione. 「 おまえ が かわいそうな マートル の こと を 話して る の 、 聞いた ぞ 」 ビープズ の 目 は 踊って いた 。 |||||||はなして|||きいた||||め||おどって| "I've heard you're talking about poor Myrtle." Beeps' eyes were dancing. 「 おまえ 、 かわいそうな マートル に ひどい こと を 言った なあ 」 ビープズ は 深く 息 を 吸い込んで から 、 吐き出す ように 喚 いた 。 |||||||いった||||ふかく|いき||すいこんで||はきだす||かん| "You said something terrible to Poor Myrtle." Beeps took a deep breath and then exhaled.

「 オーイ ! マートル !」

「 あぁ 、 ビープズ 、 だめ 。 わたし が 言った こと 、 あの 子 に 言わ ないで 。 ||いった|||こ||いわ| Don't tell that child what I said. じゃ ない と 、 あの 子 とっても 気 を 悪く する わ 」 ||||こ||き||わるく|| Otherwise, that child will be very offended. "

ハーマイオニー は 大 慌て で ささやいた 。 ||だい|あわて||

「 わたし 、 本気で 言った んじゃ ない の よ 。 |ほんきで|いった|||| "I didn't really say that. わたし 気 に して ない わ 。 |き|||| I don't care. あの 子 が ...... あら 、 こん にち は 、 マートル 」 |こ||||||

ずんぐり した 女の子 の ゴースト が スルスル と やってきた 。 ||おんなのこ||ごーすと||するする||

ハリー が これ まで 見た 中 で 一 番 陰気 くさい 顔 を して いた 。 ||||みた|なか||ひと|ばん|いんき||かお||| He had the gloomiest face Harry had ever seen. その 顔 も 、 ダラーツ と 垂れた 猫っ毛 と 、 分厚い 乳 白色 の メガネ の 陰 に 半分 隠れて いた 。 |かお||||しだれた|ねこ っ け||ぶあつい|ちち|はくしょく||めがね||かげ||はんぶん|かくれて| 「 なん な の ?」

マートル が 仏頂面 で 言った 。 ||ぶっちょうづら||いった

「 お 元気 ?」 ハーマイオニー が 無理に 明るい 声 を 出した 。 |げんき|||むりに|あかるい|こえ||だした

「 トイレ の 外 で お 会い できて 、 うれしい わ 」 マートル は フン と 鼻 を 鳴らした 。 といれ||がい|||あい||||||ふん||はな||ならした "I'm glad to see you outside the bathroom." Myrtle snorted.

「 ミス ・ グレンジャー が たった今 おまえ の こと を 話して たよ ぅ ......」 みす|||たったいま|||||はなして|| "Miss Granger was just talking about you ..."

ビープズ が いたずらっぼく マートル に 耳打ち した 。 ||いたずら っ ぼく|||みみうち| 「 あなた の こと ―― ただ ―― 今夜 の あなた は とって も 素敵って 言って た だけ よ 」  ハーマイオニー が ビープズ を にらみつけ ながら 言った 。 ||||こんや||||||すてき って|いって||||||||||いった マートル は 「 嘘 でしょう 」 と いう 目つき で ハーマイオニー を 見た 。 ||うそ||||めつき||||みた

「 あなた 、 わたし の こと から かって た んだ わ 」 "You made fun of me."

むこう が 透けて 見える マートル の 小さな 目 から 銀色 の 涙 が 見る見る 溢れて きた 。 ||すけて|みえる|||ちいさな|め||ぎんいろ||なみだ||みるみる|あふれて|

「 そう じゃ ない ―― ほんと よ ―― わたし 、 さっき 、 マートル が 素敵 だって 言って たわ よ ね ?」 |||||||||すてき||いって||| "That's not--really--I just said that Myrtle was nice, right?"

ハーマイオニー は ハリー と ロン の 脇腹 を 痚 い ほど 小突いた 。 ||||||わきばら|||||こづいた

「 ああ 、 そう だ と も 」

「 そう 言って た ......」 |いって|

「 嘘 言って も ダメ 」 うそ|いって||だめ

マートル は 喉 が 詰まり 、 涙 が 滝 の ように 頬 を 伝った 。 ||のど||つまり|なみだ||たき|||ほお||つたった

ビープズ は マートル の 肩 越し に 満足げに ケタ ケタ 笑って いる 。 ||||かた|こし||まんぞくげに|けた|けた|わらって|

「 みんな が 陰 で 、 わたし の こと なんて 呼んで る か 、 知ら ない と でも 思って る の ? デブ の マー トル 、 ブス の マートル 、 惨め 屋 ・ 愚痴 り 屋 ・ ふさぎ 屋 マートル !」 ||かげ||||||よんで|||しら||||おもって||||||||||みじめ|や|ぐち||や||や| Do you think I don't know what people are calling me behind my back? Fat Myrtle, ugly Myrtle, miserable, whiny, snotty Myrtle!"

「 抜かした よ ぅ 、 にきび 面って の を 」 ビープズ が マートル の 耳元 で ヒソヒソ と 言った 。 ぬかした||||おもて って|||||||みみもと||ひそひそ||いった I've got a zit," Beeps whispered in Myrtle's ear. 「 嘆き の マートル 」 は 途端 に 苦しげに しゃくりあげ 、 地下 牢 から 逃げる ように 出て 行った 。 なげき||||とたん||くるしげに||ちか|ろう||にげる||でて|おこなった Myrtle of Sorrows. The "Mere Old Man" instantly squawked in agony and ran out of the dungeon.

ビープズ は 黴 だらけ の ピーナツ を マートル にぶっつけて 、「 にきび 面 ! にきび 面 !」 と 叫び ながら マートル を 追いかけて 行った 。 ||かび||||||にぶ っ つけて||おもて||おもて||さけび||||おいかけて|おこなった 「 ああ 、 もう 」 ハーマイオニー が 悲し そうに 言った 。 ||||かなし|そう に|いった 今度 は 「 ほとんど 首 無し ニック 」 が 人 温み を 掻き分けて ふわふわ やってきた 。 こんど|||くび|なし|||じん|ぬくみ||かきわけて|| This time it's "Almost Headless, Nick." The "Mere Old Man" was fluttering in through the warmth of the crowd. 「 楽しんで います か ?」 「 ええ 」 みんな で 嘘 を ついた 。 たのしんで|い ます|||||うそ|| 「 ずいぶん 集まって くれました 」 「 ほとんど 首 無し ニック 」 は 誇らしげに 言った 。 |あつまって|くれ ました||くび|なし|||ほこらしげに|いった 「『 めそめそ 未亡人 』 は 、 はるばる ケント から やってきました ...... そろそろ 私 の スピーチ の 時間 です 。 |みぼうじん|||||やってき ました||わたくし||すぴーち||じかん| むこうに 行って オーケストラ に 準備 さ せ なければ ......」 |おこなって|おーけすとら||じゅんび||| I have to go over there and prepare the orchestra ... "

ところが 、 その 瞬間 、 オーケストラ が 演奏 を やめた 。 ||しゅんかん|おーけすとら||えんそう||

楽団 員 、 それ に 地下 牢 に いた 全員 が 、 狩 の 角笛 が 鳴り響く 中 、 シーン と 静まり 、 興奮 して 周 り を 見回した 。 がくだん|いん|||ちか|ろう|||ぜんいん||か||つのぶえ||なりひびく|なか|しーん||しずまり|こうふん||しゅう|||みまわした

「 ああ 、 始まった 」 ニック が 苦々し げ に 言った 。 |はじまった|||にがにがし|||いった

地下 牢 の 壁 から 、 十二 騎 の 馬 の ゴースト が 飛び出して きた 。 ちか|ろう||かべ||じゅうに|き||うま||ごーすと||とびだして|

それぞれ 首 無し の 騎手 を 乗せて いた 。 |くび|なし||きしゅ||のせて| 観衆 が 熱狂 的な 拍手 を 送った 。 かんしゅう||ねっきょう|てきな|はくしゅ||おくった

ハリー も 拍手 しよう と 思った が 、 ニック の 顔 を 見て すぐに 思いとどまった 。 ||はくしゅ|||おもった||||かお||みて||おもいとどまった

馬 たち は ダンス ・ フロア の 真ん中 まで ギャロップ で 走って きて 、 前 に 突っ込んだり 、 後 脚立 ち に なったり して 止まった 。 うま|||だんす|ふろあ||まんなか||||はしって||ぜん||つっこんだり|あと|きゃたつ|||||とまった The horses ran in a gallop to the middle of the dance floor and stopped, plunging forward and becoming a stepladder behind.

先頭 の 大柄な ゴースト は 、 顎 嚢 を 生やした 自分 の 首 を 小 脇 に 抱えて いて 、 首 が 角笛 を 吹いて いた 。 せんとう||おおがらな|ごーすと||あご|のう||はやした|じぶん||くび||しょう|わき||かかえて||くび||つのぶえ||ふいて| The large ghost at the beginning was holding his chin-sac-bearing neck under his armpit, and his neck was blowing a horn.

その ゴースト は 馬 から 飛び降り 、 群 集 の 頭越し に 何 か 見る ように 、 自分 の 首 を 高々 と 掲げた ( みんな 笑った )。 |ごーすと||うま||とびおり|ぐん|しゅう||あたまごし||なん||みる||じぶん||くび||たかだか||かかげた||わらった The ghost jumped off the horse and raised his neck high, as if to see something over the head of the crowd (everyone laughed).

それ から 「 ほとんど 首 無し ニック 」 の 方 に 大股 で 近づき 、 首 を 胴体 に グイ と 押し込む ように 戻した 。 |||くび|なし|||かた||おおまた||ちかづき|くび||どうたい||||おしこむ||もどした

「 ニック !」 吼 える ような 声 だ 。 |こう|||こえ|

「 元気 かね ? 首 は まだ そこ に ぶら下がって おる の か ?」 げんき||くび|||||ぶらさがって|||

男 は 思いきり 高 笑い して 、「 ほとんど 首 無し ニック 」 の 肩 を パンパン 叩いた 。 おとこ||おもいきり|たか|わらい|||くび|なし|||かた||ぱんぱん|たたいた

「 ようこそ 、 パトリック 」 ニック が 冷たく 言った 。 ||||つめたく|いった

「 生きて る 連中 だ !」 いきて||れんちゅう|

パトリック 卿 が ハリー 、 ロン 、 ハーマイオニー を 見つけて 、 驚いた ふり を して わざと 大げさ に 飛び上がった 。 |きょう||||||みつけて|おどろいた|||||おおげさ||とびあがった

狙い 通り 、 首 が また ころげ 落ちた ( 観衆 は 笑いころげた )。 ねらい|とおり|くび||||おちた|かんしゅう||わらいころげた Right on target, the head fell off again (the crowd laughed).

「 まことに 愉快です な 」 |ゆかいです| "It's really quite amusing."

「 ほとんど 首 無し ニック 」 が 沈んだ 声 で 言った 。 |くび|なし|||しずんだ|こえ||いった

「 ニック の こと は 、 気 に した もう な ?」 床 に 落ちた パーリック 卿 の 首 が 叫んだ 。 ||||き|||||とこ||おちた||きょう||くび||さけんだ "Don't you care about Nick?" Sir Parrick's neck, which fell to the floor, shouted.

「 我々 が ニック を 狩 クラブ に 入れ ない こと を 、 まだ 気 に 病んで いる ! しかし 、 要するに 彼 を 見れば ――」 われわれ||||か|くらぶ||いれ|||||き||やんで|||ようするに|かれ||みれば "I'm still worried that we won't put Nick in the hunting club! But in short, look at him--"

「 あの ――」 ハリー は ニック の 意味 あり げ な 目つき を 見て 、 慌てて 切り出した 。 |||||いみ||||めつき||みて|あわてて|きりだした 「 ニック は とって も ―― 恐ろしくて 、 それ で ―― あの ......」 「 は はん ?」 パトリック 卿 の 首 が 叫んだ 。 ||||おそろしくて|||||||きょう||くび||さけんだ

「 そう 言え と 彼 に 頼ま れた な ?」 |いえ||かれ||たのま|| "He asked me to tell you that, didn't he?"

「 みなさん 、 ご 静粛に 。 ||せいしゅくに ひとこと 私 から ご挨拶 を !」「 ほとんど 首 無し ニック 」 が 声 を 張り 上げ 、 堂々と 演壇 の 方 に 進み 、 壇上 に 登り 、 ひやりと する ような ブルー の スポット ライト を 浴びた 。 |わたくし||ごあいさつ|||くび|なし|||こえ||はり|あげ|どうどうと|えんだん||かた||すすみ|だんじょう||のぼり||||ぶるー||すぽっと|らいと||あびた A word of greeting from me! ”“ Nearly Headless Nick ”screamed, proudly headed towards the podium, climbed onto the podium, and was exposed to the cool blue spotlight.

「 お 集まり の 、 今 は 亡き 、 嘆 げか わしき 閣下 、 紳士 、 淑女 の 皆様 。 |あつまり||いま||なき|なげ|||かっか|しんし|しゅくじょ||みなさま "Gathering, now dead, mourning, your Excellency, gentlemen, ladies and gentlemen. ここ に 私 、 心から の 悲し み を もち まして ......」 ||わたくし|こころから||かなし|||| Here I have my heartfelt sorrow ... "

その あと は 誰 も 聞いて は い なかった 。 |||だれ||きいて||| After that, no one listened.

パトリック 卿 と 「 首 無し 狩 クラブ 」 の メンバー が 、 ちょうど 首 ホッケー を 始めた ところ で 、 客 は そちら に 目 を 奪われて いた 。 |きょう||くび|なし|か|くらぶ||めんばー|||くび|ほっけー||はじめた|||きゃく||||め||うばわ れて| 「 ほとんど 首 無し ニック 」 は 聴衆 の 注意 を 取り戻そう と やっさ に なった が 、 パトリック 卿 の 首 が ニック の 脇 を 飛んで 行き 、 みんな が ワッ と 歓声 を あげた ので 、 すっかり あきらめて し まった 。 |くび|なし|||ちょうしゅう||ちゅうい||とりもどそう||やっ さ|||||きょう||くび||||わき||とんで|いき|||||かんせい||||||| ハリー は もう 寒くて たまらなく なって いた 。 |||さむくて||| もちろん 腹 ペコ だった 。 |はら||

「 僕 、 もう 我慢 でき ない よ 」 ロン が つぶやいた 。 ぼく||がまん|||||| "I can't stand it anymore," Ron muttered.

オーケストラ が また 演奏 を 始め 、 ゴースト たち が するする と ダンス ・ フロア に 戻って きた と き 、 ロン は 歯 を ガチガチ 震わせて いた 。 おーけすとら|||えんそう||はじめ|ごーすと|||||だんす|ふろあ||もどって||||||は||がちがち|ふるわせて|

「 行こう 」 ハリー も 同じ 思い だった 。 いこう|||おなじ|おもい| 誰 か と 目 が 合う たび に ニッコリ と 会釈 し ながら 、 三 人 は あとずさり して 出口 へ と 向かった 。 だれ|||め||あう|||にっこり||えしゃく|||みっ|じん||||でぐち|||むかった ほどなく 、 三 人 は 黒い 蝋燭 の 立ち 並ぶ 通路 を 、 急いで 元来 た方 へ と 歩いて いた 。 |みっ|じん||くろい|ろうそく||たち|ならぶ|つうろ||いそいで|がんらい|たほう|||あるいて| 「 デザート が まだ 残って いる かも しれ ない 」 玄関 ホール に 出る 階段 へ の 道 を 、 先頭 を 切って 歩き ながら 、 ロン が 祈る ように 言った 。 でざーと|||のこって|||||げんかん|ほーる||でる|かいだん|||どう||せんとう||きって|あるき||||いのる||いった その とき 、 ハリー は あの 声 を 聞いた 。 |||||こえ||きいた 「...... 引き裂いて やる ...... 八 つ 裂き に して やる ...... 殺して やる ......」 ひきさいて||やっ||さき||||ころして|

あの 声 と 同じだ 。 |こえ||おなじだ

ロック ハート の 部屋 で 闘い た と 同じ 、 冷たい 、 残忍な 声 。 ろっく|はーと||へや||たたかい|||おなじ|つめたい|ざんにんな|こえ

ハリー は よ ろ よ ろ と して 立ち止まり 、 石 の 壁 に すがって 、 全身 を 耳 に して 声 を 聞いた 。 ||||||||たちどまり|いし||かべ|||ぜんしん||みみ|||こえ||きいた そして 、 ほの暗い 灯り に 照らさ れた 通路 の 隅 から 隅 まで 、 目 を 細めて 、 じっと 見回した 。 |ほのぐらい|ともり||てらさ||つうろ||すみ||すみ||め||ほそめて||みまわした 「 ハリー 、 いったい 何 を ......?」 ||なん|

「 また あの 声 な んだ ―― ちょっと 黙って て ――」 「... 空腹だ ... とても ... ずっと ... 長い 間 ...」 「 ほら 、 聞こえる ?」 ハリー が 急き込んで 言った 。 ||こえ||||だまって||くうふくだ|||ながい|あいだ||きこえる|||せきこんで|いった ロン と ハーマイオニー は ハリー を 見つめ 、 その 場 に 凍りついた ように なった 。 ||||||みつめ||じょう||こおりついた|| 「...... 殺して やる ...... 殺す とき が 来た ......」 ころして||ころす|||きた

声 は だんだん 幽 か に なって きた 。 こえ|||ゆう|||| ハリー は 、 それ が たしかに 移動 して いる と 思った ―― 上 の 方 に 遠ざかって 行く 。 |||||いどう||||おもった|うえ||かた||とおざかって|いく

暗い 天井 を じっと 見上げ ながら 、 ハリー は 恐怖 と 興奮 の 入り交じった 気持 で 胸 を 締め つ けら れる ようだった 。 くらい|てんじょう|||みあげ||||きょうふ||こうふん||いりまじった|きもち||むね||しめ||||

どう やって 上 の 万 へ 移動 できる んだろう ? 石 の 天井 で さえ なんの 障害 に も なら ない 幻 な のだ ろうか ? ||うえ||よろず||いどう|||いし||てんじょう||||しょうがい|||||まぼろし||| How can we move up to the millions? Is it a phantom that even the stone ceiling is not an obstacle?

「 こっち だ 」

ハリー は そう 叫ぶ と 階段 を 駆け上がって 玄関 ホール に 出た 。 |||さけぶ||かいだん||かけあがって|げんかん|ほーる||でた

しかし 、 そこ で は 何 か 聞こう など 、 無理な 注文 だった 。 ||||なん||きこう||むりな|ちゅうもん| However, it was an unreasonable order, such as asking something there.

ハロウィーン ・ パーティ の ペチャクチャ と いう おしゃべり が 大広間 から ホール まで 響いて い た 。 |ぱーてぃ|||||||おおひろま||ほーる||ひびいて||

ハリー は 大理石 の 階段 を 全速力 で 駆け上がり 、 二 階 に 出た 。 ||だいりせき||かいだん||ぜんそくりょく||かけあがり|ふた|かい||でた ロン と ハーマイオニー も バタバ タ と あと に 続いた 。 |||||||||つづいた

「 ハリー 、 いったい 僕たち 何 を ......」 ||ぼくたち|なん|

「 シーツ !」 ハリー は 耳 を そばだてた 。 しーつ|||みみ||

遠く 上 の 階 から 、 ますます 幽 か に なり ながら 、 声 が 聞こえて きた 。 とおく|うえ||かい|||ゆう|||||こえ||きこえて|

「...... 血 の 臭い が する ...... 血 の 臭い が する ぞ !」 ち||くさい|||ち||くさい|||

ハリー は 胃 が 引っくり返り そうだった 。 ||い||ひっくりかえり|そう だった

「 誰 か を 殺す つもりだ !」 だれ|||ころす|

そう 叫ぶ なり 、 ハリー は ロン と ハーマイオニー の 当惑 した 顔 を 無視 して 、 三 階 へ の 階段 を 一 度 に 三 段 ずつ 吹っ飛ば して 駆け上がった 。 |さけぶ||||||||とうわく||かお||むし||みっ|かい|||かいだん||ひと|たび||みっ|だん||ふっとば||かけあがった

その 間 も 、 自分 の 足音 の 響き に かき 称さ れ そうに なる 声 を 、 聞き取ろう と した 。 |あいだ||じぶん||あしおと||ひびき|||そやさ||そう に||こえ||ききとろう|| In the meantime, I tried to hear a voice that seemed to be nicknamed by the sound of my footsteps. ハリー は 三 階 を くまなく 飛び回った 。 ||みっ|かい|||とびまわった ロン と ハーマイオニー は 息 せき 切って 、 ハリー の あと を ついて回った 。 ||||いき||きって|||||ついてまわった

角 を 曲がり 、 最後 の 、 誰 も いない 廊下 に 出た とき 、 ハリー は やっと 動く の を やめた 。 かど||まがり|さいご||だれ|||ろうか||でた|||||うごく||| Harry finally stopped moving when he turned the corner and went out into the last, empty corridor. 「 ハリー 、 いったい これ は どういう こと だい ?」 ロン が 額 の 汗 を 拭い ながら 聞いた 。 |||||||||がく||あせ||ぬぐい||きいた

「 僕 に は なんにも 聞こえ なかった ......」 しかし 、 ハーマイオニー の 方 は 、 ハッと 息 を 呑 んで 廊下 の 隅 を 指差した 。 ぼく||||きこえ|||||かた||はっと|いき||どん||ろうか||すみ||ゆびさした "I couldn't hear anything ..." But Hermione took a breath and pointed at the corner of the corridor. 「 見て !」 みて

むこうの 壁 に 何 か が 光って いた 。 |かべ||なん|||ひかって| Something was shining on the wall over there.

三 人 は 暗がり に 目 を 凝らし ながら 、 そ ーっと 近づいた 。 みっ|じん||くらがり||め||こらし|||- っと|ちかづいた 窓 と 窓 の 間 の 壁 に 、 高 さ 三十 センチ ほど の 文字 が 塗り つけられ 、 松明 に 照らされて チラチラ と 鈍い 光 を 放って いた 。 まど||まど||あいだ||かべ||たか||さんじゅう|せんち|||もじ||ぬり|つけ られ|たいまつ||てらさ れて|ちらちら||にぶい|ひかり||はなって| The wall between the windows was painted with letters about thirty centimeters high, lit by torches and shining a dull light. 秘密の 部屋 は 開か れたり ひみつの|へや||あか|

継承 者 の 敵 よ 、 気 を つけよ けいしょう|もの||てき||き||

「 なんだろう ―― 下 に ぶら下がって いる の は ?」 ロン の 声 は かすかに 震えて いた 。 |した||ぶらさがって||||||こえ|||ふるえて|

じりじり と 近寄り ながら 、 ハリー は 危うく 滑り そうに なった 。 ||ちかより||||あやうく|すべり|そう に|

床 に 大きな 水溜り が できて いた のだ 。 とこ||おおきな|みずたまり||||

ロン と ハーマイオニー が ハリー を 受け止めた 。 ||||||うけとめた Ron and Hermione took Harry.

文字 に 尐 し ずつ 近づき ながら 、 三 人 は 文字 の 下 の 、 暗い 影 に 日 を 凝らした 。 もじ|||||ちかづき||みっ|じん||もじ||した||くらい|かげ||ひ||こらした As they approached the letters little by little, the three set the sun in the dark shadow below the letters.

一瞬にして 、 それ が な んな の か 三 人 と も わかった 。 いっしゅんにして|||||||みっ|じん||| In an instant, I knew what it was like.

途端 に 三 人 は のけぞる ように 飛びのき 、 水溜り の 水 を 跳ね 上げた 。 とたん||みっ|じん||||とびのき|みずたまり||すい||はね|あげた Immediately, the three jumped like a squirrel and bounced off the water in the puddle.

管理人 の 飼い 猫 、 ミセス ・ ノリス だ 。 かんりにん||かい|ねこ|||

松明 の 腕 木 に 尻尾 を 絡ま せて ぶら下がって いる 。 たいまつ||うで|き||しっぽ||からま||ぶらさがって| The tail is entwined around the torch's arm tree and hangs.

板 の ように 硬直 し 、 目 は カッ と 見開いた まま だった 。 いた|||こうちょく||め||||みひらいた|| It stiffened like a board, and its eyes remained wide open.

しばらく の 間 、 三 人 は 動か なかった 。 ||あいだ|みっ|じん||うごか| やおら 、 ロン が 言った 。 |||いった

「 ここ を 離れよう 」 ||はなれよう

「 助けて あげる べきじゃ ない か な ......」 ハリー が 戸惑い ながら 言った 。 たすけて||||||||とまどい||いった "I should help you ..." Harry said, confused.

「 僕 の 言う 通り に して 」 ロン が 言った 。 ぼく||いう|とおり|||||いった "As I say," Ron said. 「 ここ に いる ところ を 見られ ない 方 が いい 」  すでに 遅かった 。 |||||み られ||かた||||おそかった "It's better not to be able to see where you are." It was already late. 遠い 雷鳴 の ような ぎ わめき が 聞こえた 。 とおい|らいめい||||||きこえた I heard a distant thunder-like roar. パーティ が 終わった らしい 。 ぱーてぃ||おわった|

三 人 が 立って いる 廊下 の 両側 から 、 階段 を 上って くる 何 百 と いう 足音 、 満腹 で 楽しげな さ ざ め き が 聞こえて きた 。 みっ|じん||たって||ろうか||りょうがわ||かいだん||のぼって||なん|ひゃく|||あしおと|まんぷく||たのしげな||||||きこえて| 次の 瞬間 、 生徒 たち が 廊下 に ワッ と 現れた 。 つぎの|しゅんかん|せいと|||ろうか||||あらわれた

前 の 方 に いた 生徒 が ぶら下がった 猫 を 見つけた 途端 、 おしゃべり も 、 さ ざ め きも 、 ガヤガヤ も 突然 消えた 。 ぜん||かた|||せいと||ぶらさがった|ねこ||みつけた|とたん|||||||がやがや||とつぜん|きえた

沈黙 が 生徒 たち の 群れ に 広がり 、 おぞましい 光景 を 前 の 方 で 見よう と 押し 合った 。 ちんもく||せいと|||むれ||ひろがり||こうけい||ぜん||かた||みよう||おし|あった Silence spread to the crowd of students, pushing for a horrifying sight in front of them.

その 傍ら で 、 ハリー 、 ロン 、 ハーマイオニー は 廊下 の 真ん中 に ポツンと 取り残されて いた 。 |かたわら||||||ろうか||まんなか||ぽつんと|とりのこさ れて| Beside that, Harry, Ron, and Hermione were left behind in the middle of the corridor. やおら 、 静けさ を 破って 誰 か が 叫んだ 。 |しずけさ||やぶって|だれ|||さけんだ 「 継承 者 の 敵 よ 、 気 を つけよ ? 次 は おまえたち の 番 だ ぞ 、『 撮れた 血 』 め !」 ドラコ ・ マルフォイ だった 。 けいしょう|もの||てき||き|||つぎ||||ばん|||とれた|ち||||

人垣 を 押しのけて 最 前列 に 進み 出た マルフォイ は 、 冷たい 目 に 生気 を みなぎら せ 、 いつも は 血の気 の ない 頬 に 赤み が さし 、 ぶら下がった まま ピクリ と も し ない 猫 を 見て ニヤッ と 笑った 。 ひとがき||おしのけて|さい|ぜんれつ||すすみ|でた|||つめたい|め||せいき||||||ちのけ|||ほお||あかみ|||ぶらさがった||ぴくり|||||ねこ||みて|||わらった Malfoy, who pushed the crowd away and proceeded to the front row, burst into life with his cold eyes, reddish on his normally bloodless cheeks, and grinned at the hanging cat.