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2 - Harry Potter, 2. ドビーの警告 - Dobby's Warning

2. ドビーの警告 - Dobby's Warning

第 2 章 ドビー の 警告 - Dobby ' s Warning ハリー が 危うく 叫び声 を あげる ところ だった が 、 やっと の こと で こらえた 。 ベッド の 上 に は 、 コウモリ の ような 長い 耳 を して 、 テニスボール ぐらい の 緑 の 目 が ギョロリ と 飛び出した 小さな 生物 が いた 。 今朝 、 庭 の 生垣 から 自分 を 見て いた の は これ だ 、 と ハリー は とっさに 気づいた 。

互い じっと 見つめて いる うち に 、 玄関 ホール の 方 から ダドリー の 声 が 聞こえて きた 。

「 メイソン さん 、 奥様 、 コート を お 預かり いた ま しょうか ?」

生物 は ベッド から スルリ と 滑り 降りて 、 カーペット に 細長い 鼻 の 先 が くっつく ぐらい 低く お 辞儀 を した 。 ハリー は その 生物 が 、 手 と 足 が 出る ように 裂け目 が ある 古い 枕 カバー の ような もの を 着て いる の に 気づいた 。

「 あ ―― こんばん は 」 ハリー は 不安 げ に 挨拶 した 。

「 ハリー ・ ポッター !」 生物 が 甲高い 声 を 出した 。 きっと 下 まで 聞こえた と ハリー は 思った 。 「 ドビー め は ずっと あなた 様 に お目にかかり たかった ...... とっても 光栄です ......」 「 あ 、 ありがとう 」

ハリー は 壁 伝い に 机 の 方 に にじり寄り 、 くずれる ように 椅子 に 腰掛けた 。 椅子 の そば の 大き な 鳥 かご で ヘドウィグ が 眠って いた 。 ハリー は 「 君 は な ー に ?」 と 聞き たかった が 、 それ で は あんまり 失礼だ と 思い 、「 君 は だ ー れ ?」 と 聞いた 。

「 ドビー めに ございます 。 ドビー と 呼び捨てて ください 。 『 屋敶 しもべ 妖精 』 の ドビー で す 」 と 生物 が 答えた 。

「 あ ―― そう な の 。 あの ―― 気 を 悪く し ないで 欲しい んだ けど 、 でも ―― 僕 の 部屋 に 今 『 屋敶 しもべ 妖精 』 が いる と 、 とっても 都合 が 悪い んだ 」

ペチュニア おばさん の 甲高い 作り 笑い が 居間 から 聞こえて きた 。 しもべ 妖精 は うなだれた 。

「 知り合い に なれて 嬉しく な いって わけじゃ ない んだ よ 」 ハリー が 慌てて 言った 。 「 だけ ど 、 あの 、 何 か 用事 が あって ここ に 来た の ?」

「 はい 、 そう で ございます と も 」 ドビー が 熱っぽく 言った 。 「 ドビー め は 申し上げたい こと が あって 参りました ...... 複雑で ございまして ...... ドビー め は いったい 何 から はなして よい や ら ......」 「 座って ね 」 ハリー は ベッド を 指差して 丁寧に そう 言った 。 しもべ 妖精 は わっと 泣き出した ―― ハリー が はらはら する ような うるさい 泣き 方 だった 。 「 す ―― 座って なんて !」 妖精 は オンオン 泣いた 。 「 これ まで 一 度 も ...... 一 度 だって ......」

ハリー は 階下 の 声 が 一瞬 たじろいだ ような 気 が した 。

「 ごめん ね 」 ハリー は ささやいた 。 「 気 に 障る ような こと を 言う つもり は なかった ん だけ ど 」

「 この ドビー め の 気 に 障る ですって !」 妖精 は 喉 を つまら せた 。

「 ドビー め は これ まで たった の 一 度 も 、 魔法使い から 座って なんて 言わ れた こと が ございません ―― まるで 対等 みたいに ――」

ハリー は 「 シーッ !」 と 言い ながら も 、 なだめる ように ドビー を 促して 、 ベッド の 上 に 座ら せた 。 ベッド で しゃくりあげて いる 姿 は 、 とても 醜い 大きな 人形 の ようだった 。 しばらく す る と ドビー は やっと 収まって きて 、 大きな ギョロ 目 を 尊敬 で 潤ま せ 、 ハリー を ひしと 見て い た 。

「 君 は 礼儀正しい 魔法使い に 、 あんまり 会わ なかった んだ ね 」

ハリー は ドビー を 元気づける つもりで そう 言った 。

ドビー は うなずいた 。 そして 突然 立ち上がる と 、 なんの 前触れ も なし に 窓 ガラス に 激しく 頭 を 打ちつけ はじめた 。

「 ドビー は 悪い 子 ! ドビー は 悪い 子 !」

「 やめて ―― いったい どうした の ?」

ハリー は 声 を 噛み殺し 、 飛び上がって ドビー を 引き戻し 、 ベッド に 座ら せた 。 ヘドウィグ が 目 を 覚まし 、 ひときわ 大きく 鳴いた か と 思う と 鳥 篭 の 格子 に バタバタ と 激しく 羽 を 打ちつけ た 。

「 ドビー め は 自分 で お 仕置 き を しなければ なら ない のです 」 妖精 は 目 を クラクラ さ せ ながら 言った 。 「 自分 の 家族 の 悪 口 を 言い かけた ので ございます ......」

「 君 の 家族って ?」 「 ドビー め が お 仕え して いる ご 主人 様 、 魔法使い の 家族 で ございます ...... ドビー は 屋敶 しもべ です ...... 一 つ の 屋敶 、 一 つ の 家族 に 一生 お 仕え する 運命 な のです ......」 「 その 家族 は 君 が ここ に 来て る こと を 知って る の ?」 ハリー は 興味 を そそら れた 。

ドビー は 身 を 震わせた 。

「 めっそう も ない ...... ドビー め は こうして お目にかかり に 参りました こと で 、 きびし ー く 自分 を お 仕置 きし ない と いけない のです 。 ドビー め は オーブン の 蓋 で 両 耳 を バッチン し ない と いけない のです 。 ご 主人 様 に ばれたら 、 もう ......」

「 でも 、 君 が 両 耳 を オーブン の 蓋 に 挟んだり したら 、 それ こそ ご 主人 が 気づく んじゃ な い ?」

「 ドビー め は そう は 思いません 。 ドビー め は 、 いっつも なんだ かんだ と 自分 に お 仕置きして いない と いけない のです 。 ご 主人 様 は 、 ドビー め に 勝手に お 仕置きさ せて おく ので ございま す 。 時々 お 仕置 き が 足りない と おっしゃる のです ......」

「 どうして 家出し ない の ? 逃げれば ?」

「 屋敶 しもべ 妖精 は 解放 して いた だ か ない と いけない のです 。 ご 主人 様 は ドビー め を ご 自由 に する はず が ありません ...... ドビー め は 死ぬ まで ご 主人 様 の 一家 に 使える ので ございます ... ...」 ハリー は 目 を 見張った 。 「 僕 なんか 、 あと 四 週間 も ここ に いたら 、 とっても 身 が 持た ない と 思って た 。 君 の 話し を 聞 いて たら ダーズリー 一家 で さえ 人間 らしいって 思えて きた 。 誰 か 君 を 助けて あげられない の か な ? 僕 に 何 か できる ?」 そう 言った 途端 、 ハリー は 「 しまった 」 と 思った 。 ドビー は またしても 感謝 の 雤 あられ と 泣き 出した 。

「 お 願い だ から 」 ハリー は 必死で ささやいた 。 「 頼む から 静かに して 。 おじさん たち が 聞き つけたら 、 君 が ここ に いる こと が 知ら れたら ......」

「 ハリー ・ ポッター が 『 何 か でき ない か 』って 、 ドビー め に 聞いて くださった ...... ドビー め は あなた 様 が 偉大な 方 だ と は 聞いて おりました が 、 こんなに お やさしい 方 だ と は 知りません でした ......」 ハリー は 顔 が ポッ と 熱く なる の を 感じた 。 「 僕 が 偉大 なんて 、 君 が 何 を 聞いた か 知ら ない けど 、 くだらない こと ばかり だ よ 。 僕 な ん か 、 ホグワーツ の 同 学年 で トップ と いう わけで も ない し 。 ハーマイオニー が ......」

それ 以上 は 続けられ なかった 。 ハーマイオニー の こと を 思い出した で け で 胸 が 痚 んだ 。 「 ハリー ・ ポッター は 謙虚で 威張ら ない 方 です 」

ドビー は 球 の ような 目 を 輝か せて 恭しく 言った 。

「 ハリー ・ ポッター は 『 名前 を 呼んで は いけない あの 人 』 に 勝った こと を おっしゃらない 」

「 ヴォルデモート ?」

「 あぁ 、 その 名 を おっしゃら ないで 。 おっしゃら ないで 」

ドビー は コウモリ の ような 耳 を 両手 で パチッ と 覆い 、 うめく ように 言った 。

ハリー は 慌てて 、「 ごめん 」 と 言った 。

「 その 名前 を 聞き たく ない 人 は いっぱい いる んだ よ ね ―― 僕 の 友達 の ロン なんか ――」

また それ 以上 は 続か なかった 。 ロン の こと を 考えて も 胸 が 疼いた 。

ドビー は ヘッドライト の ような 目 を 見開いて 、 ハリー の 方 に 身 を 乗り出して きた 。

「 ドビー め は 聞きました 」 ドビー の 声 が かすれて いた 。 「 ハリー ・ ポッター が 闇 の 帝王 と 二 度 目 の 対決 を 、 ほんの 数 週間 前 に ......、 ハリー ・ ポッター が またしても その 手 を 逃れた と 」

ハリー が うなずく と 、 ドビー の 目 が 急に 涙 で 光った 。

「 あぁ 」 ドビー は 着て いる きたな らしい 枕 カバー の 端っこ を 顔 に 押し当てて 涙 を 拭い 、 感嘆 の 声 を あげた 。 「 ハリー ・ ポッター は 勇猛 果敢 ! もう 何度 も 危機 を 切り抜けて いらっしゃった ! でも 、 ドビー め は は リー ・ ポッター を お 護 りする ため に 参りました 。 警告 し に 参りました 。 あと で オーブン の 蓋 で 耳 を バッチン し なくて は なりません が 、 それ でも ......。 ハリー ・ ポッター は ホグワーツ に 戻って は なりません 」 一瞬 の 静けさ ――。 階下 で ナイフ や フォーク を カチャカチャ いう 音 と 、 遠い 雷鳴 の ように ゴロゴロ と いう バーノン おじさん の 声 が 聞こえた 。

「 な 、 なんて 言った の ?」 言葉 が つっかえた 。 「 僕 、 だって 、 戻ら なきゃ ―― 九 月 一 日 に 新 学期 が 始まる んだ 。 それ が なきゃ 僕 、 耐えられ ない よ 。 ここ が どんな ところ か 、 君 は 知ら な い だ 。 ここ に は 身 の 置き場 が ない んだ 。 僕 の 居場所 は 君 と 同じ 世界 ―― ホグワーツ なんだ 」

「 いえ 、 いえ 、 いえ 」

ドビー が キーキー 声 を たてた 。 あんまり 激しく 頭 を 横 に 振った ので 、 耳 が パタパタ いった 。

「 ハリー ・ ポッター は 安全な 場所 に いない と いけません 。 あなた 様 は 偉大な 人 、 優しい 人 、 失う わけに は 参りません 。 ハリー ・ ポッター が ホグワーツ に 戻れば 、 死ぬ ほど 危険 で ございます 。」 「 どうして ?」 ハリー は 驚いて 訪ねた 。

ドビー は 突然 全身 を ワナワナ 震わせ ながら ささやく ように 言った 。

「 罠 です 。 ハリー ・ ポッター 。 今 学期 、 ホグワーツ 魔法 魔術 学校 で 世にも 恐ろしい こと が 起 こる よう 仕掛けられた 罠 で ございます 。 ドビー め は その こと を 何 ヶ月 も 前 から 知って おり ま した 。 ハリー ・ ポッター は 危険に 身 を さらして は なりません 。 ハリー ・ ポッター は あまりに も 大切な お方 です !」

「 世にも 恐ろしい ことって ?」 ハリー は 聞き返した 。 「 誰 が そんな 罠 を ?」

ドビー は 喉 を しめら れた ような 奇妙な 声 を あげ 、 狂った ように 壁 に バンバン 頭 を 打ちつけ た 。

「 わかった から !」 ハリー は 妖精 の 腕 を つかんで 引き戻し ながら 叫んだ 。

「 言え ない んだ ね 。 わかった よ 。 でも 君 は どうして 僕 に 知らせて くれる の ?」

ハリー は 急に 嫌な 予感 が した 。

「 もしかして ―― それ 、 ヴォル ―― あ 、 ごめん ――『 例の あの 人 』 と 関係 が ある の ?」

ドビー の 頭 が また 壁 の 方 に 傾 い で 行った 。

「 首 を 縦 に 振る か 、 横 に 振る か だけ して くれれば いい よ 」 ハリー は 慌てて 言った 。

ゆっくり と 、 ドビー は 首 を 横 に 振った 。

「 いいえ ――『 名前 を 呼んで はいけい な あの 人 』 で は ございません 」

ドビー は 目 を 大きく 見開いて 、 ハリー に 何 か ヒント を 与えよう と して いる ようだった が 、 ハリー に は まるで 見当 が つか なった 。

「『 あの 人 』 に 兄弟 が いた か なぁ ?」

ドビー は 首 を 横 に 振り 、 目 を さらに 大きく 見開いた 。

「 それ じゃ 、 ホグワーツ で 世にも 恐ろしい こと を 引き 起こせる の は 、 ほか に 誰 が いる の か 、 全然 思いつか ない よ 。 だって 、 ほら 、 ダンブルドア が いる から そんな こと は でき ない んだ ― ― 君 、 ダンブルドア は 知って る よ ね ?」

ドビー は お辞儀 を した 。

「 アルバス ・ ダンブルドア は ホグワーツ 始まって 以来 、 最高の 校長 先生 で ございます 。 ドビー め は それ を 存じて おります 。 ドビー め は ダンブルドア の お 力 が 『 名前 を よんで は いけない あの 人 』 の 最高潮 の 時 の 力 に も 対抗 できる と 聞いて おります 。 しかし 、 で ございます 」

ドビー は ここ で 声 を 落として 、 せっぱ詰まった ように ささやいた 。 「 ダンブルドア が 使わ ない 力 が ―― 正しい 魔法使い なら 決して 使わ ない 力 が ......」

ハリー が 止める 間もなく 、 ドビー は ベッド から ボーン と 飛び降り 、 ハリー の 机 の 上 の 電気 スタンド を 引っつかむ なり 、 耳 を つんざく ような 叫び声 を あげ ながら 自分 の 頭 を 殴り はじめ た 。

一 階 が 突然 静かに なった 。 次の 瞬間 、 バーノン おじさん が 玄関 ホール に 出て くる 音 が 聞こえ た 。 ハリー の 心臓 は 早鐘 の ように 鳴った 。

「 ダドリー が また テレビ を つけっぱなし に した ようです な 。 しょうがない やんちゃ 坊主 で !」

と おじさん が 大声 で 話して いる 。

「 早く ! 洋服 箪笥 に !」

ハリー は 声 を ひそめて そう 言う と 、 ドビー を 押し込み 、 戸 を 閉め 、 自分 は ベッド に 飛び込 ん だ 。 まさに その とき 、 ドア が カシャリ と 開いた 。

「 いったい ―― き さま は ―― ぬ ぁ ー に を ―― やって ―― おる んだ ?」

バーノン おじさん は 顔 を いやというほど ハリー の 顔 に 近づけ 、 食いしばった 歯 の 間 から 怒鳴った 。

「 日本 人 ゴルファー の ジョーク の せっかく の お ち を 、 き さま が 台無しに して くれた わ ...... 今 度 音 を たてて みろ 、 生まれて きた こと を 後悔 する ぞ 。 わかった な !」

おじさん は ドスン ドスン 床 を 踏み鳴らし ながら 出て 行った 。

ハリー は 震え ながら ドビー を 箪笥 から 出した 。

「 ここ が どんな ところ か わかった ? 僕 が どうして ホグワーツ に 戻ら なきゃ なら ない か 、 わ かった だろう ? あそこ に だけ は 、 僕 の ―― つまり 、 僕 の 方 が そう 思って る んだ けど 、 僕 の 友 達 が いる んだ 」

「 ハリー ・ ポッター に 手紙 も くれ ない 友達 な のに です か ?」 ドビー が 言いにく そうに 言った 。 「 たぶん 、 二 人 と も ずーっと ―― え ?」 ハリー は ふと 眉 を ひそめた 。

「 僕 の 友達 が 手紙 を くれないって 、 どうして 君 が しって る の ?」 ドビー は 足 を もじもじ さ せた 。 「 ハリー ・ ポッター は ドビー の こと を 怒って は ダメで ございます ―― ドビー め は よかれ と 思って いた ので ございます ――」

「 君 が 、 僕 宛て の 手紙 を ストップ さ せて た の ?」

「 ドビー め は ここ に 持って おります 」 妖精 は する り と ハリー の 手 の 届か ない ところ へ 逃れ 、 着て いる 枕 カバー の 中 から 分厚い 手紙 の 束 を 引っ張り出した 。 見覚え の ある ハーマイオニー の きちんと した 字 、 のたくった ような ロン の 字 、 ホグワーツ の 森 番 ハグリッド から と 思わ れる 走り書き も 見える 。

ドビー は ハリー の 方 を み ながら 心配 そうに 目 を パチパチ さ せた 。

「 ハリー ・ ポッター は 怒って は ダメで ございます よ ...... ドビー め は 考えました ...... ハリー ・ ポッター が 友達 に 忘れられて しまった と 思って ...... ハリー ・ ポッター は もう学校 に は 戻り た くない と 思う かも しれ ない と ......」 ハリー は 聞いて も い なかった 。 手紙 を ひったくろう と した が 、 ドビー は 手 の 届か ない ところ に 飛びのいた 。

「 ホグワーツ に は 戻ら ない と ドビー に 約束 したら 、 ハリー ・ ポッター に 手紙 を さしあげ ま す 。 あぁ 、 どうぞ 、 あなた 様 は そんな 危険な 目 に 遭って は なりません ! どうぞ 、 戻ら ない と 言って ください 」 「 いやだ 」 ハリー は 怒った 。 「 僕 の 友達 の 手紙 だ 。 返して !」

「 ハリー ・ ポッター 、 それでは 、 ドビー は こう する ほか ありません 」 妖精 は 悲しげに 言った 。 ハリー に 止める 間 も 与え ず 、 ドビー は 矢 の ように ドア に 飛びつき 、 パッと 開けて ―― 階段 を 全速力 で 駆け 下りて いった 。

ハリー も 全速力 で 、 音 をたい な ように 、 あと を 追った 。 口 の 中 は 殻 から 、 胃袋 は ひっくり返 り そう 。 最後 の 六 段 は 一気に 飛び 下り 、 猫 の ように 玄関 ホール の カーペット の 上 に 着地 し 、 ハリー は あたり を 見回して 、 ドビー の 姿 を 目 で 探した 。 食堂 から バーノン おじさん の 声 が 聞こえて きた 。

「...... メイソン さん 、 ペチュニア に 、 あの アメリカ 人 の 配管 工 の 笑い話 を して やって くださ い 。 妻 と きたら 、 聞き たくて うずうず して まして ......」

ハリー は 玄関 ホール を 走り抜け キッチン に 入った 。 途端 に 胃袋 が 消えて なく なる か と 思った 。 ペチュニア おばさん の 傑作 デザート 、 山盛り の ホイップクリーム と スミレ の 砂糖 漬け が なん と 天上 近く を 浮遊 して いた 。 戸棚 の てっぺん の 角 の 方 に ドビー が チョコン と 腰掛けて いた 。

「 あぁ 、 ダメ 」 ハリー の 声 が かすれた 。 「 ねぇ 、 お 願い だ ...... 僕 、 殺さ れちゃ うよ 」

「 ハリー ・ ポッター は 学校 に 戻ら ない と 言わ なければ なりません ――」 「 ドビー 、 お 願い だ から ......」 「 どうぞ 、 戻ら ない と 言って ください ......」

ドビー は 悲痚 な 目つき で ハリー を 見た 。

「 では 、 ハリー ・ ポッター の ため に 、 ドビー は こう する しか ありません 」 デザート は 心臓 が 止まる ような 音 を たてて 床 に 落ちた 。 皿 が 割れ 、 ホイップクリーム が 、 窓 やら 壁 やら に 飛び散った 。 ドビー は 鞭 を 鳴らす ような 、 パチッ と いう 音 ともに かき 消えた 。

食堂 から 悲鳴 が あがり 、 バーノン おじさん が キッチン に 飛び込んで きた 。 そこ に は ハリー が 、 頭 の てっぺん から 足 の 先 まで ペチュニア おばさん の デザート を かぶって 、 ショック で 硬直して 立って いた 。

ひとまず は 、 バーノン おじさん が なんとか その場で 取り繕って 、 うまく いった ように 見え た 。

(「 甥 でして ね ―― ひどく 精神 不安定で ......―― この 子 は しらない 人 に 会う と 気 が 動転 する ので 二 階 に 行か せて おいた んです が ......」)

おじさん は 呆然と して いる メイソン 夫妻 を 「 さあ 、 さあ 」 と 食堂 に 追い出し 、 ハリー に は 、 メイソン 夫妻 が 帰った あと で 、 虫 の 息 に なる まで 鞭 で 打って やる と 宣言 し 、 それ から モップ を 渡した 。 ペチュニア おばさん は 、 フリーザー の 置く から アイスクリーム を 引っ張り出して きた 。 ハリー は 震え が 止まら ない まま 、 キッチン の 床 を モップ で こすり はじめた 。

それ でも 、 バーノン おじさん に は まだ 商談 成立 の 可能 性 が あった ―― ふくろう の こと さえ な ければ 。

ペチュニア おばさん が 、 食後 の ミント チョコ が 入った 箱 を みんな に 回して いた とき 、 巨大な ふくろう が 一 羽 、 食堂 の 窓 から バサーッ と 舞い降りて 、 メイソン 夫人 の 頭 の 上 に 手紙 を 落とし 、 また バサーッ と 飛び去って 行った 。 メイソン 夫人 は ギャーッ と 叫び声 を あげ 、 ダーズリー 一家 は 狂って いる 、 と 喚き ながら 飛び出して 行った 。

―― 妻 は 鳥 と 名 が つく もの は 、 どんな 形 や 大き さ だろう と 死ぬ ほど 怖がる 。 いったい 君 た ち 、 これ は 冗談 の つもり か ね ―― メイソン 氏 も ダーズリー 一家 に 文句 を 言う だけ 言う と 出て 行った 。

おじさん が 小さい 目 に 悪魔 の ような 炎 を 燃やして 、 ハリー の 方 に 迫って きた 。 ハリー は モップ に すがりついて 、 やっと の 思い で キッチン に 立って いた 。

「 読め !」 おじさん が 押し殺した 声 で 毒々しく 言った 。 ふくろう が 配達 して 行った 。 ふくろう が 配達 して 行った 手紙 を 振りかざして いる 。

「 いい から ―― 読め !」

ハリー は 手紙 を 手 に した 。 誕生祝 の カード 、 では なかった 。

ポッター 殿 今夕 九 時 十二分 、 貴殿 の 住居 に おいて 「 浮遊 術 」 が 使わ れた と の 情報 を 受け取りました 。 ご 承知 の ように 、 卒業 前 の 未成年 魔法使い は 、 学校 の 外 に おいて 呪文 を 行使 する こと を 許されて おりません 。 貴殿 が 再び 呪文 を 行使 すれば 、 対抗 処分 と なる 可能 性 が あります 。 ( 未成年 魔法使い に 対する 妥当な 制限 に 関する 一八七五 年 法 、 C 項 )

念のため 、 非魔法 社会 の 者 ( マグル ) に 気づか れる 危険 性 が ある 魔法 行為 は 、 国際 魔法 戦士 連盟 機密 保持 法 第 十三 条 の 重大な 違反 と なります 。 休暇 を 楽しま れます よう ! 敬具 魔法 省

魔法 不 適正 使用 取締 局 マファルダ ・ ホップカーク ハリー は 手紙 から 顔 を 上げ 、 生 唾 を ゴクリ と 飲み込んだ 。 「 おまえ は 、 学校 の 外 で 魔法 を 使って は なら ん と いう こと を 、 黙って いた な 」 バーノン おじさん の 目 に は 怒り の 火 が メラメラ 踊って いた 。 「 言う の を 忘れた と いう わけだ ...... なるほど 、 つい 忘れて いた わけだ ......」 おじさん は 大型 ブルドッグ の ように 牙 を 全部 むき 出して 、 ハリー に 迫って きた 。

「 さて 、 小僧 、 知らせ が ある ぞ ...... わし は おまえ を 閉じ込める ...... おまえ は もう あの 学校 に は 戻れ ない ...... 決して な ...... 戻ろう と して 魔法 で 逃げよう と すれば ―― 連中 が おまえ を 退 校 に する ぞ !」

狂った ように 笑い ながら 、 ダーズリー 氏 は ハリー を 二 階 へ 引きずって いった 。

バーノン おじさん は 言葉 通り に 容赦 なかった 。 翌朝 、 人 を 雇い 、 ハリー の 部屋 の 窓 に 鋏 格子 を はめ させた 。 ハリー の 部屋 の ドア に は 自ら 「 餌差 入口 」 を 取りつけ 、 一 日 三 回 、 わずかな 食べ物 を そこ から 押し込む こと が できる ように した 。 朝 と 夕 に トイレ に 行ける よう 部屋 から 出して くれた が 、 それ 以外 は 一 日 中 、 ハリー は 部屋 に 閉じ込められた 。 三 日 たった 。 ダーズリー 一家 は まったく 手 を 緩める 気配 も なく 、 ハリー に は 状況 を 打開 する 糸口 さえ 見え なかった 。 ベッド に 横たわり 、 窓 の 鋏 格子 の むこうに 陽 が 沈む の を 眺めて は 、 いったい 自分 は どう なる んだろう と 考える と 惨めだった 。

魔法 を 使って 部屋 から 抜け出した と して も 、 その せい で ホグワーツ を 退 校 さ せられる なら 、 なんにも なら ない 。 しかし 、 今 の プリベット 通り で の 生活 は 最低の 最低だ 。 ダーズリー 一家 は 「 目 が 覚めたら 大きな フルーツ コウモリ に なって いた 」 と いう 恐れ も なくなり 、 ハリー は 唯一 の 武器 を 失った 。 ドビー は ホグワーツ で の 世にも 恐ろしい 出来事 から 、 ハリー を 救って くれた かも しれ ない が 、 このまま で は 結果 は 同じだ 。 きっと ハリー は 餓死 して しまう 。

餌差 入口 の 戸 が ガタガタ 音 を たて 、 ペチュニア おばさん の 手 が 覗いた 。 缶詰 スープ が 一杯 差し入れられた 。 ハリー は 腹 ぺこ で 胃 が 痒む ほど だった ので 、 ベッド から 飛び起きて スープ 椀 を 引っつか ん だ 。 冷め きった スープ だった が 、 半分 を 一口 で 飲んで しまった 。 それ から 部屋 の 向こう に 置いて ある ヘドウィグ の 鳥 篭 に スープ を 持って行き 、 空っぽの 餌 入れ に 、 スープ 椀 の 底 に 張り付いて いた 、 ふやけた 野菜 を 入れて やった 。 ヘドウィグ は 羽 を 逆立て 、 恨み が ましい 目 で ハリー を 見た 。

「 嘴 を とがら せて ツンツン したって どうにも なら ない よ 。 二 人 で これっきり な んだ から 」 ハリー は きっぱり 言った 。 空 の 椀 を 餌差 入口 の そば に 置き 、 ハリー は また ベッド に 横 に なった 。 なんだか スープ を 飲む 前 より 、 もっと ひもじかった 。

たとえ あと 四 週間 生き延びて も 、 ホグワーツ に 行か なかったら どう なる んだろう ? なぜ 戻ら ない か を 調べ に 、 誰 か を よこす だろう か ? ダーズリー 一家 に 話して 、 ハリー を 解放 する よう に できる のだろう か ?

部屋 の 中 が 暗く なって きた 。 疲れ果てて 、 グーグー 鳴る 空腹 を 抱え 、 答え の ない 疑問 を 何度 も 繰り返し 考え ながら ハリー は まどろみ はじめた 。

夢 の 中 で ハリー は 動物 園 の 檻 の 中 に いた 。 < 半 人前 魔法使い > と 掲示板 が かかって いる 。 鋏 格子 の むこう から 、 みんな が じろじろ 覗いて いる 。 ハリー は 腹 を すかせ 、 弱って 、 藁 の ベッド に 横たわって いる 。 見物 客 の 中 に ドビー の 顔 を みつけて 、 ハリー は 助け を 求めた 。 しか し 、 ドビー は 「 ハリー ・ ポッター は そこ に いれば 安全で ございます !」 と 言って 姿 を 消し た 。

ダーズリー 一家 が やってきた 。 ダドリー が 檻 の 鋏 格子 を ガタガタ 揺すって 、 ハリー の こと を 笑って いる 。

「 やめて くれ 」 ガタガタ と いう 音 が 頭 に 響く ので ハリー は つぶやいた 。 「 ほっといて くれよ ...... やめて ...... 僕 眠りたい んだ ......」 ハリー は 目 を 開けた 。 月 明かり が 窓 の 鋏 格子 を 通して 射 し込んで いる 。 誰 か が ほんとうに 鋏 格子 の 外 から ハリー を じろじろ 覗いて いた 。 そば かす だらけ の 、 赤毛 の 鼻 の 高い 誰 か が 。

ロン ・ ウィーズリー が 窓 の 外 に いた 。

2. ドビーの警告 - Dobby's Warning ドビー の けいこく|dobby ' s|warning 2. die Warnung von Dobby - Dobbys Warnung Dobby's Warning 2. La advertencia de Dobby - La advertencia de Dobby 2. l'avertissement de Dobby - l'avertissement de Dobby 2. Dobby's waarschuwing - Dobby's waarschuwing 2) Ostrzeżenie Dobby'ego - Ostrzeżenie Dobby'ego 2. Dobbys varning - Dobbys varning 2. 多比的警告 2. 多比的警告

第 2 章 ドビー の 警告 - Dobby ' s Warning だい|しょう|||けいこく|dobby||warning Harry was about to scream, but at last he stopped. ハリー が 危うく 叫び声 を あげる ところ だった が 、 やっと の こと で こらえた 。 ||あやうく|さけびごえ|||||||||| Harry wollte gerade schreien, aber er hörte schließlich auf. On the bed, there was a small creature with long ears like a bat and green eyes popping out like a tennis ball. ベッド の 上 に は 、 コウモリ の ような 長い 耳 を して 、 テニスボール ぐらい の 緑 の 目 が ギョロリ と 飛び出した 小さな 生物 が いた 。 べっど||うえ|||こうもり|||ながい|みみ|||てにす ぼーる|||みどり||め||||とびだした|ちいさな|せいぶつ|| Harry quickly realized that this was the one he was looking at himself from the hedge in the garden this morning. 今朝 、 庭 の 生垣 から 自分 を 見て いた の は これ だ 、 と ハリー は とっさに 気づいた 。 けさ|にわ||いけがき||じぶん||みて||||||||||きづいた As I stared at each other, I heard Dudley's voice from the front hall.

互い じっと 見つめて いる うち に 、 玄関 ホール の 方 から ダドリー の 声 が 聞こえて きた 。 たがい||みつめて||||げんかん|ほーる||かた||||こえ||きこえて| "Mr. Mason, wife, would you like to keep your coat?"

「 メイソン さん 、 奥様 、 コート を お 預かり いた ま しょうか ?」 ||おくさま|こーと|||あずかり||| "Mr. Mason, madam, may I take your coat?"

生物 は ベッド から スルリ と 滑り 降りて 、 カーペット に 細長い 鼻 の 先 が くっつく ぐらい 低く お 辞儀 を した 。 せいぶつ||べっど||||すべり|おりて|||ほそながい|はな||さき||||ひくく||じ ぎ|| Die Kreatur rutschte vom Bett herunter und verbeugte sich so tief, dass die Spitze ihrer länglichen Nase am Teppich kleben blieb. The creature slid down from the bed and bowed low enough that the tip of its elongated nose would stick to the carpet. ハリー は その 生物 が 、 手 と 足 が 出る ように 裂け目 が ある 古い 枕 カバー の ような もの を 着て いる の に 気づいた 。 |||せいぶつ||て||あし||でる||さけめ|||ふるい|まくら|かばー|||||きて||||きづいた Harry noticed that the creature wore something like an old pillowcase with crevices that allowed the hands and feet to come out.

「 あ ―― こんばん は 」 ハリー は 不安 げ に 挨拶 した 。 |||||ふあん|||あいさつ| "Ah—good evening," Harry said uneasily.

「 ハリー ・ ポッター !」 生物 が 甲高い 声 を 出した 。 ||せいぶつ||かんだかい|こえ||だした きっと 下 まで 聞こえた と ハリー は 思った 。 |した||きこえた||||おもった Harry thought he must have heard it all the way down. 「 ドビー め は ずっと あなた 様 に お目にかかり たかった ...... とっても 光栄です ......」 「 あ 、 ありがとう 」 |||||さま||おめにかかり|||こうえいです|| "I've always wanted to see you, Dobby ... I'm very honored ..." "Oh, thank you."

ハリー は 壁 伝い に 机 の 方 に にじり寄り 、 くずれる ように 椅子 に 腰掛けた 。 ||かべ|つたい||つくえ||かた||にじりより|||いす||こしかけた Harry leaned against the desk along the wall and sat down on his chair so that it would crumble. 椅子 の そば の 大き な 鳥 かご で ヘドウィグ が 眠って いた 。 いす||||おおき||ちょう|||||ねむって| Hedwig was sleeping in a big birdcage by the chair. ハリー は 「 君 は な ー に ?」 と 聞き たかった が 、 それ で は あんまり 失礼だ と 思い 、「 君 は だ ー れ ?」 と 聞いた 。 ||きみ|||-|||きき|||||||しつれいだ||おもい|きみ|||-|||きいた

「 ドビー めに ございます 。 "I am for Dobby. ドビー と 呼び捨てて ください 。 ||よびすてて| Bitte nenn mich Dobby. Please call me Dobby. 『 屋敶 しもべ 妖精 』 の ドビー で す 」 と 生物 が 答えた 。 や 敶|しも べ|ようせい||||||せいぶつ||こたえた It's Dobby from "House-elf Fairy", "replied the creature.

「 あ ―― そう な の 。 "Oh, yes. あの ―― 気 を 悪く し ないで 欲しい んだ けど 、 でも ―― 僕 の 部屋 に 今 『 屋敶 しもべ 妖精 』 が いる と 、 とっても 都合 が 悪い んだ 」 |き||わるく|||ほしい||||ぼく||へや||いま|や 敶|しも べ|ようせい|||||つごう||わるい| That ――I hope you don't feel bad, but ――It's very inconvenient if there is a "Yabu Shimobe Fairy" in my room right now. "

ペチュニア おばさん の 甲高い 作り 笑い が 居間 から 聞こえて きた 。 |||かんだかい|つくり|わらい||いま||きこえて| Tante Petunias hohes Lachen war aus dem Wohnzimmer zu hören. Aunt Petunia's high-pitched laughter was heard from the living room. しもべ 妖精 は うなだれた 。 しも べ|ようせい|| The fairy was drowning.

「 知り合い に なれて 嬉しく な いって わけじゃ ない んだ よ 」 ハリー が 慌てて 言った 。 しりあい|||うれしく|||||||||あわてて|いった "I'm not happy to be acquainted," Harry said in a hurry. 「 だけ ど 、 あの 、 何 か 用事 が あって ここ に 来た の ?」 |||なん||ようじ|||||きた| "But, did you come here because you had something to do?"

「 はい 、 そう で ございます と も 」 ドビー が 熱っぽく 言った 。 ||||||||ねつっぽく|いった Yes, that's right," Doby said enthusiastically. 「 ドビー め は 申し上げたい こと が あって 参りました ...... 複雑で ございまして ...... ドビー め は いったい 何 から はなして よい や ら ......」 「 座って ね 」 ハリー は ベッド を 指差して 丁寧に そう 言った 。 |||もうしあげ たい||||まいり ました|ふくざつで||||||なん||||||すわって||||べっど||ゆびさして|ていねいに||いった "I have something to say to Dobby ... It's complicated ... What can I do for Dobby ..." "Sit down. Harry pointed to the bed and politely said so. しもべ 妖精 は わっと 泣き出した ―― ハリー が はらはら する ような うるさい 泣き 方 だった 。 しも べ|ようせい||わ っと|なきだした|||||||なき|かた| The fairy began to cry suddenly-it was a noisy way of crying like Harry's fluttering. 「 す ―― 座って なんて !」 妖精 は オンオン 泣いた 。 |すわって||ようせい|||ないた "Setz dich!", Rief die Fee weiter. "Sit down!" The fairy cried on-on. 「 これ まで 一 度 も ...... 一 度 だって ......」 ||ひと|たび||ひと|たび| "Einmal vor ... einmal ..." "Once before ... once ..."

ハリー は 階下 の 声 が 一瞬 たじろいだ ような 気 が した 。 ||かいか||こえ||いっしゅん|||き|| Harry felt that the voice downstairs faltered for a moment.

「 ごめん ね 」 ハリー は ささやいた 。 「 気 に 障る ような こと を 言う つもり は なかった ん だけ ど 」 き||さわる||||いう|||||| "I didn't mean to say anything that was offensive."

「 この ドビー め の 気 に 障る ですって !」 妖精 は 喉 を つまら せた 。 ||||き||さわる|で すって|ようせい||のど||| "It's annoying for this Dobby!" The fairy choked her throat.

「 ドビー め は これ まで たった の 一 度 も 、 魔法使い から 座って なんて 言わ れた こと が ございません ―― まるで 対等 みたいに ――」 |||||||ひと|たび||まほうつかい||すわって||いわ||||ございませ ん||たいとう| "For Dobby, I've never been told by a wizard to sit down--like an equality--"

ハリー は 「 シーッ !」 と 言い ながら も 、 なだめる ように ドビー を 促して 、 ベッド の 上 に 座ら せた 。 ||||いい|||||||うながして|べっど||うえ||すわら| Harry urged Dobby to soothe and sit on the bed, saying "Shhh!". ベッド で しゃくりあげて いる 姿 は 、 とても 醜い 大きな 人形 の ようだった 。 べっど||||すがた|||みにくい|おおきな|にんぎょう|| The figure that was sucking up in the bed was like a very ugly big doll. しばらく す る と ドビー は やっと 収まって きて 、 大きな ギョロ 目 を 尊敬 で 潤ま せ 、 ハリー を ひしと 見て い た 。 |||||||おさまって||おおきな||め||そんけい||うるま|||||みて|| After a while, Dobby finally settled down, moistening his big googly eyes with respect and staring at Harry.

「 君 は 礼儀正しい 魔法使い に 、 あんまり 会わ なかった んだ ね 」 きみ||れいぎただしい|まほうつかい|||あわ||| "Du hast nicht so oft eine höfliche Hexe getroffen, oder?" "You didn't meet a polite witch so much, didn't you?"

ハリー は ドビー を 元気づける つもりで そう 言った 。 ||||げんきづける|||いった Harry said so with the intention of cheering Dobby.

ドビー は うなずいた 。 Doby nodded. そして 突然 立ち上がる と 、 なんの 前触れ も なし に 窓 ガラス に 激しく 頭 を 打ちつけ はじめた 。 |とつぜん|たちあがる|||まえぶれ||||まど|がらす||はげしく|あたま||うちつけ| Then, when he suddenly stood up, he began to hit his head violently against the windowpane without any warning.

「 ドビー は 悪い 子 ! ドビー は 悪い 子 !」 ||わるい|こ|||わるい|こ "Dobby is a bad child! Dobby is a bad child!"

「 やめて ―― いったい どうした の ?」 "Stop - was ist passiert?" "Stop--what happened?"

ハリー は 声 を 噛み殺し 、 飛び上がって ドビー を 引き戻し 、 ベッド に 座ら せた 。 ||こえ||かみころし|とびあがって|||ひきもどし|べっど||すわら| Harry bit his voice to death, jumped up and pulled Dobby back, sitting in bed. ヘドウィグ が 目 を 覚まし 、 ひときわ 大きく 鳴いた か と 思う と 鳥 篭 の 格子 に バタバタ と 激しく 羽 を 打ちつけ た 。 ||め||さまし||おおきく|ないた|||おもう||ちょう|かご||こうし||||はげしく|はね||うちつけ| Hedwig woke up and slammed his wings violently against the grid of the bird cage, wondering if it screamed exceptionally loudly.

「 ドビー め は 自分 で お 仕置 き を しなければ なら ない のです 」 妖精 は 目 を クラクラ さ せ ながら 言った 。 |||じぶん|||しおき|||し なければ||||ようせい||め||||||いった "For Dobby, you have to punish yourself," said the fairy, with his eyes fluttering. 「 自分 の 家族 の 悪 口 を 言い かけた ので ございます ......」 じぶん||かぞく||あく|くち||いい||| "I've spoken badly about my family ..."

「 君 の 家族って ?」 「 ドビー め が お 仕え して いる ご 主人 様 、 魔法使い の 家族 で ございます ...... ドビー は 屋敶 しもべ です ...... 一 つ の 屋敶 、 一 つ の 家族 に 一生 お 仕え する 運命 な のです ......」 きみ||かぞく って|||||つかえ||||あるじ|さま|まほうつかい||かぞく|||||や 敶|しも べ||ひと|||や 敶|ひと|||かぞく||いっしょう||つかえ||うんめい|| „Was ist deine Familie?" „Mein Mann, der Dobby dient, ist die Familie einer Hexe ... Dobby ist ein Diener ... Ein Dobby, der dazu bestimmt ist, einer Familie für den Rest seines Lebens zu dienen ..." "What is your family?" "My husband, who is serving Dobby, is the family of a witch ... Dobby is a servant ... One Dobby, destined to serve one family for the rest of his life ... " 「 その 家族 は 君 が ここ に 来て る こと を 知って る の ?」 ハリー は 興味 を そそら れた 。 |かぞく||きみ||||きて||||しって|||||きょうみ||| „Weiß die Familie, dass du hier bist?“ Harry war fasziniert. "Does the family know that you are here?" Harry was intrigued.

ドビー は 身 を 震わせた 。 ||み||ふるわせた Dobby schüttelte sich. Dobby shook himself.

「 めっそう も ない ...... ドビー め は こうして お目にかかり に 参りました こと で 、 きびし ー く 自分 を お 仕置 きし ない と いけない のです 。 め っ そう|||||||おめにかかり||まいり ました||||-||じぶん|||しおき||||| "It's not so ... Dobby has come to see me in this way, so I have to punish myself. ドビー め は オーブン の 蓋 で 両 耳 を バッチン し ない と いけない のです 。 |||おーぶん||ふた||りょう|みみ||||||| For Dobby, you have to batch your ears with the lid of the oven. ご 主人 様 に ばれたら 、 もう ......」 |あるじ|さま||| If you are exposed to your husband, it's already ... "

「 でも 、 君 が 両 耳 を オーブン の 蓋 に 挟んだり したら 、 それ こそ ご 主人 が 気づく んじゃ な い ?」 |きみ||りょう|みみ||おーぶん||ふた||はさんだり|||||あるじ||きづく||| "But if you put your ears in the oven lid, wouldn't your husband notice that?"

「 ドビー め は そう は 思いません 。 |||||おもい ませ ん "Dobby doesn't think so. ドビー め は 、 いっつも なんだ かんだ と 自分 に お 仕置きして いない と いけない のです 。 |||い っつ も||||じぶん|||しおき きして|||| For Dobby, I have to punish myself for something. ご 主人 様 は 、 ドビー め に 勝手に お 仕置きさ せて おく ので ございま す 。 |あるじ|さま|||||かってに||し おき さ||||ござ いま| My husband will punish Dobby without permission, so I'm sorry. 時々 お 仕置 き が 足りない と おっしゃる のです ......」 ときどき||しおき|||たりない||| Sometimes you say that you don't have enough punishment ... "

「 どうして 家出し ない の ? 逃げれば ?」 |いえで し|||にげれば "Why don't you run away from home? Why don't you run away?"

「 屋敶 しもべ 妖精 は 解放 して いた だ か ない と いけない のです 。 や 敶|しも べ|ようせい||かいほう|||||||| "The fairy must have been released." ご 主人 様 は ドビー め を ご 自由 に する はず が ありません ...... ドビー め は 死ぬ まで ご 主人 様 の 一家 に 使える ので ございます ... ...」 ハリー は 目 を 見張った 。 |あるじ|さま||||||じゆう|||||あり ませ ん||||しぬ|||あるじ|さま||いっか||つかえる|||||め||みはった The master cannot be free to dodge ... Dobby can be used by the master's family until his death ... "Harry was amazed. 「 僕 なんか 、 あと 四 週間 も ここ に いたら 、 とっても 身 が 持た ない と 思って た 。 ぼく|||よっ|しゅうかん||||||み||もた|||おもって| "I thought that if I stayed here for another four weeks, I wouldn't have much. 君 の 話し を 聞 いて たら ダーズリー 一家 で さえ 人間 らしいって 思えて きた 。 きみ||はなし||き||||いっか|||にんげん|らしい って|おもえて| When I listened to your story, even the Dursley family seemed to be human. 誰 か 君 を 助けて あげられない の か な ? 僕 に 何 か できる ?」 そう 言った 途端 、 ハリー は 「 しまった 」 と 思った 。 だれ||きみ||たすけて|あげられ ない||||ぼく||なん||||いった|とたん|||||おもった Can anyone help you? Can I do something? "As soon as he said that, Harry thought," I'm done. " ドビー は またしても 感謝 の 雤 あられ と 泣き 出した 。 |||かんしゃ|||あら れ||なき|だした Dobby once again began to cry with a hail of gratitude.

「 お 願い だ から 」 ハリー は 必死で ささやいた 。 |ねがい|||||ひっしで| "It's a wish," Harry whispered desperately. 「 頼む から 静かに して 。 たのむ||しずかに| "Be quiet because I ask you. おじさん たち が 聞き つけたら 、 君 が ここ に いる こと が 知ら れたら ......」 |||きき||きみ|||||||しら| When the uncles hear, if you know that you are here ... "

「 ハリー ・ ポッター が 『 何 か でき ない か 』って 、 ドビー め に 聞いて くださった ...... ドビー め は あなた 様 が 偉大な 方 だ と は 聞いて おりました が 、 こんなに お やさしい 方 だ と は 知りません でした ......」 ハリー は 顔 が ポッ と 熱く なる の を 感じた 。 |||なん|||||||||きいて||||||さま||いだいな|かた||||きいて|おり ました|||||かた||||しり ませ ん||||かお||||あつく||||かんじた "Harry Potter asked Dobby,'What can I do?' ... I heard that you are a great person, but it's so kind. I didn't know who he was ... "Harry felt his face popping hot. 「 僕 が 偉大 なんて 、 君 が 何 を 聞いた か 知ら ない けど 、 くだらない こと ばかり だ よ 。 ぼく||いだい||きみ||なん||きいた||しら||||||| "I don't know what you heard, I'm great, but it's just crap. 僕 な ん か 、 ホグワーツ の 同 学年 で トップ と いう わけで も ない し 。 ぼく||||||どう|がくねん||とっぷ|||||| I'm not the top Hogwarts school in the same grade. ハーマイオニー が ......」

それ 以上 は 続けられ なかった 。 |いじょう||つづけ られ| I couldn't continue any more. ハーマイオニー の こと を 思い出した で け で 胸 が 痚 んだ 。 ||||おもいだした||||むね||| My chest was itchy just because I remembered Hermione. 「 ハリー ・ ポッター は 謙虚で 威張ら ない 方 です 」 |||けんきょで|いばら||かた| "Harry Potter is a humble and unassuming person."

ドビー は 球 の ような 目 を 輝か せて 恭しく 言った 。 ||たま|||め||かがやか||うやうやしく|いった Dobby reverently said with his sphere-like eyes shining.

「 ハリー ・ ポッター は 『 名前 を 呼んで は いけない あの 人 』 に 勝った こと を おっしゃらない 」 |||なまえ||よんで||||じん||かった|||おっしゃら ない "Harry Potter doesn't say he's beaten'that person who shouldn't call his name.'"

「 ヴォルデモート ?」 "Voldemort?"

「 あぁ 、 その 名 を おっしゃら ないで 。 ||な||| "Oh, don't say that name. おっしゃら ないで 」 Don't tell me "

ドビー は コウモリ の ような 耳 を 両手 で パチッ と 覆い 、 うめく ように 言った 。 ||こうもり|||みみ||りょうて||||おおい|||いった Dobby snapped his bat-like ears with both hands and said to moan.

ハリー は 慌てて 、「 ごめん 」 と 言った 。 ||あわてて|||いった Harry hurriedly said, "I'm sorry."

「 その 名前 を 聞き たく ない 人 は いっぱい いる んだ よ ね ―― 僕 の 友達 の ロン なんか ――」 |なまえ||きき|||じん|||||||ぼく||ともだち||| "There are a lot of people who don't want to hear that name, right?-My friend Ron-"

また それ 以上 は 続か なかった 。 ||いじょう||つづか| And it didn't last any longer. ロン の こと を 考えて も 胸 が 疼いた 。 ||||かんがえて||むね||うずいた Even though I thought about Ron, my chest ached.

ドビー は ヘッドライト の ような 目 を 見開いて 、 ハリー の 方 に 身 を 乗り出して きた 。 ||へっどらいと|||め||みひらいて|||かた||み||のりだして| Dobby leans towards Harry with his headlight-like eyes wide open.

「 ドビー め は 聞きました 」 ドビー の 声 が かすれて いた 。 |||きき ました|||こえ||| "I heard Dobby." Dobby's voice was faint. 「 ハリー ・ ポッター が 闇 の 帝王 と 二 度 目 の 対決 を 、 ほんの 数 週間 前 に ......、 ハリー ・ ポッター が またしても その 手 を 逃れた と 」 |||やみ||ていおう||ふた|たび|め||たいけつ|||すう|しゅうかん|ぜん|||||||て||のがれた| "Harry Potter had a second confrontation with the Dark Emperor, just a few weeks ago ... and Harry Potter once again escaped."

ハリー が うなずく と 、 ドビー の 目 が 急に 涙 で 光った 。 ||||||め||きゅうに|なみだ||ひかった As Harry nodded, Dobby's eyes suddenly shone in tears.

「 あぁ 」 ドビー は 着て いる きたな らしい 枕 カバー の 端っこ を 顔 に 押し当てて 涙 を 拭い 、 感嘆 の 声 を あげた 。 |||きて||||まくら|かばー||はし っこ||かお||おしあてて|なみだ||ぬぐい|かんたん||こえ|| "Ah," Dobby screamed in admiration as he wiped his tears by pressing the edge of the pillow cover he was wearing against his face. 「 ハリー ・ ポッター は 勇猛 果敢 ! もう 何度 も 危機 を 切り抜けて いらっしゃった ! でも 、 ドビー め は は リー ・ ポッター を お 護 りする ため に 参りました 。 |||ゆうもう|かかん||なんど||きき||きりぬけて|||||||||||まもる||||まいり ました "Harry Potter is brave and brave! You've survived the crisis many times! But Dobby came to protect Lee Potter. 警告 し に 参りました 。 けいこく|||まいり ました I came to warn you. あと で オーブン の 蓋 で 耳 を バッチン し なくて は なりません が 、 それ でも ......。 ||おーぶん||ふた||みみ||||||なり ませ ん||| You'll have to bash the ears in with the oven lid later, but even then, you can do that at ....... ハリー ・ ポッター は ホグワーツ に 戻って は なりません 」 一瞬 の 静けさ ――。 |||||もどって||なり ませ ん|いっしゅん||しずけさ Harry Potter must not return to Hogwarts. ”A moment of tranquility. 階下 で ナイフ や フォーク を カチャカチャ いう 音 と 、 遠い 雷鳴 の ように ゴロゴロ と いう バーノン おじさん の 声 が 聞こえた 。 かいか||ないふ||ふぉーく||||おと||とおい|らいめい|||ごろごろ||||||こえ||きこえた Downstairs, I heard the rattling of knives and forks, and the voice of Uncle Vernon rumbling like a distant thunder.

「 な 、 なんて 言った の ?」 言葉 が つっかえた 。 ||いった||ことば|| "What did you say?" 「 僕 、 だって 、 戻ら なきゃ ―― 九 月 一 日 に 新 学期 が 始まる んだ 。 ぼく||もどら||ここの|つき|ひと|ひ||しん|がっき||はじまる| "I have to go back--the new semester will start on September 1st. それ が なきゃ 僕 、 耐えられ ない よ 。 |||ぼく|たえ られ|| Without it, I can't stand it. ここ が どんな ところ か 、 君 は 知ら な い だ 。 |||||きみ||しら||| You don't know what this is like. ここ に は 身 の 置き場 が ない んだ 。 |||み||おきば||| There is no place to put yourself here. 僕 の 居場所 は 君 と 同じ 世界 ―― ホグワーツ なんだ 」 ぼく||いばしょ||きみ||おなじ|せかい|| My whereabouts are the same world as you-Hogwarts. "

「 いえ 、 いえ 、 いえ 」

ドビー が キーキー 声 を たてた 。 |||こえ|| Dobby made a squeaky voice. あんまり 激しく 頭 を 横 に 振った ので 、 耳 が パタパタ いった 。 |はげしく|あたま||よこ||ふった||みみ||| I shook my head so violently that my ears fluttered.

「 ハリー ・ ポッター は 安全な 場所 に いない と いけません 。 |||あんぜんな|ばしょ||||いけ ませ ん "Harry Potter must be in a safe place. あなた 様 は 偉大な 人 、 優しい 人 、 失う わけに は 参りません 。 |さま||いだいな|じん|やさしい|じん|うしなう|||まいり ませ ん You are a great person, a kind person, and you cannot afford to lose. ハリー ・ ポッター が ホグワーツ に 戻れば 、 死ぬ ほど 危険 で ございます 。」 |||||もどれば|しぬ||きけん|| If Harry Potter returns to Hogwarts, it is dangerous enough to die. " 「 どうして ?」 ハリー は 驚いて 訪ねた 。 |||おどろいて|たずねた "Why?" Harry was surprised to visit.

ドビー は 突然 全身 を ワナワナ 震わせ ながら ささやく ように 言った 。 ||とつぜん|ぜんしん|||ふるわせ||||いった Suddenly, Dobby whispered, shaking his whole body.

「 罠 です 。 わな| "It's a trap. ハリー ・ ポッター 。 今 学期 、 ホグワーツ 魔法 魔術 学校 で 世にも 恐ろしい こと が 起 こる よう 仕掛けられた 罠 で ございます 。 いま|がっき||まほう|まじゅつ|がっこう||よにも|おそろしい|||おこ|||しかけ られた|わな|| This semester, this is a trap set up at Hogwarts School of Witchcraft and Wizardry to bring about horrific things in the world. ドビー め は その こと を 何 ヶ月 も 前 から 知って おり ま した 。 ||||||なん|かげつ||ぜん||しって||| Dobby knew that for months. ハリー ・ ポッター は 危険に 身 を さらして は なりません 。 |||きけんに|み||||なり ませ ん Harry Potter must not be at risk. ハリー ・ ポッター は あまりに も 大切な お方 です !」 |||||たいせつな|おかた| Harry Potter is too important! "

「 世にも 恐ろしい ことって ?」 ハリー は 聞き返した 。 よにも|おそろしい|こと って|||ききかえした "What's the scariest thing in the world?" Harry asked back. 「 誰 が そんな 罠 を ?」 だれ|||わな| "Who would set such a trap?"

ドビー は 喉 を しめら れた ような 奇妙な 声 を あげ 、 狂った ように 壁 に バンバン 頭 を 打ちつけ た 。 ||のど|||||きみょうな|こえ|||くるった||かべ||ばんばん|あたま||うちつけ| Dobby made a strange throat-squeezing voice and slammed his bang-bang head against the wall like crazy.

「 わかった から !」 ハリー は 妖精 の 腕 を つかんで 引き戻し ながら 叫んだ 。 ||||ようせい||うで|||ひきもどし||さけんだ "I see!" Harry shouted, grabbing the fairy's arm and pulling it back.

「 言え ない んだ ね 。 いえ||| "I can't say that. わかった よ 。 Okay, I'll do it. でも 君 は どうして 僕 に 知らせて くれる の ?」 |きみ|||ぼく||しらせて|| But why do you let me know? "

ハリー は 急に 嫌な 予感 が した 。 ||きゅうに|いやな|よかん|| Harry suddenly had an unpleasant premonition.

「 もしかして ―― それ 、 ヴォル ―― あ 、 ごめん ――『 例の あの 人 』 と 関係 が ある の ?」 もし かして|||||れいの||じん||かんけい||| "Maybe-that, Vol-oh, I'm sorry-is it related to'that person in the example'?"

ドビー の 頭 が また 壁 の 方 に 傾 い で 行った 。 ||あたま|||かべ||かた||かたむ|||おこなった Dobby's head also leaned toward the wall.

「 首 を 縦 に 振る か 、 横 に 振る か だけ して くれれば いい よ 」 ハリー は 慌てて 言った 。 くび||たて||ふる||よこ||ふる|||||||||あわてて|いった "You just have to shake your head vertically or horizontally," Harry said in a hurry.

ゆっくり と 、 ドビー は 首 を 横 に 振った 。 ||||くび||よこ||ふった Slowly, Dobby shook his head.

「 いいえ ――『 名前 を 呼んで はいけい な あの 人 』 で は ございません 」 |なまえ||よんで||||じん|||ございませ ん "No--it's not" that person who shouldn't call his name "."

ドビー は 目 を 大きく 見開いて 、 ハリー に 何 か ヒント を 与えよう と して いる ようだった が 、 ハリー に は まるで 見当 が つか なった 。 ||め||おおきく|みひらいて|||なん||ひんと||あたえよう||||||||||けんとう||| Dobby seemed to open his eyes wide and try to give Harry some hints, but Harry had no idea.

「『 あの 人 』 に 兄弟 が いた か なぁ ?」 |じん||きょうだい|||| "Is there a brother in'that person'?"

ドビー は 首 を 横 に 振り 、 目 を さらに 大きく 見開いた 。 ||くび||よこ||ふり|め|||おおきく|みひらいた Doby shook his head and his eyes widened even more.

「 それ じゃ 、 ホグワーツ で 世にも 恐ろしい こと を 引き 起こせる の は 、 ほか に 誰 が いる の か 、 全然 思いつか ない よ 。 ||||よにも|おそろしい|||ひき|おこせる|||||だれ|||||ぜんぜん|おもいつか|| "Then I can't think of anyone else at Hogwarts that can bring about horrific things in the world. だって 、 ほら 、 ダンブルドア が いる から そんな こと は でき ない んだ ― ― 君 、 ダンブルドア は 知って る よ ね ?」 ||||||||||||きみ|||しって||| Because, you see, you can't do that because you have Dumbledore --- you know Dumbledore, right? "

ドビー は お辞儀 を した 。 ||おじぎ|| Dobby bowed.

「 アルバス ・ ダンブルドア は ホグワーツ 始まって 以来 、 最高の 校長 先生 で ございます 。 ||||はじまって|いらい|さいこうの|こうちょう|せんせい|| "Albus Dumbledore has been the best principal teacher since Hogwarts began. ドビー め は それ を 存じて おります 。 |||||ぞんじて|おり ます Dobby knows that. ドビー め は ダンブルドア の お 力 が 『 名前 を よんで は いけない あの 人 』 の 最高潮 の 時 の 力 に も 対抗 できる と 聞いて おります 。 ||||||ちから||なまえ||||||じん||さいこうちょう||じ||ちから|||たいこう|||きいて|おり ます I've heard that Dumbledore's power can counter the power of Dumbledore's climax in "Don't call your name." しかし 、 で ございます 」 However, it is. "

ドビー は ここ で 声 を 落として 、 せっぱ詰まった ように ささやいた 。 ||||こえ||おとして|せっぱつまった|| Dobby dropped his voice here and whispered as if he was stuck. 「 ダンブルドア が 使わ ない 力 が ―― 正しい 魔法使い なら 決して 使わ ない 力 が ......」 ||つかわ||ちから||ただしい|まほうつかい||けっして|つかわ||ちから| "The power that Dumbledore doesn't use--the power that the right wizard never uses ..."

ハリー が 止める 間もなく 、 ドビー は ベッド から ボーン と 飛び降り 、 ハリー の 机 の 上 の 電気 スタンド を 引っつかむ なり 、 耳 を つんざく ような 叫び声 を あげ ながら 自分 の 頭 を 殴り はじめ た 。 ||とどめる|まもなく|||べっど||||とびおり|||つくえ||うえ||でんき|すたんど||ひっつ かむ||みみ||||さけびごえ||||じぶん||あたま||なぐり|| Before Harry could stop him, Dobby threw himself off the bed, grabbed hold of the lamp on Harry's desk, and began punching himself in the head, screaming deafeningly.

一 階 が 突然 静かに なった 。 ひと|かい||とつぜん|しずかに| The first floor suddenly became quiet. 次の 瞬間 、 バーノン おじさん が 玄関 ホール に 出て くる 音 が 聞こえ た 。 つぎの|しゅんかん||||げんかん|ほーる||でて||おと||きこえ| The next moment, I heard Uncle Vernon coming out into the front hall. ハリー の 心臓 は 早鐘 の ように 鳴った 。 ||しんぞう||はやがね|||なった Harry's heart rang like a bell.

「 ダドリー が また テレビ を つけっぱなし に した ようです な 。 |||てれび||つけ っぱなし|||| "It seems that Dudley left the TV on again. しょうがない やんちゃ 坊主 で !」 ||ぼうず| It can't be helped, it's a naughty shaven! "

と おじさん が 大声 で 話して いる 。 |||おおごえ||はなして| Uncle is speaking loudly.

「 早く ! 洋服 箪笥 に !」 はやく|ようふく|たんす| "Hurry up! For clothes chests!"

ハリー は 声 を ひそめて そう 言う と 、 ドビー を 押し込み 、 戸 を 閉め 、 自分 は ベッド に 飛び込 ん だ 。 ||こえ||||いう||||おしこみ|と||しめ|じぶん||べっど||とびこ|| Harry said in a low voice, then pushed Dobby in, closed the door, and jumped into bed himself. まさに その とき 、 ドア が カシャリ と 開いた 。 |||どあ||||あいた At that very moment, the door slammed open.

「 いったい ―― き さま は ―― ぬ ぁ ー に を ―― やって ―― おる んだ ?」 ||||||-||||| "What the hell are you ―― Nuu ―― Do ―― Are you there?"

バーノン おじさん は 顔 を いやというほど ハリー の 顔 に 近づけ 、 食いしばった 歯 の 間 から 怒鳴った 。 |||かお|||||かお||ちかづけ|くいしばった|は||あいだ||どなった Uncle Vernon brought his face so close to Harry's face that he yelled between his clenched teeth.

「 日本 人 ゴルファー の ジョーク の せっかく の お ち を 、 き さま が 台無しに して くれた わ ...... 今 度 音 を たてて みろ 、 生まれて きた こと を 後悔 する ぞ 。 にっぽん|じん|||じょーく||||||||||だいなしに||||いま|たび|おと||||うまれて||||こうかい|| "You've ruined the joke of a Japanese golfer ... I'll make a noise next time, and I'll regret being born. わかった な !」

おじさん は ドスン ドスン 床 を 踏み鳴らし ながら 出て 行った 。 ||どすん|どすん|とこ||ふみならし||でて|おこなった The uncle went out, trampling on the floor.

ハリー は 震え ながら ドビー を 箪笥 から 出した 。 ||ふるえ||||たんす||だした Harry quivered and took Dobby out of the chest of drawers.

「 ここ が どんな ところ か わかった ? 僕 が どうして ホグワーツ に 戻ら なきゃ なら ない か 、 わ かった だろう ? あそこ に だけ は 、 僕 の ―― つまり 、 僕 の 方 が そう 思って る んだ けど 、 僕 の 友 達 が いる んだ 」 ||||||ぼく|||||もどら||||||||||||ぼく|||ぼく||かた|||おもって||||ぼく||とも|さとる||| ``You know what this place is like? You know why I have to go back to Hogwarts, right? I have a friend of

「 ハリー ・ ポッター に 手紙 も くれ ない 友達 な のに です か ?」 ドビー が 言いにく そうに 言った 。 |||てがみ||||ともだち|||||||いいにく|そう に|いった "Are you a friend who doesn't even write to Harry Potter?" Dobby said hard to say. 「 たぶん 、 二 人 と も ずーっと ―― え ?」 ハリー は ふと 眉 を ひそめた 。 |ふた|じん||||||||まゆ|| "Maybe the two of us all the time--eh?" Harry suddenly frowned.

「 僕 の 友達 が 手紙 を くれないって 、 どうして 君 が しって る の ?」 ドビー は 足 を もじもじ さ せた 。 ぼく||ともだち||てがみ||くれない って||きみ|||||||あし|||| ``How do you know my friend hasn't written to me?'' Dobby squirmed. 「 ハリー ・ ポッター は ドビー の こと を 怒って は ダメで ございます ―― ドビー め は よかれ と 思って いた ので ございます ――」 |||||||いかって||だめで|||||||おもって||| "Harry Potter shouldn't be angry about Dobby--I thought Dobby was good--"

「 君 が 、 僕 宛て の 手紙 を ストップ さ せて た の ?」 きみ||ぼく|あて||てがみ||すとっぷ|||| "You've been putting a stop to my letters, haven't you?"

「 ドビー め は ここ に 持って おります 」 妖精 は する り と ハリー の 手 の 届か ない ところ へ 逃れ 、 着て いる 枕 カバー の 中 から 分厚い 手紙 の 束 を 引っ張り出した 。 |||||もって|おり ます|ようせい|||||||て||とどか||||のがれ|きて||まくら|かばー||なか||ぶあつい|てがみ||たば||ひっぱりだした "I have Dobby here." The fairy escaped out of Harry's reach and pulled out a thick bunch of letters from the pillowcase he was wearing. 見覚え の ある ハーマイオニー の きちんと した 字 、 のたくった ような ロン の 字 、 ホグワーツ の 森 番 ハグリッド から と 思わ れる 走り書き も 見える 。 みおぼえ|||||||あざ|||||あざ|||しげる|ばん||||おもわ||はしりがき||みえる You can also see the familiar Hermione's neat letters, the slapstick Ron's letters, and the scribbles that appear to be from Hogwarts' Moriban Hagrid.

ドビー は ハリー の 方 を み ながら 心配 そうに 目 を パチパチ さ せた 。 ||||かた||||しんぱい|そう に|め|||| Dobby worriedly cracked his eyes while looking at Harry.

「 ハリー ・ ポッター は 怒って は ダメで ございます よ ...... ドビー め は 考えました ...... ハリー ・ ポッター が 友達 に 忘れられて しまった と 思って ...... ハリー ・ ポッター は もう学校 に は 戻り た くない と 思う かも しれ ない と ......」 ハリー は 聞いて も い なかった 。 |||いかって||だめで||||||かんがえ ました||||ともだち||わすれ られて|||おもって||||もう がっこう|||もどり||||おもう|||||||きいて||| "Harry Potter shouldn't be angry ... I thought about Dobby ... I thought Harry Potter was forgotten by my friends ..... . Harry Potter may not want to go back to school anymore ... "Harry didn't even hear. 手紙 を ひったくろう と した が 、 ドビー は 手 の 届か ない ところ に 飛びのいた 。 てがみ||||||||て||とどか||||とびのいた He tried to snatch the letter, but Dobby flew out of reach.

「 ホグワーツ に は 戻ら ない と ドビー に 約束 したら 、 ハリー ・ ポッター に 手紙 を さしあげ ま す 。 |||もどら|||||やくそく|||||てがみ|||| "If I promised Dobby that I wouldn't return to Hogwarts, I would write to Harry Potter. あぁ 、 どうぞ 、 あなた 様 は そんな 危険な 目 に 遭って は なりません ! どうぞ 、 戻ら ない と 言って ください 」 「 いやだ 」 ハリー は 怒った 。 |||さま|||きけんな|め||あって||なり ませ ん||もどら|||いって|||||いかった Ah, please, you shouldn't have such a dangerous eye! Please tell me you won't come back. "" No. "Harry was angry. 「 僕 の 友達 の 手紙 だ 。 ぼく||ともだち||てがみ| 返して !」 かえして

「 ハリー ・ ポッター 、 それでは 、 ドビー は こう する ほか ありません 」 妖精 は 悲しげに 言った 。 ||||||||あり ませ ん|ようせい||かなしげに|いった "Harry Potter, then Dobby has no choice but to do this," said the fairy sadly. ハリー に 止める 間 も 与え ず 、 ドビー は 矢 の ように ドア に 飛びつき 、 パッと 開けて ―― 階段 を 全速力 で 駆け 下りて いった 。 ||とどめる|あいだ||あたえ||||や|||どあ||とびつき|ぱっと|あけて|かいだん||ぜんそくりょく||かけ|おりて| Without giving Harry a stop, Dobby jumped at the door like an arrow and popped open--running down the stairs at full speed.

ハリー も 全速力 で 、 音 をたい な ように 、 あと を 追った 。 ||ぜんそくりょく||おと|を たい|||||おった Harry also followed at full speed, as if he wanted to hear the sound. 口 の 中 は 殻 から 、 胃袋 は ひっくり返 り そう 。 くち||なか||から||いぶくろ||ひっくりかえ|| The inside of the mouth is from the shell, and the stomach is likely to turn over. 最後 の 六 段 は 一気に 飛び 下り 、 猫 の ように 玄関 ホール の カーペット の 上 に 着地 し 、 ハリー は あたり を 見回して 、 ドビー の 姿 を 目 で 探した 。 さいご||むっ|だん||いっきに|とび|くだり|ねこ|||げんかん|ほーる||||うえ||ちゃくち||||||みまわして|||すがた||め||さがした The last six steps jumped down, landing on the carpet in the entrance hall like a cat, and Harry looked around and looked for Dobby. 食堂 から バーノン おじさん の 声 が 聞こえて きた 。 しょくどう|||||こえ||きこえて| I heard Uncle Vernon's voice coming from the cafeteria.

「...... メイソン さん 、 ペチュニア に 、 あの アメリカ 人 の 配管 工 の 笑い話 を して やって くださ い 。 |||||あめりか|じん||はいかん|こう||わらいばなし||||| "... Mason, please tell Petunia a funny story about that American plumber. 妻 と きたら 、 聞き たくて うずうず して まして ......」 つま|||きき|||| When I came with my wife, I was afraid to hear it ... "

ハリー は 玄関 ホール を 走り抜け キッチン に 入った 。 ||げんかん|ほーる||はしりぬけ|きっちん||はいった Harry ran through the hall and into the kitchen. 途端 に 胃袋 が 消えて なく なる か と 思った 。 とたん||いぶくろ||きえて|||||おもった Immediately I wondered if my stomach would disappear. ペチュニア おばさん の 傑作 デザート 、 山盛り の ホイップクリーム と スミレ の 砂糖 漬け が なん と 天上 近く を 浮遊 して いた 。 |||けっさく|でざーと|やまもり||||||さとう|つけ||||てんじょう|ちかく||ふゆう|| Aunt Petunia's masterpiece dessert, a heap of whipped cream and candied violets, floated near the heavens. 戸棚 の てっぺん の 角 の 方 に ドビー が チョコン と 腰掛けて いた 。 とだな||||かど||かた||||||こしかけて| Dobby was sitting with a chocon on the corner of the top of the cupboard.

「 あぁ 、 ダメ 」 ハリー の 声 が かすれた 。 |だめ|||こえ|| "Ah, no." Harry's voice was faint. 「 ねぇ 、 お 願い だ ...... 僕 、 殺さ れちゃ うよ 」 ||ねがい||ぼく|ころさ|| "Hey, it's a wish ... I'll be killed."

「 ハリー ・ ポッター は 学校 に 戻ら ない と 言わ なければ なりません ――」 「 ドビー 、 お 願い だ から ......」 |||がっこう||もどら|||いわ||なり ませ ん|||ねがい|| "Harry Potter must say he won't go back to school--" "Dobby, I wish ..." 「 どうぞ 、 戻ら ない と 言って ください ......」 |もどら|||いって| "Please tell me I won't come back ..."

ドビー は 悲痚 な 目つき で ハリー を 見た 。 ||ひ痚||めつき||||みた

「 では 、 ハリー ・ ポッター の ため に 、 ドビー は こう する しか ありません 」 デザート は 心臓 が 止まる ような 音 を たてて 床 に 落ちた 。 |||||||||||あり ませ ん|でざーと||しんぞう||とまる||おと|||とこ||おちた "So for Harry Potter's sake, Dobby has to do this." Dessert fell to the floor with a heart-stopping sound. 皿 が 割れ 、 ホイップクリーム が 、 窓 やら 壁 やら に 飛び散った 。 さら||われ|||まど||かべ|||とびちった The dish cracked and the whipped cream splattered on windows and walls. ドビー は 鞭 を 鳴らす ような 、 パチッ と いう 音 ともに かき 消えた 。 ||むち||ならす|||||おと|||きえた Dobby was wiped out with a whipping, clicking sound.

食堂 から 悲鳴 が あがり 、 バーノン おじさん が キッチン に 飛び込んで きた 。 しょくどう||ひめい||||||きっちん||とびこんで| A scream screamed from the dining room, and Uncle Vernon jumped into the kitchen. そこ に は ハリー が 、 頭 の てっぺん から 足 の 先 まで ペチュニア おばさん の デザート を かぶって 、 ショック で 硬直して 立って いた 。 |||||あたま||||あし||さき|||||でざーと|||しょっく||こうちょく して|たって| There, Harry stood in shock, wearing Aunt Petunia's dessert from the top of his head to the tip of his toes.

ひとまず は 、 バーノン おじさん が なんとか その場で 取り繕って 、 うまく いった ように 見え た 。 ||||||そのばで|とりつくろって||||みえ| For the time being, Uncle Vernon managed to fix it on the spot and it seemed to work.

(「 甥 でして ね ―― ひどく 精神 不安定で ......―― この 子 は しらない 人 に 会う と 気 が 動転 する ので 二 階 に 行か せて おいた んです が ......」) おい||||せいしん|ふあんていで||こ||しら ない|じん||あう||き||どうてん|||ふた|かい||いか|||| ("I'm a nephew --- I'm terribly mentally unstable ......... This child is upset when I meet someone I don't know, so I sent him upstairs ... ... ")

おじさん は 呆然と して いる メイソン 夫妻 を 「 さあ 、 さあ 」 と 食堂 に 追い出し 、 ハリー に は 、 メイソン 夫妻 が 帰った あと で 、 虫 の 息 に なる まで 鞭 で 打って やる と 宣言 し 、 それ から モップ を 渡した 。 ||ぼうぜんと||||ふさい|||||しょくどう||おいだし|||||ふさい||かえった|||ちゅう||いき||||むち||うって|||せんげん||||もっぷ||わたした The uncle kicked the stunned Mason and his wife into the dining room, saying, "Come on, come on," and to Harry, after the Mason and his wife had returned, declared that they would whip them until they were breathing insects, and then mop them. I handed it over. ペチュニア おばさん は 、 フリーザー の 置く から アイスクリーム を 引っ張り出して きた 。 |||||おく||あいすくりーむ||ひっぱりだして| Aunt Petunia has pulled out the ice cream from the freezer. ハリー は 震え が 止まら ない まま 、 キッチン の 床 を モップ で こすり はじめた 。 ||ふるえ||とまら|||きっちん||とこ||もっぷ||| Harry couldn't stop shaking and started mopping the kitchen floor.

それ でも 、 バーノン おじさん に は まだ 商談 成立 の 可能 性 が あった ―― ふくろう の こと さえ な ければ 。 |||||||しょうだん|せいりつ||かのう|せい|||||||| Still, Uncle Vernon still had the potential to close a deal-unless he had an owl.

ペチュニア おばさん が 、 食後 の ミント チョコ が 入った 箱 を みんな に 回して いた とき 、 巨大な ふくろう が 一 羽 、 食堂 の 窓 から バサーッ と 舞い降りて 、 メイソン 夫人 の 頭 の 上 に 手紙 を 落とし 、 また バサーッ と 飛び去って 行った 。 |||しょくご||みんと|ちょこ||はいった|はこ||||まわして|||きょだいな|||ひと|はね|しょくどう||まど||||まいおりて||ふじん||あたま||うえ||てがみ||おとし||||とびさって|おこなった When Aunt Petunia was spinning a box of post-meal mint chocolate to everyone, a giant owl fluttered down from the dining room window, and dropped a letter over Mrs. Mason's head. I flew away. メイソン 夫人 は ギャーッ と 叫び声 を あげ 、 ダーズリー 一家 は 狂って いる 、 と 喚き ながら 飛び出して 行った 。 |ふじん||||さけびごえ||||いっか||くるって|||かん き||とびだして|おこなった Mrs. Mason screamed and jumped out, screaming that the Dar's Lee family was crazy.

―― 妻 は 鳥 と 名 が つく もの は 、 どんな 形 や 大き さ だろう と 死ぬ ほど 怖がる 。 つま||ちょう||な||||||かた||おおき||||しぬ||こわがる ――My wife is scared to death of anything that has the name of a bird, no matter what shape or size it is. いったい 君 た ち 、 これ は 冗談 の つもり か ね ―― メイソン 氏 も ダーズリー 一家 に 文句 を 言う だけ 言う と 出て 行った 。 |きみ|||||じょうだん||||||うじ|||いっか||もんく||いう||いう||でて|おこなった I wonder if this is just a joke, you guys-Mr. Mason went out just to complain to the Dursley family.

おじさん が 小さい 目 に 悪魔 の ような 炎 を 燃やして 、 ハリー の 方 に 迫って きた 。 ||ちいさい|め||あくま|||えん||もやして|||かた||せまって| The uncle slammed into Harry, his little eyes burning with devilish fire. ハリー は モップ に すがりついて 、 やっと の 思い で キッチン に 立って いた 。 ||もっぷ|||||おもい||きっちん||たって| Harry clung to the mop and finally stood in the kitchen.

「 読め !」 おじさん が 押し殺した 声 で 毒々しく 言った 。 よめ|||おしころした|こえ||どくどくしく|いった "Read!" He said poisonously in a voice that his uncle had killed. ふくろう が 配達 して 行った 。 ||はいたつ||おこなった The owl delivered it. ふくろう が 配達 して 行った 手紙 を 振りかざして いる 。 ||はいたつ||おこなった|てがみ||ふりかざして| I'm waving the letter that Fukuro delivered.

「 いい から ―― 読め !」 ||よめ "Because it's good--read!"

ハリー は 手紙 を 手 に した 。 ||てがみ||て|| Harry picked up the letter. 誕生祝 の カード 、 では なかった 。 たんじょう いわい||かーど|| It wasn't a birthday card.

ポッター 殿 今夕 九 時 十二分 、 貴殿 の 住居 に おいて 「 浮遊 術 」 が 使わ れた と の 情報 を 受け取りました 。 |しんがり|こんゆう|ここの|じ|じゅうにぶん|たかし どの||じゅうきょ|||ふゆう|じゅつ||つかわ||||じょうほう||うけとり ました Dear Potter, at 9:12 this evening, I received information that "floating" was used in your residence. ご 承知 の ように 、 卒業 前 の 未成年 魔法使い は 、 学校 の 外 に おいて 呪文 を 行使 する こと を 許されて おりません 。 |しょうち|||そつぎょう|ぜん||み せいねん|まほうつかい||がっこう||がい|||じゅもん||こうし||||ゆるさ れて|おり ませ ん As you know, pre-graduated underage wizards are not allowed to cast spells outside of school. 貴殿 が 再び 呪文 を 行使 すれば 、 対抗 処分 と なる 可能 性 が あります 。 たかし どの||ふたたび|じゅもん||こうし||たいこう|しょぶん|||かのう|せい||あり ます If you cast the spell again, it could be a counter-action. ( 未成年 魔法使い に 対する 妥当な 制限 に 関する 一八七五 年 法 、 C 項 ) み せいねん|まほうつかい||たいする|だとうな|せいげん||かんする|いちはちしちご|とし|ほう|c|うなじ (Act 1875 on Reasonable Restrictions on Minor Witchcraft, Section C)

念のため 、 非魔法 社会 の 者 ( マグル ) に 気づか れる 危険 性 が ある 魔法 行為 は 、 国際 魔法 戦士 連盟 機密 保持 法 第 十三 条 の 重大な 違反 と なります 。 ねんのため|ひ まほう|しゃかい||もの|||きづか||きけん|せい|||まほう|こうい||こくさい|まほう|せんし|れんめい|きみつ|ほじ|ほう|だい|じゅうさん|じょう||じゅうだいな|いはん||なり ます To be on the safe side, magical acts that are at risk of being noticed by non-magical societies (Muggles) are a serious breach of Article 13 of the International Federation of Magical Warriors Confidentiality Act. 休暇 を 楽しま れます よう ! 敬具 きゅうか||たのしま|れ ます||けいぐ Let's enjoy your vacation! Best regards 魔法 省 まほう|しょう Ministry of Magic

魔法 不 適正 使用 取締 局 マファルダ ・ ホップカーク ハリー は 手紙 から 顔 を 上げ 、 生 唾 を ゴクリ と 飲み込んだ 。 まほう|ふ|てきせい|しよう|とりしまり|きょく|||||てがみ||かお||あげ|せい|つば||ごくり||のみこんだ Mafalda Hopkirk Harry, the Magic Improper Use Control Bureau, raised his face from the letter and swallowed his raw spit. 「 おまえ は 、 学校 の 外 で 魔法 を 使って は なら ん と いう こと を 、 黙って いた な 」 バーノン おじさん の 目 に は 怒り の 火 が メラメラ 踊って いた 。 ||がっこう||がい||まほう||つかって||||||||だまって||||||め|||いかり||ひ||めらめら|おどって| "You were silent that you shouldn't use magic outside of school." Uncle Vernon had a fire of anger dancing in his eyes. 「 言う の を 忘れた と いう わけだ ...... なるほど 、 つい 忘れて いた わけだ ......」 おじさん は 大型 ブルドッグ の ように 牙 を 全部 むき 出して 、 ハリー に 迫って きた 。 いう|||わすれた||||||わすれて|||||おおがた||||きば||ぜんぶ||だして|||せまって| ``I forgot to tell you. .

「 さて 、 小僧 、 知らせ が ある ぞ ...... わし は おまえ を 閉じ込める ...... おまえ は もう あの 学校 に は 戻れ ない ...... 決して な ...... 戻ろう と して 魔法 で 逃げよう と すれば ―― 連中 が おまえ を 退 校 に する ぞ !」 |こぞう|しらせ||||||||とじこめる|||||がっこう|||もどれ||けっして||もどろう|||まほう||にげよう|||れんちゅう||||しりぞ|こう||| "Well, kid, I have some news ... I'll lock you in ... You can't go back to that school anymore ... Never ... Return If you try to escape with magic--they will leave you out of school! "

狂った ように 笑い ながら 、 ダーズリー 氏 は ハリー を 二 階 へ 引きずって いった 。 くるった||わらい|||うじ||||ふた|かい||ひきずって| Laughing maniacally, Mr. Dursley dragged Harry upstairs.

バーノン おじさん は 言葉 通り に 容赦 なかった 。 |||ことば|とおり||ようしゃ| Uncle Vernon was literally unforgiving. 翌朝 、 人 を 雇い 、 ハリー の 部屋 の 窓 に 鋏 格子 を はめ させた 。 よくあさ|じん||やとい|||へや||まど||やっとこ|こうし|||さ せた The next morning, I hired a man to put a scissors grid on the window of Harry's room. ハリー の 部屋 の ドア に は 自ら 「 餌差 入口 」 を 取りつけ 、 一 日 三 回 、 わずかな 食べ物 を そこ から 押し込む こと が できる ように した 。 ||へや||どあ|||おのずから|えさし|いりぐち||とりつけ|ひと|ひ|みっ|かい||たべもの||||おしこむ||||| He himself installed a "feeding entrance" on the door of Harry's room so that he could push in a small amount of food from there three times a day. 朝 と 夕 に トイレ に 行ける よう 部屋 から 出して くれた が 、 それ 以外 は 一 日 中 、 ハリー は 部屋 に 閉じ込められた 。 あさ||ゆう||といれ||いける||へや||だして||||いがい||ひと|ひ|なか|||へや||とじこめ られた He was taken out of the room so that he could go to the bathroom in the morning and evening, but otherwise Harry was trapped in the room all day long. 三 日 たった 。 みっ|ひ| Only three days. ダーズリー 一家 は まったく 手 を 緩める 気配 も なく 、 ハリー に は 状況 を 打開 する 糸口 さえ 見え なかった 。 |いっか|||て||ゆるめる|けはい||||||じょうきょう||だかい||いとぐち||みえ| The Dursleys didn't seem to loosen their hands at all, and Harry didn't even see a clue to break the situation. ベッド に 横たわり 、 窓 の 鋏 格子 の むこうに 陽 が 沈む の を 眺めて は 、 いったい 自分 は どう なる んだろう と 考える と 惨めだった 。 べっど||よこたわり|まど||やっとこ|こうし|||よう||しずむ|||ながめて|||じぶん||||||かんがえる||みじめだった Lying in bed, watching the sun go down behind the scissor lattice of the window, I was miserable to think what would become of me.

魔法 を 使って 部屋 から 抜け出した と して も 、 その せい で ホグワーツ を 退 校 さ せられる なら 、 なんにも なら ない 。 まほう||つかって|へや||ぬけだした|||||||||しりぞ|こう||せら れる|||| Even if you use magic to get out of the room, if that causes you to leave Hogwarts, nothing will happen. しかし 、 今 の プリベット 通り で の 生活 は 最低の 最低だ 。 |いま|||とおり|||せいかつ||さいていの|さいていだ But life on Privet Street now is the lowest of the low. ダーズリー 一家 は 「 目 が 覚めたら 大きな フルーツ コウモリ に なって いた 」 と いう 恐れ も なくなり 、 ハリー は 唯一 の 武器 を 失った 。 |いっか||め||さめたら|おおきな|ふるーつ|こうもり||||||おそれ|||||ゆいいつ||ぶき||うしなった The Dursley family no longer feared that they had become a big fruit bat when they woke up, and Harry lost his only weapon. ドビー は ホグワーツ で の 世にも 恐ろしい 出来事 から 、 ハリー を 救って くれた かも しれ ない が 、 このまま で は 結果 は 同じだ 。 |||||よにも|おそろしい|できごと||||すくって|||||||||けっか||おなじだ Dobby may have saved Harry from the horrific events of Hogwarts, but the result is the same. きっと ハリー は 餓死 して しまう 。 |||がし|| I'm sure Harry will starve to death.

餌差 入口 の 戸 が ガタガタ 音 を たて 、 ペチュニア おばさん の 手 が 覗いた 。 えさし|いりぐち||と||がたがた|おと||||||て||のぞいた The door at the entrance to Esashi made a rattling noise, and Aunt Petunia's hand looked into it. 缶詰 スープ が 一杯 差し入れられた 。 かんづめ|すーぷ||いっぱい|さしいれられた A bowl of canned soup was served. ハリー は 腹 ぺこ で 胃 が 痒む ほど だった ので 、 ベッド から 飛び起きて スープ 椀 を 引っつか ん だ 。 ||はら|||い||よう む||||べっど||とびおきて|すーぷ|わん||ひっつか|| Harry was so hungry that his stomach was itchy, so he jumped out of bed and grabbed the soup bowl. 冷め きった スープ だった が 、 半分 を 一口 で 飲んで しまった 。 さめ||すーぷ|||はんぶん||ひとくち||のんで| It was a cold soup, but I drank half of it in one bite. それ から 部屋 の 向こう に 置いて ある ヘドウィグ の 鳥 篭 に スープ を 持って行き 、 空っぽの 餌 入れ に 、 スープ 椀 の 底 に 張り付いて いた 、 ふやけた 野菜 を 入れて やった 。 ||へや||むこう||おいて||||ちょう|かご||すーぷ||もっていき|からっぽの|えさ|いれ||すーぷ|わん||そこ||はりついて|||やさい||いれて| Then I took the soup to a Hedwig bird cage across the room, and put the soupy vegetables that were stuck to the bottom of the soup bowl into an empty bait bowl. ヘドウィグ は 羽 を 逆立て 、 恨み が ましい 目 で ハリー を 見た 。 ||はね||さかだて|うらみ||まし い|め||||みた Hedwig turned his wings upside down and saw Harry with a grudge.

「 嘴 を とがら せて ツンツン したって どうにも なら ない よ 。 くちばし||||||||| "It doesn't help if you make a beak and squeak. 二 人 で これっきり な んだ から 」 ハリー は きっぱり 言った 。 ふた|じん||これ っきり|||||||いった It's just two people, "Harry said flatly. 空 の 椀 を 餌差 入口 の そば に 置き 、 ハリー は また ベッド に 横 に なった 。 から||わん||えさし|いりぐち||||おき||||べっど||よこ|| An empty bowl was placed near the Esashi entrance, and Harry lay down on the bed again. なんだか スープ を 飲む 前 より 、 もっと ひもじかった 。 |すーぷ||のむ|ぜん||| Somehow, it was more stringent than before I drank the soup.

たとえ あと 四 週間 生き延びて も 、 ホグワーツ に 行か なかったら どう なる んだろう ? なぜ 戻ら ない か を 調べ に 、 誰 か を よこす だろう か ? ダーズリー 一家 に 話して 、 ハリー を 解放 する よう に できる のだろう か ? ||よっ|しゅうかん|いきのびて||||いか||||||もどら||||しらべ||だれ|||||||いっか||はなして|||かいほう|||||| What if I didn't go to Hogwarts, even if I survived for another four weeks? Who would I send to find out why I wouldn't come back? I could talk to the Dursley family and release Harry. Would you?

部屋 の 中 が 暗く なって きた 。 へや||なか||くらく|| The inside of the room is getting dark. 疲れ果てて 、 グーグー 鳴る 空腹 を 抱え 、 答え の ない 疑問 を 何度 も 繰り返し 考え ながら ハリー は まどろみ はじめた 。 つかれはてて||なる|くうふく||かかえ|こたえ|||ぎもん||なんど||くりかえし|かんがえ||||| Exhausted and hungry, Harry began to drowsy, thinking over and over again with unanswered questions.

夢 の 中 で ハリー は 動物 園 の 檻 の 中 に いた 。 ゆめ||なか||||どうぶつ|えん||おり||なか|| In a dream, Harry was in a cage at the zoo. < 半 人前 魔法使い > と 掲示板 が かかって いる 。 はん|ひとまえ|まほうつかい||けいじばん||| There is a bulletin board with <Half-serving Wizard>. 鋏 格子 の むこう から 、 みんな が じろじろ 覗いて いる 。 やっとこ|こうし|||||||のぞいて| From the other side of the scissors grid, everyone is staring at me. ハリー は 腹 を すかせ 、 弱って 、 藁 の ベッド に 横たわって いる 。 ||はら|||よわって|わら||べっど||よこたわって| Harry is hungry, weak, and lying on a straw bed. 見物 客 の 中 に ドビー の 顔 を みつけて 、 ハリー は 助け を 求めた 。 けんぶつ|きゃく||なか||||かお|||||たすけ||もとめた Seeing Dobby's face in the crowd, Harry called for help. しか し 、 ドビー は 「 ハリー ・ ポッター は そこ に いれば 安全で ございます !」 と 言って 姿 を 消し た 。 ||||||||||あんぜんで|||いって|すがた||けし| But Dobby disappeared, saying, "Harry Potter is safe there, sir! and disappeared.

ダーズリー 一家 が やってきた 。 |いっか|| The Dursley family has arrived. ダドリー が 檻 の 鋏 格子 を ガタガタ 揺すって 、 ハリー の こと を 笑って いる 。 ||おり||やっとこ|こうし||がたがた|ゆすって|||||わらって| Dudley rattles the cage's scissors grid and laughs at Harry.

「 やめて くれ 」 ガタガタ と いう 音 が 頭 に 響く ので ハリー は つぶやいた 。 ||がたがた|||おと||あたま||ひびく|||| "Stop it," Harry muttered because of the rattling noise in his head. 「 ほっといて くれよ ...... やめて ...... 僕 眠りたい んだ ......」 ハリー は 目 を 開けた 。 |||ぼく|ねむり たい||||め||あけた 月 明かり が 窓 の 鋏 格子 を 通して 射 し込んで いる 。 つき|あかり||まど||やっとこ|こうし||とおして|い|しこんで| The moonlight is shining through the scissors grid of the window. 誰 か が ほんとうに 鋏 格子 の 外 から ハリー を じろじろ 覗いて いた 。 だれ||||やっとこ|こうし||がい|||||のぞいて| Someone was really staring at Harry from outside the scissor grid. そば かす だらけ の 、 赤毛 の 鼻 の 高い 誰 か が 。 ||||あかげ||はな||たかい|だれ|| Someone with a red-haired nose, full of buckwheat dregs.

ロン ・ ウィーズリー が 窓 の 外 に いた 。 |||まど||がい|| Ron Weasley was outside the window.